(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0026】
<氷>
本発明の製氷装置により生成された氷は、以下の(a)及び(b)の条件を満たす、溶質を含有する水溶液を含む液体の氷である。なお、「フレークアイス」とは、薄片状に加工された氷のことをいう。
(a)融解完了時の温度が0℃未満である
(b)融解過程で前記氷から発生する水溶液の溶質濃度の変化率が30%以内である
【0027】
水に溶質を融解した場合、その水溶液の凝固点が低下するという凝固点降下が生じることが知られている。凝固点降下の作用により、食塩等の溶質が融解した水溶液は、その凝固点が低下している。つまり、そのような水溶液からなる氷は、真水からなる氷より低い温度で凝固した氷である。
ここで、氷が水に変化するときに必要な熱を「潜熱」というが、この潜熱は温度変化を伴わない。このような潜熱の効果により、上記のような凝固点が低下した氷は、融解時に真水の凝固点以下の温度で安定な状態が続くため、冷熱エネルギーを蓄えた状態が持続することになる。
よって、本来であれば、被冷却物の冷却能が真水からなる氷より高くなるはずである。しかし、従来の技術によって生成された氷は、冷却の際に自身の温度が経時的に早く上がる等、被冷却物を冷却する能力が十分なものではないことを本発明者らは発見した。その理由について本発明者らは検討したところ、従来の技術では食塩等の溶質を含有する水溶液から氷を製造したとしても、実際は、水溶液が凍る前に溶質を含まない氷が先に製造されてしまい、結果として製造されるのは溶質を含まない氷と溶質との混合物となってしまうか、あるいは、凝固点の低下した氷はほんの僅かしか生成されないため、冷却能の高い氷が製造されていなかったことがわかった。
【0028】
しかしながら、本発明者らは、所定の方法により(詳細は後述する)、凝固点が低下した水溶液を含む液体の氷を生成することができる製氷装置の発明に成功した。このような本発明の製氷装置により生成された氷は、上述の(a)及び(b)の条件を満たすものである。以下、上述の(a)及び(b)の条件について説明する。
【0029】
(融解完了時の温度)
上記(a)に関して、本発明の製氷装置により生成された氷は、溶質を含む水溶液を含む液体の氷であるため、真水(溶質を含まない水)の凝固点より凝固点の温度が低下している。そのため、融解完了時の温度が0℃未満であるという特徴を有する。「融解完了時の温度」とは、本発明の製氷装置により生成された氷を融点以上の環境下(例えば、室温、大気圧下)に置くことで氷の融解を開始させ、全ての氷が融解して水になった時点におけるその水の温度のことを指す。
【0030】
融解完了時の温度は0℃未満であれば特に限定されず、溶質の種類、濃度を調整することで適宜変更することができる。融解完了時の温度は、より冷却能が高いという点で、温度が低い方が好ましく、具体的には、−1℃以下(−2℃以下、−3℃以下、−4℃以下、−5℃以下、−6℃以下、−7℃以下、−8℃以下、−9℃以下、−10℃以下、−11℃以下、−12℃以下、−13℃以下、−14℃以下、−15℃以下、−16℃以下、−17℃以下、−18℃以下、−19℃以下、−20℃以下等)であることが好ましい。他方、凝固点を、被冷却物の凍結点に近づけた方が好ましい場合もあり(例えば、生鮮動植物の損傷を防ぐため等)、このような場合は、融解完了時の温度が高すぎない方が好ましく、例えば、−21℃以上(−20℃以上、−19℃以上、−18℃以上、−17℃以上、−16℃以上、−15℃以上、−14℃以上、−13℃以上、−12℃以上、−11℃以上、−10℃以上、−9℃以上、−8℃以上、−7℃以上、−6℃以上、−5℃以上、−4℃以上、−3℃以上、−2℃以上、−1℃以上、−0.5℃以上等)であることが好ましい。
【0031】
(溶質濃度の変化率)
上記(b)に関して、本発明の製氷装置により生成された氷は、融解過程で氷から発生する水溶液の溶質濃度の変化率(以下、本明細書において「溶質濃度の変化率」と略称する場合がある。)が30%以内であるという特徴を有する。従来の技術によっても、わずかに凝固点の低下した氷が生じる場合もあるが、そのほとんどは溶質を含まない水の氷と溶質の結晶との混合物であるため、冷却能が十分なものでない。このように溶質を含まない水の氷と溶質の結晶との混合物が多く含まれる場合、氷を融解条件下においた場合、融解に伴う溶質の溶出速度が不安定であり、融解開始時に近い時点である程、溶質が多く溶出し、融解が進むとともに溶質の溶出する量が少なくなり、融解が完了時に近い時点程、溶質の溶出量が少なくなる。これに対し、本発明の製氷装置により生成された氷は、溶質を含む水溶液を含む液体の氷からなるものであるため、融解過程における溶質の溶出速度の変化が少ないという特徴を有する。具体的には、融解過程で氷から発生する水溶液の溶質濃度の変化率が30%である。なお、「融解過程で氷から発生する水溶液の溶質濃度の変化率」とは、融解過程の任意の時点での発生する水溶液における溶質濃度に対する、融解完了時における水溶液の濃度の割合を意味する。なお、「溶質濃度」とは、水溶液中の溶質の質量の濃度を意味する。
【0032】
本発明の製氷装置により生成された氷における溶質濃度の変化率は30%以内であれば特に限定されないが、その変化率が少ない方が、凝固点の低下した水溶液の氷の純度が高いこと、つまり、冷却能が高いことを意味する。この観点から、溶質濃度の変化率は、25%以内(24%以内、23%以内、22%以内、21%以内、20%以内、19%以内、18%以内、17%以内、16%以内、15%以内、14%以内、13%以内、12%以内、11%以内、10%以内、9%以内、8%以内、7%以内、6%以内、5%以内、4%以内、3%以内、2%以内、1%以内、0.5%以内等)であることが好ましい。他方、溶質濃度の変化率は、0.1%以上(0.5%以上、1%以上、2%以上、3%以上、4%以上、5%以上、6%以上、7%以上、8%以上、9%以上、10%以上、11%以上、12%以上、13%以上、14%以上、15%以上、16%以上、17%以上、18%以上、19%以上、20%以上等)であってもよい。
【0033】
(溶質)
本発明の製氷装置により生成された氷に含まれる溶質の種類は、水を溶媒としたときの溶質であれば特に限定されず、所望の凝固点、使用する氷の用途等に応じて、適宜選択することができる。溶質としては、固体状の溶質、液状の溶質等が挙げられるが、代表的な固体状の溶質としては、塩類(無機塩、有機塩等)が挙げられる。特に、塩類のうち、食塩(NaCl)は、凝固点の温度を過度に下げすぎず、生鮮動植物又はその一部の冷却に適してことから好ましい。また、食塩は海水に含まれるものであるため、調達が容易であるという点でも好ましい。また、液状の溶質としては、エチレングリコール等が挙げられる。なお、溶質は1種単独で含まれてもよく、2種以上含まれてもよい。
【0034】
