特許第6243135号(P6243135)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 京都エレックス株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6243135-加熱硬化型導電性ペースト組成物 図000007
  • 特許6243135-加熱硬化型導電性ペースト組成物 図000008
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6243135
(24)【登録日】2017年11月17日
(45)【発行日】2017年12月6日
(54)【発明の名称】加熱硬化型導電性ペースト組成物
(51)【国際特許分類】
   H01B 1/22 20060101AFI20171127BHJP
   H05K 1/09 20060101ALI20171127BHJP
   H01B 1/00 20060101ALI20171127BHJP
   C08L 101/00 20060101ALI20171127BHJP
   C08K 3/08 20060101ALI20171127BHJP
【FI】
   H01B1/22 A
   H05K1/09 A
   H01B1/00 C
   C08L101/00
   C08K3/08
【請求項の数】5
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2013-90310(P2013-90310)
(22)【出願日】2013年4月23日
(65)【公開番号】特開2014-216089(P2014-216089A)
(43)【公開日】2014年11月17日
【審査請求日】2016年1月15日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】397059571
【氏名又は名称】京都エレックス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】特許業務法人 有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】新井 貴光
(72)【発明者】
【氏名】留河 悟
(72)【発明者】
【氏名】元久 裕太
【審査官】 神野 将志
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−238596(JP,A)
【文献】 特開2004−296177(JP,A)
【文献】 特開平10−012403(JP,A)
【文献】 特開2003−297148(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01B 1/00、1/22
C08K 3/08
C08L 101/00
H05K 1/09
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)導電性粉末と、(B)熱硬化性成分と、(C)硬化剤と、(D)溶剤とを含有する加熱硬化型導電性ペースト組成物であって、
前記(A)導電性粉末として、(A1)フレーク状粉末および(A2)球状粉末が用いられ、
前記(A1)フレーク状粉末は、その平均粒径D50が2〜20μmの範囲内であり、アスペクト比が5〜15の範囲内であり、BET比表面積が0.1〜1m2 /gの範囲内であるとともに、
前記(A2)球状粉末は、その平均粒径D50が0.1〜10μmの範囲内であり、凝集度D50/DSEMが2〜15の範囲内であり、BET比表面積が0.5〜1.7m2 /gの範囲内であり、タップ密度が1.5〜5g/cm3 の範囲内であり、
当該加熱硬化型導電性ペースト組成物の固形分中における(A)導電性粉末の含有量が90〜99質量%の範囲内であり、かつ、(D)溶剤の20℃における粘度が100mPa・s以上であることを特徴とする、
加熱硬化型導電性ペースト組成物。
【請求項2】
前記(D)溶剤の20℃における粘度が、300mPa・s以上であることを特徴とする、
請求項1に記載の加熱硬化型導電性ペースト組成物。
【請求項3】
前記(B)熱硬化性成分として、(B1)エポキシ樹脂および(B2)ブロック化ポリイソシアネート化合物を含有することを特徴とする、
請求項1または2に記載の加熱硬化型導電性ペースト組成物。
【請求項4】
前記(A)導電性粉末が、銀粉、銅粉、銀コート銅粉、銀コートニッケル粉、銀コートアルミ粉、および銀コートガラス粉からなる群より選択される少なくとも1種が用いられることを特徴とする、
請求項1からのいずれか1項に記載の加熱硬化型導電性ペースト組成物。
【請求項5】
基材上に印刷された導体パターンを加熱硬化することによって、当該基材上に電極または電気配線を形成する用途に用いられることを特徴とする、
請求項1からのいずれか1項に記載の加熱硬化型導電性ペースト組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加熱硬化型導電性ペースト組成物に関し、特に、基材に対して優れた印刷性を実現でき、かつ、基材上に印刷された塗膜を加熱硬化させて得られる電極または電気配線が、優れた導電性を発揮できる、加熱硬化型導電性ペースト組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、フィルム、基板、電子部品等の基材に電極または電気配線(配線)等を形成する方法の一つとして、導電性ペースト組成物を用いる方法が広く知られている。この方法において、比較的低温で導体パターンを形成する場合には、導電性金属粉末(導電性粉末)と熱硬化性樹脂とを含有する加熱硬化型のものが用いられる。そして、この加熱硬化型導電性ペースト組成物を基材上に所定の導体パターンで塗布または印刷し、その後に基材上の導体パターンを乾燥硬化させるために加熱が行われ、これにより、所定の導体パターンの電極や配線等が基材上に形成される。
【0003】
ここで、近年の電子機器や電子部品の高性能化等に伴って、電極や配線等に対して、さらなる低抵抗化が要求されており、この要求は年々厳しいものとなっている。また、電極や配線等となる導体パターンは、電子機器や電子部品の高性能化等に伴って高精細化したり複雑化したりする傾向にある。それゆえ、加熱硬化型導電性ペースト組成物に対しては、優れた印刷性が要求される。
【0004】
そこで、加熱硬化型導電性ペースト組成物の分野では、硬化後に得られる電極や配線等について高い導電性を実現可能とし、かつ、硬化前の導体パターンを良好に形成するための高い印刷性も実現可能とする技術が提案されている。
【0005】
例えば、特許文献1には、平均粒径が0.5μm〜20μmの銀粒子と、1次粒子の平均粒径が50nm以下である球状銀粒子とを主成分とし、その混合比(重量比)が、前者:後者=99:1〜80:20の範囲にある導電性銀ペーストが開示されている。特許文献1では、バインダー樹脂として「熱硬化性樹脂」を用いた加熱硬化型であることが好ましいことが開示され、また、銀粉末(銀粒子):バインダー樹脂(ポリエステル樹脂)=85:15〜95:5の範囲であることが好ましく、銀粉末が95部を超えると、印刷性や接着性の低下に影響することも開示されている。
