特許第6243039号(P6243039)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6243039自動車の誤走行の確実性を検査する方法および制御検出装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6243039
(24)【登録日】2017年11月17日
(45)【発行日】2017年12月6日
(54)【発明の名称】自動車の誤走行の確実性を検査する方法および制御検出装置
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/16 20060101AFI20171127BHJP
【FI】
   G08G1/16 C
【請求項の数】9
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-539488(P2016-539488)
(86)(22)【出願日】2014年9月1日
(65)【公表番号】特表2016-530642(P2016-530642A)
(43)【公表日】2016年9月29日
(86)【国際出願番号】EP2014068463
(87)【国際公開番号】WO2015032705
(87)【国際公開日】20150312
【審査請求日】2016年3月2日
(31)【優先権主張番号】102013217833.6
(32)【優先日】2013年9月6日
(33)【優先権主張国】DE
(31)【優先権主張番号】102013223398.1
(32)【優先日】2013年11月15日
(33)【優先権主張国】DE
(31)【優先権主張番号】102014208622.1
(32)【優先日】2014年5月8日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】390023711
【氏名又は名称】ローベルト ボツシユ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】クリスティアン イェシュケ
【審査官】 田中 純一
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−208386(JP,A)
【文献】 特開2009−140008(JP,A)
【文献】 特開2010−210435(JP,A)
【文献】 特開2011−146040(JP,A)
【文献】 特開2009−122744(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0136545(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00 − 99/00
G01C 21/00 − 21/36
G01C 23/00 − 25/00
G09B 23/00 − 29/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
片側走行路(2)へ進入するときの自動車(11)の誤走行の確実性を検査する方法であって、
前記片側走行路(2)とは、対向車線から構造的に分離している車道であり、
前記誤走行とは、前記自動車(11)が対向車道上に位置して、前記片側走行路(2)にて定められた走行方向とは逆方向に走行することであり、
前記自動車(11)の実走行路(9)の少なくとも1つのカーブ情報を取得するステップと、
走行が許容されている車道(10)の少なくとも1つのカーブ情報を特定するステップと、
前記取得されたカーブ情報と前記特定されたカーブ情報との偏差を求めるステップと、
偏差が存在する場合、または、偏差の限界値を超える場合、誤走行が確実なものであると判断するステップと
を有することを特徴とする方法。
【請求項2】
前記カーブ情報は、カーブ(4,5)の半径、方向および/または形状を含む、
請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記取得するステップを行うため、前記自動車(11)の少なくとも1つのセンサ(12)を使用する、
請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
前記特定するステップを行うため、まず最初に、走行が許容されている車道(10)を特定してから、その後に、当該走行が許容されている車道(10)の少なくとも1つのカーブ情報を特定する、
請求項1からまでのいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