本発明の製氷装置により生成された氷に含まれる溶質の濃度は特に限定されず、溶質の種類、所望の凝固点、使用する氷の用途等に応じて、適宜選択することができる。例えば、溶質として食塩を用いた場合は、水溶液の凝固点をより下げて、高い冷却能を得ることができる点で、食塩の濃度は0.5%(w/v)以上(1%(w/v)以上、2%(w/v)以上、3%(w/v)以上、4%(w/v)以上、5%(w/v)以上、6%(w/v)以上、7%(w/v)以上、8%(w/v)以上、9%(w/v)以上、10%(w/v)以上、11%(w/v)以上、12%(w/v)以上、13%(w/v)以上、14%(w/v)以上、15%(w/v)以上、16%(w/v)以上、17%(w/v)以上、18%(w/v)以上、19%(w/v)以上、20%(w/v)以上等)であることが好ましい。他方、本発明の製氷装置により生成された氷を生鮮動植物又はその一部の冷却に用いる場合等においては、凝固点の温度を過度に下げすぎない方が好ましく、この観点で、23%(w/v)以下(20%(w/v)以下、19%(w/v)以下、18%(w/v)以下、17%(w/v)以下、16%(w/v)以下、15%(w/v)以下、14%(w/v)以下、13%(w/v)以下、12%(w/v)以下、11%(w/v)以下、10%(w/v)以下、9%(w/v)以下、8%(w/v)以下、7%(w/v)以下、6%(w/v)以下、5%(w/v)以下、4%(w/v)以下、3%(w/v)以下、2%(w/v)以下、1%(w/v)以下等)であることが好ましい。
【0035】
本発明の製氷装置により生成された氷は冷却能に優れるため、被保冷物を冷却させる冷媒としての使用に適している。被保冷物を冷却させる低温の冷媒としては、氷以外に、エタノール等の不凍液として使用される有機溶媒が挙げられるが、これらの不凍液より氷の方が熱伝導率が高く、比熱が高い。そのため、本発明の製氷装置により生成された氷のような溶質を溶解させて凝固点が低くなった氷は、不凍液のような他の0℃未満の冷媒より、冷却能が優れている点においても有用である。
【0036】
本発明の製氷装置により生成された氷は、上記の溶質以外の成分を含んでもよく、含まなくてもよい。
【0037】
本発明において、「氷」とは、水溶液を含む液体が凍ったものを指す。
【0038】
また、本発明の製氷装置により生成された氷は、真水の凝固点以下の温度で安定な状態が続くため、すなわち、分離しない状態を長く持続させることができる。そのため、例えば、後述のとおり、本発明の製氷装置により生成された氷を構成する液体が、上記の溶質を含有する水溶液に加え、さらに、油を含む液体であった場合、該油が均一な状態が長持ちし、つまり、分離しない状態を長く持続させることができる。
【0039】
上述のとおり、本発明の製氷装置により生成された氷を構成する液体は、上記の溶質を含有する水溶液に加え、さらに、油を含む液体であってもよい。そのような液体としては、生乳、水と油を含む産業廃棄物(廃棄乳等)が挙げられる。液体が生乳であった場合、その氷を食したときの官能性が向上する点で好ましい。このように、官能性が向上する理由は、生乳に含まれる油(脂肪)が氷の中に閉じ込められた状態であるからと推測される。なお、本発明の製氷装置により生成された氷は、上記の溶質を含有する水溶液を凍結させたもののみから構成してもよい。
【0040】
本発明の製氷装置により生成された氷を構成する液体がさらに油を含む場合、液体中の水と油との比率は、特に限定されず、例えば、1:99〜99:1(10:90〜90:10、20:80〜80:20、30:80〜80:30、40〜60:40〜60等)の範囲で適宜選択してもよい。
【0041】
また、本発明の製氷装置により生成された氷は、凝固点降下度の異なる2種以上の溶質を含む水溶液の氷であってもよい。この場合、本発明の製氷装置により生成された氷は、一方の溶質を含む水溶液の氷と、他方の溶質を含む水溶液の氷との混合物であってもよい。かかる場合、例えば、溶質としてエチレングリコールを含む水溶液の氷に、エチレングリコールと凝固点降下度の異なる溶質として食塩を含む水溶液の氷を加えることで、エチレングリコールを含む水溶液の氷の融解を遅らせることができる。あるいは、本発明の製氷装置により生成された氷は、2種以上の溶質を同一の水溶液に溶解した水溶液の氷であってもよい。また、凝固点降下度の異なる2種以上の溶質を併用する場合、対象となる溶質を含む水溶液の氷の融点を下げる場合においても有用である。例えば、溶質として食塩を用いる場合に、食塩よりさらに融点を下げることができる溶質(エチレングリコール、塩化カルシウム等)を併用することで、食塩水の氷の融点を下げることができ、例えば、食塩水の氷のみではなしえない−30℃近辺での温度を実現できる。凝固点降下度の異なる2種以上の溶質の比率は、目的に応じて適宜変更することができる。
【0042】
(被保冷物を冷却させる冷媒)
本発明の製氷装置により生成された氷は、被保冷物を冷却させる冷媒とすることができる。上記のとおり、本発明の製氷装置により生成された氷は冷却能に優れるため、被保冷物を冷却させる冷媒に好適である。
なお、被保冷物を冷却させるための冷媒と、内筒22(
図1参照)を冷却させるための冷媒との混同を防ぐため、被保冷物を冷却させるための冷媒を、以下「氷スラリー」と呼ぶ。氷スラリーは、本発明の製氷装置により生成された氷と、水溶液を含む液体との混合物である。
【0043】
本発明の製氷装置により生成された氷を含有する氷スラリーは、上記の氷の他の成分を含んでもよく、例えば、上記の氷以外に水を含むことで、氷と水との混合物により構成してもよい。例えば、氷に含まれる溶質と同一の溶質を含有する水をさらに含む場合、氷における溶質の濃度と、水における溶質の濃度は近い方が好ましい。その理由は、以下のとおりである。
【0044】
氷の溶質濃度が水の溶質濃度より高い場合、氷の温度が水の飽和凍結点より低いため、溶質濃度が低い水を混合した直後に水分が凍結する。一方、氷の溶質濃度が水の溶質濃度より低い場合、氷の飽和凍結点よりも水の飽和凍結点のほうが低いため氷が融解し、氷と水との混合物からなる氷スラリーの温度が低下する。つまり、氷と水との混合物の状態(氷スラリーの状態)を変動させないようにするためには、上述のとおり、混合する氷と水の溶質濃度を同程度とすることが好ましい。また、氷と水との混合物の状態である場合、水は、上記氷が融解してなるものであってもよく、別途調製したものであってもよいが、上記氷が融解してなるものであることが好ましい。
【0045】
具体的には、本発明の製氷装置により生成された氷を含有する氷スラリーを氷と水との混合物により構成する場合、氷における溶質の濃度と、水における溶質の濃度との比が、75:25〜20:80であることがより好ましく、70:30〜30:70であることがさらに好ましく、60:40〜40:60であることがより一層好ましく、55:45〜45:55であることがさらに一層好ましく、52:48〜48:52であることが特に好ましく、50:50であることが最も好ましい。特に、溶質として食塩を用いる場合、氷における溶質の濃度と、水における溶質の濃度との比が上記範囲内にあることが好ましい。
【0046】
本発明の製氷装置により生成される氷の原料となる水は、特に限定されないが、溶質として食塩を使用する場合、海水、海水に塩を追加した水、又は海水の希釈水、の氷であることが好ましい。海水、海水に塩を追加した水、又は海水の希釈水は、調達が容易であり、これによりコストの削減も可能となる。
【0047】
