特許第6243084号(P6243084)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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特許6243084超音波探触子及び超音波探触子の調整方法並びに超音波診断装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6243084
(24)【登録日】2017年11月17日
(45)【発行日】2017年12月6日
(54)【発明の名称】超音波探触子及び超音波探触子の調整方法並びに超音波診断装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 8/00 20060101AFI20171127BHJP
【FI】
   A61B8/00
【請求項の数】17
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2017-504535(P2017-504535)
(86)(22)【出願日】2015年3月12日
(86)【国際出願番号】JP2015057367
(87)【国際公開番号】WO2016143133
(87)【国際公開日】20160915
【審査請求日】2016年11月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001689
【氏名又は名称】青稜特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】杉山 由一
(72)【発明者】
【氏名】五十嵐 豊
(72)【発明者】
【氏名】今川 健吾
(72)【発明者】
【氏名】勝部 勇作
【審査官】 宮川 哲伸
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−292998(JP,A)
【文献】 特開2010−172551(JP,A)
【文献】 特開2006−51239(JP,A)
【文献】 特開昭62−83683(JP,A)
【文献】 特開昭60−150736(JP,A)
【文献】 特開2010−264044(JP,A)
【文献】 特開昭59−152775(JP,A)
【文献】 特開2009−145172(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 8/00 − 8/15
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
振動子と、
前記振動子を超音波で駆動する信号を伝送する伝送回路と、
前記伝送回路から伝送された信号により超音波で駆動された前記振動子からの信号を伝送する配線と、
前記配線と接続して前記振動子からの信号を受信する受信回路と、
前記振動子から前記受信回路までの前記配線を含む線路の容量を補正する容量補正回路との組合せを1チャンネル分として、
複数チャンネル分を備え、
前記容量補正回路は、容量補正レジスタと、補正容量アレイと、容量補正スイッチとを備えて構成されていることを特徴とする超音波探触子。
【請求項2】
請求項1記載の超音波探触子であって、前記受信回路と前記振動子との間にスイッチを備え、前記容量補正回路は、前記スイッチと前記振動子との間に接続されていることを特徴とする超音波探触子。
【請求項3】
請求項1記載の超音波探触子であって、前記振動子から前記受信回路までの前記配線を含む線路の容量を測定する容量測定回路をさらに備えることを特徴とする超音波探触子。
【請求項4】
請求項1記載の超音波探触子であって、前記容量補正回路がインダクタ値が可変なインダクタ回路で構成されており、前記インダクタ回路は前記振動子と前記配線との間に接続されていることを特徴とする
超音波探触子。
【請求項5】
請求項1記載の超音波探触子であって、複数チャンネル分の前記伝送回路と前記受信回路と前記容量補正回路とが集積回路化されていることを特徴とする超音波探触子。
【請求項6】
請求項記載の超音波探触子であって、前記複数チャンネル分の前記伝送回路と前記受信回路と前記容量補正回路とは集積回路化されてLSI化されており、前記LSIの一の受信端子に接続された配線の補正量をもって、前記LSIの残りの受信端子に接続した配線の補正量とすることを特徴とする超音波探触子。
【請求項7】
振動子と、前記振動子を超音波で駆動する信号を伝送する伝送回路と、前記伝送回路から伝送された信号により超音波で駆動された前記振動子からの信号を伝送する配線と、前記配線と接続して前記振動子からの信号を受信する受信回路と、前記振動子から前記受信回路までの前記配線を含む線路の容量を補正する容量補正回路との組合せを1チャンネル分として、複数チャンネル分を備えた超音波探触子の調整方法であって、
各チャンネルごとに前記振動子から前記受信回路までの前記配線を含む線路の容量を測定し、
前記測定した各チャンネルごとの容量のうち最大の容量を持つチャンネルを特定し、
前記特定した最大の容量を持つチャンネルの容量と同じ容量になるように他のチャンネルの前記容量補正回路を調整することにより全てのチャンネルの前記測定した容量が同じになるように各チャンネルごとに前記容量補正回路を調整する
ことを特徴とする超音波探触子の調整方法。
【請求項8】
請求項記載の超音波探触子の調整方法であって、前記容量補正回路を調整することを、容量補正レジスタと、補正容量アレイと、容量補正スイッチとを用いて調整することを特徴とする超音波探触子の調整方法。
【請求項9】
請求項記載の超音波探触子の調整方法であって、前記受信回路と前記振動子との間にあるスイッチを切った状態で、前記スイッチと前記振動子との間に接続されている前記容量補正回路を調整することを特徴とする超音波探触子の調整方法。
【請求項10】
