(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0019】
(実施の形態1)
本発明の実施の形態1に係る回転電機について、電動機を例に、図面に基づいて説明する。
なお、
図1及び
図2は本実施の形態1に係る電動機を説明するための概略図であり、固定子や出力軸を支持したり、センサ部などを支持したりする筐体は図示していない。
図1及び
図2に示す電動機10は、出力軸O1と同軸に形成された回転子20と、回転子20を回転駆動する磁束を励磁する固定子30とを備えている。
【0020】
回転子20は、円柱棒状の回転本体部21と、回転本体部21内部に収容された永久磁石22とを備えている。
永久磁石22は、N極またはS極のいずれか一方の磁極を回転半径方向の外側に向けていればよいが、本実施の形態では、球状に形成され、一方にN極が、反対側の他方にS極が、回転半径方向の外側に向けて回転本体部21に配置されている。
永久磁石22は、磁力が他の磁石より強いネオジム磁石が使用できる。
【0021】
固定子30は、回転子20が固定子30の端部(端部31T1,32T1,31T2,32T2)に向いたときに、固定子30の端部から固定子30内への磁路Rが、回転子20からの主磁束方向F1と交差する方向に形成されている。
本実施の形態1では、固定子30は、回転子20の回転軸線L1を中心して、巻線が円周方向に沿った円弧状に形成されている。この固定子30は、一対の半円状の第1巻線31及び第2巻線32から形成されている。
【0022】
第1巻線31及び第2巻線32は、内周側が互いに向き合うように配置されていることで、固定子30を円環状としている。
第1巻線31及び第2巻線32は、
図3に示すように、一方の端部31T1,32T1同士が配線により接続されていることで、直列接続されているが、並列接続としてもよい。
第1巻線31及び第2巻線32の巻線は、通電すると、向き合う一方の端部31T1,32T1同士、他方の端部31T2,32T2同士が同極を発生するように配線が巻かれている。
【0023】
図2に示すように、固定子30には、制御回路40が接続されている。
制御回路40は、センサ部41と、励磁回路部42とを備えている。
センサ部41は、出力軸O1に設けられている。
それぞれのセンサ部41は、一方の端部31T1,32T1をN極とし、他方の端部31T2,32T2をS極とするタイミングを検出したり、反対に、一方の端部31T1,32T1をS極とし、他方の端部31T2,32T2をN極としたりするタイミングを検出したりするために、第1センサ部411と、第2センサ部412とを備えている。
【0024】
第1センサ部411及び第2センサ部412は、発光ダイオードとフォトダイオードとによる透過型のフォトインタラプタ41aと、回転子20と共に回転して、透過型のフォトインタラプタ41aの発光ダイオードとフォトダイオードとの間を通過する円盤状の遮蔽板41bとを備えている。
【0025】
図3及び
図4に示すように、フォトインタラプタ41aは、第1センサ部411及び第2センサ部412に対応させて、それぞれ設けられているが、本実施の形態では、遮蔽板41bは、第1センサ部411及び第2センサ部412に共通させて設けられている。なお、遮蔽板41bは、第1センサ部411及び第2センサ部412にて共通して使用しているが、
図4においては、フォトインタラプタ41aに対応させて遮蔽板41bを別々に図示している。
【0026】
遮蔽板41bの周縁の一部には、円周方向に沿って、通電タイミング及び通電時間を規定するための円弧状切欠部41cが形成されている。この円弧状切欠部の位置は、永久磁石22のN極の位置に合わせて90度の範囲に形成されている。
フォトインタラプタ41aは、第1巻線31と第2巻線32とが向き合う一方の端部31T1,32T1の位置を0度の位置、第1巻線31と第2巻線32とが向き合う他方の端部31T2,32T2の位置を90度の位置としたときに、30度と120度の位置に形成されている。
【0027】
励磁回路部42は、第1巻線31及び第2巻線32への通電を制御するものである。
図4に示す励磁回路部42は、第1センサ部411部と第2センサ部412とを一組として、第1FET421a,421bから第3FET423a,423bまでのトランジスタにより、第1巻線31及び第2巻線32への通電方向を制御する。
【0028】
