(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の噴霧器においては、モーター、電池、タンクなどの重量物を、本体ケースの下半側に前後に並列配置するので、噴霧吸入器の重心位置を低くして、安定した状態で載置面上に載置できる。また、噴霧吸入器におけるタンクの容量は小さいものの、1回当りの薬液の消費量が少ない吸入器として使用する限りなんら問題はない。
【0006】
しかし、顔肌に化粧水や水のミストを噴霧し、あるいは髪に髪用の美容用液や水のミストを噴霧供給する場合には、吸入器として使用する場合に比べて、大量の化粧水や美容用液などを消費するため、短時間でタンクが空になるのを避けられず、頻繁に化粧水や水の補給を行なわねばならない。特許文献2の噴霧器においても同様の煩わしさがある。さらに、現状、市販されている携行可能な化粧水ミスト器の場合にはタンク容量がさらに小さく、しかも、粘度が低い特定の化粧水を使用しなければならないため、職場などで一時的に使用するのには問題ないが、化粧水や水を大量に消費するヘビーユースには適さない。
【0007】
上記のような煩わしさを解消するには、タンクを大容量化せざるを得ないが、その場合でも、ダイヤフラムポンプやモーターをタンクと同様にスケールアップする必要はないため、タンクのみが肥大化した噴霧器になりやすい。また、タンクを大容量化することで重量バランスが崩れて、持ち重りしやすく使い勝手が損なわれやすい。さらに、審美性に主張やこだわりがある美的感覚が強い女性ユーザーにとっては、単にタンクを大容量化しただけの噴霧器を、美容用のミスト器として受入れることには強い抵抗がある。これは、使い慣れている美容器具に照らして、外観上のデザインや、見た目の印象が美容器具としてふさわしいか否かが重要視されるからである。
【0008】
本発明の目的は、医療用の吸入器や美容用のミスト器として使用できるのはもちろん、大容量のタンクを備えていて、ヘビーユース時にも余裕を持ってミストを供給できる噴霧器を提供することにある。
本発明の目的は、大容量のタンクを備えているにもかかわらず、使い勝手に優れ、しかも、美容用のミスト器としてふさわしい印象を醸すことができる噴霧器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る噴霧器は、
ミスト原液を収容するタンク13と、
ミスト原液をミスト化するミストノズル12と、ミストノズル12に加圧空気を送給するエアーポンプ14と、同ポンプ14を駆動するモーター15および電池16と、これらの各機器を収容する
上下面が開口する縦長筒状の本体ケース1とを備えて
おり、ミストノズル12は、エアーポンプ14およびタンク13と、それぞれ給気管66および給液管68を介して接続されており、エアーポンプ14から送給された加圧空気がミストノズル12から吹出されるときの負圧の作用で、タンク13内のミスト原液を吸上げてミスト化して加圧空気とともに吹出す。本体ケース1の前壁1aの上部にミスト口3が開口され、ミスト口3の内側にミストノズル12が配置
されている。本体ケース1の内部は、上下方向へ連続する区分壁23で前側の前室1Aと、後側の後室1Bとに区分されている。本体ケース1の内部の後
室1Bに
、エアーポンプ14と
、モーター15と、電池16を含む電装品部17とが配置
されている。本体ケース1の内部の前
室1Aに、本体ケース1の底部からミストノズル12の下方に至るタンク13が着脱可能に収容
されている。前室1Aの上端に、タンク13の上部に設けた接続部86を接続するための連結具47が固定され、前室1Aの上部内面に、タンク13の周面を受止めて接続部86を連結具47に対して位置決めする位置決め部135が形成されている。区分壁23の上部を、区分壁23の他の部位より本体ケース1の前壁1aの側へ接近させて、位置決め部135が区分壁23と一体に形成してあることを特徴とする。
【0010】
本体ケース1の内部の前
室1Aにミストノズル12とタンク13を配
置する。タンク13の上端がエアーポンプ14の上下中途部に達する状態で、タンク13を縦長に構成する。エアーポンプ14とモーター15は、
図1に示すように、両者8・9が上下に隣接する状態で配置してあってもよく、
図11に示すようにリニアモーター15の上下それぞれにダイヤフラムポンプ14が配置してあってもよい。さらに、必要があれば
図12に示すようにエアーポンプ14とモーター15を前後に配置してもよい。
【0011】
本体ケース1の内部の後
室1Bに、エアーポンプ14と、モーター15と、電装品部17を上から順に配置する。
【0013】
前室1Aにおける前後幅をB1とし、後室1Bにおける前後幅をB2とするとき、後室1Bの前後幅B2を前室1Aの前後幅B1より大きく設定する。
【0016】
本体ケース1の下端に、本体ケース1の底開口を開閉する底蓋111を設ける。底蓋111は、無端環状の蓋周縁壁112を含んで上向きに開口する皿状に形成する。底蓋111の内面に、タンク13から漏洩したミスト原液を受止める液受凹部115を周回状に形成する。
【0017】
本体ケース1の下端に、後室1Bの下開口を塞ぐ内底壁24を固定し、内底壁24の上面にコネクター20を支持するソケットホルダー103を固定する。底蓋111と内底壁24との間に、本体ケース1に装着した底蓋111をロック保持するロック機構を設ける。ロック機構は、底蓋111の下面側に配置される操作ノブ113と、操作ノブ113に設けられて底蓋111の上方に突出する係合腕119と、内底壁24の下面側に設けた蓋係合枠120を含む。蓋係合枠120の形成位置に対応して内底壁24に開口された抜跡穴123に、ソケットホルダー103の下面に設けた栓状突起124を係合して、抜跡穴123を栓状突起124で塞ぐ。
