特許第6243037号(P6243037)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6243037OFDMA通信システムにおけるバンドルされるVoIPパケットのためのリソース割当
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6243037
(24)【登録日】2017年11月17日
(45)【発行日】2017年12月6日
(54)【発明の名称】OFDMA通信システムにおけるバンドルされるVoIPパケットのためのリソース割当
(51)【国際特許分類】
   H04L 27/26 20060101AFI20171127BHJP
   H04J 1/00 20060101ALI20171127BHJP
【FI】
   H04L27/26 100
   H04J1/00
【請求項の数】10
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2016-537457(P2016-537457)
(86)(22)【出願日】2014年11月5日
(65)【公表番号】特表2017-506441(P2017-506441A)
(43)【公表日】2017年3月2日
(86)【国際出願番号】US2014063973
(87)【国際公開番号】WO2015084525
(87)【国際公開日】20150611
【審査請求日】2016年8月3日
(31)【優先権主張番号】14/100,006
(32)【優先日】2013年12月8日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】391030332
【氏名又は名称】アルカテル−ルーセント
(74)【代理人】
【識別番号】100094112
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 讓
(74)【代理人】
【識別番号】100106183
【弁理士】
【氏名又は名称】吉澤 弘司
(74)【代理人】
【識別番号】100114915
【弁理士】
【氏名又は名称】三村 治彦
(74)【代理人】
【識別番号】100120363
【弁理士】
【氏名又は名称】久保田 智樹
(74)【代理人】
【識別番号】100125139
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 洋
(72)【発明者】
【氏名】カリン,ドル
【審査官】 岡 裕之
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2013/0322349(US,A1)
【文献】 Doru Calin et al.,VoIP over Realistic IEEE 802.16e System Scenarios: The Uplink Direction,IEEE,2012年,pp.3360-3364
【文献】 Jani Puttonen et al.,Voice-over-IP Performance in UTRA Long Term Evolution Downlink,IEEE,2008年,pp.2502-2506
【文献】 Doru Calin,Design and Analysis of a VoIP Based IEEE 802.16e System,IEEE,2013年12月13日,pp.1367-1372
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 27/26
H04J 1/00
3GPP TSG RAN WG1−4
SA WG1−4
CT WG1−4
IEEE 802.11
IEEE 802.15
IEEE 802.16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
直交周波数分割多元接続(OFDMA)に基づくシステムにおいてリアルタイム・トラフィック通信にリソースを割り当てるための装置であって、プロセッサおよび関連するメモリを備え、前記プロセッサは、
1つまたは複数のボイス・オーバー・インターネット・プロトコル(VoIP)パケットを、単一のバンドルされるパケットに割り当てることと、
変調および符号化方式(MCS)のセットの中の第1のMCSを、少なくとも
HARQ送信の最大回数、
OFDMAスロット数、及び、
パケット送信でエラーが発生する確率、
に基づいて選択することであって、前記第1のMCSは、前記リアルタイム・トラフィック通信に関連づけられるリンクへの干渉の、1つまたは複数の悪影響に対処しながら、前記バンドルされるパケットを可能な限り最少量の物理的なOFDMAリソースに対応づけ得る、前記MCSのセットの中の1つのMCSである、第1のMCSを選択することと、
前記選択された第1のMCSに基づいて、前記バンドルされるパケットを、前記可能な限り最少量の物理的なOFDMAリソースに対応づけることと、
前記対応づけられた可能な限り最少量の物理的なOFDMAリソースを介して、前記選択された第1のMCSを用いて、前記バンドルされるパケットを送信することと、
を行なうように構成される、装置。
【請求項2】
前記可能な限り最少量の物理的なOFDMAリソースは、OFDMAフレームまたはOFDMAサブフレーム内の少なくとも1つの時間シンボルおよび少なくとも1つのサブキャリアを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記プロセッサは、前記リアルタイム・トラフィック通信に関連づけられる前記リンクの少なくとも1つの無線チャネル状況に合わせて、前記単一のバンドルされるパケットに割り当てられるVoIPパケットの数を変更する
ように構成される、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記プロセッサは、1つまたは複数のダウンリンクOFDMAサブフレームおよびアップリンクOFDMAサブフレームの時間および周波数の全体にわたって、VoIPバーストの割当をランダムに行なう
ように構成される、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記プロセッサは、OFDMAフレームまたはOFDMAサブフレーム内にVoIPバーストを適合させるために、複数回のランダム割当の試行を行なうことと、
前記複数回のランダム割当の試行では、前記VoIPバーストの割当の生成が成功しない場合、前記VoIPバーストが適合し得る前記OFDMAフレームまたは前記OFDMAサブフレーム内で、1つまたは複数の適切な位置を見つけるための検索アルゴリズムを使用することと、
を行なうように構成される、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記プロセッサは、VoIPバーストが適合し得るOFDMAフレームまたはOFDMAサブフレーム内で、1つまたは複数の適切な位置を見つけるための検索アルゴリズムを使用する
ように構成される、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記プロセッサは、周波数ダイバシティの利用を優先しながら、ダウンリンクのために、前記バンドルされるパケットを、前記可能な限り最少量の物理的なOFDMAリソースに対応づける