請求項記載の超音波探触子の調整方法であって、前記容量補正回路が前記振動子と前記配線との間に接続されたインダクタ値が可変なインダクタ回路で構成されており、前記容量補正回路を調整することを、前記インダクタ回路のインダクタ値を調整することにより行うことを特徴とする超音波探触子の調整方法。
【請求項11】
請求項記載の超音波探触子の調整方法であって、前記複数チャンネル分の前記伝送回路と前記受信回路と前記容量補正回路とは集積回路化されてLSI化されており、前記LSIの一の受信端子に接続された配線の補正量をもって、前記LSIの残りの受信端子に接続した配線の補正量とすることを特徴とする超音波探触子の調整方法。
【請求項12】
超音波探触子と超音波装置本体とを備えた超音波診断装置であって、
前記超音波探触子は、
振動子と、
前記超音波装置本体から送信された前記振動子を超音波で駆動する信号を伝送する伝送回路と、
前記伝送回路から伝送された信号により超音波で駆動された前記振動子からの信号を伝送する配線と、
前記配線と接続して前記振動子からの信号を受信して前記超音波装置本体へ送信する受信回路と、
前記振動子から前記受信回路までの前記配線を含む線路の容量を補正する容量補正回路と
の組合せを1チャンネル分として、複数チャンネル分を備え
前記超音波装置本体は、
前記振動子に印加する超音波信号を前記伝送回路を介して送信する送信回路部と、
前記送信回路部から送信された超音波信号が印加された前記振動子からの信号を前記受信回路を介して受信する受信回路部と、
前記送信回路部と前記受信回路部を制御する制御回路部と、
前記送信回路部から送信する信号と前記受信回路部で受信する信号とを分離する送受分離回路部と、
前記受信回路部で受信した信号を処理して画像を生成する画像処理部と、
前記画像処理部で生成した画像を表示する画像表示部と
を備え、
前記複数のチャンネルの前記振動子から前記受信回路までの前記配線を含む線路の容量が所定の誤差範囲内で等しくなるように前記容量補正回路を制御する制御部を前記超音波探触子または前記超音波装置本体に備える
ことを特徴とする超音波診断装置。
【請求項13】
超音波探触子と超音波装置本体とを備えた超音波診断装置であって、
前記超音波探触子は、
振動子と、
前記超音波装置本体から送信された前記振動子を超音波で駆動する信号を伝送する伝送回路と、
前記伝送回路から伝送された信号により超音波で駆動された前記振動子からの信号を伝送する配線と、
前記配線と接続して前記振動子からの信号を受信して前記超音波装置本体へ送信する受信回路と、
前記振動子から前記受信回路までの前記配線を含む線路の容量を補正する容量補正回路と
の組合せを1チャンネル分として、複数のチャンネル分を備え
前記超音波装置本体は、
前記振動子に印加する超音波信号を前記伝送回路を介して送信する送信回路部と、
前記送信回路部から送信された超音波信号が印加された前記振動子からの信号を前記受信回路を介して受信する受信回路部と、
前記送信回路部と前記受信回路部を制御する制御回路部と、
前記送信回路部から送信する信号と前記受信回路部で受信する信号とを分離する送受分離回路部と、
前記受信回路部で受信した信号を処理して画像を生成する画像処理部と、
前記画像処理部で生成した画像を表示する画像表示部と
を備え、
前記複数のチャンネルの前記振動子から前記受信回路までの前記配線を含む線路の容量が最大のチャンネルの容量に他のチャンネルの容量を合せるように前記他のチャンネルの前記容量補正回路を制御する制御部を前記超音波探触子または前記超音波装置本体に備える
ことを特徴とする超音波診断装置。
【請求項14】
請求項12記載の超音波診断装置であって、前記超音波探触子の前記容量補正回路は、容量補正レジスタと、補正容量アレイと、容量補正スイッチとを備えて構成されていることを特徴とする超音波診断装置。
【請求項15】
請求項12記載の超音波診断装置であって、前記超音波探触子の前記受信回路と前記振動子との間にスイッチを備え、前記容量補正回路は、前記スイッチと前記振動子との間に接続されていることを特徴とする超音波診断装置。
【請求項16】
請求項12記載の超音波診断装置であって、前記超音波探触子の前記容量補正回路がインダクタ値が可変なインダクタ回路で構成されており、前記インダクタ回路は前記振動子と前記配線との間に接続されていることを特徴とする超音波診断装置。
【請求項17】
請求項12記載の超音波診断装置であって、前記超音波探触子の複数チャンネル分の前記伝送回路と前記受信回路と前記容量補正回路とが集積回路化されていることを特徴とする超音波診断装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波探触子及び超音波探触子の調整方法並びに超音波診断装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
超音波診断装置の探触子に組み込まれた振動子の多チャンネル化に伴い、超音波診断装置の受信回路にチャンネル毎の制御が行われている。特許文献1には、振動子のチャネル数分のCPU(Central Processing Unit: 中央処理装置)を有し、受信信号を処理する事で診断画像の乱れを補正することが記載されている。
【0003】
また複数チャンネルの素子を実装した印刷配線基板の受信信号を補正する技術として、複数の操作用パッドを有するタッチセンサーの信号補正技術が、特許文献2に示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−9594号公報
【特許文献2】特開2012−95180号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、多チャンネル超音波振動子と受信回路の接続において印刷配線基板の配線長や配線幅は、エコー信号の受信利得のチャンネル間ばらつきを発生させることが分かっている。
【0006】
図9に多チャンネル超音波振動子の探触子基板の例を示す。
