(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記未硬化の複合材製加圧ウェブ(140)は、航空機水平圧力デッキ加圧ウェブ(142)及び航空機主脚格納室後部隔壁加圧ウェブ(152)を含む、請求項2に記載の複合材製ハット形補強材。
前記複合材製ハットセクション(38)は、炭素繊維強化プラスチック(CFRP)テープにより構成される複数のハットセクション複合材プライ(43)を備える、請求項1から7の何れか一項に記載の複合材製ハット形補強材。
前記複数の複合材製補強プライ(72)は、炭素繊維入り強化プラスチック(CFRP)織物により構成される複数の複合材プライを含む、請求項1から8の何れか一項に記載の複合材製ハット形補強材。
更に、前記複合材製ハット形補強材(32)を硬化させる前に、ピールプライ(118)を前記複合材製ハット形補強材に貼り付け、かつ硬化後に、前記ピールプライ(118)を前記複合材製ハット形補強材から剥がす、請求項11に記載の方法。
更に、前記複合材製ハット形補強材(32)を硬化させる前に、複合材製ハット形補強材スロット開口部(106)を前記複合材製ハット形補強材に付加し、かつ硬化後に、前記複合材製ハット形補強材スロット開口部(106)を任意に拡大する、請求項11または12に記載の方法。
更に、前記複合材製ハット形補強材(32)を硬化させる前に、可変の治具丸み半径、及び可変のヌードル状丸み半径を制御し、前記接合させる際に更に、前記予め硬化させた複合材製ハット形補強材(33)を航空機水平圧力デッキ加圧ウェブ(142)に接合させる、請求項11から13の何れか一項に記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0014】
次に、開示の実施形態について、添付の図面を参照しながら以下に更に完全に説明することとし、これらの図面では、開示の実施形態の全てではなく、幾つかの実施形態が図示されている。実際、幾つかの異なる実施形態を提供することができ、そしてこれらの実施形態は、本明細書において開示される実施形態に限定されるものとして解釈されてはならない。そうではなく、これらの実施形態は、本開示が、網羅的かつ完全であり、そして本開示の範囲をこの技術分野の当業者に完全に伝えることができるように提供される。
【0015】
次に、これらの図を参照するに、
図1は、本開示の複合材製ハット形補強加圧ウェブ30(
図6A,7,8も参照)の1つ以上の例示的な実施形態を組み込むことができる航空機10を斜めから見た図である。
図1に示すように、航空機10は、胴体12と、機首14と、コックピット16と、翼18と、1つ以上の推進ユニット20と、垂直尾翼部分22と、そして水平尾翼部分24と、を備える。
図1に示す航空機10は、1つ以上の複合材製ハット形補強加圧ウェブ30を有する民間旅客機の概要を表わしているが、開示の実施形態の教示は、他の旅客機、貨物航空機、軍用航空機、回転翼航空機、及び他の種類の航空機または空中ビークルだけでなく、航空宇宙ビークル、衛星、打ち上げ宇宙船、ロケット、及び他の航空宇宙ビークル、更にはボート、及び他のウォータークラフト、列車、自動車、トラック、バス、または1つ以上の複合材製ハット形補強加圧ウェブ30を有する他の適切な構造物に適用することができる。
【0016】
本開示の1つの実施形態では、
図2A〜2Bに示すような複合材製ハット形補強材32が提供される。
図2Aは、未硬化状態34として図示される、すなわち硬化接着される、同時硬化接着される、または接合されて合体する前の複合材製ハット形補強材32aの形態のような複合材製ハット形補強材32の種々の実施形態のうちの1つの実施形態を前面から断面図として見た場合を示す分解図である。
図2Bは、硬化済み状態の、すなわち硬化接着された後の、同時硬化接着された後の、または接合されて合体した後の
図2Aの複合材製ハット形補強材32の図である。
【0017】
図2A〜2Bに示すように、複合材製ハット形補強材32aの形態のような複合材製ハット形補強材32は、複合材製ハットセクション38を備える。
図2Aに示すように、複合材製ハットセクション38は、第1側面40及び第2側面42を有する。複合材製ハットセクション38は、炭素繊維強化プラスチック(CFRP)テープ、織布、または別の適切な複合材テープ、織物、または繊維強化複合材料のようなハットセクション複合材プライ群43(
図2A参照)により構成されることが好ましい。
【0018】
図2A〜2Bに更に示すように、複合材製ハットセクション38は、互いに対向する位置にある端部46を有するキャップ44を備える。
図2A〜2Bに更に示すように、複合材製ハットセクション38は更に、キャップ44の両側の端部46からそれぞれ延出する一対のウェブ48、または側壁を備える。
図2A〜2Bに更に示すように、複合材製ハットセクション38は更に、一対のフランジ50を備える。各フランジ50は、各ウェブ48のベース部分52(
図2A参照)からそれぞれ外側に向かって延在する。一対のフランジ50は、複合材製ハット形補強材32を構造物表面または基材54(
図6A参照)に接続し易くする、または取り付け易くするように設計される。
図2A〜2Bに更に示すように、複合材製ハットセクション38は、一対の隅丸み半径部56を備える。一対の隅丸み半径部56は、一対のフランジ50を一対のウェブ48にそれぞれ接続する。一対の隅丸み半径部56は、一対のフランジ50及び一対のウェブ48の交差部またはフィレット部における強度を付与し、かつ応力を低減することができ、そして治具による製作過程、または成形過程において、治具加工形状部または成形形状部の割れ、または腐食を生じる虞のある鋭角のコーナー部が無くなることにより利点をもたらす。本明細書において使用されるように、「fillet(フィレット)」とは、丸みの付いた内側コーナー部を指し、「fillet radius(隅丸み半径部)」とは、隅肉溶接構成部材群を接続する、この場合は、一対のフランジ50及び一対のウェブ48を接続する円弧状の丸み半径部を指す。
【0019】
各フランジ50は、面取り端面58(
図3A〜3B参照)を有することが好ましい。
