(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6243171
(24)【登録日】2017年11月17日
(45)【発行日】2017年12月6日
(54)【発明の名称】建設汚泥の処理方法
(51)【国際特許分類】
C02F 11/00 20060101AFI20171127BHJP
B09C 1/02 20060101ALI20171127BHJP
B09C 1/08 20060101ALI20171127BHJP
B03C 1/00 20060101ALI20171127BHJP
B03C 1/02 20060101ALI20171127BHJP
E21D 9/12 20060101ALI20171127BHJP
【FI】
C02F11/00 GZAB
C02F11/00 H
C02F11/00 J
B09B3/00 304K
B03C1/00 A
B03C1/00 B
B03C1/02 C
E21D9/12 C
【請求項の数】7
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-187487(P2013-187487)
(22)【出願日】2013年9月10日
(65)【公開番号】特開2015-54262(P2015-54262A)
(43)【公開日】2015年3月23日
【審査請求日】2016年2月1日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000001373
【氏名又は名称】鹿島建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100122781
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 寛
(74)【代理人】
【識別番号】100167597
【弁理士】
【氏名又は名称】福山 尚志
(74)【代理人】
【識別番号】100139000
【弁理士】
【氏名又は名称】城戸 博兒
(74)【代理人】
【識別番号】100165526
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 寛
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 圭二郎
(72)【発明者】
【氏名】川端 淳一
(72)【発明者】
【氏名】河合 達司
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 毅
【審査官】
▲高▼ 美葉子
(56)【参考文献】
【文献】
特開2014−073464(JP,A)
【文献】
特開2009−066471(JP,A)
【文献】
特開2011−056482(JP,A)
【文献】
特開2012−179549(JP,A)
【文献】
特開2012−120987(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C02F 11/00
B09B 1/00−5/00
E21D 1/00−9/00
C01G 49/00
B03C 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
密閉型シールド工法を用いたトンネル施工で発生し有害物質を含む建設汚泥を処理する処理方法であって、
前記建設汚泥を坑口側へ向かう所定の輸送経路で輸送する汚泥輸送工程と、
前記輸送経路上の所定の供給位置に鉄粉を供給し、前記建設汚泥に前記鉄粉を混合する鉄粉供給工程と、
前記所定の供給位置の下流側且つ前記トンネル内において、磁気分離によって前記建設汚泥から前記鉄粉を分離回収する磁気分離工程と、
前記磁気分離工程で分離回収した前記鉄粉を再び前記鉄粉供給工程に返送する鉄粉返送工程と、を備える建設汚泥の処理方法。
【請求項2】
前記所定の供給位置は、前記輸送経路の一部を構成するとともにシールドマシーンの切羽部から坑口側へ前記建設汚泥を輸送する排泥管である、請求項1に記載の建設汚泥の処理方法。
【請求項3】
前記排泥管は、スクリューコンベヤである、請求項2に記載の建設汚泥の処理方法。
【請求項4】
前記所定の供給位置は、前記輸送経路の一部を構成しているシールドマシーンの切羽部である、請求項1に記載の建設汚泥の処理方法。
