(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6243150
(24)【登録日】2017年11月17日
(45)【発行日】2017年12月6日
(54)【発明の名称】コンサベータの遮蔽体劣化診断方法
(51)【国際特許分類】
H01F 27/14 20060101AFI20171127BHJP
H01F 27/00 20060101ALI20171127BHJP
【FI】
H01F27/14 A
H01F27/00 B
【請求項の数】2
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2013-131270(P2013-131270)
(22)【出願日】2013年6月24日
(65)【公開番号】特開2015-5680(P2015-5680A)
(43)【公開日】2015年1月8日
【審査請求日】2016年4月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】000116666
【氏名又は名称】愛知電機株式会社
(72)【発明者】
【氏名】宮島 極
【審査官】
久保田 昌晴
(56)【参考文献】
【文献】
特開平04−158504(JP,A)
【文献】
特開平07−263243(JP,A)
【文献】
特開2009−224578(JP,A)
【文献】
宮島極、水野康宏、吉田覚、太田秀希、杉本敏文、伊藤保則,コンサベータ隔膜破損の診断法の研究,愛知電機技報,2005年,No.26,p.17-21
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01F 27/00、27/14、41/00
F16J 3/00−3/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁油を大気から遮断する遮蔽体を備えたコンサベータを有する油入電気機器において、油入電気機器又はコンサベータ内の絶縁油中に溶出したコンサベータの遮蔽体に使用されている可塑剤の指標物質を、一般式R1((CO2)2)R2R3で表わされるフタル酸エステル系化合物(R1はベンゼン環、R2、R3は炭素数1〜22の炭化水素基)、一般式R1((CO2)2)R2R3R4で表わされるトリメット酢酸エステル系化合物(R1はベンゼン環、R2、R3、R4は炭素数1〜22の炭化水素基)、一般式R1((CO2)2)R2R3で表わされるアルキルカルボン酸エステル系化合物(R1は炭素数1〜22の直鎖のアルキル基、もしくは分岐のアルキル基、又は脂環式アルキル基、R2、R3、R4は炭素数1〜22の炭化水素基)、SP(溶解パラメーター)値8〜12(cal/cm3)1/2を有して遮蔽体のSP値SPGと可塑剤のSP値SPKの差の絶対値|SPG−SPK|が3(cal/cm3)1/2以下である物質の中から選定し、選定した指標物質の濃度が10ppmを超過した場合に遮蔽体の交換が必要と判断することを特徴とするコンサベータの遮蔽体劣化診断方法。
【請求項2】
前記指標物質の濃度を、ガスクロマトグラフや液体クロマトグラフで測定することを特徴とする請求項1のコンサベータの遮蔽体劣化診断方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、油入電気機器の密封式コンサベータで空気と絶縁油の接触を遮るために使用される遮蔽体(耐油性と弾性があり、気密性の高い樹脂製の袋又は膜)において、劣化が進行して亀裂や穿孔等が発生する前にコンサベータの遮蔽体(以下、膜という)の劣化状態を推定してコンサベータの膜を交換するか否か診断する診断方法に関する。
【背景技術】
【0002】
コンサベータ内に備えた耐油性のゴム等からなる膜は、油入電気機器の運転による絶縁油の膨張・収縮に追随して上下動を繰り返すことにより、経年の間に損傷(破れ、穿孔等)することがある。コンサベータの膜が損傷し、絶縁油が空気中の酸素と接触すると絶縁油の全酸価が増加するとともに変色が進展する。そこで、膜の破損を検知する手段として、油入電気機器から採取した試料油の全酸価及び/または色の測定をする方法がある。(特許文献1参照)。
【0003】
また、膜の破損を検知する別の手段として、油入変圧器又はコンサベータから採取した絶縁油中の酸素濃度及び/窒素濃度を測定する方法がある。(特許文献2参照)