ように構成される、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記プロセッサは、時間領域の利用を優先しながら、アップリンクのために、前記バンドルされるパケットを、前記可能な限り最少量の物理的なOFDMAリソースに対応づける
ように構成される、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記プロセッサは、VoIPバーストが、まず時間領域に、次に周波数領域に対応づけられるように、前記バンドルされるパケットを、前記可能な限り最少量の物理的なOFDMAリソースに対応づける
ように構成される、請求項1に記載の装置。
【請求項10】
直交周波数分割多元接続(OFDMA)に基づくシステムにおいてリアルタイム・トラフィック通信にリソースを割り当てるための方法であって、
ネットワーク要素において、1つまたは複数のボイス・オーバー・インターネット・プロトコル(VoIP)パケットを、単一のバンドルされるパケットに割り当てるステップと、
前記ネットワーク要素において、変調および符号化方式(MCS)のセットの中の第1のMCSを、少なくとも
HARQ送信の最大回数、
OFDMAスロット数、及び、
パケット送信でエラーが発生する確率、
に基づいて選択するステップであって、前記第1のMCSは、前記リアルタイム・トラフィック通信に関連づけられるリンクへの干渉の、1つまたは複数の悪影響に対処しながら、前記バンドルされるパケットを可能な限り最少量の物理的なOFDMAリソースに対応づけ得る、前記MCSのセットの中の1つのMCSである、第1のMCSを選択するステップと、
前記ネットワーク要素において、前記選択された第1のMCSに基づいて、前記バンドルされるパケットを、前記可能な限り最少量の物理的なOFDMAリソースに対応づけるステップと、
前記ネットワーク要素から、前記対応づけられた可能な限り最少量の物理的なOFDMAリソースを介して、前記選択された第1のMCSを用いて、前記バンドルされるパケットを送信するステップと、
を含み、
前記可能な限り最少量の物理的なOFDMAリソースは、OFDMAフレームまたはOFDMAサブフレーム内の少なくとも1つの時間シンボルおよび少なくとも1つのサブキャリアを含む、
方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、直交周波数分割多元接続(OFDMA)に基づくアクセス・システム上のボイス・オーバー・インターネット・プロトコル(VoIP)サービスのためのリソース割当に関する。
【背景技術】
【0002】
今日の無線通信システムは、パケットに基づいた送信に依存しており、このパケット送信は、システム容量を増加させる手段として、異なる移動機器からの複数の接続をリアルタイムに多重化することを可能にする。一般に、音声トラフィックは、固定レートまたは可変レートの符号化器(encoder)を用いて、符号化される。様々な種類のコーデックが考えられ得るが、一例として、フル・レート(full−rate)、ハーフ・レート(half−rate)、1/4レート(quarter−rate)、および1/8レート(eight−rate)のフレームを生成する、4つの段階をもつ(four−state)EVRC(Enhanced Variable Rate Codec)が考えられる。このコーデックは、cdma2000 1xおよびHRPD(High Rate Packet Data)規格において、音声対応のために標準化された。各VoIPパケット(または、複数のパケットのバンドル(bundle))は、物理的な直交周波数分割多元接続(OFDMA)リソース実体/バースト(例えば、このような複数の物理リソースの実体は、WiMAXでは「バースト」と呼ばれる)に対応づけることができ、1つまたは複数のメディア・アクセス制御(MAC)プロトコル・データ・ユニット(PDU)(MAC PDU)に対応してもよい。
【0003】
VoIPパケットは、サイズが比較的小さいため、1つまたは複数のVoIPパケットの内容を転送し、したがって、ヘッダおよび巡回冗長検査(CRC)のオーバーヘッドを最小にするために、単一のMAC PDUが望まれる場合がある。巡回冗長検査(CRC)はMAC PDU内に組み込まれるため、HARQ(Hybrid Automatic Request)機構はこれによってバースト単位に動作することができる。
【0004】
MAC PDUオーバーヘッドのために、情報ビットを含むペイロードと共に送信されることが必要な、ある数のビットが存在する。例えば、WiMAX(Worldwide Interoperability for Microwave Access)規格において、MAC PDUオーバーヘッドは、6バイトのMACヘッダ・オーバーヘッドおよび4バイトのCRCからなることから、10バイトの大きさになることがある。RTP(リアルタイム転送プロトコル)/UDP(ユーザ・データグラム・プロトコル)/IP(インターネット・プロトコル)ヘッダのオーバーヘッドである元の40バイトを4バイトだけに削減するため、ロバスト・ヘッダ圧縮(ROHC:Robust header compression)を用いてもよい。
【0005】
図1の表に、WiMAXについて、パケット・バンドリング(2個のパケットだけのバンドリングが示される)を用いる場合と用いない場合の、ヘッダ/トレーラ・オーバーヘッドの合計が表わされている。したがって、図1は、VoIPパケット・バンドリングが、1個のVoIPパケット・バンドリングだけがバンドルされて(すなわち、複数のVoIPパケットのバンドリングがなく)使用される場合、RTP/UDP/IPオーバーヘッドは32ビット(すなわち、4バイト)からなり、MACヘッダは48ビット(すなわち6バイト)からなり、CRCは32ビット(すなわち、4バイト)からなり、合計は112ビット(すなわち、14バイト)であることを示す。2個のVoIPパケットがVoIPバンドルにバンドルされる場合、RTP/UDP/IPオーバーヘッドは32ビットの2倍=64ビットをからなり、一方、MACヘッダおよびCRCは同じサイズのままであり、144ビット(すなわち、18バイト)の合計バンドル・サイズになる。VoIPパケットを追加してバンドリングすると、RTP/UDP/IPオーバーヘッドおよびVoIPバンドルのサイズが同様に増加する。
【0006】
図2の表は、一例であるEVRC音声コーデックの出力での、バンドリングを用いる場合と用いない場合の、オーバーヘッドを含むVoIPパケット・サイズを示す。他のEVRC音声コーデックが利用されてもよい。図2は、特定のEVRCボコーダー(vocoder)・レートに対して、1個のパケット・バンドリング(すなわち、バンドリングがない)および2個までのパケット・バンドリングを用いる場合の、対応する使用確率、20ミリ秒のフレーム・サイズ、および音声ペイロードとヘッダ/トレーラ・オーバーヘッドとの加算値を示す。例えば、バンドリングなしで、一例であるEVRCボコーダーは、フル・レート、ハーフ・レート、1/4レート、1/8レートの各々に対応して、283ビットのVoIPパケット、192ビットのVoIPパケット、152ビットのVoIPパケット、128ビットのVoIPパケットを生成する。他のEVRC音声コーデックが、表で示されるレートの各々で、異なるサイズのVoIPパケットを生成してもよい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