【0018】
本体ケース1の断面は、前後方向の長軸を備えただ円形状に形成する。本体ケース1の上端に、モーター15を起動するスイッチ48を切換え操作するスイッチ操作具4を配置する。本体ケース1の後面の上部寄りにユーザーの手の平を受止めるグリップ部5を凹み形成する。グリップ部5に臨む後室1Bの内部に、エアーポンプ14およびモーター15を配置する。
【0019】
ミストノズル12の給気口60とエアーポンプ14の吐出部28とは給気管66を介して接続する。ミストノズル12の給液口62と連結具47の出口部93とは給液管68を介して接続する。エアーポンプ14の吸気部29の吸気口33は、吐出部28より後側に位置させる。
【発明の効果】
【0020】
本発明においては、本体ケース1を筒状に形成し、その前壁1aの上部に開口したミスト口3の内側にミストノズル12を配置した。また、本体ケース1の後半側に、エアーポンプ14と、モーター15と、電池16を含む電装品部17を配置し、残る前半側にタンク13を着脱可能に収容した。そのうえで、タンク13を本体ケース1の底部からミストノズル12の下方に至る縦に長い構造にしてタンクの大容量化を実現した。従って、大量のミストが消費されるヘビーユース時にも、余裕を持ってミストを連続して供給することが可能な噴霧器を提供できる。
【0021】
また、本体ケース1の内部空間の範囲内で、タンク13を縦長構造にしてタンク容量を増加するので、タンク13の大容量化によって本体ケース1の外観上のデザインが損なわれるのを防止できる。とくに、噴霧器を美容用のミスト器として使用する場合には、大容量のタンク13を備えているにもかかわらず、外観上のデザインや見た目の印象を美容器具としてふさわしい印象を醸すことができる。噴霧器は、医療用の吸入器や美容用のミスト器として使用できる。
【0022】
タンク13の上端がエアーポンプ14の上下中途部に達する状態で、タンク13を縦長に構成すると、タンク13の内容量をさらに大きくして、充分な余裕を持った状態でミストを連続して供給することができる。また、上端がエアーポンプ14の上下中途部に達する縦長のタンク13内にミスト原液を収容するので、噴霧器を大きく動かしながらミストを噴霧する場合でも、ミスト原液の液位が大きく変動し、あるいはミスト原液が前後左右に揺れ動くのを抑止できる。従って、ミストを安定した状態で連続して噴霧できるうえ、ミスト原液の揺れ動きに影響を受けることもなく噴霧器を安定した状態で保持できる。
【0023】
本体ケース1の内部の後半側に、エアーポンプ14と、モーター15と、電装品部17とを上から順に配置すると、本体ケース1の後半側のスペースを無駄なく有効に利用しながら各機器を整然と配置することができる。従って、本体ケース1が前後方向、あるいは左右方向へいたずらに肥大化するのを避けながら、本体ケース1の外観の印象をスリム化することができる。
【0024】
区分壁23で区分した前室1Aにタンク13を収容し、後室1Bにエアーポンプ14と、モーター15と、電池16を含む電装品部17を収容すると、タンク13から漏れ出したミスト原液が後室1B側へ流入するのを区分壁23で阻止できる。従って、後室1Bに収容した電気機器に漏れ出したミスト原液が付着して生じる電気系統の故障、例えば短絡や発熱などの故障をよく防止できる。また、縦長姿勢に載置された状態の本体ケース1を誤って転倒させ、その衝撃でタンク13からミスト原液が漏れ出したとしても、ミスト原液が後室1B側へ直ちに流入するのを区分壁23で阻止して、電気機器が故障するのをよく防止できる。区分壁23は、縦長筒状に形成された本体ケース1の補強構造体としても機能しており、本体ケース1の構造強度を増強することに役立っている。従って、本体ケース1に強い落下衝撃などが作用するような場合であっても、本体ケース1が破損するのをよく防止できる。
【0025】
後室1Bの前後幅B2を前室1Aの前後幅B1より大きく設定するのは、タンク13に比べて直径(または前後幅)が大きなエアーポンプ14およびモーター15、あるいは電装品部17などを、余裕のある状態で後室1Bに収容するためである。また、エアーポンプ14を後室1Bの上部に配置することにより、ミストノズル12とエアーポンプ14を接続する給気管66の全長を小さくして通路抵抗を小さくできるので、その分だけ加圧空気を効率よくミストノズル12へ送給できる。
【0026】
前室1Aの上部内面に位置決め部135を設けると、前室1Aに差込装填されたタンク13の周面を位置決め部135で受止めて、タンク13の接続部86を連結具47に対して的確に位置決めすることができる。従って、タンク13を単に前室1Aに差込み操作するだけで、縦長に形成されたタンク13の接続部86と、前室1Aの上奥に位置する連結具47の筒壁92との中心を合致させて、縦長のタンク13の連結具47に対する連結を容易に行うことができる。
【0027】
区分壁23の上部を区分壁23の他の部位より本体ケース1の前壁1aの側へ接近させて、位置決め部135を区分壁23と一体に形成すると、本体ケース1の外観に影響を及ぼすことなく位置決め部135を形成できる。位置決め部135は、本体ケース1の前壁1aや、その周囲壁などに形成することによっても、タンク13を連結具47に対して位置決めできるが、その場合には、位置決め部135を形成した個所の外面にひけなどの成形ひずみを生じて、本体ケース1の外観が損なわれるからである。また、区分壁23の上部を前壁1aの側へ接近させる分だけ、後室1Bの前後幅を大きくして、より大きなサイズのエアーポンプ14を後室1Bの上部に配置することができる。
【0028】