【0004】
さらに膜の破損を検知する別の手段として、コンサベータの膜の上下動に伴い伸縮する連結部材を介して変圧器内の絶縁油の油面の変位を表示する油面計を使用することがある。この場合、膜の上に固定された金具に沿って上下動するフロートを設けるとともに、フロートと油面計の指針とを連結部材を介して連結し、コンサベータの膜が損傷した場合に、膜の破損箇所から膜上に漏出する絶縁油によってフロートが浮き、油面計の指針により隔膜が破損していることを示す位置(目盛)を指示する方法がある。(特許文献3参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−135934
【特許文献2】特許4358586
【特許文献3】実公昭61−4820
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1及び2記載の技術は、コンサベータの膜に亀裂、穿孔等の破損が発生し、油入電気機器及びコンサベータ内の絶縁油と空気が接触して絶縁油の劣化が生じないと膜の異常(破損)が判定できないという問題点がある。
【0007】
特許文献3の技術は、コンサベータの膜の損傷個所から膜上へ漏出する絶縁油によってフロートを浮上させ、フロートと連動する油面計の指針により膜が損傷していることを示す位置を指示させることで、膜の損傷を検知するようにしているが、膜の損傷部位や絶縁油の油面位置等によっては、膜上へ絶縁油が漏出しない場合があり、このような場合は、膜が損傷していてもフロートが浮上しない為、油面計の表示から膜の損傷を検知することができないという問題がある。
【0008】
本発明は、以上の問題を解決できるものであり、コンサベータの膜が劣化により亀裂、穿孔等の損傷を発生する前に確実に膜の劣化状態を評価し膜交換ができる診断方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1記載の発明は、コンサベータに使用する膜の劣化状態を診断する方法であって、コンサベータを備える油入電気機器において、油入電気機器又はコンサベータ内の絶縁油中に溶出したコンサベータの膜に使用される可塑剤
の指標物質を、一般式R1((CO2)2)R2R3で表わされるフタル酸エステル系化合物(R1はベンゼン環、R2、R3は炭素数1〜22の炭化水素基)、一般式R1((CO2)2)R2R3R4で表わされるトリメット酢酸エステル系化合物(R1はベンゼン環、R2、R3、R4は炭素数1〜22の炭化水素基)、一般式R1((CO2)2)R2R3で表わされるアルキルカルボン酸エステル系化合物(R1は炭素数1〜22の直鎖のアルキル基、もしくは分岐のアルキル基、又は脂環式アルキル基、R2、R3、R4は炭素数1〜22の炭化水素基)、SP(溶解パラメーター)値8〜12(cal/cm3)1/2を有して膜のSP値SPGと可塑剤のSP値SPKの差の絶対値|SPG−SPK|が3(cal/cm3)1/2以下である物質の中から選定し、選定した指標物質の濃度が10ppmを超過した場合に膜の劣化が進み交換が必要と判断することを特徴とする。
【0010】
請求項2記載の発明は、
請求項1記載のコンサベータに使用する膜の劣化状態を診断する方法であって、コンサベータを備える油入電気機器において、油入電気機器又はコンサベータ内の絶縁油中に溶出したコンサベータの膜に使用される可塑剤
の指標物質を、請求項1に記載された一般式R1((CO2)2)R2R3で表わされるフタル酸エステル系化合物(R1はベンゼン環、R2、R3は炭素数1〜22の炭化水素基)、一般式R1((CO2)2)R2R3R4で表わされるトリメット酢酸エステル系化合物(R1はベンゼン環、R2、R3、R4は炭素数1〜22の炭化水素基)、一般式R1((CO2)2)R2R3で表わされるアルキルカルボン酸エステル系化合物(R1は炭素数1〜22の直鎖のアルキル基、もしくは分岐のアルキル基、又は脂環式アルキル基、R2、R3、R4は炭素数1〜22の炭化水素基)、SP(溶解パラメーター)値8〜12(cal/cm3)1/2を有して膜のSP値SPGと可塑剤のSP値SPKの差の絶対値|SPG−SPK|が3(cal/cm3)1/2以下である物質の中から選定し、選定した指標物質の濃度をガスクロマトグラフや液体クロマトグラフで測定することを特徴とする。