図9は、超音波探触子の振動子と送受信回路、及び振動子と送受信回路とを繋ぐ配線の状態を示す図で、振動子の近くに配置された送受信回路と振動子とを繋ぐ配線の長さと、振動子から遠く離れた場所に配置された送受信回路と振動子とを繋ぐ配線の長さとが異なる状態を示す超音波探触子の平面図である。
【0007】
910は探触子基板、911は振動子、9124〜9128はチャンネル4〜チャンネル8の受信回路、9151〜915nは受信回路と振動子9111〜911nとを接続する配線である。
【0008】
図のように振動子に近く配置された受信回路9126と振動子とを繋ぐ配線9156は短いため配線寄生容量Cpは小さいが、振動子から遠くに配置されている受信回路9128と振動子を繋ぐ配線9158は長いため配線寄生容量Cpが大きい。
【0009】
この配線寄生容量Cpは(数1)で表され、超音波振動子の出力信号は、このCpの影響を受けるため、Cpのばらつきが大きいと受信利得がばらつく。
【0010】
従来は、振動子から遠い受信回路つまり配線長が長い場合は配線幅Wを細くし、振動子から近い受信回路つまり配線長が短い場合は配線幅Wを太くすることで面積L×Wを一定値に近づけて、ばらつきを抑制していた。
【0011】
しかし、近年の振動子チャンネル数の増加に伴い多数の受信回路をL×Wを一定値に維持しながら印刷配線基板を製造するのが困難な事、及び安価な印刷配線基板であるガラスエポキシ基板は配線幅Wと誘電体層厚dに製造公差を持つため、ばらつきが残存する課題がある。
Cp=εr×(L×W)/d ・・・(数1)
L:配線長
W:配線幅
d:誘電体の厚さ
εr:誘電体の比誘電率
この課題に対し特許文献1に記載されている発明では、振動子のチャンネル毎に受信信号を制御可能であるが、振動子出力に含まれるチャンネル間ばらつきは補正されていないため、ばらつきは含まれたままの信号処理となり、ばらつきの影響を除去できない。
【0012】
また、特許文献2に記載されている発明では、調整用パッドの出力信号を基に複数の操作用パッドからの受信信号を補正する事で、タッチセンサーのガラス−センサー間距離が補正され、ばらつきとしては、タッチセンサー毎の個体ばらつきが補正される。
【0013】
しかし、特許文献2に記載されている発明では、複数の操作用パッド間の出力信号ばらつきは補正されないため、複数素子のチャンネル間ばらつきを補正するものではない。
【0014】
そこで本発明は、多チャンネル振動子の探触子において、チャンネル間の受信利得ばらつきを低減する超音波探触子及び超音波探触子の調整方法並びに超音波診断装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記した課題を解決するために、本発明では、超音波探触子を、振動子と、振動子を超音波で駆動する信号を伝送する伝送回路と、伝送回路から伝送された信号で超音波で駆動された振動子からの信号を伝送する配線と、配線と接続して振動子からの信号を受信する受信回路と、振動子から受信回路までの配線を含む線路の容量を補正する容量補正回路との組合せを1チャンネル分として、複数チャンネル分を備えて構成した。
【0016】
また、上記した課題を解決するために、本発明では、超音波探触子の調整方法において、振動子と、振動子を超音波で駆動する信号を伝送する伝送回路と、伝送回路から伝送された信号で超音波で駆動された振動子からの信号を伝送する配線と、配線と接続して振動子からの信号を受信する受信回路と、振動子から受信回路までの配線を含む線路の容量を補正する容量補正回路との組合せを1チャンネル分として、複数チャンネル分を備えた超音波探触子を、各チャンネルごとに振動子から受信回路までの配線を含む線路の容量を測定し、全てのチャンネルの測定した容量が同じになるように各チャンネルごとに容量補正回路を調整するようにした。
【0017】
更に、上記した課題を解決するために、本発明では、超音波探触子と超音波装置本体とを備えた超音波診断装置において、超音波探触子は、振動子と、超音波装置本体から送信された振動子を超音波で駆動する信号を伝送する伝送回路と、伝送回路から伝送された信号で超音波で駆動された振動子からの信号を伝送する配線と、配線と接続して振動子からの信号を受信して超音波装置本体へ送信する受信回路と、振動子から受信回路までの配線を含む線路の容量を補正する容量補正回路との組合せを1チャンネル分として、複数チャンネル分を備えて構成し、超音波装置本体は、振動子に印加する超音波信号を伝送回路を介して送信する送信回路部と、送信回路部から送信された超音波信号が印加された振動子からの信号を受信回路を介して受信する受信回路部と、送信回路部と受信回路部を制御する制御回路部と、送信回路部から送信する信号と受信回路部で受信する信号とを分離する送受分離回路部と、受信回路部で受信した信号を処理して画像を生成する画像処理部と、画像処理部で生成した画像を表示する画像表示部とを備えて構成した。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、複数振動子のチャンネル間利得ばらつきが抑圧され、高精細でコントラストが高い超音波診断画像が得られる。
【0019】
上記した以外の課題、構成、および効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の実施例1に係る超音波探触子の概略の構成を示した回路ブロック図である。
図2】本発明の実施例1に係る超音波探触子の容量を調整する処理の流れを示すフローチャートである。
図3】本発明の実施例1に係る超音波探触子の容量測定回路と容量補正回路との概略の構成を示す回路ブロック図である。
図4】本発明の実施例2に係る超音波診断装置の概略の構成を示したブロック図である。
図5】本発明の実施例2に係る超音波診断装置の容量補正回路の構成を説明する回路ブロック図である。
図6】本発明の実施例2に係る超音波探触子の容量を調整する処理の流れを示すフローチャートである。