前記自動車(11)のナビゲーションシステム(13)を用いて、前記走行が許容されている車道(10)のカーブ情報を特定する、
請求項1からまでのいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
片側走行路(2)への進入部(3)の領域において、前記方法を作動させる、
請求項1からまでのいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
前記特定するステップ(130)、前記求めるステップ(140)および/または前記確実なものであると判断するステップ(150)を、前記自動車(11)の外部の装置(16)において実施する、
請求項1からまでのいずれか1項記載の方法。
【請求項8】
片側走行路(2)へ進入するときの自動車(11)の誤走行の確実性を検査する制御検出装置であって、
前記片側走行路(2)とは、対向車線から構造的に分離している車道であり、
前記誤走行とは、前記自動車(11)が対向車道上に位置して、前記片側走行路(2)にて定められた走行方向とは逆方向に走行することであり、
前記自動車(11)の実走行路(9)の少なくとも1つのカーブ情報を取得する手段(12)と、
走行が許容されている車道(10)の少なくとも1つのカーブ情報を特定する手段(13,14)と、
前記取得されたカーブ情報と前記特定されたカーブ情報との偏差を求める手段(14)と、
偏差が存在する場合、または、偏差の限界値を超える場合、誤走行が確実なものであると判断する手段(14)と
を有することを特徴とする制御検出装置。
【請求項9】
前記取得する手段(12)は、少なくとも1つの画像センサおよび/または少なくとも1つの慣性力センサを有する、
請求項記載の制御検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、片側走行路へ進入するときの自動車の誤走行の確実性を検査する方法および制御検出装置に関する。
【0002】
従来技術
誤走行運転者はゴーストドライバとも称され、事故時に死者、負傷者および甚大な物的損害を引き起こす原因となる。ここで「誤走行」とは、片側走行路にて定められた走行方向とは逆方向に走行することをいう。「片側走行路」とは、対向車線から構造的に分離している車道である。片側走行路は自動車道または高速道路上に、たとえば整備された国道等において見られるものである。誤走行は前進走行と後退走行とに分けることができ、前進走行は、誤進入または誤方向転換によって始まるものである。
【0003】
誤走行の大半は、国道自動車道のジャンクションにおいて生じる。まさに自動車道上におけるこの誤走行のときに、事故が発生すると、その走行速度が速く衝突速度も速いことにより、死亡事故となる頻度が高くなる。
【0004】
ナビゲーション機器による誤走行の識別は、常に高信頼性で実現できるとは限らない。というのも、道路分類や道路方向等のナビゲーション機器の情報通知は、大半の誤走行発生時には遅すぎるからである。すなわち、車両はこの時点で既に、車線上において走行方向とは逆方向になっているからである。
【0005】
最新の自動車は、セーフティシステムやコンフォートシステムを実現するため、たとえば加速度センサ、ヨーレートセンサ等の慣性力センサと、車両状態を特定するための操舵角とを使用する。さらに現在では、たとえば自動車のナビゲーションシステムまたは位置検出用等の内蔵GPSモジュールを備えた自動車が数多く存在する。同様に複数の異なる情報を、たとえば標識の標示の認識結果を処理して出力するビデオセンサ系を備えた自動車が既に現在、および将来的にますます増加してきている。
【0006】
発明の開示
片側走行路へ進入するときの自動車の誤走行の確実性を検査する本発明の方法は、基本的に以下のステップを有する:
自動車の実走行路の少なくとも1つのカーブ情報を取得するステップ
走行が許容されている車道の少なくとも1つのカーブ情報を特定するステップ
前記取得されたカーブ情報と前記特定されたカーブ情報との偏差を求めるステップ
偏差が存在する場合、または、偏差の限界値を超える場合、誤走行が確実なものであると判断するステップ。
【0007】
本発明の方法によって作用連鎖の検出が可能となり、これにより確実性検査を、すなわち誤走行の検出または判別の構成要素または備えとしての検査または事前検査を実現できるという顕著な利点が奏される。本発明の方法を既に誤走行の検出とみなして使用することも可能である。周辺データの取得、走行経路または走行ルートおよび/または操舵意図の予測結果を取得することにより、確実性を向上することができ、これにより、本方法の信頼性およびロバスト性を実現させることができる。このことによって本発明は、意図されない誤走行を確実に判断することができ、全般的な交通安全性を向上させることができる。
