(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記重り部、前記バネ部、および前記ダンピング部は、フレクシャ用積層材をエッチング加工して設けたものであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のヘッドアッセンブリ。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の好適な実施形態に係るヘッドアッセンブリが搭載される磁気ディスク装置の概略平面図である。
【
図2】本発明の好適な実施形態に係るヘッドアッセンブリの斜視図である。
【
図3】本発明の好適な実施形態に係るヘッドアッセンブリの分解斜視図である。
【
図4】本発明の好適な実施形態に係るヘッドアッセンブリが備えるフレクシャの分解斜視図である。
【
図5a】本発明の好適な実施形態に係るヘッドアッセンブリが備える第1の駆動手段の平面図である。
【
図6】本発明の好適な実施形態に係るヘッドアッセンブリの先端要部を上面側から見た平面図である。
【
図7】本発明の好適な実施形態に係るヘッドアッセンブリの先端要部を下面側から見た平面図である。
【
図11a】
図6の構成を簡素化した本発明の一実施例のモデル図である。
【
図11b】本発明の一実施例において、第1および第2の駆動手段によりスライダが支点突起を中心に回動運動している様子を簡素化して示したモデル図である。
【
図11c】本発明の一実施例において、第1および第2の駆動手段によりスライダが支点突起を中心に回動運動している様子を簡素化して示したモデル図である。
【
図11d】本発明の一実施例において、スライダ、スライダ支持板、動吸振器をさらに簡素化したモデル図である。
【
図11e】本発明の一実施例において、スライダ、スライダ支持板、動吸振器をさらに簡素化したモデルの動作状態を示した図である。
【
図12】ヘッドの位置決め制御をおこなうための制御ブロック図である。
【
図13a】ヘッド位置決め特性において、ゲイン余裕がない場合のボード特性図。
【
図13b】ヘッド位置決め特性において、ゲイン余裕が10dBである場合のボード特性図。
【
図13c】ヘッド位置決め特性において、ゲイン余裕が20dBである場合のボード特性図。
【
図14】本発明の一実施例における動吸振器の振る舞いを説明するための簡易モデル図である。
【
図15a】動吸振器の働きを説明するための周波数応答特性を示す図である。
【
図15b】動吸振器の働きを説明するための周波数応答特性を示す図である。
【
図15c】動吸振器の働きを説明するための周波数応答特性を示す図である。
【
図16】本発明の一実施例におけるヘッドアッセンブリのヘッド素子の位置決め周波数応答特性を示す図である。
【
図17】本発明の一実施例におけるヘッドアッセンブリにおけるダンピング特性効果を示す周波数応答特性の図である。
【
図18】第一の従来例のヘッドアッセンブリの先端要部を上面側から見た平面図である。
【
図19a】第一の従来例のヘッドアッセンブリの構成モデル図である。
【
図19b】第一の従来例のヘッドアッセンブリの構成モデルにおける動作図である。
【
図19c】第一の従来例におけるロードビームの共振を説明する簡易図である。
【
図19d】第一の従来例のヘッドアッセンブリにおけるヘッド素子の位置決め周波数応答特性を示す図である。
【
図20】第二の従来例のヘッドアッセンブリの先端要部を上面側から見た平面図である。
【
図21a】第二の従来例のヘッドアッセンブリの構成モデル図である。
【
図21b】第二の従来例のヘッドアッセンブリの構成モデルにおける動作図である。
【
図21c】第二の従来例において、スライダの回動部とカウンターバランスをさらに簡素化したモデル図である。
【
図21d】第二の従来例においてロードビームの共振が発生しない構成を説明する簡易図である。
【
図21e】第二の従来例のヘッドアッセンブリにおけるヘッド素子の位置決め周波数応答特性を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明する。なお、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。また以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるものや実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成要素は適宜組み合わせることができる。また、本発明の要旨を逸脱しない範囲で構成要素の種々の省略や置き換え又は変更ができる。
【0019】
図1は、本発明の好適な実施形態に係るヘッドアッセンブリが搭載されるロード/アンロード方式の磁気ディスク装置(HDD装置)の全体構成を概略的に示したものである。