図7A】本発明の実施例3に係る超音波診断装置の概略の構成を示したブロック図である。
図7B】本発明の実施例3に係る超音波診断装置のインダクタ補正回路の構成を説明する回路ブロック図である。
図8】本発明の実施例3に係る超音波探触子の容量を調整する処理の流れを示すフローチャートである。
図9】超音波探触子の振動子と送受信回路、及び振動子と送受信回路とを繋ぐ配線の状態を示す図で、振動子の近くに配置された送受信回路とを繋ぐ配線の長さと、振動子から遠く離れた場所に配置された送受信回路とを繋ぐ配線の長さとが異なる状態を示す超音波探触子の平面図である。
図10】本発明の実施例4における、受信回路、容量測定回路、容量補正回路、逆並列ダイオード回路を複数の振動素子分まとめてLSI化して装着した状態の超音波探触子と超音波装置本体とを示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明は、振動子と、振動子を超音波で駆動する信号を伝送する伝送回路と、伝送回路から伝送された信号で超音波で駆動された振動子からの信号を伝送する配線と、配線と接続して振動子からの信号を受信する受信回路と、振動子から受信回路までの配線を含む線路の容量を補正する容量補正回路との組合せを1チャンネル分として、複数チャンネル分を備えて超音波探触子を構成し、各チャンネルごとに振動子から受信回路までの配線を含む線路の容量を測定し、全てのチャンネルの測定した容量が同じになるように各チャンネルごとに容量補正回路を調整するようにしたものである。
【0022】
以下に、本発明の実施例を、図を用いて説明する。
【実施例1】
【0023】
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る超音波探触子10を示した図である。
11は多チャンネルの振動子、111は多チャンネルの振動子11の第1チャネル素子、11nは多チャンネルの振動子11の第nチャンネル素子、12は受信回路、13は容量測定回路、14は容量補正回路、16は超音波装置本体3の図示していない送信回路からの振動子11を駆動するための信号を通すための回路で1対のダイオードを互いに逆向きに並べた逆並列ダイオードで構成されている。151は第1チャネルの振動子111と受信回路12とを接続する配線、15nは第nチャンネルの配線である。
【0024】
各振動子11nは、被検体に超音波振動を加え、被検体からの反射波を受信して音響電気変換した信号を受信回路側に出力する。
【0025】
この振動子11nと受信回路12、容量測定回路13、容量補正回路14、逆並列ダイオード回路16及び配線15nを備えた回路は、各振動子11nごとに構成されている。超音波探触子10は、超音波装置本体3とケーブル4で接続されている。
【0026】
超音波探触子10は、例えばガラスエポキシ基板上に形成され、配線151は印刷された銅配線で形成される。
【0027】
この第1実施例が各チャンネルの補正容量値を決める動作を、図2のフローチャートを用いて説明する。
【0028】
初期状態は全チャンネルの補正容量はオフ状態にして各チャンネルCnに0を代入し、基準容量値Cref=0とする(S101)。
【0029】
次に、n=1として(S102),受信回路12は第1チャンネル配線151の寄生容量値を容量測定回路13により測定し、測定された容量値C1を容量測定回路のシフトレジスタへ設定する(S103)。C1をCrefへ代入する(S104)。
【0030】
次に、n=n+1として(S105),第2チャンネルの配線寄生容量を測定し、容量測定回路のシフトレジスタへC2を設定し(S106)、C2>C1であるかを判定し(S107)。C2が大きければ(Yesの場合)C2をCrefへ代入して(S108)、nをn+1に置き換える(S109)。一方、S107でC2が小さければ(Noの場合)、S109に進んでnをn+1に置き換える。次にnが全振動子の数に達したかを確認し(S110),Noの場合には再度S106へ戻ってCHnの配線容量を測定して容量測定回路のシフトレジスタへ設定する。
【0031】
受信回路は、順次、チャンネルnまで測定動作を行ない(S110でYesになるまで)、全チャンネルの最大値であるCrefを決定する。
【0032】
S110で全振動子について配線容量の測定および設定を確認すると(S110でYes)、n=1に設定して(S111)再びチャンネル1に戻り、測定したC1とCrefとから、
Cref − C1=Ccal1 ・・・(数2)
によりCcal1を決定し、容量補正回路14に設定する(S112)。
【0033】
次にnをn+1に置き換え(113)、この置き換えたnが全振動子の数に達したかを確認し(S114),Noの場合にはチャンネル2以降についても同様にS112へ戻って、
Cref − Cn=Ccaln ・・・(数3)
を算出することを、S114でYesになるまで繰り返すことにより全てのチャンネルのCcalnを決定し、各チャンネルの容量補正回路14に設定する。すなわち、配線容量を全てのチャンネルの最大値Crefに合わせるように、全てのチャンネルについて補正値 Ccal nをそれぞれのチャンネルの容量補正回路14に設定する。
【0034】
これにより探触子10の受信部の配線容量は、全チャンネルで全てCrefに一致するため、配線容量ばらつきは無くなる。
【0035】
その結果、受信回路12nで受信する探触子11nからの信号受信において、各受信回路12n間での配線容量ばらつきが無くなるため、受信利得のチャンネル間ばらつきも解消する。
【0036】
次に容量測定回路13と容量補正回路14の具体的実施例を図3により説明する。
図3において、211は配線容量電流源、212は容量測定電流源、221は測定容量アレイ、223は容量測定レジスタ、222は容量測定スイッチ、241は測定容量電圧、213はコンパレータ、214はフリップフロップ回路、216は容量測定放電回路、215は配線容量放電回路、219はクロック、21は制御部、22は配線寄生容量、231は補正容量アレイ、233は容量補正レジスタ、232は容量補正スイッチ、242は配線容量電圧、217は受信入力スイッチ、218は受信出力スイッチである。
