(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記一方の端部を始点として前記他方の端部側に向かって延びる前記部位は、前記頂部と前記被取り付け部とを通って延びる直線を超える箇所まで達するように設けられていることを特徴とする請求項1に記載の缶蓋。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
図1は、本実施の形態が適用される飲料缶100の上面図である。この飲料缶100は、同図に示すように、上部に開口を有するとともに下部に底部を有し且つ筒状に形成された容器本体(缶胴)200と、容器本体200の開口に取り付けられこの開口を塞ぐ缶蓋300とを有している。なお、飲料缶100の内部には、清涼飲料、炭酸飲料、アルコール飲料などの飲料が収容されている。
【0009】
缶蓋300は、基板として機能し容器本体200に取り付けられる円盤状のパネル400を有している。また、缶蓋300には、ユーザにより操作されるタブ500が取り付けられている。タブ500は、ユーザによって一方の端部(図中、上端部)が操作されることで(持ち上げられることで)、パネル400のうちの予め定められた箇所(詳細は後述)に対して他方の端部(先端部)を押し付け、パネル400を押圧する。なお、本明細書では、タブ500の図中上端部を被操作部505と称し、タブ500の図中下端部を先端部510と称する。
【0010】
タブ500は、パネル400の中央部からずれた位置に設けられたリベット900によってパネル400に固定されている。付言すると、タブ500は、パネル400に対して偏心した状態で設けられたリベット900によってパネル400に固定されている。さらに、タブ500は、被操作部505と先端部510との間に位置する部位がリベット900によってパネル400に固定されている。
【0011】
なお、本実施形態では、タブ500が、パネル400の中央部からずれた位置に設けられたリベット900によってパネル400に固定されている場合を一例に説明するが、タブ500は、パネル400の中央部に設けられたリベット900によってパネル400に固定することもできる。また、本実施形態では、先端部510が円弧状に形成されたタブ500を例示するが、タブ500は、矩形状に形成することもでき、この場合は、タブ500の先端部510が直線状となる。
【0012】
図2の(A)〜(D)(タブ500を説明するための図)を参照し、タブ500についてさらに説明する。
なお、同図(A)はタブ500の正面図であり、同図(B)は同図(A)の矢印IIB方向からタブ500を眺めた場合の図である。また、同図(C)はタブ500の裏面を示した図である。また、同図(D)は、同図(A)の矢印IID方向からタブ500を眺めた場合の図である。
【0013】
タブ500は、同図(A)に示すように、板状に形成され且つ略矩形状に形成されたタブ本体部520を有している。なお、本実施形態では、同図(D)に示すように、このタブ本体部520の外周縁に対して曲げ加工(カール加工)が施され、タブ本体部520の外周縁が内側にカールした状態となっている。付言すると、タブ本体部520に四方に設けられている縁部には、カール部が形成されている。
【0014】
これにより、本実施形態では、タブ500の曲げ剛性が高められている。さらに、タブ500には、同図(A)に示すように、先端部510が設けられている側とは反対側(被操作部505側)に、ユーザの指が引っ掛けられる貫通孔(フィンガーホール)530が形成されている。また、タブ500には、先端部510側に、パネル400に設けられた突出部420(後述)が挿入される挿入孔540が形成されている。さらに、挿入孔540の周囲には、U字状に形成され且つタブ本体部520を貫通する貫通部560が設けられている。
【0015】
さらに、タブ本体部520の四方に設けられた4つのカール部のうち、タブ500の長手方向に沿って設けられたカール部には、第1スリット521が形成されている。また4つのカール部のうち、タブ500の長手方向に沿って設けられたもう一つのカール部には、第2スリット522が形成されている。さらに、タブ本体部520のうち、第1スリット521と第2スリット522との間に位置する部位には、タブ500の短手方向に沿う溝523が形成されている。
【0016】
ここで、第1スリット521、第2スリット522、溝523は、同一の直線上に設けられている。また、第1スリット521、第2スリット522、溝523は、タブ500の幅方向に沿って設けられている。また、第1スリット521、第2スリット522、溝523は、挿入孔540と貫通孔530との間に配置されている。ここで、本実施形態では、このように第1スリット521、第2スリット522、溝523が形成されており、これらが形成された部分の剛性(曲げ剛性)が低下している。