図1より、磁気ディスク装置1は、ハウジング4、スピンドルモータにより軸5を中心にして回転駆動される磁気ディスク6、先端部にヘッド素子7を有するスライダ3が装着されているヘッドアッセンブリ2、このヘッドアッセンブリ2を先端部で支持する支持アーム8から構成されている。
【0020】
支持アーム8の後端部には、ボイスコイルモータ(VCM)のコイル部が装着されている。支持アーム8は、水平回動軸9を中心にして磁気ディスク6の表面と平行に回動可能となっている。VCMはこのコイル部(図示せず)とこれを覆うマグネット部10とから構成されている。磁気ディスク6のデータ領域の外側から磁気ディスク6の外側に渡ってランプ機構11が設けられており、その傾斜した表面にヘッドアッセンブリ2の最先端に設けられたタブ12が乗り上げることでスライダ3は、磁気ディスク6から離間させアンロード状態となる。
【0021】
磁気ディスク装置1の動作時(磁気ディスクの高速回転中)において、スライダ3は磁気ディスク6の表面に対してわずかな浮上量で浮上し、ロード状態にある。一方、非動作時(磁気ディスクの停止中または起動及び停止時の低速回転中)においては、ヘッドアッセンブリ2の先端部のタブ12がランプ機構11上に持ち上げられるので、スライダ3はアンロード状態にある。
【0022】
図2は、本発明の好適な実施形態におけるヘッドアッセンブリの全体構成を概略的に示した斜視図である。なお、以降、説明の便宜上、図のZ軸正方向をヘッドアッセンブリ2の上面側と呼び、Z軸負方向をヘッドアッセンブリ2の裏面側、または、下面側と呼ぶこととする。スライダ3は、インダクティブ書込みヘッド素子と、巨大磁気抵抗効果(GMR)読出しヘッド素子又はトンネル磁気抵抗効果(TMR)読出しヘッド素子等のMR読出し薄膜磁気ヘッドからなるヘッド素子7をスライダ3の後端(トレーリングエッジ、
図2のY軸正方向側)面に備えている。
【0023】
図2において、ヘッドアッセンブリ2は、その主なる構成要素として、ベースプレート13、ロードビーム14、フレクシャ15、第1の駆動手段16aである第1の薄膜圧電体素子および第2の駆動手段16bである第2の薄膜圧電体素子、およびスライダ3を備えている。なお、フレクシャ15には動吸振器33が形成されている。また、ベースプレート13は支持アーム8の先端部に取り付けられるように構成されている。
【0024】
ロードビーム14は、複数のビーム溶接ポイント17aによりベースプレート13に固着されている。また、板バネ18は、ロードビーム14に形成されており、磁気ディスクに対してスライダ3に所定の押しつけ力を付与する。さらにロードビーム14は両サイドに折り曲げ加工部19を施し強度を高めた構造となっている。なお、配線基板であるフレクシャ15は、ビーム溶接ポイント17bによりロードビーム14に固着されている。
図2に、スライダ3の姿勢角を、ピッチ方向をDp、ロール方向をDr、ヨー方向をDyで示してある。なお、ベースプレート13やロードビーム14は、各図においてY軸方向に平行な中心軸に対して線対称である。
【0025】
図3は、本発明の好適な実施形態に係るヘッドアッセンブリを概略的に示した分解斜視図である。すなわち、
図3は、ヘッドアッセンブリ2をロードビーム14、フレクシャ15、ベースプレート13、第1および第2の駆動手段16a、16b、スライダ3に分解した状態を示している。フレクシャ15は、一般的に18μm程度の薄いステンレス鋼板であるフレクシャ基板24上に絶縁層をコーティングされ、その上に銅箔をめっきした配線基板であって、ステンレス鋼板、絶縁層、銅箔を任意の形状にエッチングして所定の形状に精密加工される。
【0026】
図3に示すように、スライダ3は、フレクシャ15に形成されたスライダ支持板20上に接着固定される。支点突起21は、ロードビーム14の先端部近傍の中心線上に一体的に突出形成されている。スライダ支持板20は、第1のアウトリガ22aと第2のアウトリガ22bによって支えられ、支点突起21に背面からスライダの中心位置に点接触して回動自在に支持されている。したがって、スライダ支持板20はピボット構造でロードビーム14に支えられる。また、第1および第2のアウトリガ22a,22bは、スライダ3の姿勢を柔軟に保持している。これによりスライダ3は、ディスク面のうねりによる姿勢の変化に対応してスムーズに追従する。なお、支点突起21とスライダ支持板20との間には、ロードビーム14の板バネ18によって生じる押し付け力が作用している。そのため、スライダ支持板20は、X方向Y方向に対し、この押し付け力による摩擦力で保持された状態にある。
【0027】
また、第1の駆動手段16aおよび第2の駆動手段16bは、フレクシャ15の第1の圧電体支持部23aおよび第2の圧電体支持部23b上に接着される。この第1および第2の駆動手段16a,16bは、交互に伸縮しスライダ支持板20にその平面に沿ったヨー方向の回転力を付与し、支点突起21を中心にスライダ支持板20を回動させる。なお、第1の圧電体支持部23aおよび第2の圧電体支持部23bはフレクシャ15を構成している絶縁層41で形成されている。さらに、動吸振器33は、スライダ支持板20に設けられている。なお、動吸振器33は、支点突起21よりもロードビームの後端側に位置している。