【0037】
容量測定レジスタ223及び容量補正レジスタ233にビット1が設定されると容量測定スイッチ222及び容量補正スイッチ232の対応する箇所は閉じ、ビット0が設定されると容量測定スイッチ222及び容量補正スイッチ232の対応する箇所は開く。
【0038】
クロック219はコンパレータ214、配線容量放電回路215、容量測定放電回路216へ入力されており、配線容量放電回路215、及び容量測定放電回路216はクロック219がHレベルで開放状態、クロック219がLレベルで短絡状態(つまり放電する)である。
【0039】
測定容量アレイ221、補正容量アレイ231は例えば、MSB(Most Significant Bit)から順に0.8pF、0.4pF、0.2pF、0.1pFの単体容量が並列接続されている。
【0040】
容量測定回路13が配線151の寄生容量22を測定する(図2のS103及びS106)具体的動作を説明する。
【0041】
初期状態では容量補正レジスタ233はMSBから順に0000、容量測定レジスタ223は0010であり、クロック219はHレベルとする。この状態で、受信入力スイッチ217と受信出力スイッチ218は、何れもOFFの状態になっている。
【0042】
配線容量電流源211の出力電流は配線151へ流れ、寄生容量22を充電し配線容量電圧242が上昇する。
【0043】
同時に容量測定電流源212の出力電流は容量測定スイッチ222を流れ、測定容量アレイ221の0.2pFを充電し、測定容量電圧241が上昇する。
【0044】
この時、配線151の寄生容量22が0.25pFであったする。
測定容量アレイ221が0.2pFで寄生容量22より小さいため、測定容量電圧241の方が配線容量電圧242より高く、コンパレータ213の出力はHレベルである。
クロック219がHレベルからLレベルへ立ち下ると、フリップフロップ回路214はQ出力(Hレベル)を制御回路21へ出力する。
【0045】
同時に配線容量放電回路215及び容量測定放電回路216が閉じるため、放電が始まり配線容量電圧242及び測定容量電圧241は0ボルトへ減少する。
【0046】
制御部21はQレベルがHであるため、配線容量22は容量測定アレイ222より大きいと判断し、容量測定レジスタ223を0010から0011へ変更する。
【0047】
次のクロック219の立上りで同様に、寄生容量22と容量測定アレイ222への充電が始まり、配線容量電圧242及び測定容量電圧241が上昇する。
【0048】
このクロックサイクルでは寄生容量0.25pFに対し、容量測定アレイ222が0.3pFのため、測定容量電圧241の方が配線容量電圧242より低く、コンパレータ213の出力はLレベルとなる。
【0049】
クロック219の立下りで、フリップフロップ回路214はQ出力(Lレベル)を制御回路21へ出力する。
【0050】
制御部21はHレベルであったQレベルがLへ変わったため、この時の容量測定アレイ222の値が配線寄生容量22であると判断し、容量測定レジスタ223を0011に固定して、配線容量測定を終了する。
【0051】
このような動作であるため、0.25pFである配線寄生容量22を0.3pFと±0.1pF以下の測定誤差で測定可能である。
【0052】
この測定動作をチャンネルNまで順次実施し、配線寄生容量の基準容量Crefを決定する(図2のS107)。
【0053】
次に容量補正回路14が補正容量値を決める動作(図2のS112)を説明する。
全チャンネル測定の結果、Cref=1.0pFつまりレジスタ値1010であったとする。
【0054】
制御部21はチャンネル1の容量測定レジスタ223を読み出し、レジスタ値0011を得る。
【0055】
(数3)に示したCrefと容量測定レジスタ223との2進数減算を行ない、0111を、容量補正レジスタ233に設定する。
1010−0011=0111
これにより補正容量アレイ231は0.7pFに設定され、配線寄生容量22の0.25pFとの和は0.95pFとなるため、基準容量1.0pFに対し、誤差±0.1pF以下に設定される。
【0056】
以降、Nチャンネルまで容量補正アレイ231を設定する事により、全チャンネルの配線容量が基準容量Crefに対し±0.1pF以下に抑制することができる。その結果、本実施例によれば、高精細でコントラストが高い超音波診断画像を得るうえで問題がなくなる程度に配線容量ばらつきを十分に小さくすることができる。
【実施例2】
【0057】
図4は、本発明の第2の実施の形態に係る超音波診断装置の超音波探触子410と超音波装置本体30を示した図である。
【0058】
図1及び図3で説明した実施例1との相違点は、実施例1では受信回路12及び容量補正回路14を制御する制御部21が探触子10に内装された構成になっているが、本実施例では、制御部36は超音波装置本体30に内蔵されている点が異なる。更に、本実施例では、実施例1における容量測定回路13を備えていない点においても実施例1と異なる。
【0059】
受信回路12及び容量補正回路14は超音波探触子410に内蔵され、制御部36は超音波装置本体30に配置されており、複数の容量補正回路14からの線が1本にまとめられて制御部36と接続されている。
【0060】
本実施例に係る超音波診断装置の超音波装置本体30は、制御部36の他に、超音波探触子410の側に出力する送信信号と超音波探触子410から入力する受信信号とを分離する送受信分離回路32、超音波探触子410の側に振動子111が被検体に超音波振動を加えるための信号を送受信分離回路32を介して送信する送信回路33、被検体からの反射波を振動子111で受信して音響電気変換した信号を送受信分離回路32を介して受信する受信回路34、画像処理部31、画像表示部35を備えている。