本発明の製氷装置により生成された氷を含有する氷スラリーは、さらに、上記の本発明の製氷装置により生成された氷より高い熱伝導率を有する固体を含有してもよく、含有さなくてもよいが、含有することが好ましい。短時間で冷却対象物を冷却しようとした場合、熱伝導率の高い固体を利用することにより達成可能であるが、この場合、その固体自身も短時間で冷熱エネルギーを失い温度が上がりやすいため、長時間の冷却には不適である。他方、熱伝導率の高い固体を利用しない方が長時間の冷却に適しているが、短時間で冷却対象物を冷却するのには不適である。しかしながら、本発明の製氷装置により生成された氷は、上記のように冷却能が高いため、熱伝導率の高い固体による短時間の冷却能力を得つつ、長時間の冷却も可能としている点で有用である。本発明の製氷装置により生成された氷より高い熱伝導率を有する固体としては、例えば、金属(アルミニウム、銀、銅、金、ジュラルミン、アンチモン、カドミウム、亜鉛、すず、ビスマス、タングステン、チタン、鉄、鉛、ニッケル、白金、マグネシウム、モリブデン、ジルコニウム、ベリリウム、インジウム、ニオブ、クロム、コバルト、イリジウム、パラジウム)、合金(鋼(炭素鋼、クロム鋼、ニッケル鋼、クロムニッケル鋼、ケイ素鋼、タングステン鋼、マンガン鋼等)、ニッケルクロム合金、アルミ青銅、砲金、黄銅、マンガニン、洋銀、コンスタンタン、はんだ、アルメル、クロメル、モネルメタル、白金イリジウム等)、ケイ素、炭素、セラミックス(アルミナセラミックス、フォルステライトセラミックス、ステアタイトセラミックス等)、大理石、レンガ(マグネシアレンガ、コルハルトレンガ等)等であって、本発明の製氷装置により生成された氷より高い熱伝導率を有するものが挙げられる。また、本発明の製氷装置により生成された氷より高い熱伝導率を有する固体は、熱伝導率が2.3W/m K以上(3W/m K以上、5W/m K以上、8W/m K以上等)の固体であることが好ましく、熱伝導率が10W/m K以上(20W/m K以上、30W/m K以上、40W/m K以上等)の固体であることがより好ましく、熱伝導率が50W/m K以上(60W/m K以上、75W/m K以上、90W/m K以上等)の固体であることがさらに好ましく、熱伝導率が100W/m K以上(125W/m K以上、150W/m K以上、175W/m K以上等)の固体であることがより一層好ましく、熱伝導率が200W/m K以上(250W/m K以上、300W/m K以上、350W/m K以上等)の固体であることがなお好ましく、熱伝導率が200W/m K以上の固体であることがなお好ましく、熱伝導率が400W/m K以上(410W/m K以上等)の固体であることが特に好ましい。
【0048】
本発明の製氷装置により生成された氷を含有する氷スラリーが、上記の本発明の氷より高い熱伝導率を有する固体を含有する場合、上記のとおり、多くの固体を含んでも長時間の冷却に適しており、例えば、本発明の製氷装置により生成された氷より高い熱伝導率を有する固体の質量/氷スラリーに含まれる本発明の製氷装置により生成された氷の質量(又は氷スラリーに含まれる本発明の氷と水溶液を含む液体との合計質量)は、1/100000以上(1/50000以上、1/10000以上、1/5000以上、1/1000以上、1/500以上、1/100以上、1/50以上、1/10以上、1/5以上、1/4以上、1/3以上、1/2以上等)であってもよい。
【0049】
本発明の製氷装置により生成された氷を含有する氷スラリーに含有される上記固体は、どのような形状であってもよいが、粒子状であることが好ましい。また、上記固体は、本発明の製氷装置により生成された氷の内部に含まれた形態で含まれていてもよく、氷の外部に含まれた形態で含まれていてもよいが、氷の外部に含まれた形態で含まれていた方が冷却対象物に直接接しやすくなるため、冷却能が高くなる。このことから、氷の外部に含まれた形態で含まれていた方が好ましい。また、本発明の製氷装置により生成された氷を含有する氷スラリーが上記固体を含有する場合、後述の本発明の製氷装置により氷を生成した後に上記固体と混合してもよく、あるいは、あらかじめ原料となる水に混合した状態で、本発明の製氷装置によって氷を生成してもよい。
【0050】
以下、本発明の製氷装置の一実施形態に係るフレークアイス製造装置10、及び本発明の製氷装置の一実施形態に係るフレークアイス製造装置10を含む製氷システム60を図面に基づいて説明する。
【0052】
図1は、本発明の製氷装置の一実施形態に係るフレークアイス製造装置10の概要を示す部分断面斜視図を含むイメージ図である。
【0053】
容器に溜められた状態の水溶液を含む液体を外部から冷却しても、フレークアイス製造装置10により生成される氷と同様の氷を生成することはできない。これは、冷却速度が十分でないことに起因すると考えられる。しかしながら、フレークアイス製造装置10によれば、溶質を含有する水溶液を含む液体(以下「ブライン」と呼ぶ)を噴射することで霧状となった水溶液が凝固点以下の温度に保持された壁面に直接接することにより、従来なかった急速な冷却を可能としている。これにより、上記(a)及び(b)の条件を満たす、冷却能の高い氷を生成することができると考えられる。
【0054】
壁面は、例えば、後述するドラム11のような円柱型の構造物の内壁22の壁面等が挙げられるが、水溶液の凝固点以下の温度に保持できるような壁面であれば特に限定されない。壁面の温度は、水溶液の凝固点以下の温度に保持されていれば特に限定されないが、上記(a)及び(b)の条件を満たす氷の純度が高い氷を製造できる点で、水溶液の凝固点より1℃以上低い温度(2℃以上低い温度、3℃以上低い温度、4℃以上低い温度、5℃以上低い温度、6℃以上低い温度、7℃以上低い温度、8℃以上低い温度、9℃以上低い温度、10℃以上低い温度、11℃以上低い温度、12℃以上低い温度、13℃以上低い温度、14℃以上低い温度、15℃以上低い温度、16℃以上低い温度、17℃以上低い温度、18℃以上低い温度、19℃以上低い温度、20℃以上低い温度、21℃以上低い温度、22℃以上低い温度、23℃以上低い温度、24℃以上低い温度、25℃以上低い温度等)に保持されることが好ましい。
【0055】
噴射の方法は、特に限定されないが、例えば、後述する噴射部13のように、噴射孔13aを備える噴射手段から、噴射することにより、噴射をすることができる。この場合において、噴射する際の水圧は、例えば、0.001MPa以上(0.002MPa以上、0.005MPa以上、0.01MPa以上、0.05MPa以上、0.1MPa以上、0.2MPa以上等)であってもよく、1MPa以下(0.8MPa以下、0.7MPa以下、0.6MPa以下、0.5MPa以下、0.3MPa以下、0.1MPa以下、0.05MPa以下、0.01MPa以下等)であってもよい。
【0056】
また、後述する竪型ドラム11の中心軸上に回転可能な回転軸12を設ける等の回転手段を設け、回転させながら噴射を行う等の連続的な噴射により行ってもよい。
【0057】
(回収工程)
フレークアイス製造装置10は、上述の氷生成工程後に、壁面上において生成された氷を回収する工程を有する。
【0058】
回収する方法は、特に限定されず、例えば、後述するブレード15等の手段により壁面上の氷を掻き取り、または剥がし、落下した氷を回収してもよい。
【0059】