【0011】
請求項3記載の発明は、請求項1又は、請求項2記載のコンサベータに使用する膜の劣化状態を診断する方法で、油入電気機器又はコンサベータ内の絶縁油中に溶出したコンサベータの膜に使用される可塑剤の指標物質として測定する物質を、一般式R
1((CO
2)
2)R
2R
3で表わされるフタル酸エステル系化合物(R
1はベンゼン環、R
2、R
3は炭素数1〜22の炭化水素基)とすることを特徴とする。
【0012】
請求項4記載の発明は、請求項1又は、請求項2記載のコンサベータに使用する膜の劣化状態を診断する方法で、油入電気機器又はコンサベータ内の絶縁油中に溶出したコンサベータの膜に使用される可塑剤の指標物質として測定する物質を、一般式R
1((CO
2)
2)R
2R
3R
4で表わされるトリメット酢酸エステル系化合物(R
1はベンゼン環、R
2、R
3、R
4は炭素数1〜22の炭化水素基)とすることを特徴とする。
【0013】
請求項5記載の発明は、請求項1又は、請求項2記載のコンサベータに使用する膜の劣化状態を診断する方法で、油入電気機器又はコンサベータ内の絶縁油中に溶出したコンサベータの膜に使用される可塑剤の指標物質として測定する物質を、一般式R
1((CO
2)
2)R
2R
3で表わされるアルキルカルボン酸エステル系化合物(R
1は炭素数1〜22の直鎖のアルキル基、もしくは分岐のアルキル基、又は脂環式アルキル基、R
2、R
3、R
4は炭素数1〜22の炭化水素基)とすることを特徴とする。
【0014】
請求項6記載の発明は、請求項1又は、請求項2記載のコンサベータに使用する膜の劣化状態を診断する方法で、油入電気機器又はコンサベータ内の絶縁油中に溶出したコンサベータの膜に使用される可塑剤の指標物質として、SP値8〜12(cal/cm
3)
1/2を有し、膜のSP値SP
Gと可塑剤のSP値SP
Kの差の絶対値|SP
G−SP
K|が3(cal/cm
3)
1/2以下である物質を測定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
請求項1記載の発明によれば、油入電気機器の定期点検等で採取する絶縁油を使用して、経年と共に絶縁油中に溶出していくコンサベータの膜に使用されている可塑剤
の指標物質を、一般式R1((CO2)2)R2R3で表わされるフタル酸エステル系化合物(R1はベンゼン環、R2、R3は炭素数1〜22の炭化水素基)、一般式R1((CO2)2)R2R3R4で表わされるトリメット酢酸エステル系化合物(R1はベンゼン環、R2、R3、R4は炭素数1〜22の炭化水素基)、一般式R1((CO2)2)R2R3で表わされるアルキルカルボン酸エステル系化合物(R1は炭素数1〜22の直鎖のアルキル基、もしくは分岐のアルキル基、又は脂環式アルキル基、R2、R3、R4は炭素数1〜22の炭化水素基)、SP(溶解パラメーター)値8〜12(cal/cm3)1/2を有して膜のSP値SPGと可塑剤のSP値SPKの差の絶対値|SPG−SPK|が3(cal/cm3)1/2以下である物質の中から選定し、選定した指標物質の濃度が10ppmを超過することに基づいて膜の劣化状態を診断して膜を交換できる。膜が劣化により損傷する前に交換することができるので、変圧器内の絶縁油が空気と接触して酸化することを防ぐことができる。また、定期点検等で採取する絶縁油を試料油として流用できるので、分析試料採取を通常の点検作業で行うことができ、試料採取の作業工数を低減することができる。
【0016】
請求項2記載の発明によれば、油入電気機器の定期点検時に採取した絶縁油を使用して絶縁油の経年劣化、変圧器内部の異常加熱・放電の診断に使用されているガスクロマトグラフや液体クロマトグラフによって、絶縁油中のコンサベータの膜に使用されている可塑剤
の指標物質を、請求項1記載の一般式R1((CO2)2)R2R3で表わされるフタル酸エステル系化合物(R1はベンゼン環、R2、R3は炭素数1〜22の炭化水素基)、一般式R1((CO2)2)R2R3R4で表わされるトリメット酢酸エステル系化合物(R1はベンゼン環、R2、R3、R4は炭素数1〜22の炭化水素基)、一般式R1((CO2)2)R2R3で表わされるアルキルカルボン酸エステル系化合物(R1は炭素数1〜22の直鎖のアルキル基、もしくは分岐のアルキル基、又は脂環式アルキル基、R2、R3、R4は炭素数1〜22の炭化水素基)、SP(溶解パラメーター)値8〜12(cal/cm3)1/2を有して膜のSP値SPGと可塑剤のSP値SPKの差の絶対値|SPG−SPK|が3(cal/cm3)1/2以下である物質の中から選定し、選定した指標物質の濃度を測定して膜の劣化状態を診断する。