【0006】
また、本願出願人は、特許文献2において、銀粉末としてフレーク状銀粉末および表面処理剤を付着させた球状銀粉末を含み、かつ、固形分中における銀粉末の比率が90〜95重量%である、加熱硬化型導電性ペースト組成物を提案している。この加熱硬化型導電性ペースト組成物は、前記構成を有することにより、優れた印刷性、高い導電性、および良好な半田濡れ性を実現することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2005−294254号公報
【特許文献2】特開2011−071057号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
加熱硬化型導電性ペースト組成物では、導電性粉末(銀粉末等)の組成中の含有量(含有率)を増加させることにより、低抵抗化を図ることが可能である。しかしながら、導電性粉末の含有量を増加させると、ペースト粘度が上昇するため、印刷性が低下する。それゆえ、特許文献1または特許文献2に開示されているように、加熱硬化型導電性ペースト組成物においては、良好な印刷性を保持する上では、導電性粉末の含有量を増加させることに限度があった。
【0009】
本発明はこのような課題を解決するためになされたものであって、導電性粉末の含有量をより増加させても、優れた印刷性を実現できるとともに、得られる電極や配線等の低抵抗化を図ることが可能な、加熱硬化型導電性ペースト組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る加熱硬化型導電性ペースト組成物は、前記の課題を解決するために、(A)導電性粉末と、(B)熱硬化性成分と、(C)硬化剤と、(D)溶剤とを含有する加熱硬化型導電性ペースト組成物であって、当該加熱硬化型導電性ペースト組成物の固形分中における(A)導電性粉末の含有量が90質量%以上であり、かつ、(D)溶剤の粘度が100mPa・s以上である構成である。
【0011】
前記構成によれば、(A)導電性粉末として前記2種類の粉末を用い、かつ、(B)熱硬化性成分として前記2種類の化合物を用いた組成において、(D)溶剤として、相対的に高粘度のものを用いることにより、良好な印刷性を実現しつつ(A)導電性粉末の含有量を増加させることが可能となる。しかも、(A)導電性粉末の含有量を増加できれば、得られる硬化物の抵抗値を低くすることが可能となるため、導電性に優れた電極や配線等を形成することが可能となる。
【0012】
したがって、前記構成によれば、(A)導電性粉末の含有量をより増加させても、優れた印刷性を実現できるとともに、得られる電極や配線等の低抵抗化を図ることが可能となる。
【0013】
また、前記構成の加熱硬化型導電性ペースト組成物においては、前記(D)溶剤の粘度が、300mPa・s以上である構成であってもよい。
【0014】
また、前記構成の加熱硬化型導電性ペースト組成物においては、前記(A)導電性粉末の比率が95〜99質量%である構成であってもよい。
【0015】
また、前記構成の加熱硬化型導電性ペースト組成物においては、前記(A)導電性粉末として、(A1)フレーク状粉末および(A2)球状粉末の少なくとも一方が用いられ、前記(B)熱硬化性成分として、(B1)エポキシ樹脂および(B2)ブロック化ポリイソシアネート化合物を含有する構成であってもよい。
【0016】
また、前記構成の加熱硬化型導電性ペースト組成物においては、前記(A)導電性粉末が、銀粉、銅粉、銀コート銅粉、銀コートニッケル粉、銀コートアルミ粉、および銀コートガラス粉からなる群より選択される少なくとも1種が用いられる構成であってもよい。
【0017】
また、前記構成の加熱硬化型導電性ペースト組成物においては、基材上に印刷された導体パターンを加熱硬化することによって、当該基材上に電極または電気配線を形成する用途に用いられる構成であってもよい。
【発明の効果】
【0018】
本発明では、以上の構成により、導電性粉末の含有量をより増加させても、優れた印刷性を実現できるとともに、得られる電極や配線等の低抵抗化を図ることが可能な、加熱硬化型導電性ペースト組成物を提供することができる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明に係る加熱硬化型導電性ペースト組成物の特性(比抵抗)を評価するための導体パターンの形状を示す平面図である。
図2】本発明に係る加熱硬化型導電性ペースト組成物の特性(導体パターン形成)を評価するための導体パターンの形状を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の好ましい実施の形態の一例を具体的に説明する。本発明に係る加熱硬化型導電性ペースト組成物は、(A)導電性粉末と、(B)熱硬化性成分と、(C)硬化剤と、(D)溶剤とを含有しており、当該加熱硬化型導電性ペースト組成物中における(A)導電性粉末の含有量が90質量%以上であり、かつ、(D)溶剤の粘度が100mPa・s以上となっている。
【0021】
なお、以下の説明では、本発明に係る加熱硬化型導電性ペースト組成物を、単に「導電性ペースト組成物」と略記する。また、本実施の形態において、加熱硬化型導電性ペースト組成物の固形分(不揮発分)とは、(A)導電性粉末と(B)熱硬化性成分との合計を指す。
【0022】
[(A)導電性粉末]
本発明に係る導電性ペースト組成物に用いられる(A)導電性粉末は、(A1)フレーク状粉末または(A2)球状粉末であればよいが、良好な導電性を実現する観点から、(A1)フレーク状粉末および(A2)球状粉末が併用されてもよい。したがって、本発明においては、(A)導電性粉末としては、(A1)フレーク状粉末および(A2)球状粉末の少なくとも一方が用いられればよい。
【0023】
本発明における(A1)フレーク状粉末とは、部分的に凹凸があり変形が見られても、全体として見た場合に、平板または厚みの薄い直方体に近い形状の粉末であればよい。なお、フレーク状とは、薄片状または鱗片状と言い換えることができる。また、本発明における(A2)球状粉末とは、部分的に凹凸があり変形が見られても、全体として見た場合に、直方体よりは立方体に近い立体形状の粉末であればよい。なお、球状とは、粒状と言い換えることができる。
【0024】
本発明においては、(A)導電性粉末として(A1)フレーク状粉末および(A2)球状粉末が併用される。例えば、(A1)フレーク状粉末のみを用いる場合、(A)導電性粉末同士の接触面積を大きくすることができるので、高い導電性を期待することができる。しかしながら、(A1)フレーク状粉末の製造過程では滑剤が使用されるため、(A1)フレーク状粉末のみが用いられると、得られる硬化物(電極や配線等)の接着性が低下するおそれがある。
【0025】
また、(A1)フレーク状粉末は、二次元的な広がりを有する形状であることから、(A1)フレーク状粉末のみが用いられると、その形状に起因して硬化物(電極や配線等)の厚みを大きくすることが困難となる傾向にある。それゆえ、例えば配線を形成した際には、当該配線の抵抗値が期待したほど低くならないことがある。また、(A1)フレーク状粉末は、その製造過程に起因して、(A2)球状粉末よりも製造コストが相対的に高くなるため、(A1)フレーク状粉末のみが用いられると、低コスト化を阻害するおそれがある。