第1FET421aと第3FET423aとはn型FETである。第2FET422a,422bは、p型FETである。
第1FET421a,421bは、ゲート端子Gが抵抗R11,R12を介してフォトインタラプタ41aに接続されている。また、第1FET421a,421bは、ソース端子Sが接地されている。
【0029】
第2FET422a,422bは、ソース端子SがダイオードD11,D12を介して電源に接続されていると共に、コンデンサC11,C12を介して接地されている。また、第2FET422a,422bのゲート端子Gは、抵抗R21,R22を介して第1FET421a,421bのドレイン端子Dに接続されていると共に、抵抗R31,R32を介して第2FET422a,422bのソース端子Sに接続されている。第2FET422a,422bのドレイン端子Dは、ダイオードD21,D22のアノード端子Aに接続されていると共に、第3FET423a,423bのドレイン端子Dに接続されている。
【0030】
第3FET423a,423bは、ゲート端子Gが抵抗R41,R42を介してフォトインタラプタ41aに接続されている。第3FET423a,423bのソース端子Sは接地されている。
第1巻線31の他方の端部31T2からの配線は、第2FET422aのドレイン端子Dに接続されていると共に、第3FET423aのドレイン端子Dに接続されている。
第2巻線32の他方の端部32T2からの配線は、第2FET422bのドレイン端子Dに接続されていると共に、第3FET423bのドレイン端子Dに接続されている。
【0031】
以上のように構成された本発明の実施の形態1に係る電動機の動作を図面に基づいて説明する。
図1及び
図4に示す制御回路40に電源が供給される。
例えば、永久磁石22のN極が、第1センサ部411のフォトインタラプタ41aの方向へ向くと、
図3に示す第1センサ部411のフォトインタラプタ41aに遮蔽板41bの円弧状切欠部41cが位置する。
遮蔽板41bの円弧状切欠部41cにより、第1センサ部411のフォトインタラプタ41aの光が透過することで、第1センサ部411のフォトインタラプタ41aのフォトトランジスタが通電する。
【0032】
図4に示すように、第1センサ部411のフォトトランジスタが通電することで、フォトインタラプタ41aに、抵抗R11,R41を介して接続された第1FET421aのゲート端子Gと、第3FET423aのゲート端子Gとは、第1FET421aと第3FET423aとがオン状態となる、第1電圧となる。
【0033】
また、
図3に示すように、第1センサ部411のフォトインタラプタ41aに円弧状切欠部41cが位置するときには、第2センサ部412のフォトインタラプタ41aには円弧状切欠部41cが位置しないので、第2センサ部412のフォトインタラプタ41aは非通電状態にある。
従って、
図4に示すように、第2センサ部412のフォトインタラプタ41aに、抵抗R12,R42を介して接続された第1FET421bのゲート端子Gと、第3FET423bのゲート端子Gとは、第1FET421bと第3FET423bがオフ状態となる、第1電圧より低電圧の第2電圧(0V)となる。
【0034】
第1FET421bがオフ状態であるときには、第1FET421bのドレイン端子Dに抵抗R21を介して接続された第2FET422aのゲート端子Gは、電源Vssに接続された抵抗R31により第2FET422aがオフ状態となる第1電圧となる。
【0035】
第1FET421aがオン状態であるときには、抵抗R22が第1FET421aのドレイン端子Dに接続されているため、第2FET422bのゲート端子Gは、第2FET422bがオン状態となる、第2電圧になる。
【0036】
このようにして、第1FET421a,421b〜第3FET423a,423bのオン状態とオフ状態とが決定されると、電源Vssからの電流が、第2FET422bのソース端子SにダイオードD12を介して流れ込み、第2FET422bのドレイン端子Dから第2巻線32の他方の端部32T1へ流れる。
そして、電流が、第2巻線32から第1巻線31へ流れ、第1巻線31の他方の端部31T1から第3FET423aのドレイン端子Dへ流れ、第3FET423aのドレイン端子Dからソース端子Sへ流れることで、
図5(A)に示すように、第1巻線31の一方の端部31T1に、永久磁石22のN極と反発する同極(N極)の磁界が発生し、他方の端部31T2に、永久磁石22のS極と反発する同極(S極)の磁界が発生する。
