(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6243108
(24)【登録日】2017年11月17日
(45)【発行日】2017年12月6日
(54)【発明の名称】モータのステータコア
(51)【国際特許分類】
H02K 1/18 20060101AFI20171127BHJP
【FI】
H02K1/18 C
【請求項の数】4
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2012-202280(P2012-202280)
(22)【出願日】2012年9月14日
(65)【公開番号】特開2013-74790(P2013-74790A)
(43)【公開日】2013年4月22日
【審査請求日】2015年9月14日
(31)【優先権主張番号】10-2011-0097475
(32)【優先日】2011年9月27日
(33)【優先権主張国】KR
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】513276101
【氏名又は名称】エルジー イノテック カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100165191
【弁理士】
【氏名又は名称】河合 章
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(72)【発明者】
【氏名】チョ チュン ウ
【審査官】
安池 一貴
(56)【参考文献】
【文献】
特開2009−077600(JP,A)
【文献】
特開2009−278814(JP,A)
【文献】
特開2003−324870(JP,A)
【文献】
実開平06−009349(JP,U)
【文献】
特開平07−067273(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 1/00−1/16
H02K 1/18−1/26
H02K 1/28−1/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
同一の方向に複数個の歯が一定の間隔で突出形成されるように、金型で一体に形成し、前記歯を中心に左右の一定区間別のベンディング工程を通じて両端が互いに結合されて円筒状を成す複数のステータコアボディと、
前記ステータコアボディの両端に設けられ、前記ステータコアボディ同士を円筒状になるように固定する固定ユニットと、を含み、
前記固定ユニットは、
前記ステータコアボディの両端に形成されたピン溝と、
結合される2つのステータコアボディの結合面に形成される一対のピン溝に嵌合される固定ピンと、を含み、
前記ピン溝は、
前記ステータコアボディの端部と平行に形成される底面部と、
前記底面部の両側から前記ステータコアボディの端部側に垂直延長される側面部と、
前記側面部から内側に延長されて、前記底面部と平行に配置される2つの係止部と、
前記係止部から前記ステータコアボディの端部側に垂直に延長され、間に開口部が形成される連通部と、を含み、
前記固定ピンが前記ピン溝に挿入結合される方向に垂直となる方向に離脱されることを防止し、前記固定ピンは、前記ステータコアボディと同一の厚さで設けられ、
前記底面部と前記側面部との間、前記側面部と前記係止部との間、前記係止部と前記連通部との間に配置される角部はラウンド処理され、前記固定ピンの外周面は、前記ピン溝の内周面に適合するようラウンド処理され、
前記固定ユニットは前記複数の歯のうち隣接した2個の歯の間に配置されることを特徴とするモータのステータコア。
【請求項2】
前記ステータコアボディは、ベンディング工程時に円筒状の状態を維持するために、隣接する歯の突出部の周辺に相補的な形状のフックユニットが設けられることを特徴とする請求項1に記載のモータのステータコア。
【請求項3】
前記フックユニットは、互いに噛み合う相補的な構造のエッジ部分がラウンド処理されることを特徴とする請求項2に記載のモータのステータコア。
【請求項4】
前記フックユニットと近接する位置に、前記ステータコアボディのベンディング工程時の干渉を減らすためのギャップ溝が形成されることを特徴とする請求項2に記載のモータのステータコア。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータのステータコアに関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、モータに用いられるステータコアは、金属材質のコア部材を円筒状に設け、内周面で突出形成された複数個の歯にコイルを巻線して形成する。
【0003】
最近は、モータの小型化によってステータコアも小型化及び軽量化が必要になり、従来のように一体のステータコアを用いるよりは、薄い金属プレートを一定の厚さで積層してステータコアを形成するか、または、1つの歯を有する略「T」字状の分割コアを組み立てて円筒状のステータコアを形成する場合が多い。
【0004】