【0028】
図4は、本発明の好適な実施形態におけるヘッドアッセンブリが備えるフレクシャの構成を示した分解斜視図である。
図4では、本来一体化したフレクシャであるが、解かりやすく示すためフレクシャ基板24とヘッド素子配線25(配線部)を分離して示した。動吸振器33は、第一の重り部33a、第二の重り部33e、バネ部33b、およびダンピング部33cで構成され、フレクシャ用積層材をエッチング加工して設けられたものである。具体的には、動吸振器33の第一の重り部33aおよびバネ部33bは、ヘッド素子配線25と同じ銅箔で構成されている。また、ダンピング部33cは、ポリイミド製絶縁層41で形成されている。なお、動吸振器33の第二の重り部33eはフレクシャ基板24からエッチング形成される。また、第一の重り部33aの上側表面は、銅箔の配線材が露出しており、この表面に半田ボール等の質量(質量調整部)を付加することが可能となっている。
【0029】
図5aは、本発明の好適な実施形態に係るヘッドアッセンブリが備える第1の駆動手段の平面図である。また、
図5bは、
図5aにおけるA−A断面を表し、
図5cは、
図5aにおけるB−B断面を表している。なお、第1の駆動手段16aと第2の駆動手段16bは同様の構造のため、ここでは第1の駆動手段16aの構造についてのみ図示する。薄膜圧電体26の上面側には上部電極27aが形成され、下面側には下部電極27bが形成されている。この第1の駆動手段16aは非常に薄くかつ破損しやすい構成であるので柔軟な補強材として基台28が設けられている。
【0030】
第1の駆動手段16aは、薄膜圧電体26を保護するために全体がポリイミド製の絶縁カバー30で覆われている。なお、
図5a中のC部、D部では絶縁カバー30の一部が除去されている。C部では下部電極27bが露出し第1の電極パッド29aと導通している。D部では上部電極27aが露出しており第2の電極パッド29bと導通している。これにより、第1の電極パッド29a、第2の電極パッド29bに電圧印加することで第1の駆動手段16aの薄膜圧電体26を伸縮させることができる。なお、薄膜圧電体26の分極方向を
図5bに矢印で示している。分極方向に電界を与える(第1の電極パッド29aにマイナス電圧を印加し、第2の電極パッド29bにプラス電圧を加える)と、薄膜圧電体26は圧電定数d31により圧電膜の面内方向に収縮することになる。また、分極方向とは逆に電界を与えると伸びる。第1の電極パッド29aに相当する第3の電極パッド29cにマイナス電圧を印加し、第2の電極パッド29bに相当する第4の電極パッド29dにプラス電圧を印加すれば、第2の駆動手段16bの薄膜圧電体26は圧電定数d31により圧電膜の面内方向に収縮する。
【0031】
図6は、本発明の好適な実施形態に係るヘッドアッセンブリの先端要部を上面側(スライダ側)から見た平面図である。
図7は、本発明の好適な実施形態に係るヘッドアッセンブリの先端要部を下面側から見た平面図(
図6のヘッドアッセンブリを裏面側から見た平面図)である。なお、説明の便宜上、ロードビーム14は図示していない。
【0032】
図6において、ヘッド素子配線25(配線部)はスライダ3を囲む形で配置されているスライダ3のヘッド電極端子31は対応したヘッド素子配線25(配線部)に半田ボールによって接続される。スライダ支持板20の両側に配置された第1および第2のアウトリガ22a,22bには第1の折り曲げ部32aと第2の折り曲げ部32bが形成されている。さらに第1および第2の折り曲げ部32a,32bのそれぞれの延長線L1,L2の交点が支点突起21に一致するように構成されている。これにより、第1の折り曲げ部32a、第2の折り曲げ部32bは容易に屈曲するのでスライダ支持板20は支点突起21を中心に微小回動する。
【0033】
このヘッド素子配線25(配線部)は第1および第2のアウトリガ22a,22bに部分的に固着されている(
図6のC−C部)とともに、スライダ支持板20から延出した第1の駆動リブ36aと第2の駆動リブ36bにも同様に固着されている(
図6のF−F部)。
【0034】
第1および第2の駆動手段16a,16bは、第1、第2、第3、第4の電極パッド29a,29b,29c,29dに電圧を印加して駆動される。駆動配線37aは、第1の電極パッド29aと第4の電極パッド29dに電圧を入力するように配置され、グランド配線37bは、第2の電極パッド29bと第3の電極パッド29cとを繋いでいる。これにより駆動配線37aに交番駆動信号を入力すれば、第1の駆動手段16aと第2の駆動手段16bとはお互い逆方向に伸縮運動することになる。
【0035】
なお、スライダ支持板20にはスライダ3が磁気ディスク6上からアンロードする際にスライダ3を磁気ディスク面から持ち上げるためのT型リミッタ部34(
図6、
図7)が形成されている。このT型リミッタ部34は、折り曲げ部34aでスライダ3とは反対側に曲げ加工され、ロードビーム14に形成された孔部35(
