(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6243079
(24)【登録日】2017年11月17日
(45)【発行日】2017年12月6日
(54)【発明の名称】車両用の運転支援システムおよび運転支援方法
(51)【国際特許分類】
G08G 1/16 20060101AFI20171127BHJP
【FI】
G08G1/16 C
【請求項の数】10
【外国語出願】
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2017-138000(P2017-138000)
(22)【出願日】2017年7月14日
【審査請求日】2017年7月14日
(31)【優先権主張番号】16290177.1
(32)【優先日】2016年9月16日
(33)【優先権主張国】EP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】517249495
【氏名又は名称】シーメンス エス.ア.エス.
【氏名又は名称原語表記】Siemens S.A.S.
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ドゥニ マルシャン
【審査官】
久保田 創
(56)【参考文献】
【文献】
特開2008−210084(JP,A)
【文献】
特開2005−114535(JP,A)
【文献】
特開2007−58718(JP,A)
【文献】
特開2010−282508(JP,A)
【文献】
特開昭61−195500(JP,A)
【文献】
実開昭59−98916(JP,U)
【文献】
特表昭63−500966(JP,A)
【文献】
特表2015−513014(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00−99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行レーン(11)を移動するように構成されている車両(1)の運転支援システムにおいて、
前記システムは、
カメラ(2)と、オンボード推奨速度特定装置(3)と、運転支援装置(4)と、を有しており、
−前記カメラ(2)は、前記車両(1)に搭載されるように構成されており、かつ前記走行レーン(11)上に設けられている地上インフラストラクチャの画像を取得するように構成されており、
−前記地上インフラストラクチャは、前記走行レーン(11)の少なくとも一部に設けられており、かつ前記走行レーン(11)の前記一部に関する推奨速度をエンコーディングするように構成されている少なくとも1つの地上マーキング(21)を含んでおり、
−前記オンボード推奨速度特定装置(3)は、前記カメラ(2)によって取得された前記画像において前記地上インフラストラクチャを識別することができ、前記走行レーン(11)の一部に関する前記推奨速度をリアルタイムで特定するために、前記カメラ(2)によって取得された前記画像における前記地上マーキングをデコーディングし、かつ推奨速度の設定値を伝送するように構成されており、
−前記運転支援装置(4)は、前記推奨速度の設定値を受信し、かつ前記走行レーンの一部において前記車両を運転する際にドライバを支援するために、前記推奨速度の設定値を使用するように構成されている、運転支援システムにおいて、
前記地上マーキング(21)は、前記推奨速度に応じて可変であり、かつ前記推奨速度をエンコーディングするために使用される可変寸法と、前記走行レーンの一部に関する前記推奨速度に無関係に不変のままである不変寸法と、を有している幾何学パターンを含んでおり、
前記特定装置(3)は、前記カメラ(2)によって取得された前記画像において測定された前記不変寸法と前記可変寸法との比率に応じて、前記推奨速度を特定または計算するように構成されている
ことを特徴とする、運転支援システム。
【請求項2】
支援を以下の形態のうちの少なくとも1つの形態で、すなわち
−前記推奨速度の設定値を、前記車両の前記ドライバにリアルタイムで通知する、
−前記推奨速度を超過したことについて前記ドライバに警告を発する、但し、前記支援装置は、前記車両の実際の速度を前記推奨速度の設定値とリアルタイムで比較するように構成されている、