【0026】
あるいは、(A2)球状粉末のみを用いた場合、(A1)フレーク状粉末と比較して(A)導電性粉末同士の接触面積が小さくなるので、比抵抗を十分に低下させることができない可能性がある。それゆえ、本発明においては、得られる導電性ペースト組成物の物性をより向上するとともに低コスト化の観点からも、(A1)フレーク状粉末と(A2)球状粉末とを併用することが好ましい。
【0027】
(A1)フレーク状粉末および(A2)球状粉末を併用する場合、これら粉末の配合比は特に限定されないが、両者の合計を100質量部としたときに、(A1)フレーク状粉末が20〜80質量部の範囲内であり、かつ、(A2)球状粉末が80〜20質量部の範囲内であることが好ましく、(A1)フレーク状粉末が40〜60質量部の範囲内であり、かつ、(A2)球状粉末が60〜40質量部の範囲内であることがより好ましい。言い換えれば、(A1)フレーク状粉末と(A2)球状粉末とは、質量比で、20:80〜80:20の範囲内となるように配合されていることが好ましく、40:60〜60:40の範囲内となるように配合されていることがより好ましい。
【0028】
(A1)フレーク状粉末または(A2)球状粉末が80質量部を超えたり20質量部を下回ったりすれば、両者を併用したことによる導電性の向上効果が十分に得られない場合があり、また、フィルム、基板、電子部品等の基材に対して優れた接着性が得られなくなる場合もある。もちろん、本発明では、(A)導電性粉末として、(A1)フレーク状粉末のみ、あるいは、(A2)球状粉末のみを用いることもできるので、前記の導電性の向上効果あるいは基材に対する接着性に関しては、2種類を併用する際の相対的な評価を意味し、絶対的な評価を意味しない。
【0029】
また、(A)導電性粉末の固形分中の比率(含有量)は、90〜99質量%の範囲内であればよく、95〜98質量%の範囲内であることが好ましく、95〜97質量%の範囲内であることがより好ましい。ここでいう固形分は、前記の通り、(A)導電性粉末と(B)熱硬化性成分の合計である。
【0030】
(A)導電性粉末の含有量が90質量%未満であれば、(A)導電性粉末の接触密度が小さくなり、(A)導電性粉末同士の接触不良により導電性が不充分となって比抵抗の上昇につながるため好ましくない。一方、(A)導電性粉末の含有量が99質量%より多くなると、樹脂成分により(A)導電性粉末を均一に分散できなくなるおそれがあるため好ましくない。導電性ペースト組成物中で(A)導電性粉末が均一に分散できなければ、導体パターンがカスレたり不均一な導体パターンが形成されたりする等の可能性がある。特に本発明では、後述するように、(D)溶剤として、相対的に高粘度のものを用いているが、これにより、(A)導電性粉末の含有率を少なくとも90質量%以上、好ましくは95質量%以上とすることができるので、比抵抗の低下を図ることができる。
【0031】
ここで、(A1)フレーク状粉末および(A2)球状粉末のいずれにおいても、その材質は特に限定されず、加熱硬化型導電性ペースト組成物の分野で公知の導電性物質であって、相対的に低抵抗であるものを好適に用いることができる。具体的には、金、銀、銅、およびこれらの合金を好ましく用いることができる。また、具体的な粉末(粒子)の材料構成も特に限定されないが、代表的には、銀粉、銅粉、銀コート銅粉、銀コートニッケル粉、銀コートアルミ粉、または銀コートガラス粉等を挙げることができる。これら材料構成は1種類のみを用いてもよいし2種類以上を適宜組み合わせて用いてもよい。これらの中でも、代表的な粉末としては、銀粉(銀粉末)を挙げることができる。したがって、本実施の形態では、(A1)フレーク状粉末としては、フレーク状銀粉末が好ましく用いられ、(A2)球状粉末としては、球状銀粉末が好ましく用いられる。
【0032】
また、本発明においては、(A1)フレーク状粉末および(A2)球状粉末のいずれにおいても、これら(A)導電性粉末に含まれるアルカリ金属イオン量の上限が定められていることが好ましい。具体的には、(A)導電性粉末に含まれるナトリウムイオン量およびカリウムイオン量はいずれも200ppm未満であることが好ましく、100ppm未満であることがより好ましく、10ppm未満であることがさらに好ましい。本発明では、少なくともナトリウムイオン量が200ppm未満であることが好ましい。これらイオン量が200ppmを超えれば、導電性ペースト組成物により電極や配線等を形成した電子部品または電子装置において、その電気特性や信頼性に問題が生じ易くなる。一方、これらイオンの下限は低ければ低い程良い。
【0033】
[(A1)フレーク状粉末]
本発明における(A)導電性粉末のうち(A1)フレーク状粉末の好ましい構成について具体的に説明する。(A1)フレーク状粉末の平均粒径D50は2〜20μmの範囲内であることが好ましく、BET比表面積は0.1〜1m2 /gの範囲内であることが好ましく、タップ密度は3〜7g/cm3 の範囲内であることが好ましく、アスペクト比は5〜15の範囲内であることが好ましい。
【0034】
より具体的には、(A1)フレーク状粉末の平均粒径D50は、前記の通り2〜20μmの範囲内が好ましいが、2〜12μmの範囲内であればより好ましく、6〜10μmの範囲内であればさらに好ましい。(A1)フレーク状粉末の平均粒径D50が2μmより小さければ、(A)導電性粉末同士の接触抵抗が大きくなる傾向にあり、十分な導電性が得られなくなるおそれがある。一方、平均粒径D50が20μmより大きければ、(A)導電性粉末同士の接触抵抗は小さくなるが、メッシュスクリーンを用いて導体パターンを印刷する場合、メッシュスクリーンの目詰まりが生じたり、微細配線の形成が困難となったりするおそれがある。
【0035】
また、(A1)フレーク状粉末のBET比表面積は、前記の通り0.1〜1m2 /gの範囲内が好ましいが、0.2〜0.8m2 /gの範囲内であればより好ましく、0.2〜0.5m2 /gの範囲内であればさらに好ましい。(A1)フレーク状粉末のBET比表面積が0.1m2 /gより小さければ、フレーク厚みが厚くなりすぎて(A1)フレーク状粉末の形状が球形に近くなるため、(A)導電性粉末同士の接触面積が小さくなる傾向にあり、十分な導電性が得られなるおそれがある。一方、BET比表面積が1m2 /gを超えれば、(A)導電性粉末同士の接触面積は大きくなるが、ペースト粘度が高くなるため、高充填化が困難となる(すなわち、導電性ペースト組成物中の(A)導電性粉末の含有量を向上することが困難となる)傾向にあるので、十分な導電性が得られないおそれがある。
【0036】
また、(A1)フレーク状粉末のタップ密度は、前記の通り3〜7g/cm3 の範囲内が好ましいが、3〜6g/cm3 の範囲内であればより好ましく、3.5〜5.5g/cm3 の範囲内であればさらに好ましい。(A1)フレーク状粉末のタップ密度が3g/cm3 未満であれば、(A1)フレーク状粉末が嵩高くなり、高充填化が困難となる傾向にあるので、十分な導電性が得られないおそれがある。一方、タップ密度が7g/cm3 を超えれば、(A1)フレーク状粉末を工業的に生産することが通常困難となる。