【請求項5】
前記鉄粉供給工程では、前記鉄粉返送工程で返送された前記鉄粉とともに、新たな鉄粉を供給する、請求項1〜4の何れか1項に記載の建設汚泥の処理方法。
【請求項6】
前記磁気分離工程で前記鉄粉が除去された前記建設汚泥を、シールドマシーンの掘削面に供給する汚泥供給工程を備える、請求項1又は2に記載の建設汚泥の処理方法。
【請求項7】
前記鉄粉供給工程における鉄粉の供給量を、前記建設汚泥1m3に対して100kg以上とする、請求項1〜6の何れか1項に記載の建設汚泥の処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建設汚泥の処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
密閉型シールド工法を用いたトンネル施工において発生する建設汚泥には、揮発性有機化合物や重金属類等の有害物質が含まれており、これらを環境中に放出しないことが求められている。その具体策としては、従来、建設汚泥に過酸化水素溶液のような酸化剤を添加して揮発性有機化合物を浄化する方法(例えば特許文献1参照)、重金属類の不溶化剤を建設汚泥に添加する方法(例えば特許文献2参照)、及び、建設汚泥を長期間仮置きして重金属類を空気中の酸素と反応させ、重金属類を溶出し難い形態に変化させる方法(例えば非特許文献1参照)等が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012−82618号公報
【特許文献2】特開2009−66471号公報
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】門間聖子、森研一郎、堀修、野溝昌宏、“仙台市内に分布する竜の口層の重金属溶出特性について”、日本応用地質学会平成20年度研究発表会講演論文集、2008年、75〜76頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載された方法は、酸化剤により配管が腐食することを防止するため材質を高価なSUS等にする必要が生じ、コスト高となりやすい。また、酸化剤の中には劇物に指定されているものがあり、酸化剤が万が一漏洩した場合を想定すると、より安全な方法で処理することが望ましい。また、特許文献2に記載された方法は、不溶化剤の材料コストが高い傾向がある。更に、非特許文献1に記載された方法では、仮置きのための用地が必要であり、且つ、仮置き中の建設汚泥の飛散や有害物質の溶出を防止するために、対策設備が必要となることがある。
【0006】
そこで本発明は、低コストで安全性の高い建設汚泥の処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の建設汚泥の処理方法は、密閉型シールド工法を用いたトンネル施工で発生し有害物質を含む建設汚泥を処理する処理方法であって、建設汚泥を所定の輸送経路で輸送する汚泥輸送工程と、輸送経路上の所定の供給位置に鉄粉を供給し、建設汚泥に鉄粉を混合する鉄粉供給工程と、所定の供給位置の下流側において、磁気分離によって建設汚泥から鉄粉を分離回収する磁気分離工程と、を備える。
【0008】
この建設汚泥の処理方法によれば、輸送経路上に供給された鉄粉が建設汚泥に混合され、建設汚泥中の有害物質が鉄粉に吸着される。有害物質を吸着した鉄粉は、建設汚泥から磁気分離されるので、建設汚泥中から有害物質が除去される。この方法によれば、建設汚泥の仮置きのための用地や、仮置き中の建設汚泥の飛散や有害物質の溶出を防止する対策設備を省略することができ、低コストで安全性の高い建設汚泥の処理方法を提供することができる。
【0009】
ここで、「建設汚泥」とは、シールドマシーンによる掘削工事で生じる泥水又は泥土である。
【0010】
また、上記の所定の供給位置は、シールドマシーンの切羽部から坑口側へ建設汚泥を輸送する排泥管であることとしてもよい。この構成によれば、建設汚泥と鉄粉とが排泥管で流動しながら良く混合されるので、建設汚泥中の有害物質が効率的に鉄粉に吸着される。
【0011】
また、上記の所定の供給位置はシールドマシーンの切羽部であることとしてもよい。この場合、建設汚泥と鉄粉とが切羽部で流動しながら良く混合されるので、建設汚泥中の有害物質が効率的に鉄粉に吸着される。
【0012】