【0008】
本発明の方法は、進入路においてまたはジャンクション内において自動車または自動車運転者の誤走行挙動を対象として検討するものである。というのも、大抵の誤走行は進入路またはジャンクションにおいて発生するからである。このことにより、道路自体に進入する前に既に、本発明により誤走行の確実性検査および/または検出を行えるという利点が奏される。
【0009】
前記カーブ情報は好適には、道路のカーブないしは方向変化に基づくか、または、道路への進入部もしくは道路からの離脱部に基づく。これは、運転者による車両の方向変化との差分であり、当該方向変化はたとえば、同一道路上における車線変更とすることも可能である。このことにより、車線変更等の通常の運転操縦が誤走行の確実性検査に際しての検討対象では無くなるので、本方法のロバスト性を向上させることができる。
【0010】
走行が許容されている車道は、道路交通規則等の交通規則を遵守する、自動車の走行経路またはルートとすることができる。かかる走行経路はたとえば、ナビゲーションモジュールによって予測することができ、または、確率的なものとして捉えることができる。換言すると、走行が許容されている車道とは、正しく走行するために車両がとるべき経路である。
【0011】
本方法の各ステップ全てを自動車内において処理すること、または、中央サーバ等の外部ユニットにおいて処理すること、または、これら両システム上に分散させて並列処理することが可能である。各ステップの実施は、上述の順序に拘束されることはない。
【0012】
特に有利な実施形態では、前記カーブ情報はカーブの半径、方向および/または形状を含む。各個々の情報は、単独で、または組み合わせで、実経路すなわち実際に走行した経路またはカーブと、目標経路すなわち算出されたまたは最も可能性の高い走行経路との偏差を求めるまたは算出する基礎として使用することができる。このようにして、当該偏差を迅速かつ確実に求めることができる。前記方向としては、絶対的な走行方向を、たとえば方位として、または、たとえば操舵角を介した相対的な走行方向を用いることができる。前記半径は、純粋な曲率情報の他に、湾曲方向についての情報も既に含むことが可能である。たとえば、右カーブの半径の符号を正とし、それに対して左半径の符号を負とすることができる。カーブの形状はたとえば、複数の(部分)半径と、直線とから構成することができる。たとえば、カーブ情報、または、ジャンクションの経路区間についての情報は、可能なまたは正しい経路すなわち規則に則った経路のシグネチャとすることができる。
【0013】
自動車が対向車道上に位置するか否かを検出することができる。この比較的迅速に検出できる基準は、確実性検査のために更に使用することができ、または、確実性検査の開始基準として使用することができる。いずれの態様でも、本方法の確実性および信頼性を向上させることができる。上記基準は、たとえばビデオセンサ系等であるセンサ系を用いて、またはナビゲーション機器もしくはナビゲーションモジュールを用いて検出することができる。
【0014】
本発明の1つの有利な実施形態では、前記取得を行うために、自動車の少なくとも1つのセンサを使用する。大抵の自動車は複数の異なるセンサを組み込んでいるので、これらの異なるセンサまたはその各信号を本方法に容易に用いることができる。この信号は直接的または間接的に、たとえば処理して、もしくは、導出パラメータもしくは導出値を求める基礎として使用することができる。前記センサとしてはたとえば、カメラまたはビデオカメラを含む画像センサ、レーダセンサ、加速度センサ、車輪センサ、舵角センサ、GPS機器もしくはナビゲーション機器を用いることができ、または、これらのもしくは他のデータを処理する計算ユニットまたはコントロールユニットを用いることができる。特に好適なのは、2種類のセンサを用いること、たとえばナビゲーションモジュールとビデオセンサ系とを用いることである。というのも、両種類が互いに補完し合うからである。このことにより、本方法の確実性およびロバスト性が向上する。
【0015】