VoIPのような、遅延に影響されやすい(delay sensitive)アプリケーションは、厳しいサービス品質(QoS)要求条件のため、および典型的な厳しい(hostile)無線環境のため、無線ネットワーク基盤の設計において重大な課題を提起する。高速に移動するユーザについて、無線チャネル状況を予測すること、したがって、効率的にリソースを割り当てることが、より困難になるため、ユーザ移動性(user mobility)は、提起される課題の全体の複雑さを増加させる、明らかに別の要因(extra−dimension)である。通常、VoIPアプリケーションは、エアー・インターフェースの厳しい(通常、約数十ミリ秒単位の)遅延バジェット(delay budget)と、アクティブなVoIPユーザの95%から98%について1%から2%未満のパケット損失という典型的なQoS目標により特徴づけられる。リアルタイム通信は、遅延制限に従う通信として特徴づけられることができる。リアルタイム通信以外の通信は、遅延制限に従わないが、ベスト・エフォート型配送(best effort delivery)を用いて配送することができる通信として特徴づけられることができる。
【0008】
無線通信チャネルの状況に効率的に適応するために、利用されるMCS(変調および符号化方式)の効率的な選択と干渉の抑制(combating of interference)とを考慮する、知的(intelligent)機構に依存することが望ましい。このような目的のためには、利用されるMCS方式の動的な選択が、リソース割当の決定において重要な要素である。干渉が大きい場合、困難な無線状況で動作するように設計された、よりロバストな(robust)MCSの1つを選択することにより、符号化パケット(バースト)をより大きくでき、この結果、次に、よりアクティビティが増え、したがって、継続している他の無線の呼に影響する可能性のある干渉の広がりがより大きくなる。一方、好適な無線状況で動作するように設計された、よりロバストでないMCSを選択することにより、符号化パケット(バースト)はより小さくなるが、無線チャネルが急速に変化し、対抗(fight)する十分な防止策がパケット送信にない場合、パケット誤りがより多くなる危険を冒すことになり、最終的に信号が劣化する。本明細書で開示されるリソース割当およびMCS選択の機構は、VoIPパケットの送信が成功する可能性を最大にするように設計されている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
一実施形態では、直交周波数分割多元接続(OFDMA)に基づくシステムにおいてリアルタイム・トラフィック通信にリソースを割り当てるための装置が提供される。装置はプロセッサおよび関連するメモリを備え、プロセッサは、1つまたは複数のボイス・オーバー・インターネット・プロトコル(VoIP)パケットを、単一のバンドルされるパケットに割り当てることと、変調および符号化方式(MCS)のセットの中の第1のMCSを選択することであって、第1のMCSは、リアルタイム・トラフィック通信に関連づけられるリンクへの干渉の、1つまたは複数の悪影響に対処しながら、バンドルされるパケットを可能な限り最少量の物理的なOFDMAリソースに対応づけ得る、MCSのセットの中の1つのMCSである、第1のMCSを選択することと、選択された第1のMCSに基づいて、バンドルされるパケットを可能な限り最少量の物理的なOFDMAリソースに対応づけることと、対応づけられた、可能な限り最少量の物理的なOFDMAリソースを介して、選択された第1のMCSを用いて、バンドルされるパケットを送信することと、を行なうように構成される。
【0010】
一実施形態では、可能な限り最少量の物理的なOFDMAリソースは、OFDMAフレームまたはOFDMAサブフレーム内の少なくとも1つの時間シンボルおよび少なくとも1つのサブキャリアを含む。
【0011】
一実施形態では、プロセッサは、ダウンリンクにおける送信のために、複数のVoIPパケットを単一のバンドルされるパケットに割り当てるように構成される。
【0012】
一実施形態では、プロセッサは、アップリンクにおける送信のために、1個のVoIPパケットを単一のバンドルされるパケットに割り当てるように構成される。
【0013】
一実施形態では、プロセッサは、リアルタイム・トラフィック通信に関連づけられるリンクの少なくとも1つの無線チャネル状況に合わせて、単一のバンドルされるパケットに割り当てられるVoIPパケットの数を変更するように構成される。
【0014】
一実施形態では、プロセッサは、1つまたは複数のダウンリンクOFDMAサブフレームおよびアップリンクOFDMAサブフレームの時間および周波数の全体にわたって、VoIPバーストの割当をランダムに行なうように構成される。
【0015】
一実施形態では、プロセッサは、OFDMAフレームまたはOFDMAサブフレーム内にVoIPバーストを適合させるために、複数回のランダム割当の試行を行なうように構成される。
【0016】
一実施形態では、プロセッサは、複数回のランダム割当の試行では、VoIPバーストの割当の生成が成功しない場合、VoIPバーストが適合し得るOFDMAフレームまたはOFDMAサブフレーム内で、1つまたは複数の適切な位置を見つけるための検索アルゴリズムを使用するように構成される。
【0017】
一実施形態では、プロセッサは、VoIPバーストが適合し得るOFDMAフレームまたはOFDMAサブフレーム内で、1つまたは複数の適切な位置を見つけるための検索アルゴリズムを使用するように構成される。
【0018】
一実施形態では、プロセッサは、基地局間調整を使用しながら、バンドルされるパケットを、可能な限り最少量の物理的なOFDMAリソースに対応づけるように構成される。
【0019】
一実施形態では、プロセッサは、ダウンリンクのために、周波数ダイバシティの利用を優先しながら、バンドルされるパケットを、可能な限り最少量の物理的なOFDMAリソースに対応づけるように構成される。
【0020】
一実施形態では、プロセッサは、アップリンクのために、時間領域の利用を優先しながら、バンドルされるパケットを、可能な限り最少量の物理的なOFDMAリソースに対応づけるように構成される。
【0021】
一実施形態では、プロセッサは、VoIPバーストが、まず時間領域に、次に周波数領域に対応づけられるように、バンドルされるパケットを、可能な限り最少量の物理的なOFDMAリソースに対応づけるように構成される。
【0022】
一実施形態では、プロセッサは、VoIPパケット符号化後のサイズがほぼ同じバーストを生成する、MCSのセットのサブセットの中で最もロバストなMCS方式を選択するように構成される。
【0023】
一実施形態では、プロセッサは、バンドルされるパケットの通信が成功する確率をさらに最大にする、可能な限り最少量の物理的なOFDMAリソースに、バンドルされるパケットを対応づけるための、MCSのセットの中のMCSを第1のMCSとして選択するように構成される。
【0024】