底蓋111を蓋周縁壁112を含んで上向きに開口する皿状に形成し、その内面に液受凹部115を周回状に形成すると、何らかの原因でミスト原液がタンク13から漏洩した場合にも、ミスト原液を液受凹部115で受止めて本体ケース1の外へ漏出るのを防止できる。
【0029】
操作ノブ113、係合腕119、および蓋係合枠120などで底蓋111用のロック機構を構成し、内底壁24に開口された抜跡穴123に栓状突起124を係合して抜跡穴123を塞ぐと、底蓋111で受止められたミスト原液が抜跡穴123を介して後室1Bへ浸入するのを防止できる。従って、後室1Bの下部空間に配置した電装品部17に、タンク13から漏れ出したミスト原液が付着して短絡するなどの電気系統の故障を確実に防止できる。また、ソケットホルダー103の下面に設けた栓状突起124を、内底壁24の抜跡穴123と係合することにより、ソケットホルダー103が前後にがたつくのを防止して、充電用プラグのコネクター20に対する着脱を的確に行うことができる。
【0030】
本体ケース1の後面の上部寄りにユーザーの手の平を受止めるグリップ部5を凹み形成し、グリップ部5に臨む後室1Bの内部に、エアーポンプ14およびモーター15を配置すると、噴霧器を確りと握り持った状態で軽快にミストを噴霧することができる。これは、ユーザーの手の平をグリップ部5にあてがった状態で本体ケース1を握り持つことにより、重量の大きなエアーポンプ14とモーター15が手の平の近傍に位置する状態、つまり持ち重りしない状態で本体ケース1を掴み保持してミストを軽快に噴霧できるからである。また、ユーザーの手の平を内凹み状のグリップ部5で受止めることにより、噴霧器を大きく動かしながらミストを噴霧するような場合に、手が上下あるいは周方向へずれ動くのを確実に防止して使い勝手を向上できる。
【0031】
吸気部29の吸気口33を吐出部28より後側に位置させると、エアーポンプ14の作動時に、吸気部29の周辺部の空間が負圧になり、その影響がミストノズル12に及ぶのを避けることができる。従って、ミストノズル12におけるミストの生成を効果的に行うことができる。
【発明を実施するための形態】
【0033】
(実施例)
図1ないし
図9は、本発明に係る噴霧器を美容用のミスト器(以下、単にミスト器と言う。)に適用した実施例を示している。なお、本発明における前後、左右、上下とは、
図1および
図4に示す交差矢印と、各矢印の近傍に表記した前後、左右、上下の表示に従う。
【0034】
図1においてミスト器は、上下面が開口する縦長筒状の本体ケース1を基本構造体にして、その内部にミスト生成構造と、イオン発生構造を組込んで構成してある。本体ケース1は縦長筒状に形成してあり、その断面は前後方向の長軸を備えただ円形状に形成してある(
図8参照)。本体ケース1の左右幅は前後幅に比べて充分に小さく設定されて、主なユーザーである女性の手に馴染みやすく、しかも片手で掴みやすい大きさにしてある。この実施例では、本体ケース1の前後幅を約65mmとするとき、左右幅を45mmとした。本体ケース1の前壁1aの上部には円形のミスト口3が開口され、本体ケース1の上端にはスイッチノブ(スイッチ操作具)4が配置してある。また、本体ケース1の後面の上部寄りにはグリップ部5がなだらかに凹み形成してある(
図1参照)。
図3において符号6はキャップであり、ミスト器の不使用時に、キャップ6を本体ケース1に被せ付けた状態では、ミスト口3およびスイッチノブ4の外面がキャップ6で覆われる。
【0035】
ミスト生成構造は、ミスト口3の内側中央に配置されるミストノズル12と、同ノズル12の下方に配置されるタンク13と、エアーポンプ14と、同ポンプ14を駆動するモーター15と、2次電池(電池)16を含む電装品部17などで構成してある。電装品部17には、制御回路が実装された回路基板18と、樹脂モールド19と、充電用のコネクター20と、先の2次電池16などが設けてある。イオン発生構造は、先の樹脂モールド19と、ミストノズル12の上側に配置した電極ユニット21と、補助回路基板22などで構成してあり、電流調整用の前段の回路群が補助回路基板22に実装され、電流調整用の後段の回路が樹脂モールド19の内部に封入してある。
【0036】
上記の各機器を本体ケース1の内部に整然と組込むために、本体ケース1の内部を区分壁23で前室1Aと後室1Bとに区分し、さらに、本体ケース1の内部に電装ケース10とノズルケース11を設けている。区分壁23は本体ケース1と一体に形成されて、底開口の近傍から本体ケース1の過半上部にわたって、前壁1aに沿う状態で上下方向に連続しており、その上端でノズルケース11の下端壁を支持している。
【0037】
電装ケース10には、上側から順にエアーポンプ14と、モーター15と、樹脂モールド19と、2次電池16が組付けてあり、樹脂モールド19および2次電池16の後側の空間に臨んで回路基板18が電装ケース10に固定してある。また、2次電池16の側方に隣接配置した補助回路基板22が電装ケース10に固定してある。つまり、本体ケース1の内部の後半側に、エアーポンプ14と、モーター15と、電装品部17とが上から順に配置してある。エアーポンプ14とモーター15が電装ケース10に対して後面側から組付けられるのに対し、樹脂モールド19と2次電池16は電装ケース10に対して前面側から組付けてある。ノズルケース11は左右に2分割したケース体を接合した中空ケースからなり、その内部が区分壁23に連続する階段状の区画壁35で前後に区画してあり、前側の区画に電極ユニット21と、ミストノズル12と、タンク13用の連結具47が組付けてある。また、後側の区画には、スイッチ基板が組付けられ、その上面にモーター15への通電状態をオン・オフするスイッチ48が実装してある。
【0038】