【0037】
また、(A1)フレーク状粉末のアスペクト比は、前記の通り5〜15の範囲内が好ましいが、6〜12の範囲内であればより好ましく、6〜10の範囲内であればさらに好ましい。(A1)フレーク状粉末のアスペクト比が5未満であれば、フレーク化が不十分なため(A)導電性粉末同士の接触面積が小さくなる傾向にあり、十分な導電性が得られないおそれがある。一方、アスペクト比が15を超えれば、(A)導電性粉末同士の接触面積は大きくなるが、高充填化が困難となる傾向にあるので、十分な導電性が得られないおそれがある。
【0038】
前記(A1)フレーク状粉末の製造方法は特に限定されず、公知の方法を用いることができる。具体的には、例えば、公知の方法で製造された(A2)球状粉末を元粉として、当該元粉に公知の機械的処理を施すことにより(A1)フレーク状粉末を製造することができる。元粉の粒径や凝集度等の物性は、導電性ペースト組成物の使用目的(電極や配線等の種類、あるいはこれら電極や配線等を備える電子部品または電子装置等の種類)に応じて適宜選択することができる。
【0039】
[(A2)球状粉末]
次に、本発明における(A)導電性粉末のうち(A2)球状粉末の好ましい構成について具体的に説明する。(A2)球状粉末の平均粒径D50は0.1〜10μmの範囲内であることが好ましく、BET比表面積は0.5〜1.7m2 /gの範囲内であることが好ましく、タップ密度は1.5〜5g/cm3 であることが好ましく、凝集度D50/DSEMが2〜15の範囲内であることが好ましい。
【0040】
より具体的には、(A2)球状粉末の平均粒径D50は、前記の通り0.1〜10μmの範囲内が好ましいが、1〜5μmの範囲内であればより好ましく、1〜3μmの範囲内であればさらに好ましい。(A2)球状粉末の平均粒径D50が0.1μmより小さければ、導電性ペースト組成物が高粘度化して、ペースト化することが困難になるおそれがある。一方、平均粒径D50が10μmより大きければ、(A1)フレーク状粉末の場合と同様に、メッシュスクリーンを用いて導体パターンを印刷する場合、メッシュスクリーンの目詰まりが生じたり、微細配線の形成が困難となったりするおそれがある。
【0041】
また、(A2)球状粉末のBET比表面積は、前記の通り0.5〜1.7m2 /gの範囲内が好ましいが、0.6〜1.6m2 /gの範囲内であればより好ましく、0.9〜1.6m2 /gの範囲内であればさらに好ましい。(A2)球状粉末のBET比表面積が0.5m2 /gより小さければ、(A)導電性粉末同士の接触面積が小さくなる傾向にあり、十分な導電性が得られないおそれがある。一方、BET比表面積が1.7m2 /gを超えれば、(A)導電性粉末同士の接触面積は大きくなるが、ペースト粘度が高くなり高充填化が困難となる傾向にあるので、十分な導電性が得られないおそれがある。
【0042】
また、(A2)球状粉末のタップ密度は、前記の通り1.5〜5g/cm3 の範囲内が好ましいが、2〜5g/cm3 の範囲内であればより好ましく、3〜4g/cm3 の範囲内であればさらに好ましい。(A2)球状粉末のタップ密度が1.5g/cm3 未満であれば、(A)導電性粉末が嵩高くなり、高充填化が困難となる傾向にあるので、十分な導電性が得られないおそれがある。一方、タップ密度が5g/cm3 を超えれば、(A2)球状粉末の分散性が良好になり過ぎ、(A)導電性粉末の間に樹脂成分が回りこみ易くなるため、(A)導電性粉末同士の界面抵抗が大きくなる傾向にあり、十分な導電性が得られないおそれがある。
【0043】
また、(A2)球状粉末の凝集度D50/DSEMは、前記の通り2〜15の範囲内が好ましいが、3〜11の範囲内であればより好ましく、3〜7.5の範囲内であればさらに好ましい。凝集度D50/DSEMが2より小さければ、(A2)球状粉末の分散性が良好になり過ぎ、(A)導電性粉末の間に樹脂成分が回りこみ易くなるため、(A)導電性粉末同士の界面抵抗が大きくなる傾向にあり、十分な導電性が得られないおそれがある。一方、凝集度D50/DSEMが15より大きければ、(A)導電性粉末が嵩高くなり、高充填化が困難となる傾向にあるので、十分な導電性が得られないおそれがある。
【0044】
前記(A2)球状粉末の製造方法は特に限定されるものではなく、本実施の形態では、例えば、湿式還元法により製造したものを好適に用いることができるが、電解法やアトマイズ法等、公知の他の方法により製造した(A2)球状粉末も用いることができる。
【0045】
[(B)熱硬化性成分]
本発明に係る導電性ペースト組成物に用いられる(B)熱硬化性成分は、加熱硬化型導電性ペースト組成物の分野で公知の成分を好適に用いることができる。代表的には、(B1)エポキシ樹脂、並びに、(B2)ブロック化ポリイソシアネート化合物を挙げることができる。(B)熱硬化性成分として、これら(B1)エポキシ樹脂および(B2)ブロック化ポリイソシアネート化合物を用いる場合には、これらは、所定の配合比で配合されて用いられることが好ましい。
【0046】
これら(B)熱硬化性成分のうち、(B1)エポキシ樹脂は、(B)熱硬化性成分のベースとなる成分であるのに対して、(B2)ブロック化ポリイソシアネート化合物は、主として比抵抗を低減する成分として機能する。それゆえ、(B1)エポキシ樹脂および(B2)ブロック化ポリイソシアネート化合物を組み合せることによって、良好な比抵抗を実現することができる。
【0047】
(B1)エポキシ樹脂の具体的な種類や構造は特に限定されないが、いずれも1分子中に2個以上のオキシラン環(エポキシ基)を有する多価エポキシ樹脂であることが好ましい。例えば、エピクロルヒドリンと、フェノールノボラック、クレゾールノボラック等のノボラック、ビスフェノールA、水添ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールAD、レゾルシン等の多価フェノール、エチレングリコール、ネオペンチルグリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、トリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等の多価アルコールと、を反応させて得られるグリシジルエテールタイプ;エチレンジアミン、トリエチレンテトラミン、アニリン等のポリアミノ化合物と、を反応させて得られるグリシジルアミンタイプ;アジピン酸、フタル酸、イソフタル酸等の多価カルボキシル化合物と、を反応させて得られるグリシジルエステルタイプ、オレフィンの酸化等から合成される脂環式タイプ等を挙げることができる。これらエポキシ樹脂は単独で用いてもよいし、組み合わせて用いてもよい。
【0048】
また、(B2)ブロック化ポリイソシアネート化合物としては、導電性ペースト組成物の分野で公知の化合物を好適に用いることができる。
【0049】