別の実施形態は、直交周波数分割多元接続(OFDMA)に基づくシステムにおいてリアルタイム・トラフィック通信にリソースを割り当てるための方法である。方法は、ネットワーク要素において、1つまたは複数のボイス・オーバー・インターネット・プロトコル(VoIP)パケットを、単一のバンドルされるパケットに割り当てるステップと、ネットワーク要素において、変調および符号化方式(MCS)のセットの中の第1のMCSを選択するステップであって、第1のMCSは、リアルタイム・トラフィック通信に関連づけられるリンクへの干渉の、1つまたは複数の悪影響に対処しながら、バンドルされるパケットを可能な限り最少量の物理的なOFDMAリソースに対応づけ得る、MCSのセットの中の1つのMCSである、第1のMCSを選択するステップと、ネットワーク要素において、選択された第1のMCSに基づいて、バンドルされるパケットを可能な限り最少量の物理的なOFDMAリソースに対応づけるステップと、ネットワーク要素から、対応づけられた可能な限り最少量の物理的なOFDMAリソースを介して、選択された第1のMCSを用いて、バンドルされるパケットを送信するステップと、を含む。
【0025】
一実施形態では、可能な限り最少量の物理的なOFDMAリソースは、OFDMAフレームまたはOFDMAサブフレーム内の少なくとも1つの時間シンボルおよび少なくとも1つのサブキャリアを含む。
【0026】
一実施形態では、上記割り当てるステップは、基地局から移動機器へのダウンリンクにおける送信のために、複数のVoIPパケットを、単一のバンドルされるパケットに割り当てるステップを備える。
【0027】
一実施形態では、上記割り当てるステップは、移動機器から基地局へのアップリンクにおける送信のために、1個のVoIPパケットを、単一のバンドルされるパケットに割り当てるステップを備える。
【0028】
一実施形態では、上記割り当てるステップは、リアルタイム・トラフィック通信に関連づけられるリンクの少なくとも1つの無線チャネル状況に合わせて、単一のバンドルされるパケットに割り当てられるVoIPパケットの数を変更するステップを備える。
【0029】
一実施形態では、バンドルされるパケットを可能な限り最少量の物理的なOFDMAリソースに上記対応づけるステップは、1つまたは複数のダウンリンクOFDMAサブフレームおよびアップリンクOFDMAサブフレームの時間および周波数の全体にわたって、VoIPバーストの割当をランダムに行なうステップを含む。
【0030】
一実施形態では、バンドルされるパケットを可能な限り最少量の物理的なOFDMAリソースに対応づける上記ステップは、OFDMAフレームまたはOFDMAサブフレーム内にVoIPバーストを適合させるための、複数回のランダム割当の試行を含む。
【0031】
一実施形態では、バンドルされるパケットを可能な限り最少量の物理的なOFDMAリソースに対応づける上記ステップは、複数回のランダム割当の試行では、VoIPバーストの割当の生成が成功しない場合、VoIPバーストが適合し得るOFDMAフレームまたはOFDMAサブフレーム内で、1つまたは複数の適切な位置を見つけるための検索アルゴリズムを使用するステップを含む。
【0032】
一実施形態では、バンドルされるパケットを可能な限り最少量の物理的なOFDMAリソースに対応づける上記ステップは、VoIPバーストが適合し得るOFDMAフレームまたはOFDMAサブフレーム内で、1つまたは複数の適切な位置を見つけるための検索アルゴリズムを使用するステップを含む。
【0033】
一実施形態では、バンドルされるパケットを可能な限り最少量の物理的なOFDMAリソースに対応づける上記ステップは、基地局間調整を使用して行なわれる。
【0034】
一実施形態では、バンドルされるパケットを可能な限りの最少量の物理的なOFDMAリソースに対応づける上記ステップは、ダウンリンクのために、周波数ダイバシティの利用を優先しながら、行なわれる。
【0035】
一実施形態では、バンドルされるパケットを可能な限り最少量の物理的なOFDMAリソースに対応づける上記ステップは、アップリンクのために、時間領域の利用を優先しながら、行なわれる。
【0036】
一実施形態では、バンドルされるパケットを可能な限り最少量の物理的なOFDMAリソースに対応づける上記ステップは、VoIPバーストを、まず時間領域に、次に周波数領域に対応づける、または、VoIPバーストを、まず周波数領域に、次に時間領域に対応づけるステップを備える。
【0037】
一実施形態では、MCSのセットの中の第1のMCSを選択する上記ステップは、VoIPパケット符号化後のサイズがほぼ同じバーストを生成する、MCSのセットのサブセットの中で最もロバストなMCS方式を選択する。
【0038】
一実施形態では、バンドルされるパケットを可能な限り最少量の物理的なOFDMAリソースに対応づけるためにMCSのセットの中のMCSを上記選択するステップは、バンドルされるパケットの通信が成功する確率を最大にする。
【0039】
一実施形態では、方法の1つまたは複数のステップは、パケットごとに行なわれる。
【0040】
本発明の実施形態は、添付図面を参照して、ここで、さらに説明される。
【図面の簡単な説明】
【0041】
図1】バンドルを用いる場合と用いない場合の、ヘッダ/トレーラ・オーバーヘッドの合計を示す表である。
図2】EVRC音声コーデックの出力での、バンドルを用いる場合と用いない場合の、オーバーヘッドを含むVoIPパケット・サイズを示す表である。
図3】複数のVoIPパケットをバンドルせずに、図2に表わされるような、EVRCボコーダーから生じるVoIPパケットを通信するために必要な、アップリンク・バースト・サイズおよび対応するMCS(アップリンクにおいて64QAM変調は使用しない)を示す表である。
図4】2個のVoIPパケットのバンドリングを使用しながら、図2に表わされるような、EVRCボコーダーから生じるVoIPパケットを通信するために必要な、ダウンリンク・バースト・サイズおよび対応するMCSを示す表である。
図5】本発明の原理に従う、2つの相互干渉するセクタ(例えば、セクタXおよびセクタY)のWiMAX時分割複信(TDD)ダウンリンク(DL)およびアップリンク(UL)サブフレームのトラフィック負荷(traffic loading)の典型的な概要(snapshot)を示す。
図6】干渉の影響を最小にするために、OFDMAに基づくアクセス・システム上でVoIPサービスを提供し、かつVoIPパケットへの無線リソースの効率的割当を可能にするための、無線リソース割当機構を詳述する一例のフローチャートである。
図7】本明細書で説明される機能を行なう時の使用に適したコンピュータのハイレベル・ブロック図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0042】
本発明の特定の実施形態が、図を参照して、以下に開示される。説明と図示の両方が、理解を深める意図で立案された。例えば、図の要素のうちのいくつかの寸法は他の要素に比べて、強調されていることがある。また、実装が成功するために有益であり、または必要でさえある既知の要素が、実施形態の理解を妨げず(less obstructed)、より明確な表現になるように、図示されないことがある。さらに、上記の論理フロー図は、特定の順序で行なわれる特定のステップに関して説明され示されるが、これらのステップのうちのいくつかは省略されてもよく、または、これらのステップのうちのいくつかは請求項の範囲から逸脱することなく、組み合わされてもよいし、分割されてもよいし、再順序づけされてもよい。したがって、特段の指示がない限り、ステップの順序およびグループ化は、請求項の範囲内にあり得る他の実施形態を制限するものではない。
【0043】