ところが、積層ステータコアの場合、複数枚の金属プレートを同一の形でプレス加工した後、再び積層する工程を別に行わなければならない煩わしさがある。また、分割コアの場合にも、それぞれの分割コアをモールディングまたは焼結などを用いて形成した後、それぞれの分割コアを組み立てて円筒状のステータコアに組み立てる工程において、それぞれの分割コアの結合位置における空隙(air gap)によって、組立後、分割コアの結合部分を、別途の接着剤を用いるかまたは相補的な形状を設けて、これらを嵌合結合するなどの組み立てによって円筒状にステータコアを形成しなければならない煩わしさがある。
【0005】
最近は、このような煩わしさを解消できるように、単位コアを複数個積層して、積層された単位コアを同時にベンディングし、ベンディング過程を経て積層された単位コアを一つ以上結合して、環状のステータコアになるように結合する技術が韓国公開特許第2008−0078944号(2008.08.29.公開)に記載されている。
【0006】
しかしながら、このような構成によると、ベンディング過程を経てステータコアを結合する工程中に、コア結合の離脱による製品不良が発生する可能性が高く、結合された部分の固定が堅固でない場合、モータの効率が落ちたり、性能不良が発生するという問題点が生じる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記のような点を勘案して案出されたものであって、一体に構成し、巻いて円筒状のステータコアを構成することができ、互いに向かい合う結合部での結合構造を堅固に構成できるように構造が改善したモータのステータコアを提供することに、その目的がある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によるモータのステータコアは、同一の方向に複数個の歯が一定の間隔で突出形成されるように、金型で一体に形成し、前記歯を中心に左右の一定区間別のベンディング工程を通じて両端が互いに結合されて円筒状を成す少なくとも一つのステータコアボディ、及び、前記ステータコアボディの両端に設けられ、前記ステータコアボディを円筒状になるように固定する固定ユニット、を含むことを特徴とする。
【0009】
本発明の好ましい第1実施例による前記固定ユニットは、前記ステータコアボディの一側端に突出形成された固定突起、及び、前記ステータコアボディの他側端に前記固定突起と相補的な形状で凹に形成された固定溝、を含むことを特徴とする。
【0010】
本発明の好ましい第2実施例による前記固定ユニットは、前記ステータコアボディの両端に形成されたピン溝、及び、前記ピン溝に嵌合される固定ピン、を含むことができる。
【0011】
このとき、前記ピン溝は、少なくとも2個以上の係止部、及び、前記係止部と連通する開口部、を含み、前記固定ピンがピン溝に挿入結合される方向に垂直する方向に離脱されることを防止することができる。
【0012】
好ましくは、前記ピン溝は「T」字状に設けられ、一対の前記ピン溝に挿入される固定ピンは「H」字状に設けられるのがよい。
【0013】
このとき、前記固定ピンとピン溝は、各角部がラウンド処理され、前記ステータコアボディと同一の厚さで設けられることが好ましい。
【0014】
一方、前記ステータコアボディは、ベンディング工程時に円筒状の状態を維持するために、隣接する歯の突出部の周辺に相補的な形状のフックユニットが設けられるのがよい。
【0015】
前記フックユニットは、互いに噛み合う相補的な凹凸構造のエッジ部分がラウンド処理され、前記フックユニットと近接する位置にステータコアボディのベンディング時の干渉を減らすためのギャップ溝が形成されてもよい。
【発明の効果】
【0016】
本発明は、一つのボディを巻いて構成するステータコアの結合部分の信頼性を向上させるため、固定性が向上し、組立効率を高めることができる。
【0017】
また、ステータコアの組立時、それぞれの分割コア部分の空隙(air gap)が最小化できるため、モータの組み立て及び運搬が容易であり、コア部の組み立て間違いによる作業損失を減らすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】金型で形成されたベンディング前の状態のステータコアの斜視図である。
【
図2】本発明の好ましい第1実施例による固定ユニットで
図1のステータコアをベンディングして円筒状に巻いて形成した状態を示す斜視図である。
【
図3】本発明の好ましい第2実施例による固定ユニットで
図1のステータコアをベンディングして円筒状に巻いて形成した状態を示す斜視図である。
【
図4】
図3の固定ピンを分離した分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に、本発明の好ましい実施例について、図面を参考しながら説明する。
【0020】
図1は、金型で形成されたベンディング前の状態のステータコアの斜視図、
図2は、本発明の好ましい第1実施例による固定ユニットで
図1のステータコアをベンディングして円筒状に巻いて形成した状態を示す斜視図、
図3は、本発明の好ましい第2実施例による固定ユニットで
図1のステータコアをベンディングして円筒状に巻いて形成した状態を示す斜視図、及び、
図4は、
図3の固定ピンを分離した分解斜視図である。