また、氷が生成される際に、製氷熱が発生するが、この製氷熱を帯びることで、実際の融解完了温度に影響を与える可能性がある。このように、融解完了温度は、溶質の種類、濃度のみでなく、製氷熱の影響を受けると考えられる。そのため、氷に残存する製氷熱の熱量を調整することで、実際の融解完了温度を調整することができる。製氷熱を調整するためには、氷の回収工程において、氷を壁面上の保持時間を調整することで行うことができる。
【0060】
図1に示すように、フレークアイス製造装置10は、ドラム11と、回転軸12と、噴射部13と、剥取部14と、ブレード15と、フレークアイス排出口16と、上部軸受部材17と、防熱保護カバー19と、ギヤードモータ20と、ロータリージョイント21と、冷媒クリアランス24と、ブッシュ28と、冷媒供給部29と、回転制御部27とを備える。
ドラム11は、内筒22と、内筒22を囲繞する外筒23と、内筒22と外筒23との間に形成される冷媒クリアランス24とで構成される。また、ドラム11の外周面は、円筒状の防熱保護カバー19によって覆われている。
【0061】
内筒22は、壁面を有し、壁面が冷却されることにより、壁面に付着したブラインが凍結し、氷が生成される。
ここで、フレークアイス製造装置10は、内筒22の壁面に生成される氷の単位時間当たりの生成量を示す製氷速度をYとし、内筒22の壁面を構成する部材の熱伝導率をx1としたときに、次式(1)が成り立つように設計されている(fは関数(function)を意味する)。
Y=f(x1) ・・・(1)
【0062】
つまり、ブラインが付着する内筒22の壁面の熱伝導率が高い程、内筒22の壁面を冷却する冷媒の温度が速くブラインに伝わるため、短時間で多くの氷が生成される。
このため、内筒22を構成する部材を熱伝導率の高い部材とすることにより、製氷速度を上げることができる。また、反対に、内筒22を構成する部材を熱伝導率の低い部材とすることにより、製氷速度を下げることができる。
本実施形態では、内筒22の壁面を構成する部材として、ステンレスや鉄よりも熱伝導率が高い部材が採用されており、より具体的には、20℃における熱伝導率が70W/mK以上の部材(例えば、銅)が採用されている。このため、フレークアイス製造装置10は、内筒22の壁面を構成する部材にステンレスや鉄を採用した場合に比べて、短時間で多くの氷を生成することができる。一般に大量に氷を製造しようとした場合、短時間で効率的に氷を製造するためには内筒22の壁面の表面積を広くする必要があるが、内筒22の壁面を熱伝導理が高い部材により構成することで氷の製造速度が上がるため、内筒22の壁面を広くする必要がなくなり、結果として比較的狭いスペースでの氷の製造も可能となる。この観点で、内筒22の壁面を構成する部材は、熱伝導率が高い部材を採用することが好ましく、より具体的には20℃における熱伝導率が100W/mK以上の部材がより好ましく、20℃における熱伝導率が150W/mK以上の部材がより一層好ましく、20℃における熱伝導率が200W/mK以上の部材がさらに好ましく、20℃における熱伝導率が250W/mK以上の部材がさらに一層好ましく、20℃における熱伝導率が300W/mK以上の部材が特に好ましい。熱伝導率の上限は特に制限されないが、例えば、20℃における熱伝導率が1000W/mK以下(900W/mK以下、800W/mK以下、700W/mK以下、600W/mK以下、500W/mK以下、400W/mK以下等)であってもよい。内筒22の壁面を構成する部材の具体例としては、亜鉛、アルミニウム、ジェラルミン、金、銀、タングステン、銅、アルミ青銅、七三黄銅、ネーバル黄銅、ニッケル(99.9%)、モリブデン、パラジウム、ケイ素等が挙げられる。また、本発明のフレークアイス製造装置は、上述のとおり、比較的狭いスペースでの製造に適しており、例えば、輸送機器(例えば、車両(トラック等)、船)内部のような限られたスペースしかないような場所における製造に適している。
なお、内筒22の壁面を構成する部材と熱伝導率との関係は、
図2に示す部材の具体例を参照して後述する。
【0063】
また、フレークアイス製造装置10は、製氷速度をYとし、内筒22の壁面のうちブラインが付着される可能性がある部分の面積をx2としたときに、次式(2)が成り立つように設計されている。
Y=f(x2) ・・・(2)
即ち、内筒22の壁面のうちブラインを付着させることができる部分の面積を大きくすれば、それだけ内筒22の壁面に付着することができるブラインの量が増える。このため、結果的に内筒22の壁面に生成される氷の量も増える。反対に、内筒22の壁面のうちブラインを付着させることができる部分の面積を小さくければ、それだけ内筒22の壁面に付着することができるブラインの量が減る。このため、結果的に内筒22の壁面に生成される氷の量も減る。
このように、内筒22の壁面のうちブラインを付着させることができる部分の面積が調節されることにより製氷速度が調節される。
【0064】
外筒23の材質は特に限定されない。なお、本実施形態では鋼が採用されている。
冷媒クリアランス24には、冷媒供給部29から冷媒配管35を介して冷媒が供給される。これにより内筒22の壁面が冷却される。
【0065】
回転軸12は、ドラム11の中心軸上に配置され、上部軸受部材17の上方に設置されたギヤードモータ20を動力源として、当該中心軸を軸として材軸回りに回転する。なお、ギヤードモータ20の回転速度は、後述の回転制御部27によって制御される。
また、回転軸12の頂部にはロータリージョイント21が取り付けられている。ロータリージョイント21なお、回転軸12の上部には、材軸方向に延在し各パイプ13と連通する竪穴12aが形成されている(
図3参照)。
【0066】
噴射部13は、内筒22の壁面に向けてブラインを噴射する噴射孔13aを先端部に有する複数のパイプで構成され、回転軸12と共に回転する。噴射孔13aから噴射されたブラインは、冷媒によって冷却された内筒22の壁面に付着し、分離する時間も与えられずに急速に凍結する。
噴射部13を構成する複数のパイプは、回転軸12からドラム11の半径方向に放射状に延出している。各パイプの設置高さは特に限定されないが、本実施形態では、ドラム11の内筒22高さの上部位置に設置されている。なお、パイプに代えてスプレーノズル等を採用してもよい。
【0067】
また、フレークアイス製造装置10は、上述のような噴射による手法を採用することなく、内筒22の壁面にブラインを自然流下させることにより付着させることもできる。この場合、ブラインを噴射することより内筒22の壁面に付着させた場合に比べ、内筒22の壁面に付着するブラインの体積が大きい。このため、ブラインの自然流下により生成された氷は、内筒22の壁面の温度よりも高いドラム11内部の空気中の温度の影響を受け難いため、ブラインの噴射により生成された氷よりも溶け難いという有利な性質を持つ。
【0068】
剥取部14は、内筒22の壁面に生成された氷を剥ぎ取るブレード15を先端部に装着する複数のアームで構成される。なお、剥取部14は、ドラム11の半径方向に延出し、回転軸12と共に回転する。
