(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6243048
(24)【登録日】2017年11月17日
(45)【発行日】2017年12月6日
(54)【発明の名称】温度依存型増幅器バイアス
(51)【国際特許分類】
H03F 1/30 20060101AFI20171127BHJP
H03F 3/19 20060101ALI20171127BHJP
【FI】
H03F1/30 A
H03F3/19
【請求項の数】19
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2016-546967(P2016-546967)
(86)(22)【出願日】2015年1月8日
(65)【公表番号】特表2017-503435(P2017-503435A)
(43)【公表日】2017年1月26日
(86)【国際出願番号】US2015010644
(87)【国際公開番号】WO2015108755
(87)【国際公開日】20150723
【審査請求日】2016年11月15日
(31)【優先権主張番号】14/158,318
(32)【優先日】2014年1月17日
(33)【優先権主張国】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】595020643
【氏名又は名称】クゥアルコム・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】QUALCOMM INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100109830
【弁理士】
【氏名又は名称】福原 淑弘
(74)【代理人】
【識別番号】100158805
【弁理士】
【氏名又は名称】井関 守三
(74)【代理人】
【識別番号】100112807
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 貴志
(72)【発明者】
【氏名】パク、ジュンドン
(72)【発明者】
【氏名】ワン、チェン−ハン
(72)【発明者】
【氏名】キム、ホン・スン
(72)【発明者】
【氏名】バヒド・ファー、モハンマド・バグヘー
【審査官】
▲高▼橋 義昭
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許出願公開第2009/0054004(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2007/0200628(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2010/0007424(US,A1)
【文献】
特開2010−166312(JP,A)
【文献】
特開2010−152566(JP,A)
【文献】
特開2003−224430(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03F 1/30
H03F 3/19
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置であって、
複数の電流寄与段を含む第1のバイアス回路と、前記第1のバイアス回路は、第1の調整可能なスロープに従って温度に伴い変動する第1の電流を生成するように構成され、
第2のスロープに従って温度に伴い変動する第2の電流を生成するように構成された第2のバイアス回路と、
前記第1のバイアス回路の出力に応答するトランスコンダクタンス段を含む低ノイズ増幅器と、
前記低ノイズ増幅器の出力に結合されており、前記第2のバイアス回路の出力に応答する負荷と
を備える装置。
【請求項2】
前記負荷は、能動回路と、少なくとも1つの受動回路素子とを備える選択的ブースト回路を備える、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記第2のバイアス回路は、前記第2のバイアス回路の第2の出力ノードに結合された複数の電流寄与段を備える、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記第1のバイアス回路の前記電流寄与段の各々は、
前記第1のバイアス回路の第1の出力ノードに結合されており、絶対温度比例(PTAT)電流を前記第1の出力ノードに供給するように構成された第1のトランジスタと、
前記第1の出力ノードに結合されており、前記第1の出力ノードからバンドギャップ電流を供給するように構成された第2のトランジスタと、
前記第1のトランジスタ及び前記第2のトランジスタを選択的にアクティブ化するイネーブル回路と
を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記第1の調整可能なスロープは、前記低ノイズ増幅器の第1の温度に基づき、前記第2のスロープは、前記負荷の第2の温度に基づき、前記第2のスロープは、前記第2の温度が第1の温度領域内にあるとき負であり、前記第2のスロープは、前記第2の温度が第2の温度領域内にあるとき正である、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記第1の温度領域は、前記第2の温度領域よりも低い、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記トランスコンダクタンス段は、前記第1の電流に応答するトランジスタを備える、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記第1のバイアス回路は、
絶対温度比例(PTAT)電流を生成するように動作可能なPTAT電流源と、
バンドギャップ電流を生成するように動作可能なバンドギャップ電流源と、
第1の段選択コードに応答する第1の複数のトランジスタと、ここにおいて、前記第1の複数のトランジスタは、前記第1の段選択コードに基づいて前記PTAT電流の大きさを調整するように動作可能であり、
第2の段選択コードに応答する第2の複数のトランジスタと、ここにおいて、前記第2の複数のトランジスタは、前記第2の段選択コードに基づいて前記バンドギャップ電流の大きさを調整するように動作可能である、
を備える、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記第1の複数のトランジスタは、PTAT電流バイナリデジタル/アナログ変換器(DAC)に対応し、前記第2の複数のトランジスタは、バンドギャップ電流バイナリDACに対応する、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記第1の調整可能なスロープは、基準スロープを有する、絶対温度比例(PTAT)基準電流に基づき、前記基準スロープに対する前記第1の調整可能なスロープの比は1よりも大きい、請求項1に記載の装置。
【請求項11】
前記第1の調整可能なスロープは、前記第2のスロープよりも大きい、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記第1のバイアス回路は、前記第1の電流を生成するために第1の入力に基づいて前記複数の電流寄与段のうちの1つ以上をイネーブルにするように構成される、請求項1に記載の装置。
【請求項13】
前記第2のバイアス回路は、前記第2の電流を生成するために第2の入力に基づいて前記第2のバイアス回路の複数の電流寄与段のうちの1つ以上をイネーブルにするように構成される、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
装置であって、
第1のスロープに従って温度に伴い変動する第1の電流を使用して低ノイズ増幅器にバイアスをかけるための手段と、
第2のスロープに従って温度に伴い変動する第2の電流を使用して前記低ノイズ増幅器の負荷にバイアスをかけるための手段と
を備え、前記第1のスロープは、第1のデジタルコードに基づいて調整可能であり、前記第2のスロープは、第2のデジタルコードに基づいて調整可能である、装置。
【請求項15】
前記第1のスロープは、絶対温度比例(PTAT)基準電流及びバンドギャップ基準電流の第1の関数として決定され、前記第2のスロープは、前記PTAT基準電流及び前記バンドギャップ基準電流の第2の関数として決定される、請求項14に記載の装置。
【請求項16】
前記第1のスロープは、区分的に線形であり、前記第2のスロープは、区分的に線形であり、前記第2のスロープは、前記負荷の温度が第1の温度領域内にあるとき負であり、前記第2のスロープは、前記負荷の前記温度が第2の温度領域内にあるとき正である、請求項14に記載の装置。
【請求項17】
前記負荷は、選択的ブースト回路を備える、請求項14に記載の装置。
【請求項18】
第1のスロープに従って温度に伴い変動する第1の電流を使用して第1のデバイスにバイアスをかけることと、
前記第1のデバイスの出力に結合された第2のデバイスにバイアスをかけることと、前記第2のデバイスは、第2のスロープに従って温度に伴い変動する電流を使用してバイアスがかけられ、前記第1のスロープ又は前記第2のスロープのうちの少なくとも1つは調整可能であり、
第1のデジタルコードを受け、前記第1のデジタルコードに基づいて前記第1のスロープを制御することと、
第2のデジタルコードを受け、前記第2のデジタルコードに基づいて前記第2のスロープを制御することと
を備える方法。
【請求項19】