図3Aは、複合材製ハット形補強材32dの形態のような複合材製ハット形補強材32の種々の実施形態のうちの1つの実施形態を前面から見たときの断面図であり、各フランジ50の端部における面取り端面58を示している。本明細書において使用されるように、「chamfered edge(面取り端面)」とは、材料または部品の縁部またはコーナー部を切り落とすことにより、または除去することにより形成される平坦面を指す。
図3Aは、複合材製ハット形補強材32dの形態のような複合材製ハット形補強材32のキャップ44、一対のウェブ48、一対のフランジ50、一対の隅丸み半径部56、複合材製ハット形補強材スロット開口部106、一対のヌードル状コーナーフィラー108(以下に詳細に説明される)、及びベース中心フランジ126を示している。
図3Bは、
図3Aに示す円3Bで囲まれた面取り端面58を拡大して見たときの図である。面取り端面58は、複合材製ハット形補強材32の剥離を防止し易くするが、この剥離は、1つ以上のカウルプレート60(
図5A〜5B参照)を、このようなカウルプレート60を用いる場合に、硬化後、同時硬化後、接合後、または同時接合後に外しているときに、接着剤が流れ出ることに起因して起こり得る。
図3Bに示すように、面取り端面58は、幅64を有する第1部分62を含むことができる。第1部分62の端部は、基線66(
図3B参照)に略直交している。
図3Bに更に示すように、面取り端面58は、基線66と角度70をなす第2傾斜部分68を含む。面取り端面58の角度70は、基線66に対して約45度以下かつゼロ度超とするか、または別の適切な大きさの角度とすることが好ましい。角度70が小さくなると、接合線における耐剥離性が高くなる。選択される角度70は、製造対象の構造物または部品の生産性許容値及びもの作り上の設計制約によって異なり得る。
【0020】
図2Aに更に示すように、複合材製ハット形補強材32aの形態のような複合材製ハット形補強材32は、複合材製ハットセクション38に接合される複数の複合材製補強プライ72を備える。これらの複合材製補強プライ72は互いに接合させることもできる。複数の複合材製補強プライ72は、炭素繊維入り強化プラスチック(CFRP)織物または炭素繊維強化プラスチック(CFRP)テープ、または別の適切な複合材織物、複合材テープ、または繊維強化複合材料のような複数の複合材プライ73(
図6A参照)を含むことが好ましい。
【0021】
複合材製ハットセクション38を形成するハットセクション複合材プライ43、及び複数の複合材製補強プライ72を形成する複合材プライ73は、例えばプリプレグ材料のようなマトリックス材料により取り囲まれ、かつマトリックス材料内に支持される補強材を含むことができる。補強材は、ガラス繊維または炭素繊維、グラファイト、芳香族ポリアミド繊維、ファイバグラス、または他の適切な補強材のような高強度繊維を含むことができる。マトリックス材料は、エポキシ、ポリエステル、ビニルエステル樹脂、ポリエーテルエーテルケトンポリマー(PEEK)、ポリエーテルケトンケトンポリマー(PEKK)、ビスマレイミド、または他の適切なマトリックス材料のような種々のポリマー、または樹脂材料を含むことができる。本明細書において使用されるように、「prepreg(プリプレグ)」とは、織物または編組織布、または布状テープ材を指し、例えば所望の形状に成形されるために十分高い可撓性を示す未硬化樹脂または半硬化樹脂で含浸させ、次に、例えばオーブンまたはオートクレーブ内で熱を加えることにより硬化を行なって樹脂を硬化させ、高強度の、かつ剛性の高い繊維強化構造とすることにより得られるファイバグラスまたは炭素繊維を指す。ハットセクション複合材プライ43、及び複合材プライ73は、炭素繊維強化プラスチック(CFRP)テープまたは炭素繊維入り強化プラスチック織物、または別の適切な複合材テープ、織物、または繊維強化複合材料を含むことが好ましい。
【0022】
図2A〜2Bに更に示すように、複数の複合材製補強プライ72はボディプライ74を含む。ボディプライ74は、第1面76及び第2面78(
図2A参照)を有する。ボディプライ74の第2面78は、複合材製ハットセクション38に貼り付けられる、例えば硬化接着される、同時硬化接着される、または接合される。
図2Bに示すように、一旦、ボディプライ74が複合材製ハットセクション38に貼り付けられる、例えば硬化接着される、同時硬化接着される、または接合されると、ボディプライ74は、複合材製ハットセクション38の第1面40のフランジ群50、ウェブ群48、及びキャップ44に一体化される。複数の複合材製補強プライ72について上に説明したように、ボディプライ74は、炭素繊維入り強化プラスチック(CFRP)織物、炭素繊維強化プラスチック(CFRP)テープ、または別の適切な複合材織物、複合材テープ、または繊維強化複合材料のような複合材織物を含むことが好ましい。
【0023】
図2A〜2Bに更に示すように、複数の複合材製補強プライ72は巻き付けプライ80を含む。巻き付けプライ80は、第1面82及び第2面84を有する(
図2A参照)。巻き付けプライ80の第2面84は、略全体に亘ってボディプライ74の第1面76の第1部分86(
図2A参照)に貼り付けられる、例えば硬化接着される、同時硬化接着される、または接合されるので、複合材製ハットセクション38に貼り付けられる。一旦、巻き付けプライ80が複合材製ハットセクション38にボディプライ74を介して貼り付けられる、例えば硬化接着される、同時硬化接着される、または接合されると、巻き付けプライ80は、複合材製ハットセクション38の第1面40のウェブ群48及びキャップ44に一体化される。複数の複合材製補強プライ72について上に説明したように、巻き付けプライ80は、炭素繊維入り強化プラスチック(CFRP)織物、炭素繊維強化プラスチック(CFRP)テープ、または別の適切な複合材織物、複合材テープ、または繊維強化複合材料のような複合材織物を含むことが好ましい。巻き付けプライ80は、1枚の巻き付け織物プライを含むことが更に好ましい。巻き付けプライ80の第1面82は、複合材製ハット形補強材32のコア部分88(
図2A参照)に隣接する。巻き付けプライ80は更にベース部分90(
図2A参照)を有し、このベース部分90には、1つの実施形態では、巻き付けプライスロット開口部92(
図2A参照)を形成することができる。別の実施形態では、
図5Aに示すように、巻き付けプライ80は、巻き付けプライスロット開口部92を持たない。
【0024】