また、本発明の建設汚泥の処理方法は、磁気分離工程で分離回収した鉄粉を再び鉄粉供給工程に返送する鉄粉返送工程を備えることとしてもよい。この構成によれば、鉄粉の有害物質吸着能力が飽和するまで使用し続けることができるので、鉄粉の消費量を最小限に抑えることができる。
【0013】
本発明の建設汚泥の処理方法は、磁気分離工程で鉄粉が除去された建設汚泥を、シールドマシーンの掘削面に供給する汚泥供給工程を備えることとしてもよい。この構成によれば、切羽部を安定化させるための泥水として建設汚泥を再利用することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、低コストで安全性の高い建設汚泥の処理方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の建設汚泥の処理方法の第1実施形態が適用される施工中のトンネルの一例を示す断面図である。
【
図2】本発明の建設汚泥の処理方法に用いられる処理装置の一例を示す断面図である。
【
図3】本発明の建設汚泥の処理方法の第2実施形態が適用される施工中のトンネルの一例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の好適な実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、各図において同一部分又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
【0017】
(第1実施形態)
図1は、密閉型シールド工法を用いたトンネルの施工中の坑内に設置された建設汚泥の処理装置の概略構成図であり、図示左側が泥土圧式のシールドマシーン側を示し、図示右側が坑口側を示している。
【0018】
図1に示されるように、本実施形態の処理装置1は、シールドマシーン3により掘削して形成されたトンネルT内に設置される。処理装置1は、地面に設置するほか、シールドマシーン3の後続台車に載置してもよい。
【0019】
シールドマシーン3は、土壌を掘削する切羽部31と、切羽部31の後部に取り付けられた外筒32とを備えている。切羽部31は、シールドマシーン3の周方向へ回転して地盤の掘削を担うカッター33と、カッター33の背面側に設けられた隔壁34と、隔壁34の中心部に取り付けられカッター33を回転させるためのモータ35とを有している。カッター33と隔壁34との間に形成された空間は、掘削で発生する建設汚泥が溜まるチャンバ36として機能する。ここで、「建設汚泥」とは、前述したとおり、シールドマシーンによる掘削工事で生じる泥水又は泥土である。
【0020】
隔壁34の背面側には、チャンバ36に溜まった建設汚泥を密閉状態で後方に搬送するスクリューコンベヤ(排泥管)5が設けられており、当該スクリューコンベヤ5は、その先端部がチャンバ36の下端位置に配設され、斜め上後方に延びている。スクリューコンベヤ5の後端部は、泥土輸送配管L1に接続され、泥土輸送配管L1は、ポンプ等の輸送手段によって坑口側へ輸送される。上記のとおり、シールドマシーン3の切羽部31、スクリューコンベヤ5、及び泥土輸送配管L1は、建設汚泥をシールドマシーン側から坑口側へ輸送する輸送経路を構成している。
【0021】
シールドマシーン3の後方に位置する処理装置1は、鉄粉供給ラインL2を通じてスクリューコンベヤ(供給位置)5に対して鉄粉を供給する。スクリューコンベヤ5内の建設汚泥は、鉄粉供給ラインL2から投入された鉄粉と混合され、鉄粉を含む建設汚泥は、上記の泥土輸送配管L1を通じて処理装置1に導入される。詳細は後述するが、処理装置1では、導入された建設汚泥から鉄粉が分離回収され、鉄粉が除去された建設汚泥は搬送ラインL3を通じて坑口側へ輸送される。また、搬送ラインL3からは泥水供給ラインL4が分岐しており、搬送ラインL3から送出される建設汚泥の一部は、泥水供給ラインL4を通じて掘削面T1に供給され、切羽部31を安定化させるための泥水として再利用される。
【0022】
続いて、