第1巻線31及び第2巻線32が発生した磁界により、永久磁石22の両極が反発して、回転子20が回転する。
【0037】
一方、
図3に示すように、センサ部41のうち、第2センサ部412のフォトインタラプタ41aに遮蔽板41bの円弧状切欠部41cが位置する。
遮蔽板41bの円弧状切欠部41cにより、第2センサ部412のフォトインタラプタ41aの光が透過することで、第2センサ部412のフォトインタラプタ41aのフォトトランジスタが通電する。
【0038】
図4に示すように、第2センサ部412のフォトトランジスタが通電することで、フォトインタラプタ41aに、抵抗R12,R42を介して接続された第1FET421bのゲート端子Gと、第3FET423bのゲート端子Gとは、第1FET421bと第3FET423bとがオン状態となる、第1電圧となる。
【0039】
また、第2センサ部412のフォトインタラプタ41aに円弧状切欠部41cが位置するときには、第1センサ部411のフォトインタラプタ41aには円弧状切欠部41cが位置しないので、第1センサ部411のフォトインタラプタ41aは非通電状態にある。従って、第1センサ部411のフォトインタラプタ41aに、抵抗R11,R41を介して接続された第1FET421aのゲート端子Gと、第3FET423aのゲート端子Gとは、第1FET421aと第3FET423aがオフ状態となる、第2電圧となる。
【0040】
第1FET421aがオフ状態であるときには、第1FET421aのドレイン端子Dに抵抗R22を介して接続された第2FET422bのゲート端子Gは、電源Vssに接続された抵抗R32により第2FET422bがオフ状態となる第1電圧となる。
【0041】
第1FET421bがオン状態であるときには、抵抗R21が第1FET421bのドレイン端子Dに接続されているため、第2FET422aのゲート端子Gは、第2FET422aがオン状態となる、第2電圧になる。
【0042】
このようにして、第1FET421a,421b〜第3FET423a,423bのオン状態とオフ状態とが決定されると、電源Vssからの電流が、第2FET422aのソース端子SにダイオードD11を介して流れ込み、第2FET422aのドレイン端子Dから第1巻線31の他方の端部31T2へ流れる。
そして、電流が、第1巻線31から第2巻線32へ流れ、第2巻線32の他方の端部32T1から第3FET423aのドレイン端子Dへ流れ、第3FET423aのドレイン端子Dからソース端子Sへ流れることで、
図5(B)に示すように、第1巻線31の一方の端部31T1に、永久磁石22のS極と反発する同極(S極)の磁界が発生し、他方の端部31T2に、永久磁石22のN極と反発する同極(N極)の磁界が発生する。
第1巻線31及び第2巻線32が発生した磁界により、永久磁石22の両極が反発して、回転子20が回転する。
【0043】
次に、
図5(A)及び同図(B)に基づいて、回転子20の回転について詳細に説明する。
図5(A)に示すように、回転子20のN極が、第1巻線31,第2巻線32の一方の端部31T1,32T1から離れるタイミングで、遮蔽板41bの円弧状切欠部41c(
図3参照)が、第1センサ部411のフォトインタラプタ41aへ進入する。
これにより、回転子20のN極側に位置する第1巻線31,第2巻線32の一方の端部31T1,32T1が、回転子20のN極に対して、同極(N極)を発生する。
また、回転子20のN極と反対側のS極側に位置する第1巻線31,第2巻線32の他方の端部31T2,32T2が、回転子20のS極に対して、同極(S極)を発生する。
【0044】
N極を発生した第1巻線31,第2巻線32の一方の端部31T1,32T1から、S極を発生した第1巻線31,第2巻線32の他方の端部31T2,32T2へと、第1巻線31,第2巻線32の内側の円弧面に沿って磁力線が向かう。
回転子20のN極側では、一方の端部31T1,32T1からの磁力線に伴って反発し、他方の端部31T2,32T2からの磁力線に伴って吸引されて、回転駆動させられる。また、回転子20のS極側では、他方の端部31T2,32T2への磁力線に伴って反発し、一方の端部31T1,32T1からの磁力線に伴って吸引されて、回転駆動させられる。これにより、回転子20は半周分回転する。
【0045】
次に、
図5(B)に示すように、回転子20のS極が、第1巻線31,第2巻線32の一方の端部31T1,32T1から離れるタイミングで、遮蔽板41bの円弧状切欠部41c(