走行が許容されている車道のカーブ情報を特定するためには、まず最初に走行が許容されている車道を特定してから、その後に、当該走行が許容されている車道の許容された少なくとも1つのカーブ情報を特定することができる。このように分割することにより、各部分タスクにそれぞれ最も適したそれぞれ異なるユニットを用いることができる。たとえば、走行が許容されている車道をナビゲーションモジュール等によって特定または取得し、カーブ情報を車両のセンサによって特定または取得することができる。前記センサは好適には、実走行路を検出するためのセンサである。
【0016】
好適には、上記特定を行うために、自動車のナビゲーションシステムを使用する。ナビゲーションシステムを装備した自動車は既に数多く存在するので、その能力を、特に地図素材を利用することができる。既に、高精度の地図素材の提供量はますます多くなっており、たとえば、センチメータ領域の精度の地図素材が多く提供されてきている。特に、自動車の比較的近傍の周辺領域に対応した、ないしは、自動車前方の領域に対応した、より高精度のたとえばビデオカメラまたはステレオビデオカメラ等のセンサを併用すると、本方法のロバスト性および信頼性を向上させることができ、これにより、車両および乗員の安全性を向上させることができる。
【0017】
また、本方法を片側走行路への進入部の領域において作動させることも可能である。このことにより、正常走行時の誤警報を抑圧することができ、このことによって確実性と、ユーザの受入れやすさとを向上させることができる。
【0018】
さらに、上述の求めるステップ、特定ステップおよび/または確実なものであることを判断するステップを、自動車外部の装置において行うことも可能である。代替システムまたはバックアップシステムとして、たとえば自動車製造者等のサーバなどの外部装置を用いることができる。また、本方法を外部装置内だけで実行させることも可能である。このことはたとえば、必要なセンサ系、地図素材またはその一部を自動車が有さない場合に当てはまる。外部装置とサーバとの通信は、移動無線通信路を介して確立することができる。
【0019】
本発明では、片側走行路へ進入するときの自動車の誤走行の確実性を検査する制御検出装置を開示し、当該制御検出装置は以下の手段を有する:
自動車の実走行路の少なくとも1つのカーブ情報を取得する手段
走行が許容されている車道の少なくとも1つのカーブ情報を特定する手段
前記取得されたカーブ情報と前記特定されたカーブ情報との偏差を求める手段
偏差が存在する場合、または、偏差の限界値を超える場合、誤走行が確実なものであると判断する手段。
上述の利点および改良形態は、当該制御検出装置にも当てはまる。
【0020】
前記特定する手段、前記求める手段および前記確実なものであると判断する手段は、コントローラ、コントロールユニットもしくは適切な計算ユニットおよび/またはナビゲーションシステムを含むことができる。
【0021】
前記制御検出装置ないしは前記取得する手段は、たとえば画像センサ等のセンサを有することができる。静止画像用のカメラまたは映像シーケンス用のビデオカメラ等の画像センサは、たとえば方向または傾斜等の路面特性を良好に認識することができるので、本方法のしっかりした基礎を提供することができる。
【0022】
さらに、前記自動車ないしは前記制御検出装置は、少なくとも1つの慣性力センサも有することができる。たとえば、慣性力センサを併用して、具体的には加速度センサおよび/または回転速度センサを併用して、画像センサの結果を調整することができる。このことにより、信頼性と自動車およびその乗員の安全性とを向上させることができる。
【0023】
本発明の有利な実施形態は従属請求項に記載されており、これについて本明細書にて説明する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】片側走行路のジャンクションの概略図である。
図2】ジャンクションの高精度の地図情報の概略図である。
図3】制御検出装置を備えた自動車の概略図である。
図4】自動車の誤走行の確実性を検査する方法のフローチャートである。
【0025】
図面と、下記の記載とに基づいて、本発明の実施例を詳細に説明する。
【0026】
本発明の実施形態
図1に、構造的に互いに分離された2つの片側走行路2を有する道路または自動車道1と、ジャンクション3とを示す。ジャンクション3は進入ランプ4と離脱ランプ5とを有する。進入ランプ4または進入路は、共用車道6から自動車道1の片側走行路2へ進入するためのものであるのに対し、離脱ランプ5または離脱路は片側走行路2から出ていくためのものである。
【0027】
