【文献】
Ericsson,Analysis of handover with SeNB Addition[online],3GPP TSG-RAN WG3#87 R3-150330,インターネット<URL:http://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG3_Iu/TSGR3_87/Docs/R3-150330.zip>,2015年 2月 9日
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0008】
[実施形態の概要]
現状の仕様では、二重接続方式を実行中のユーザ端末が、セカンダリ基地局との接続を維持したまま、マスタ基地局(ソース基地局)からターゲット基地局へのハンドオーバを実行し、ターゲット基地局を新たなマスタ基地局として二重接続方式を継続する方法は、規定されていない。
【0009】
従って、セカンダリ基地局がハンドオーバの前後で変わらない二重接続方式を実行する場合、ユーザ端末は、二重接続方式を一旦終了し、ハンドオーバ完了後に、ターゲット基地局(新たなマスタ基地局)とセカンダリ基地局とを用いた二重接続方式を開始するためのシグナリングを、ターゲット基地局とやり取りする可能性がある。その結果、ユーザデータ用の無線リソースが減少したり、ユーザ端末及びターゲット基地局の負荷が増加したりする。
【0010】
そこで、実施形態は、セカンダリ基地局がハンドオーバの前後で変わらない二重接続方式を実行する場合において、ユーザ端末とターゲット基地局との間でのシグナリングの発生を抑制可能な基地局を提供する。
【0011】
実施形態に係る基地局は、二重接続方式を実行可能な基地局である。前記基地局は、ユーザ端末がソース基地局から前記基地局へハンドオーバを実行するためのハンドオーバ要求を前記ソース基地局から受信する受信部と、前記ハンドオーバ要求が、前記ユーザ端末と前記二重接続方式を実行しているセカンダリ基地局を示す識別子を含む場合、前記二重接続方式において追加的な無線リソースを前記ユーザ端末に提供することを要求する追加要求を、前記識別子に対応する前記セカンダリ基地局に送信する送信部と、を備える。前記送信部は、前記基地局と接続するゲートウェイ装置と前記ユーザ端末との間に、前記基地局及び前記セカンダリ基地局を経由するデータパスを確立することを示すスプリットベアラ情報を含む前記追加要求を送信する。
【0012】
実施形態において、前記送信部は、前記セカンダリ基地局が前記ゲートウェイ装置ではなく他のゲートウェイ装置と接続している場合、前記スプリットベアラ情報を含む前記追加要求を送信する。
【0013】
実施形態において、前記送信部は、前記識別子と共に、前記セカンダリ基地局と接続するゲートウェイ装置と前記ユーザ端末との間に前記セカンダリ基地局を経由し前記ソース基地局を経由しないデータパスが確立されていることを示す情報を前記ハンドオーバ要求が含む場合に、前記スプリットベアラ情報を含む前記追加要求を送信する。
【0014】
実施形態において、前記受信部は、前記ユーザ端末へ送信される前のデータであり且つ暗号化される前の未送信データを前記ソース基地局から受信する。前記未送信データは、前記他の基地局から前記ソース基地局へ転送された未送信データを含む。
【0015】
実施形態の変更例1において、前記受信部は、前記ユーザ端末へ送信される前のデータであり且つ暗号化される前の未送信データを、前記ソース基地局及び前記他の基地局のそれぞれから受信する。
【0016】
実施形態の変更例2に係る基地局は、二重接続方式を実行可能な基地局である。前記基地局は、ユーザ端末がソース基地局から前記基地局へハンドオーバを実行するためのハンドオーバ要求を前記ソース基地局から受信する受信部と、前記ハンドオーバ要求が、前記ユーザ端末と前記二重接続方式を実行しているセカンダリ基地局を示す識別子を含む場合、前記二重接続方式において追加的な無線リソースを前記ユーザ端末に提供することを要求する追加要求を、前記識別子に対応する前記セカンダリ基地局に送信する送信部と、前記基地局が接続するゲートウェイ装置と前記セカンダリ基地局とが接続していない場合、前記ゲートウェイ装置と前記ユーザ端末との間に前記セカンダリ基地局を経由し前記基地局を経由しないデータパスを確立するための要求を上位ノードに通知する制御部と、を備える。
【0017】
なお、特許請求の範囲において用いられている「基地局」は、一般的な基地局(いわゆる、eNB)だけでなく、RRH基地局(Remote Radio Head)も含む概念である。
【0018】
[実施形態]
以下において、本発明をLTEシステムに適用する場合の実施形態を説明する。
【0019】
(システム構成)
図1は、実施形態に係るLTEシステムの構成図である。
【0020】
図1に示すように、実施形態に係るLTEシステムは、UE(User Equipment)100、E−UTRAN(Evolved−UMTS Terrestrial Radio Access Network)10、及びEPC(Evolved Packet Core)20を備える。
【0021】
UE100は、ユーザ端末に相当する。UE100は、移動型の通信装置であり、セル(サービングセル)との無線通信を行う。UE100の構成については後述する。
【0022】
E−UTRAN10は、無線アクセスネットワークに相当する。E−UTRAN10は、eNB200(evolved Node−B)を含む。eNB200は、基地局に相当する。eNB200は、X2インターフェイスを介して相互に接続される。eNB200の構成については後述する。
【0023】
eNB200は、1又は複数のセルを管理しており、自セルとの接続を確立したUE100との無線通信を行う。eNB200は、無線リソース管理(RRM)機能、ユーザデータのルーティング機能、モビリティ制御・スケジューリングのための測定制御機能などを有する。「セル」は、無線通信エリアの最小単位を示す用語として使用される他に、UE100との無線通信を行う機能を示す用語としても使用される。
【0024】