【0017】
このため、
図2(B)に示すように、タブ500の被操作部505側に荷重を加えるとタブ500が折れ曲がるようになる。なお、本実施形態では、第1スリット521と第2スリット522との間に溝523を形成してこの部分の剛性を低下させたが、このような溝に限らず、例えば曲げ加工を施すことで剛性を低下させることができる。また、溝523は必ずしも必要ではなく、溝523は省略することもできる。
【0018】
なお、
図2(B)にて示す矢印の方向と逆の方向に作用する荷重を被操作部505に加えた場合には(図中、左方向に作用する荷重を被操作部505に加えた場合には)、第1スリット521等によりタブ500が分割されることにより形成された、互いに対峙する2つの部位(タブ500のうち第1スリット521等の両脇に位置する部分)が、互いにぶつかり、タブ500の折れ曲がりが防止される。
【0019】
図3の(A)、(B)は、タブ500が取り付けられる前の缶蓋300を説明する図である。なお、同図(A)は正面図であり、同図(B)は同図(A)におけるIIIB−IIIB線における断面図である。
【0020】
図3(A)に示すように、本実施形態の缶蓋300は、円盤状に形成されたパネル400を備えている。このパネル400は、曲げ加工が施された外周縁410を有している。本実施形態では、この外周縁410と容器本体200(
図1参照)の上縁部(不図示)とが互いに接触した状態で、この外周縁410および上縁部に対し、いわゆる巻き締め加工が施される。これにより、缶蓋300(パネル400)が容器本体200の上縁部に固定される。
【0021】
さらに、缶蓋300には、タブ500がパネル400に固定される際に押しつぶされ、上述したリベット900(
図1参照)となる突出部(ニップル)420が形成されている。この突出部420は、パネル400の中心部CPから外れた箇所に設けられている。なお、本実施形態では、この突出部420が設けられている箇所を、タブ500の取り付けが行われる被取り付け部として捉えることができる。さらに、本実施形態では、パネル400の表面に、第1スコア線430が形成されている。
【0022】
第1スコア線430は、パネル400の表面に形成された溝により構成されており、パネル400の破断(後述)を誘導する役割を果たす。付言すると、第1スコア線430は、パネル400の破断が予定されている破断予定線として捉えることができる。さらに説明すると、第1スコア線430は、タブ500がパネル400を押圧することにより発生するパネル400の破断が、パネル400の予め定められた箇所に生じるように、この破断を促す役割を有する。
【0023】
ここで、第1スコア線430には、U字状に形成されたU字状部430Aと、このU字状部430Aに接続された直線部430Bとが設けられている。
U字状部430Aは、パネル400の中心部側からパネル400の外周縁410側に向かって膨らむように形成され、パネル400を正面から眺めた場合の形状がU字状となっている。さらに、U字状部430Aは、パネル400の中心部CP側に一端部431および他端部432を有し、パネル400の外周縁410側に頂部433Aを有する。
【0024】
直線部430Bは、U字状部430Aの一端部431に接続され、さらに、一端部431との接続部を始点として、U字状部430Aの他端部432に向かって延びるように形成されている。付言すると、直線部430Bは、一端部431との接続部を始点として、U字状部430Aの他端部432側に向かうように形成されている。さらに、直線部430Bは、図中左側に位置し一端部431に接続された左端部491と、図中右側に位置し他端部432の近くに配置された右端部492とを有する。
【0025】
なお、本実施形態では、U字状部430Aの他端部432、および、直線部430Bの右端部492がカールしており、他端部432を超えてのパネル400の破断、および、右端部492を超えてのパネル400の破断が抑制されるようになっている。このようにカールをしておらず、直線状に形成されている場合、他端部432を超えた箇所、また、右端部492を超えた箇所にて、パネル400が裂け、パネル400の破断が生じるおそれがある。付言すると、他端部432の図中上方にて、また、右端部492の図中右方にて、パネル400の破断が生じるおそれがある。
【0026】
U字状部430Aの一端部431は、タブ500の中心線CL(タブ500の長手方向に沿った中心線)(
図1も参照)を挟んで相対する二つの領域のうちの一方の領域(図中、左側の領域)側に配置されている。一方、他端部432は、中心線CLを挟んで相対する二つの領域のうちの他方の領域(図中、右側の領域)側に配置されている。また、本実施形態では、タブ500の中心線CLを対称軸として線対称となるように、U字状部430Aが形成されている。
【0027】