誤走行する車両または誤走行運転者11が第1位置7および第2位置8にあるのが示されている。第1位置7において、車両11は未だ車道6上に位置しており、このことは、誤走行のスタンバイまたは既に誤走行とみなすことができる。位置8において、車両11は既に、進入ランプ4から構造的に分離された離脱ランプ5内へ向かって曲がっている。これをもって、自動車11は既に片側走行路内に入ってしまっており、よって誤走行状態となっている。
【0028】
「車両」または「自動車」との用語は、ここでは、駆動されるすべての交通手段を指しており、たとえば乗用自動車、貨物自動車、バス、自動二輪車等を指す。
【0029】
車両11の現在位置と、たとえば速度、操舵角または加速度等の他のパラメータとに基づき、車両11の実走行路または軌道9が表されている。「実走行路」との用語はここでは、車両11の現在位置ならびに/もしくは現在の状態、現時点まで走行した経路区間、および/または、近い将来に走行すると予測される区間を含むことができる。将来走行する区間はたとえば、センサの検出範囲によって、単位mの固定値、たとえば0mから50mまでの間、有利には0mから20mまでの間の固定値によって、または、速度に依存する値、たとえば静止状態になるまでの制動距離等によって定義することができる。
【0030】
図2に、図1の自動車道ジャンクション3またはこれに類するジャンクションを表現する、ナビゲーションモジュールの高精度の地図情報の一部分の例を示す。ここでは、片側走行路2、進入路4および離脱路5が示されている。進入ランプ4には、走行が許容されている、または走行している可能性の最も高い車道10が重畳されて示されている。この走行している可能性の最も高い車道10は、ナビゲーション機器またはナビゲーションモジュールが算出した経路である。この算出は、正しい区間ルートすなわち道路交通規則(StVO)によって許された区間ルートに基づく。このことは、ジャンクション3の領域では具体的には、ナビゲーションシステムが進入ランプ4上の車道を選択する、ということになる。
【0031】
図3に、片側走行路2へ進入するときの自動車11の誤走行の確実性を検査する制御検出装置を備えた自動車11を概略的に示す。この自動車は、たとえば図1の誤走行運転者11に相当する。このことに対応して、自動車11についての実走行路9を示しており、かつ、走行が許容されている車道10を破線で示している。自動車11ないしは制御検出装置は、少なくとも1つのセンサ12を備えており、このセンサ12は、本実施例では一例として、多数のセンサを代表して示されている。センサ12はたとえば、画像センサ、レーダセンサ、加速度センサ、車輪センサ、舵角センサ、GPS機器またはこれに類するものとすることができる。自動車11ないしは制御検出装置はさらに、ナビゲーション機器13およびコントローラ14を含む。コントローラ14はセンサ12およびナビゲーション機器13と通信接続されており、これは有線または無線とすることができる。さらに前記コントローラは、たとえば中央サーバ等の外部装置16と通信するために構成された通信インタフェース15にも接続されている。
【0032】
センサ12、ナビゲーション機器13、コントローラ14および通信インタフェース15は、同図中に示されているように各独立したユニットとすることができ、または、1つまたは複数のユニットに統合することができる。特に、どの構成要素もハードウェアとする必要はなく、また、各機能をソフトウェアルーティンまたはプログラムとして実現することも可能である。
【0033】
上述の通信インタフェース15を用いて、自動車11ないしは制御検出装置へ、地図データ等の情報を、および/または、外部装置16のプログラムへのアクセス等の機能を提供することができる。
【0034】
以下、図4図1から図3までとを併せて参照して、自動車11の誤走行の確実性を検査する方法を説明する。
【0035】
第1のオプションのステップ100において、自動車11がジャンクション3の領域に位置するか否かを検査する。この「領域」との用語は、ジャンクション3そのものの直接的な領域と、ジャンクション3への接近路またはジャンクション3の近傍周辺部との双方を含む。
【0036】
自動車11がジャンクション3の領域に位置する場合、ステップ110において、自動車11が誤って対向車道上に存在するか否かを検査または検出する。このことは、図1中の第1位置7において示されている。この検出はたとえば、第1位置7等のように1回のみ行うこととすることができ、または、本方法の実施中に繰り返し行うことができる。
【0037】