図2を参照しながら処理装置1について説明する。処理装置1は、磁気分離装置6と鉄粉供給装置7とを備えている。磁気分離装置6は、磁界発生部9と、本体部10と含んで構成されている。磁界発生部9及び本体部10は、土台上に固定部材によって固定されている。磁界発生部9は、磁界(磁場)を発生させる部分である。磁界発生部9は、本体部10に当接して配置されており、超伝導電磁石を有して構成されている。磁界発生部9から発生される磁界は、本体部10の下側では強く、上側になるにつれて弱くなるように設定されている。磁界の強さは、制御装置(図示しない)によって適宜変更可能となっている。
【0023】
本体部10は、建設汚泥等を含むスラリーSを収容する筐体11を備えている。更に本体部10は、筐体11に設けられたベルト16、ウォータージェット17a,17b、及びブロア18と、を備えている。筺体11は、流入口13と、流出口14と、排出口15とを有している。流入口13は、泥土輸送配管L1に接続され、鉄粉が混入した建設汚泥を筺体11内に流入させる。流出口14は、流入口13の反対側に設けられ、泥水等を排出する。流出口14は、流入口13よりも上方に設けられているので、筺体11内部では、流出口14よりも上側には水が浸水しないようになっている。流出口14は、搬送ラインL3に接続されている。
【0024】
排出口15は、筺体11の底部に設けられており、スラリーSに含まれている土粒子等を筺体11内に堆積させないように排出する。排出口15には、バルブ(図示せず)が設けられており、そのバルブによって排出量の調整が可能となっている。なお、排出口15の排出量は、流出口14の排出量よりも少なくなくなるように設定されている。排出口15は、搬送ラインL3に接続されている。
【0025】
ベルト16は、磁界発生部9から発生される磁界によって磁化する直径2mm程度の磁性ワイヤによって、メッシュ(網目)状に形成されている。メッシュの間隔Dは、6mm程度に設けられている。このような構成により、ベルト16は、筐体11内のスラリーとの接触時に土粒子を通過させると共に、スラリーSの水圧に耐え得る強度を有している。ベルト16は、スラリーSの液面の上下に亘って架け渡された帯状の無端ベルトである。ベルト16は、筐体11内の上部に設けられた駆動ローラ16aと筐体11内の下部に設けられた従動ローラ16bと掛け渡されており、モータ(図示省略)を駆動源として回転する。
【0026】
ウォータージェット17a,17bは、ベルト16に対して水を噴射する。ウォータージェット17a,17bから噴射される水の圧力は、0.3Mpa程度である。ブロア18は、ベルト16から鉄粉を吸引することにより回収する。ブロア18には、ベルト16に接触する接触片が設けられており、ブロア18は、鉄粉を接触片によってベルト16から剥離しながら吸引して回収する。ブロア18の吸引力は、20kpa程度である。
【0027】
流入口13から鉄粉を含む建設汚泥が筺体11内に流入されると、磁化されたベルト16に鉄粉が付着する。そして、回転するベルト16に対し、スラリーの液面上方でウォータージェット17a,17bからの水が噴射され、鉄粉以外の土粒子がベルト16から除去(洗浄)される。ウォータージェット17a,17bによってベルト16から除去された土粒子、及び流入口13からの流入時に沈殿した土粒子は、流出口14又は排出口15から排出される。
【0028】
ウォータージェット17a,17bによって鉄粉以外の不純物が除去されたベルト16から、ブロア18によって鉄粉が吸引されることによって回収される。ブロア18の吸引位置では、磁界が比較的弱いため、ベルト16に付着した鉄粉をほぼ全て回収できる。ブロア18から回収された鉄粉は、鉄粉供給装置7に送出される。そして、鉄粉供給装置7は、鉄粉供給ラインL2を通じてスクリューコンベヤ5に鉄粉を供給する。なお、鉄粉供給装置7には、ブロア18からの鉄粉の他に、新たな鉄粉も別途供給される。
【0029】
続いて、上述した処理装置1で実行される建設汚泥処理方法及びその作用効果について説明する。ここでは、シールドマシーン3で掘削される土壌が重金属類等の有害物質を含んでおり、上記重金属類は、例えば、ヒ素、水銀、六価クロム、鉛、カドミウム及びフッ素からなる群より選ばれる少なくとも一種である。この処理方法は、次に説明する汚泥輸送工程、鉄粉供給工程、磁気分離工程、鉄粉返送工程、及び汚泥供給工程を備えている。
【0030】
(汚泥輸送工程)
図1に示されるように、シールドマシーン3の掘削によって発生した建設汚泥は、シールドマシーン3による掘削面T1、切羽部31、スクリューコンベヤ5、泥土輸送配管L1等で構成される輸送経路で、シールドマシーン3から坑口側へ輸送される。