さらに、本実施形態では、直線部430Bの右端部492と、U字状部430Aの他端部432とが、互いに離れた状態で設けられており、これにより、右端部492と他端部432との間に、第1スコア線430が形成されていない不連続部が設けられている。この不連続部が設けられることによって、後述する舌片部がパネル400から離脱せず、舌片部がパネル400に取り付いたままの状態となる。なお、本実施形態では、タブ500の中心線CLは、
図3に示すように、パネル400の中心部CPと、パネル400に形成された突出部420とを通過する。
【0028】
また、本実施形態では、上記中心線CLと直交する仮想線(タブ500が延びる方向である一方向と直交する仮想線)であって突出部420(リベット900)を通る第1仮想線KL1を想定した場合に、上記一端部431および他端部432は、この第1仮想線KL1よりもパネル400の中心部CP側に位置する。
また、本実施形態では、
図3に示すように、中心線CLと直交する仮想線であってパネル400の中心部CPを通る第2仮想線KL2を挟んで相対する2つの領域のうちの一方の領域内に頂部433Aが位置し、他方の領域内に一端部431および他端部432が位置する。
【0029】
さらに、リベット900となる突出部420は、パネル400のうちの第1スコア線430により囲まれている部位に設けられている。また、U字状部430Aには、
図3に示すように湾曲部433が設けられている。この湾曲部433は、パネル400の外周縁410側に膨らみ、また、突出部420よりもパネル400の外周縁410側を通る。また、湾曲部433は、中心線CLと交わる箇所に頂部433Aを有する。
【0030】
本実施形態では、ユーザによりタブ500が操作されることで、第1スコア線430により囲まれた領域がタブ500により押圧され、第1スコア線430が形成されている箇所にてパネル400が破断する(詳細は後述)。これにより、第1スコア線430が形成されている領域が舌片状となり、且つ、この領域が飲料缶100の内部に向かって折れ曲がる。これにより、飲料缶100に、飲み口としての役割を果たす開口が形成される。
なお、本明細書では、以下、第1スコア線430にて生じる破断により形成される上記舌片状の部位を舌片部と称する場合がある。
【0031】
さらに、本実施形態では、パネル400の表面に、第2スコア線450が形成されている。この第2スコア線450も、パネル400の表面に形成された溝により構成されており、パネル400の破断を誘導する役割を果たす。第2スコア線450は、第1仮想線KL1を挟み相対する2つの領域のうちの、頂部433A(U字状部430Aの頂部433A)が設けられている領域内に設けられている。
【0032】
また、第2スコア線450は、一端部451および他端部452を有している。ここで第2スコア線450の他端部452は、第1スコア線430に設けられた湾曲部433に接続されている。このため、本実施形態では、第1スコア線430と第2スコア線450とが接続する箇所にて、スコア線が分岐する。
【0033】
第2スコア線450の他端部452は、第1スコア線430の湾曲部433のうちの中心線CLと第1仮想線KL1との間に位置する部位に対して接続されている。さらに説明すると、第2スコア線450の他端部452は、第1スコア線430のうちの頂部433Aと他端部432との間に位置する部位に接続されている。また、第2スコア線450の他端部452は、第1スコア線430のうち、頂部433Aが設けられている箇所以外の箇所に接続されている。
【0034】
さらに説明すると、第1スコア線430と第2スコア線450との接続部は、中心線CLとU字状部430Aとが交差する交差箇所KP以外の箇所に設けられている。また、本実施形態では、第2スコア線450は、第1スコア線430との接続部から、第1スコア線430により囲まれている領域内に向かうように設けられている。
【0035】
また、本実施形態では、中心線CLと直交する関係で配置された第1仮想線KL1よりも上記交差箇所KPが設けられている側に、第1スコア線430と第2スコア線450との接続部が設けられている。また、本実施形態では、中心線CLと直交する関係で配置された第1仮想線KL1よりも領域RAが位置する側に、第1スコア線430と第2スコア線450との接続部が設けられている。付言すると、本実施形態では、パネル400のうちの領域RAの部分がタブ500により押圧されるが、第1仮想線KL1よりも、この押圧される部分が位置する側に、第1スコア線430と第2スコア線450との接続部が設けられている。
【0036】
また、本実施形態では、第1スコア線430と第2スコア線450との接続部と、U字状部430Aの一端部431との距離の方が、接続部とU字状部430Aの他端部432との距離よりも大きくなっている。さらに説明すると、U字状部430Aの一端部431と上記接続部との間に位置する部位の長さの方が、U字状部430Aの他端部432と上記接続部との間に位置する部位の長さよりも大きくなっている。