EPC20は、コアネットワークに相当する。EPC20は、MME(Mobility Management Entity)/S−GW(Serving−Gateway)300と、OAM(Operation and Maintenance)400とを含む。
【0025】
MMEは、UE100に対する各種モビリティ制御などを行う。SGWは、ユーザデータの転送制御を行う。MME/S−GW300は、S1インターフェイスを介してeNB200と接続される。
【0026】
OAM400は、オペレータによって管理されるサーバ装置であり、E−UTRAN10の保守及び監視を行う。
【0027】
図2は、UE100のブロック図である。
図2に示すように、UE100は、複数のアンテナ101、無線送受信機110、ユーザインターフェイス120、GNSS(Global Navigation Satellite System)受信機130、バッテリ140、メモリ150、及びプロセッサ160を備える。メモリ150及びプロセッサ160は、制御部を構成する。UE100は、GNSS受信機130を有していなくてもよい。また、メモリ150をプロセッサ160と一体化し、このセット(すなわち、チップセット)をプロセッサ160’としてもよい。
【0028】
アンテナ101及び無線送受信機110は、無線信号の送受信に用いられる。無線送受信機110は、プロセッサ160が出力するベースバンド信号(送信信号)を無線信号に変換してアンテナ101から送信する。また、無線送受信機110は、アンテナ101が受信する無線信号をベースバンド信号(受信信号)に変換してプロセッサ160に出力する。
【0029】
ユーザインターフェイス120は、UE100を所持するユーザとのインターフェイスであり、例えば、ディスプレイ、マイク、スピーカ、及び各種ボタンなどを含む。ユーザインターフェイス120は、ユーザからの操作を受け付けて、該操作の内容を示す信号をプロセッサ160に出力する。GNSS受信機130は、UE100の地理的な位置を示す位置情報を得るために、GNSS信号を受信して、受信した信号をプロセッサ160に出力する。バッテリ140は、UE100の各ブロックに供給すべき電力を蓄える。
【0030】
メモリ150は、プロセッサ160により実行されるプログラム、及びプロセッサ160による処理に使用される情報を記憶する。プロセッサ160は、ベースバンド信号の変調・復調及び符号化・復号などを行うベースバンドプロセッサと、メモリ150に記憶されるプログラムを実行して各種の処理を行うCPU(Central Processing Unit)と、を含む。プロセッサ160は、さらに、音声・映像信号の符号化・復号を行うコーデックを含んでもよい。プロセッサ160は、後述する各種の処理及び各種の通信プロトコルを実行する。
【0031】
図3は、eNB200のブロック図である。
図3に示すように、eNB200は、複数のアンテナ201、無線送受信機210、ネットワークインターフェイス220、メモリ230、及びプロセッサ240を備える。メモリ230及びプロセッサ240は、制御部を構成する。また、メモリ230をプロセッサ240と一体化し、このセット(すなわち、チップセット)をプロセッサとしてもよい。
【0032】
アンテナ201及び無線送受信機210は、無線信号の送受信に用いられる。無線送受信機210は、プロセッサ240が出力するベースバンド信号(送信信号)を無線信号に変換してアンテナ201から送信する。また、無線送受信機210は、アンテナ201が受信する無線信号をベースバンド信号(受信信号)に変換してプロセッサ240に出力する。
【0033】
ネットワークインターフェイス220は、X2インターフェイスを介して隣接eNB200と接続され、S1インターフェイスを介してMME/S−GW300と接続される。ネットワークインターフェイス220は、X2インターフェイス上で行う通信及びS1インターフェイス上で行う通信に用いられる。
【0034】
メモリ230は、プロセッサ240により実行されるプログラム、及びプロセッサ240による処理に使用される情報を記憶する。プロセッサ240は、ベースバンド信号の変調・復調及び符号化・復号などを行うベースバンドプロセッサと、メモリ230に記憶されるプログラムを実行して各種の処理を行うCPUと、を含む。プロセッサ240は、後述する各種の処理及び各種の通信プロトコルを実行する。
【0035】
図4は、LTEシステムにおける無線インターフェイスのプロトコルスタック図である。
図4に示すように、無線インターフェイスプロトコルは、OSI参照モデルの第1層乃至第3層に区分されており、第1層は物理(PHY)層である。第2層は、MAC(Medium Access Control)層、RLC(Radio Link Control)層、及びPDCP(Packet Data Convergence Protocol)層を含む。第3層は、RRC(Radio Resource Control)層を含む。
【0036】
物理層は、符号化・復号、変調・復調、アンテナマッピング・デマッピング、及びリソースマッピング・デマッピングを行う。UE100の物理層とeNB200の物理層との間では、物理チャネルを介してユーザデータ及び制御信号が伝送される。
【0037】
MAC層は、データの優先制御、ハイブリッドARQ(HARQ)による再送処理、及びRRC接続確立時のランダムアクセス手順などを行う。UE100のMAC層とeNB200のMAC層との間では、トランスポートチャネルを介してユーザデータ及び制御信号が伝送される。eNB200のMAC層は、上下リンクのトランスポートフォーマット(トランスポートブロックサイズ、変調・符号化方式)及びUE100への割当リソースブロックを決定するスケジューラを含む。
【0038】
RLC層は、MAC層及び物理層の機能を利用してデータを受信側のRLC層に伝送する。UE100のRLC層とeNB200のRLC層との間では、論理チャネルを介してユーザデータ及び制御信号が伝送される。
【0039】
PDCP層は、ヘッダ圧縮・伸張、及び暗号化・復号化を行う。
【0040】