−前記設定値を使用して取得された前記推奨速度に応じて、前記車両の速度を自動的に制御する、
のうちの少なくとも1つの形態で、支援を提供するように、前記支援装置(4)は構成されている、請求項1記載の運転支援システム。
【請求項3】
前記パターンは、相互に距離を置く複数のダッシュ(211)から成る線であり、前記不変寸法は、各ダッシュ(211)の同一の長さLであり、前記可変寸法は、連続する2つのダッシュ間の距離の長さXであり、前記長さXは、前記走行レーンの一部に関する前記推奨速度に応じて変化し、かつ前記推奨速度をエンコーディングするために使用される、請求項2記載の運転支援システム。
【請求項4】
前記パターンは、相互に距離を置く複数のダッシュ(211)から成る線であり、前記不変寸法は、連続するダッシュ間の距離の同一の長さXであり、前記可変寸法は、前記ダッシュ(211)の長さLであり、前記長さLは、前記走行レーンの一部に関する前記推奨速度に応じて変化し、かつ前記推奨速度をエンコーディングするために使用される、請求項2記載の運転支援システム。
【請求項5】
前記特定装置(3)は、プログラムにエンコーディングされた関数またはテーブルを含んでおり、かつ前記カメラ(2)によって取得された前記画像において測定されるような、前記不変寸法と前記可変寸法との比率の入力データを、出力データとしての一意の推奨速度と照合するように構成されている、請求項2から4までのいずれか1項記載の運転支援システム。
【請求項6】
前記地上マーキング(21)は、前記車両(1)のための経路を事前に規定するように構成されており、かつ前記車両(1)のための誘導手段として機能する、請求項1から5までのいずれか1項記載の運転支援システム。
【請求項7】
走行レーン(11)の少なくとも一部に関する、車両(1)のための推奨速度を特定する、前記走行レーン(11)に沿って移動する前記車両(1)の運転支援方法において、
−前記走行レーンの少なくとも一部のための地上マーキング(21)によって、推奨速度をエンコーディングし、
−前記車両(1)に搭載されているカメラ(2)によって取得された画像における前記推奨速度の前記エンコーディングをデコーディングすることによって、前記推奨速度をリアルタイムで特定し、
−前記走行レーンの一部において前記車両を運転する際にドライバを支援するために、前記推奨速度を使用する、運転支援方法において、
前記地上マーキング(21)は、前記推奨速度に応じて可変であり、かつ前記推奨速度をエンコーディングするために使用される寸法と、前記走行レーンの一部に関する前記推奨速度に無関係に不変のままである不変寸法と、を有している幾何学パターンを含んでおり、
前記カメラによって取得された前記画像において測定された前記不変寸法と前記可変寸法との比率に応じて、前記推奨速度を特定または計算する
ことを特徴とする、運転支援方法。
【請求項8】
前記推奨速度を、以下のやり方、すなわち、
−前記車両の前記ドライバに前記推奨速度をリアルタイムで通知する、
−前記推奨速度を超過したことを前記ドライバに警告する、
−前記推奨速度に応じて、前記車両の速度を自動的に制御する、
のうちの1つで、前記ドライバを支援するために使用する、請求項7記載の運転支援方法。
【請求項9】
前記パターンは、相互に距離を置く複数のダッシュ(211)から成る線であり、前記不変寸法は、各ダッシュ(211)の同一の長さLであり、前記可変寸法は、連続する2つのダッシュ間の距離の長さXであり、前記長さXは、前記推奨速度をエンコーディングするために、前記走行レーンの一部に関する前記推奨速度に応じて変化する、請求項7または8記載の運転支援方法。
【請求項10】