【0037】
なお、本実施形態では、パネル400の中央部側から図中右下方向に向かうように第2スコア線450が形成されている場合を説明したが、第2スコア線450は、図中左下方向に向かうように形成してもよい。この場合、第2スコア線450は、U字状部430Aの頂部433Aと一端部431との間に位置する部位に接続される。
【0038】
さらに、第2スコア線450の一端部451は、突出部420の近傍に設けられている。また、第2スコア線450の一端部451は、中心線CLを挟んで相対する2つの領域のうちの一方の領域側に配置され、第2スコア線450の他端部452は、この2つの領域のうちの他方の領域側に配置されている。さらに、第2スコア線450は、他端部452から突出部420に向かう直線部453を有する。また、直線部453に接続されるとともに円柱状に形成された突出部420との間に距離を有して配置され且つ突出部420の外周縁に沿うように形成された湾曲部454を有する。
【0039】
第2スコア線450の湾曲部454は、突出部420とU字状部430Aとの間に形成されている。詳細には、U字状部430Aの頂部433Aと突出部420との間に形成されている。付言すると、中心線CL上において、突出部420とU字状部430Aとの間に、第2スコア線450の湾曲部454が配置されている。
【0040】
また、湾曲部454は、パネル400のうちのタブ500により押圧される領域RAと突出部420との間を通過するように設けられている。付言すると、本実施形態では、上記領域RAよりも突出部420(リベット900)が設けられている側を通るように、第2スコア線450が設けられるとともに、この第2スコア線450は、領域RAと突出部420との間を通過するように設けられている。
【0041】
また、第2スコア線450の湾曲部454は、中心線CLと交差するように設けられている。さらに説明すると、本実施形態における第2スコア線450は、領域RAと突出部420との間を通過した後、中心線CLと交差する方向に沿って進行し、第1スコア線430のU字状部430Aに接続される。
【0042】
さらに説明すると、中心線CLと交差する方向に沿って且つU字状部430Aに向かって進行する第2スコア線450は、領域RAの脇を通過する。また、第2スコア線450は、領域RAと突出部420との間を通過した後、第1仮想線KL1から次第に離れるように進行し、U字状部430Aに接続される。
【0043】
更に、本実施形態では、パネル400に対して金型が押し当てられて凹みが形成されるエンボス加工が施され、パネル400には、凹溝70が形成されている。ここで、この凹溝70は、
図3(B)に示すように、缶蓋300の裏面側(飲料缶100の内部側)にパネル400の一部が突出するように形成されている。
【0044】
なお、このように、缶蓋300の裏面側(飲料缶100の内部側)に突出するように凹溝70が形成される場合、この凹溝70内に塵やほこりなどが溜まるおそれがある。このため、本実施形態では、
図1に示すように、凹溝70を、タブ500の背後に位置させ、タブ500によって凹溝70を覆うようにしている。これにより、凹溝70が露出している場合に比べ、凹溝70内に塵やほこりが溜まることが抑制されるようになる。
【0045】
また、凹溝70は、
図3(A)に示すように、突出部420(リベット900)を囲むように形成されている。さらに、凹溝70は、第2スコア線450の終端である一端部451を囲むように形成されている。付言すると、本実施形態の凹溝70は、ほぼ環状に形成されており、このように環状に形成された凹溝70の内側に、突出部420および第2スコア線450の一端部451が配置されている。
【0046】
ここで、凹溝70についてさらに詳細に説明する。
凹溝70は、
図3(A)に示すように、一端71および他端72を有している。
さらに、上記では説明を省略したが、本実施形態では、第1スコア線430によって囲まれた領域が、第2スコア線450によって分割されており、第2スコア線450よりも図中左下側に、第1領域81が位置し、第2スコア線450よりも図中右上側に、第2領域82が位置している。そして、本実施形態では、第1領域81内に凹溝70の一端71が位置し、第2領域82内に凹溝70の他端72が位置する構成となっている。
【0047】
さらに、本実施形態では、第2スコア線450は、他端部452については第1スコア線430に接続されているが、一端部451については第1スコア線430に接続されておらず、この一端部451と第1スコア線430との間には、スコア線が形成されていない非形成領域NEが設けられている。そして、本実施形態では、凹溝70が、この非形成領域NEを通過する形で設けられている。付言すると、凹溝70は、一端71を始点とした場合に他端72に向かうように形成されているが、この際、凹溝70は、上記非形成領域NEを通過する。