図3に示す)に係合している。なお、ロードアンロード以外の通常動作時はT型リミッタ部34と孔部35は接触しない。
【0036】
図7は、
図6を裏面側から見た図である。
図7において、剛性の高い第1のリンク39aは、変形しやすい第1のジョイント40aと第2のジョイント40bの間で形成されている。第1のジョイント40aは第1の駆動リブ36aと連結され、また、第2のジョイント40bは、フレクシャ15の一部である第1の固定部24aで連結されている。同様に、剛性の高い第2のリンク39bは、変形しやすい第3のジョイント40cと第4のジョイント40dの間に形成され、第3のジョイント40cは第2の駆動リブ36bと連結され、第4のジョイント40dは、フレクシャ15の一部である第2の固定部24bで支えられている。
【0037】
第1の駆動手段16aと第2のジョイント40bおよびフレクシャ基板24とを分離する第1の分離溝44aが設けられている。この第1の分離溝44aは薄膜圧電体26の長手方向(Y軸方向)の長さに相当する範囲に沿って形成される。ヘッドアッセンブリ2はY軸に平行な対称軸に線対称な形状であり、第2の分離溝44bについても同様である。
【0038】
図8a〜
図8fは、
図6における要部断面を示した図である。フレクシャ15は、厚さ18μmのステンレス材のフレクシャ基板24上にポリイミド等の絶縁層41を形成しその上にヘッド素子配線25(配線部)を形成され、ヘッド素子配線25は絶縁または保護の目的でポリイミド等の配線カバー層42で覆われている。またフレクシャ15は、必要とする機構的な機能を、フレクシャ基板24を任意形状にエッチング加工することにより確保している。
図8aは
図6におけるC−C断面を示す断面図である。
図8bは
図6におけるD−D断面、
図8cは
図6におけるF−F断面、
図8dは
図6におけるG−G断面、
図8eは
図6におけるH−H断面、
図8fは
図6におけるE−E断面を示す断面図である。
【0039】
図8aに示すC−C部分においては、第1のアウトリガ22aは、フレクシャ基板24で構成され、スライダ支持板20に連結している。この第1のアウトリガ22a上の一部に絶縁層41が形成され、その上に銅箔によるヘッド素子配線25(配線部)が形成され、ヘッド素子配線25(配線部)を覆うように配線カバー42が形成されている。
図8bに示すD−D部分においては、ヘッド素子配線25(配線部)の裏面側にあるフレクシャ基板24がエッチングにより取り除かれ、スライダ支持板20、第1のアウトリガ22a、およびヘッド素子配線25(配線部)は分離されている。
図8cに示すF−F部分においては、スライダ支持板20から延出したフレクシャ基板24である第1の駆動リブ36aとヘッド素子配線25(配線部)の一部分が固着され、ヘッド素子配線25(配線部)と第1のアウトリガ22aは分離されている。
【0040】
図8dに示すG−G部分において、第1のジョイント40aは、D−D断面と同じ断面形状であってフレクシャ15のフレクシャ基板24をエッチング除去したヘッド素子配線25(配線部)、絶縁層41、配線カバー42で形成されている。
図8eに示すH−H部分において、第2のジョイント40bは、フレクシャ15のフレクシャ基板24をエッチング除去したヘッド素子配線25(配線部)、絶縁層41、配線カバー42で形成されている。なお、第1および第2のジョイント40a,40bは、第1のリンク39aに比較して柔軟な構成であるので、第1の駆動手段16aが伸縮運動したとき、第1のリンク39aは第2のジョイント40bを中心に微小回動運動する。同様に第2の駆動手段16bが伸縮運動したとき、第2のリンク39bは、第4のジョイント40dを中心に微小回動運動する。これに連動して、スライダ支持板20が支点突起21を中心に回動する。
【0041】
図8fに示すように、第1の駆動手段16aは、第1のリンク39aの補強板43aにオーバーラップした位置(
図8fの破線Pの部分)で第1の圧電体支持部23a上に接着されている。また、第1の駆動手段16aは、他方の先端部もフレクシャ15のフレクシャ基板24にオーバーラップして(
図8fの破線Qの部分)で第1の圧電体支持部23a上に接着されている。第2の駆動手段16bも同様に、第2のリンク39bの補強板43bに、一方の先端部がオーバーラップした位置で第2の圧電体支持部23b上に接着されている。さらに第2の駆動手段16bの他方の先端部もフレクシャ15のフレクシャ基板24にオーバーラップした位置で第2の圧電体支持部23b上に接着されている。これによって薄膜圧電体26の変位を確実に第1のリンク39a(あるいは第2のリンク39b)に伝達することができる。
【0042】