図3参照)が、第2センサ部412のフォトインタラプタ41aへ進入する。これにより、回転子20のS極側に位置する第1巻線31,第2巻線32の一方の端部31T1,32T1が、回転子20のS極に対して、同極(S極)を発生する。
また、回転子20のS極と反対側のN極側に位置する第1巻線31,第2巻線32の他方の端部31T2,32T2が、回転子20のN極に対して、同極(N極)を発生する。
第1巻線31と第2巻線32とが前記のように磁界を発生することで、回転子20は更に、半周分回転する。これを繰り返すことで、回転子20は回転し続けることができる。
【0046】
このように、電動機10では、固定子30が、回転子20の回転軸線L1を中心して、第1巻線31及び第2巻線32が円周方向に沿った円弧状に形成されている。
そのため、固定子30内の磁路は、巻線(第1巻線31,第2巻線32)の円弧状に沿ったものとなるので、回転子20の各磁極が第1巻線31及び第2巻線32の端部を向いて通過するときに、固定子30の端部から固定子30内への磁路が、回転子20からの主磁束方向と交差する方向となる。
従って、回転子20からの主磁束は、第1巻線31及び第2巻線32の筒内に真っ直ぐ入るように横切らない。従って、電動機10は、巻線の向きを半径方向に向けた従来の電動機より磁束の変化が小さいので、従来の電動機より逆起電力を小さいものとすることができる。
【0047】
よって、本実施の形態1に係る電動機10は、逆起電力の発生を抑えることにより、高電圧を印加しなくても高回転とすることができる。
【0048】
また、回転子20の永久磁石22は、球状に形成されているため、回転軸線L1から固定子30側に膨出した凸形状の先端から主磁束が放出される。従って、固定子30に向いた永久磁石22の球面の先端から固定子30に向かって磁束を集中させて放出させることができる。
固定子30が、複数の円弧状の第1巻線31、第2巻線32を円環状に配置したものであるため、複数の円弧状の巻線により回転子20の周囲を円環状に囲うことができる。
【0049】
(実施の形態2)
本発明の実施の形態2に係る回転電機について、電動機を例に、図面に基づいて説明する。なお、
図1及び
図2と同様に、
図6及び
図7においても、固定子や出力軸、センサ部などを支持する筐体は図示していない。また、
図6及び
図7において、
図1及び
図2と同じ構成のものは、同符号を付して説明を省略する。
【0050】
図6(A)及び同図(B)と、
図7に示すように、電動機11は、固定子として、複数の固定子30を備えている。
第1巻線31と、この第1巻線31と隣接する第2巻線32との隙間S1が、円周方向にずれた位置となるように、固定子30のそれぞれが配置されている。
本実施の形態2では、一対の固定子30は、回転軸線L1を中心に90度回転した位置に配置されている。
【0051】
図7に示すように、固定子30が追加されたことにより、追加された固定子30の第1巻線31及び第2巻線32の通電方向を制御する制御回路40が追加されている。
追加された制御回路40は、
図8に示すように、追加された固定子30の回転角度に合わせて、センサ部41のフォトインタラプタ41aの位置が90度回転している。
【0052】
実施の形態1に係る電動機10では、固定子30が第1巻線31と第2巻線32とにより形成されているため、第1巻線31と第2巻線32との間が、一方の端部31T1,32T1との間と、他方の端部31T2,32T2との間との2箇所できる。
一方の端部31T1,32T1がN極となり、回転子20のN極が反発して、回転したときに、S極を発生する他方の端部31T2,32T2まで回転すると吸引されて、回転子20が減速又は停止してしまうおそれがある。
【0053】
しかし、本実施の形態2に係る電動機11では、固定子30,30を備えており、固定子30を形成する第1巻線31及び第2巻線32の隙間が、90度ずれた位置に配置されているため、回転子20が固定子30の端部同士の隙間にて減速又は停止しようとしても、他の固定子30にて回転駆動することができる。そのため、回転子20が減速することなく回転を継続させることができる。
【0054】
電動機11は、固定子30が、第1巻線31と第2巻線32との2本の巻線により形成されていたため、2組の固定子30を90度ずれた位置に配置していたが、3本の巻線であれば60度ずれた位置、4本の巻線であれば45度ずれた位置とすることができる。