前記第1のデジタルコードに基づいて前記第1のスロープを制御することは、前記第1のデジタルコードの値に従って第1のバイアス回路内の第1の数の電流寄与段を選択的にイネーブルにすることを含み、前記第2のデジタルコードに基づいて前記第2のスロープを制御することは、前記第2のデジタルコードの値に従って第2のバイアス回路内の第2の数の電流寄与段を選択的にイネーブルにすることを含む、請求項18に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【0001】
[0001] 本願は、2014年1月17日に出願された、共同所有される米国特許非仮出願第14/158318号の優先権を主張し、その内容は、その全文が参照により本明細書に明確に組み込まれる。
【技術分野】
【0002】
[0002] 本開示は一般に、利得変動を低減することに関する。
【背景技術】
【0003】
[0003] 技術の進歩は、より小型で、よりパワフルなコンピューティングデバイスをもたらした。例えば、現在、小型で、軽量で、かつユーザが持ち運び易いポータブルワイヤレス電話、携帯情報端末(PDA)、及びページングデバイスのようなワイヤレスコンピューティングデバイスを含む様々なポータブルパーソナルコンピューティングデバイスが存在している。より具体的には、セルラ電話及びインターネットプロトコル(IP)電話のようなポータブルワイヤレス電話は、ワイヤレスネットワークを通して音声及びデータパケットを通信することができる。更に、多くのこのようなワイヤレス電話は、その中に組み込まれている他のタイプのデバイスを含む。例えば、ワイヤレス電話は、デジタルスチールカメラ、デジタルビデオカメラ、デジタルレコーダ、及びオーディオファイルプレーヤも含み得る。また、このようなワイヤレス電話は、インターネットにアクセスするために使用されることができるウェブブラウザアプリケーションのようなソフトウェアアプリケーションを含む実行可能な命令を処理することができる。このように、これらのワイヤレス電話は、重要な(significant)計算機能を含み得る。
【0004】
[0004] ワイヤレス電話は、受信機において信号を受信し得る。受信機は、アンテナから受けた信号を増幅するための低ノイズ増幅器(LNA)を含み得る。LNAの利得及び/又はLNAのノイズ指数は、温度の変化に伴い変動し得る。利得及びノイズ指数の変動は、高感度受信機において望ましくない。この変動を低減するために、絶対温度比例(PTAT:proportional-to-absolute temperature)基準電流がLNAに供給され得る。温度に対するPTAT基準電流のスロープは、PTAT基準電流を生成するために使用される2つのダイオードのサイズ比に関連付けられ得る。しかしながら、PTAT基準電流の最適なスロープは、算出するのが難しい可能性があり、LNAの設計段階の完了まで決定可能ではないだろう。追加的に、PTAT基準電流をLNAに供給しても、低温における受信機の不安定性を防ぐことはないだろう。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【
図1】[0005]
図1は、ワイヤレスシステムと通信するワイヤレスデバイスを示す。
【
図2】[0006]
図2は、
図1におけるワイヤレスデバイスのブロック図を示す。
【
図3】[0007]
図3は、低ノイズ増幅器の利得変動及び/又はノイズ指数変動を低減するように動作可能な回路の例示的な実例となる実施形態である。
【
図4】[0008]
図4は、スロープ調整可能な、絶対温度比例(PTAT)電流を生成するように動作可能なバイアス回路の例示的な実例となる実施形態である。
【
図5】[0009]
図5は、区分的に線形なスロープを有する基準電流を生成するように構成された電流源の例示的な実施形態を描写する。
【
図6】[0010]
図6は、固定スロープPTAT基準電流及びマルチスロープPTAT基準電流についてのノイズ指数利得を描写するチャートを例示する。
【
図7】[0011]
図7は、低ノイズ増幅器の利得変動及び/又はノイズ指数変動を低減するための方法の例示的な実施形態を例示するフローチャートである。
【0006】
[0012] 以下に示される詳細な説明は、本開示の例示的な設計の説明として想定されており、本開示が実施され得る唯一の設計を表すことは想定されていない。「例示的」という用語は、本明細書では、「実例、事例、又は例示としての役割を果たす」という意味で使用される。「例示的」として本明細書で説明される任意の設計は、必ずしも、他の設計よりも好ましい又は有利であると解釈されるべきではない。詳細な説明は、本開示の例示的な設計の完全な理解を提供するために特定の詳細を含む。本明細書で説明される例示的な設計がこれらの特定の詳細なしに実施され得ることは、当業者には明らかであろう。いくつかの事例では、周知の構造及びデバイスが、本明細書に提示される例示的な設計の新規性を曖昧にしないために、ブロック図の形式で示される。
【0007】
[0013]
図1は、ワイヤレス通信システム120と通信するワイヤレスデバイス110を示す。ワイヤレス通信システム120は、ロングタームエボリューション(LTE(登録商標))システム、符号分割多元接続(CDMA)システム、モバイル通信のためのグローバルシステム(GSM(登録商標))システム、ワイヤレスローカルエリアネットワーク(WLAN)システム、又は何らかの他のワイヤレスシステムであり得る。CDMAシステムは、広帯域CDMA(WCDMA(登録商標))、CDMA 1X、進化型データ最適化(EVDO)、時分割同期CDMA(TD−SCDMA)、又はCDMAの何らかの他のバージョンを実装し得る。簡潔さのために、
図1は、2つの基地局130及び132並びに1つのシステムコントローラ140を含むワイヤレス通信システム120を示す。一般に、ワイヤレスシステムは、任意の数の基地局及び任意のセットのネットワークエンティティを含み得る。
【0008】
[0014] ワイヤレスデバイス110は、ユーザ機器(UE)、モバイル局、端末、アクセス端末、加入者ユニット、局、等とも呼ばれ得る。ワイヤレスデバイス110は、セルラ電話、スマートフォン、タブレット、ワイヤレスモデム、携帯情報端末(PDA)、ハンドヘルドデバイス、ラップトップコンピュータ、スマートブック、ネットブック、コードレス電話、ワイヤレスローカルループ(WLL)局、ブルートゥース(登録商標)デバイス、等であり得る。ワイヤレスデバイス110は、ワイヤレス通信システム120と通信し得る。ワイヤレスデバイス110はまた、ブロードキャスト局(例えば、ブロードキャスト局134)からの信号、1つ又は複数のグローバルナビゲーション衛星システム(GNSS)における衛星(例えば、衛星150)からの信号、等を受信し得る。ワイヤレスデバイス110は、LTE、WCDMA、CDMA 1X、EVDO、TD−SCDMA、GSM、802.11、等のワイヤレス通信のための1つ又は複数のワイヤレス技術をサポートし得る。
【0009】
[0015]
図2は、
図1のワイヤレスデバイス110の例示的な設計のブロック図を示す。この例示的な設計では、ワイヤレスデバイス110は、一次アンテナ210に結合されたトランシーバ220、二次アンテナ212に結合されたトランシーバ222、及びデータプロセッサ/コントローラ280を含む。トランシーバ220は、複数の周波数帯域、複数の無線技術、キャリアアリグレーション、等をサポートするために、複数(K個)の受信機230pa〜230pk及び複数(K個)の送信機250pa〜250pkを含む。トランシーバ222は、複数の周波数帯域、複数の無線技術、キャリアアリグレーション、受信ダイバーシティ、複数の送信アンテナから複数の受信アンテナへの多入力多出力(MIMO)送信、等をサポートするために複数(L個)の受信機230sa〜230sl及び複数(L個)の送信機250sa〜250slを含む。
【0010】
[0016]
図2に示される例示的な設計では、各受信機230は、LNA240及び受信回路242を含む。データ受信の場合、アンテナ210は、基地局及び/又は他の送信機局から信号を受信し、受信RF信号を供給し、それは、アンテナインターフェース回路224を通じてルーティングされ、選択された受信機に入力RF信号として提示される。アンテナインターフェース回路224は、スイッチ、デュプレクサ、送信フィルタ、受信フィルタ、整合回路、等を含み得る。以下の説明では、受信機230paが、選択された受信機であると想定する。受信機230pa内で、LNA240paは、入力RF信号を増幅し、出力RF信号を供給する。受信回路242paは、この出力RF信号をRFからベースバンドにダウンコンバートし、ダウンコンバートされた信号を増幅およびフィルタリングし、アナログ入力信号をデータプロセッサ280に供給する。受信回路242paは、ミキサ、フィルタ、増幅器、整合回路、発振器、局部発振器(LO)生成器、位相ロックドループ(PLL)、等を含み得る。トランシーバ220及び222内の残りの受信機230は各々、受信機230paと類似した方法で動作し得る。
【0011】
[0017]
図2に示される例示的な設計では、各送信機250は、送信回路252及び電力増幅器(PA)254を含む。データ送信の場合、データプロセッサ280は、送信される対象のデータを処理し(例えば、符号化及び変調し)、選択された送信機にアナログ出力信号を供給する。以下の説明では、送信機250paが、選択された送信機であると想定する。送信機250pa内で、送信回路252paは、アナログ出力信号を増幅し、フィルタリングし、ベースバンドからRFにアップコンバートし、変調RF信号を供給する。送信回路252paは、増幅器、フィルタ、ミキサ、整合回路、発振器、LO生成器、PLL、等を含み得る。PA254paは、変調RF信号を受け、増幅し、適切な出力電力レベルを有する送信RF信号を供給する。送信RF信号は、アンテナインターフェース回路224を通じてルーティングされ、アンテナ210を介して送信される。トランシーバ220及び222内の残りの送信機250は各々、送信機250paと類似した方法で動作し得る。