【0048】
凹溝70について更に説明すると、凹溝70には、タブ500の中心線CLが延びる方向と直交する方向に沿って延び、且つ、第1スコア線430の直線部430Bと突出部420との間を通過する第1直線部73が設けられている。さらに、この第1直線部73の図中右端部に接続され、この右端部との接続部から図中下方(第2スコア線450)に向かって延びる第2直線部74が設けられている。
【0049】
さらに、第1直線部73の図中左端部に接続され、左端部との接続部から図中下方(U字状部430Aの湾曲部433)に向かって延びる第3直線部75が設けられている。さらに、第3直線部75の図中下端部に接続され、第3直線部75との接続部から、第2直線部74の図中下端部に向かって延びる曲線部76が設けられている。この曲線部76は、曲率を有して形成され且つパネル400の外周縁410側に向かって膨らむように形成されている。
【0050】
ここで、
図4の(A)〜(F)(タブ500が操作された際の缶蓋300の状態を示した図)を参照し、タブ500が操作された際の缶蓋300の状態について説明する。なお、
図4(A)〜(F)の各々では、缶蓋300を正面から眺めた場合の缶蓋300の状態、および、缶蓋300を側方から眺めた場合の缶蓋300の状態の二つの状態を図示している。また、
図4(A)〜(F)の各々では、凹溝70の図示を省略している。
【0051】
本実施形態では、タブ500の被操作部505(後端部)がユーザにより持ち上げられると、タブ500の先端部510が、第2スコア線450の湾曲部454と、第1スコア線430(U字状部430A)の頂部433Aとの間に位置する領域RA(
図3参照)を押圧する。付言すると、本実施形態では、タブ500の被操作部505(後端部)がユーザにより持ち上げられると、リベット900よりも頂部433A側に位置する領域RAがタブ500により押圧される。そして、領域RAがタブ500により押圧されると、まず、この領域RAとリベット900(突出部420)との間を通過するように設けられた第2スコア線450の湾曲部454にて、パネル400が破断する(
図4(B)参照)。
【0052】
その後、第2スコア線450に沿ってパネル400の破断が進行し、
図4(C)に示すように、第1スコア線430と第2スコア線450との接続部まで、パネル400が破断する。
なお、本実施形態では、第2スコア線450に沿ってパネル400の破断が進行する際、第1スコア線430と第2スコア線450との接続部に向かう方向のみではなく、この向かう方向とは反対方向にもパネル400の判断が進行する。付言すると、
図4(C)にて矢印4aに示す方向へも、パネル400の破断が進行する。
【0053】
ところで、本実施形態では、
図4(C)に示すように、第2スコア線450の一端部451に対して、カールが付与されており、この一端部451を超えてのパネル400の破断は抑制され、この一端部451にてパネル400の破断が停止するようになる。
【0054】
なお、仮に、一端部451を超えてパネル400が破断しても、本実施形態では、
図3(A)に示すように、第2スコア線450の延長線上に(非形成領域NEが位置する箇所に)、凹溝70が位置しており、この凹溝70によってパネル400の破断の進行が抑制される。付言すると、本実施形態では、
図3(A)に示すように、第2スコア線450の一端部451の周囲に、凹溝70が位置しており、一端部451を超えてパネル400の破断が起きても、凹溝70によって、この破断の進行が抑制される。
【0055】
図4(D)を参照し、パネル400の状態をさらに説明する。
第1スコア線430と第2スコア線450との接続部までパネル400の破断が進行すると、本実施形態では、
図4(D)に示すように、接続部からU字状部430Aの一端部431に向かうパネル400の破断、および、接続部からU字状部430Aの他端部432に向かうパネル400の破断がさらに進行する。
【0056】
その後、本実施形態では、ユーザによって、飲料缶100の内部方向に向けてタブ500が押し込まれる。これにより、
図4(E)に示すように、U字状部430Aの一端部431および他端部432までパネル400の破断がさらに進行する。さらに、直線部430Bに沿ってのパネル400の破断が進行する。
これにより、第1スコア線430により囲まれていた領域が舌片部となる。また、舌片部の根元(直線部430Bの右端部492(
図3(A)参照)とU字状部430Aの他端部432との間に位置する箇所)にて、舌片部は折り曲げられ、舌片部は飲料缶100の内部に進入する。これにより、缶蓋300には、飲み口として機能する開口が形成された状態となる。
【0057】