【0031】
(鉄粉供給工程)
ここで、処理装置1の鉄粉供給装置7から鉄粉供給ラインL2を通じて、スクリューコンベヤ5に鉄粉が供給される。スクリューコンベヤ5内では、回転するスクリューに接触しながら建設汚泥が流動しているので、スクリューコンベヤ5内では鉄粉と建設汚泥とが攪拌され良く混合される。そうすると、鉄粉混合により建設汚泥中の土粒子表面の重金属類が鉄粉に吸着される。鉄粉の供給量は、建設汚泥1m
3に対して鉄粉100kg以上とすることが好ましい。
【0032】
建設汚泥中では重金属類は建設汚泥に混在する水中、又は土粒子表面に吸着されている。鉄粉を混合すると、まず水中の重金属類が鉄粉表面に吸着される。そして、水中の重金属類の除去に伴って土粒子表面に吸着している重金属類の水中への溶出が促され、溶出した重金属類はさらに鉄粉に吸着される。この繰り返しにより重金属類が鉄粉に吸着される。すなわち、建設汚泥中の有害物質である重金属類は、鉄粉に吸着されることで、土粒子から引き離される。
【0033】
(磁気分離工程)
鉄粉が混合された建設汚泥は、泥土輸送配管L1で更に下流側に搬送され、前述の磁気分離装置6に導入される。磁気分離装置6では、重金属類を伴う鉄粉が、建設汚泥から磁気分離され回収される。
【0034】
(鉄粉返送工程)
分離回収された鉄粉は、再利用のために鉄粉供給装置7に送られ、更に鉄粉供給ラインL2を通じてスクリューコンベヤ5に返送される。このように、鉄粉が繰り返し使用されることにより、鉄粉の吸着能力が飽和するまで使用し続けることができるので、鉄粉の消費量を最小限に抑えることができる。また、鉄粉を繰り返し再利用することから、鉄粉を過剰に投入したとしても無駄になることが避けられ、意図的に鉄粉を過剰に投入して短時間での処理ができるようになる。また、鉄粉を過剰に投入することで、一時的に建設汚泥中の有害物質濃度が想定外に高くなった場合でも,処理可能である。
【0035】
(汚泥供給工程)
磁気分離装置6の流出口14からは、重金属類が除去された土粒子を含む泥水が排出され、この泥水の一部は搬送ラインL3から分岐した泥水供給ラインL4を通じて掘削面T1に供給され、切羽部31を安定化させるための泥水として再利用される。重金属類を除去した泥水を掘削面T1に供給しているので、地盤中の有害物質を拡散させる可能性を低減することができる。なお、上記泥水の一部は搬送ラインL3を通じて坑外に排出される。坑外に排出された泥水及びその脱水ケーキについても、重金属類が適切に除去されているので、通常汚泥等として安価な処分が可能になる。
【0036】
以上のように、この処理装置1を用いた建設汚泥の処理方法によれば、建設汚泥の仮置きのための用地や、仮置き中の建設汚泥の飛散や有害物質の溶出を防止する対策設備を省略することができ、低コストで安全性の高い建設汚泥の処理方法を提供することができる。
【0037】
(第2実施形態)
図3に示されるように、本実施形態の処理方法では、鉄粉供給ラインL2による鉄粉の供給先を、シールドマシーン3の切羽部31とした点において、第1実施形態とは異なっている。具体的には、鉄粉供給ラインL2を通じてチャンバ36に鉄粉を供給してもよい。本実施形態の処理方法によれば、鉄粉と建設汚泥とが、切羽部31、スクリューコンベヤ5、及び泥土輸送配管L1を流動する間に、良く混合され、第1実施形態と同様の作用効果が奏される。
【0038】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限られるものではなく、各請求項に記載した要旨を変更しない範囲で変形したものであってもよい。例えば、本発明は、泥土圧式のシールドマシーンだけでなく、泥水圧式のシールドマシーンによるシールド工法にも適用することができる。また、建設汚泥から分離した鉄粉を再利用する前述の鉄粉返送工程や、建設汚泥を再利用する汚泥供給工程は、必ずしも実行する必要はない。また、第1実施形態では、鉄粉の供給先をスクリューコンベヤ5にしているが、他の排泥管(例えば、泥土輸送配管L1)の途中に鉄粉を供給してもよい。
【符号の説明】
【0039】
1…処理装置、3…シールドマシーン、5…スクリューコンベヤ(排泥管)、6…磁気分離装置、31…切羽部(輸送経路)、L1…泥土輸送配管(輸送経路)、L2…鉄粉供給ライン、L4…汚泥供給ライン、T1…掘削面。