剥取部14を構成する複数のアームは、回転軸12に関して対称となるように装着されている。アームの本数は特に限定されないが、本実施形態では、アームの本数を2本としている。各アームの先端部に装着されているブレード15の大きさ及び材質は、特に限定されず、内筒22の壁面に生成された氷を剥ぎ取ることができればよい。例えば、ブレードの先端で氷を掻き取り、または剥ぎ取ってもよい。なお、本実施形態におけるブレード15は、内筒22の全長(全高)に略等しい長さを有するステンレス製の板材からなり、内筒22に面する端面には複数の鋸歯15aが形成されている。
内筒22の壁面に生成された氷は、ブレード15によって剥ぎ取られると、フレークアイスとなる。フレークアイスは、フレークアイス排出口16から落下する。フレークアイス排出口16から落下したフレークアイスは、フレークアイス製造装置10の直下に配置されたフレークアイス貯留タンク34(
図3参照)内に貯えられる。
【0069】
上部軸受部材17は、鍋を逆さにした形状からなり、ドラム11の上面を封止している。上部軸受部材17の中心部には、回転軸12を支持するブッシュ24が嵌装されている。なお、回転軸12は、上部軸受部材17にのみ支持され、回転軸12の下端部は軸支されていない。
即ち、ドラム11の下方には、ブレード15によって剥ぎ取られたフレークアイスが落下する際に障害となる物がないため、ドラム11の下面はフレークアイスを排出するフレークアイス排出口16となる。
【0070】
冷媒供給部29は、冷媒クリアランス24に対して、内筒22の壁面を冷却させるための冷媒を、冷媒配管35を介して供給する。なお、冷媒供給部29によって供給される冷媒は特に限定されず、内筒22の壁面を冷却させるものであればよい。具体的には例えば、冷媒として、LNG(Liquefied Natural Gas/液化天然ガス)を採用することができる。
【0071】
従来より、輸入されたLNGは、−160℃の液体の状態でLNG貯蔵タンクに格納されており、この−160℃のLNGは、常温になるまで気化させられ、熱量調整、付臭が施されて、都市ガスまたはGT発電用に供給される。例えば、LNGの排冷熱を有効活用する手法として、LNG基地では、−160℃のLNGが常温になるまでの排冷熱を、液体酸素や液体窒素の製造、冷凍倉庫、冷熱発電、海水を熱源としたLNGの気化(ORV式)に利用する手法がとられている。
【0072】
上述した用途にLNGの排冷熱を利用した場合、電力又はエンジン駆動による従来の冷却方法と比較して以下のようなメリットを有する。即ち、(1)所要動力が少なくて済む、(2)活用されていないLNGの冷熱エネルギーを有効利用することができる、(3)大型の発電機が不要となる、(4)公害要因が低くなる、(5)コストが安くなる、等のメリットを有する。
その一方で、LNGの排冷熱を利用しようとする場合には、以下のようなデメリットもあった。即ち、LNGの排冷熱の利用は、通常、LNG基地周辺の場所での連続的な利用に限定されていた。これは、LNGは輸送時に燃焼の危険性が伴うためである。つまり、LNGの排冷熱を利用する場合、LNGの排冷熱の供給を受ける側は、LNG基地から配管によってLNGの供給を受け、LNGの排冷熱を利用した後にガスを返送する必要があった。このため、LNG自体を遠隔地に輸送し、そこでバッチ的にLNGの排冷熱を利用できるようにすることは困難であった。
また、LNG基地周辺の場所で連続的にLNGの排冷熱を利用するためには固定化された設備が必要となるため、長期安定的なプロジェクトでないと対応できないというデメリットもあった。さらに、LNGと被冷却物との間における直接の熱交換は危険性を伴うというデメリットもあった。
【0073】
しかしながら、上述したフレークアイス製造装置10の冷媒としてLNGを利用した場合、上述したデメリットはなくなる。即ち、LNGをフレークアイス製造装置10の冷媒として利用することにより、超低温のフレークアイスを製造することができる。このため、製造されたフレークアイスを遠隔地に輸送すれば、LNG自体を遠隔地に輸送することなく、そこでバッチ的にLNGの排冷熱を利用することができる。
また、フレークアイス製造装置10は、特定の場所に固定させる必要はなく、車両、船舶、航空機等の移動体に搭載させることもできるため機動性を有する。さらに、フレークアイスという中間冷媒が存在するため、危険性を伴う、LNGと被冷却物との間における直接の熱交換は行われない。
【0074】
また、−160度のLNGをフレークアイス製造装置10の冷媒として利用することにより、凍結点が−150度程度までのブラインを瞬間凍結させた超低温のフレークアイスを製造することできる。即ち、ブラインが塩水(塩化ナトリウム水溶液)の場合には飽和状態で−21.2℃、塩化マグネシウム水溶液の場合には飽和状態で−26.27℃のフレークアイスを製造することができるが、エチレングリコール塩水や塩化マグネシウム水溶液よりも凍結点が低く、従来より「不凍液」としてブラインに利用することができなかった物質についても瞬間凍結させることによりフレークアイスとして利用することができる。具体的には例えば、エチレングリコールをブラインとするフレークアイスを製造することもできる。
【0075】
即ち、−160度のLNGという超低温の冷媒をフレークアイス製造装置10の冷媒として利用することにより、−150℃程度の超低温のフレークアイスを製造することが可能となる。換言すると、要求される保冷温度は、被保冷物の種類に応じて個別に異なるものであり、例えば−1℃が適するものもあれば−150℃が適するものもある。つまり、内筒22の壁面を冷却させる際に、−160度のLNGという超低温の冷媒を利用することにより、幅広く要求される保冷温度にマッチさせたフレークアイスを容易に製造することができる。
このように、フレークアイス製造装置10は、従来の冷凍機の代替として冷熱を供給することができるだけでなく、LNGの排冷熱を利用してエネルギー効率を高めることもできる。即ち、コージェネレーション(cogeneration)システムを構築することも可能となる。
【0076】
また、フレークアイス製造装置10は、製氷速度をYとし、冷媒クリアランス24に対し供給される冷媒の温度をx3としたときに、次式(3)が成り立つように設計されている。
Y=f(x3) ・・・(3)
即ち、フレークアイス製造装置10は、冷媒供給部29により冷媒クリアランス24に対し供給される冷媒の温度に応じて製氷速度が変化するように設計されている。
即ち、フレークアイス製造装置10は、内筒22の壁面の温度が低い程、内筒22の壁面に付着させたブラインをより速く凍結させることができる。つまり、フレークアイス製造装置10は、冷媒クリアランス24に供給される冷媒の温度が低い程、短時間で多くの氷を生成することができる。
具体的には例えば、冷媒クリアランス24に対し−160℃のLNGが供給された場合、内筒22の壁面の温度は急激に低下する。このため、フレークアイス製造装置10は、−150℃程度までの氷を短時間で大量に生成することができる。
【0077】
本実施形態では、冷媒クリアランス24に供給される冷媒は、冷媒クリアランス24と冷媒供給部29との間を冷媒配管35を介して循環させることができる。これにより、冷媒クリアランス24に供給されている冷媒を冷却機能が高い状態で維持させることができる。
回転制御部27は、ギヤードモータ20の回転速度を調節することにより、回転軸12と共に回転する噴射部13及び剥取部14の回転速度を調節する。なお、回転制御部27が回転速度を制御する手法は特に限定されない。具体的には、例えばインバータによる制御手法を採用してもよい。