なお、本実施形態では、この舌片部に、リベット900(突出部420)が設けられた構成となっており、これにより、形成される開口(飲み口)をより大きなものとすることができるようになる。通常の缶蓋では、リベットが設けられている箇所を外した箇所に開口が形成されるため、リベットがあると、このリベットの分、開口を小さくする必要が生じる。本実施形態では、リベットが設けられている箇所も開口とすることができ、開口をより大きなものとすることができる。
【0058】
図4(F)を参照し、缶蓋300の状態について説明する。
開口が形成された後、ユーザによりタブ500がさらに操作される。具体的には、タブ500を戻す操作が行われ、
図4(F)に示すように、タブ500の被操作部505側が折れ曲がる。これにより、タブ500の被操作部505側が缶蓋300のパネル400に沿うようになる。この場合、被操作部505側の突出がなくなり、ユーザは、被操作部505が突出している場合に比べ、内部の飲料を飲みやすくなる。
【0059】
ここで、本実施形態では、このようにタブ500が折れ曲がることで、タブ500の先端部510が飲料缶100の内部に入り込んだ状態が維持される。付言すると、起こしたタブ500をパネル400に沿うように寝かしたとしても、タブ500の被操作部505側だけが折れ曲がるので、タブ500の先端部510が飲料缶100の内部に入り込んだ状態が維持される。これにより、形成された開口がタブ500の先端部510により塞がれることが抑制され、開口がより大きなものとなる。
【0060】
なお、本実施形態では、折れ曲がるタブ500を一例に説明したが、折れ曲がりが生じないタブ500を用いることも当然可能である。なお、折れ曲がりが生じないタブ500を用いる場合は、タブ500の被操作部505の突出量を小さくすることが望ましい。付言すると、
図1にて、符号1Aで示す部分を小さくすることが好ましい。
折れ曲がりが生じないタブ500を用いる場合は、タブ500の被操作部505がパネル400の表面から突出した状態で内部の飲料が飲まれることが想定されるが、被操作部505の突出量を小さくしておくと、突出量が大きい場合に比べ、ユーザは、内部の飲料を飲みやすくなる。
その他、
図3(A)にて、突出部420(リベット900)を通る第1仮想線KL1と直線部430Bの距離を大きくすることにより、タブ500が缶内に深く侵入するため、被操作部505の突出量を小さくすることができる。
【0061】
ここで、第1スコア線430および第2スコア線450にて生じるパネル400の破断について、
図5−1(パネル400の破断を説明するための図)を参照し更に説明する。
本実施形態では、上記のとおり、タブ500の被操作部505がユーザにより持ちあげられると、第2スコア線450の湾曲部454と第1スコア線430(U字状部430A)の頂部433Aとの間に位置する領域RA(
図3(A)参照)がタブ500により押圧される。これにより、まず、第2スコア線450の湾曲部454にてパネル400が破断する。
【0062】
その後、第2スコア線450に沿ってパネル400の破断が進行し、第1スコア線430と第2スコア線450との接続部まで、パネル400が破断する。その後、第1スコア線430にてパネル400が破断する。具体的には、
図5−1に示すように、第1スコア線430のうち、符号4Cで示す領域にて、パネル400の破断が生じるようになる。
【0063】
詳細に説明すると、本実施形態では、領域RAにタブ500が押し付けられ、領域RAが飲料缶100の内部方向に押圧されるが、このとき、タブ500によって、飲料缶100の外側方向に(
図5−1における紙面の手前側方向に)、突出部420が引っ張られる。これにより、飲料缶100の外側方向に、
図5−1にて符号4Bで示す部位が引っ張られる。なお、本明細書では、以下、この符号4Bで示す部位を「引っ張り部位4B」と称する。
【0064】
この結果、符号4Cで示す領域に対しせん断力が作用し、この符号4Cで示す領域にて、パネル400が破断する。付言すると、第1スコア線430のうち、接続部よりも他端部432側に位置する部位にて、パネル400が破断する。なお、このように、接続部よりも他端部432側に位置する部位にて、パネル400が破断すると、引っ張り部位4Bがパネル400から浮き、これに伴い、タブ500も、当初の位置から上方(パネル400から離れる方向)に向かって移動するようになる。
【0065】
また、本実施形態では、領域RAに対するタブ500の押し付けが継続され、この押し付けによって、パネル400のうちの符号4Aで示す部位(以下、この部位を「押し付け部位4A」と称する)が、飲料缶100の内部方向に向けて押圧される。これにより、符号4Dで示す領域に対しせん断力が作用し、この符号4Dで示す領域にて、パネル400が破断する。付言すると、U字状部430Aのうち、接続部よりも一端部431側に位置する部位にて、パネル400が破断する。
【0066】