各機器が組付けられた電装ケース10に、各機器が組付けられたノズルケース11を組み、2分割したケース体どうしをビス102(
図3参照)で締結することにより、電装ケース10とノズルケース11が一体化される。この組立体を上開口の側から本体ケース1の内部に装填し、さらに、本体ケース1の下開口の内面に内底壁24を嵌込んで、
図6に示すように電装ケース10と内底壁24をビス105で締結することにより、先の組立体が本体ケース1と一体化される。この組立状態におけるエアーポンプ14およびモーター15は、後壁1bを間にしてグリップ部5に臨んでいる。
【0039】
上記のように、エアーポンプ14と、モーター15と、電池16を含む電装品部17とは、本体ケース1の内部の後室(後半側)1Bに配置され、本体ケース1の内部の前室(前半側)1Aに、本体ケース1の底部からミストノズル12の下方に至る縦長のタンク13を着脱可能に収容している。前室1Aに収容したタンク13の上端は、エアーポンプ14の上下中途部に達している。このように、タンク13の内容量を大きくすることにより、充分な余裕を持った状態でミストを連続して供給することができる。
【0040】
先に説明したスイッチノブ4は、ノズルケース11の上面側に配置されて本体ケース1の上端の開口を塞いでおり、その前部下面に設けたピン98を中心にしてノズルケース11で上下揺動可能に支持され、図示していないばねで押上げ付勢してある。スイッチノブ4はプラスチック成形品の表面に金属めっきを施して形成してあり、その上面には指掛け凹部99が形成してある。また、スイッチノブ4の下面にはシールゴム100を介してスイッチ48をオン・オフする操作ピン101が設けてある。シールゴム100はノズルケース11に装着されて、水滴あるいは塵埃などがノズルケース11の後側の区画に侵入するのを防止する。不使用状態におけるスイッチノブ4は、本体ケース1の上開口面に沿って開口前部から開口後部へ向かって下り傾斜している。
【0041】
図3においてミストノズル12は、透明なプラスチック材を素材とする射出成形品からなり、その上部前面にミストを噴出するノズル口57が開口され、上部後面と下面前部とのそれぞれに筒状の継手部58・59が突設してある。上部後面の継手部58には給気口60が開口され、この給気口60に連続してノズル口57へ向かって先すぼまり状の空気通路61が形成してある。同様に、下面前部の継手部59には給液口62が開口され、この給液口62に連続してノズル口57へ向かって上すぼまり状の液通路63が形成してある。
【0042】
前者継手部58とエアーポンプ14の吐出部28とが給気管66を介して接続され、後者継手部59と連結具47の出口部93とが給液管68を介して接続してある。給気管66および給液管68は、それぞれ軟質で屈曲自在なシリコーンゴム製のチューブやプラスチック製のチューブで形成してある。ミストノズル12の後面下部にはLED78が密着配置してあり、このLED78をミスト噴出時に点灯することにより、LED78から照射されてミストノズル12で散乱された柔らかな光でミストを照らすことができる。
【0043】
タンク13は、透明ないし半透明のプラスチック材で形成した上下に長いびん状のタンク本体85と、タンク本体85の上端に設けた接続部86と、接続部86の内面下部に固定される直管状の吸上パイプ87などで構成してある。
図8に示すように、タンク本体85の断面はトンネル断面状に形成してある。接続部86の上面の中央には、連結具47に差込み連結される筒ボス88が上向きに突設してあり、その周面にOリング89が装着してある(
図7参照)。
【0044】
タンク13は消耗品であって、予めタンク本体85にミスト原液を充填した状態で販売され、ミスト原液を消費するごとに新規なタンク13と交換して使用する。ミスト原液としては、顔肌に潤いを与える化粧水や水、あるいは、髪に潤いを与える髪用の美容用液などが用意してある。ミスト器の使用に伴ってタンク13内のミスト原液の残量が少なくなったときに、その残量レベルを確認するために、本体ケース1の前壁1aの下部に透明なレベル確認窓90を設けている。ユーザーは、レベル確認窓90を介してタンク本体85内の残量レベルを視認することにより、新規なタンク13を用意すべき時期が近付いたことを確認できる。
【0045】
先に説明したように、本体ケース1の断面は、女性の手に馴染みやすく、しかも片手で掴みやすくするために、前後に長いだ円形状に形成してある。さらに、本体ケース1を縦長筒状に形成してシンプルな外観形状としてある。こうした、本体ケース1の外観上の印象を損なうことなく、タンク13の大容量化を実現するために、タンク13の上下長を大きく設定している。具体的には、タンク13を前室1Aに装填して、その接続部86を連結具47に連結した状態において、タンク本体85の上端が、後室1Bの上部寄りに位置するエアーポンプ14の上下中途部に達する状態となるように、タンク13を縦長に構成している。
【0046】
タンク13の接続部86をミストノズル12に連通するために、前室1Aの上端、具体的にはノズルケース11の下端壁に連結具47を固定している。連結具47の下面側には、接続部86を外嵌装着するための筒壁92が下向きに突設され、連結具47の上面側には給液管68を接続するための出口部93が上向きに突設してある。
図3に示すように、タンク13の接続部86を連結具47の筒壁92に差込み装着した状態においては、筒ボス88が連結具47に設けた連結穴(図示していない)に嵌合して、両者の隙間がOリング89でシールされる。連結穴の下部は上すぼまりテーパー状に形成してある。なお、図示していないが、接続部86の内部には、タンク本体85の内部が負圧状態になるのを防ぐ負圧防止弁が設けてある。