本実施形態では、動吸振器33は、支点突起21よりもロードビーム14の後端側に位置し、第1の駆動手段16aと第2の駆動手段16bの間にあって、第1の駆動手段16aと第2の駆動手段16bに挟まれる位置に設けられている。動吸振器33は、第一の重り部33aと、第二の重り33eと、第一の重り部33aをスライダ支持板20に連結するバネ部33bと、第一の重り部33aがスライダ支持板20に対して振動する振幅を抑制するダンピング部33cと、バネ部33bとダンピング部33cを支えるフレーム部33dで構成される。第一の重り部33aとバネ部33bは、フレクシャ15の絶縁層41上にヘッド素子配線25と同じ銅箔でエッチング形成される。また、ダンピング部33cは、ポリイミド製の絶縁層41でエッチング形成している。さらに、第二の重り部33eは、フレクシャ基板24でエッチング形成される。このように動吸振器33の構成をフレクシャ15のエッチングプロセスで加工できるので、新たな加工プロセスを必要とせず、加工コストが全くかからない。
【0043】
本実施形態において、第一の重り部33a、第二の重り部33eは、略矩形状であり、図示X方向に沿って設けられているが、図示Y軸に対して対称であれば形状は任意に設定できる。これら第一および第二の重り部33a,33eは、動吸振器33における質量部としての機能を果たす。
【0044】
フレーム部33dは、第一の重り部33a、バネ部33b、第二の重り部33eを囲むように枠状に設けられている。バネ部33bは、Y軸のマイナス方向に沿って伸びるように設けられ、長手方向の一端がフレーム部33dに連結される。また、バネ部33bの長手方向の中央付近において第一の重り部33aに連結されている。
【0045】
このように、第一の重り部33a、第二の重り部33e、バネ部33b、ダンピング部33cは、全体として略H型の形状を呈している。この構成により動吸振器33は、スライダ支持板20の回動方向に対して振動の自由度を有することとなる。ここでダンピング部33cは、スライダ支持板20の回動方向に対して振動を抑制する役割を担う。
【0046】
図9は、動吸振器の動作状態を示す図である。スライダ3が支点突起21を中心に回動するとき、第一の重り部33a(第二の重り部33e)は、図に示す矢印方向に往復振動する。なお、この矢印方向は、スライダ3のヘッド素子7が記録トラックを横断する方向に一致している。スライダ3が大きく共振する共振モードにおいては、動吸振器33の第一および第二の重り部33a、33eは、スライダ3の振動を吸収し共振を抑える働きをする。
【0047】
図10a、
図10bは、動吸振器33の断面を示した図であり、
図10aは、
図6におけるJ−J断面を示す断面図である。
図10bは、
図6におけるI−I断面を示す断面図である。バネ部33bは、絶縁層41で形成されたダンピング部33cの上面側に設けられている。また、第一の重り部33aは、絶縁層41の上面側に設けられ、第二の重り部33eは、絶縁層41の裏面側に設けられている。動吸振器33の共振周波数を最適値に合わせるため、第一の重り33aおよび第二の重りの33eの形状を任意に決めることができる。また、第一の重り部33aは、質量調整部を有していてもよい。具体的には、第一の重り部33a上に半田ボール33fを付加して共振周波数を微調整することも可能である。半田ボール33fを付加する位置は、支点突起21を通る対称軸(Y軸)上に一か所設けてもよく、さらに中心軸を対称に複数設けてもよい。なお、第一の重り部33a上で半田ボール33fを付加する位置には配線カバー層42が設けられていない。
【実施例】
【0048】
以下、本実施形態によって、ヘッド素子のトラック方向に共振しない周波数応答特性を持つヘッドアッセンブリを具体的に示す。
【0049】
(従来例)
まず、第一の従来例および第二の従来例の構成について説明する。
図18は、第一の従来例のヘッドアッセンブリを示した図である。
図20は、第二の従来例のヘッドアッセンブリを示した図である。なお、
図18に示す第一の従来構成に係るヘッドアッセンブリは、
図6に示す本実施形態のヘッドアッセンブリ2の構成から動吸振器33を除いたものであり、その他の構成は
図6に示す構成と同じである。また、
図20に示す第二の従来例に係るヘッドアッセンブリは、特許文献2に相当するものであって、
図6に示す本実施形態のヘッドアッセンブリ2の構成における動吸振器33の代わりに重心調整用のカウンターバランス60をスライダ支持板20に取り付け、回動部の重心Grを支点突起21に合わせた構成である。他の構成は
図6に示す構成と同じであるので説明を省略する。
【0050】
図19aは、
図18における第一の従来例を簡素化したモデル図である。
図19bは、第一の従来例において、第1の駆動手段および第2の駆動手段に交番電圧を印加することで、スライダが支点突起を中心に往復回動運動をしている状態を示す図である。スライダ3およびスライダ支持板20を含む回動部の重心Grは、支点突起21からヘッド素子7の方に向かって距離S
1離れた位置にある。そのため、スライダ3が回動運動することにより重心GrがX方向に移動する。この重心Grの移動による反作用は、支点突起21を介してロードビーム14に伝わり、ロードビーム14をX方向に揺さぶることになる。このロードビーム14の横揺れの振る舞いを
図19cに示した。
【0051】