【0078】
図2は、製氷面(例えば
図1の内筒22の壁面)に用いられる部材毎の熱伝導率を示す図である。
【0079】
図2に示すように、製氷面を構成する部材は、夫々熱伝導率が異なる。このため、製氷面にどの部材を採用するかにより製氷速度が異なってくる。具体的には例えば、ステンレスの熱伝導率(W/m・K)は、温度が20℃のときに16である。また、純鉄の熱伝導率(W/m・K)は、温度が20℃のときに67であり、ステンレスよりも高い。また、銅(普通品)の熱伝導率(W/m・K)は、温度が20℃のときが372であり、純鉄よりもさらに高い。また、銀の熱伝導率(W/m・K)は、温度が20℃のときが418であり、銅(普通品)よりもさらに高い。即ち、
図2に例示した製氷面の部材の熱伝導率は、同一の温度条件の下、銀>銅(普通品)>純鉄>ステンレスの順で高くなっている。このため、製氷速度も、銀>銅(普通品)>純鉄>ステンレスの順に高くなる。
【0080】
具体的には例えば、内筒22の壁面(製氷面)が銅で構成されている場合、内筒22の壁面を銅から銀に変更することにより、製氷速度を速くすることができる。一方、内筒22の壁面を銅から純鉄やステンレスに変更することにより、製氷速度を遅くすることができる。
このように、フレークアイス製造装置10は、内筒22の壁面を構成する部材を任意に変更することにより、製氷速度を調節することができる。
【0081】
このとき、内筒22の壁面を構成する部材として銀や銅等の熱伝導率が高い部材が選択され、かつ、内筒22の壁面を冷却するための冷媒としてLNG等の超低温の冷媒が選択される場合がある。このような場合には、超低温の冷媒から供給される膨大な冷熱エネルギーが、熱伝導率が高い部材によって効率良くブラインに伝わるため、より効率の良い氷の生成を実現させることができる。
【0082】
[フレークアイス製造システム]
図3は、
図1のフレークアイス製造装置10を含むフレークアイス製造システム60の全体の概要を示すイメージ図である。
【0083】
フレークアイス製造システム60は、フレークアイス製造装置10と、ブライン貯留タンク30と、ポンプ31と、ブライン配管32と、ブラインタンク33と、フレークアイス貯留タンク34と、冷媒配管35と、凍結点調節部36とを備える。
ブライン貯留タンク30は、フレークアイスの原料となるブラインを貯える。ブライン貯留タンク30に貯えられたブラインは、ポンプ31を作動させることによりブライン配管32を介してロータリージョイント21に送給され、フレークアイス製造装置10によってフレークアイスになる。即ち、ロータリージョイント21に送給されたブラインは、ロータリージョイント21及び回転軸12に形成された竪穴12aに送給され、竪穴12aから、噴射部13を構成する各パイプに送給される。
【0084】
ブラインタンク33は、ブライン貯留タンク30内のブラインが少なくなった場合に、ブライン貯留タンク30にブラインを供給する。
なお、内筒22の壁面で凍結せずに流下したブラインは、ブライン貯留タンク30に貯えられ、ポンプ31を作動させることによりブライン配管32を介してロータリージョイント21に再び送給される。
フレークアイス貯留タンク34は、フレークアイス製造装置10の直下に配置され、フレークアイス製造装置10のフレークアイス排出口16から落下したフレークアイスを貯える。
【0085】
凍結点調節部36は、ブラインタンク33によってブライン貯留タンク30に供給されるブラインの凍結点を調節する。例えばブラインが塩水である場合には塩水の凍結点は濃度によって異なるため、凍結点調節部36は、ブライン貯留タンク30に貯えられている塩水の濃度を調節する。
なお、ブラインの凍結点の調整手法は、特にこれに限定されない。例えば、次のような手法を採用することもできる。
即ち、ブライン貯留タンク30を複数個設け、凍結点が異なる複数種類のブラインを、数個のブライン貯留タンク30の夫々に貯留させる。そして、ブライン凍結点調整部37は、求められるフレークアイスの温度(例えば当該フレークアイスにより搬送される搬送品に対して、求められている保冷温度)に基づいて、所定種類のブラインを選択し、フレークアイス製造装置10に供給する。
このように、ブラインの凍結点を調節することにより、製造されるフレークアイスの温度を調節することができる。
【0086】
次に、上記構成を有するフレークアイス製造装置10を含むフレークアイス製造システム60の動作について、ブラインが塩水であるとして説明する。
まず、冷媒供給部29は、冷媒クリアランス24に冷媒を供給し、内筒22の壁面の温度を塩水の凍結点より−10℃程度低くなるように設定する。これにより、内筒22の壁面に付着した塩水が凍結させることができる。
このとき、フレークアイス製造装置10における製氷速度は、内筒22の壁面として採用される部材の熱伝導率に応じて調節される。
また、フレークアイス製造装置10における製氷速度は、内筒22の壁面のうちブラインが付着する可能性がある部分の面積に応じて調節される。
また、フレークアイス製造装置10における製氷速度は、冷媒供給部29により供給される冷媒の温度に応じて調節される。
【0087】
内筒22の壁面が冷却されると、回転制御部27は、ギヤードモータ20を駆動させ、回転軸12を材軸周りに回転させる。
回転軸12が回転すると、ポンプ31は、ブライン貯留タンク30からロータリージョイント21を介して回転軸12内にブラインである塩水を供給する。
回転軸内12に塩水が供給されると、回転軸12と共に回転する噴射部13は、内筒22の壁面に向けて塩水を噴射する。噴射部13から噴射された塩水は、内筒22の壁面に接触すると瞬時に凍結し氷が生成される。
なお、内筒22の壁面にブラインを自然流下させることにより付着させた場合、噴射によりブラインを付着させた場合に比べて、内筒22の壁面に付着するブラインの体積が大きいため、生成される氷の体積も大きくなる。このため、内筒22の壁面に溶け難い氷を生成させることができる。
このとき、回転制御部27は、回転軸12の回転速度を2〜4rpmに制御する。なお、噴射部13の構成要素としてパイプではなくスプレーノズルを使用した場合には、回転制御部27は、回転軸12の回転速度を10〜15rpmに制御する。
内筒22の壁面に生成された氷は、回転軸12と共に回転する剥取部14によって剥ぎ取られる。剥取部14によって剥ぎ取られた氷は、フレークアイスとして排出口16から落下する。排出口16から落下したフレークアイスは、フレークアイス製造装置10の直下に配置されたフレークアイス貯留タンク34内に貯えられる。
上述したように、氷とならず、内筒22の壁面を流下した塩水はブライン貯留タンク30に貯えられ、ポンプ31を作動させることによりブライン配管32を介してロータリージョイント21に再び送給される。なお、ブライン貯留タンク30内の塩水が少なくなった場合は、ブラインタンク33が、自身に貯えられている塩水がブライン貯留タンク30に供給する。
【0088】
ここで、回転制御部27が、ギヤードモータ20の回転速度を変化させることにより、フレークアイス製造装置10により製造されるフレークアイスの温度を変化させることができる。