【0061】
画像処理部31は、送信回路33から信号の送信と、受信回路34での信号の受信を制御し、受信回路34での受信した信号を処理して超音波画像を形成する。
【0062】
また図5に、本実施例に係る超音波診断装置の超音波探触子410の内部の容量補正回路14の回路構成を示す。
【0063】
22は配線寄生容量、231は補正容量アレイ、233は容量補正レジスタ、232は容量補正スイッチ、217は受信入力スイッチ、218は受信出力スイッチである。これらの構成は、実施例1において図3で説明したものと同じである。
【0064】
容量補正レジスタ233にビット1が設定されると容量補正スイッチ232の対応する箇所は閉じ、ビット0が設定されると容量補正スイッチ232の対応する箇所は開く。
【0065】
この第2実施例の構成において各チャンネルの補正容量値を決める動作を、図6のフローチャートを用いて説明する。
【0066】
まず初期状態では、n=1をセットし(S601)、容量補正レジスタ233はMSBから順に0000に設定されて全チャンネルの補正容量は0とし、受信入力スイッチ217及び受信出力スイッチ218は閉じており、初期レベルV0及び基準受信レベルVrefには実際には発生しない大きな値を代入しておく(受信利得ならばGref=最大値)(S602)。
【0067】
制御部36は、第1チャンネルの振動子111を駆動するために、受信入力スイッチ217及び受信出力スイッチ218を開いた後、送信回路33から基準送信信号(例えば、振幅VTrefのパルス波)を逆並列ダイオード回路16を介して振動子111に印加する(S603)。
【0068】
続いて制御部36は、受信入力スイッチ217及び受信出力スイッチ218を閉じて、振動子111からのエコー信号である受信回路12からの信号を送信分離回路32で受け、受信回路34に入力して受信レベルV1を測定する(S604)。受信利得は、Gn=Vn/VTref で求められるが、以降は簡単化のために受信レベルVnで説明する。
【0069】
次に、受信レベルのV1とVrefである初期レベルのV0を比較し(S605)、V1がV0(Vref)よりも小さい場合(Yes)はS606へ、V1がV0(Vref)よりも小さくない場合(No)にはS607へ進む。ここで、Vrefとなる初期レベルV0は、実際には発生しない大きな値を代入しておいたので、V1<V0となり、S605における判定の結果はYesとなり、S606において、VrefにV1を代入する。
【0070】
次に、n+1の値をnに置き換えて(S607)、この置き換えた新たなnが振動子の数よりも大きいかを判定する(S608)。その結果、まだ小さいと判定した場合には(S608でNoの場合)、S603からの一連の測定動作をチャンネルNまで順次実施し、受信レベルの最小値である基準受信レベルVrefを決定する。受信レベルの最小値の数値例としてVref=0.50Vだったとする。
【0071】
一方、S608の判定でnの値が振動子11の数よりも大きいと判定した場合には(S608でYesの場合)、次のS609のステップに進む。
【0072】
次に容量補正回路14が補正容量値を決める動作を説明する。
最初にnを1に設定する(S609)。次に、容量補正レジスタ233に値(例えば、0100(容量値=0.4pF))を設定する(S610)。
【0073】
制御部36は、受信入力スイッチ217及び受信出力スイッチ218を開いて送信回路33から基準送信信号を逆並列ダイオード回路16を介して第1の振動子111へ印加する(S611)。
【0074】
続いて制御部36は、受信入力スイッチ217及び受信出力スイッチ218を閉じて、振動子111からのエコー信号である受信回路12からの信号を送信分離回路32で受け、受信回路34に入力して受信レベルV1を測定する(S612)。
【0075】
次に、測定して得た受信レベルV1と先に求めたVrefとの大小を比較し(S613),V1がVrefよりも大きい場合(S613でYesの場合)にはS614へ進んで容量補正レジスタ値を1ビット下げてS661に戻る。一方、V1がVrefよりも大きくない場合には(S613でNoの場合)、S615へ進んでV1とVrefとの差の大きさをチャンネル間のばらつき目標値ΔTgと比較する。
【0076】
S615における比較の結果、V1とVrefとの差がΔTg以下でない場合(Noの場合)には、容量補正レジスタ233の値を1ビット上げ(S616)、S611に戻る。一方、V1とVrefとの差がΔTg以下であるときには(Yesの場合)、容量補正レジスタ233の値を固定し(S617)、nをn+1に更新し(S618)、この更新したnが振動子11の数よりも多いか判定し(S619)、多い場合(Yes)には、容量補正回路14が補正容量値を決める動作を終了する。一方、更新したnが振動子11の数よりも多くないとき(S619でNoの場合)には、S610に戻って次の振動子についてS610からのステップを実行する。
【0077】
例えば、V1=0.45Vだったとすると、S613の判定の結果、Vref=0.5Vよりも小さく、容量補正回路14で付加した並列容量0.4pFは大きすぎた事がわかる。
【0078】
従って制御部36はインダクタ補正レジスタ233を0100から1ビット下げて0011(0.3pF)へ変更(S663)して、S611に戻って第1の振動子111に再度基準信号を印加し、S612で再度V1を測定する。
【0079】
一方、S612で測定した受信レベルがV1=0.52Vであれば、補正した容量は基準受信レベルを下回らなく、S613の判定でNoとなり、S615に進んで予め定めてあるCH間ばらつき目標値ΔTg(例えば0.05V)を用い
Vn−Vref =0.52−0.50=0.02 < 0.05
により基準受信レベルに近いと判断(S615でYes)してインダクタ補正レジスタ233を固定する(S617)。