図19dは、第一の従来例において、駆動手段に印加された入力電圧に対するヘッド素子7のX方向変位の応答特性を示す図である。この応答特性には25kHzの周波数でゲイン20dBの大きなピークが現れた。スライダ3およびスライダ支持板20を含む回動部の重心Grは支点突起21から離れており、この回動運動によるX方向の反力は支点突起21を介してロードビーム14に伝わる。この回動運動の周波数がロードビーム14の横揺れモード(Swayモード)に一致すると、ロードビーム14の横揺れ共振(Swayモード)モードを励起する。
【0052】
次に、第二の従来例について説明する。
図21aは、
図20における第二の従来例を簡素化したモデル図である。
図21bは、第二の従来例において、第1の駆動手段および第2の駆動手段に交番電圧を印加することで、スライダが支点突起を中心に往復回動動作をしている状態を示す図である。
図21cは、第二の従来例において、スライダの回動部とカウンターバランスをさらに簡素化したモデル図である。ここで、Mは、第一の従来例のスライダ3とスライダ支持板20を含む回動部の重さに相当し、m
3はカウンターバランス60の質量に相当する。S
1は、Mの質量中心と支点突起21との距離、S3はカウンターバランス60の質量中心と支点突起21との距離を示す。なお、スライダ3とスライダ支持板20を含む回動部とカウンターバランス60全体の重心が、支点突起21の位置にあれば、全体が往復回動運動するとき支点突起21には反力は発生しない。重心が支点突起21の位置にある条件を簡単な式で表すと以下の式(1)となる。
【0053】
【数1】
【0054】
式(1)の両辺に回転運動の回動量θの角速度をかけると、以下の式(2)となる。
【0055】
【数2】
【0056】
ここで、角速度×距離は、速度であるので回動量θの角速度×距離S
1を速度V1、回動量θの角速度×距離S3を速度V3とすると、以下の式(3)で表すことが可能となる。
【0057】
【数3】
【0058】
したがって、支点突起21を中心にMとm
3の運動量のバランスが取れていると、支点突起21に反力が作用しないと理解できる。つまり、支点突起21に反力が作用しないのでロードビーム14は横揺れモードにおいても静止している。この状態を
図21dに示した。
【0059】
図21eは、第二の従来例において、駆動手段に印加された入力電圧に対するヘッド素子のX方向変位の応答特性を示す図である。カウンターバランス60を付加して支点突起21での反力の影響を少なくすることで、25kHzのロードビーム14の横揺れ共振は大幅に減少した。しかしながら、30kHzに新たな共振の山が現れた。この共振はスライダ3およびスライダ支持板20の質量と駆動手段16のバネ定数で決まり、スライダ3のヨー方向の共振である。このように第二の従来例においては、第一の従来例25kHzの共振は改善されているが、30kHzの新たな共振が生じた。これはさらにヘッド位置決めの制御帯域を広めるときの課題となる。
【0060】
(実施例)
以下、本発明の一実施例について説明する。
図11aは、
図6の構成を簡素化した本発明の一実施例のモデル図である。スライダ支持板20に第一の重り部33a(第二の重り部33e)がバネ部33bおよびダンピング部33cを介して取り付けられている。第1の駆動手段16aは、L字状の第1のリンク39aに一方端を固着され、他方端はフレクシャ基板24に固定されている。第1のリンク39aの両端部には第1のジョイント40aと第2のジョイント40bが配置されている。同様に第2の駆動手段16bは、L字状の第2のリンク39bに一方端を固着され、他方端はフレクシャ基板24に固定されている。第2のリンク39bの両端部には第3のジョイント40cと第4のジョイント40dが配置されている。
図11aにおいて、第1のジョイント40aと第2のジョイント40bを結んだ第1の線分L1と第3のジョイント40cと第4のジョイント40dを結んだ第2の線分L2は、ロードビーム14の支点突起21で交差している。
【0061】
ここで、まず実施例に係る動吸振器33の機能について説明する。
図14は、第一の重り部(第二の重り部)とバネ部とダンピング部による動吸振器の作用を説明するための簡易モデル図である。
図14において、主重り部50は、スライダ3とスライダ支持板20を含む回動部の慣性質量に相当する。主バネ部51は、主に第一および第二の駆動手段16a,16bの弾性係数に相当する。また、主ダンピング部52は、駆動手段16の絶縁カバー30、基台28、第一および第二の圧電体支持部23a,23bの持つダンピング係数の総和に相当する。副重り部53は、第一の重り部33aと第二の重り部33eの質量による支点突起21を中心とする慣性質量の和である。副バネ部54は、バネ部33bに相当する。副ダンピング部55は、ダンピング部33cに相当する。ベース面56は、
図11aにおけるフレクシャ基板24に相当する。
【0062】
図15aは、