図2A〜2Bに更に示すように、複数の複合材製補強プライ72はベースプライ94を含む。ベースプライ94は、第1面96及び第2面98を有する。ベースプライ94の第1面96は、略全体に亘ってボディプライ74の第1面76の第2部分100(
図2A参照)に、そして巻き付けプライ80のベース部分90の構成部分102(
図2A参照)に貼り付けられる、例えば硬化接着される、同時硬化接着される、または接合され、従って複合材製ハットセクション38に貼り付けられる。一旦、ベースプライ94が複合材製ハットセクション38にボディプライ74を介して貼り付けられる、例えば硬化接着される、同時硬化接着される、または接合されると、ベースプライ94は、複合材製ハットセクション38の第1面40のフランジ群50に一体化される。複数の複合材製補強プライ72について上に説明したように、ベースプライ94は、炭素繊維入り強化プラスチック(CFRP)織物、炭素繊維強化プラスチック(CFRP)テープ、または別の適切な複合材織物、複合材テープ、または繊維強化複合材料のような複合材織物を含むことが好ましい。ベースプライ94は、1枚のキャップ織物プライを含むことが更に好ましい。
【0025】
図2Aに示すように、ベースプライ94は更に、1つの実施形態では、ベースプライプライスロット開口部104を含むことができる。別の実施形態では、
図5Aに示すように、ベースプライ94は、ベースプライプライスロット開口部104を持たない。
図2Aに示すように、ベースプライ94が巻き付けプライ80に貼り付けられる、例えば硬化接着される、同時硬化接着される、または接合される前に、ベースプライプライスロット開口部104及び巻き付けプライスロット開口部92を位置合わせして、複合材製ハット形補強材スロット開口部106を硬化中または接合中に形成することができる。複合材製ハット形補強材スロット開口部106を利用して、硬化中または接合中の複合材製ハット形補強材32のねじれを防止することができる。更に、複合材製ハット形補強材32が硬化または接合されると、結果的に得られる複合材製ハット形補強材スロット開口部106は、所望の通りに、小さくなるか、または十分大きなサイズではなくなる。従って、複合材製ハット形補強材32を硬化させた後、または接合させた後、複合材製ハット形補強材スロット開口部106は、切断するか、または切り取って、複合材製ハット形補強材スロット開口部106のサイズを更に拡大する、または大きくして、例えば非破壊検査(NDI)時の接近を可能にする。
【0026】
図2A〜2Bに更に示すように、複合材製ハット形補強材32aの形態のような複合材製ハット形補強材32は、一対のヌードル状コーナーフィラー108を含む。一対のヌードル状コーナーフィラー108は、複合材製ハットセクション38に貼り付けられるか、または隣接することが好ましく、そして複数の複合材製補強プライ72の間に配置され、かつ複数の複合材製補強プライ72の交差部となることが好ましく、これらの複合材製補強プライ72が、これらの複合材製補強プライ72の内部に配置される一対のヌードル状コーナーフィラー108のヌードル状コーナーフィラー領域110(
図2A参照)を形成する。本出願を行なうために、「radius filler noodle region(ヌードル状コーナーフィラー領域)」という用語は、複合材製ハットセクション38及び複数の複合材製補強プライ72が重なり合う、または交差する箇所である略三角形の領域を指す。これらのヌードル状コーナーフィラー108は、圧延複合材テープ、一方向性繊維、エポキシ、接着剤、テープ及び接着剤、積層テープ、気密セル発泡体、木材、または別の適切な材料のような、圧延テープ材を含むことが好ましい。好適には、複合材製ハット形補強材32によって、ヌードル状コーナーフィラー108における引き剥がし荷重を最小限に抑えることができる、またはヌードル状コーナーフィラー108における引き剥がし荷重の影響を最小限に抑えるか、または低減することができ、これにより、引き剥がし荷重と逆向きに作用する1つ以上のコーナーフィラー部材(図示せず)、ファスナー(図示せず)、または角度継手(図示せず)の使用を無くすか、または最小限に抑えることができる。今度は、これにより、このようなコーナーフィラー部材、ファスナー、または角度継手のコストがゼロになるか、または最小限に抑えられ、そしてこのようなコーナーフィラー部材、ファスナー、または角度継手を取り付ける、または保守するために要する作業コスト及び製造コストがゼロになるか、または最小限に抑えられるので、大きなコスト節約を実現することができる。
【0027】
図2A〜2Bに更に示すように、複合材製ハット形補強材32aの形態のような複合材製ハット形補強材32は外側プライ112を含む。外側プライ112は、第1面114及び第2面116(
図2A参照)を有する。外側プライ112の第1面114は、複合材製ハットセクション38の第2面42に貼り付けられる、例えば硬化接着される、同時硬化接着される、または接合される。好適には、外側プライ112は、例えばファイバグラス材料または別の適切なガラス材料のようなガラス材料を含む。好適には、外側プライ112はガルバニック腐食防止材料を含み、このガルバニック腐食防止材料は、複合材製ハット形補強材32に隣接する隣接アルミニウム構造物またはスチール構造物のような任意の金属構造物または部品をガルバニック腐食から保護する。更に、好ましくは、外側プライ112は、ドリル破損防止材料を含み、このドリル破損防止材料は、複合材製ハット形補強材32または隣接する構造物または部品をドリルで穴開けしているときのドリル破損またはドリル損傷から保護する。
【0028】
図2A〜2Bに更に示すように、複合材製ハット形補強材32はピールプライ118を含むことができる。ピールプライ118は、第1面120及び第2面122(
図2A参照)を有する。ピールプライ118の第1面120は、ベースプライ94の第2面98に貼り付けることができる。ピールプライ118は更に、ピールプライスロット開口部124(
図2A参照)を有することができる。別の実施形態では、
図5Aに示すように、ピールプライ118は、ピールプライスロット開口部124を持たない。好適には、ピールプライスロット開口部124は、設けるとした場合に、ベースプライスロット開口部104及び巻き付けプライスロット開口部92に更に位置合わせされて、複合材製ハット形補強材スロット開口部106を形成する。