具体的には、例えば、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート、トリジンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ナフタリンジイソシアネート等の芳香族イソシアネート;ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、オクタメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族系ポリイソシアネート;等を挙げることができる。これらポリイソシアネート化合物は1種類のみを用いてもよいし、2種類以上を適宜組み合わせて用いてもよい。また、これらのポリイソシアネート化合物の中でも、3核体以上のポリメチレンポリフェニルポリイソシアネートがより好ましく用いられる。
【0050】
また、本実施の形態では、公知のポリイソシアネートと公知のポリオールとを公知の方法により反応させて合成した末端イソシアネート基含有化合物も、本発明におけるポリイソシアネート化合物として好適に用いることができる。この場合に用いられるポリオールについては特に限定されず、一般的なポリエーテルポリオール類、ポリエステルポリオール類、ポリカーボネートポリオール類等を好適に用いることができる。
【0051】
本発明における(B2)ブロック化ポリイソシアネート化合物は、前述したポリイソシアネート化合物をブロック化したものであるが、ポリイソシアネート化合物のブロック化剤についても特に限定されず、イミダゾール類、フェノール類、オキシム類等を好適に用いることができる。
【0052】
本発明に係る導電性ペースト組成物では、(B)熱硬化性成分として、(B1)エポキシ樹脂および(B2)ブロック化ポリイソシアネート化合物を併用する場合、これらの混合比(配合比)は特に限定されないが、質量比で、B1:B2=30:70〜90:10の範囲内で配合されることが好ましく、50:50〜80:20の範囲内で配合されることがより好ましい。
【0053】
(B1)エポキシ樹脂と(B2)ブロック化ポリイソシアネート化合物との合計を100質量部とした場合に、(B1)エポキシ樹脂が30質量部未満であれば、すなわち(B2)ブロック化ポリイソシアネート化合物が70質量部を超えれば、得られる硬化物(電極や配線等)の強度および接着性が低下するので好ましくない。一方、(B1)エポキシ樹脂が90質量部を超えれば、すなわち(B2)ブロック化ポリイソシアネート化合物が10質量部未満であれば、(B2)ブロック化ポリイソシアネート化合物の硬化収縮による(A)導電性粉末同士の接触を促進させる効果が小さくなり、導電性が低下するので好ましくない。
【0054】
また、本発明に係る導電性ペースト組成物は、(B)熱硬化性成分として、(B1)エポキシ樹脂、並びに、(B2)ブロック化ポリイソシアネート化合物以外に、バインダー樹脂として公知の他の樹脂を含有してもよい。バインダー樹脂として使用可能な他の樹脂としては、例えば、フェノール樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂、メラミン樹脂、ポリイミド樹脂、シリコーン樹脂等が挙げられるが特に限定されない。
【0055】
[(C)硬化剤]
本発明に係る導電性ペースト組成物に用いられる(C)硬化剤は、(B)熱硬化性成分を硬化させることができる化合物であれば特に限定されない。本実施の形態では、(B)熱硬化性成分として、好ましくは、前述した(B1)エポキシ樹脂を用いているので、(C)硬化剤としては、少なくとも(B1)エポキシ樹脂を硬化させるものであれば、その種類等は特に限定されず、導電性ペースト組成物の分野で公知の各種化合物を挙げることができる。
【0056】
具体的には、例えば、無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、無水マレイン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、無水コハク酸等の酸無水物類;イミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4メチルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、2−フェニル−4メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−メチルイミダゾール、1−アミノエチル−2−メチルイミダゾール、1−メチルイミダゾール、2−エチルイミダゾール等のイミダゾール類;ジメチルオクチルアミン、ジメチルデシルアミン、ジメチルラウリルアミン、ジメチルミリスチルアミン、ジメチルパルミチルアミン、ジメチルステアリルアミン、ジメチルベヘニルアミン、ジラウリルモノエチルアミン、メチルジデシルアミン、メチルジオレイルアミン、トリアリルアミン、トリイソプロパノールアミン、トリエチルアミン、3−(ジブチルアミノ)プロピルアミン、トリ−n−オクチルアミン、2,4,6−トリスジメチルアミノメチルフェノール、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、ジアザビシクロウンデセン等の第三級アミン類;三フッ化ホウ素エチルエーテル、三フッ化ホウ素フェノール、三フッ化ホウ素ピペリジン、酢酸三フッ化ホウ素、三フッ化ホウ素モノエチルアミン、三フッ化ホウ素トリエタノールアミン、三フッ化ホウ素モノエタノールアミン等のフッ化ホウ素を含むルイス酸あるいはその化合物;味の素ファインテクノ株式会社から市販されているアミキュアシリーズPN−23またはMY−24等、富士化成工業株式会社から市販されているフジキュアシリーズFXR−1020またはFXR−1030等のアミンアダクト類;ジシアンジアミド;等が挙げられる。これら化合物は1種類のみを用いてもよいし、2種類以上を適宜組み合わせて用いてもよい。
【0057】
(C)硬化剤の添加量は特に限定されないが、本実施の形態では、(B1)エポキシ樹脂100質量部に対して3〜30質量部の範囲内であることが好ましく、3〜15質量部の範囲内であることがより好ましく、3〜10質量部の範囲内であることがさらに好ましい。(C)硬化剤の添加量が3質量部未満であれば、(B1)エポキシ樹脂の硬化が不十分となるおそれがあり、また、硬化物(電極や配線等)に良好な導電性が得られないおそれがある。一方、30質量部を超えれば、ペースト粘度が高くなるおそれがあり、また、コスト的にも好ましくない。
【0058】
[(D)溶剤]
本発明に係る導電性ペースト組成物に用いられる(D)溶剤は、その粘度が100mPa・s以上ものである。
【0059】
(D)溶剤の具体的な種類は特に限定されず、加熱硬化型導電性ペースト組成物の分野で使用可能と判断される溶剤(つまり、技術的見地から導電性ペースト組成物の物性を阻害しないと判断される溶剤)であって、かつ、その粘度が常温で100mPa・s以上のものであればよい。このときの常温とは、20℃±15℃の範囲であればよいが、好ましい基準温度としては20℃が挙げられる。また、(D)溶剤の粘度は、100mPa・s以上であればよいが、常温で300mPa・s以上であることが好ましく、常温で1500mPa・s以上であることがより好ましい。なお、(D)溶剤の粘度の上限は特に限定されないが、過度に高粘度の溶剤を使用することにより、所望の粘度まで調整するために必要な溶剤の添加量が増えることから、不揮発分濃度が低くなる。それゆえ、溶剤の粘度は、20000mPa・s未満であることが好ましい。