例えばブレインとして塩水が採用されているものとする。この場合、塩水が凍結する凍結点は、その溶質濃度のみに依存すると従来から考えられて来た。例えば溶質濃度が0.8%であれば、どんな場合でも−1.2℃で塩水が凍結すると従来から考えられて来た。
しかしながら、本出願人が、ブレインとして塩水を採用して、本実施形態のフレークアイス製造装置10を用いて、回転軸12の回転速度を変化させたところ、同一濃度の塩水から製造されるフレークアイスの温度が、回転数に応じて変化すること、特に回転数が低下すると温度が低下することを発見した。
この理由は、フレークアイスは、製氷熱を帯びた状態が融解し終わるまで維持されるためである。
これにより、ブラインの濃度を、冷蔵、冷凍対象にあわせた所望値に固定しつつ、フレークアイスの温度を調節することができる。
【0089】
[氷スラリー製造手法]
次に、上述したブラインとフレークアイスとを材料とする氷スラリーを製造する手法の一例を説明する。氷スラリーについては、予め用意された複数種類のブラインを材料とすることにより、要求される保冷温度と保冷時間とに対応させたもの製造することができる。
なお、ブラインは塩水であり、被保冷物は生鮮海産物であることとし、また、氷スラリーの中に直接被保冷物である生鮮海産物を入れることにより瞬間凍結することを想定して説明する。
【0090】
生鮮海産物を瞬間凍結させるためには、氷スラリーの原料である塩水の溶質濃度を従来に比べて大幅に高く設定する。なお、溶質濃度が13.6%である塩水の理論飽和凍結点は−9.8℃となり、溶質濃度が23.1%である塩水の理論飽和凍結点は−21.2℃となる。
塩水の溶質濃度が13.6%未満の場合、製造した氷スラリーによる生鮮海産物の凍結速度は遅くなる。一方、塩水の溶質濃度が23.1%を超える場合、塩分が結晶として析出するため、塩水の飽和凍結点が上昇する。
なお、生鮮海産物を直接氷スラリーに入れた場合、氷スラリーの溶質濃度が高くても、生鮮海産物の表面が瞬間凍結して氷結するため、生鮮海産物中に塩分が侵入することはない。
【0091】
氷スラリーを製造するために混合するフレークアイスと塩水との溶質濃度は、同程度(数%以内の濃度差)であることを好適とする。フレークアイスの溶質濃度が塩水の溶質濃度より高い場合、フレークアイスの温度が塩水の飽和凍結点より低いため、溶質濃度が低い塩水を混合した直後に水分が凍結する。一方、フレークアイスの溶質濃度が塩水の溶質濃度より低い場合、フレークアイスの飽和凍結点よりも塩水の飽和凍結点のほうが低いため、フレークアイスが融解し、氷スラリーの温度が低下する。
従って、氷スラリーの状態を変動させないようにするためには、混合するフレークアイスと塩水の溶質濃度を同程度とすることが望ましい。
【0092】
混合するフレークアイスと塩水の質量比は、フレークアイス:塩水=75:25〜20:80、好ましくはフレークアイス:塩水=60:40〜50:50とする。なお、フレークアイスの質量比が75質量%を超えると、固形分の比率が高くなるため、生鮮海産物と氷スラリーとの間に隙間が発生し、生鮮海産物に氷スラリー3が密着しなくなる。一方、氷の質量比が20質量%未満であると、製造した氷スラリーによって生鮮海産物を瞬間凍結し難くなるからである。
【0093】
即ち、ブラインが塩水の場合、溶質濃度(ブラインの濃度)を13.6%〜23.1%とした塩水を用いてフレークアイス製造装置10により生成したフレークアイスと、溶質濃度が13.6%〜23.1%である塩水とを混合して氷スラリーを製造する。
本実施形態では、製造された氷スラリーの温度は−9.8℃〜−21.2℃となる。製造されたフレークアイスと混合する塩水の温度は、常温もしくはそれを下回る温度とする。なお、塩水の温度が低い程、製氷効率は高くなる。
【0094】
なお、ブラインが塩水以外の場合は、製造される氷スラリーの温度が、必要とされる温度となるように、ブラインの濃度や、混合するフレークアイスとブラインの質量比を調整する。
このように、ブラインの濃度や、混合するフレークアイスとブラインの質量比を調整することにより、複数種類の温度の氷スラリーを製造することができる。
【0095】
以上、本発明の実施の形態について説明してきたが、本発明は何ら上記した実施の形態に記載の構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載されている事項の範囲内で考えられるその他の実施の形態や変形例も含むものである。また本発明の要旨を逸脱しない範囲内であれば種々の変更や上記実施の形態の組み合わせを施してもよい。
【0096】
例えば、本発明の製氷装置は、一実施形態として
図1に示されるフレークアイス製造装置10のような構成をとる必要はなく、本発明の構成要素を具備する製氷装置であればよい。
また、本発明の製氷装置により生成される氷は、上記(a)及び(b)の条件を満たす、溶質を含有する水溶液を含む液体の氷であることが望ましいが、(a)及び(b)の一方又は双方の条件を満たさない氷であってもよい。即ち、氷と水との溶質濃度が異なる氷スラリーを用いて被保冷物の保冷を行ってもよい。
【0097】
また、本発明の製氷装置の一実施形態に係るフレークアイス製造装置10によれば、任意の温度のフレークアイスを効率良く製造することができるため、フレークアイス製造装置10自体のサイズをよりコンパクト化させることができる。これにより、例えば被保冷物を運搬するための車両、船舶、航空機等の移動体において、積載される保冷物全体の体積に対し、少ない体積のフレークアイス製造装置10を搭載させることができる。
即ち、被保冷物を輸送する場合には、輸送対象となる被保冷物の量に比例して被保冷物を冷却するための氷スラリーが必要となるが、当然ながら被保冷物を運搬するための車両、船舶、航空機には最大積載量が設けられている。この最大積載量の範囲内で、被保冷物の積載量を最大化させるためには、冷却効果を維持できる範囲内で、氷スラリーの量を最小化させる必要がある。このとき、コンパクト化されたフレークアイス製造装置10であれば、積載される保冷物全体の体積に対して少ない体積で済むため、最大積載量の範囲内で、被保冷物の積載量を最大化させることが可能となる。
【0098】
また、鋸歯15aは、内筒22の壁面に付着した氷を剥ぎ取る際に内筒22の壁面に触れる。このため、内筒22の壁面は摩耗し劣化し易くなる。特に銅など鋸歯15aよりも柔らかい材質の場合には劣化が顕著となる。これに対し、図示はしないが、交換可能なライナーを内筒22の壁面に装着させることもできる。これにより、内筒22あるいはドラム11全体を交換するような大掛かりな修繕作業を行うことなく、ライナーのみを交換するだけで内筒22の壁面の品質を維持させることができる。このとき、熱伝導率の均一性を考慮した場合、ライナーは内筒22の壁面と同一の素材であることが望ましいが、同一の素材でなくてもよい。
ライナーを内筒22の壁面に装着させる方法は特に限定されない。例えばライナーと、ライナーに接する内筒22の壁面との夫々に螺旋状の溝を設け、ピッチの粗いネジのような形状とすることにより、ライナーをドラム11内にねじ込むようにして内筒22の壁面に装着させてもよい。また、ライナーを一旦冷却して体積を収縮させたうえで内筒22の壁面に装着させてもよい。この場合、ライナーの温度が常温に戻ると、ライナーの体積が膨張するため、内筒22の壁面にライナーを密着させ固定させることができる。