図2Aに示すように、ピールプライ118をベースプライ94に貼り付ける前に、ベースプライスロット開口部104、ピールプライスロット開口部124、及び巻き付けプライスロット開口部92を位置合わせすることができる。好適には、ピールプライ118は、離型剤で被覆されるファイバグラス繊維、被覆ナイロン繊維及び未被覆ナイロン繊維、または別の適切な繊維材料のような繊維材料を含む。ピールプライ118はベースプライ94に接合させることができ、そしてピールプライ118は、引き剥がし可能であることが好ましく、そして使用後に引き剥がして廃棄することができる。ピールプライ118を用いて複合材製ハット形補強材32を、複合材製ハット形補強材32が複合材製ハット形補強加圧ウェブ30(
図6A参照)に接合される前に複合材製ハット形補強材32に移汚される可能性のある汚れ、埃、または汚染物質から保護することができる。更に、ピールプライ118を用いて、接合面を予め形成しておくことができる。ピールプライ118によって粗い表面を残すことができるので、硬化処理、積層処理、または接合処理を進める前に粗い表面を改めて形成しなくても済む、すなわち複合材製ハット形補強材32をサンディング/スカッフィングしておく必要がない。
【0029】
図4Aは、複合材製ハット形補強材32cの形態のような複合材製ハット形補強材32の種々の実施形態のうちの別の実施形態を前面から断面図として見た場合を示す分解図であり、この場合、複合材製ハット形補強材スロット開口部106(
図2A参照)は設けられず、かつ未硬化状態34になっている。
図4Bは、硬化済み状態36になっている
図4Aの複合材製ハット形補強材32cの形態のような複合材製ハット形補強材32の図である。
図4A〜4Bは、炭素繊維強化プラスチック(CFRP)テープ、炭素繊維入り強化プラスチック織物、または別の適切な複合材テープ、複合材織物、または繊維強化複合材料のようなハットセクション複合材プライ43(
図4A参照)により構成されることが好ましい複合材製ハットセクション38を示している。
図4A〜4Bは更に、キャップ44、キャップ44の両端部48からそれぞれ延出する一対のウェブ48または側壁、及び一対のフランジ50を示している。
図4A〜4Bは更に、一対のフランジ50を一対のウェブ48にそれぞれ接合する一対の隅丸み半径部56、一対のヌードル状コーナーフィラー108、コア部分88、及びベース中心フランジ126を示している。
図4Aに示すように、複合材製ハット形補強材32cの形態のような複合材製ハット形補強材32は更に、ボディプライ74(
図4A〜4B参照)と、巻き付けプライ80(
図4A〜4B参照)と、そしてベースプライ94(
図4A〜4B参照)と、を含む複数の複合材製補強プライ72を備える。
図4A〜4Bは更に、外側プライ112及びピールプライ118を示している。
【0030】
本開示の別の実施形態では、
図6Aに示すように、複合材製ハット形補強加圧ウェブ30が提供される。
図6Aは、本開示の複合材製ハット形補強加圧ウェブ30の種々の実施形態のうちの1つの実施形態を斜めから見た図である。
図6Aに示すように、複合材製ハット形補強加圧ウェブ30は、上に詳細に説明したように、複合材製ハット形補強材32の種々の実施形態のうちの1つの実施形態を備える。複合材製ハット形補強材30は、硬化されることが好ましく、そして予め硬化させた複合材製ハット形補強材33の形態であることが好ましい。
図6Aは、構造物表面または基材54に接合される、または同時接合される予め硬化させた複合材製ハット形補強材33を示している。好適には、
図6Aに示すように、構造物表面または基材54は、未硬化の複合材製加圧ウェブ140のような加圧ウェブ139である。好適には、未硬化の複合材製加圧ウェブ140の表面は、平坦である、または非常に平坦である。従って、1つの実施形態では、複合材製ハット形補強加圧ウェブ30は、未硬化の複合材製加圧ウェブ140に接合される、または同時接合される予め硬化させた複合材製ハット形補強材33を備える。
【0031】
図6Bは、
図6Aの複合材製ハット形補強加圧ウェブ30の予め硬化させた複合材製ハット形補強材33の形態の複合材製ハット形補強材32を斜めから見た分解図である。
図6Bに示すように、予め硬化させた複合材製ハット形補強材33の形態の複合材製ハット形補強材32は、複合材製ハットセクション38(
図6B参照)、複数の複合材製補強プライ72(
図6B参照)、外側プライ112(
図6B参照)、及び一対のヌードル状コーナーフィラー108(
図6A参照)を備える。複合材製ハットセクション38(
図6B参照)は、
図2Aに関連して上に詳細に説明されており、そして好ましくは、キャップ44(
図2A参照)、一対のウェブ48(
図2A参照)、一対のフランジ50(
図2A参照)、及び一対の隅丸み半径部56(
図2A参照)を備える。複合材製ハットセクション38は、炭素繊維強化プラスチック(CFRP)テープ、炭素繊維入り強化プラスチック織物、または別の適切な複合材テープ、複合材織物、または繊維強化複合材料により形成されるようなハットセクション複合材プライ43(
図6B参照)により構成されることが好ましい。
【0032】
図6Bに更に示すように、これらの複合材製補強プライ72は、複合材製ハットセクション38に隣接して貼り付けられるボディプライ74と、ボディプライ74に隣接して貼り付けられる巻き付けプライ80と、そしてボディプライ74及び巻き付けプライ80に隣接して貼り付けられるベースプライ94と、を含む。ベースプライ94(
図6B参照)の第2面98(
図6A〜6B参照)は、未硬化の複合材製加圧ウェブ140(
図6A参照)のような構造物表面または基材54(
図6A参照)に隣接する。ボディプライ74、巻き付けプライ80、及びベースプライ94を含む複数の複合材製補強プライ72は、炭素繊維入り強化プラスチック(CFRP)織物、炭素繊維強化プラスチック(CFRP)テープ、または別の適切な複合材織物、複合材テープ、または繊維強化複合材料のような複数の複合材プライ73(
図6B参照)を含むことが好ましい。
図6Bは、ピールプライ118(
図2A参照)を示していないが、ピールプライ118を用いるか、またはベースプライ94の第2面98に貼り付けることができる。複合材製ハット形補強加圧ウェブ30は、未硬化の複合材製加圧ウェブ140に接合される複合材製ハット形補強材32を提供することにより、既存のI型梁補強加圧ウェブ(図示せず)と比較して、高い安定性を未硬化の複合材製加圧ウェブ140に付与することができる。