【0021】
図1に示したように、本発明によるステータコアは、ステータコアボディ100と固定ユニット200とを含む。
【0022】
ステータコアボディ100は、同一の方向に複数個の歯110が一定の間隔で突出形成されるように、金型で一体に形成される。また、ステータコアボディ100は、歯110を中心に、左右の一定区間(A)別のベンディング工程を通じて両端101,102が互いに結合され、
図2に示したように、円筒状を成すことが好ましい。
【0023】
一方、ステータコアボディ100は、ベンディング工程時に円筒状の状態を維持するために、隣接する歯110の突出部の周辺に相補的な形状のフックユニット120が設けられるのがよい。
【0024】
フックユニット120は互いに噛み合う相補的な凹凸構造に設けられ、一側にフック突起121が形成され、その対応する他側には突起収容溝122が設けられる。このとき、フック突起121と突起収容溝122のエッジ部分は、円滑な結合のためにラウンド処理されるのがよい。
【0025】
また、フックユニット120と近接する位置には、ステータコアボディ100のベンディング時、それぞれの区間(A)別の干渉を減らすためのギャップ溝123をさらに備えることができる。ギャップ溝123は、
図1に示したように、略円形断面を形成するトレンチ構造に設けられ、一側が開口され、この開口された部分がフックユニット120と連通されることが好ましい。
【0026】
本発明の好ましい第1実施例による固定ユニット200は、
図1及び
図2に示したように、ステータコアボディ100の両端に設けられ、ステータコアボディ100を円筒状になるように固定するものであって、固定突起210及び固定溝220を含む。
【0027】
固定突起210は、ステータコアボディ100の一側端101に突出形成されるものであって、図示したように、断面形状が略四角形になるように形成することができるが、これに限定するのではなく、図示してはいないが、断面形状が円形、多角形など、多様に構成することが可能である。固定突起210は、固定溝220の離脱方向にフックすることができる構造であれば、どんなものでも可能である。
【0028】
固定溝220は、固定突起210の形状と相補的な形状に設けられるものであって、ステータコアボディ100の他側端102に凹に形成される。
【0029】
上記したように構成された本発明の第1実施例による固定ユニット200は、固定突起210と固定溝220のスライディングフィット結合によって固定され、これらの間の公差を最小化して、圧入工程を通じてステータコアボディ100が円筒状になるように固定する。
【0030】
本発明の好ましい第2実施例による固定ユニット300は、
図3及び
図4に示したように、ピン溝310と固定ピン320とから構成される。
【0031】
ピン溝310は、ステータコアボディの両端に形成され、図示したように、少なくとも2個以上の係止部311と、係止部311と連通する開口部312とを含み、固定ピン320がピン溝310に挿入結合される方向(
図4の矢印B方向)に垂直する方向に離脱されることを防止することができる。
【0032】
本発明の好ましい実施例によると、ピン溝310は、ステータコアボディ100の両端101,102(
図1参照)に同一の形状で対称するように設けられることが好ましい。
【0033】
固定ピン320は、ピン溝310に挿入結合されるようにピン溝310の形状と相補的な形状に設けられる。このとき、ステータコアボディ100の両端101,102に形成されたピン溝310は相互対称構造を有することから、固定ピン320は、左右対称形状に設けられることが好ましい。固定ピン320は、
図4の矢印B方向に平行な方向に、ピン溝310に圧入結合される。
【0034】
本発明の好ましい一実施例によると、ピン溝310は略「T」字状に設けられ、一対のピン溝310に挿入される固定ピン320は略「H」字状に設けられるのがよいが、これに限定するのではなく、矢印B方向に垂直する方向への離脱を防止することができる形状であれば、どんなものでも可能である。
【0035】
また、ピン溝310と固定ピン320は、各角部がラウンド処理され、ステータコアボディ100と同一の厚さで設けられることが好ましい。
【0036】
上記した固定ピン320を用いた固定ユニット300によると、ステータコアの組立時、それぞれの分割コア部分の空隙(air gap)が最小化できるため、モータの組み立て及び運搬が容易であり、コア部の組み立て間違いによる作業損失を減らすことができる。
【0037】
上記で説明し、図面に示した本発明の実施例は、本発明の技術的思想を限定するものと解釈されてはならない。本発明の保護範囲は特許請求の範囲に記載の事項のみによって制限され、本発明の技術分野における通常の知識を有する者は本発明の技術的思想を多様な形態に改良変更することが可能である。したがって、このような改良及び変更は通常の知識を有する者にとって自明なものである限り、本発明の保護範囲に属するものと認めるべきである。
【符号の説明】
【0038】
100 ステータコアボディ
110 歯
120 フックユニット
200 固定ユニット
210 固定突起
220 固定溝