当業者が、当技術分野で既知の事を考慮して、説明された実施形態を、効果的に、作成、使用、かつ最もよく実施できるようにするために、図示と説明の両方における簡潔さおよび明瞭さが求められる。当業者は、本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく、下記の特定の実施形態に対して様々な修正および変更を行ない得ることを理解するであろう。したがって、明細書および図面は、限定または全てを包括するものではなく、図示および例示として考えられるべきであり、下記の特定の実施形態への、このような全ての修正は、本発明の範囲内に含まれるものとする。
【0044】
本発明の様々な実施形態を作成および使用する時のより広範囲の詳細を提供するために、ネットワークでの通信に用いられる手法の説明、およびある種のごく特定の実施形態の説明を、例示のため以下に行なう。
【0045】
無線通信チャネルの状況に効率的に適応するために、利用されるMCS(変調および符号化方式)の効率的な選択と干渉の抑制(combating of interference)とを考慮する、本明細書で提供される知的(intelligent)機構に依存することが望ましい。本明細書で開示されるリソース割当およびMCS選択の機構は、VoIPパケットの送信が成功する確率を最大にするように設計されている。
【0046】
したがって、直交周波数分割多元接続(OFDMA)に基づくシステムにおいてリアルタイム・トラフィック通信にリソースを割り当てるための方法および装置が提供される。一例の方法は、ボイス・オーバー・インターネット・プロトコル(VoIP)パケット・バンドリング、リアルタイム・トラフィック通信に関連づけられるリンクへの干渉の1つまたは複数の悪影響に対処しながら、バンドルされるパケットを可能な限り最少量の物理的なOFDMAリソースに対応づけ得るMCS(変調および符号化方式)の選択、これに続いて選択されたMCSに従ってバンドルされるパケットを対応づけることおよび送信することを含む。方法の各態様が、以下に順番に記述される。
【0047】
パケット・バンドリング
単一のMAC PDUが、1つまたは複数のVoIPパケットの内容を転送するために利用でき、したがって、ヘッダおよび巡回冗長検査(CRC)オーバーヘッドを最小にする。一実施形態では、基地局で、ダウンリンクにおいて、すなわち、MAC PDUを生成する時に、VoIPパケット・バンドリングを使用することが考えられる。この形式のバンドリングには、N*20msで求められるいくらかの遅延の追加という犠牲を伴って、オーバーヘッドを低減するという優位点がある。ここで、Nは単一のパケットにバンドリングされるVoIPパケットの数であり、20msはVoIPパケット生成間隔である。パケット・バンドリングには、複数のVoIPパケットのペイロードを含む、バンドルされるVoIPパケットに対して、単一のMACヘッダが使用されてもよいという利点がある。しかし、圧縮されたヘッダは、構成パケットごとに依然必要である。エアー・インターフェース(エアー・リンク)での送信をスケジュールされる必要があるバーストがより少なくなり得るので、パケット・バンドリングは、メディア・アクセス・プロトコル(MAP)オーバーヘッドをさらに低減できる。
【0048】
別の実施形態では、パケット・バンドリングは、アップリンクで使用されない。バンドリングは、アップリンクに対しては必ずしもよい解決策ではない(パケットはより長く、かつ、より小さな電力スペクトル密度での動作を強いる可能性があり、例えば、WiMAXでは、バンドルされるパケットは、複数のアップリンク・サブチャネル上に収容されなければならない可能性がある)。
【0049】
別の実施形態では、MSが観測し得る無線チャネル状況の品質の最良点を利用し、かつユーザ・データの日和見主義的スケジューリングを可能にするために、VoIPパケット・バンドリングは、動的に、1つの移動局(MS)ごとに、ダウンリンクおよびアップリンクの両方で、またはダウンリンクもしくはアップリンクで行なわれる。バンドルされるパケットが、1つまたは複数のVoIPパケットのペイロードを含んでもよいことに留意されたい。
【0050】
MCS選択
バンドルされるパケットのビット・サイズおよびバンドルされるパケットを通信する可能性のあるMCSのセットが与えられると、個々のMCSに対応するバーストを転送するのに必要なバースト・サイズ(すなわち、OFDMAスロット数)を決定することができる。図3は、複数のVoIPパケットをバンドリングせずに、図2に表わされるような、EVRCボコーダーからのVoIPパケット(すなわち、複数のVoIPパケットをバンドルしない1つのパケット、言いかえれば、単一のVoIPパケット)を通信するのに必要な、アップリンク・バースト・サイズおよび対応するMCS(アップリンクにおいて64 QAM変調は使用しない)を説明する、一例の表である。
【0051】
例えば、283ビットのVoIPパケットは、6個のバースト・サイズを用いるQPSKレート1/2を使用して、通信されてもよい。192ビットのVoIPパケットは、4個のバースト・サイズを用いるQPSKレート1/2を使用して、通信されてもよい。152ビットのVoIPパケットは、4個のバースト・サイズを用いるQPSKレート1/2を使用して、通信されてもよい。128ビットのVoIPパケットは、3個のバースト・サイズを用いるQPSKレート1/2を使用して、通信されてもよい。QPSKレート3/4については、283ビットのVoIPパケットは、4個のバースト・サイズを用いて、通信されてもよい。192ビットのVoIPパケットは、3個のバースト・サイズを用いて、通信されてもよい。152ビットのVoIPパケットは、3個のバースト・サイズを用いて、通信されてもよい。128ビットのVoIPパケットは、2個のバースト・サイズを用いて、通信されてもよい。同様に、16QAMレート1/2については、283ビットのVoIPパケットは、3個のバーストを用いて、通信されてもよい。192ビットのVoIPパケットは、2個のバーストを用いて、通信されてもよい。152ビットのVoIPパケットは、2個のバーストを用いて、通信されてもよい。128ビットのVoIPパケットは、2個のバーストを用いて、通信されてもよい。他のEVRC音声コーデックが、説明されたそれぞれのレートで異なるサイズのVoIPパケットを生成してもよく、それに応じて、特定のMCSに従って通信するのに必要なバーストの個数は変化する。
【0052】
図4は、2個のVoIPパケットのバンドリング(すなわち、2個のVoIPパケットがバンドルされている、バンドルされるパケット)を使用しながら、図2に表わされるような、一例のEVRCボコーダーから生じるVoIPパケットを通信するのに必要なダウンリンク・バースト・サイズおよび対応するMCSを説明する表である。図3および図4の表中の例は、本明細書で説明されるロバストネス(robustness)の原理に従う、バーストとMCSの関連を説明している。使用されるバースト・サイズおよびMCSは、表2中のMAC PDUサイズに対応する(図3中ではバースト・アップリンクを説明しており、モバイルWiMAXプロファイル・リリース1.0に従って、64QAM MCS方式は使用されないことに留意されたい)。
【0053】