【0033】
1つの実施形態では、
図7に示すように、未硬化の複合材製加圧ウェブ140は、航空機水平圧力デッキ加圧ウェブ142を含むことができる。
図7は、複合材製ハット形補強加圧ウェブ30aの形態のような複合材製ハット形補強加圧ウェブ30の種々の実施形態のうちの1つの実施形態を備える航空機水平圧力デッキ144を底面から斜めに見た図である。
図7は、キールビーム部分146及び圧力デッキ部分148を備える航空機水平圧力デッキ144を示している。圧力デッキ部分148は、航空機水平圧力デッキ加圧ウェブ142の形態であることが好ましい未硬化の複合材製加圧ウェブ140のような加圧ウェブ139を含む。好適には、航空機水平圧力デッキ加圧ウェブ142の形態のような未硬化の複合材製加圧ウェブ140は、平坦な表面、または非常に平坦な表面を持つ加圧ウェブまたはパネルを有する。この実施形態では、複合材製ハット形補強加圧ウェブ30aは、航空機水平圧力デッキ加圧ウェブ142に接合される、または同時接合される複数の複合材製ハット形補強材32a(
図2A、5Aも参照)を含む。更に、この実施形態では、航空機水平圧力デッキ加圧ウェブ142に接合される、または同時接合される複合材製ハット形補強材32aの一対のヌードル状コーナーフィラー108はそれぞれ、半径可変のヌードル状丸み半径部150(
図5Aも参照)を含む。
【0034】
別の実施形態では、
図8に示すように、未硬化の複合材製加圧ウェブ140のような加圧ウェブ139は、航空機主脚格納室後部隔壁(aircraft aft wheel well bulkhead)加圧ウェブ152を含むことができる。
図8は、複合材製ハット形補強加圧ウェブ30bの形態のような複合材製ハット形補強加圧ウェブ30の種々の実施形態のうちの別の実施形態を備える航空機主脚格納室後部隔壁154の一部を斜め後ろから見た図である。
図8は、航空機主脚格納室後部隔壁加圧ウェブ152の形態のような未硬化の複合材製加圧ウェブ140を備える航空機主脚格納室後部隔壁154の一部を示している。好適には、航空機主脚格納室後部隔壁加圧ウェブ152の形態のような未硬化の複合材製加圧ウェブ140は、平坦な表面、または非常に平坦な表面を持つ加圧ウェブまたはパネルを有する。この実施形態では、複合材製ハット形補強加圧ウェブ30bは、航空機主脚格納室後部隔壁加圧ウェブ152に接合される、または同時接合される複数の複合材製ハット形補強材32b(
図5Bも参照)を含む。更に、この実施形態では、航空機主脚格納室後部隔壁加圧ウェブ152に接合される、または同時接合される一対のヌードル状コーナーフィラー108はそれぞれ、半径一定のヌードル状丸み半径部156(
図5Bも参照)を含む。
【0035】
本開示の別の実施形態では、複合材製ハット形補強加圧ウェブ30(
図6A参照)を形成して、複数のヌードル状コーナーフィラー108またはヌードル状コーナーフィラー108(
図2A参照)における引き剥がし荷重の影響を低減するか、または最小限に抑え、複数のヌードル状コーナーフィラー108またはヌードル状コーナーフィラー108(
図2A参照)における引き剥がし荷重の重要度を低くするか、または複合材製ハット形補強加圧ウェブ30によって低くし、そして未硬化の複合材製加圧ウェブ140(
図6A参照)のような加圧ウェブ139(
図6A、7,8参照)の安定性を向上させる方法200(
図9参照)が提供される。
図9は、本開示の方法200の種々の実施形態のうちの1つの実施形態のフロー図である。具体的には、加圧ウェブ139の新規の構成を提供して、航空機主脚格納室後部隔壁154(
図8参照)用パネル、及び航空機水平圧力デッキ144(
図7参照)用パネルを含む主脚格納室後部パネルのような主脚格納室パネルを製造する。
【0036】
方法200は、例えば複合材製ハット形補強材32a(
図5A参照)または複合材製ハット形補強材32b(
図5B参照)のような複合材製ハット形補強材32をハット形治具130(
図5A〜5B参照)で硬化させて、予め硬化させた複合材製ハット形補強材33(
図6A参照)を形成する工程202を含む。予め硬化させた複合材製ハット形補強材33は更に、全てのプライが複合材製ハットセクション38(
図6B参照)に貼り付けられる構成のボディプライ74(
図6B参照)、巻き付けプライ80(
図6B参照)、及びベースプライ94(
図6B参照)を含む複数の複合材製補強プライ72(
図6B参照)を備える。予め硬化させた複合材製ハット形補強材33は更に、複合材製ハットセクション38(
図6B参照)に貼り付けられ、かつ複数の複合材製補強プライ72の間に配置される一対のヌードル状コーナーフィラー108を備える。予め硬化させた複合材製ハット形補強材33は更に、複合材製ハットセクション38に貼り付けられる外側プライ112(
図6B参照)を備える。
【0037】
図5Aは、治具組立体または金型組立体128の内部に在るものとして図示される複合材製ハット形補強材32aの形態のような複合材製ハット形補強材32の種々の実施形態のうちの1つの実施形態を前面から断面図として見た場合を示す図である。
図5Aに示すように、治具組立体または金型組立体128は、ハット形の雌型の治具または金型132のようなハット形治具または金型130を備える。
【0038】
硬化させる前に、複合材製ハット形補強材32aの形態のような複合材製ハット形補強材32は、複合材製ハットセクション38(
図6B参照)のハットセクション複合材プライ43(
図6B参照)、複数の複合材製補強プライ72(
図6B参照)の複合材プライ73(
図6B参照)、及び外側プライ112(
図6B参照)を、ハット形治具または金型130(