前記地上マーキング(21)により前記車両(1)を誘導する、請求項7から9までのいずれか1項記載の運転支援方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所定のダイナミクスに従って所定の経路に追従するために車両のドライバを支援することを意図して地上インフラストラクチャが設けられている所定の走行レーンに沿って移動するように構成されている車両のための推奨速度を特定する、運転支援システムおよび運転支援方法に関する。本発明は、特に、公共交通機関、例えばバスまたはトロリーバスに使用される車両に関し、走行レーンに設けられている前記の地上インフラストラクチャは、例えば、前記の車両のための正確な経路を規定する地上に設けられたサインを含んでおり、また前記の車両は、当該の車両の運転時にドライバを支援するために、前記のインフラストラクチャによって、例えば前記のサインによって規定されている経路を読み出して特定するように構成されているビジョンシステムを有している。前記のビジョンシステムを使用して光学的に誘導するそのような運転支援システムは、特に、当業者には公知である。
【0002】
そのような車両に関する問題の1つは、特に、走行レーンの局所的な状況または局所的なコンテキスト(例えばカーブまたは停車場へのアプローチ)に応じた、ドライバによる前記の車両の速度の適合である。交通標識は、通常の場合、異なるタイプの車両に対して、走行レーンの局所的な状況に応じた最適な速度を示すために使用される。その他の解決手段は、走行レーンに沿って制限速度を規定するために適合されたマップおよびGPSポジショニングの使用である。オンボードシステムは、走行レーンに沿って設置されている制限速度サインを読み出すことによって、レーンの一部に対する許容速度を特定することができ、また例えば、許容制限速度を超過した場合には、ドライバに対して音響的または視覚的に警告を発することができる。
【0003】
それにもかかわらず、既存の解決手段は通常の場合、複雑な地上インフラストラクチャを必要とし、これは一方では速度を示すサインの設置を必要とし、他方では経路を示す地上マーキングを必要とする。さらに、交通標識は、速度を連続的に示すことができない。実際のところ、交通標識は、例えばカーブの開始地点において、走行レーンの離散的な地点での制限速度を示すが、カーブの開始からカーブの終了までの、そのカーブにとっての最適な速度を連続的に示すことはできない。
【0004】
本発明は、車両のための走行レーンの一部または一区間に関する推奨速度サインを単純にし、またそれらの速度サインをより正確なものにし、さらには連続的なものにすることができる。さらに1つの有利なヴァリエーションでは、前記の車両の速度を少なくとも一時的に、前記の推奨速度に応じて自動的に制御することができる。このために、走行レーン上を移動する車両のための推奨速度を特定するためのシステムおよび方法が、請求項1および請求項9に記載の事項によって提案されている。一連の従属請求項から、本発明のその他の利点が明らかになる。
【0005】
従って、本発明は特に、走行レーンに沿って移動する車両のための推奨速度を特定する運転支援システムに関し、従って前記のシステムは、例えば前記の車両が移動する前記の走行レーンのカーブにおける車両の運転中にドライバを支援し、また前記のシステムは以下の構成要素を含んでいる:
−前記の車両に搭載されるように構成されているカメラ。前記のカメラは、有利には、前記の車両の前部に設置されるように構成されており、また前記のカメラは、走行レーン上に設けられている地上インフラストラクチャの画像を取得するように構成されている;
−前記の地上インフラストラクチャは、前記の走行レーンの少なくとも一部に設けられており、また前記の地上インフラストラクチャは、前記の車両のための走行レーンの一部に関する推奨速度のエンコーディングを成している、少なくとも1つの地上マーキングを含んでいる;
−カメラによって取得された画像において前記の地上インフラストラクチャを識別することができ、かつカメラによって取得された画像における推奨速度のエンコーディングをデコーディングすることによって、前記の走行レーンの一部に関する推奨速度Vをリアルタイムで特定するように構成されているオンボード推奨速度特定装置。また前記のオンボード装置は、推奨速度Vの設定値を伝送するように構成されている;
−前記の推奨速度Vの設定値を受信し、かつ前記の走行レーンの一部において車両を運転する際に前記のドライバを支援するために、前記の推奨速度Vの設定値を使用するように構成されている運転支援装置。支援装置によって提供される前記の支援は、以下の種々の形態を取ることができる:
○支援装置は、例えば、前記の設定値によって提供される推奨速度Vを、ドライバにリアルタイムで単純に通知することができる。この通知は、例えば、ドライバに情報を与えるために作成される、および/または
○支援装置は、例えば、推奨速度Vを前記の車両の実際の速度とリアルタイムで比較し、かつ実際速度が推奨速度Vを超過した場合には、ドライバに警告を発することができる;
○支援装置は、例えば、前記の車両の実際の速度を、リアルタイムで特定された推奨速度Vの設定値に応じて、自動的に制御することができる。換言すれば、この後者の実施の形態によれば、車両の実際の速度が、推奨速度Vに等しくなるように、前記の支援装置によって自動的に制御される。ドライバは、受動的な役割を担い、車両の速度を連続的に制御することはもはや必要なくなり、その代わり、車両の速度は、少なくとも前記の走行レーンの一部についてはドライバ支援装置によって制御される。それにもかかわらず、前記のドライバは、例えば運転状況および/または走行レーンの状況に応じた前記の車両の加速または減速によって、車両の速度の制御にいつでも介入することができる。
【0006】
従って本発明は、特に、走行レーンの局所的な状況に適した速度を示すために必要とされる地上インフラストラクチャを簡略化することができ、さらに走行レーンの一部または走行レーンのセクションに関する、例えばカーブに関する最適な速度を連続的に示すことができる。
【0007】
さらに本発明は、前記の走行レーンの少なくとも一部に関する前記の車両のための推奨速度を特定する、走行レーンに沿って移動する車両の運転支援方法に関し、従って前記の方法は、前記の車両の運転中に車両の前記のドライバを支援することができ、この方法は以下の事項を含んでいる:
−走行レーンの少なくとも一部のための地上マーキングによって、推奨速度をエンコーディングする。さらに前記の方法は、走行レーンの開始から終了まで延びる地上マーキングによって推奨速度を連続的にエンコーディングすること、または前記の走行レーンの特定の部分についてのみの推奨速度を、例えばカーブでの、または一般的に車両の減速または加速が要求される走行レーンの部分での推奨速度をエンコーディングすることを含むことができる;
−オンボード推奨速度特定装置によって前記の推奨速度Vを特定する。前記のオンボード装置は、前記の車両に搭載されているカメラによって取得された画像における前記の推奨速度のエンコーディングをデコーディングすることによって、前記の推奨速度Vをリアルタイムで特定するように構成されている;
−有利には、前記のオンボード特定装置によって推奨速度Vの設定値を伝送する。
−車両が前記の走行レーンの一部を走行する際に、前記のドライバを支援するために、例えば前記のドライバにリアルタイムで、前記の走行レーンの一部のための推奨速度Vを通知するか、またはドライバに、前記の推奨速度の超過を通知するか、または推奨速度Vの設定値に応じて前記の車両の速度を制御することによって、推奨速度Vを使用する。
【0008】
従って、本発明によれば、オンボード推奨速度特定装置は、特に、地上インフラストラクチャの地上マーキングを解析し、前記の地上マーキングにエンコーディングされている推奨速度に関する情報を特定することによって、推奨速度Vを特定することができ、従って前記の地上マーキングは、例えば、前記の車両に関する経路を事前に規定することによって、また例えば前記のマーキングのパターンに前記の推奨速度を有利には連続的にエンコーディングして推奨速度を通知することによって、前記の車両の誘導について二重の機能を有している。本発明は、例えば、地上マーキングの前記のパターンを変更することによって、走行レーンの一部にわたる、例えばカーブ、またはバス停の場合には停止位置での推奨速度の連続的な通知を提供することができる。実際には、本発明によれば、走行レーンの一部に関する推奨速度の変化が、前記の地上マーキングのパターンの変更によってエンコーディングされる。特に、前記のパターンの幾何学形状は、推奨速度に無関係に不変のままであるが、しかしながら前記の幾何学形状の少なくとも1つの寸法は前記の推奨速度に応じて変更される。例えば前記のパターンは円形であり、かつ前記の円の寸法は、推奨速度に応じて変更される。
【0009】