特定のMAC PDUサイズに対する、複数の候補のMCSが同じバースト・サイズ(例えば、WiMAXでは、同じ個数のOFDMAスロット)になる可能性がある。このような場合、一実施形態では、一実施形態により使用されるロバストネスの原理に従って、システムを干渉に対してより回復力があるようにするために、そのバースト・サイズのVoIPパケットを通信するための候補MCSとして、最もロバストなMCSが実際には選択される。例えば、フル・レート283ビットのVoIPパケットは、次のMCS方式、16QAMレート3/4、64QAMレート1/2、64QAMレート2/3、64QAMレート3/4および64QAMレート5/6、のうちのいずれかによって2個のOFDMAスロットを用いて実行できる。本実施形態のロバストネスの原理に従って、16QAMレート3/4が、2個のOFDMAスロットを使用しながら、フル・レートの283ビットのVoIPパケットを実行するように考慮されたMCSとなるであろう。
【0054】
各パケットを送信するために使用されるMCSは、ユーザからの迅速なチャネル品質フィードバックのみでなくパケットのサイズにも基づいて選択される。エラー回復は、チェイス合成(Chase Combining)を用いて、(最初のパケット送信と許容される再送信を加えた)HARQ送信を最大回数、N、まで行ない、実行される。WiMAXにおけるチェイス合成では、パケットの再送信は、パケットの最初の送信で選択されたMCSに制限される。したがって、最初の(新たな)送信および(後に)それに続いて行なわれる再送信の全体にわたって同一パケットを実行するために使用されるVoIPバーストは、全てサイズが同一である(OFDMAシステムには、チェイス合成の代わりに、増加的冗長性(IR)を使用し得るものもあるが、本発明の基本原理は、IRモードにも同様に適用されることに留意されたい)。
【0055】
下記の3つの式は、VoIPパケットのためのMCS選択機構の背景にある論理的根拠について説明している。一般性のために、サイズsの所与の(符号化されていない)VoIPパケットに対して、符号化されたI個の可能なVoIPバーストがあり、各バーストは異なるMCSと対応しており、したがって、結果として異なるバースト・サイズになる可能性があると仮定する。言いかえれば、I個のバーストの各々は、特定の個数のOFDMAスロットを必要とし、特定のMCS、m、で符号化される場合、このスロット数をnとする。例えば、フル・レート283ビットのVoIPパケットは、QPSKレート1/2では6個のOFDMAスロット、またはQPSKレート3/4では4個のOFDMAスロット、または16QAMレート1/2では3個のOFDMAスロット、または最後に16QAMレート3/4では2個のOFDMAスロットのみ、でのいずれかで実行することができる。これらの考察では、同一のパケットに対し、複数の可能な候補の中で最もロバストなMCSが、常に使用されることが既に仮定されている。Pe,k(m,n)は、MCSとしてmを使用する時、サイズnのバーストに対し、k番目の送信試行を行なう時に、パケット送信でエラーが発生する確率を意味している。パラメータ(m,n)で定義される、1つのバースト送信が成功するために必要な、予想される総リソース数
【数1】
を決定できる。下記の式(1)を参照されたい。論理的根拠は、1個のパケットが、最初の試行で、または最初で成功しない場合は2番目の試行で、など、最初のN−1回で成功しない場合は次に必ずN番目の試行(最後の試行)で、のいずれかで受信に成功する場合、送信が成功するということである。
【数2】
【0056】
同一パケットの、2つの異なる送信試行にわたるエラー発生確率が、(例えば、第1番目のパケット送信と第2番目のパケット送信との間で)同一であると、単純化により仮定される場合、パラメータ(m,n)により特徴づけられるバーストのエラーの発生確率、P(m,n)は、もはやパケットの送信順序に依存せず、式(1)の予想される総リソース数に対する式は、式(2)のようになる。パケットあたりの許容される送信の最大数が極めて大きい場合、これは、式(2)の最後の式のように、さらに単純化することができる。
【数3】
【0057】
式(3)に表現されている(Pは利用可能なMCSの総数を意味する)ように、必要とされるOFDMAリソース(スロット)の最少数で、VoIPパケットの送信を成功することを保証する、MCSバースト・サイズの組合せ(m,n)を常に選択する場合、VoIPパケット送信は最適であると言うことができる。
【数4】
【0058】
所与の長さの1個のパケットに対し、最初のパケット送信での誤りの確率および再送信での誤りの確率は、詳細なリンク・レベル・シミュレーション(linked level simulation)から決定できることに留意されたい。
【0059】
一実施形態では、あるパケット送信に適用される電力レベルは、所与のMCSを用いて、所望の成功確率を保証するように決定され、オープン電力制御ループもしくはクローズ電力制御ループを用いて、または両方の種類のループを共に用いて、のいずれかで制御できる。
【0060】
OFDMAリソースへのバースト対応づけ
本発明の一実施形態では、VoIPバーストの、時間および周波数全体にわたってランダム化された割当が、結果として生じる干渉を低減するだけでなく平均化するために、部分的負荷の厳密な(tight)制御を用いて、ダウンリンク・サブフレームおよびアップリンク・サブフレームにおいて、使用される。さらに、複数回のランダム割当試行の後、VoIPバーストが、対応するサブフレームに適合できない場合、バーストを対応づけることができる、サブフレーム内の空き位置を探す検索アルゴリズムが使用されてもよい。これは、実システムにおいて干渉を低減する実用的な方法であり、それは基地局間通信を必要としない。しかし、一実施形態では、基地局間調整が使用される。
【0061】
図5は、本発明の原理に従う、2つの相互干渉するセクタ(例えば、セクタXおよびセクタY)のWIMAX時分割複信(TDD)ダウンリンク(DL)およびアップリンク(UL)サブフレームのトラフィック負荷の概要を表わす。OFDMAフレーム構造が、伸縮自在のMAPで示されている。ダウンリンク・トラフィック部分およびアップリンク・トラフィック部分は、説明することを目的にするのみであり、2つの干渉するセクタにおけるランダム・リソース割当および干渉低減を説明している。ダウンリンク・サブフレームおよびアップリンク・サブフレームの「トラフィック」領域上の有色の長方形は、VoIPバーストを表わし、それは、図3および図4の表中で示されるバースト長に従う。ダウンリンク・オーバー・ヘッド部分およびアップリンク・オーバーヘッド部分は、本発明の当業者に既知の従来のオーバーヘッドを含み、プリアンブル(preamble)、フレーム制御ヘッダ(FCH)、MAPメッセージ、ACK/NACKチャネル、サウンディング(sounding)、レンジング(ranging)およびチャネル品質表示チャネル(CQICH)を含んでもよい。
【0062】
VoIPバースト(例えば、HARQパケット再送信および新たなパケット送信)は、オーバーヘッド(WIMAXにおけるプリアンブル、FCHおよびMAPメッセージ)全部に割り当てた後に利用可能なリソースにおいてスケジュールされる。MAPオーバーヘッドは、ダウンリンク・マップ(DL−MAP)・オーバーヘッドおよびアップリンク・マップ(UL−MAP)・オーバーヘッドにより構成される。DL−MAPは、ダウンリンク上の、加入者局向けのバースト開始時間を定義する媒体アクセス制御(MAC)メッセージである。UL−MAPは、スケジューリング間隔に対する全アクセスを定義する情報セットに対応する。受信/送信遷移間隔(RTG)および送信/受信遷移間隔(TTG)も図示されている。
【0063】