【0047】
エアーポンプ14はダイヤフラムポンプからなり、その上端に吐出部28と、空気をポンプ内部に導入するための吸気部29とが、前後に隣接する状態でそれぞれ上向きに突設してある。この実施例では、エアーポンプ14とモーター15とが一体化された状態のローリングポンプを適用した場合を示している。ローリングポンプ(エアーポンプ14)の内部には複数個のダイヤフラムが設けてあり、これらのダイヤフラムを、モーター15で回転駆動されて「皿回し運動」をする駆動体で上下操作することにより、吸気部29から吸込んだ空気を加圧して吐出部28から送出する。
【0048】
吸気部29の吸気口33は、吐出部28より後側に位置させる。この実施例では、吐出部28の後側に上向きに突出する吸気部29を配置して、吸気部29の上端の吸気口33を吐出部28より後側に位置させるようにした。ミストノズル12と吐出部28と吸気部29の3者は、ミストノズル12より後側に吐出部28が位置しており、さらに吐出部28より後側に吸気部29の吸気口33が位置させてある。このように、吸気部29の吸気口33は、できるだけミストノズル12から遠ざかった位置に設けることが好ましい。要は、吸気部29から空気を吸込むことにより、吸気部29の周辺部の空間が負圧になる傾向があるため、その影響がミストノズル12に及ぶのを避けられる位置、つまり吐出部28より後側に吸気口33が設けてあればよい。
【0049】
図3に示すように、ミストノズル12の継手部58と吐出部28とを連通する給気管66は、ノズルケース11の区画壁35を前後に貫通する状態でJ字状に屈曲している。このように、エアーポンプ14を後室1Bの上端に配置し、ミストノズル12とエアーポンプ14とを、J字状に屈曲する全長の短い給気管66で接続すると、給気管66における通路抵抗を最小限にして、エアーポンプ14から送出される加圧空気を効率よくミストノズル12に送給することができる。
【0050】
イヤフォンジャック状に構成したコネクター20を本体ケース1に対して固定するために、電装ケース10の下端と内底壁24との間にソケットホルダー103を挟持固定している。
図5および
図6に示すようにソケットホルダー103は、内底壁24で支持されるベース壁を有し、その上面側にコネクター20用の装填部109が設けてある。また、ベース壁の前部下面には、左右一対の栓状突起124が形成してある。栓状突起124を設ける意味は後述する。図示していない充電器のコネクタープラグをコネクター20に接続することにより2次電池16を充電できる。
【0051】
2次電池16が充電されている状態であることを表示し、さらに、2次電池16の電力残量がどの程度であるかを表示するために、コネクター20の後端に表示リング104を装着し、その上側に、回路基板18に実装したLED106の照射光を導入する導光部107を設けている。LED106は3色LEDからなり、LED106の発光色を変更して、あるいはLED106を点滅させるなどにより充電状態であることを表示し、あるいは電力残量を表示することができる。表示リング104の中央には、コネクター20の端部を露出させるためのコネクター窓108が開口してあり、この窓108を介して充電用のプラグをコネクター20に着脱する。
【0052】
図3において電極ユニット21は、プラスチック製のホルダー80と、ホルダー80の前面中央に固定される針状の中央電極81と、中央電極81の周囲を囲むリング状の対向電極82と、両電極81・82の間の空間を絶縁する誘電筒83などで構成する。電極ユニット21は、左右に2分割されたノズルケース11で左右に挟持固定されて、その中心軸がノズル口57を通る水平軸と交差する向きに傾斜させてある。ミストノズル12の前部とミスト口3との間の隙間を塞ぐために、ミスト口3の内面に凹面鏡状のミスト口カバー72が嵌込んである。また、ミスト口カバー72の電極ユニット21の前端と正対する位置にはイオン種放出窓74が開口され、その後側に、指先が電極ユニット21に触れるのを防ぐガード枠77が設けてある。電極ユニット21で生成されたイオン種は、イオン種放出窓74を介してノズル口57から噴霧されたミスト流へ向かって放出される。中央電極81は高圧リードを介してダイオード132に接続され、対向電極82はスイッチノブ4とともにグランドリード133に接続してある。グランドリード133は、中央電極(放電電極)81、および対向電極82に高圧のパルス電流を供給する電流調整用の回路のグランドライン134に接続してある。先に説明したように、スイッチノブ4はプラスチック成形品の表面に金属めっきを施して形成してある。そのため、スイッチノブ4は対向電極82と同じ電位になっており、スイッチノブ4に触れたユーザーも対向電極82と同じ電位になる。図示していないが、グランドライン134とスイッチノブ4との間には抵抗値が大きな抵抗が介在させてある。
【0053】
図2にミスト器の回路構成の概略を示す。ミスト器の使用時にスイッチノブ4をオン操作すると、回路基板18に実装された制御回路を介してモーター15が回転駆動され、同時にイオン発生構造を構成する電流調整用の回路が作動して、放電電極となる中央電極81にコロナ放電用の高圧電流が供給される。電流調整用の前段回路は、2次電池16の電流を交流に変換する発振回路127と、発振回路127で生成されたパルス電流を昇圧する第1の昇圧回路128と、昇圧回路128で100Vにまで昇圧されたパルス電流を整流する整流回路129と、整流回路129で整流された直流電流を再度パルス電流に変換するパルス発生回路130とで構成する。また、電流調整用の後段回路は、パルス発生回路130から出力されるパルス電流を4kVにまで昇圧する第2の昇圧回路131と、ミストの帯電極性を設定するダイオード132とで構成する。先に説明したように、電流調整用の各回路のうち、発振回路127からパルス発生回路130までが補助回路基板22に実装され、昇圧回路131とダイオード132とが樹脂モールド19内に封入してある。