RRC層は、制御信号を取り扱う制御プレーンでのみ定義される。UE100のRRC層とeNB200のRRC層との間では、各種設定のための制御信号(RRCメッセージ)が伝送される。RRC層は、無線ベアラの確立、再確立及び解放に応じて、論理チャネル、トランスポートチャネル、及び物理チャネルを制御する。UE100のRRCとeNB200のRRCとの間に接続(RRC接続)がある場合、UE100はRRCコネクティッド状態であり、そうでない場合、UE100はRRCアイドル状態である。
【0041】
RRC層の上位に位置するNAS(Non−Access Stratum)層は、セッション管理及びモビリティ管理などを行う。
【0042】
LTEシステムは、下りリンクにはOFDMA(Orthogonal Frequency Division Multiple Access)、上りリンクにはSC−FDMA(Single Carrier Frequency Division Multiple Access)がそれぞれ適用される。
【0043】
無線フレームは、時間方向に並ぶ10個のサブフレームで構成される。各サブフレームは、時間方向に並ぶ2個のスロットで構成される。各サブフレームの長さは1msであり、各スロットの長さは0.5msである。各サブフレームは、周波数方向に複数個のリソースブロック(RB)を含み、時間方向に複数個のシンボルを含む。各リソースブロックは、周波数方向に複数個のサブキャリアを含む。UE100に割り当てられる無線リソース(時間・周波数リソース)のうち、周波数リソースはリソースブロックにより特定でき、時間リソースはサブフレーム(又はスロット)により特定できる。
【0044】
下りリンクにおいて、各サブフレームの先頭数シンボルの区間は、主に制御信号を伝送するための物理下りリンク制御チャネル(PDCCH)として使用される領域である。また、各サブフレームの残りの区間は、主にユーザデータを伝送するための物理下りリンク共有チャネル(PDSCH)として使用できる領域である。
【0045】
上りリンクにおいて、各サブフレームにおける周波数方向の両端部は、主に制御信号を伝送するための物理上りリンク制御チャネル(PUCCH)として使用される領域である。各サブフレームにおける他の部分は、主にユーザデータを伝送するための物理上りリンク共有チャネル(PUSCH)として使用できる領域である。
【0046】
(二重接続方式)
実施形態に係るLTEシステムは、二重接続方式をサポートする。二重接続方式は、リリース12以降において導入が予定されている。二重接続方式では、UE100は、複数のeNB200との接続を同時に確立する。UE100には、各eNB200から無線リソースが割り当てられるため、スループットの向上が見込まれる。なお、二重接続方式は、eNB200間キャリアアグリゲーション(inter−eNB CA)と称されることもある。
【0047】
図5は、二重接続方式の概要を説明するための図である。
【0048】
図5に示すように、二重接続方式では、UE100との接続を確立する複数のeNB200のうち、マスタeNB(MeNB)200−1のみが当該UE100とのRRC接続を確立する。これに対し、当該複数のeNB200のうちセカンダリeNB(SeNB)200−2は、RRC接続をUE100と確立せずに、追加的な無線リソースをUE100に提供する。言い換えると、MeNB200−1は、ユーザプレーン接続だけでなく制御プレーン接続をUE100と確立する。これに対し、SeNB200−2は、制御プレーン接続をUE100と確立せずに、ユーザプレーン接続をUE100と確立する。MeNB200−1とSeNB200−2との間にはXnインターフェイスが設定される。Xnインターフェイスは、X2インターフェイス又は新たなインターフェイスである。
【0049】
二重接続方式では、UE100は、MeNB200−1が管理するN個のセル及びSeNB200−2が管理するM個のセルを同時に利用したキャリアアグリゲーションが可能である。二重接続方式においてUE100のサービングセルの最大数、すなわち、(N+M)の最大数は、例えば5である。ここで、MeNB200−1が管理するN個のセルからなるグループは、マスタセルグループ(MCG)と称される。また、SeNB200−2が管理するM個のセルからなるグループは、セカンダリセルグループ(SCG)と称される。SCGには、UE100のPUCCHを設ける特別なセルが設定される。特別なセルは、キャリアアグリゲーションにおけるプライマリセル(PCell)の機能の一部を遂行する。以下において、当該特別なセルを「PSCell(Primary SCell)」と称する。
【0050】
MeNB200−1は、二重接続方式において、少なくとも制御プレーンのためのS1インターフェイスが終端するeNB200である。MeNB200−1は、二重接続方式に関して設定されるUE100に対して、全てのRRCメッセージをMCGを介して送信する。一方、SeNB200−2は、二重接続方式において、UE100に対して追加的な無線リソースを提供する。また、SeNB200−2は、MeNB200−1ではない。
【0051】
図6及び
図7は、二重接続方式におけるユーザデータの転送経路(データパス)の構成方式を説明するための図である。二重接続方式におけるユーザデータの転送経路(データパス)を構成するユーザプレーンアーキテクチャ(UPアーキテクチャ)は主に2通り存在する。
【0052】
図6は、第1のUPアーキテクチャを示す。
図6(A)に示すように、第1のUPアーキテクチャでは、MeNB200−1とS−GW300Uとの間のS1−Uインターフェイスと、SeNB200−2とS−GW300Uとの間のS1−Uインターフェイスと、が利用される。UE100とP−GWとの間のEPSベアラ#1は、MeNB200−1とS−GW300Uとの間のS1−Uインターフェイスを経由する。なお、このEPSベアラ#1は、MCGベアラと称されてもよい。UE100とP−GWとの間のEPSベアラ#2は、SeNB200−2とS−GW300Uとの間のS1−Uインターフェイスを経由する。なお、このEPSベアラ#2は、SCGベアラと称されてもよい。このように、第1のUPアーキテクチャでは、SeNB200−2とS−GW300Uとの間のデータパスはMeNB200−1を経由しない。