【0012】
[0018]
図2は、受信機230及び送信機250の例示的な設計を示す。受信機及び送信機はまた、フィルタ、整合回路、等のような、
図2に示されていない他の回路を含み得る。トランシーバ220及び222の全体又は一部は、1つ又は複数のアナログ集積回路(IC)、RF IC(RFIC)、混合信号IC、等の上に実装され得る。例えば、LNA240及び受信回路242は、RFIC、等であり得る1つのモジュール上に実装され得る。トランシーバ220及び222の回路は、他の方法でも実装され得る。
【0013】
[0019] データプロセッサ/コントローラ280は、ワイヤレスデバイス110のための様々な機能を行い得る。例えば、データプロセッサ280は、受信機230を介して受信されるデータ及び送信機250を介して送信されるデータのための処理を行い得る。コントローラ280は、トランシーバ220及び222内の様々な回路の動作を制御し得る。メモリ282は、データプロセッサ/コントローラ280のためのデータ及びプログラムコードを記憶し得る。データプロセッサ/コントローラ280は、1つ又は複数の特定用途向け集積回路(ASIC)及び/又はその他のIC上に実装され得る。
【0014】
[0020] ワイヤレスデバイス110は、複数の帯域グループ、複数の無線技術、及び/又は複数のアンテナをサポートし得る。ワイヤレスデバイス110は、複数の帯域グループ、複数の無線技術、及び/又は複数のアンテナを介した受信をサポートするために多数のLNAを含み得る。
【0015】
[0021]
図3を参照すると、低ノイズ増幅器(LNA)の利得変動及び/又はノイズ指数変動を低減するように動作可能な回路300の例示的な実例となる実施形態が示されている。回路300は、
図1−2のワイヤレスデバイス110に含まれ得る。回路300は、第1のデバイス302、第2のデバイス304、第1のバイアス回路306、及び第2のバイアス回路308を含む。第1のデバイス302は、トランスコンダクタンス(g
m)段を有するLNAに対応し得、第2のデバイス304は、選択的ブースト回路(selectivity boosting circuit)を有する負荷回路に対応し得る。選択的ブースト回路は、能動回路と、少なくとも1つの受動回路素子とを含み得る。例示的な実施形態では、第1のデバイス302は、
図2のLNA240pa、240pk、240sa、240slのうちの少なくとも1つに対応し得る。他の例示的な実施形態では、第1のデバイス302は、電力増幅器、無線周波数(RF)電力増幅器、差動電力増幅器、差動LNA、又は、差動RF電力増幅器に対応し得る。
【0016】
[0022] 第1のデバイス302(例えば、LNA)及び第2のデバイス304(例えば、選択的ブースト回路を含む負荷回路)は、受信機の前段(front-end stage)に含まれ得、差動信号を生成するために入力信号(例えば、無線周波数(RF)信号)を増幅するように構成され得る。差動信号は、処理のために、受信機の後段(later stage)に供給され得る。
【0017】
[0023] 第1のデバイス302は、第1のトランジスタ382及びLC回路(例えば、キャパシタ386に並列に結合されたインダクタ384)を含む。第1のトランジスタ382は、NMOSトランジスタであり得る。第1のトランジスタ382のゲートは、抵抗器を介して第1のバイアス回路306に結合され得、第1のトランジスタ382のソースは、LC回路の第1の端子351に結合され得、第1のトランジスタ382のドレインは、接地に結合され得る。
【0018】
[0024] 第1のトランジスタ382は、第1のデバイス302のトランスコンダクタンス(g
m)段に対応し得る。トランスコンダクタンス段における利得は、第1のトランジスタ382のトランスコンダクタンスと、第1のトランジスタ382の抵抗(例えば、負荷抵抗)との積に比例し得る。第1のトランジスタ382のトランスコンダクタンス(従って、利得)は、温度に基づいて変動し得る。以下で説明されるように、第1のバイアス回路306は、温度変化によって引き起こされる利得変動を低減するために、第1のトランジスタ382を介して第1の電流310をミラー化し得る。
【0019】
[0025] LC回路は、ターゲット周波数において高インピーダンス及び高利得を達成するように調整され得る。単一のインダクタ384及び単一のキャパシタ386がLC回路として描写されているが、他の例示的な実施形態では、複数のキャパシタ及び複数のインダクタがLC回路に含まれ得る。
【0020】
[0026] 第2のデバイス304は、負の抵抗を生成するために、LC回路と並列に結合され得る。例えば、第2のデバイス304は、能動回路(例えば、第2のトランジスタ390及び第3のトランジスタ392)及び少なくとも1つの受動回路素子(例えば、トランジスタ390、392のゲートに結合された一対の抵抗器)を含む選択的ブースト回路を備える負荷回路であり得る。第2のトランジスタ390及び第3のトランジスタ392は、接地に結合されたソースを有するNMOSトランジスタであり得る。第2のトランジスタ390のドレインは、第2のデバイス304の第1の出力352に結合され得、第3のトランジスタ392のドレインは、第2のデバイス304の第2の出力354に結合され得る。第2のトランジスタ390のゲートは、キャパシタを介して第3のトランジスタ392のドレインに結合され得、第3のトランジスタ392のゲートは、キャパシタを介して第1のトランジスタ390のドレインに結合され得る。故に、第2のトランジスタ390及び第3のトランジスタ392は、一対の交差結合トランジスタで有り得る。第1の出力352は、処理のために、受信機の後段に第1の差動信号を供給し得、第2の出力354は、処理のために、受信機の後段に第2の差動信号を供給し得る。
【0021】
[0027] 第2のデバイス304は、インピーダンス及び/又は利得を低減するLC回路における抵抗損失を補償するために負の抵抗を生じさせ得る(例えば、抵抗トンネリングダイオードと類似した方法で動作する構成要素、これによって、この構成要素にわたる電圧は、この構成要素を通って流れる電流が増加するにつれ減少する)。抵抗損失は、第1のトランジスタ382におけるソースからドレインまでの抵抗損失、インダクタ384における抵抗損失、キャパシタ386における抵抗損失、又はそれらの任意の組み合わせによって引き起こされ得る。第2のデバイス304は、これら抵抗損失を補償するために、負のトランスコンダクタンス段を使用して調整可能な負のトランスコンダクタンスを生じさせるによって、第1のデバイス302の利得をブーストし得る(例えば、負の利得ブースト)。
【0022】
[0028] 負のトランスコンダクタンス段(例えば、交差結合トランジスタ390、392)における利得は、トランジスタ390、392のトランスコンダクタンスと、トランジスタ390、392の抵抗(例えば、負荷抵抗)との積にほぼ比例し得る。トランジスタ390、392のトランスコンダクタンス(従って、利得)は、温度に基づいて変動し得る。以下で説明されるように、第2のバイアス回路308は、温度変化によって引き起こされる利得変動を低減するために、(抵抗器を介して)トランジスタ390、392のゲートに第2の電流312を供給し得る。
【0023】
[0029] 第1のデバイス302(例えば、LNA)の利得及び第2のデバイス304(例えば、負荷回路)の利得は、受信機の利得全体に寄与し得る。例えば、受信機の利得を其々第1の量だけ又は第2の量だけ修正するために、(例えば、受信機の設計段階中に)第1のデバイス302及び/又は第2のデバイス304の1つ又は複数の回路素子が選択され得る。追加的に、第1のデバイス302のノイズ指数及び第2のデバイス304のノイズ指数は、受信機のノイズ指数全体に寄与し得る。デバイス302、304からの利得及びノイズ指数への寄与は、温度依存型であり得る。故に、利得及びノイズ指数は、温度の関数として変動し得る。
【0024】
[0030] 第1のバイアス回路306は、第1のトランジスタ382によって引き起こされる温度依存型利得変動及び/又は温度依存型ノイズ指数変動を少なくとも部分的に補償するために、第1のトランジスタ382(例えば、トランスコンダクタンス段)に結合され得る。第1のバイアス回路306は、第1の電流源314、第2の電流源316、第3の電流源318、及び第4のトランジスタ340を含み得る。第1の電流源314は、PTAT基準電流(I
PTAT0)に基づいて第1のソース電流を生成するように構成された電流生成器であり得る。例えば、第1の電流源314は、PTAT基準電流(I
PTAT0)に乗算係数Mを乗じた大きさを有する第1のソース電流を生成するように構成され得る。
【0025】
[0031] 第2の電流源316は、第1の段選択コードに応答して、PTAT基準電流(I
PTAT0)に基づいて第2のソース電流を生成する可変電流生成器であり得る。例えば、第2の電流源316は、PTAT基準電流(I
PTAT0)に乗算係数N
0を乗じた大きさを有する第2のソース電流を生成するように構成され得る。第3の電流源318は、第1の段選択コードに応答して、
バンドギャップ基準電流(I
BG0)に基づいて第1のシンク電流を生成する可変電流生成器であり得る。例えば、第3の電流源318は、
バンドギャップ基準電流(I
BG0)に乗算係数N
0を乗じた大きさを有する第1のシンク電流を生成するように構成され得る。3つの異なる(distinct)電流源314−318として説明及び例示されているが、第1のバイアス回路306は、
図4に関連して更に説明されるように、電流ミラー及びデジタル/アナログ変換器(DAC)タイプの構成を使用して実装され得る。