【0055】
(実施の形態3)
本発明の実施の形態3に係る回転電機について、電動機を例に、図面に基づいて説明する。なお、
図1及び
図2と同様に、
図9及び
図10においても、固定子や出力軸、センサ部などを支持する筐体は図示していない。また、
図9及び
図10に示すものにおいて、
図1及び
図2と同じ構成のものは、同符号を付して説明を省略する。
【0056】
図9(A)及び同図(B)と、
図10に示すように、電動機12は、固定子として、複数の巻線(第1巻線31,第2巻線32)同士の間のそれぞれに、直管状の巻線33,34が設けられている。
図10では図示していないが、一方の直管状の巻線33は、一方の端部31T1,32T1と同極を発生するように、また、他方の直管状の巻線34は、他方の端部31T2,32T2と同極を発生するように、制御回路40により制御される。
【0057】
複数の巻線(第1巻線31,第2巻線32)同士の間に、直管状の巻線33,34が、軸線を向けて、巻線の端部が発生する磁極と同極を発生するように設けられていることにより、第1巻線31及び第2巻線32のそれぞれの端部による磁力を巻線33,34により補完させることができる。
従って、直管状の巻線33,34により、回転子20の回転駆動力を増強することができる。
【0058】
(実施の形態4)
本発明の実施の形態4に係る回転電機について、電動機を例に、図面に基づいて説明する。なお、
図1と同様に、
図11及び
図12においても、固定子や出力軸、センサ部などを支持する筐体は図示していない。また、
図11及び
図12において、
図9及び
図10と同じ構成のものは、同符号を付して説明を省略する。
【0059】
図11及び
図12に示すように、電動機13は、直管状の巻線33,34と同軸に、発電用巻線35,36が設けられている。
発電用巻線35,36には、
図13に示すように、回転速度調整部50が接続されている。
回転速度調整部50は、整流部51と、消費部52とを備えている。整流部51は、ダイオードブリッジにより構成することができる。
消費部52は、可変抵抗器とすることができるが、可変抵抗器の代わりに電気エネルギーを有効利用する負荷を接続してもよい。例えば、バッテリの充電回路としたり、照明器具としたり、電動機としたりすることができる。消費部52は、短絡状態から開放状態までに抵抗値を設定できるものとすることができる。
【0060】
次に、発電用巻線35,36からの電流を調整する回転速度調整部50の動作について詳細に説明する。
図11及び
図12に示す巻線33,34に通電することで発電用巻線35,36に起電力を発生させることができる。
図13に示す発電用巻線35,36からの電流は整流部51により全波整流され、消費部52に流れる。消費部52では、発電用巻線35,36からの電力を、設定された抵抗値によって消費する。
【0061】
消費部52の消費電流が大きくなると、巻線33,34に同軸に配置された発電用巻線35,36は、巻線33,34による電磁誘導よりも回転子20の永久磁石22による電磁誘導の方が大きくなり、発生した電流は巻線33,34を助勢する磁界を発生する。
【0062】
このとき、巻線33,34への入力電圧を一定にして、消費部52が発電用巻線35,36から取り出す出力電流を大きくすると、消費部52への出力電圧は低下するが、回転子20の回転数は消費電流(出力電流)0Aからある電流までは低下するものの、その後、徐々に早くなる。
【0063】
このように、電動機13の回転速度調整部50により消費電流を調整することで、回転数を調整することができるので、電動機13は回転数を制御できる新規の電動機とすることができる。
【0064】
なお、消費部52として機能する多機能電子負荷装置は、整流部51を介して接続されていたが、消費部52を短絡状態とするときには整流部51は省略することができる。
【0065】
なお、本実施の形態1〜4では、
図1,
図6,
図9及び
図11に示すように、固定子30を、円弧状の巻線(第1巻線31,第2巻線32)を組み合わせて円環状に形成しているが、固定子の端部から固定子内への磁路が回転子からの主磁束方向と直交する方向となるように、固定子は、第1巻線及び第2巻線を平行に形成したものでもよい。
また、固定子として一対の巻線(第1巻線31,第2巻線32)により形成されていたが、3本以上の巻線により環状に形成されていてもよい。