各VoIPパケットは、送信側のMACに到着すると遅延バジェットを割り当てられ、その到着が遅延バジェット内で成功裏に確認できない場合、MACにより廃棄される。リソース割当アルゴリズムにより、MAPの広がり(the expansion of the MAP)および結果として各VoIPバーストをフレーム内にスケジューリングするトラフィック・リソースの可用性が小さくなることが説明される。この例は、802.16e規格で認められているように、SUB−MAPメッセージを使用することにより、MAPメッセージのサイズが制御されることを仮定している。MAPオーバーヘッド全体を低減するように異なるMCS方式を使用して、ユーザの異なるグループに制御MAPメッセージを送信することがこれらのメッセージにより可能になる。しかし、本発明の1つまたは複数の実施形態は、WIMAXのMAPメッセージなどの、オーバーヘッドメッセージ制御の種類に依存しないので、これは説明する目的のためであることに留意されたい。
【0064】
本発明の一実施形態では、ダウンリンクにおけるVoIPバーストは、広帯域無線チャネルの周波数ダイバシティを使用するために、(周波数において「高い」)周波数領域に対応づけられる。異なるフレーム間隔で発生するHARQ送信を通して、時間ダイバシティが本質的に発生することに留意されたい。
【0065】
さらに、同様の部分的負荷方式が、アップリンクにおいて使用でき、一実施形態では、移動端末は、基地局からのダウンリンク送信に比べ、はるかに低いレベルで動作するため、(時間領域に沿って広がっている)サブチャネルあたりの電力スペクトル密度を最大にするように、VoIPバーストは、まず時間領域に対応づけられる。
【0066】
別の実施形態では、OFDMAリソースへのVoIPバーストの対応づけは、さらに自由度が認められ得る。例えば、異なる実施形態では、ダウンリンクにおいて、最終的に、VoIPバーストが、まず時間領域にさらに対応づけられ得、次に周波数領域に対応づけられ得、アップリンク方向についてはその逆である。
【0067】
図6は、干渉の影響を最小にするために、OFDMAに基づくアクセス・システム上でVoIPサービスを提供し、かつVoIPパケットへの無線リソースの効率的割当を可能にするための、無線リソース割当方法を詳述する一例のフローチャートである。方法600は、利用されるOFDMAリソースの数を最少にしながら、無線チャネル上のパケット送信の成功の確率を最大にするように、使用されるMCSを動的に選択できるレート選択を含む。開示されるリソース割当の方法の実施形態は、リアルタイム・トラフィック通信を処理する、無線に基づくOFDMAシステムのスペクトル効率およびVoIP容量を増加させることを目指す。
【0068】
動作610で、方法が開始する。
【0069】
動作620で、1つまたは複数のボイス・オーバー・インターネット・プロトコル(VoIP)パケットが単一のバンドルされるパケットに割り当てられる。一実施形態では、VoIPパケットを単一のバンドルされるパケットに割り当てることは、基地局から移動機器へのダウンリンクにおける送信のために、複数のVoIPパケットを単一のバンドルされるパケットに割り当てることを含む。したがって、説明される方法は、基地局、アクセス・ポイントまたは無線通信システムの他の同様のネットワーク要素で行なうことができる。一実施形態では、VoIPパケットを単一のバンドルされるパケットに割り当てることは、移動機器から基地局へのアップリンクにおける送信のために、1つのVoIPパケットを単一のバンドルされるパケットに割り当てることを含む。したがって、説明される方法は、移動機器、ユーザ装置、移動局または無線通信システムの他の同様のネットワーク要素で行なうことができる。1つのパケットを1つのバンドルされるパケットにバンドルすることは、本明細書の他の箇所では、バンドリングしないことを意味することがある。アップリンクおよびダウンリンクの両方の状況において、VoIPパケットを単一のバンドルされるパケットに割り当てることは、リアルタイム・トラフィック通信に関連づけられるリンクの少なくとも1つの無線チャネルの状況に合わせて、単一のバンドルされるパケットに割り当てられるVoIPパケットの個数を変更することをさらに含んでもよい。バンドルされるVoIPパケットの個数は、時々変更してもよい。例えば、1つのバンドルに割り当てられる、本方法は、VoIPパケットごとに、バンドルされるパケットに蓄積する次のパケットの望ましい個数を決定してもよい。移動機器が観測し得る無線チャネル状況の品質の最良点を利用し、かつユーザおよびパケットの日和見主義的スケジューリングを可能にするために、パケット・バンドリングは、動的に、移動局(MS)ごとに、ダウンリンクおよびアップリンクの両方で、またはダウンリンクもしくはアップリンクのいずれかで行なわれてよい。
【0070】
動作630で、変調および符号化方法(MCS)のセットの中の第1のMCSが選択される。第1のMCSは、リアルタイム・トラフィック通信に関連づけられるリンクへの干渉の、1つまたは複数の悪影響に対処しながら、バンドルされるパケットを可能な限り最少量の物理的なOFDMAリソースに対応づけ得る、MCSのセットの中の1つである。可能な限り最少量の物理的なOFDMAリソースは、OFDMAフレームまたはOFDMAサブフレーム内の少なくとも1つの時間シンボルおよび少なくとも1つのサブキャリアを含む。一実施形態では、方法は、可能な限り最少量の物理的なOFDMAリソースにバンドルされるパケットを対応づけるために、さらにバンドルされるパケットの通信が成功する確率を最大にする、MCSのセットのサブセットの中のMCSを第1のMCSとして選択する。一実施形態では、方法は、VoIPパケット符号化の後のほぼ同じサイズのバーストを生成する、MCSのセットのサブセットの中で最もロバストなMCS方式を第1のMCSとして選択する。
【0071】
動作640で、バンドルされるパケットは、選択された第1のMCSに基づいて、可能な限りの最少量の物理的なOFDMAリソースに対応づけられる。対応づけは、1つまたは複数のダウンリンクOFDMAサブフレームおよびアップリンクOFDMAサブフレームの時間および周波数の全体にわたって、VoIPバーストの割当をランダムに行なうことを含んでもよい。これは、結果として生じる干渉を低減するだけでなく、平均化するために、行なわれる。対応づけは、使用可能なOFDMAフレームまたはOFDMAサブフレームのスロット内で、バンドルされるパケットを最大数適合させることを意味する、部分的負荷の厳密な制御を用いてさらに行なわれてよい。
【0072】
一実施形態では、対応づけは、OFDMAフレームまたはOFDMAサブフレーム内でVoIPバーストを適合させるために、複数回のランダム割当の試行を行なうことを含む。別の実施形態では、対応づけは、VoIPバーストが適合し得るOFDMAフレームまたはOFDMAサブフレーム内で、1つまたは複数の適切な位置を見つけるための検索アルゴリズムを使用することを含んでもよい。対応づけは、複数回のランダム割当の試行では、VoIPバーストの割当の生成が成功しない場合、VoIPバーストが適合し得るOFDMAフレームまたはOFDMAサブフレーム内で、1つまたは複数の適切な位置を見つけるための検索アルゴリズムを使用することをさらに含んでもよい。対応づけは、基地局間調整で行なわれてもよい。言いかえれば、物理的なOFDMAリソースにバンドルされるパケットの対応づけは、基地局間調整を用いて、または基地局間調整を用いないで行なわれてもよい。
【0073】