【0026】
[0032] 第1の電流310は、第1のソース電流と第2のソース電流の和から第1のシンク電流を差し引いたものにほぼ等しいだろう。第1のバイアス回路306は、第1のトランジスタ382を介してミラー化されるように、第1の電流310(例えば、バイアス電流)を、第4のトランジスタ340を通して供給するように構成され得、これは、LNAの主要のトランスコンダクタンスデバイスである。又は、第4のトランジスタ340及び第1のトランジスタ382は、特定の電流レベルをLNAの主要のデバイスに供給する電流ミラー回路に含まれ得る。第1の電流310は、スロープ調整可能PTAT電流であり得る。本明細書で使用される場合、スロープ調整可能PTAT電流は、動的に調整可能なスロープ(例えば、温度の変化に対する電流の大きさの変化)を有するPTAT電流を指す。
【0027】
[0033] 第1のバイアス回路306は、第1の段選択コードに基づいて、第1の電流310へのPTAT基準電流(I
PTAT0)及び
バンドギャップ基準電流(I
BG0)の寄与を調整することによって、第1の電流310のスロープを調整するように構成され得る。例えば、第1のバイアス回路306は、第1の段選択コードに基づいて、第2の電流源316及び第3の電流源318に関連付けられた乗算係数N
0を設定し得る。第1の段選択コードは、
図4に関連して更に説明されるように、第1のバイアス回路306内のイネーブルされた電流寄与段の数を示すデジタルコードであり得る。例示的な実施形態では、第1の電流310のスロープは、線形(又は、略線形)であり得る。別の例示的な実施形態では、第1の電流310のスロープは、
図5に関連して更に説明されるように、非線形(例えば、区分的に線形)であり得る。
【0028】
[0034] 第2のバイアス回路308は、第2のデバイス304によって引き起こされる温度依存型利得変動及び/又は温度依存型ノイズ指数変動を少なくとも部分的に補償するために、第2のデバイス304(例えば、交差結合トランジスタ390、392)に結合され得る。第2のバイアス回路308は、第4の電流源320、第5の電流源322、第6の電流源324、及び第5のトランジスタ344を含み得る。第4の電流源320は、PTAT基準電流(I
PTAT0)に基づいて第3のソース電流を生成するように構成された電流生成器であり得る。例えば、第4の電流源320は、PTAT基準電流(I
PTAT0)に乗算係数Mを乗じた大きさを有する第3のソース電流を生成するように構成され得る。例示的な実施形態では、第1の電流源314に関連付けられた乗算係数Mは、第4の電流源320に関連付けられた乗算係数Mと同じであり得る。別の例示的な実施形態では、第1の電流源314に関連付けられた乗算係数Mは、第4の電流源320に関連付けられた乗算係数Mと異なり得る。
【0029】
[0035] 第5の電流源322は、第2の段選択コードに応答して、PTAT基準電流(I
PTAT0)に基づいて第4のソース電流を生成する可変電流生成器であり得る。例えば、第5の電流源322は、PTAT基準電流(I
PTAT0)に乗算係数N
1を乗じた大きさを有する第4のソース電流を生成するように構成され得る。第6の電流源324は、第2の段選択コードに応答して、
バンドギャップ基準電流(I
BG0)に基づいて第2のシンク電流を生成する可変電流生成器であり得る。例えば、第6の電流源324は、
バンドギャップ基準電流(I
BG0)に乗算係数N
1を乗じた大きさを有する第2のシンク電流を生成するように構成され得る。3つの異なる電流源320−324として説明及び例示されているが、第2のバイアス回路308は、
図4に関連して更に説明されるように、電流ミラー及びDACタイプの構成を使用して実装され得る。
【0030】
[0036] 第2の電流312は、第3のソース電流と第4のソース電流の和から第2のシンク電流を差し引いたものにほぼ等しいだろう。第2のバイアス回路308は、第2のデバイス304においてミラー化されるように、第2の電流312(例えば、バイアス電流)を、第2のバイアス回路308の第5のトランジスタ344を通して供給するように構成され得る。例えば、第2の電流312の一部分は、第5のトランジスタ344及び第2のトランジスタ390を介してミラー化され得、第2の電流312の略等しい一部分は、第5のトランジスタ324及び第3のトランジスタ392を介してミラー化され得る。第2の電流312は、動的に調整可能なスロープ調整可能PTAT電流であり得る。
【0031】
[0037] 第2のバイアス回路308は、第2の段選択コードに基づいて、第2の電流312へのPTAT基準電流(I
PTAT0)及び
バンドギャップ基準電流(I
BG0)の寄与を調整することによって、第2の電流312のスロープを調整するように構成され得る。例えば、第2のバイアス回路308は、第2の段選択コードに基づいて、第5の電流源322及び第6の電流源324に関連付けられた乗算係数N
1を設定し得る。第2の段選択コードは、
図4に関連して更に説明されるように、第2のバイアス回路308内のイネーブルされた電流寄与段の数を示すデジタルコードであり得る。例示的な実施形態では、第2の電流312のスロープは、線形(又は、略線形)であり得る。別の例示的な実施形態では、第2の電流312のスロープは、
図5に関連して更に説明されるように、非線形(例えば、区分的に線形)であり得る。
【0032】
[0038] 段選択コードに基づいて第1の電流310及び第2の電流312のスロープを設定することによって、第1の電流310及び第2の電流312のスロープは、設計段階が完了した後に調整されることができる。段選択コードは、プロセッサ又は他の制御論理によって供給/選択され得、設計段階が完了した後に修正(例えば、変更)され得る。例えば、設計段階が完了した後(例えば、第1のデバイス302及び第2のデバイス304内の構成要素のような回路素子の値が選択された後、及び、回路素子が、対応するデバイス302、304内に配設された後)、第1の電流310の第1のスロープは、第1の段選択コードの値に基づいて修正(例えば、調整)され得、第2の電流312の第2のスロープは、第2の段選択コードの値に基づいて別個に修正され得る。
【0033】
[0039] 第1のデバイス302における温度変化によって引き起こされる利得変動及び/又はノイズ変動を低減するように第1の電流310の第1のスロープを設定するために、第1の段選択コードが選択され得る。例えば、第1のデバイス302の利得及びノイズ指数が、第1のスロープの初期値を使用して特定の温度範囲にわたって測定され得る。これら利得及びノイズ指数の測定値に基づいて、利得変動及び/又はノイズ変動を低減するために、第1のスロープについての第1のターゲット値が決定され得る。第1のスロープは、第1の段選択コードの選択を介して第1のターゲット値の近似値を求めるように設定され得る。
【0034】
[0040] 第2の段選択コードの選択は、第2のデバイス304に関して、類似した方法で進められ得る。例えば、第2のデバイス304の利得及びノイズ指数の測定値に基づいて、第2のデバイス304の利得変動及び/又はノイズ指数変動を低減するために、第2のターゲット値が決定され得る。第2の電流312の第2のスロープは、第2の段選択コードの選択を介して第2のターゲット値の近似値を求めるように設定され得る。本明細書で更に説明されるように、第1のスロープ及び第2のスロープを異なる値に設定することで、第1のデバイス302及び第2のデバイス304の異なる温度依存性が補償され得る。
【0035】
[0041] 電流310、312の大きさは、其々電流源314−318、320−324によって生成される電流の大きさに基づき得る。電流源314−324によって生成される電流が、PTAT基準電流(I
PTAT0)及び
バンドギャップ基準電流(I
BG0)に基づいているため、電流310、312(例えば、スロープ調整可能PTAT電流)の大きさは、PTAT基準電流(I
PTAT0)及び
バンドギャップ基準電流(I
BG0)の関数として決定され得る。上で説明したように、第1の電流源314及び第4の電流源320は其々、PTAT基準電流(I
PTAT0)に乗算係数Mを乗じた大きさを有する第1のソース電流及び第3のソース電流を生成するように構成される。故に、I
PTATと示される第1のソース電流及び第3のソース電流は、次のように表され得る:
I
PTAT=M×I
PTA (1)
【0036】
[0042] 上で説明したように、PTAT基準電流(I
PTAT0)は、温度依存型である。例えば、PTAT基準電流(I
PTAT0)の大きさは、定数(α)、及び、所与の温度(T)と特定の温度(T
0)(例えば、室内温度のような指定の温度)との差分に関係し得る。例示的な実施形態では、
バンドギャップ基準電流(I
BG0)は、
バンドギャップ基準電流(I
BG0)の大きさが、特定の温度(T
0)(例えば、室内温度)におけるPTAT基準電流(I
PTAT0)の大きさとほぼ等しくなるように決定され得る。PTAT基準電流(I
PTAT0)及び
バンドギャップ基準電流(I
BG0)が、特定の温度(T
0)において同じ大きさを有するように
バンドギャップ基準電流(I
BG0)を選択することで、PTAT基準電流(I
PTAT0)は、次のように表され得る:
I
PTAT0=α×(T−T
0)+I
BG0 式(2)
式1にPTAT基準電流(I
PTAT0)を代入すると、第1のソース電流及び第3のソース電流は次のように表される:
I
PTAT=M×α×(T−T
0)+M×I
BG0 式(3)
【0037】
[0043] 第1の電流310は、電流源314−318によって生成された電流に依存する。
図3に例示されるように、第1の電流源314及び第2の電流源316は電流をソースし、第3の電流源318は電流をシンクする。故に、I