前記指標物質の濃度を測定するために専用の測定装置を使用することなく、前記ガスクロマトグラフや液体クロマトグラフで指標物質の濃度を測定するので、絶縁油の経年劣化、変圧器内部の異常加熱・放電の診断と同時に測定を行うことができ、迅速な測定と分析設備導入のコスト削減ができる。
【0017】
請求項3記載の発明によれば、コンサベータの膜に使用されている可塑剤の指標物質として、一般式R
1((CO
2)
2)R
2R
3で表わされるフタル酸エステル系化合物の絶縁油中の濃度又は量を測定するため膜の劣化状況を迅速に測定ができる。
【0018】
請求項4記載の発明によれば、コンサベータの膜に使用されている可塑剤の指標物質として、一般式R
1((CO
2)
2)R
2R
3R
4で表わされるトリメット酢酸エステル系化合物の絶縁油中の濃度又は量を測定するため膜の劣化状況を迅速に測定ができる。
【0019】
請求項5記載の発明によれば、コンサベータの膜に使用されている可塑剤の指標物質として、一般式R
1((CO
2)
2)R
2R
3で表わされるアルキルカルボン酸エステル系化合物の絶縁油中の濃度又は量を測定するため膜の劣化状況を迅速に測定ができる。
【0020】
請求項6記載の発明によれば、コンサベータの膜に使用されている可塑剤の指標物質として、SP(溶解パラメーター)値8〜12(cal/cm
3)
1/2を有し、膜のSP値SP
Gと可塑剤のSP値SP
Kの差の絶対値|SP
G−SP
K|が3(cal/cm
3)
1/2以下である物質の絶縁油中の濃度又は量を測定するため膜の劣化状況を迅速に測定ができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】コンサベータを有する油入電気機器の一例を示す概略構成図である。
【
図2】コンサベータの膜劣化診断方法を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明者は、コンサベータに使用される膜の弾性の低下原因について、鋭意研究を重ねた結果、以下の様な知見を得た。
コンサベータに使用される膜に含まれる可塑剤は、長年使用される間に絶縁油に少しずつ溶出していく。
膜中の可塑剤が減少すると膜の弾性が低下し、絶縁油の温度変化による膨張・収縮によって膜に亀裂、穿孔等の破損が発生しやすくなる。
【0023】
本発明の第1実施例を実施するための形態を、
図1ないし
図2を参照しながら説明する。はじめに、
図1は変圧器等の油入電気機器(以下、変圧器という)を示す概略構成図である。
図1において、変圧器1、変圧器タンク2内に充填した絶縁油3の温度変化による絶縁油3の膨張・収縮を吸収する膜4を収容したコンサベータ5が変圧器タンク2の上部に設けられている。
【0024】
コンサベータ5は、連通管6で変圧器タンク2と連通している。また、コンサベータ5の上部には、端部に吸湿呼吸器7を取り付けた接続管8が接続されており、コンサベータ5内では膜4によって、絶縁油3と大気の接触が遮断されている。また、絶縁油3の膨張・収縮による絶縁油3の油面の変位は、膜4の上部に設置された連結部材9を介して油面計10に表示される。
【0025】
本発明の第1実施例におけるコンサベータの膜劣化診断方法を
図2のフローチャートを参照しながら説明する。第1実施例の劣化診断方法は、変圧器タンク2又はコンサベータ5から採取した絶縁油3(以下、試料油という)中の
前記指標物質の濃度を測定し、前記試料油中の指標物質濃度を予め設定した判定値
(10ppm)とを比較することにより、コンサベータ5の膜4がどの程度劣化しているかを診断するようにしたものである。
【0026】
初めに、
図2のステップS1において、変圧器タンク2又はコンサベータ5に設けた図示しない採取管を利用して、前記変圧器タンク2又はコンサベータ5から所定量の試料油を採取すると共に、ステップS2において、
前記試料油中の指標物質濃度を測定する。
【0027】
つづいて、
図2のステップS3において、前記試料油中の