一実施形態では、対応づけは、ダウンリンクのために周波数ダイバシティの利用を優先しながら、行なわれてもよい。すなわち、VoIPバースト、例えばダウンリンクOFDMAサブフレーム内のVoIPバーストは、周波数ダイバシティを利用するために、(周波数において「高い」)周波数領域に対応づけられる。別の実施形態では、対応づけは、アップリンクのために時間領域の利用を優先しながら、行なわれてもよい。すなわち、VoIPバースト、例えば、アップリンクにおけるVoIPバーストが、時間領域にまず対応づけられる。信号送信の範囲を縮小するような送信機の送信電力の低減を避けるために、時間領域が優先される。別の実施形態では、バンドルされるパケットは可能な限り最少量の物理的なOFDMAリソースに対応づけられ、一方VoIPバーストは時間領域にまず対応づけられ、次に周波数領域に対応づけられるか、または逆順に対応づけられる。
【0074】
動作650で、バンドルされるパケットは、選択された第1のMCSを用いて、対応づけられた、可能な限り最少量の物理的なOFDMAリソースを介して送信される。したがって、バンドルされるパケットは、OFDMAリソースの最少個数を使用し、決められた最大確率で通信を成功させながら、無線チャネルで送信される。
【0075】
動作660で、方法は終了する。方法は、パケットごとに実現されてもよい。
【0076】
本発明の原理に従う実施形態は、次の利点の1つまたは複数を提供し得る。
【0077】
〇パケット送信/再送信処理中に使用される必要のあるOFDMAリソース数を最少にしながら、パケット送信が成功する確率を最大にするMCS選択機構を通して、拡大される、OFDMAに基づく無線アクセス・システムのVoIP容量。
【0078】
〇パケット送信を成功裏に行なうために必要な、最少の無線リソース使用を通して、干渉を低減すること。
【0079】
〇時間/周波数リソース全体にわたる、VoIPバーストのランダム割当を通した、干渉の平均化。
【0080】
〇低減されるシグナリング:基地局間での干渉レベルの明示的な交換の必要がないこと。
【0081】
〇MSが観測し得る無線チャネル状況の品質の最良点を利用し、かつユーザおよびパケットの日和見主義的スケジューリングを可能にするための、1つの移動局(MS)ごとであり、ダウンリンクおよびアップリンクの両方で、またはダウンリンクもしくはアップリンクのいずれかで行なわれる、動的パケット・バンドリング。
【0082】
図7は、本明細書で説明される機能を行なう時の使用に適したコンピュータのハイレベル・ブロック図を示す。コンピュータ700は、プロセッサ702(例えば、中央処理装置(CPU)または他の適切なプロセッサ)およびメモリ704(例えば、ランダム・アクセス・メモリ(RAM)、読み出し専用メモリ(ROM)など)を含む。コンピュータ700は、協調(cooperating)モジュール/プロセス705をさらに含んでもよい。本明細書で論じたような機能を実装するため、協調プロセス705がメモリ704にロードされ、プロセッサ702により実行され得る。したがって、協調プロセス705(関連づけられるデータ構造を含む)は、コンピュータ可読記憶媒体、例えば、RAMメモリ、磁気ドライブまたは光学ドライブまたはディスケット(diskette)などに格納され得る。
【0083】
コンピュータ700は、1つまたは複数の入力/出力装置706(例えば、(キーボード、キーパッド、マウスなどの)ユーザ入力装置、(ディスプレイ、スピーカなどの)ユーザ出力装置、入力ポート、出力ポート、受信機、送信機、1つまたは複数の記憶装置(例えば、テープ・ドライブ(tape drive)、フロッピー・ドライブ(floppy drive)、ハードディスク・ドライブ(hard disk drive)、コンパクト・ディスク・ドライブ(compact disk drive)など)など、ならびに、これらの様々な組合せ)をさらに備えてもよい。
【0084】
図7に示すコンピュータ700は、本明細書で説明される機能要素または本明細書で説明される機能要素の一部を実装するために適した、全体的アーキテクチャおよび機能性を提供することが認識されよう。例えば、コンピュータ700は、無線通信ネットワークの一部を提供するのに適した、移動機器、基地局、無線アクセス・ポイント、ネットワーク要素などの1つまたは複数を実装するのに適した全体的アーキテクチャおよび機能性を提供する。
【0085】
当業者は、様々な上記方法のステップが、プログラムされたコンピュータにより行なうことができることを容易に理解するであろう。本明細書で、いくつかの実施形態は、プログラム記憶デバイス、例えば、ディジタル・データ記憶媒体を含むことを意図し、このデバイスは、マシンまたはコンピュータで読み出し可能であり、マシンが実行可能なまたはコンピュータが実行可能な、命令のプログラムを符号化し、上記命令は、本明細書で説明する、方法の1つまたは複数の、一部または全部のステップを行なう。プログラム記憶デバイスは、非一時的媒体、例えば、ディジタル・メモリ、磁気ディスクもしくは磁気テープなどの磁気記憶媒体、ハード・ドライブ、または光学的可読ディジタル・データ記憶媒体であってもよい。1つまたは複数の実施形態では、信号を除く有形の媒体が、実行される時に、説明される方法の1つまたは複数を行なうように動作可能である、命令のセットを含んでもよい。提供される実施形態は、本明細書で説明される方法の上記ステップを行なうようにプログラムされたコンピュータで具体化されることをさらに意図する。
【0086】
利点、他の優位点および問題の解決策が、本発明の特定の実施形態に関連して以上で説明された。しかし、この利点、優位点、問題の解決策、および、そのような利点、優位点もしくは解決策をもたらし得るもしくは結果として生じ得る、またはそのような利点、優位点、問題の解決策をより明確にし得る、任意の要素が、請求項のいずれかまたは全ての、重要な、必要とされる、または本質的な特徴または要素として、解釈されるべきではない。
【0087】
本明細書および添付の請求項で使用されるように、用語「含む(comprises)」、「含んでいる(comprising)」またはこれらの他の変形のいずれも、要素のリストを含むプロセス、方法、製品、または装置が、そのリスト内のそれらの要素を含むのみならず、リストに明示的には入っていない、またはそのようなプロセス、方法、製品、または装置に固有である、他の要素を含んでもよいというような、非排他的に含むことを意味するものである。用語「1つの(a)」、または「1つの(an)」は、本明細書で使用されるように、1つまたは1つ以上として定義される。用語「複数(plurality)」は、本明細書で使用されるように、2つまたは2つ以上として定義される。用語「別の(another)」は、本明細書で使用されるように、少なくとも第2以上として定義される。本明細書で別段の指示がない限り、第1の(first)と第2の(second)、上部(top)と下部(bottom)などの、関係を示す何らかの用語は、単に、1つの実体または動作をもう1つの実体または動作と、このような実体間または動作間の実際のそのような関係または順序をいずれも必ずしも必要とせずまたは含意せずに、区別するために使用される。
【0088】
上記説明は、802.16e規格(WiMAX)に基づく例を伴っているが、本発明の原理は、例えば、第3世代パートナーシップ・プロジェクト3GPPおよび3GPP2により提案され、開発されているような、他のOFDMAベースの通信システムのいずれにも適用する。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7