kPTATと示される第1の電流310の大きさは、次のように表され得る:
I
kPTAT=M×I
PTAT0+N
0×I
PTAT0−N
0×I
BG0 式(4)
式4にPTAT基準電流(I
PTAT0)を代入すると、第1の電流310(I
kPTAT)は次のように表される:
I
kPTAT=(M+N
0)×α×(T−T
0)+M×I
BG0 式(5)
【0038】
[0044] 式5に基づいて、第1の電流310(I
kPTAT)のスロープ(例えば、温度の変化に対する電流の大きさの変化)は、(M+N
0)×α×(T−T
0)である。同様に、式3に基づいて、第1のソース電流(I
PTAT)のスロープは、M×α×(T−T
0)である。第1の電流310の第1のスロープの第1のスロープ比(例えば、第1のソース電流(I
PTAT)の「基準の」スロープに対する第1の電流(I
kPTAT)スロープの比)は、次のように表され得る:
【0040】
[0045] 式6を解くと、結果が1+N
0/Mという値を有する第1のスロープ比となる。式1−6は、第2の段選択コードに基づいて第2の乗算係数N
1を使用して、第2のバイアス回路308に同様に適用され得る。例えば、第2のバイアス回路308への式1−6の適用は、1+N
1/Mという値を有する第2のスロープ比をもたらす。
【0041】
[0046] 第1のスロープ比が第1の乗算係数N
0に依存し、第2のスロープ比が第2の乗算係数N
1に依存するため、第1のスロープ比は、第2のスロープ比から独立して設定され得る(例えば、電流310、312のスロープは、異なる値に基づいて設定され得る)。利得の変動及び/又はノイズ指数の変動を低減するために、第1の電流310の第1のスロープ及び第2の電流312の第2のスロープは、第1のスロープ比及び第2のスロープ比の各々が1よりも大きくなるように選択され得る。例示的な実施形態では、第1のスロープ比及び第2のスロープ比は、各々、第1の選択コード及び第2の選択コードを使用して特定の範囲内(例えば、約1.22から1.93の間)の値に設定される。特定の範囲内でこれらのスロープ比を設定することで、特定の温度範囲にわたる利得変動の低減及び/又はノイズ指数変動の低減を可能にし得る。例示的な実施形態では、第2の電流312の第2のスロープは、(第1のスロープ比よりも大きい第2のスロープ比によって示されるように)第1の電流310の第1のスロープよりも大きくなり得る。他の例示的な実施形態では、第1の電流310のスロープは、(第2のスロープ比よりも大きい第1のスロープ比によって示されるように)第2の電流312のスロープよりも大きくなり得る。
【0042】
[0047] 回路300の動作中、第1のバイアス回路306は、第1の電流310を第1のデバイス302に供給し得、第2のバイアス回路308は、第2の電流312を第2のデバイス304に供給し得る。電流310、312のスロープは、其々、第1の段選択コード及び第2の段選択コードに基づいて設定され得る。段選択コードの値は、利得変動及び/又はノイズ指数変動を低減するように選択され得る。電流310、312を受けることに基づいて、第1のデバイス302及び第2のデバイス304は、受けた入力信号を増幅して、出力端子352、354において差動信号を生成し得る。
【0043】
[0048] 第1の電流310及び第2の電流312のスロープが、独立した段選択コードを使用して調整されるため、第1のデバイス302の及び第2のデバイス304の異なる温度依存性は、利得変動及び/又はノイズ指数変動を低減するために、個別にかつ独立して補償され得る。更に、(設計段階中に決定されるような)予測値とは対照的に、(例えば、設計段階の後の)測定された値に基づいて第1の電流310及び第2の電流312のスロープを調整することで、利得変動及び/又はノイズ指数変動は、予測値とは対照的に、実際の値(例えば、測定された値)に基づいて低減し得る。非限定的な例として、其々1.44及び1.66というスロープ比を有する第1の電流310及び第2の電流312を生成することで、利得変動は、単一の固定スロープPTAT電流を生成することに関連付けられた2dBの低減と比べて、約6.5デシベル(dB)低減し得る。
【0044】
[0049] 別の例として、第1の電流310の第1のスロープは、低温において安定性を提供しつつ、高温においてノイズ指数の変動を低減するために、第2の電流312の第2のスロープよりも高い値に設定され得る。例えば、第2の電流312よりも大きいスロープを有する第1の電流310を供給することで、デバイス302、304は、低温においてデバイス302、304が不安定にならないように、電流消費を制限しつつ、ターゲット利得を満たすことができ得る。低減された利得変動及び/又は低減されたノイズ指数変動によって、デバイス302、304は、全地球測位システム(GPS)受信機のような、高感度受信機で使用されることができる。
【0045】
[0050]
図4を参照すると、スロープ調整可能PTAT電流を生成するように動作可能なバイアス回路400の例示的な実例となる実施形態が示されている。バイアス回路400は、
図3の第1のバイアス回路306又は
図3の第2のバイアス回路308に対応し得る。バイアス回路400は、電流寄与段406を使用してPTAT基準電流(I
PTAT0)及び
バンドギャップ基準電流(I
BG0)に基づいてスロープ調整可能PTAT電流408を生成するように構成され得る。スロープ調整可能PTAT電流408は、
図3の第1の電流310又は
図3の第2の電流312に対応し得る。
【0046】
[0051] バイアス回路400は、PTAT基準電流(I
PTAT0)を生成するように構成された第1の電流源402、
バンドギャップ基準電流(I
BG0)を生成するように構成された第2の電流源404、トランジスタ412−416、及び、電流寄与段406を含む。第1のトランジスタ412及び第2のトランジスタ414は、P型金属酸化膜半導体(PMOS)トランジスタであり得、電流ミラーとして動作するように構成され得る。第2のトランジスタ414は、第2のトランジスタ412を介してミラー化された電流が、PTAT基準電流(I
PTAT0)に第1の乗算係数Mを乗じた大きさを有するようにサイズ付けされ得る。故に、第2のトランジスタ414は、M×I
PTAT0の大きさを有するソース電流を、スロープ調整可能PTAT電流408に寄与し得る。
【0047】
[0052] 第1のトランジスタ412及び第3のトランジスタ416は各々、追加の電流ミラーとして動作するように、電流寄与段406における1つ又は複数の対応するトランジスタで構成され得る。追加の電流ミラーは、電流寄与段406によって供給される電流が、N×I
PTAT0−N
IBG0という大きさを有するように構成され得、ここで、Nは、第2の乗算係数であり得る(例えば、Nは、
図3のN
0又はN
1に対応し得る)。第2の乗算係数Nは、段選択コードに基づいて調整可能であり得る。第2のトランジスタ414及び電流寄与段406に基づいて、スロープ調整可能PTAT電流出力408の大きさは、M×I
PTAT0+N×I
PTAT0−N×I
BG0であり得る。
【0048】
[0053] 電流寄与段406は、段選択コードに基づいて第2の乗算係数Nを設定するように(例えば、スロープ調整可能PTAT電流408の大きさを設定するように)構成され得る。例示的な実施形態では、電流寄与段406は、デジタル/アナログ変換器(DAC)に対応する。例えば、電流寄与段406は、デジタル制御信号(例えば、段選択コード)に基づいてスロープ調整可能PTAT電流408の大きさを調整し得る。段選択コードは、
図3の第1の段選択コード又は
図3の第2の段選択コードに対応し得る。段選択コードは、n+1ビットを有し得、電流寄与段406は、n+1個の段を含み得、ここで、nは、0以上の整数である。電流寄与段406の各電流寄与段は、段選択コードの対応するビットに応答し得る。
【0049】
[0054] 実例となる第1の電流寄与段410は、複数のスイッチ、一対のトランジスタ418及び420、及び、段選択コードの第1のビット(例えば、code_0)を受けるように構成された入力を含み得る。第1の電流寄与段410は、code_0に応答して、第2の乗算係数Nを調整し得る。例えば、第1の電流寄与段410は、code_0の値に基づいてPTAT基準電流(I
PTAT0)及び
バンドギャップ基準電流(I
BG0)をミラー化することで、第2の乗算係数Nを調整し得る。例示的な実施形態では、第1のトランジスタ418は、PTAT電流バイナリDACに含まれ得る。例えば、第1の電流寄与段410の第1のトランジスタ418及び第1のトランジスタ412は、第1の電流寄与段410においてPTAT基準電流(I
PTAT0)をミラー化するために第1の電流ミラーとして機能するように構成され得る。例示的な実施形態では、第2のトランジスタ420は、
バンドギャップ電流バイナリDACに含まれ得る。例えば、第2の電流寄与段410の第2のトランジスタ420及び第3のトランジスタ416は、第1の電流寄与段410において
バンドギャップ基準電流(I
BG0)をミラー化するために第2の電流ミラーとして機能するように構成され得る。
【0050】
[0055] code_0がゼロの値を有するとき、複数のスイッチは、何れの電流もトランジスタ418、420によってミラー化されないようにトランジスタ418、420をディセーブルにし得る。code_0が1の値を有するとき、複数のスイッチは、PTAT基準電流(I
PTAT0)及び
バンドギャップ基準電流(I
BG0)が第1の電流寄与段410においてミラー化されるように、トランジスタ418、420をイネーブルにし得る。従って、code_0が1の値を有するとき、第1の電流寄与段410は、第2の乗算係数Nを増加させる。