図14における動吸振器がない場合であって、主重り部に周期的な外力fを加えたときの周波数応答特性を示した図である。この場合、主重り部50と主バネ部51から導かれる共振周波数ω0が現れ、この時のω0は、以下の式(4)で表される。ここで、Mは、主重り部50の質量(慣性質量)であり、Kは主バネ部のバネ定数である。
【0063】
【数4】
【0064】
図15bは、
図14における動吸振器の副ダンピング部がない場合の周波数応答特性を示した図である。この周波数応答特性には、2つの共振ピークω1、ω3が現れ、それらの共振ピークの間に反共振ピークω2が現れる。ここで、ω3<ω2<ω1であり、主ダンピング部52を無視すると、共振ピークω1、共振ピークω3は、以下の式(5)、(6)で表される。また、反共振ピークω2は、以下の式(7)で表される。ここで、Mは、主重り部50の質量(慣性質量)、Kは主バネ部のバネ定数、mは副重り部の質量、kは副重り部のバネ定数である。
【0065】
【数5】
【0066】
【数6】
【0067】
【数7】
【0068】
動吸振器33でω0の共振を抑えるために、反共振ω2は、ほぼω0に合うように動吸振器33のkおよびmを設定する。
【0069】
図15cは、
図14における周波数応答特性を示した図である。副ダンピング部55の作用により、
図15bで現れた共振ピークが解消し、周波数の低いところから高いところまで一様にフラットな特性を得ることができる。このように、もともとω0の共振を持つ系に動吸振器33を付加することによって、主重り部50の共振ω0を解消しフラットな周波数応答を得ることができる。
【0070】
次に、動吸振器33をヘッドアッセンブリ2に応用した本発明の一実施例の動作について説明する。
図11cは、本発明の一実施例において、第1および第2の駆動手段によりスライダが支点突起を中心に回動運動している様子を簡素化して示したモデル図である。まず、第1の駆動手段16aが収縮し、第2の駆動手段16bが伸長すると、第1のリンク39a、第2のリンク39bの作用によって、スライダ3は支点突起21を中心に反時計回りに微小回動することになる。このときの駆動手段16に印加される入力電圧に対するヘッド素子7のX方向変位の応答特性を
図16に示す。この応答特性は、共振ピークが抑えられなだらかな特性を示している。制御系の設計の観点から応答特性に共振ピークが存在すると、制御特性のゲイン余裕を確保しづらくなる。したがって、広い周波数帯域にわたってフラットな周波数応答特性を得ることがヘッド素子の精密位置決め実現する上で重要となる。
【0071】
図19dに示す第一の従来例の場合、25kHzに大きな共振ピークが生じている。この共振ピークは、ロードビームの横揺れモード(Swayモード)に相当する。この場合、制御特性としては、高々3kHz程度の制御帯域しか確保することができない。
図21eに示す第二の従来例の場合、カウンターバランス60によりスライダ3の回動部の重心Grが支点突起21に一致しているため、25kHzのロードビームの横揺れモード(Swayモード)は現れない。しかしながら、30kHzにスライダの回動モード(Yawモード)が現れる。30kHzは
図15aのω0に相当する。この場合、制御帯域は第一の従来例の場合よりは改善するが、10kHzの制御帯域を確保することは難しい。一方、
図16に示す本発明の一実施例の場合、共振ピークがなだらかにできるため、10kHz以上の制御特性を十分に確保できる。ここで、
図16の特性でダンピング係数を無視した場合の応答特性を
図17に実線で示す。図中、破線は、
図16と同じ特性図である。
図17より、ダンピング係数を最適化することで、
図16の特性が得られることが確認できる。
【0072】
ダンピング係数の最適化について、
図12、
図13を用いて説明する。
図12は、第一の駆動手段、第二の駆動手段を用いたサーボ制御器の制御ブロックを示したものである。第一の駆動手段16a、第二の駆動手段16bにより構成されるマイクロアクチュエータとVCMが並列に接続され、ヘッド位置決め量はマイクロアクチュエータとVCMの出力の和となる。マイクロアクチュエータの制御器のゲインCmaおよびVCMの制御器のゲインCvcmを並列に接続する。このシステムの制御安定性は、一巡伝達関数で大まかに見極めることができる。
【0073】
一巡伝達関数Gは、以下の式(8)で表される。
【0074】
【数8】
【0075】
ここで、Gmaは、ヘッド支持機構の伝達関数、Gvcmは、VCMの伝達関数である。この一巡伝達関数Gのボード線図を
図13に示した。この場合、制御帯域はゲイン=0dBとなる5kHzとなる。
図13aは動吸振器のダンピング部が不足している場合を示した。このとき動吸振器33の第一の共振点のピーク値が0dBであるので、制御安定性に問題がある場合である。
図13bはゲイン余裕が10dBである場合を、
図13cはゲイン余裕が20dBである場合を示した。一般的にゲイン余裕を10dB確保することが必要である。また、
図13cの場合では制御帯域を10kHzにすることも可能である。
【0076】