図5A参照)の表面に積層させることにより形成することができる。ハットセクション複合材プライ43、複合材プライ73、及び外側プライ112は、ハット形治具または金型130に手で積層することができる。一対のヌードル状コーナーフィラー108は好ましくは、ハット形治具または金型130で、未硬化の複合材製ハット形補強材32aに圧延され、成形され、そしてインサート成形される。別の構成として、ハットセクション複合材プライ43、複合材プライ73、及び外側プライ112は、平坦な治具面のような治具表面(図示せず)に、手で、または自動テープ積層機を用いることにより積層させることができ、そして次に、例えばホットドレープ成形法または別の公知の成形法によりハット形治具または金型130でプレス成形して、ハットセクション複合材プライ43、複合材プライ73、外側プライ112、及び一対のヌードル状コーナーフィラー108を複合材製ハット形補強材32の形状に成形することができる。別の構成として、他の適切な公知の積層法または成形法を用いてもよい。硬化させる前に、マンドレル(図示せず)をハット形補強材32aの形態のような複合材製ハット形補強材32のコア部分88(
図2A参照)に挿入して、これらのプライをマンドレルに巻き付けるか、またはマンドレルの周りに巻き付け、そして次に、当該マンドレルを硬化後に抜き取ることができる。当該マンドレルは、この技術分野で公知の軟質治具または硬質治具を含むことができる。
【0039】
図5Aに示すように、治具組立体または金型組立体128は好適には更に、カウルプレート60を備える。カウルプレート60は好ましくは、複合材製ハット形補強材32のサイズ及び形状と同様のサイズ及び形状である。カウルプレート60は好ましくは、硬化中に複合材製ハット形補強材32に接触するように設置されて、圧力を伝達することにより、複合材料を半径可変の治具丸み半径部135に押し付け易くし、そして全ての凹凸を平滑化し、そして平滑面を実現する。
【0040】
図5Aに示すように、治具組立体または金型組立体128は好適には更に、ブラダー部材134を備える。ブラダー部材134は好ましくは、膨張可能であるので、ハット形治具または金型130の内部からの圧力を複合材製ハット形補強材32に硬化中に作用させることができる。ブラダー部材134は好ましくは、一定のブラダー断面138を有する。ブラダー部材134は、一定のブラダー断面138を有し、かつブラダー部材134の丸み半径は変化しないことが好ましいので、複合材製ハット形補強材32の外面に接触するハット形治具または金型130の丸み半径を制御することが重要である。複合材製ハット形補強材32aの形態のような複合材製ハット形補強材32を硬化させて予め硬化させた複合材製ハット形補強材33を形成し、そして航空機水平圧力デッキ加圧ウェブ142(
図7参照)の形態のような未硬化の複合材製加圧ウェブ140に接合させる、または同時接合させる1つの実施形態では、ハット形治具または金型130は好ましくは、可変の治具丸み半径135(
図5A参照)を有し、そして一対のヌードル状コーナーフィラー108はそれぞれ、可変のヌードル状丸み半径150(
図5A参照)を有する。航空機水平圧力デッキ加圧ウェブ142(
図7参照)の形態のような未硬化の複合材製加圧ウェブ140に接合される予め硬化させた複合材製ハット形補強材33は、プライドロップを有し、従って可変のヌードル状丸み半径150を有する。本明細書において使用されるように、「ply drops(プライドロップ)」とは、複合材部品または複合材積層体の内部の種々の位置に形成される、連続的に短くした、または終端させた個々のプライ、またはプライグループ群を指し、これらのプライは、厚い断面からより薄い断面に厚さ方向に傾斜を付けて、所望の表面凹凸または形状を有する複合材部品を形成することにより得られる。これらのプライドロップは、ハット形治具または金型の接合組み立てジグ(bond assemmbly jig:BAJ)表面で機械加工されることが好ましく、この接合組み立てジグ表面において、未硬化の複合材製加圧ウェブ140を硬化させた部材の上に積層させて接合面を、好適には平坦な、または非常に平坦な接合面を、予め硬化させた複合材製ハット形補強材33と、航空機水平圧力デッキ加圧ウェブ142の形態のような未硬化の複合材製加圧ウェブ140との間に設けることができる。航空機水平圧力デッキ加圧ウェブ142に接合される予め硬化させた複合材製ハット形補強材33の一対のヌードル状コーナーフィラー108は、ヌードルオーバーフィル率(noodle overfill ratio:ヌードル過充填率)を有することができ、このヌードルオーバーフィル率とは、ヌードル状コーナーフィラー108の材料が硬化中に収縮することに起因して、ヌードル状コーナーフィラー108が過充填されるか、または当該フィラーが、例えば100%のヌードルオーバーフィル率で充填されるヌードル領域よりも大きくなる状態を指している。
【0041】
図5Bは、金型組立体または治具組立体128の内部に在るものとして図示される複合材製ハット形補強材32bの形態のような複合材製ハット形補強材32の種々の実施形態のうちの別の実施形態を前面から断面図として見た場合を示す図である。
図5Bに示すように、治具組立体または金型組立体128は、ハット形の雌型の治具または金型132のようなハット形治具または金型130と、上に説明したカウルプレート60と、そして上に説明したブラダー部材134と、を備える。ブラダー部材134は好ましくは、一定のブラダー断面138を有する。複合材製ハット形補強材32bの形態のような複合材製ハット形補強材32を硬化させて、予め硬化させた複合材製ハット形補強材33を形成し、そして航空機主脚格納室後部隔壁加圧ウェブ152(
図8参照)の形態のような未硬化の複合材製加圧ウェブ140に接合させる、または同時接合させる別の実施形態では、ハット形治具または金型130は好ましくは、一定の治具丸み半径136(
図5B参照)を有し、そして一対のヌードル状コーナーフィラー108はそれぞれ、一定のヌードル状丸み半径156(
図5B参照)を有することが好ましい。航空機水平圧力デッキ加圧ウェブ142及び航空機主脚格納室後部隔壁加圧ウェブ152の両方では、半径可変のヌードル状丸み半径部150に隣接する部分の丸み半径は一定である。航空機主脚格納室後部隔壁加圧ウェブ152では、これらの丸み半径は一定である。航空機水平圧力デッキ加圧ウェブ142では、可変の治具丸み半径135は可変である。航空機主脚格納室後部隔壁加圧ウェブ152(