【0051】
[0056] 電流寄与段406の各電流寄与段は、同様の回路構成要素を含み得、第2の乗算係数Nを調整(例えば、修正)するために、段選択コード(例えば、code_0〜code_n)の対応するビットに関連して、略類似した方法で動作し得る。第2の乗算係数Nを調整することは、電流408の大きさが、指定の温度(T
0)において同じに保たれる間、スロープ調整可能PTAT電流408のスロープ(例えば、温度に対する電流の大きさ)を調整し得る。
【0052】
[0057] 例示的な実施形態では、段選択コードは、2ビットのバイナリコード(例えば、code_1及びcode_0)であり得、2つの電流寄与段410、430は、段選択コードに応答し得る。この特定の実施形態では、スロープ調整可能PTAT電流408のスロープは、第1の電流寄与段410及び第2の電流寄与段430のうちどちらの電流寄与段がイネーブルにされるかに基づいて、4つの値のうちの1つに設定され得る。スロープ調整可能PTAT電流408のスロープは、段選択コードの値に基づいて、PTAT基準電流(I
PTAT0)の1.22から1.93倍に設定され得る。
【0053】
[0058] 例えば、スロープ調整可能PTAT電流408のスロープは、1つ又は複数の電流寄与段406のうちの何れの電流寄与段もイネーブルにされていないことにより段選択コードが「00」であるとき、PTAT基準電流(I
PTAT0)のスロープの1.12倍であり得る。この例では、スロープは、電流寄与段406からの寄与なく、トランジスタ412、414に基づいて、PTAT基準電流(I
PTAT0)のスロープの1.12倍であり得る。代替的に、スロープ調整可能PTAT電流408のスロープは、第1の電流寄与段410がイネーブルにされていることより段選択コードが「01」であるとき、PTAT基準電流(I
PTAT0)のスロープの1.39倍であり得る。この例では、第1の電流寄与段410は、スロープ調整可能PTAT電流408のスロープを、PTAT基準電流(I
PTAT0)のスロープの約0.27倍増加させ得る。
【0054】
[0059] 別の例として、スロープ調整可能PTAT電流408のスロープは、第2の電流寄与段430がイネーブルにされていることより段選択コードが「10」であるとき、PTAT基準電流(I
PTAT0)のスロープの1.66倍であり得る。スロープ調整可能PTAT電流408のスロープは、両方の電流寄与段410、430がイネーブルにされていることより段選択コードが「11」であるとき、PTAT基準電流(I
PTAT0)のスロープの1.93倍であり得る。他の例示的な実施形態では、段の数は2つよりも多い可能性があり、段選択コードは、2ビットよりも多い可能性が有り得る。従って、他の例示的な実施形態では、スロープ調整可能PTAT電流408のスロープは、段選択コードに基づいて他の値に設定され得る。
【0055】
[0060]
図5を参照すると、区分的に線形なスロープを有する基準電流を生成するように構成された電流源の2つの例示的な実施形態500、504が示されている。電流源500、504は、
図3に描写されている電流源のうちの1つ又は複数に対応し得る。第1の電流源500は、第1の基準電流520を出力するように構成され、第2の電流源504は、第2の基準電流506を出力するように構成される。第1の基準電流502又は第2の基準電流506は、
図3−4におけるPTAT基準電流(I
PTAT0)に対応し得る。
【0056】
[0061] 第1の電流源500は、第1の段520及び第2の段522を含む複数の電流寄与段を含む。第1の段520は、PTAT基準電流(I
PTAT0)を生成するように構成された第1の電流源540、第1の
バンドギャップ基準電流(I
BG1)を生成するように構成された第2の電流源542、スイッチ、及び、第1の段の電流530を供給するための電流ミラーとして構成された一対のトランジスタ(例えば、第1のトランジスタ560及び第2のトランジスタ562)を含む。第2のトランジスタ562は、可変幅トランジスタとして機能するように構成された1つ又は複数のトランジスタのセットであり得る。
【0057】
[0062] 例示的な実施形態では、
バンドギャップ基準電流(I
BG1)542は、
バンドギャップ基準電流(I
BG1)の大きさが、特定の温度(T1)においてPTAT基準電流(I
PTAT0)540の大きさとほぼ等しくなるように決定され得る。第1の段の電流530は、「整流された」電流であり得る。例えば、温度(T)がT1未満であるとき、トランジスタ560、562は、ダイオード接続されたトランジスタ560への負のバイアス電流(I
PTAT0−I
BG1)が、トランジスタ560によって整流された状態になるため電流をミラー化し得ない(例えば、第1の段の電流530はゼロのマグニチュード(magnitude of zero)を有する)。温度が第1の温度(T1)以上であるとき、第1の段の電流530の大きさは、PTAT基準電流(I
PTAT0)と第1の
バンドギャップ基準電流(I
BG1)との差分(例えば、I
PTAT0−I
BG1)にほぼ等しいだろう。スイッチは、スロープ選択値の対応するビットに応答して、第1の基準電流502の生成をイネーブル(又は、ディセーブル)にし得る。
【0058】
[0063] (T1)よりも大きい温度における第1の段の電流530は、線形のスロープ(例えば、温度の変化に対する電流の大きさの変化)を有し得る。第1の電流源500の他の段は、第1の段520と類似して、しかしながら、第1の温度(T1)とは異なる温度に関連してかつ異なる
バンドギャップ電流に関連して機能し得る。例えば、第2の段522の第2の段電流532の大きさは、温度が第2の温度(T2)未満のとき、ゼロである。第2の段の電流532の大きさは、温度が第2(T2)以上であるとき、PTAT基準電流(I
PTAT0)と第2の
バンドギャップ基準電流(I
BG2)との差分(例えば、I
PTAT0−I
BG2)にほぼ等しくなり得る。段の電流530、532は、第1の基準電流502を生成するために組み合わせられ得る。例えば、第1の基準電流502は、(第1の電流源500が2つよりも多くの段を含むとき)第1の段の電流530、第2の段の電流532、及び、他の段からの段の電流の組み合わせを含み得る。
【0059】
[0064] 第1の基準電流502は、非線形の(例えば、区分的に線形の)スロープを有し得る。例えば、第1の基準電流502のスロープが、第1のチャート510によって示される。第1のチャート510で例示されるように、第1の基準電流502は、第1の温度領域(例えば、第1の温度(T1)から第2の温度(T2))では第1のスロープ値を、第2の温度領域(例えば、第2の温度(T2)から第3の温度(T3))では第2のスロープ値を、第3の温度領域(例えば、第3の温度(T3)から第4の温度(T4))では第3のスロープ値を、第4の温度領域(例えば、第4の温度(T4)よりも上)では第4のスロープ値を有する。第1のスロープ値、第2のスロープ値、第3のスロープ値、及び第4のスロープ値は、異なる値であり得る。これらスロープ値の各々は、第1の電流源500の1つ又は複数の対応する段に関連付けられ得る。例えば、第1のスロープ値は、第1の段の電流530に基づき得、第2のスロープ値は、第1の段の電流530及び第2の段の電流532の組み合わせに基づき得る。2つの段だけが説明されているが、第1の電流源500は、任意の数の段(例えば、任意の数の
バンドギャップ基準電流)を含み得、第1の基準電流502のスロープは、任意の数の対応するスロープ値を有し得る。
【0060】
[0065] 第2の電流源504は、第2の基準電流506を生成するように構成され得る。例示的な実施形態では、第2の電流源504は、2つの電流寄与段(例えば、第1の段524及び第2の段526)及び、第2の基準電流506を特定の値に正常化するために使用され得る
バンドギャップ電流(I
BG)を出力するように構成された電流源を含み得る。第1の段524は、絶対温度相補(CTAT:complimentary-to-absolute)基準電流(I
CTAT0)を生成するように構成された第1の電流源544、第1の
バンドギャップ基準電流(I
BG1)を生成するように構成された第2の電流源546、スイッチ、及び、第1の段の電流534を供給するための電流ミラーとして構成された一対のトランジスタ564、566を含む。トランジスタ566は、可変幅トランジスタとして機能するように構成された1つ又は複数のトランジスタのセットであり得る。本明細書で使用される場合、CTAT基準電流は、相補的な(例えば、負の)温度依存性を有する基準電流を指す。例えば、CTAT基準電流の大きさの変化は、温度変化に対して比例し、この場合、CTAT基準電流の大きさの変化は、温度変化の異極性(opposite polarity)を有する。
【0061】
[0066] スイッチは、スロープ選択値の対応するビットに応答して、第2の基準電流506の生成をイネーブル(又は、ディセーブル)にし得る。第1の段の電流534は、「整流された」電流であり得る。例えば、温度が273度Kを超えるとき、トランジスタ564、566は、電流をミラー化し得ない(例えば、第1の段の電流534は、ゼロのマグニチュードを有する)。第2の電流源504の温度が273度K未満のとき、第1の段の出力電流534の大きさは、CTAT基準電流(I
CTAT0)と第1の
バンドギャップ基準電流(I
BG1)との差分(例えば、I
CTAT0−I
BG1)にほぼ等しくなり得る。第1の段の電流534は、温度が273度K未満のときに負の値を有する線形のスロープ(又は、略線形のスロープ)を有し得る。
【0062】