図6(B)に示すように、MeNB200−1及びSeNB200−2のそれぞれは、PDCP、RLC、MACの各層の処理を行う。
【0053】
図7は、第2のUPアーキテクチャを示す。
図7(A)に示すように、第2のUPアーキテクチャでは、UE100とP−GWとの間のEPSベアラ#2は、MeNB200−1において分割されており、分割された一方(split bearer)はSeNB200−2を経由してUE100で終端し、分割された他方(split bearer)はSeNB200−2を経由せずにUE100で終端する。このように、第2のUPアーキテクチャでは、SeNB200−2とS−GW300Uとの間のデータパスはMeNB200−1を経由する。
図7(B)に示すように、EPSベアラ#2における分割された一方(split bearer)については、MeNB200−1のPDCP、SeNB200−2のRLC及びMAC、により各層の処理を行う。なお、Splitベアラ(split bearer)については、RLC(又はRLCの一部機能)までの処理をMeNBが担当してもよい。
【0054】
(実施形態に係る動作)
次に、実施形態に係る動作について
図8及び
図9を用いて説明する。
図8は、実施形態に係る動作環境を説明するための図である。
図9は、実施形態に係る動作を説明するための図である。
【0055】
図8において、UE100は、MeNB200−1が管理する第1セル(PCell)及びSeNB200−2が管理する第2セル(PSCell又はSCell)に在圏している。第1セルと第2セルとは、少なくとも一部が重複している。また、T−MeNB200−3は、第3セルを管理している。第2セルと第3セルとは、少なくとも一部が重複している。また、第1セルと第3セルは、少なくとも一部が重複していてもよい。なお、第1セルと第3セルとはマクロセルであってもよく、MeNB200−1及びT−MeNB200−3はマクロセルを管理するマクロeNBであってもよい。第2セルはスモールセルであってもよく、SeNB200−2はスモールセルを管理するスモールeNBであってもよい。
【0056】
図8において、UE100は、二重接続方式を実行中である。具体的には、UE100は、マスタeNBであるMeNB200−1とRRC接続を確立する。UE100は、RRCコネクティッド状態である。一方、UE100は、セカンダリeNBであるSeNB200−2から追加的な無線リソースが提供される。UE100は、MeNB200−1及びSeNB200−2と通信を行っている。
【0057】
また、UE100は、第1のUPアーキテクチャにおける二重接続方式を実行中である。従って、UE100は、MeNB200−1を経由するEPSベアラ♯1と、MeNB200−1を介さずにSeNB200−2を経由するEPSベアラ♯2(すなわち、SCGベアラ)と、を用いて通信を行う。MeNB200−1とSeNB200−2とは、S−SGW300−1と接続している。UE100のユーザデータは、S−SGW300−1において分割される。MeNB200−1は、分割された一方のユーザデータをS−SGW300−1から受け取り、SeNB200−2は、分割された他方のユーザデータをS−SGW300−1から受け取る。
【0058】
なお、
図8に示すように、T−MeNB200−3は、S−SGW300−1と接続しておらず、T−SGW300−3と接続している。
【0059】
ここで、UE100の移動によって、MeNB200−1からの無線信号の受信レベルが低下し、T−MeNB200−3からの無線信号の受信レベルが上昇したと仮定する。この場合、MeNB200−1は、UE100からのメジャメント報告に基づいて、T−MeNB200−3をハンドオーバ先とするハンドオーバ処理を開始する。
【0060】
ここで、仕様では、UE100が、SeNB200−2との接続を維持したまま、MeNB200−1からT−MeNB200−3へのハンドオーバを実行し、T−MeNB200−3をマスタeNBとして二重接続方式を継続する方法は、規定されていない。従って、SeNB200−2がハンドオーバの前後で変わらない二重接続方式を実行する場合、UE100は、二重接続方式を一旦終了し、ハンドオーバ完了後に、T−MeNB200−3(ターゲットeNB)とSeNB200−2とを用いた二重接続方式を開始するためのシグナリングを、T−MeNB200−3とやり取りする可能性がある。
【0061】
現状の仕様では、マスタeNBとセカンダリeNBとが同一のSGWと接続していなければならないため、特に、
図8に示すように、T−MeNB200−3及びSeNB200−2が、同一のS−SGWと接続していない場合、二重接続方式を実行することができない。従って、この場合には特に、UE100は、二重接続方式を終了し、ハンドオーバ完了後に、上述のシグナリングをT−MeNB200−3とやり取りする可能性が高い。
【0062】
このようなシグナリングのやり取りの結果、ユーザデータ用の無線リソースが減少したり、ユーザ端末及びターゲット基地局の負荷が増加したりする。
【0063】
そこで、以下に示す方法により、上述した問題を解決する。
【0064】
上述の通り、UE100は、MeNB200−1とSeNB200−2とを用いた二重接続方式を実行している。UE100は、無線信号の受信レベル(RSRP、RSRQ等)を測定し、測定結果であるメジャメント報告をMeNB200−1に送信する。MeNB200−1は、UE100からのメジャメント報告に基づいて、UE100がMeNB200−1からT−MeNB200−3へのハンドオーバを実行するためのハンドオーバ要求を、T−MeNB200−3へ送信することを決定する。
【0065】
図9に示すように、ステップS1において、ソースeNBであるS−MeNB200−1は、ターゲットeNBであるT−MeNB200−3にハンドオーバ要求(Handover Request)を送信する。
【0066】