図8参照)の形態のような未硬化の複合材製加圧ウェブ140に接合される予め硬化させた複合材製ハット形補強材33は、プライドロップを有することがなく、従って一定のヌードル状丸み半径156を有する。プライドロップをこの実施形態では形成しないが、これらのプライドロップを好ましくは更に、機械加工して未硬化の複合材製加圧ウェブ140の表面を形成することにより、接合面を、好適には平坦な、または非常に平坦な接合面を、予め硬化させた複合材製ハット形補強材33と、航空機主脚格納室後部隔壁加圧ウェブ152の形態のような未硬化の複合材製加圧ウェブ140との間に設けることができる。航空機主脚格納室後部隔壁加圧ウェブ152に接合される予め硬化させた複合材製ハット形補強材33の一対のヌードル状コーナーフィラー108は、115%のヌードルオーバーフィル率(noodle overfill ratio)を有することができ、これは、ヌードル状コーナーフィラー108の材料が硬化中に収縮することに起因して、ヌードル状コーナーフィラー108が過充填されるか、または当該フィラーが、充填されるヌードル領域よりも大きくなる、例えば115%のヌードルオーバーフィル率で充填されることを意味する。
【0042】
硬化工程202では、オートクレーブ硬化、真空バッグ硬化、オートクレーブ硬化及び真空バッグ硬化を組み合わせた硬化、圧縮成型硬化、樹脂トランスファー成形、室温硬化、または他の適切な硬化のような公知の硬化を行なうことができる。硬化は、必要に応じて、材料仕様に基づいて高温及び高圧で行なうことにより、複合材製ハット形補強材32を効果的に硬化させることができる。硬化中、複合材製ハット形補強材32の複合材料が硬化し、そしてハット形治具または金型130の形状を保つ。一旦、予め硬化させた複合材製ハット形補強材33が成形されると、予め硬化させた複合材製ハット形補強材33をハット形治具または金型130から取り出すことができる。
【0043】
図9に更に示すように、方法200は更に工程204を含み、この工程204では、予め硬化させた複合材製ハット形補強材33(
図6A参照)を、好適には未硬化の複合材製加圧ウェブ140(
図6A参照)のような加圧ウェブ139の構造物表面または基材54(
図6A参照)に接合させて、または同時接合させて、複合材製ハット形補強加圧ウェブ30(
図6A参照)を形成する。予め硬化させた複合材製ハット形補強材33は、未硬化の複合材製加圧ウェブ140に接着剤接合、同時硬化、二次接合、または別の公知の接合または同時接合により接合させるか、または同時接合させることができる。接合工程204は、必要に応じて、材料仕様に基づいて高温及び高圧で行なうことにより、予め硬化させた複合材製ハット形補強材33(
図6A参照)を未硬化の複合材製加圧ウェブ140に効果的に接合させるか、または同時接合させることができる。
【0044】
複合材製ハット形補強加圧ウェブ30によって、複数のヌードル状コーナーフィラー108における、またはヌードル状コーナーフィラー108における引き剥がし荷重を最小限に抑えることができ、そして加圧ウェブ139(
図6A参照)の安定性を向上させることができることが好ましい。予め硬化させた複合材製ハット形補強材33を未硬化の複合材製加圧ウェブ140に接合させるか、または同時接合させると、既存の公知のI型梁補強複合材製加圧ウェブまたは外板パネル(図示せず)と比較して、未硬化の複合材製加圧ウェブ140の安定性及び座屈耐性を向上させることができる。
【0045】
図9に更に示すように、方法200は、複合材製ハット形補強材32を硬化させる工程202の前に、ピールプライ118を複合材製ハット形補強材32に貼付け、そして硬化後に、ピールプライ118を複合材製ハット形補強材32から剥がす任意工程206を含むことができる。
図9に更に示すように、方法200は、複合材製ハット形補強材32を硬化させる工程202の前に、複合材製ハット形補強材スロット開口部106を複合材製ハット形補強材32に付加し、そして硬化後に、上に説明したように、複合材製ハット形補強材スロット開口部106を任意に拡大する任意工程208を含むことができる。
図9に更に示すように、方法200は、複合材製ハット形補強材32を硬化させる工程202の前に、複合材製ハット形補強材32の一対のフランジ50(
図3A〜3B参照)の端面を縁取りする任意工程210を含むことができる。
【0046】
図9に更に示すように、方法200の接合工程204は更に、予め硬化させた複合材製ハット形補強材33を航空機主脚格納室隔壁加圧ウェブ152(
図8参照)に接合させる任意工程212を含むことができる。
図9に更に示すように、方法200は、複合材製ハット形補強材32を硬化させる工程202の前に、可変の治具丸み半径135(
図5A参照)及び可変のヌードル状丸み半径150(
図5A参照)を制御する任意工程214を含むことができ、そして接合工程204では更に、予め硬化させた複合材製ハット形補強材33を航空機水平圧力デッキ加圧ウェブ142(
図7参照)に接合させる。
【0047】
この技術分野の当業者であれば理解できることであるが、本開示の新規の複合材製ハット形補強加圧ウェブ30を、例えば複合材料により製造される航空機の前脚格納室パネルに組み込む、例えば航空機水平圧力デッキ144(
図7参照)に組み込む、そして/または航空機主脚格納室後部隔壁154(
図8参照)に組み込むことにより、多数の大きな利点が得られる。複合材製ハット形補強材32(
図2A〜5B参照)、複合材製ハット形補強加圧ウェブ30、及び方法200(
図9参照)について開示される実施形態は、予め硬化させた複合材製ハット形補強材33(
図6A参照)を用いる独自の優れた構造を提供し、この予め硬化させた複合材製ハット形補強材33は、複数の複合材製補強プライ72を備える複合材テープ状複合材製ハットセクション38により構成され、これらの複合材製補強プライ72は、複合材製ハットセクション38の充填部の境界の全ての3つの充填部に貼り付けられる複合材織物プライにより形成され、この場合、予め硬化させた複合材製ハット形補強材33は、複合材テープにより形成されるような未硬化の複合材製加圧ウェブ140(
図6A参照)に接合されるか、または同時接合される。更に、複合材製ハット形補強材32(
図2A〜5B参照)、複合材製ハット形補強加圧ウェブ30、及び方法200(
図9参照)について開示される実施形態は、航空機水平圧力デッキ加圧ウェブ142及び航空機主脚格納室隔壁加圧ウェブ152の形態のような未硬化の複合材製加圧ウェブ140の安定性、強度、及び座屈耐性を向上させる構造を提供する。このような構造は、未硬化の複合材製加圧ウェブ140の安定性を、既存の、または公知の複合材I型補強加圧ウェブ(図示せず)と比較したときに向上させることができ、そして既存の複合材I型補強梁またはパネルのヌードル状コーナーフィラーにおける引き剥がし荷重を最小限に抑えることができるので、不良を防止し、かつ引き剥がし荷重問題を解決するために通常使用されるコーナーフィラー部材、ファスナー、または角度継手の必要を無くすことができる。更に、複合材製ハット形補強材32(