[0067] 第2の段526は、第1の段524と類似して、しかしながら、273度Kとは異なる温度に関連して及び異なる電流に関連して機能し得る。例えば、第2の段526は、温度が298度K未満のとき、ゼロの大きさを有する第2の段の電流536を生成し得る。第2の段の電流536の大きさは、温度が298度Kを超えるとき、PTAT基準電流(I
PTAT0)と第2の
バンドギャップ基準電流(I
BG2)と差分(例えば、I
PTAT0−I
BG2)にほぼ等しくなり得る。第1の段の電流534及び第2の段の出力電流536は、第2の基準電流506を生成するために組み合わせられ得る。
【0063】
[0068] 第2の基準電流506は、非線形の(例えば、区分的に線形の)スロープを有し得る。例えば、第2の基準電流506のスロープは、第2のチャート512によって示される。第2のチャート512で例示されているように、第2の基準電流506は、第1の温度領域(例えば、273度K未満)では第1のスロープ値を、第2の温度領域(例えば、273度Kから298度K)では第2のスロープ値を、第3の温度領域(例えば、298度Kよりも上)では第3のスロープ値を有する。故に、第1の温度領域は、第2の温度領域及び第3の温度領域よりも低くなり得る。例えば、第1の温度領域は、第2の温度領域及び第3の温度領域に関連付けられた温度よりも冷たい温度に対応し得る。第1のスロープ値は負のスロープ値であり得、第2のスロープ値はゼロ値であり得、第3のスロープ値は正のスロープ値であり得る。故に、第2の基準電流506のスロープは、特定の温度領域(例えば、第3の温度領域)では正のスロープであり得、異なる温度領域(例えば、第1の温度領域)では負のスロープであり得る。
【0064】
[0069] 2つの段だけが第2の電流源504に含まれているように例示されているが、任意の数の段が含まれ得、第2の基準電流506のスロープは、任意の数の対応するスロープ値を有し得る。例えば、第1の電流源500の1つ又は複数の段は、複数のスロープ値を含む区分的に線形なスロープを有する第2の基準電流506を生成するために、第2の電流源504に含まれ得、この場合、スロープ値のうちの1つ又は複数は負のスロープ値である。
【0065】
[0070] 基準電流502、506(例えば、区分的に線形なスロープを有する電流)をPTAT基準電流(I
PTAT0)として使用することは、単一の線形なスロープを有する電流を使用することと比較して、利得変動の低減及び/又はノイズ指数変動の低減を可能にし得る。例えば、大きいスロープ値を有するPTAT電流は、高温において変動を低減し得るが、この大きいスロープ値は、低温において電流の大きさを低減し得る。低温における小さい電流の大きさは、LNAにバイアスをかけるのに不十分であり得る(例えば、LNAは、小さい電流の大きさにより、低温において不安定になる)。区分的に線形なスロープを有する電流を使用することは、LNAが、低温において十分高い電流の大きさを受けること、及び、高温において高い電流の大きさを受けることを可能にし得、これは、高温における変動の低減を可能にする。
【0066】
[0071] 基準電流502、506をPTAT基準電流(I
PTAT0)として使用することによって、
図3の第1の電流310の第1のスロープは、第1のデバイス302の温度に基づいて区分的に線形であり得る。同様の方法で、
図3の第2の電流312の第2のスロープは、第2のデバイス304の温度に基づいて区分的に線形であり得る。例えば、低温において第1のスロープ値(例えば、小さい値又は負の値)を有する電流を使用することによって、比較的大きい電流がLNAに印加され、ノイズ指数変動が低減され(例えば、LNA安定性が改善され)得る。加えて、高温において第2のスロープ値(例えば、大きい値)を使用することによって、高温において第1のスロープ値によって予想される大きさよりも大きい大きさを有する電流がLNAに印加され、高温によって引き起こされる増加ノイズ変動が低減され得る。故に、マルチスロープ構成は、高温において変動を低減し得、LNAが、低温において不安定になることを防ぐ。
【0067】
[0072]
図6を参照すると、固定スロープPTAT基準電流及びマルチスロープPTAT基準電流についてのノイズ指数利得を描写している特定のチャートが示されている。第1のチャート602は、マルチスロープPTAT基準電流についてのノイズ指数利得を描写しており、第2のチャート604は、固定スロープPTAT基準電流についてのノイズ指数利得を描写している。マルチスロープPTAT基準電流は、
図5に関連して説明された技法に従って生成され得る。
【0068】
[0073] 例示的な実例となる実施形態では、高温に関連して、約0.3デシベル(dB)の改善が示されている。例えば、摂氏110度(例えば、383度ケルビン)において、ノイズ指数利得は、マルチスロープPTAT基準電流については約3.07dBであり、固定スロープPTAT基準電流については約3.36dBである。室内温度(例えば、摂氏25度)におけるマルチスロープPTAT基準電流に基づいたバイアス電流の大きさが、室内温度における固定スロープPTAT基準電流に基づいたバイアス電流の大きさと略同じであることも認識されるだろう。故に、
図6に描写されているチャート602、603は、マルチスロープPTAT基準電流についてのノイズ指数低下が、対応する温度における固定スロープPTAT基準電流についてのノイズ指数低下よりも少ないことを例示している。
【0069】
[0074]
図7を参照すると、低ノイズ増幅器の利得変動及び/又はノイズ指数変動を低減するための方法の例示的な実施形態を例示しているフローチャートが示されている。例示的な実例となる実施形態では、方法700は、
図1−2のワイヤレスデバイス110、
図3の回路300、
図4のバイアス回路400、
図5の回路500、504、又はそれらの任意の組み合わせを使用して実行され得る。
【0070】
[0075] 方法700は、702において、第1のスロープに従って温度に伴い変動する第1の電流を使用して第1のデバイスにバイアスをかけることを含む。例えば、
図3を参照すると、第1のバイアス回路306は、第1のスロープに従って温度に伴い変動する第1の電流310(例えば、第1のスロープ調整可能PTAT電流)を生成し得る。第1のバイアス回路306は、第1の段選択コードに基づいて第1の電流310の第1のスロープを調整し得る。第1の段選択コードに基づいて第1の電流310の第1のスロープを調整することによって、第1のバイアス回路306は、第1のスロープが、回路300の設計段階が完了した後に調整されることを可能にする。第1の電流310の第1のスロープは、第1のデバイス302の温度変化によって引き起こされる利得の変動及び/又はノイズ指数の変動を低減するように設定され得る。例えば、第1のスロープは、PTAT基準電流及び
バンドギャップ基準電流の第1の関数として決定され得る。
【0071】
[0076] 704において、第1のデバイスの出力に結合された第2のデバイスにバイアスがかけられ得る。例えば、
図3を参照すると、第2のバイアス回路308は、第2のスロープに従って温度に伴い変動する第2の電流312を生成し得る。第2の電流312は、第2のデバイス304にバイアスをかける第2のスロープ調整可能PTAT電流に対応し得る。第1のスロープ調整可能PTAT電流は、第2のスロープ調整可能PTAT電流から独立して制御され得る。例えば、第2の電流312の第2のスロープは、第1のデバイス302(例えば、LNA)の利得を漸進的に調整(例えば、ブースト)するために、第2のデバイス304(例えば、負のトランスコンダクタンス段)によって生成される負のトランスコンダクタンス値を調整するように設定され得る。第2のデバイス304によって生成されたトランスコンダクタンス値を調整することは、第2のデバイス304の温度変化によって引き起こされる利得の変動及び/又はノイズ指数の変動を低減し得る。第2のスロープは、PTAT基準電流及び
バンドギャップ基準電流の第2の関数として決定され得る。
【0072】
[0077] 方法700はまた、第1のデジタルコードを受け、この第1のデジタルコードに基づいて第1のスロープ調整可能PTAT電流を制御することを含み得る。例えば、
図3を参照すると、第1のバイアス回路306は、第1の段選択コードに基づいて、第1の電流310へのPTAT基準電流(I
PTAT0)及び
バンドギャップ基準電流(I
BG0)の寄与を調整することによって、第1の電流310のスロープを調整し得る。第1の段選択コードは、第1のバイアス回路306内のイネーブルにされた電流寄与段の数を示すデジタルコードであり得る。
【0073】
[0078] 方法700はまた、第2のデジタルコードを受け、この第2のデジタルコードに基づいて第2のスロープ調整可能PTAT電流を制御することを含み得る。例えば、
図3を参照すると、第2のバイアス回路308は、第2の段選択コードに基づいて、第2の電流312へのPTAT基準電流(I
PTAT0)及び
バンドギャップ基準電流(I
BG0)の寄与を調整することによって、第2の電流312のスロープであり得る。第2の段選択コードは、第2のバイアス回路308内のイネーブルにされた電流寄与段の数を示すデジタルコードであり得る。
【0074】
[0079]
図7の方法700は、第1のデバイス302に関連付けられた温度依存性及び第2のデバイス304に関連付けられた温度依存性を其々補償するために、第1の電流310及び第2の電流312のスロープを別々に(例えば、個々に)調整し得る。第1のデバイス302及び第2のデバイス304の温度依存性が異なり得るため、個々のスロープ調整可能電流(例えば、電流310及び312)を使用することは、単一の固定スロープPTAT基準電流を第1のデバイス302及び第2のデバイス304に供給することに関連付けられた変動低減と比較して、特定の温度範囲にわたって、各デバイス302、304に関連して変動(例えば、利得変動及び/又はノイズ指数変動)低減を高め得る。