【0054】
電流調整用の各回路で調整された高圧電流が、中央電極81と対向電極82との間に供給されると、コロナ放電により中央電極81から電子が放出されて空気中の酸素分子と結合し、負電荷あるいは正電荷のイオン種となる。生成されたイオン種は、ノズル口57から噴出される高速の空気流に引き込まれて、空気流とともに噴出されたミストに接触してミストをマイナス電位あるいはプラス電位に帯電させる。ダイオード132が中央電極81へ向かって順方向に接続してある場合には、ミストはプラスに帯電され、ダイオード132が中央電極81へ向かって逆方向に接続してある場合には、ミストはマイナスに帯電される。
【0055】
本体ケース1の底開口を開閉してタンク13を出入れ可能とするために底蓋111を設けている。
図5〜
図7に示すように底蓋111は、無端環状の蓋周縁壁112を備えた上向きに開口するだ円形の皿状に形成されており、その中央下面側に操作ノブ113を収容するための操作凹部114が上向きに膨出する状態で形成してある。蓋周縁壁112と操作凹部114の膨出壁との間の底壁は、タンク13から漏洩したミスト原液を受止める液受凹部115として機能する。液受凹部115は蓋周縁壁112に沿って周回状に形成してあり、タンク本体85の底面と対向する液受凹部115には、タンク13を連結具47に向かって押付けるゴム製の押圧ピース116が固定してある。操作凹部114を囲む底蓋111の下面は平坦に形成してあるので、不使用状態におけるミスト器は本体ケース1が起立する状態で載置収納できる。
【0056】
底蓋111と内底壁24との間には、本体ケース1に装着した底蓋111をロック保持するロック機構が設けてある。ロック機構は、操作凹部114に収容される操作ノブ113と、操作ノブ113の側に設けられる左右一対の係合腕119と、内底壁24の下面側に設けた左右一対の蓋係合枠120と、操作凹部114の上壁上面に配置されるスライド板121などで構成してある。一対の係合腕119は、底蓋111に形成したスライド溝を介して、底蓋111の上方に突出している。操作ノブ113とスライド板121は、操作ノブ113に設けたピン122で同行移動可能に一体化してある。ロック状態(
図5に示す状態)における係合腕119は、蓋係合枠120と係合して底蓋111が本体ケース1から分離するのを防止する。また、操作ノブ113を
図5に向かって右側へスライド操作すると、係合腕119と蓋係合枠120との係合状態が解除されるので、底蓋111を本体ケース1から分離することができる。
【0057】
蓋係合枠120は内底壁24を射出成形する際に一体に形成するが、その際に蓋係合枠120の形成位置の上側に、左右一対の金型の抜跡穴123(
図6参照)が形成されてしまう。この抜跡穴123から電装品部17へ液滴等が浸入するのを防ぐために、ソケットホルダー103の下面に設けた左右一対の栓状突起124で抜跡穴123を塞いでいる。また、栓状突起124を抜跡穴123と係合することにより、ソケットホルダー103が前後にがたつくのを防いで、コネクター20に対する充電用プラグの着脱を的確に行えるようにしている。
【0058】
図7および
図8において、前室1Aにおける前後幅をB1とし、後室1Bにおける前後幅をB2とするとき、後室1Bの前後幅B2は前室の前後幅B1より大きく設定してある。これは、エアーポンプ14およびモーター15の直径(または前後幅)がタンク13の前後幅より大きく、これらのサイズの大きなエアーポンプ14およびモーター15を、余裕のある状態で後室1Bに収容するためである。また、前室の前後幅B1が小さい分だけタンク13の容量は小さくなるが、タンク13の上下寸法を大きくすることでタンク容量の減少を補っている。
【0059】
先に説明したように、タンク13は底蓋111を取外した状態で、本体ケース1の底開口の側から前室1Aに出入れする。そのため、タンク13を前室1Aに差込み装填するとき、細長いタンク13の接続部86の中心と、連結具47の筒壁92の中心とを正しく一致させるのが難しくなる。このような煩わしさを解消するために、
図7に示すように、前室1Aの上部内面に、タンク13の周面を受止めて接続部86を連結具47に対して位置決めする位置決め部135を形成している。具体的には、区分壁23の上部を区分壁23の他の部位より本体ケース1の前壁1aの側へ接近させて、区分壁23の上部に位置決め部135を一体に設けるようにした。さらに、位置決め部135の下端に連続して、タンク13の周面を受止めて本体ケース1の前壁1aの側へ向かって移動案内する位置決めガイド136を傾斜する状態で設けた。位置決め部135および位置決めガイド136は、本体ケース1の成形時に区分壁23とともに同時に形成される。上記のように、位置決め部135を設けることにより、本体ケース1の前壁1aを位置基準とするときの区分壁23の上部における前室1Aの前後幅b1は、本体ケース1の底開口に臨む前室1Aの下部の前後幅B1より小さく設定される。
【0060】