本発明をより良く理解するために、実施例および用途を下記において説明する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明による運転支援システムの実施例を示す。
【
図2】本発明による地上マーキングの実施例を示す。
【
図4】地上マーキングの変化による、車両の速度の自動的な制御の実施例を示す。
【0011】
図1には、本発明による運転支援システムを備えている車両1が概略的に示されている。前記の運転支援システムは、特に、以下の構成要素を含んでいる:
−前記の車両1の移動が意図されている走行レーン11の画像を取得するように構成されているカメラ2。前記のカメラ2は、有利には、前記の車両1の前部に取り付けられており、それによって、前記の車両が前進する際に、前記の車両1の前方の走行レーン11の画像を取得することができる。前記のカメラ2は、特に、取得した画像を記憶するために使用されるメモリを含むことができる;
−走行レーンの少なくとも一部に関する、前記の車両のための推奨速度をエンコーディングするように構成されている地上インフラストラクチャ。さらに前記の地上インフラストラクチャは、当該の地上インフラストラクチャによって事前に規定された経路を前記の車両のために事前に規定することによって、前記の車両1を誘導するためにも使用される。本発明によれば、前記の地上インフラストラクチャは、有利には前記の車両のための前記の経路を規定することもできるマーキングが設けられている場所における、前記の車両のための前記の推奨速度をエンコーディングするために地上に設けられた少なくとも1つのマーキング21を含んでいる。本発明によれば、前記の車両に搭載されているカメラ2は、前記の車両1のための前記の推奨速度がエンコーディングされている情報を前記の取得された画像から収集するために、地上における前記のマーキング21の画像を取得するように構成されている;
−カメラ2によって取得された画像から、前記の車両のための推奨速度をリアルタイムで特定するように構成されている、車両1に搭載されているオンボード装置3。前記のオンボード装置3は、特に、地上インフラストラクチャの前記の画像をリアルタイムで回収するために、前記のカメラ2に接続されている。前記のオンボード装置3は、前記の画像を解析し、さらに記憶するために、コンピュータおよびメモリを含むことができる。従って前記のオンボード装置3は、特に、カメラ2によって取得された画像を解析し、当該の画像から前記の地上マーキング21を識別し、カメラ2によって取得された画像から、推奨速度Vの前記のエンコーディングをデコーディングすることによって、例えば前記の地上マーキングのパターンを識別して、当該のパターンについての一意の推奨速度を照合することによって推奨速度Vを特定するように構成されている。推奨速度が特定されれば、前記のオンボード装置3は、推奨速度の設定値を、すなわち前記のレーンの一部についての推奨速度に関する設定値をリアルタイムで生成および伝送するように構成されており、前記の設定値は、特に、前記のオンボード装置3によって、運転支援装置4にリアルタイムで送信される;
−運転支援装置4は、前記の速度の設定値を使用して、前記の車両の運転中にドライバを支援するように構成されている。前記の支援装置4は、特に、前記の速度の設定値を表示するための表示画面を含むことができる。この支援装置4は、有利には、前記の車両の速度が前記の推奨速度Vに等しくなるように、前記の推奨速度Vに応じて、前記の車両の速度を自動的に制御する、速度調整器として機能することができる。有利には、支援装置4は、以下の方式のうちの少なくとも1つに従ってドライバを支援する:
○例えば、前記の表示画面および受信した推奨速度の設定値によって、推奨速度Vをリアルタイムで前記のドライバに通知する;
○前記の推奨速度を超過したことをドライバに通知する。この場合、前記の支援装置は、例えば、前記の車両の実際速度を推奨速度Vと比較することができるコンピュータを含んでおり、かつ推奨速度を超過した場合には、例えば視覚的および/または音響的な信号によってドライバに自動的に警告を発するように構成されている;
○推奨速度Vの設定値に応じて、前記の車両の速度を制御する。この場合、前記の運転支援装置4は、速度調整器の機能を有しており、従って、前記の車両の速度を、時間にわたる推奨速度の設定値の値変化に応じて、従って地上マーキング21の変化に応じて自動的に適合させるように構成されている。