【0075】
[0080] 説明された実施形態とともに、装置は、第1のスロープに従って温度に伴い変動する第1の電流を使用して低ノイズ増幅器にバイアスをかけるための手段を含む。例えば、低ノイズ増幅器にバイアスをかけるための手段は、
図1−2のワイヤレスデバイス110、
図3の第1のバイアス回路306、
図3の第1の電流源314、
図3の第2の電流源316、
図3の第3の電流源318、
図3の第4のトランジスタ340、
図4のバイアス回路400とその中の構成要素、
図5の第1の電流源500とその中の構成要素、
図5の第2の電流源504とその中の構成要素、低ノイズ増幅器にバイアスをかけるための1つ又は複数の他のデバイス、回路、モジュール、又は命令、或いはそれらの任意の組み合わせを含み得る。
【0076】
[0081] 装置はまた、第2のスロープに従って温度に伴い変動する第2の電流を使用して低ノイズ増幅器の負荷にバイアスをかけるための手段を含み得る。例えば、負荷にバイアスをかけるための手段は、
図1−2のワイヤレスデバイス110、
図3の第2のバイアス回路308、
図3の第4の電流源320、
図3の第5の電流源322、
図3の第6の電流源324、
図3の第5のトランジスタ344、
図4のバイアス回路400とその中の構成要素、
図5の第1の電流源500とその中の構成要素、
図5の第2の電流源504とその中の構成要素、負荷にバイアスをかけるための1つ又は複数の他のデバイス、回路、モジュール、又は命令、或いはそれらの任意の組み合わせを含み得る。
【0077】
[0082] 当業者であれば、本明細書で開示された実施形態に関連して説明された実例となる様々な論理ブロック、構成、モジュール、回路、及びアルゴリズムステップが、電子ハードウェア、プロセッサによって実行されるコンピュータソフトウェア、又は両方の組み合わせとして実装され得ることを更に認識するであろう。実例となる様々な構成要素、ブロック、構成、モジュール、回路、及びステップは、概ねそれらの機能性の観点から上で説明されている。このような機能性が、ハードウェアとして実装されるかプロセッサ実行可能な命令として実装されるかは、特定の用途とシステム全体に課せられた設計制約とに依存する。当業者は、上述された機能性を特定の用途ごとに様々な方法で実装し得るが、このような実装の決定は本開示の範囲からの逸脱をさせるものとして解釈されるべきでない。
【0078】
[0083] 本明細書で開示された実施形態に関連して説明されたアルゴリズム又は方法のステップは、直接ハードウェアで、プロセッサによって実行されるソフトウェアモジュールで、又は両者の組み合わせで具現化され得る。ソフトウェアモジュールは、ランダムアクセスメモリ(RAM)、フラッシュメモリ、読出し専用メモリ(ROM)、プログラマブル読出し専用メモリ(PROM)、消去可能プログラマブル読出し専用メモリ(EPROM)、電気的消去可能プログラマブル読出し専用メモリ(EEPROM(登録商標))、レジスタ、ハードディスク、リムーバブルディスク、コンパクトディスク読出し専用メモリ(CD−ROM)、或いは当技術分野で知られているあらゆる他の形式の非一時的な記憶媒体内に存在し得る。例示的な記憶媒体は、プロセッサが記憶媒体から情報を読み出し、記憶媒体に情報を書き込むことができるように、プロセッサに結合される。代替的に、記憶媒体は、プロセッサに一体化され得る。プロセッサ及び記憶媒体は、特定用途向け集積回路(ASIC)内に存在し得る。ASICは、コンピューティングデバイス又はユーザ端末内に存在し得る。代替では、プロセッサ及び記憶媒体は、コンピューティングデバイス又はユーザ端末内の個別の構成要素として存在し得る。
【0079】
[0084] 開示された実施形態の先の説明は、開示された実施形態を製造又は使用することを当業者に可能にするために提供される。これらの実施形態に対する様々な修正は、当業者には容易に明らかであり、本明細書で定義された原理は、本開示の範囲から逸脱することなく他の実施形態に適用され得る。従って、本開示は、本明細書で示された実施形態に限定されることが想定されているわけではなく、以下の特許請求の範囲によって定義される原理及び新規な特徴と一致する可能性のある最も広い範囲が与えられるべきである。
以下に本願発明の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[C1]
装置であって、
第1のスロープに従って温度に伴い変動する第1の電流を生成するように構成された第1のバイアス回路と、
第2のスロープに従って温度に伴い変動する第2の電流を生成するように構成された第2のバイアス回路と、
前記第1のバイアス回路の出力に応答するトランスコンダクタンス段を含む低ノイズ増幅器と、
前記低ノイズ増幅器の出力に結合されており、前記第2のバイアス回路の出力に応答する負荷と
を備える装置。
[C2]
前記負荷は、能動回路と、少なくとも1つの受動回路素子とを備える選択的ブースト回路を備える、C1に記載の装置。
[C3]
前記第1のバイアス回路は、前記第1のバイアス回路の第1の出力ノードに結合された複数の電流寄与段を含み、前記第2のバイアス回路は、前記第2のバイアス回路の第2の出力ノードに結合された複数の電流寄与段を備える、C1に記載の装置。
[C4]
前記第1のバイアス回路の前記電流寄与段の各々は、
前記第1の出力ノードに結合されており、絶対温度比例(PTAT)電流を前記第1の出力ノードに供給するように構成された第1のトランジスタと、
前記第1の出力ノードに結合されており、前記第1の出力ノードから帯域ギャップ電流を供給するように構成された第2のトランジスタと、
前記第1のトランジスタ及び前記第2のトランジスタを選択的にアクティブ化するイネーブル回路と
を含む、C1に記載の装置。
[C5]
前記第1のスロープは、前記低ノイズ増幅器の温度に基づき、前記第2のスロープは、前記負荷の温度に基づく、C1に記載の装置。
[C6]
前記第2のスロープは、前記第2の温度が第1の温度領域内にあるとき負であり、前記第2のスロープは、前記第2の温度が第2の温度領域内にあるとき正である、C5に記載の装置。
[C7]
前記第1の温度領域は、前記第2の温度領域よりも低い、C6に記載の装置。
[C8]
前記トランスコンダクタンス段は、前記第1の電流に応答するトランジスタを備える、C1に記載の装置。
[C9]
前記第1のバイアス回路は、
絶対温度比例(PTAT)電流を生成するように動作可能なPTAT電流源と、
帯域ギャップ電流を生成するように動作可能な帯域ギャップ電流源と、
第1の段選択コードに応答する第1の複数のトランジスタと、ここにおいて、前記第1の複数のトランジスタは、前記第1の段選択コードに基づいて前記PTAT電流の大きさを調整するように動作可能である、
第2の段選択コードに応答する第2の複数のトランジスタと、ここにおいて、前記第2の複数のトランジスタは、前記第2の段選択コードに基づいて前記帯域ギャップ電流の大きさを調整するように動作可能である、
を備える、C1に記載の装置。
[C10]
前記第1の複数のトランジスタは、PTAT電流バイナリデジタル/アナログ変換器(DAC)に対応し、前記第2の複数のトランジスタは、帯域ギャップ電流バイナリDACに対応する、C9に記載の装置。
[C11]
前記第1のスロープは、基準スロープを有する、絶対温度比例(PTAT)基準電流に基づき、前記基準スロープに対する前記第1のスロープの比は1よりも大きい、C1に記載の装置。
[C12]
前記第1のスロープは、前記第2のスロープよりも大きい、C11に記載の装置。
[C13]
装置であって、
第1のスロープに従って温度に伴い変動する第1の電流を使用して低ノイズ増幅器にバイアスをかけるための手段と、
第2のスロープに従って温度に伴い変動する第2の電流を使用して前記低ノイズ増幅器の負荷にバイアスをかけるための手段と
を備える装置。
[C14]
前記第1のスロープは、絶対温度比例(PTAT)基準電流及び帯域ギャップ基準電流の第1の関数として決定され、前記第2のスロープは、前記PTAT基準電流及び前記帯域ギャップ基準電流の第2の関数として決定される、C13に記載の装置。
[C15]
前記第1のスロープは、区分的に線形であり、前記第2のスロープは、区分的に線形である、C13に記載の装置。
[C16]
前記第2のスロープは、前記第2の温度が第1の温度領域内にあるとき負であり、前記第2のスロープは、前記第2の温度が第2の温度領域内にあるとき正である、C15に記載の装置。
[C17]
前記負荷回路は、選択的ブースト回路を備える、C13に記載の装置。
[C18]
第1のスロープに従って温度に伴い変動する第1の電流を使用して第1のデバイスにバイアスをかけることと、
前記第1のデバイスの出力に結合された第2のデバイスにバイアスをかけることと、前記第2のデバイスは、第2のスロープに従って温度に伴い変動する電流を使用してバイアスがかけられる、
を備える方法。
[C19]
第1のデジタルコードを受け、前記第1のデジタルコードに基づいて前記第1のスロープを制御することと、
第2のデジタルコードを受け、前記第2のデジタルコードに基づいて前記第2のスロープを制御することと
を更に備える、C18に記載の方法。
[C20]
前記第1のデジタルコードに基づいて前記第1のスロープを制御することは、前記第1のデジタルコードの値に従って第1のバイアス回路内の第1の数の電流寄与段を選択的にイネーブルにすることを含み、前記第2のデジタルコードに基づいて前記第2のスロープを制御することは、前記第2のデジタルコードの値に従って第2のバイアス回路内の第2の数の電流寄与段を選択的にイネーブルにすることを含む、C19に記載の方法。