次のステップ120において、自動車11の実走行路9の少なくとも1つのカーブ情報を取得する。この取得は、第1位置7において既に開始することができるが、遅くとも、第2位置8の領域においてまたは第2位置8において開始することも可能である。この取得は、自動車11のセンサ系12および/またはナビゲーションシステム13に基づいて行われる。前述の態様に代えて択一的に、または前述の態様と併用して、たとえばGPS送受信器等の外部システムを用いて実走行路9のカーブ情報を得ることも可能である。実走行路9は、現時点までの走行経路についての記憶された情報と、現時点の車両位置の現在の状態データと、予測データとから構成することができ、当該予測データはたとえば、道路の形状等の将来の経路についてのセンサ12の予測データ等であり、当該道路の形状は特に、たとえばビデオセンサの視野内における道路のカーブである。
【0038】
本実施例ではカーブ情報は、自動車11より前方にある、離脱ランプ5の領域についての画像情報および/またはビデオ情報を含み、当該画像情報および/またはビデオ情報は特に、カーブ方向やカーブ曲率半径等の走行路形状の情報である。この情報は、他のセンサ情報によって更に補足または確実性検査することができ、この他のセンサ情報はたとえば、慣性力センサシステムまたはナビゲーションシステム13のセンサ情報等である。
【0039】
次のステップ130において、正しい車道または走行が許容されている車道上の、自動車が走行できる車道10であってナビゲーションシステム13において走行している可能性のもっとも高い車道10を求める。前記正しい車道すなわち走行が許容されている車道は、ここでは具体的には進入ランプ4である。走行経路をナビゲーションシステム13によって求めることについては、図2に示されている。正しい車道とは、車両11が交通規則に違反することなく走行できる車道である。次に、同じステップにおいて、上述の走行が許容されている車道の少なくとも1つのカーブ情報を求める。このカーブ情報はたとえば、走行が許容されている車道について既に記憶しておくことができ、または、当該カーブ情報を外挿または算出することができる。また、走行が許容されている車道を求めなくても済むように、特定の道路または特定の道路種類または特定のジャンクションについて、許容されたカーブ情報をそのまま直接記憶しておくことも可能である。
【0040】
次のステップ140において、取得されたカーブ情報すなわち実走行路9のカーブ情報と、走行が許容されている車道10のカーブ情報との偏差を求める。走行が許容されている車道10の情報は、ナビゲーションシステム13の地図情報にそのまま直接記憶しておくことができ、または、走行が許容されている車道10から当該カーブ情報を算出することも可能である。その際にはこの算出は、ナビゲーションシステム13またはコントローラ14のいずれかによって行うことができる。「カーブ情報」および「カーブ半径」との用語は、カーブ全体の半径または形状と、カーブ全体のうち特定の一部区間の半径または形状との双方を含み得る。前記偏差は、差分として、または、たとえば目標値−実際値比較結果として求めることができる。
【0041】
ステップ150において、ステップ140の偏差が存在する場合、または、偏差の限界値に違反する場合、誤走行が確実なものであると判断する。上記にて説明したように、たとえば半径、傾斜および/または方向等の複数のカーブ情報を取得して処理することができる。これに応じて、上述のすべての各カーブ情報またはいずれか複数のカーブ情報について複数の偏差を求め、これを確実性検査のために検討することもできる。その際には、すべての偏差に基づいて、1つの偏差に基づいて、または複数の偏差に基づいて、確実性を検査することができる。たとえばシステムにある程度の慣性または許容誤差を持たせることを可能にするために設けることができる偏差の限界値についても、同様のことが当てはまる。このことはたとえば、走行が許容されている、または走行している可能性の最も高い車道からの小さい偏差または短時間の偏差を許容するのに役立ち得る。
【0042】
確実性検査、すなわち情報の評価または検査によって、その結果の信頼性が高いと判断される場合、又は、その特定の一部の信頼性が高いと判断される場合、次のステップ160において、誤走行が検出されたとすることができる。
【0043】
その後、次のステップ170において、上記検出結果に対する対応を行うことができる。かかる対応は、たとえば自動車11の運転者への警報または警告指示等のパッシブアクションを含むことができ、また、たとえば自動車11の動きおよび/または操舵への介入等のアクティブアクションを含むことも可能である。
図1
図2
図3
図4