ここで、ハンドオーバ要求は、ハンドオーバの対象であるUE100と二重接続方式を実行しているセカンダリeNBを示す識別子(SeNB ID)を含む。本実施形態において、SeNB IDは、SeNB200−2を示す識別子である。なお、セカンダリeNBを示す識別子は、SCGを示す識別子であってもよい。これにより、T−MeNB200−3は、UE100がSeNB200−2と二重接続方式を実行していることが分かる。
【0067】
また、ハンドオーバ要求は、S−SGW300−1とUE100との間に、SeNB200−2を経由しS−MeNB200−1を経由しないデータパス(SCGベアラ)が確立されていることを示す情報(SCG info)を含んでもよい。これにより、T−MeNB200−3は、SCGベアラが確立されていることが分かる。
【0068】
なお、SCG infoは、ハンドオーバ準備に関する情報(HandoverPreperationInformation)に含まれてもよい。
【0069】
また、ハンドオーバ要求は、SeNB200−2とUE100との間のX2AP(X2 Application Protocol)を示す識別子(source side SeNB UE X2AP ID)を含んでもよい。なお、ハンドオーバ要求は、S−MeNB200−1とUE100との間のX2APを示す識別子(source side MeNB UE X2AP ID)を含んでいてもよい。
【0070】
また、ハンドオーバ要求は、S−MeNB200−1(及びSeNB200−2)が接続するSGWを示す識別子を含んでもよい。本実施形態では、SGWを示す識別子は、S−SGW300−1を示す。これにより、T−MeNB200−3は、自局が接続するSGWとSeNB200−2が接続するSGWとが同一か否かが分かる。
【0071】
なお、T−MeNB200−3は、ハンドオーバ要求を了承する場合に、ステップ2の処理を実行する。以下において、T−MeNB200−3が、ハンドオーバ要求を了承したと仮定して説明を進める。
【0072】
ステップS2において、T−MeNB200−3は、二重接続方式において追加的な無線リソースをUE100に提供することを要求する追加要求(SeNB Addition Request)を、SeNB IDに対応するSeNB200−2に送信する。
【0073】
追加要求は、二重接続方式におけるSeNB200−2の設定に関する設定情報(SCG−ConfigInfo)を含む。本実施形態において、設定情報は、T−SGW300−3とUE100との間にT−MeNB200−3及びSeNB200−2を経由するデータパス(Splitベアラ)を確立することを示すスプリットベアラ情報を含む。
【0074】
ここで、T−MeNB200−3は、ハンドオーバ要求にSeNB IDが含まれる場合に、スプリットベアラ情報を含む追加要求をSeNB200−2に送信してもよい。
【0075】
或いは、T−MeNB200−3は、SeNB200−2がT−MeNB200−3と接続するT−SGW300−3ではなく他のSGWに接続している場合に、スプリットベアラ情報を含む追加要求をSeNB200−2に送信してもよい。なお、T−MeNB200−3は、ハンドオーバ要求に含まれるSGWを示す識別子に基づいて、SeNB200−2がT−SGW300−3と接続しているかを判定してもよい。或いは、T−MeNB200−3は、上位ノード(例えば、OAM400)に、SeNB200−2(又はハンドオーバ要求の送信元であるS−MeNB200−1)が接続するSGWを問い合わせてもよい。T−MeNB200−3は、上位ノードからの応答に基づいて、SeNB200−2がT−SGW300−3と接続しているかを判定してもよい。或いは、T−MeNB200−3は、自身が保持(蓄積)している情報(例えば、過去の問い合わせ履歴など)に基づいて、SeNB200−2がT−SGW300−3と接続しているかを判定してもよい。
【0076】
T−MeNB200−3は、SeNB200−2がT−SGW300−3ではなくT−SGW300−1と接続しているため、SCGベアラではなくSplitベアラにベアラタイプを変更すると決定してもよい。これにより、セカンダリeNBがハンドオーバの前後で変わらない状態で、ハンドオーバ処理を実行できる。
【0077】
或いは、T−MeNB200−3は、ハンドオーバ要求に含まれるSeNB IDと関係なく、追加要求を送信するセカンダリeNBを選択し、選択したセカンダリeNBがSeNB IDと一致した場合に、スプリットベアラ情報を含む追加要求をSeNB200−2に送信してもよい。
【0078】
なお、T−MeNB200−3は、UE100と二重接続方式を実行すると判定した場合に、SeNB IDに対応するSeNB200−2に追加要求を送信してもよい。或いは、T−MeNB200−3は、ハンドオーバ要求にSeNB IDが含まれる場合に、SeNB IDに対応するSeNB200−2に追加要求を送信してもよい。
【0079】
また、追加要求は、ハンドオーバ要求に含まれるsource side SeNB UE X2AP IDを含んでいてもよい。また、追加要求は、ハンドオーバ要求に含まれるsource side MeNB UE X2AP IDを含んでいてもよい。SeNB200−2は、これらの識別子(「source side SeNB UE X2AP ID」及び「source side MeNB UE X2AP ID」)の少なくとも一方を用いて、ハンドオーバ要求の対象となるUEを特定できる。SeNB200−2は、ハンドオーバ要求の対象となるUE100のコンテキスト情報を維持したり、無線リソースを確保したりすることができる。
【0080】
また、追加要求は、T−MeNB200−3とSeNB200−2とを用いる二重接続方式においてユーザデータを暗号化するための暗号化情報(new S−KeNB)を含んでいてもよい。
【0081】
追加要求を受信したSeNB200−2は、追加要求を了承するか拒否するか否かを判定する。SeNB200−2は、スプリットベアラ情報に基づいて、T−MeNB200−3がSplitベアラを確立することを要求していることを知る。
【0082】