【0012】
図2から
図4には、本発明によって権利主張されるような、地上マーキング21による推奨速度のエンコーディングの例がより詳細に示されている。
【0013】
図2には、種々の地上マーキングが、それぞれ21A、21B、21C、21Dとして表されており、それらの地上マーキングを、走行レーンとして使用される地面に設けることができ、またそれらの地上マーキングは、それぞれ、異なる推奨速度をエンコーディングするために使用される。地上マーキングは、例えば、複数のダッシュ211から成る破線によって形成されているパターンを含むことができ、このダッシュ211は、例えば走行レーンの地面を塗装することによって走行レーンの地面に設けるように構成されており、各ダッシュ211の長さLは、有利には、種々の地上マーキング21A〜21Dに対して同一であってよく、各マーキングのダッシュ間の距離は、異なる推奨速度をエンコーディングしている。例えば、マーキング21Aは、第1の推奨速度、例えば40km/hをエンコーディングするために使用される長さXAの距離で離隔されている、長さLの複数のダッシュから成る破線を含んでいる。同様に、マーキング21Bは、第2の推奨速度、例えば30km/hをエンコーディングするために使用される長さXB(但し、例えばXA>XB)の距離で離隔されている、長さLの複数のダッシュから成る破線を含んでいる。同様に、マーキング21Cは、第3の推奨速度、例えば20km/hをエンコーディングするために使用される長さXC(但し、例えばXA>XB>XC)の距離で離隔されている、長さLの複数のダッシュから成る破線を含んでいる。最後に、マーキング21Dは、第4の推奨速度、例えば10km/hをエンコーディングするために使用される長さXD(但し、例えばXA>XB>XC>XD)の距離で離隔されている、長さLの複数のダッシュから成る破線を含んでいる。従って本発明は、連続するダッシュ間の距離が、より正確には前記の距離の長さが推奨速度に依存しており、例えば推奨速度に比例している、有利には同じ長さの複数のダッシュから成る破線としての地上マーキングを設けることを提案する。従って、前記の距離の長さは、特に推奨速度をエンコーディングするために使用される。
【0014】
この有利な実施の形態によれば、特定装置3は、特に前記のダッシュの長さLを公称パラメータとして記憶するメモリを含んでいる。さらに前記の特定装置3のメモリは、例えば、入力として2つのダッシュ間の距離の長さXの値と、相応の出力値として、各入力に対する、すなわち2つのダッシュ間の距離の長さXの各値に対する推奨速度値と、を有するテーブルを含むことができる。さらに前記の特定装置は、プログラムにエンコーディングされており、かつ前記の特定装置によって実現される関数を含むこともでき、この関数は、
図3に示されているように、連続する2つのダッシュ間の距離の長さXを、一意の推奨速度Vと照合するものである。
【0015】
特定装置は、カメラ2によって取得された画像において地上マーキングを識別し、連続する2つのダッシュを離隔させている長さXを特定するために、各画像を解析することができる。実際には、各画像に関して、例えば前記の画像において(例えばピクセルで)地上マーキングの1つのダッシュの実際の長さLに対応する長さL_iと、地上マーキングの連続する2つのダッシュ間の距離の実際の長さXに対応する長さX_iと、を測定し、2つのダッシュ間の距離の実際の長さXを、以下の単純な三数法、すなわちX=(X_i/L_i)・L(但し、Lは前記の特定装置3のメモリに記憶されている前記の公称パラメータであり、かつX_iおよびL_iはカメラによって取得された画像において測定される)を使用して計算するように、特定装置は構成されている。2つのダッシュ間の距離の値Xが特定されれば、特定装置3は、例えば前記のテーブルまたは
図3に示されているような前記の関数を使用して、推奨速度Vを特定するように構成されている。推奨速度Vの設定値は、続いて支援装置4に送信される。
【0016】
図4には、距離Dにわたり前記の車両が前進移動する場合に、