なお、本実施形態では、上記のとおり、凹溝70(
図5−1では不図示)が設けられており、これにより、凹溝70が設けられていない場合に比べ、タブ500による領域RA(押し付け部位4A)の押圧がより確実に行われるようになっている。付言すると、本実施形態では、符号4Dで示す領域に対しせん断力を作用させる際に、タブ500による領域RAの押圧がより確実に行われるようになる。
【0067】
ここで、本実施形態では、上記のとおり、符号4Cで示す領域にてパネル400が破断すると、引っ張り部位4Bが浮くようになるが、凹溝70が設けられていると、引っ張り部位4Bの、パネル400からの浮き量が小さくなる。付言すると、凹溝70が設けられていると、パネル400のうちの第1スコア線430により囲まれた領域の曲げ剛性が高まるため、この囲まれた領域は変形しにくくなり、これにより、引っ張り部位4Bのパネル400からの浮き量は小さくなる。
【0068】
そしてこの場合、タブ500による領域RAの押圧がより確実になされるようになる。付言すると、引っ張り部位4Bのパネル400からの浮き量が小さくなると、タブ500の先端部510が領域RAから大きく離れてしまうことが抑制され、先端部510から領域RAに対して作用する荷重の低減が抑制される。そして、この場合、符号4Dで示す領域にて、パネル400の破断がより確実に生じるようになる。
【0069】
図1を見た場合、タブ500の被操作部505がユーザにより持ち上げられると、リベット900を支点として先端部510がパネル400上の領域RAを押圧し開口が形成される。これを、
図5−1で見た場合、リベット900である突出部420は引っ張り部位4Bの領域内にあり、領域RAは押し付け部位4Aの領域内にある。
開口のため被操作部505が持ち上げられると、先端部510は押し付け部位4Aを押し下げるようになり、リベット900は引っ張り部位4Bを浮かせるようになる。このため、開口の過程では、押し付け部位4Aと引っ張り部位4Bは互いに異なる方向に移動することになる。
一方、開口は先端部510の押圧により進行するため、先端部510のパネル400に対する進行量(押し込み量)はリベット900と先端部510との距離が限度となる。これにより、引っ張り部位4Bの浮き量が大きくなると、タブ500を引き起こしたときリベット900が大きく浮き上がり、タブ500の先端部510が領域RAを押圧することができなくなる恐れがある。そのため、引っ張り部位4Bの浮き量は小さいことが望ましくなる。
【0070】
ここで、凹溝70が形成されておらず引っ張り部位4Bが浮きやすいと、タブ500の先端部510がパネル400から離れ、この場合、パネル400に対し、タブ500からの荷重が作用しにくくなる。そして、この場合、符号4Dで示す領域におけるパネル400の破断が生じにくくなる。
【0071】
なお、本実施形態では、上記のとおり、缶蓋300の裏面側(飲料缶100の内部側)にパネル400の一部が突出する状態で、凹溝70が形成されている。ここで、例えば、缶蓋300の表面側(飲料缶100の外部側)にパネル400の一部が突出する状態で、凹溝70が形成されていると、飲料缶100の輸送時等に、開口が形成されやすくなってしまうおそれがある。
【0072】
ここで、輸送時などでは、内容物が充填された飲料缶100が重ねられることがあり、この場合、上に位置する飲料缶100によって、下に位置する飲料缶100のタブ500が押圧されるおそれがある。このような場合にて、缶蓋300の表面側にパネル400の一部が突出する状態で、凹溝70が形成されていると、凹溝70がタブ500により押圧され、これに伴い、パネル400の破断が生じてしまうおそれがある。
一方で、本実施形態のように、缶蓋300の裏面側にパネル400の一部が突出する状態で、凹溝70が形成されていると、タブ500による凹溝70の押圧がなされなくなり、パネル400の破断が生じにくくなる。
【0073】
また、本実施形態では、同様の理由で、エンボスビードを省略した構成としている。ここで、エンボスビードとは、エンボス加工によって形成された、缶蓋300の表面側(飲料缶100の外部側)に突出する凸部である。そして、このエンボスビードは、通常、タブ500の先端部510により押圧される箇所に設置される。
【0074】
ここで、エンボスビードを設けた場合、パネル400に対するタブ500の角度がより小さい状態のときに、タブ500によるパネル400の押圧が開始される。そして、この場合、舌片部を飲料缶100のより奥まで押し込めるようなり、形成される開口がより大きなものとなる。
【0075】
ところで、このようなエンボスビードを設けた場合、缶蓋300の表面側に凸となるように凹溝70が形成された場合と同様、飲料缶100の輸送時などに、開口が形成されやすくなってしまう。一方で、本実施形態のように、エンボスビードを省略した構成とした場合は、このような意図しない開口の形成が起きにくくなる。