固定子が3本以上の巻線により環状に形成されている場合には、隣接する巻線の端部が同極を発生するように巻方向及び通電方向を制御する。
【0066】
固定子を奇数本の巻線により形成した場合には、隣接する巻線の端部が同極となるようにしても、異極同士となる箇所が1箇所できる。しかし、異極同士となる箇所は、磁気回路としては擬似的に繋がった巻線と見なせる。そのため、問題は無いが、巻線同士の間に無駄な隙間ができるため、巻線は偶数本とすることが望ましい。
【0067】
本実施の形態1〜4では、電動機11〜13として説明したが、発電機として使用することも可能である。
また、本実施の形態1では、回転速度調整部50が整流部51を備えているが、発電用巻線35,36からの電力をそのまま消費できるのであれば、消費部52を、発電用巻線35,36に、直接接続してもよい。
【0068】
(実施例1)
実施例1では、本実施の形態3に係る電動機13(
図11及び
図12参照)を用いて逆起電力を測定した。
巻数は、第1巻線31及び第2巻線32の合計(1周分)で、銅クラッドアルミ線(Φ1.6mm)を680ターンしたものを使用しており、巻線33,34とは、それぞれ銅クラッドアルミ線(Φ1.6mm)を680ターンさせたものを使用した。
また、永久磁石22は、直径約3.6cmの球状のネオジム磁石を使用した。
【0069】
従来の電動機として測定する場合には、電動機13の固定子30には通電せず、直管状の巻線33,34のみに通電した。
また、本発明の電動機として測定する場合には、直管状の巻線33,34には通電せず、固定子30の第1巻線31及び第2巻線32のみに通電した。
そして、発電用巻線35から発生する起電力を、
図13に示す整流部51を介して印加される消費部52の両端の直流電圧を測定した。
電動機13を、従来の電動機として動作させた場合には40Vであったが、本発明の電動機として動作させたときには20Vであった。
このことからも、本実施の形態に係る電動機は、従来の電動機と比較して、逆起電力が小さいことが判る。
【0070】
(実施例2)
実施例2では、本実施の形態2に係る電動機12(
図9及び
図10)を用いて回転子20を回転駆動することで、発電機として動作させ、起電力を測定した。
従来の発電機として測定する場合には、電動機12の直管状の巻線33を固定子とし、巻線34を発電用巻線として、巻線34からの出力電圧を測定した。
本発明の発電機として測定する場合には、電動機12の直管状の巻線33を固定子と、第1巻線31及び第2巻線32を発電用巻線として、第1巻線31からの出力電圧を測定した。
なお、回転子20の回転数は、従来の発電機及び本発明の発電機のいずれも7800rpmとした。第1巻線31及び第2巻線32と巻線33,34との巻線数は、実施例1と同じである。
【0071】
電動機12を従来の発電機として動作させたときの巻線34からの出力は、プラス側の波高値が66V、マイナス側の波高値が−64V、実効値が29Vであった。
電動機12を本発明の発電機として動作させたときの第1巻線31からの出力はプラス側の波高値が8.6V、マイナス側の波高値が−8.2V、実効値が5.1Vであった。
【0072】
このように、従来の発電機として動作する電動機12では、回転子20と向き合うように配置された巻線33は、回転子20からの主磁束が真っ直ぐ巻線34へ向かうため、大きな起電力が生じる。
しかし、本発明の発電機として動作する電動機12では、回転子20からの主磁束が、第1巻線31及び第2巻線32の筒内に真っ直ぐ入るように横切らないため、従来の発電機として動作する電動機12より、起電力が小さい。
このことからも、本発明の回転電機は、従来のものより逆起電力が小さくなることが判る。
従って、同じ回転数であれば、電動機12は、低い電圧で回転駆動させることができ、同じ電圧であれば、高速に回転させることができる。
【解決手段】電動機10は、N極及びS極を回転半径方向の外側に向けて永久磁石22が回転子本体部21に収容されて回転する回転子20と、回転子20を回転駆動する磁束を励磁する固定子30とを備えている。固定子30は、回転子20が第1巻線31と第2巻線32とによる固定子30の端部(一方の端部31T1,32T1、他方の端部31T2,32T2)に向いたときに、固定子30の端部から固定子30内への磁路Rが、回転子からの主磁束方向F1と交差する方向に形成されている。