指標物質濃度の測定値を予め設定した判定値
である10ppmと比較する。なお、前記の判定値は、運転開始後20〜30年経過して、試料油中の
指標物質濃度が10ppm近くとなると膜4の弾性が低下して亀裂・穿孔等の破損が発生しやすくなることを勘案して設定
した。
【0028】
そして、図のステップS3において、試料油中
の指標物質濃度が10ppmを下回っている場合は、ステップS4において、コンサベータ5の膜4は正常であると判断する。また、試料油中
の指標物質濃度が10ppmを上回っている場合には、ステップS5において、膜4の劣化が進行していると判断して、ステップS6においてコンサベータ5の膜4を交換する。このコンサベータ5の膜4の劣化診断を行うことで、膜4に亀裂、穿孔等の破損が発生する前に交換することができるので、空気と絶縁油3の接触による絶縁油の劣化を防ぐことが確実にできる。
【0029】
次に本発明の第2実施例について説明する。変圧器1の定期点検等では、変圧器タンク2から採取した試験油を使用して絶縁油の経年劣化、変圧器タンク2内部の異常加熱・放電の診断をガスクロマトグラフや液体クロマトグラフによって実施している。そこで、本発明の第2実施例におけるコンサベータの膜劣化診断方法は、この変圧器1の定期点検で使用するガスクロマトグラフや液体クロマトグラフを使用して試料油中
の指標物質濃度を測定し、前記試料油中の指標物質濃度と予め設定した判定値の10ppmと比較することにより、コンサベータ5の膜4がどの程度劣化しているかを診断するようにしたものである。この膜劣化診断方法によれば、変圧器1の定期点検等で行う絶縁油の経年劣化、変圧器タンク2内部の異常加熱・放電の診断と同時に膜4の劣化診断を行えるため、迅速な測定や測定にかかる費用のコストダウンを行うことができる。
【0030】
次に本発明の第3実施例におけるコンサベータの膜劣化診断方法は、コンサベータ5の膜4に使用される可塑剤の指標物質を、一般式R
1((CO
2)
2)R
2R
3で表わされるフタル酸エステル系化合物として試料油中の可塑剤濃度又は量を測定し、前記試料油中の可塑剤濃度又は量と予め設定した判定値とを比較することにより、コンサベータ5の膜4がどの程度劣化しているかを診断するようにしたものである。
【0031】
次に本発明の第4実施例におけるコンサベータの膜劣化診断方法は、コンサベータ5の膜4に使用される可塑剤の指標物質を、一般式R
1((CO
2)
2)R
2R
3R
4で表わされるトリメット酢酸エステル系化合物として試料油中の可塑剤濃度又は量を測定し、前記試料油中の可塑剤濃度又は量と予め設定した判定値とを比較することにより、コンサベータ5の膜4がどの程度劣化しているかを診断するようにしたものである。
【0032】
次に本発明の第5実施例におけるコンサベータの膜劣化診断方法は、コンサベータ5の膜4に使用される可塑剤の指標物質を、一般式R
1((CO
2)
2)R
2R
3で表わされるアルキルカルボン酸エステル系化合物として試料油中の可塑剤濃度又は量を測定し、前記試料油中の可塑剤濃度又は量と予め設定した判定値とを比較することにより、コンサベータ5の膜4がどの程度劣化しているかを診断するようにしたものである。
【0033】
次に本発明の第5実施例におけるコンサベータの膜劣化診断方法は、コンサベータ5の膜4に使用される可塑剤の指標物質としてSP(溶解パラメーター)値8〜12(cal/cm
3)
1/2を有し、膜のSP値SP
Gと可塑剤のSP値SP
Kの差の絶対値|SP
G−SP
K|が3(cal/cm
3)
1/2以下である物質の絶縁油中の濃度又は量を測定し、前記試料油中の可塑剤濃度又は量と予め設定した判定値とを比較することにより、コンサベータ5の膜4がどの程度劣化しているかを診断するようにしたものである。
【0034】
本発明の第3〜第6実施例においては、可塑剤の指標物質を特定することで迅速に試料油中の可塑剤濃度を算定することができる。
【産業上の利用可能性】
【0035】
絶縁油を大気から遮断する膜を備えたコンサベータを有する変圧器において、コンサベータの膜の劣化状態を診断することに使用できる。
【符号の説明】
【0036】
1・・・変圧器、2・・・変圧器タンク、3・・・絶縁油、4・・・膜、
5・・・コンサベータ、6・・・連通管、7・・・吸湿呼吸器、8・・・接続管、
9・・・連結部材、10・・・油面計