次に、動吸振器33でロードビーム14の横揺れモード(Swayモード)を抑えるメカニズムについて説明する。
図11bは、動吸振器の第一の共振周波数(ω3)より低い周波数範囲で駆動手段を動作させたときの動吸振器の第一および第二の重り部の振る舞いを示した図である。また、
図11cは、動吸振器の第一の共振周波数(ω3)より高い周波数範囲で駆動手段を動作させたときの動吸振器の第一および第二の重り部の振る舞いを示している。
図11bでは、スライダ3が反時計方向に回動したとき第一および第二の重り部33a,33eも支点突起21を中心に反時計方向に大きく振れる。逆に、
図11cでは、スライダ3が反時計方向に回動したとき第一および第二の重り部33a,33eは支点突起21を中心に時計方向に振れる。このように、第一の共振周波数ω3を境界として動吸振器33の動作モードが変化する。ここで、動吸振器33の第一の共振周波数ω3は、ロードビーム14の横揺れ共振モードよりも高い周波数である。なお、30kHzのω0を抑えたモードは
図11cに相当する。
【0077】
図11dは、
図11aにおけるスライダ、スライダ支持板、動吸振器をさらに簡素化したモデル図である。
図11eは、
図11bの動作状態を示した簡素化したモデル図である。
図11eにおいて、スライダ3およびスライダ支持板20の質量M(以下、単に「質量M」と記す)は、支点突起21を中心に回動量θ1回動し、支点突起21から距離S2の位置に配置された動吸振器33の第一の重り部33a(第二の重り部33e)の質量m(以下、単に「質量m」と記す)は、支点突起を中心に回動量θ2移動する。ロードビーム14の横揺れモードは、第一の共振周波数ω3より低い周波数であるので質量Mの回動量θ1と質量mの回動量θ2の往復運動の振動周期は同じで位相遅れも少ない。なお、振れ幅(回動量)θ1とθ2を比較すると、動吸振器33の第一の重り部33a(第二の重り部33e)の振れ幅θ2がスライダ3の振れ幅θ1より大きくなる。すなわちθ1<θ2となる。質量Mと質量mの振動周期は同じであるので、動吸振器33の第一の重り部33a(第二の重り部33e)の角速度(以下、単に「動吸振器33の角速度」と記す)が大きく増加する。すなわち振れ幅(回動量)θ1の角速度と振れ幅θ2の角速度は以下の式(9)の関係となる。
【0078】
【数9】
【0079】
ここで、質量Mの運動量と質量mの運動量が等しければ、支点突起21に反力が作用しないようにできるので、質量Mの速度をV1、質量mの速度をV2とすると以下の式(10)であれば支点突起に反力は発生しない。
【0080】
【数10】
【0081】
また、本実施例においては、スライダ3およびスライダ支持板20の質量Mの振れ幅(回動量)をθ1としているので、質量Mの速度V1は、振れ幅θ1の角速度×距離S
1、質量mの速度V2は、振れ幅θ2の角速度×距離S2となるので、式(10)は、以下の式(11)と表すことができる。
【0082】
【数11】
【0083】
質量mの運動量を質量Mの運動量に一致させる際、式(11)は、質量m、動吸振器33の振れ幅θ2の角速度および距離S2を自由に設定できることを示している。すなわち質量mが小さくても振れ幅θ2の角速度又は距離S2を大きくすれば良い。
図17の周波数応答特性において、ロードビーム14の横揺れモードは25kHzであり、動吸振器33の第一の共振周波数(ω3)は27.5kHzであるが、このようにロードビームの横揺れモードより動吸振器33の第一の共振周波数(ω3)を若干高い周波数となるように設定し、質量Mの運動量と質量mの運動量を釣り合わせることで,スライダ3およびスライダ支持板20の動的重心を支点突起21に合わせることができる。すなわち、スライダ3の回動動作の反動がロードビーム14に伝わらない。これにより、ロードビーム14の横揺れモードを抑制することができる。すなわち、重り部は、スライダ3のヘッド素子7が支点突起21に対して回動する方向と同方向の振動により共振する第一の共振点(ω3)を有し、第一の共振点(ω3)は、ロードビームの横揺れモードの共振周波数よりも高い周波数であるので、ロードビーム14の横揺れ共振を抑制できる。さらに、この第一の共振周波数(ω3)を横揺れモードの周波数にさらに近づける方向に動吸振器33の共振周波数の設定を変更すると、質量mの振幅は増大し動吸振器33の角速度は急激に大きくなる。したがって、質量mを小さくすることができるので、スライダ3およびスライダ支持板20を含む回動部の軽量化を図ることも可能となる。
【0084】
以上のように本実施例によれば、動吸振器33をカウンターバランスの代わりに配置することで、スライダ3のヨーモードを抑えることができるとともに、ロードビーム14の横揺れモードも抑えることが可能となり、制御帯域を大幅に広げることが可能となる。さらに、動吸振器33の第一の重り部33a(第二の重り部33e)の質量mを軽量化でき、スライダ3がディスク上に浮上する際のヘッドとディスクとのクラッシュをより少なくすることが可能となる。よって安定したスライダ3の浮上特性が得られることになる。