【0080】
つまり、チャンネル1の配線寄生容量22に対しては、0.3pFを補正すると基準受信レベルVrefに近くなる。
【0081】
このように順次チャンネルNまで補正する事により、受信レベルVn(=受信利得)を基準受信レベルVrefに近く設定でき、チャンネル間の受信レベルばらつきを一定範囲内へ抑圧可能である。
【0082】
本実施例の補正処理は振動子11nからのエコー信号を受信するため、製品出荷時に人体を模した治具に探触子を接続したり、顧客納品時に超音波診断用の整合剤を探触子へ塗布したりしてエコー信号を受信すると効果的である。
【0083】
なお上記説明において、制御部36が受信入力スイッチ217及び受信出力スイッチ218を制御したが、送信レベルを検出する手段を用意し、例えば送信レベルが3V以上ならば自動的に受信入力スイッチ217及び受信出力スイッチ218を開くようにしても本発明の実施例である。
【実施例3】
【0084】
図7Aは、本発明の第3の実施の形態に係る超音波診断装置の超音波探触子710を示した図である。
【0085】
図1に示した実施例1で説明した構成との相違点は、インダクタ値を可変にして設定可能なインダクタ補正回路731nを振動子711と配線715nとの間に接続した点である。インダクタンス成分が容量成分を打ち消す原理を利用したものである。インダクタ補正回路731は、振動子711の各素子711nと個々に接続する素子731nを備えて構成されている。インダクタ補正回路731を備えた本実施例に係る超音波探触子710は、実施例1で説明した超音波探触子10の容量測定回路13n、容量補正回路14nを備えていない。
【0086】
図7Bにインダクタ補正回路731の構成の例として、振動子711nと接続するインダクタ補正回路731nを示す。インダクタ補正回路731nは、可変インダクタ732nと複数ビットのインダクタ補正レジスタ733nを備えており、可変インダクタ732nのインダクタンスがインダクタ補正レジスタ733nにより設定され、全ビットが0の時最小インダクタンスであり、1を設定する事でインダクタンスが増加する。
【0087】
インダクタ補正レジスタ733nは、超音波装置本体730の内部に配置された制御部736で制御される。超音波装置本体730は全体を制御すると共に画像処理を行う画像処理部731の他に、送受信分離回路732、送信回路733、受信回路734、画像表示部735、インダクタ補正回路731nを制御する制御部736を備えている。
【0088】
以下、インダクタ補正レジスタ733nを、4ビット長のレジスタとして説明する。
この第3の実施例において、各チャンネルの補正容量値を決める動作を、図8のフローチャートを用いて説明する。
【0089】
先ず、nを1にセットし(S701)、初期状態ではインダクタ補正レジスタ733nには最小値が設定される。すなわち、インダクタ補正レジスタMSBから順に0000に設定して全チャンネルの補正インダクタンスは最小値の0として設定し、受信入力スイッチ717及び受信出力スイッチ718は閉じた状態とし、初期レベルV0及び基準受信レベルVrefには0Vを代入しておく(受信利得ならばGref=0)(S702)。
【0090】
画像処理部737は第1チャンネルの振動子7111を駆動するために、受信入力スイッチ717及び受信出力スイッチ718を開いた後、超音波装置本体730の内部に配置された送信回路733から基準送信信号(例えば、振幅VTrefのパルス波)を逆並列ダイオード回路部716を介して振動子7111に印加する(S703)。
【0091】
続いて画像処理部737は、受信入力スイッチ717及び受信出力スイッチ718を閉じて、振動子7111からのエコー信号である受信回路712からの信号を受けて、受信レベルV1を測定する(S704)。受信利得は、Gn=Vn/VTref 求められるが、以降は簡単化のために受信レベルVnで説明する。
【0092】
次に、受信レベルのV1とVrefである初期レベルのV0を比較し(S705)、V1がVrefよりも大きい場合(Yes)はS706へ進み、V1がVrefよりも大きくない場合(No)はS707へ進む。ここで、Vrefとなる初期レベルV0は、最小値0を入力しておいたので、V1>V0となり、S705における判定はYesとなり、S706において、VrefにV1を代入する。
【0093】
次に、n+1の値をnに置き換えて(S707)、この置き換えた新たなnが振動子の数よりも大きいかを判定する(S708)。その結果、まだ小さいと判定した場合には(S708でNoの場合)、S703からの一連の測定動作をチャンネルNまで順次実施し、受信レベルの最大値である基準受信レベルVrefを決定する。受信レベルの最大値の数値例としてVref=0.50Vだったとする。
【0094】
一方、S708の判定でnの値が振動子711の数よりも大きいと判定した場合には(S708でYesの場合)、次のS709のステップに進む。
【0095】
次に容量補正回路14が補正容量値を決める動作を説明する。
最初にnを1に設定する(S709)。次に、インダクタ補正レジスタに値(例えば、0100(数値例、インダクタンス値=4nH))を設定する(S710)。次に、制御部736は。受信入力スイッチ717及び受信出力スイッチ718を開いて送信回路733から基準送信信号(例えば、振幅VTrefのパルス波)を逆並列ダイオード回路716を介して第1の振動子7111へ印加する(S711)。
【0096】
続いて画像処理部731は、受信入力スイッチ717及び受信出力スイッチ718を閉じて、エコー信号である受信回路712からの信号を送信分離回路732で受け、受信回路734に入力して受信レベルV1を測定する(S712)。
【0097】
次に、測定して得た受信レベルV1と先に求めたVrefとの大小を比較し(S713),V1がVrefよりも小さい場合(S713でYesの場合)にはS714へ進んで容量補正レジスタ値を1ビット下げてS711に戻る。一方、V1がVrefよりも小さくない場合にはS715へ進んでV1とVrefとの差の大きさをチャンネル間のばらつき目標値ΔVと比較する。