図2に示した地上マーキングの画像と、推奨速度、すなわちマーキング21Aについての40km/h、マーキング21Bについての30km/h、マーキング21Cについての20km/hおよびマーキング21Dについての10km/hの各推奨速度と、から、特定装置が測定可能な距離XA、XB、XC、XD間の対応関係が示されている。本発明によれば、支援装置は特に、推奨速度の設定値を変化させながら、従って
図4に示されているように、マーキング21Aに対応する40km/hの開始速度からマーキング21Dに対応する10km/hの速度に減速しながら、前記の車両の第1の速度から前記の車両の第2の速度への円滑な移行を実現するように構成されている。さらに本発明によれば、推奨速度の設定値の連続的な変化によって、初期速度から最終速度までの連続的な変化を保証するために、ダッシュ間の距離を、初期速度(例えば40km/h)に対応する第1の長さX1から、最終速度(例えば10km/h)に対応する第2の長さX2へと漸進的に変化させることができる。支援装置4は、特に、受信した推奨速度の設定値に応じて前記の車両の速度を自動的に制御することができ、第1の速度から第2の速度への変化は、特に、急激な減速または加速のいずれも回避するために、所定の期間内に実行される。
【0017】
勿論、その他の技術によって推奨速度Vをエンコーディングすることができ、例えばダッシュの長さと距離の長さとの比率を調整することができ、その場合、前記の長さ間の各比率は、推奨速度に対応している。さらに、破線によって形成された地上マーキングのパターンに加えて、地上に推奨速度をエンコーディングするためにその他のパターンを使用こともでき、そのようなパターンは、例えば、推奨速度のエンコーディングが意図されているにもかかわらず変化しない一方の寸法(例えば長さまたは幅、以下では「不変寸法」と記す)と、エンコーディングされるべき推奨速度に応じて変化する「可変寸法」とも称される他方の寸法(例えばそれぞれ幅または長さ)と、を有する幾何学パターンである。一般的に、ある走行レーンの一部に関する推奨速度を特定するために、特定装置は特に、カメラによって取得された画像における前記のパターンについての不変寸法と可変寸法との比率を計算する。有利には、特定装置は、(前記のテーブルの入力としての)前記の比率の値を、(前記のテーブルの出力としての)推奨速度と照合するテーブルを含んでいる。オプションとして、また上記において説明したように、前記の特定装置は、前記の比率の各値に推奨速度を与えるプログラムにエンコーディングされた関数を含むことができ、従ってそのような関数は、
図3に示した関数に類似するやり方で、前記の比率に応じて推奨速度を特定することができる。
【0018】
最後に、本発明は、誘導に使用される前記の地上マーキングに推奨速度をエンコーディングすることによって、前記の車両の速度を制御するために、前記の車両の誘導に用いられる地上マーキングを使用することができる、車両の簡潔な運転支援方法および簡潔な運転支援システムを提案する。
【要約】
本発明は、走行レーン(11)を移動するために構成されている車両(1)の運転支援システムおよび運転支援方法に関する。システムは、カメラ(2)と、オンボード推奨速度特定装置(3)と、運転支援装置(4)と、を有しており、
−カメラ(2)は、車両(1)に搭載されるように構成されており、かつ走行レーン(11)上に設けられている地上インフラストラクチャの画像を取得するように構成されており、
−地上インフラストラクチャは、走行レーン(11)の少なくとも一部に設けられており、かつ走行レーン(11)の一部に関する推奨速度をエンコーディングするように構成されている少なくとも1つの地上マーキング(21)を含んでおり、
−オンボード推奨速度特定装置(3)は、カメラ(2)によって取得された画像において地上インフラストラクチャを識別することができ、走行レーン(11)の一部に関する推奨速度をリアルタイムで特定するために、カメラ(2)によって取得された画像における地上マーキングをデコーディングし、かつ推奨速度の設定値を伝送するように構成されており、
−運転支援装置(4)は、推奨速度の設定値を受信し、かつ走行レーンの一部において車両を運転する際にドライバを支援するために、推奨速度の設定値を使用するように構成されている。
【選択図】
図1