以下において、SeNB200−2が追加要求を了承したと仮定して説明を進める。また、SeNB200−2がSplitベアラを確立することを了承したと仮定して説明を進める。
【0083】
なお、SeNB200−2は、Splitベアラを確立することを了承した場合、PDCP層におけるUE100へのデータの処理を中断し、UE100へのデータの送信を中断する。PDCP層における処理は、後述する。
【0084】
ステップS3において、SeNB200−2は、追加要求に対する肯定応答(SeNB Addition Ack)をT−MeNB200−3に送信する。
【0085】
肯定応答は、SeNB200−2において作成されたSCG設定情報(SCG Configuration)を含んでもよい。SCG設定情報は、UE100において設定されるSCGの情報である。具体的には、SCG設定情報は、UE100がT−MeNB200−3及びSeNB200−2と二重接続方式を実行するために、RRC接続再設定メッセージに必要な情報である。
【0086】
また、肯定応答は、Splitベアラに関するX2−Uアドレス(X2−U addresses for split bearer)を含んでもよい。
【0087】
なお、SeNB200−2は、例えば、追加要求に対する肯定応答の送信に応じてUE100に対するユーザデータの送信を中断してもよい。
【0088】
S−MeNB200−1は、UE100において設定されるMCGの情報であるT−MCG設定情報(T−MCG Configuration)を作成する。具体的には、T−MCG設定情報は、UE100がT−MeNB200−3及びSeNB200−2と二重接続方式を実行するために、RRC接続再設定メッセージに必要な情報である。S−MeNB200−1は、SCG設定情報とT−MCG設定情報をHOコマンドコンテナ(HO Command container)に含める。
【0089】
ステップS4において、T−MeNB200−3は、ハンドオーバ要求に対する肯定応答(HO req Ack)をS−MeNB200−1に送信する。
【0090】
肯定応答は、UE100に設定するRRC接続再設定メッセージ(RRCConnectionReconfiguration)に関する情報を含む。具体的には、肯定応答は、HOコマンドコンテナを含む。
【0091】
ステップS5において、S−MeNB200−1は、RRC接続再設定メッセージをUE100に送信する。UE100は、受信したRRC接続再設定メッセージに基づく設定を適用する。
【0092】
RRC接続再設定メッセージは、UE100にハンドオーバを実行させるためのハンドオーバコマンド(HO Cmd)を含む。また、RRC接続再設定メッセージ(ハンドオーバコマンド)は、HOコマンドコンテナを含む。
【0093】
UE100は、HOコマンドコンテナに含まれるSCG設定情報及びT−MCG設定情報に基づいて、SeNB200−2との間で確立されているSCGベアラをSplitベアラにベアラタイプを変更する設定を適用する。また、UE100は、SCGベアラによる送受信を中断する。
【0094】
ステップS6において、UE100は、T−MeNB200−3に対してランダムアクセス手順を開始する。ランダムアクセス手順が完了した場合、UE100は、ランダムアクセス手順を完了した後、T−MeNB200−3に上り送信(UL送信)を実行できる。また、UE100とT−MeNB200−3とのRRC接続が確立される。
【0095】
ステップS7において、UE100は、ランダムアクセス手順を完了した後、T−MeNB200−3にRRC接続再設定完了メッセージ(RRCConnectionReconfiguration complete)を送信する。
【0096】
ステップS8において、T−MeNB200−3は、RRC接続再設定が完了したことをSeNB200−2に通知する。
【0097】
ステップS9において、UE100は、SeNB200−2に対してランダムアクセス手順を開始する。UE100は、ランダムアクセス手順を完了した後、SeNB200−2に上り送信(UL送信)を実行できる。
【0098】
ステップS10において、S−MeNB200−1は、セカンダリeNBを解放するためのSeNB解放要求(SeNB Release Request)をSeNB200−2に送信する。
【0099】
ステップS11aにおいて、SeNB200−2は、SeNB解放要求の受信に応じて、S−MeNB200−1に対してSN転送処理(SN transfer)を開始する。SeNB200−2は、S−MeNB200−1に、UE100へ送信済みのデータのSN値及びUE100から受信済みのデータのSN値の少なくとも一方を通知する。
【0100】
ステップS11bにおいて、S−MeNB200−1は、T−MeNB200−3に対してSN転送処理(SN transfer)を開始する。S−MeNB200−1は、T−MeNB200−3に、UE100へ送信済みのデータのSN値及びUE100から受信済みのデータのSN値の少なくとも一方を通知する。ここでは、通知は、S−MeNB200−1から通知されたSN値を含んでもよい。
【0101】
ステップS12において、UE100へ送信される前の未送信データがT−MeNB200−3に転送される。
【0102】
まず、S−SGW300−1は、UE100へのデータ(ユーザデータ)を分割し、S−MeNB200−1及びSeNB200−2のそれぞれに送信し続ける。S−MeNB200−1は、分割された一方のユーザデータを受信し続け、SeNB200−2は、分割された他方のユーザデータをS−SGW300−1から受信し続ける。
【0103】
次に、SeNB200−2は、S−SGW300−1から受信したデータをPDCP層において暗号化せずに、S−MeNB200−1に送信(転送)する。従って、SeNB200−2は、UE100へ送信される前のデータであり且つ暗号化される前の未送信データ(PDCP SDU)をS−MeNB200−1に送信する。これにより、暗号化される前のデータがS−MeNB200−1に集まる。
【0104】