【0060】
本発明において好ましく用いられる(D)溶剤の一例を挙げると、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール(20℃の粘度が320mPa・s)、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール(20℃の粘度が1650mPa・s)、p−メンタン−8−オールおよびp−メンタン−1−オールとの混合物(20℃の粘度が8200mPa・s)等を挙げることができる。これらの溶剤は1種類のみを用いてもよいし、2種類以上を適宜組み合わせて用いてもよい。また、本発明において用いられる(D)溶剤は、その粘度が100mPa・s以上であればよく、例えば、粘度が100mPa・s未満の低粘度溶剤と100mPa・s以上の高粘度溶剤とを組み合わせた混合溶剤であっても、その粘度が100mPa・s以上であれば好適に用いることができる。
【0061】
加熱硬化型導電性ペースト組成物の分野では、一般に、導電性ペースト組成物のペースト粘度が高ければ印刷性が低下することが知られている。また、硬化物の導電性を向上させる(低抵抗化を図る)ためには(A)導電性粉末の含有量を増加させることが考えられるが、前述したように、(A)導電性粉末の含有量の増加はペースト粘度の増加を招くため、やはり印刷性が低下することになる。
【0062】
これに対して、本発明では、(A)導電性粉末として前述した2種類の粉末を用い、かつ、(B)熱硬化性成分として前述した2種類の化合物を用いた組成において、敢えて粘度の高い(D)溶剤を選択して用いている。つまり、本発明者らの検討によれば、後述する実施例の結果に示すように、(D)溶剤として、相対的に高粘度のものを用いることにより、相対的に低粘度のものを用いた場合と比較して、導電性ペースト組成物のペースト粘度が有意に低下し、その結果、(A)導電性粉末の含有量を増加させても良好な印刷性を実現できることが明らかとなった。
【0063】
ここで、本発明に係る導電性ペースト組成物のペースト粘度は、(A)導電性粉末の含有量を90質量%以上としても印刷性を損なわない程度であればよく、具体的なペースト粘度としては特に限定されない。一般的には、常温におけるペースト粘度が200〜500Pa・sの範囲内であることが好ましく、250〜450Pa・sの範囲内であることがより好ましい。導電性ペースト組成物のペースト粘度をこのような所定範囲に設定することで、印刷により導体パターンを形成した後の形状保持性を良好とすることができるので、導体パターンの広がり(例えば導体パターンが配線であれば、配線だれや配線にじみ等)を抑制することができる。それゆえ、高精細な導体パターンを形成することが可能となる。
【0064】
なお、ペースト粘度を測定する粘度計およびその条件は特に限定されないが、本実施の形態では、後述する実施例および比較例で用いているように、Brookfield社製DV−III粘度計を用い、1rpm回転時の測定条件でペースト粘度(η1rpm)を測定している。ここで、後述する実施例および比較例では、測定条件を5rpm回転時にした場合のペースト粘度も測定するとともに、1rpm回転時のペースト粘度を5rpm回転時のペースト粘度で除したTI値(η1rpm/η5rpm)も算出し、これらにより包括的にペースト粘度を評価している。5rpm回転時のペースト粘度は、70〜140Pa・sの範囲内であればよく、TI値は2.0〜5.0の範囲内であればよい。
【0065】
[導電性ペースト組成物の製造および使用]
本発明に係る導電性ペースト組成物の製造方法は特に限定されず、導電性ペースト組成物の分野で公知の方法を好適に用いることができる。代表的な一例としては、前述した各成分を所定の配合割合(質量基準)で配合し、公知の混練装置を用いてペースト化する方法が挙げられる。混練装置としては、例えば、3本ロールミル等を挙げることができる。
【0066】
なお、本発明に係る導電性ペースト組成物においては、必要に応じて、前述した各成分((A)導電性粉末、(B)熱硬化性成分、(C)硬化剤および(D)溶剤)以外に、導電性ペースト組成物の分野で公知の各種添加剤を含有してもよい。当該添加剤としては特に限定されないが、具体的には、例えば、分散剤、レベリング剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、シランカップリング剤、消泡剤、粘度調整剤等を挙げることができる。これら添加剤は本発明の作用効果を妨げない範囲において添加することができる。
【0067】
また、本発明に係る導電性ペースト組成物により導体パターンの形成方法は特に限定されず、公知の種々の方法を好適に用いることができる。代表的には、後述する実施例に示すように、スクリーン印刷法が挙げられ、特に、このスクリーン印刷法による導体パターンの形成に好適に用いられるが、本発明はこれに限定されず、インクジェット法やディスペンサー法等、他の印刷法にも適用することができる。
【0068】
本発明に係る導電性ペースト組成物は、高精細な電極や配線等の形成に広く利用することができる。具体的には、例えば、太陽電池セルの集電電極;チップ型電子部品の外部電極;RFID(Radio Frequency IDentification)、電磁波シールド、振動子接着、メンブレンスイッチ、またはエレクトロルミネセンス等に用いられる部品の電極または配線;等の用途に好適に用いることができる。これら用途の中でも特に好ましい用途の1つとして、太陽電池セルの集電電極を挙げることができる。
【実施例】
【0069】
本発明について、実施例、比較例および参考例に基づいてより具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。当業者は本発明の範囲を逸脱することなく、種々の変更、修正、および改変を行うことができる。なお、以下の実施例における各種合成反応や物性等の測定・評価は次に示すようにして行った。
【0070】
(測定・評価方法)
[導電性粉末の評価方法]
実施例および比較例では導電性粉末としてフレーク状銀粉末および球状銀粉末を用いた。このうち、フレーク状銀粉末については、平均粒径D50、最大粒径Dmax、アスペクト比、BET比表面積、タップ密度、およびナトリウムイオン量を評価した。また、球状銀粉末については、平均粒径D50、最大粒径Dmax、平均粒径DSEM、凝集度D50/DSEM、BET比表面積、タップ密度、およびナトリウムイオン量を評価した。以下、各評価の詳細について説明する。
【0071】
(1)平均粒径D50および最大粒径Dmaxの評価
フレーク状銀粉末および球状銀粉末の平均粒径D50および最大粒径Dmaxはレーザー回折法により評価した。フレーク状銀粉末または球状銀粉末の試料0.3gを50mlビーカーに秤量し、イソプロピルアルコール30mlを加えた後、超音波洗浄器(アズワン株式会社製USM−1)により5分間処理することで分散させ、マイクロトラック粒度分布測定装置(日機装株式会社製のマイクロトラック粒度分布測定装置9320−HRA X−100)を用いて、平均粒径D50および最大粒径Dmaxを測定して評価した。
【0072】
(2)平均粒径DSEMの評価