上記のように、前室1Aの上部に位置決め部135と位置決めガイド136を形成すると、タンク13を前室1Aに差込み終える直前に、タンク本体85の平坦な肩部を位置決めガイド136で位置決め部135へ向かって移動案内できる。従って、タンク13を単に前室1Aに差込み操作するだけで、接続部86の中心と筒壁92の中心とを一致させて、連結具47に対するタンク13の連結を容易に行うことができる。なお、タンク13を連結具47に連結する場合には、例えば本体ケース1を左手で前面側から握って斜めに保持し、底開口が傾斜下端に位置する状態で、右手で握ったタンク13を前室1Aに差込み操作する。そのとき、湾曲する前壁1aがトンネル断面状のタンク13の湾曲壁を大まかに位置決めした状態で案内し、さらにタンク13の平坦な肩部を位置決め部135が受止めて、タンク13の周方向の姿勢を矯正するので、常に的確に接続部86の中心と筒壁92の中心とを一致させることができる。また、前室1Aの上部に位置決め部135を設けるので、前室1Aの底開口の側の前後幅を大きくすることができ、従って、タンク13を前室1Aに容易に差込み操作することができる。
【0061】
ミスト器を使用する場合には、
図9に示すように、グリップ部5にユーザーの手の平をあてがい、本体ケース1の左右壁を親指およびその付け根と、中指、薬指、小指の3指とで挟み保持し、さらに、人指し指でスイッチノブ4を押下げてモーター15を起動させる。モーター15の起動と同時にエアーポンプ14が作動して、加圧された空気が給気管66を介してミストノズル12へ送給され、空気通路61によって絞られた流速の速い空気がノズル口57から吹出される。そのため、液通路63の空気通路61との交差部分には大きな負圧が作用し、この負圧によってタンク13内のミスト原液が、吸上パイプ87と、連結具47と、給液管68を介して吸上げられる。さらに、吸上げられたミスト原液は、液通路63の上端においてミスト化されて加圧空気とともにノズル口57から吹出される。ミスト原液が例えば化粧水である場合には、ノズル口57から吹出されたミストを顔肌に吹付ける。なお、モーター起動用のスイッチ48は自己復帰型のスイッチであるので、スイッチノブ4を人指し指で押下げている間のみモーター15が起動され、人指し指による押下げ動作を解除するとモーター15は停止する。
【0062】
モーター15が起動するのと同時にイオン発生構造も起動され、各回路127〜132で調整された高圧(4kV)のパルス電流が高圧リードを介して中央電極81に供給される。これに伴い、中央電極81と対向電極82との間でコロナ放電が生じ、中央電極81から放出された電子が空気中の酸素分子と結合してイオン種となり、このイオン種がノズル口57から噴出される高速の空気流に引き込まれてミストに接触し、ミストをマイナス電位あるいはプラス電位に帯電させる。この状態におけるユーザーの顔肌(人体)は、スイッチノブ(接触電極)3に接触する指先を介して対向電極82と同じグランド電位になっているので、中央電極81から顔肌へ向かって電気力線が形成され、イオン種で帯電されたミストを顔肌へ向かって誘引させることができる。
【0063】
上記のように、中央電極81と対向電極82との間に高電圧を印加してイオン種を生成し、生成されたイオン種をミストノズル12から噴出されるミストに接触させると、ミストをマイナス電位あるいはプラス電位に帯電されたミストを的確に生成できる。また、指先がスイッチノブ4に接触している状態においては、人体の電位を対向電極82の電位と同じ電位にすることができるので、帯電されたミストを安定した状態で人体に引寄せ吸着させることができる。因みに、人体は通常プラスに帯電しているので、マイナスに帯電したミストを生成することにより、ミストを人体に引寄せて、吸着させることができる。
【0064】
上記のようにミスト器を使用する状態では、スイッチノブ4がオン操作されるのと同時に、ミストノズル12の後に配置したLED78が発光する。LED78から照射された光は、透明のミストノズル12を通過する間に繰り返し反射され散乱された状態で、ノズル口57の周囲壁からミスト流へ向かって放出される。そのため、散乱された柔らかな光でミスト流を照らしてLED78が発光する色に染め、幻想的な雰囲気を演出することができる。LED78はパイロットランプを兼ねており、スイッチノブ4がオン・オフ操作されるのに対応して点灯し、あるいは消灯する。
【0065】
ミスト器の使用時には、先に説明したようにグリップ部5にユーザーの手の平をあてがい、本体ケース1の左右壁を親指およびその付け根と、中指、薬指、小指の3指とで挟み保持する。この保持状態においては、他の構成部品に比べて重量の大きなエアーポンプ14とモーター15が、本体ケース1を掴み保持したユーザーの手の平の近傍に位置しており、他の部分に比べて重量が集中する部分を自然に掴み保持した状態で、ミスト器を確りと握り持つことができる。従って、握り持ったミスト器を大きく動かすような場合でも、持ち重りすることがなく、軽快にミストを噴霧することができる。また、ユーザーの手の平を内凹み状のグリップ部5で受止めるので、とくに意識しながら本体ケース1を握る必要もなく、自然と好適な位置を好適な姿勢で握ることができ、さらに、ミスト器を大きく動かす際に、手が上下あるいは周方向へずれ動くのを確実に防止できる。
【0066】
上記のミスト器(噴霧器)は、以下の態様で実施することができる。
ミスト発生部と電極ユニット(放電電極)21を有し、ミスト発生部で生成されるミストと、電極ユニット21で生成されるイオン種を接触させて、帯電されたミストを生成できる噴霧器であって、
電極ユニット21に電圧を印加する回路と、前記回路のグランドライン134に接続される接触電極とを備え、
接触電極が、ミスト発生部および電極ユニット21を駆動するスイッチ48のスイッチ操作具4に設けてある噴霧器。
【0067】
上記構成の噴霧器によれば、マイナス電位あるいはプラス電位に帯電されたミストを的確に生成できる。例えば、人体は通常プラスに帯電しているので、マイナスに帯電したミストを生成することにより、ミストを人体に吸着させることができる。また、人体の電位を、積極的に電極ユニット21に電圧を印加する回路のグランド電位と同じ電位にすることができるので、帯電されたミストを安定した状態で人体に引寄せて吸着させることができる。