S−MeNB200−1は、S−SGW300−1から受信したデータをPDCP層において暗号化せずに、T−MeNB200−3に送信(転送)する。従って、S−MeNB200−1は、UE100へ送信される前のデータであり且つ暗号化される前の未送信データ(PDCP SDU)をT−MeNB200−3に送信する。また、S−MeNB200−1は、SeNB200−2から受信した未送信データ(PDCP SDU)をT−MeNB200−3に送信する。従って、T−MeNB200−3がS−MeNB200−1から受信する未送信データは、SeNB200−2からS−MeNB200−1へ転送された未送信データを含む。
【0105】
T−MeNB200−3は、S−MeNB200−1から受信した未送信データ(PDCP SDU)をPDCP層において処理する。これにより、T−MeNB200−3は、暗号化されたデータ(PDCP PDU)を生成する。
【0106】
ステップS13において、T−MeNB200−3は、Flow制御に基づいて、暗号化されたデータの一部をSeNB200−2に転送する。Flow制御は、UE100に通知されたRRC接続再設定メッセージ(T−MCG設定情報及びSCG設定情報)に基づく制御である。
【0107】
SeNB200−2は、転送されたデータをSplitベアラを用いてUE100へ送信する。また、T−MeNB200−3は、暗号化された残りのデータをUE100へ送信する。T−MeNB200−3は、MCGベアラ又はSeNB200−2を経由しないSplitベアラを用いてUE100へ送信する。
【0108】
なお、SeNB200−2は、S−SGW300−1に接続し、T−SGW300−3に接続していないが、T−MeNB200−3からUE100へのデータを受信するため、二重接続方式を実行することが可能である。
【0109】
ステップS14において、T−MeNB200−3は、データパスを切り替えるための切替要求(Path Switch Request)を上位ノードであるMME300−5に通知する。T−MeNB200−3は、T−MeNB200−3が接続しているT−SGW300−3にSeNB200−2が接続していない場合に、切替要求をMME300−5に通知する。
【0110】
ステップS15において、MME300−5は、切替要求の受信に応じて、SeNB200−2のSGWへの接続をS−SGW300−1からT−SGW300−3へ切り替える。なお、MME300−5は、既存のInter SCG HO処理によって切り替える。これにより、SeNB200−2は、UE100のデータをT−SGW300−3と送受信可能である。
【0111】
ステップS16において、T−MeNB200−3は、T−SGW300−3からUE100へのデータ(DL data)を受信する。T−MeNB200−3は、受信したデータをPDCP層において処理し、暗号化されたデータを作成する。
【0112】
ステップS17において、T−SGW300−3は、ステップS13と同様に、Flow制御に基づいて、暗号化されたデータの一部をSeNB200−2に転送し、暗号化された残りのデータをUE100に送信する。SeNB200−2は、受信したデータをUE100に送信する。
【0113】
以上より、一連のハンドオーバ手順において、SCGベアラをSplitベアラに変更することによって、UE100が、SeNB200−2との接続を維持したまま、S−MeNB200−1からT−MeNB200−3へのハンドオーバを実行し、T−MeNB200−3をマスタeNBとして二重接続方式を継続できる。従って、UE100とT−MeNB200−3との間で、T−MeNB200−3とSeNB200−2とを用いた二重接続方式を開始するためのシグナリングの発生を抑制できる。
【0114】
(変更例1)
次に、実施形態の変更例1について
図10を用いて説明する。
図10は、実施形態の変更例1に係る動作を説明するための図である。上述した実施形態と異なる部分を中心に説明し、同様の部分は、説明を適宜省略する。
【0115】
変更例1では、SeNB200−2は、S−SGW300−1から受信したデータをS−MeNB200−1ではなく、T−MeNB200−3に転送する。
【0116】
ステップS21〜S30は、ステップS1〜S10に対応する。
【0117】
ステップS31aにおいて、SeNB200−2は、S−MeNB200−1ではなく、T−MeNB200−3に対してSN転送処理(SN transfer)を開始する。SeNB200−2は、T−MeNB200−3に、UE100へ送信済みのデータのSN値及びUE100から受信済みのデータのSN値の少なくとも一方を通知する。なお、ステップS31bは、ステップS11bに対応する。
【0118】
ステップS32において、SeNB200−2は、S−SGW300−1から受信したデータをT−MeNB200−3に転送する。従って、T−MeNB200−3は、S−MeNB200−1及びSeNB200−2のそれぞれから未送信データ(PDCP SDU)を受信する。従って、T−MeNB200−3がS−MeNB200−1から受信する未送信データは、SeNB200−2からS−MeNB200−1へ転送された未送信データを含まない。これにより、S−MeNB200−1の処理負荷を減少できる。
【0119】
ステップS33〜S37は、ステップS13〜S17に対応する。
【0120】
(変更例2)
次に、実施形態の変更例2について
図11を用いて説明する。
図11は、実施形態の変更例2に係る動作を説明するための図である。上述した実施形態と異なる部分を中心に説明し、同様の部分は、説明を適宜省略する。
【0121】
変更例2では、ハンドオーバの前後でSCGベアラを維持する。すなわち、ベアラタイプがSCGベアラからSplitベアラに変更されない。
【0122】
ステップS51は、ステップS1に対応する。
【0123】
ステップS52において、T−MeNB200−3は、追加要求(SeNB Addition Request)を、SeNB IDに対応するSeNB200−2に送信する。
【0124】