球状銀粉末を走査型電子顕微鏡(SEM、日本電子株式会社製JSM−5500)により観察して、2万倍に拡大した画像から、100個の粒子を無作為に選択して、その粒径(画像上の長径)を計測した。そして、個々の粒子の粒径を個数平均することによってSEM粒径DSEMを算出して評価した。
【0073】
(3)アスペクト比の評価
フレーク状銀粉末を走査型電子顕微鏡(日本電子株式会社製JSM−5500)により観察して、2,000倍に拡大した画像から、10個の粒子を無作為に選択し、その粒径(外接円の直径)を計測し、個数平均することによりその長辺の長さを得た。また、同様に2,000倍に拡大した画像から、10個の粒子を無作為に選択して、その厚みを計測し、個数平均することにより厚みを得た。得られた長辺の長さを厚みで除することによりアスペクト比を算出して評価した。
【0074】
(4)BET比表面積の評価
フレーク状銀粉末または球状銀粉末のBET比表面積は、試料1gをモノソーブ(カウンタクローム(Quanta Chrome)社製)を用いて窒素吸着によるBET1点法で測定して評価した。なお、当該BET比表面積測定において、測定前の脱気条件は60℃にて10分間とした。
【0075】
(5)タップ密度の評価
フレーク状銀粉末または球状銀粉末のタップ密度は、タップ密度測定装置(株式会社柴山科学器械製作所製のカサ比重測定装置SS−DA−2)を使用し、試料15gを計量して20mlの試験管に入れ、落差20mmで1,000回タッピングし、次の式によりタップ密度を算出して評価した。
【0076】
タップ密度=試料質量(15g)/タッピング後の試料容積(cm3
(6)ナトリウムイオン量の評価
フレーク状銀粉末または球状銀粉末のナトリウムイオン量は、試料1gを硝酸に溶解し、純水を添加して希釈した後、原子吸光法により測定して評価した。
【0077】
(7)凝集度D50/DSEMの評価
球状銀粉末の凝集度50D/DSEMは、レーザー回折法により得られる平均粒径D50を、走査型電子顕微鏡像(SEM、日本電子株式会社製JSM−5500)の画像観察から得られる一次粒子の平均粒径DSEMにより除することにより算出して評価した。
【0078】
[ペースト粘度の測定]
導電性ペースト組成物のペースト粘度は、Brookfield社製DV−III粘度計を用いて測定した。測定時のコーンとしてはCP−52を用い、1rpm回転時(ずり速度2s−1)のペースト粘度(η1rpm)と、5rpm回転時(ずり速度10s−1)のペースト粘度(η5rpm)とを測定するとともに、前者を後者で除したTI値(η1rpm/η5rpm)を算出した。
【0079】
[比抵抗の評価」
基材としてはアルミナ基板を用いた。そして、図1に示すように、このアルミナ基板の表面に、実施例または比較例の導電性ペースト組成物を用いて、両端に端子11aおよび11bを有し配線部分11cがつづら折り状となっている導体パターン11と、図示しない2mm×2mmの正方形状の導体パターン(正方形パターン)とをスクリーン印刷した。その後、アルミナ基板を180℃の熱風乾燥機中で60分間加熱し、導体パターン11(導電性ペースト組成物)を硬化させた。これにより比抵抗評価用サンプルを作製した。
【0080】
各実施例または比較例の比抵抗評価用サンプルについて、導体パターン11の膜厚を表面粗さ計(株式会社東京精密製サーフコム480A)で、電気抵抗をデジタルマルチメータ(株式会社アドバンテスト製R6551)で測定し、それら膜厚と電気抵抗と配線パターンのアスペクト比に基づいて比抵抗を算出して評価した。
【0081】
比抵抗の評価基準については、当該比抵抗の上限値を設定し、それ以下になるか否かにより評価した。配線(電極)の比抵抗が高ければ、同程度の配線抵抗を得るために膜厚を厚くする必要があるため、用いられる導電性ペースト組成物の塗布量も多く必要になる。それゆえ、電極や配線の比抵抗はできる限り低いことが好ましい。以下の実施例および比較例では、配線の比抵抗が10μΩ・cm以下であれば好ましく、9μΩ・cm以下であればより好ましく、8μΩ・cm以下であればさらに好ましいとして評価した。
【0082】
[印刷性の評価]
アルミナ基板上に、各実施例または比較例の導電性ペースト組成物100gを用いて、図2に示すように線幅100μmの櫛状の導体パターン12を連続印刷し、当該導体パターン12を実体顕微鏡により観察して印刷性を評価した。
500回以上連続印刷しても印刷された導体パターン12に、配線だれ、配線にじみ、および配線かすれのいずれも認められないものを○と評価し、300回以上500回未満の連続印刷中に配線だれ、配線にじみ、および配線かすれの少なくとも1つ以上が認められたものを△と評価し、配線だれ、配線にじみ、および配線かすれの少なくとも1つ以上が認められるものを×として評価した。
【0083】
【表1】
【0084】
【表2】
【0085】
【表3】
【0086】
(実施例1)
(A)導電性粉末として、表1に示す(A1)フレーク状銀粉末および(A2)球状銀粉末1を用い、(B)熱硬化性成分および(C)硬化剤として、表2に示す各化合物を用い、(D)溶剤として、表3に示す溶剤1(20℃の粘度:320mPa・s)を用いて、これら成分を表4に示す組成(いずれも質量部)で配合し、3本ロールミルで混練してペースト化することにより、実施例1の導電性ペースト組成物を調製(製造)した。
【0087】
得られた導電性ペースト組成物のペースト粘度を測定するとともに、前述した比抵抗評価用サンプルを作製し、導体パターン11の比抵抗、並びに、導体パターン12の形成に際しての導電性ペースト組成物の印刷性を評価した。その結果を表4に示す。
【0088】
(実施例2)
(A)導電性粉末として、表1に示す(A1)フレーク状銀粉末および(A2)球状銀粉末2を用い、(D)溶剤として、表3に示す溶剤2(20℃の粘度:1650mPa・s)を用いて、(A)〜(D)の各成分を表4に示す組成で配合した以外は、実施例1と同様にして導電性ペースト組成物を調製した。また、実施例1と同様にして導体パターン11の比抵抗と、導電性ペースト組成物の印刷性とを評価した。その結果を表4に示す。
【0089】
(実施例3)
(D)溶剤として、表3に示す溶剤2(20℃の粘度:1650mPa・s)を用いて、(A)〜(D)の各成分を表4に示す組成で配合した以外は、実施例1と同様にして導電性ペースト組成物を調製した。また、実施例1と同様にして導体パターン11の比抵抗と、導電性ペースト組成物の印刷性とを評価した。その結果を表4に示す。
【0090】
(実施例4)
(D)溶剤として、表3に示す溶剤1(20℃の粘度:320mPa・s)を用いて、(A)〜(D)の各成分を表4に示す組成で配合した以外は、実施例2と同様にして導電性ペースト組成物を調製した。また、実施例1と同様にして導体パターン11の比抵抗と、導電性ペースト組成物の印刷性とを評価した。その結果を表4に示す。
【0091】
(実施例5)
(D)溶剤として、表3に示す溶剤2(20℃の粘度:1650mPa・s)を用いて、(A)〜(D)の各成分を表4に示す組成で配合した以外は、実施例3と同様にして導電性ペースト組成物を調製した。また、実施例1と同様にして導体パターン11の比抵抗と、導電性ペースト組成物の印刷性とを評価した。その結果を表4に示す。