【0068】
上記のミスト発生部および電極ユニット21を駆動するスイッチ48が、自己復帰型スイッチで構成されており、
スイッチ操作具4がオン状態に切換え操作された状態において、ミスト発生部および電極ユニット21を連続して駆動でき、
指先がスイッチ操作具4から離れて、同操作具4がオフ状態に切換え操作された状態において、ミスト発生部および電極ユニット21が作動を停止するように構成してある噴霧器。
【0069】
上記のように、噴霧器を使用する場合のユーザーは、必ず接触電極を兼ねるスイッチ操作具4に触れた状態でスイッチ48を切換え操作するので、ユーザーは意識することもなく帯電されたミストを人体に引寄せる機能を発揮できる。
【0070】
上記のミスト発生部はミストノズル12で構成されており、
ミストノズル12は、加圧空気を流動案内する空気通路61と、ミスト原液を流動案内する液通路63と、ノズル口57とを備えており、
液通路63の空気通路61との交差部分に作用する負圧の作用でミスト原液を吸上げてミスト化し、ノズル口57から空気流とともに噴出できる噴霧器。
【0071】
図10にエアーポンプ14の一部を変更した実施例を示す。そこでは、エアーポンプ14の上部前側に吸気部29を設け、吸気部29の後側に吐出部28を設けるようにした。また、吸気部29を逆L字状に形成して、その吸気口33をノズルケース11の後壁の外面に突出させて、吸気口33を吐出部28より後側で開口させるようにした。この場合には、ノズルケース11の上壁のうち、シールゴム100の周囲の壁に開口を形成しておくことにより、スイッチノブ4と本体ケース1の隙間からスイッチノブ4の内面側へ入込んだ空気を吸気口33から吸込むことができる。なお、吸気口33は、吐出部28より後側に位置している限り、任意の方向へ向かって開口させることができる。例えば、吸気部29を逆L字状に形成したうえで、その吸気口33を前向き、あるいは横向きに開口させることができ、こうした場合に、吸気口33の開口位置が吐出部28より後側に位置していればよい。
【0072】
上記の実施例では吸気部29を逆L字状に形成したが、その必要はない。例えば、
図3に示す状態の吸気部29に、弾性変形可能な吸気用の吸気管を接続し、その開口端(吸気口33)がスイッチノブ4の内面側の空間に臨む状態で、吸気管を導出することができる。このように、吸気口33をスイッチノブ4の内面側の空間に配置すると、エアーポンプ14の吸気作用に伴ってノズルケース11の内部が負圧になるのを解消できるので、ミストノズル12におけるミストの生成を効果的に行うことができる。また、吸気管の開口端はスイッチノブ4で覆われるので、吸気管を追加することでミスト器の外観上の印象が損なわれることはない。また、ノズルケース11の上壁の下面側に吸気部29と同様の継手部を設けておき、この継手部と吸気部29とを弾性変形可能な吸気管で接続して、スイッチノブ4の内面側の空間から空気を吸い込むことができる。
【0073】
図11はエアーポンプ14のさらに別の実施例を示している。そこでは、リニアモーター(モーター)15の上下それぞれにダイヤフラムポンプ(エアーポンプ)14が配置してある電磁ポンプで加圧空気を供給するようにした。リニアモーター15は、ハウジング140の内部に、E型コア141とバックコア142を対向配置し、両コア141・142の間に振動子143を配置して構成してある。両コア141・142のうち、E型コア141のみにコイルが巻回してある。振動子143には永久磁石が組付けてあり、両コア141・142と永久磁石との吸引作用あるいは反発作用で振動子143を往復駆動させて、振動子143の上下両端に設けたダイヤフラム144を上下操作し、吸気部29から吸込んだ空気を加圧して吐出部28から送出する。符号145は吸気弁、符号146は排気弁である。
【0074】
図12は噴霧器のさらに別の実施例を示す。そこでは、後室1Bの上部にエアーポンプ14とモーター15を前後に隣接する状態で配置し、後室1Bの下部に電池16を含む電装品部17を収容した。また、吸気部29に吸気管148を接続し、吸気管148の全体をJ字状に折曲げてその吸気口33をモーター15の下方に位置させた。このように、エアーポンプ14とモーター15は、本体ケース1の内部の後半側に設けてあればよい。また、電装品部17におけ(2次)電池16、回路基板18、樹脂モールド19などの機器の配置形態は、必要に応じて変更することができる。
【0075】
上記の実施例では、本体ケース1の断面形状を前後に長いだ円形状に形成したが、その必要はなく、例えば前後に長い長円状や卵形などの断面形状に形成してあってもよい。本体ケース1は、前後、左右、あるいは上下に2分割されたケース体を接合して縦長筒状に形成することができる。区分壁23に位置決め部135と位置決めガイド136を形成したがその必要はなく、前室1Aの上部の内周面に形成してあればよい。例えば、本体ケース1の前壁1aおよび左右壁の内面に複数のリブ状の突起を形成して、各突起を位置決め部135および位置決めガイド136として機能させることができる。
【0076】
底蓋111は、内底壁24あるいは本体ケース1に対して着脱可能に圧嵌装着することができる。また、底蓋111のロック機構は、実施例で説明した構造である必要はなく、操作ノブ113を回転操作して、係合腕119を蓋係合枠120に係脱する構造とすることができる。係合腕119は少なくとも1個設けてあればよい。本発明に係る噴霧器は、個人用と業務用のいずれであっても使用でき、のどおよび口腔内に薬液のミストを噴霧供給する吸入器としても使用することができる。