図2A〜5B参照)、及び複合材製ハット形補強加圧ウェブ30について開示される実施形態は、引き剥がし荷重に関する詳細を異なる重要度で分担することにより、作用する引き剥がし荷重に耐えるこれらの補強材及び加圧ウェブの能力を向上させることができる。複合材製ハット形補強材32(
図2A〜5B参照)、複合材製ハット形補強加圧ウェブ30、及び方法200(
図9参照)について開示される実施形態によって、一対のヌードル状コーナーフィラー108におけるようなヌードル状コーナーフィラーにおける引き剥がし荷重を最小限に抑えることができ、結果的に、引き剥がし荷重と逆向きに作用する1つ以上のコーナーフィラー部材、ファスナー、または角度継手の使用を無くすことができるか、または最小限に抑えることができ、これにより、このようなコーナーフィラー部材、ファスナー、または角度継手を使用することによるコストを無くすことができるか、または最小限に抑えることができるので、そしてこのようなコーナーフィラー部材、ファスナー、または角度継手を取り付け、そして保守するために要する作業コスト及び製造コストを無くすことができるか、または最小限に抑えることができるので、大きなコスト節約を実現することができる。
【0048】
本開示の1つの態様によれば、複合材製ハット形補強加圧ウェブが提供され、前記複合材製ハット形補強加圧ウェブは、未硬化の複合材製加圧ウェブと、そして前記未硬化の複合材製加圧ウェブに接合される複合材製ハット形補強材であって、前記複合材製ハット形補強材が、予め硬化されており、かつ第1面及び第2面を有する複合材製ハットセクションと、前記複合材製ハットセクションに貼り付けられる複数の複合材製補強プライと、を含む、前記複合材製ハット形補強材と、複合材製ハットセクションの第1面に貼り付けられるボディプライ、ボディプライに貼り付けられる巻き付けプライ、及びボディプライ及び巻き付けプライに貼り付けられるベースプライを含む複数の複合材製補強プライと、そして複合材製ハットセクションに貼り付けられ、かつ複数の複合材製補強プライの間に配置される一対のヌードル状コーナーフィラーと、そして複合材製ハットセクションの第2面に貼り付けられる外側プライと、を備えている。
【0049】
有利な点として、未硬化の複合材製加圧ウェブは、航空機水平圧力デッキ加圧ウェブ及び航空機主脚格納室後部隔壁加圧ウェブを含む。有利な点として、航空機水平圧力デッキ加圧ウェブに接合される複合材製ハット形補強材の一対のヌードル状コーナーフィラーはそれぞれ、半径可変のヌードル状丸み半径部を含む。有利な点として、航空機主脚格納室後部隔壁加圧ウェブに接合される複合材製ハット形補強材の一対のヌードル状コーナーフィラーはそれぞれ、半径一定のヌードル状丸み半径部を含む。有利な点として、未硬化の複合材製加圧ウェブに接合される複合材製ハット形補強材によって、未硬化の複合材製加圧ウェブの安全性を、既存の複合材I型梁補強加圧ウェブと比較したときに向上させることができる。
【0050】
本開示の1つの態様によれば、複合材製ハット形補強材が提供され、前記複合材製ハット形補強材は、第1面及び第2面を有する複合材製ハットセクションと、複合材製ハットセクションに貼り付けられる複数の複合材製補強プライであって、前記複数の複合材製補強プライが、複合材製ハットセクションの第1面に貼り付けられるボディプライ、ボディプライに貼り付けられる巻き付けプライ、及びボディプライ及び巻き付けプライに貼り付けられるベースプライを含む、前記複数の複合材製補強プライと、複合材製ハットセクションに貼り付けられ、かつ複数の複合材製補強プライの間に配置される一対のヌードル状コーナーフィラーと、そして複合材製ハットセクションの第2面に貼り付けられる外側プライと、を備えている。有利な点として、複合材製ハット形補強材によって、一対のヌードル状コーナーフィラーにおける引き剥がし荷重を最小限に抑えることができ、その結果、引き剥がし荷重と逆向きに作用する1つ以上のコーナーフィラー部材、ファスナー、または角度継手の使用を無くすことができるか、または最小限に抑えることができる。
【0051】
本開示の1つの態様によれば、複合材製ハット形補強加圧ウェブを形成して、引き剥がし荷重の影響を低減し、そして加圧ウェブの安定性を向上させる方法が提供され、前記方法では、複合材製ハット形補強材をハット形治具で硬化させて、予め硬化させた複合材製ハット形補強材を形成し、前記予め硬化させた複合材製ハット形補強材は、複合材製ハットセクションと、全てのプライが前記複合材製ハットセクションに貼り付けられる構成のボディプライ、巻き付けプライ、及びベースプライを含む複数の複合材製補強プライと、前記複合材製ハットセクションに貼り付けられ、かつ前記複数の複合材製補強プライの間に配置される一対のヌードル状コーナーフィラーと、そして前記複合材製ハットセクションに貼り付けられ、かつ前記予め硬化させた複合材製ハット形補強材を未硬化の複合材製加圧ウェブに接合させて複合材製ハット形補強加圧ウェブを形成する外側プライと、を備え、前記複合材製ハット形補強加圧ウェブによって、前記ヌードル状コーナーフィラーにおける引き剥がし荷重を最小限に抑えることができ、かつ加圧ウェブの安定性を向上させることができる。
【0052】
有利な点として、前記方法では更に、前記複合材製ハット形補強材を硬化させる前に、前記複合材製ハット形補強材の一対のフランジの端面を面取りする。有利な点として、前記方法では更に、前記予め硬化させた複合材製ハット形補強材を航空機主脚格納室隔壁加圧ウェブに接合させる。
【0053】
本開示の多くの変形及び他の実施形態は、本開示に関わり、かつこれまでの説明及び関連する図面に提供される教示の恩恵を受けるこの技術分野の当業者であれば想到し得るであろう。本明細書において記載されるこれらの実施形態は、例示に過ぎず、かつ限定的である、または網羅的であると解釈されるべきではない。特定の用語を本明細書において用いているが、これらの用語は、単に一般的かつ記述的な意味としてのみ用いられ、限定的な意味に用いられるものではない。