【0092】
(実施例6)
(D)溶剤として、表3に示す溶剤3(20℃の粘度:110mPa・s)を用いて、(A)〜(D)の各成分を表4に示す組成で配合した以外は、実施例1と同様にして導電性ペースト組成物を調製した。また、実施例1と同様にして導体パターン11の比抵抗と、導電性ペースト組成物の印刷性とを評価した。その結果を表4に示す。
【0093】
【表4】
【0094】
(実施例7)
(A)導電性粉末として、表1に示す(A1)フレーク状銀粉末および(A2)球状銀粉末1を用いるとともに、表5に示すように(A1)フレーク状銀粉末を(A2)球状銀粉末2よりも多く配合し、(D)溶剤として、表3に示す溶剤4(20℃の粘度:8200mPa・s)を用いて、(B)〜(D)の各成分を表5に示す組成で配合した以外は、実施例2と同様にして導電性ペースト組成物を調製した。実施例1と同様にして導体パターン11の比抵抗と、導電性ペースト組成物の印刷性とを評価した。その結果を表5に示す。
【0095】
(実施例8)
(A)導電性粉末として、表1に示す(A1)フレーク状銀粉末および(A2)球状銀粉末1を用いるとともに、(D)溶剤として、表3に示す溶剤4(20℃の粘度:8200mPa・s)および溶剤5(20℃の粘度:4mPa・s)を用いて、(A)〜(D)の各成分を表5に示す組成で配合した以外は、実施例2と同様にして導電性ペースト組成物を調製した。なお、溶剤4および5の混合溶剤の粘度は、表5に示すように300mPa・sであった。また、実施例1と同様にして導体パターン11の比抵抗と、導電性ペースト組成物の印刷性とを評価した。その結果を表5に示す。
【0096】
(比較例1)
(D)溶剤として、表3に示す溶剤5(20℃の粘度:4mPa・s)を用いて、(A)〜(D)の各成分を表5に示す組成で配合した以外は、実施例1と同様にして導電性ペースト組成物を調製した。また、実施例1と同様にして導体パターン11の比抵抗と、導電性ペースト組成物の印刷性とを評価した。その結果を表5に示す。
【0097】
(比較例2)
(A)〜(D)の各成分を表5に示す組成に変更した以外は、比較例1と同様にして導電性ペースト組成物を調製した。また、実施例1と同様にして導体パターン11の比抵抗と、導電性ペースト組成物の印刷性とを評価した。その結果を表5に示す。
【0098】
(比較例3)
(D)溶剤として、表3に示す溶剤6(20℃の粘度:67mPa・s)を用いた以外は、比較例2と同様にして導電性ペースト組成物を調製した。また、実施例1と同様にして導体パターン11の比抵抗と、導電性ペースト組成物の印刷性とを評価した。その結果を表5に示す。
【0099】
【表5】
【0100】
実施例1〜8に示すように、(A)導電性粉末と、(B)熱硬化性成分と、(C)硬化剤と、(D)溶剤とを含有する加熱硬化型導電性ペースト組成物において、常温で100mPa・s以上の粘度の(D)溶剤を用いることによって、良好なペースト粘度が得られている。それゆえ、実施例1〜8の導電性ペースト組成物は良好な印刷性を実現でき、かつ、硬化物の比抵抗も良好なものとすることができる。
【0101】
特に、実施例1〜5では、固形分中の(A)導電性粉末の含有量が、実施例1の95.0質量%から実施例5の99.0質量%まで1質量%ずつ増加しているが、いずれも良好なペースト粘度および印刷性を実現でき、比抵抗も良好な値となっている。
【0102】
また、実施例6では、(A)導電性粉末の固形分中の含有量が実施例1と同じであって、粘度が110mPa・sの溶剤3を用いており、実施例7では、(A)導電性粉末の固形分中の含有量が実施例2と同じであって、粘度が8200mPa・sの溶剤4を用いているが、いずれも、実施例1〜5と同様に、良好なペースト粘度および印刷性を実現でき、比抵抗も良好な値となっている。
【0103】
さらに、実施例8では、(A)導電性粉末の固形分中の含有量が実施例2と同じであって、高粘度の溶剤4に、100mPa・s未満の低粘度の溶剤5を混合した混合溶剤を用いているが、この混合溶剤の粘度は300mPa・sであるため、実施例1〜7と同様に、良好なペースト粘度および印刷性を実現でき、比抵抗も良好な値となっている。
【0104】
一方、比較例1では、(D)溶剤の粘度が100mPa・sに満たないが、得られる導電性ペースト組成物の印刷性が実施例1〜8より劣っている。また、(A)導電性粉末の含有量が実施例1よりも低い(固形分中で93質量%)ため、硬化物の比抵抗も高くなっている。
【0105】
また、比較例2も、比較例1と同様に、(D)溶剤として用いた溶剤4の粘度が100mPa・s未満(4mPa・s)であるが、(A)導電性粉末の固形分中の含有量を実施例1と同じ95質量%にすると、比較例1よりもペースト粘度が上昇し、さらに、印刷性は大幅に低下して、適切な導体パターン12を形成できなくなっている。
【0106】
また、比較例3は、(A)導電性粉末の固形分中の含有量が実施例1および実施例6と同じであるが、比較例3で用いた溶剤5の粘度は67mPa・sであり、実施例1で用いた溶剤1の粘度は320mPa・sであり、実施例6で用いた溶剤3の粘度は110mPa・sである。これらの結果を比較すると、比較例3の比抵抗は、実施例1および6と同程度となっているが、比較例3のペースト粘度は、実施例1および6に比べて3値(η1rpm、η5rpm、およびTI)とも全て上昇し、印刷性が低下している。なお、実施例1および6のペースト粘度は、3値ともほぼ同程度であって印刷性も良好である。
【0107】
また、実施例1、6、8および比較例1〜3の結果を比較すれば、(D)溶剤の粘度が300mPa・s未満となると、TI値が上昇する傾向にある。それゆえ、(D)溶剤の粘度は100mPa・s以上であればよく、300mPa・s以上であることが好ましいことがわかる。
【0108】
このように、本発明によれば、相対的に高粘度の(D)溶剤を用いることで、得られる導電性ペースト組成物のペースト粘度を低減して良好な印刷性を実現しつつ(A)導電性粉末の含有量を増加させることが可能となる。しかも、(A)導電性粉末の含有量を増加できれば、得られる硬化物の抵抗値を低くすることが可能となるため、導電性に優れた電極や配線等を形成することが可能となる。
【0109】
なお、本発明は前記実施の形態の記載に限定されるものではなく、特許請求の範囲に示した範囲内で種々の変更が可能であり、異なる実施例や複数の変形例にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施の形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0110】
本発明は、各種電子機器や電子部品を製造する分野に好適に用いることができ、特に、太陽電池の集電電極、チップ型電子部品の外部電極、RFID、電磁波シールド、振動子接着、メンブレンスイッチ、またはエレクトロルミネセンス等に用いられる部品の電極や配線等、より高精細な電極や配線を形成することが求められる分野に好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0111】
11 導体パターン
11a 端子
11b 端子
11c 配線部分
12 導体パターン

図1
図2