T−MeNB200−3は、SCGベアラによって二重接続方式を実行すると決定した後、追加要求(具体的には、設定情報(SCG−ConfigInfo))に、T−SGW300−3とUE100との間にT−MeNB200−3を経由せずにSeNB200−2を経由するデータパス(SCG bearer)を確立することを示すSCGベアラ情報を含める。T−MeNB200−3は、ハンドオーバ要求に含まれるSCGベアラが確立されていることを示す情報(SCG info)に基づいて、SCGベアラによって二重接続方式を実行すると決定してもよい。
【0125】
SeNB200−2は、SCGベアラ情報に基づいて、T−MeNB200−3がSCGベアラを確立する(SCGベアラを維持する)ことを要求していることを知る。以下において、SeNB200−2がSCGベアラを維持することを了承したと仮定して説明を進める。
【0126】
ステップS53〜S60は、ステップS3〜S10に対応する。また、ステップS61は、ステップS11bに対応する。
【0127】
ステップ62aにおいて、SeNB200−2は、S−SGW300−1から分割された一方のユーザデータ(DL data)をS−SGW300−1から受信する。SeNB200−2は、ステップS52においてT−MeNB200−3から受信した暗号化情報(new S−KeNB)に基づいて、S−SGW300−1から受信したデータの暗号化を行う。具体的には、SeNB200−2は、PDCP層においてデータの暗号化を行い、暗号化されたデータ(PDCP PDU)を生成する。SeNB200−2は、T−MeNB200−3からRRC接続再設定が完了したことを通知された後に、new S−KeNBに基づいて暗号化されたデータをUE100に送信する。
【0128】
ステップS62bは、ステップS12に対応する。S−MeNB200−1は、new S−KeNBを知らないので、ステップS12と同様に、UE100へ送信される前のデータであり且つ暗号化される前の未送信データ(PDCP SDU)をT−MeNB200−3に送信する。
【0129】
ステップS63は、ステップS14に対応する。T−MeNB200−3は、データパスを切り替えるための切替要求(Path Switch Request)を上位ノードであるMME300−5に通知する。
【0130】
T−MeNB200−3は、SCGベアラによって二重接続方式を実行する場合で、且つ、T−MeNB200−3が接続しているT−SGW300−3にSeNB200−2が接続していない場合に、切替要求をMME300−5に通知する。
【0131】
切替要求は、T−SGW300−3とUE100との間にSeNB200−2を経由しT−MeNB200−3を経由しないデータパス(SCGベアラ)を確立するための要求である。切替要求は、少なくとも当該SCGベアラを確立するために必要な情報を含む。例えば、必要な情報は、T−SGW300−3が、UE100へのユーザデータをT−MeNB200−3及びSeNB200−2に送信できるように設定するための情報である。また、必要な情報は、T−SGW300−3が、UE100からのユーザデータをT−MeNB200−3及びSeNB200−2から受信できるように設定するための情報である。具体的には、必要な情報は、S−MeNB200−1とSeNB200−2との終端情報(end point情報)を含む。
【0132】
ステップS64は、ステップS15に対応する。MME300−5は、切替要求に基づいて、SeNB200−2のSGWへの接続をS−SGW300−1からT−SGW300−3へ切り替える。また、MME300−5は、T−SGW300−3とUE100との間にSSCGベアラを確立するように設定する。
【0133】
ステップS65aにおいて、T−MeNB200−3は、T−SGW300−3からUE100へのデータ(DL data)を受信する。T−MeNB200−3は、受信したデータをPDCP層において処理し、暗号化されたデータを作成する。T−MeNB200−3は、暗号化されたデータをUE100に送信する。
【0134】
ステップS65bにおいて、SeNB200−2は、T−SGW300−3からUE100へのデータ(DL data)を受信する。SeNB200−2は、new S−KeNBに基づいて受信したデータをPDCP層において処理し、暗号化されたデータを作成する。SeNB200−2は、暗号化されたデータをUE100に送信する。
【0135】
以上のより、UE100が、SeNB200−2との接続(すなわち、SCGベアラ)を維持したまま、S−MeNB200−1からT−MeNB200−3へのハンドオーバを実行し、T−MeNB200−3をマスタeNBとして二重接続方式を継続できる。従って、UE100とT−MeNB200−3との間で、T−MeNB200−3とSeNB200−2とを用いた二重接続方式を開始するためのシグナリングの発生を抑制できる。
【0136】
[その他の実施形態]
上述した実施形態では、T−MeNB200−3は、追加要求をSeNB IDに対応するSeNB200−2に送信していたが、これに限られない。T−MeNB200−3は、二重接続方式におけるSeNB200−2でのUE100のコンテキスト情報の変更を要求する変更要求(SeNB Modification Request)をSeNB IDに対応するSeNB200−2に送信してもよい。変更要求は、二重接続方式において、SeNB200−2がUE100に割り当てるリソースの変更を要求する情報であってもよい。変更要求は、上述した実施形態と同様の情報を含むことが可能である。変更要求を受信したSeNB200−2は、上述した実施形態と同様の動作を実行する。追加要求だけでなく、変更要求によっても、上述した実施形態と同様に、二重接続方式を開始するためのシグナリングの発生を抑制できる。
【0137】
上述した実施形態では、移動通信システムの一例としてLTEシステムを説明したが、LTEシステムに限定されるものではなく、LTEシステム以外のシステムに本発明を適用してもよい。
【0138】
[相互参照]
米国仮出願第62/112764号(2015年2月6日出願)の全内容が参照により本願明細書に組み込まれている。