なお、内筒22の壁面にライナーを装着させる構成とした場合、サンドペーパー等を用いて内筒22の壁面とライナーとが密着する面に細かい凹凸を施してもよい。これにより、内筒22の壁面とライナーとが密着する面との間に一定の摩擦力を生じさせることができるため、内筒22の壁面からライナーが滑って脱落する事故を未然に防ぐこともできる。
【0099】
また、ブラインは、上述した実施形態では塩水(塩化ナトリウム水溶液)としたが、特に限定されない。具体的には、例えば塩化カルシウム水溶液、塩化マグネシウム水溶液、エチレングリコール等を採用することができる。これにより、溶質又は濃度の違いに応じた凍結点の異なる複数種類のブラインを用意することができる。
【0100】
また、本発明の製氷装置により生成された氷を含む氷スラリーが、本発明の製氷装置により生成された氷より高い熱伝導率を有する固体を含有する場合、被冷却物を冷却する工程において、氷スラリーに含まれる氷と被冷却物との間に、本発明の製氷装置により生成された氷より高い熱伝導率を有する固体が介在するように冷却を行うことが好ましい。これにより、熱伝導率の高い固体による短時間の冷却能力を得つつ、被冷却物の長時間の冷却も可能となる。かかる場合、目的に応じて、氷、氷より高い熱伝導率を有する固体、被冷却物とのぞれぞれの間に、別のものが介在していてもよい。例えば、氷スラリーの中に被冷却物と直接接するのが好ましくないもの(例えば、安全性の観点で被冷却物と接するのが好ましくない、氷より熱伝導率が高い固体(銅などの金属等)等)が含まれる場合、袋に氷スラリー又は被冷却物のいずれか一方を収容して、氷スラリーと被冷却物とが直接接しないようにして冷却してもよい。
【0101】
このように、フレークアイス製造装置10により生成される氷は、被冷却物を冷却させる他に、例えば以下のような用途にも利用することができる。即ち、産業廃棄液の凍結、糞尿の凍結、気体の液体化等にも利用することができる。
【0102】
以上まとめると、本発明が適用される製氷装置は、次のような構成を取れば足り、各種各様な実施形態を取ることができる。
即ち、本発明が適用される製氷装置(例えば
図1のフレークアイス製造装置10)は、
製氷面(例えば
図1の内筒22の壁面)と、前記製氷面を冷却する冷却部(例えば
図1の内筒22)とを有し、冷却された前記製氷面に付着したブラインを凍結させることにより氷を生成する製氷部(例えば
図1の内筒22、外筒23、及び冷媒クリアランス24)と、
前記製氷面に対し、前記ブラインを付着させることにより供給するブライン供給部(例えば
図1の噴射部13)と、
前記製氷部により生成された前記氷を回収する回収部(例えば
図1の剥取部14)と、
を備え、
前記製氷部における、単位時間当たりの前記氷の生成量を示す製氷速度をYとし、前記製氷面の熱伝導率をx1としたときに、次式(1)が成り立つように設計されている。
Y=f(x1) ・・・(1)
これにより、より効率良く冷却能の高い氷を生成することを可能とする技術を実現させることができる。
【0103】
また、前記製氷面は、銅で構成されることができる。
これにより、より効率良く冷却能の高い氷を生成させることができる。
【0104】
また、前記製氷速度をYとし、前記製氷面のうち前記ブラインが付着される可能性がある部分の面積をx2としたときに、次式(2)が成り立つように設計されることができる。
Y=f(x2) ・・・(2)
これにより、前記製氷面のうち前記ブラインが付着される可能性がある部分の面積を調節させることにより製氷速度を調節させることができる。
【0105】
また、前記冷却部に対し、前記製氷面を冷却させるために、所定の冷媒を供給する冷媒供給部(例えば
図1の冷媒供給部29)をさらに備え、
前記製氷速度をYとし、前記製氷面の温度をx3としたときに、次式(3)が成り立つように設計されることができる。
Y=f(x3) ・・・(3)
これにより、冷媒が選択され前記製氷面の温度が調節されることにより、製氷速度を調節させることができる。
【0106】
また、前記ブライン供給部は、
前記ブラインを、前記製氷面に噴射することにより付着させることができる。
また、前記ブライン供給部は、
前記ブラインを、前記製氷面に自然流下させることにより付着させることができる。
これにより、前記製氷面に前記ブラインを付着させる手法に応じて製氷速度を調節させることができる。
【0107】
また、前記製氷面は、銅で構成され、
前記冷媒は、LNGとすることができる。
これにより、超低温の前記氷であっても効率良く生成されることが可能となるため、幅広く要求される保冷温度にマッチさせたフレークアイスを容易に製造することができる。
【0108】
また、前記製氷部は、
前記製氷面を覆うライナーをさらに備え、
前記ライナーは交換可能とすることができる。
これにより、前記製氷部全体を交換するような大掛かりな修繕作業を行うことなく、ライナーのみを交換するだけで前記製氷面の品質を維持させることができる。
【0109】
また、本発明が適用されるフレークアイス製造装置は、前記製氷部と、前記ブライン供給部と、前記回収部とを備え、
前記製氷部は、
前記製氷面を有する内筒と、当該内筒を囲繞する外筒と、当該内筒と当該外筒との間に形成されるクリアランスとを含むドラムと、前記クリアランスに対して冷媒を供給する冷媒供給部をさらに備え、
前記ブライン供給部は、
前記ドラムの中心軸を軸として回転する回転軸と共に回転し、前記内筒の前記製氷面に向けて前記ブラインを噴射する噴射部をさらに備え、
前記回収部は、
前記噴射部から噴射された前記ブラインが、前記クリアランスに供給された前記冷媒により冷却された前記内筒の内面に付着し、その結果として生成された氷を剥ぎ取る剥取部をさらに備え、
前記製氷部における、単位時間当たりの前記氷の生成量を示す生成速度をYとし、前記製氷面の熱伝導率をx1としたときに、前記式(1)が成り立つように設計されることができる。
これにより、より効率良く冷却能の高い氷を生成させることができる。
【0110】
また、前記製氷面の20℃における熱伝導率が70W/mK以上とすることができる。
また、前記製氷速度をYとし、前記製氷面のうち前記ブラインが付着される可能性がある部分の面積をx2としたときに、前記式(2)が成り立つように設計されることができる。
また、前記製氷速度をYとし、前記製氷面の温度をx3としたときに、前記式(3)が成り立つように設計されることができる。
【0111】
また、前記ブライン供給部は、
前記ブラインを、前記製氷面に自然流下させることにより付着させることができる。
また、前記冷媒は、LNGとすることができる。
また、前記製氷部は、
前記製氷面を覆うライナーをさらに備え、
前記ライナーは交換可能とすることができる。
【0112】
また、本発明の一態様のフレークアイス製造装置は、移動体に搭載させることができる。
これにより、任意の温度のフレークアイスを効率良く製造することができるため、フレークアイス製造装置自体のサイズをよりコンパクト化させることができる。このため、例えば被保冷物を運搬するための車両、船舶、航空機において、積載される保冷物全体の体積に対し、少ない体積のフレークアイス製造装置を搭載させることができる。