【0098】
S715における比較の結果、V1とVrefとの差がΔV以下でない場合(S715の判定でNoの場合)には、容量補正レジスタ733の値を1ビット上げ(S716)、S711に戻る。一方、V1とVrefとの差がΔV以下であるときには(S715の判定でYesの場合)、容量補正レジスタ733の値を固定し(S717)、nをn+1に更新し(S718)、この更新したnが振動子11の数よりも多いか判定し(S719)、多い場合(S719の判定でYes)には、インダクタ補正回路731が補正インダクタンス値を決める動作を終了する。一方、更新したnが振動子711の数よりも多くないとき(S719でNoの場合)には、S710に戻って次の振動子についてS710からのステップを実行する。
【0099】
たとえば、V1=0.43Vだったとすると、S713の判定の結果、Vref=0.50Vよりも小さく、予め定めてあるCH間ばらつき目標値ΔV(例えば0.05V)に対して補正が不足しており、つまりインダクタ補正回路731で付加した直列インダクタンス4nHは小さい事がわかる。
【0100】
従って制御部736はインダクタ補正レジスタ733を0100から1ビット下げて0101(5nH)へ変更(S714)して、S711に戻って第1の振動子7111に再度基準信号を印加し、S712で再度V1を測定する。
【0101】
一方、S712で測定した受信レベルがV1=0.52Vであれば、Vref=0.50Vよりも大きいのでS713の判定でNoとなり、S715の判定において次式の通りCH間ばらつき目標値ΔV(例えば、0.05V)を満たし、
Vref−Vn =0.50−0.47=0.03 < 0.05
により基準受信レベルに近いと判断(S715でYes)してインダクタ補正レジスタ733を固定する(S717)。
【0102】
つまり、チャンネル1の配線寄生容量22に対しては、5nHを補正すると基準受信レベルに近くなる。
【0103】
このように順次チャンネルNまで補正する事により、受信レベル(=受信利得)を全チャンネルの最も高い側へ設定でき、かつチャンネル間の受信レベルばらつきを一定範囲内へ抑圧可能である。
【実施例4】
【0104】
本実施例では、超音波診断装置の超音波振動子1010に、実施例1で説明した図1及び図3の超音波探触子10の受信回路12、容量測定回路13、容量補正回路14、逆並列ダイオード回路16、容量測定回路13及び容量補正回路14を制御する制御部21を複数の振動素子11n分まとめてLSI化して装着したものである。すなわち、図10に示すように、本実施例における超音波探触子1010は、多チャンネルの振動子1011と複数の送受信LSI1020nを備えており、1つの送受信LSI1020nに複数の振動素子11nからの配線1015nが接続されており、それらを制御用LSI1021で制御する構成となっている。送受信LSI1020nが複数配置されているために、各送受信LSI1020nと多チャンネルの振動子1011とを接続する配線1015nの長さが異なっており、チャンネル間の利得にばらつきが生じる原因となる。
【0105】
また、同じ送受信LSI1020nにおいても、それぞれの配線1015nの長さが異なる場合がある。
【0106】
本実施例では、このような構成において、各送受信LSI1020nに組み込まれたず3の制御部21に相当する回路は各送受信LSI1020nを作動させて、実施例1で図2のフロー図で説明したような手順で各チャンネルの補正容量値を決める。
【0107】
上記した例では、図2のフロー図で説明したような手順で、各送受信LSI1020nのすべての配線1015nについて各チャンネルの補正容量値を決める例を示した。しかし、1つの送受信LSI1020nにおいて、多チャンネルの振動子1011とを接続する複数の配線1015nの長さにはほとんど差がないとみなして、図2のフロー図で説明したような手順で各チャンネルの補正容量値を決める際に、1つの送受信LSI1020nにおいては1本の配線1015nで代表してチャンネルの補正容量値を測定し、同じ送受信LSI1020nの他の配線は同じ補正値で補正するようにしてもよい。
【0108】
また、実施例2に対応して、図3の制御部21に相当する回路を送受信LSI1020nに内蔵させずに、図示していない超音波装置本体1030側の制御部で制御して各チャンネルの補正容量値を決めるようにしてもよい。
【0109】
更に、LSIを実施例3に対応した回路で構成して、寄生容量の代わりにインダクタ値を補正するようにしてもよい。
【0110】
このように超音波探触子1010の内部をLSI化した構成において、各チャンネルの容量を補正して複数振動子のチャンネル間利得ばらつきを抑制することができるので、このような超音波探触子1010からの信号を超音波装置本体1030で処理することにより、高精細でコントラストが高い超音波診断画像を得ることができる。
【0111】
本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するためにシステム全体を詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。また、上記の各構成、機能、処理部、処理手段等は、それらの一部又は全部を、例えば集積回路で設計する等によりハードウェアで実現してもよい。
【符号の説明】
【0112】
3,30、730,1030・・・超音波装置本体 10,710,1010・・・超音波探触子 11・・・多チャンネルの振動子 12・・・受信回路 13・・・容量測定回路 14・・・容量補正回路 15n・・・第nチャンネルの配線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図8
図9
図10