【0076】
図5−1を再び参照し、パネル400の破断についてさらに説明する。
符号4Dで示す領域までパネル400の破断が生じた後、本実施形態では、ユーザによって、飲料缶100の内部方向に向けてタブ500が押し込まれる。これにより、第1スコア線430にてパネル400の破断がさらに生じる。具体的には、図中符号4Eで示す領域、および、図中符号4Fで示す領域の二つの領域にて、パネル400が破断する。さらに、図中符号4Gで示す領域(直線部430Bの設置箇所)においてもパネル400の破断が生じる。
【0077】
さらに、本実施形態では、舌片部の根元(直線部430Bの右端部492と、U字状部430Aの他端部432との間に位置する箇所)にて舌片部が折れ曲がる。これにより、舌片部が飲料缶100の内部に進入し、飲料缶100に開口が形成される。
【0078】
ここで、本実施形態では、U字状部430Aに接続して直線部430Bが設けられているため、U字状部430Aからのパネル400の破断が継続して直線部430Bのパネル400の破断へ繋がり、舌片部の形成を容易にし、さらに舌片部の折り曲げを行う際のタブ500の操作荷重が小さくなる。
ここで、直線部430Bが設けられておらず、U字状部430Aのみが形成されている場合、パネル400の折り曲げを要する領域が大きくなり、タブ500の操作荷重が大きくなりやすい。
【0079】
特に本実施形態の構成では、タブ500の取り付け箇所が舌片部となっており、梃子の原理を利用しての舌片部の押圧は難しい。付言すると、
図5−1にて符号5Aで示す箇所など、第1スコア線430よりも外側にタブ500の取り付け箇所がある場合には、梃子の原理を利用できるが、本実施形態のように、舌片部に対してタブ500が取り付けられていると、梃子の原理を利用できなくなる。そして、このように梃子の原理が利用できない場合、タブ500の操作荷重が大きくなりやすい。一方で、本実施形態では、直線部430Bが設けられているために、曲げを要する部分が減じられ、これにより、タブ500の操作荷重が大きくなることが抑制される。
【0080】
なお、上記では説明を省略したが、本実施形態の直線部430Bは、
図3(A)に示すように、U字状部430Aの一端部431との接続箇所を始点した場合に、タブ500の中心線CLを超える箇所まで達するように設けられている。付言すると、直線部430Bは、U字状部430Aの頂部433Aと、突出部420(タブ500の取り付け箇所)とを通って延びる直線を超える箇所までその一部が達するように形成されている。
この場合、タブ500の中心線CLを超える箇所まで直線部430Bが達していない構成に比べ、舌片部のうちの曲げを要する領域を小さくでき、タブ500の操作荷重を小さくできるようになる。
【0081】
また、本実施形態では、
図3(A)に示すように、第1仮想線KL1や第2仮想線KL2と直線部430Bとが平行となるように、直線部430Bを設けた場合を一例に説明したが、第1仮想線KL1や第2仮想線KL2に対し、直線部430Bが傾斜した状態となるように、直線部430Bを設けてもよい。また、本実施形態では、直線部430Bを直線状に形成した場合を一例に説明したが、この直線部430Bの一部や全体に曲率を付与したりするようにしてもよい。
【0082】
また、本実施形態では、第1スコア線430にてパネル400の破断が生じる際、上記にて説明したとおり、また、
図5−1にて示したとおり、まず、接続部よりも他端部432側(符号4Cで示す領域)にてパネル400の破断が生じ、次いで、接続部よりも一端部431側(符号4Dで示す領域)にてパネル400の破断が生じる。これにより、本実施形態では、ユーザがタブ500を操作する際の操作荷重が小さくなる。
【0083】
ここで、例えば、接続部よりも一端部431側および接続部よりも他端部432側の両側にて同時に、パネル400の破断が生じる場合、二箇所にて同時にパネル400の破断が生じるようになる。かかる場合、タブ500に対し、二箇所の破断に要する操作荷重を加える必要が生じ、タブ500の操作荷重が大きくなる。
【0084】
一方で、本実施形態では、接続部よりも他端部432側にてパネル400の破断がまず生じ、次いで、接続部よりも一端部431側にてパネル400の破断が生じる。この場合、タブ500に対し、一箇所の破断に要する操作荷重を加えるだけですみ、二箇所で同時にパネル400が破断する場合に比べ、タブ500の操作荷重が小さくなる。
【0085】
さらに、本実施形態では、中心線CL上から外れた箇所に、上記接続部を設けることで、タブ500の操作荷重を小さくしている。ここで、例えば、上記接続部が中心線CL上に位置している場合、接続部から一端部431に向かってのパネル400の破断、および、接続部から他端部432に向かってのパネル400の破断が同じタイミングで発生しやすくなる。かかる場合、二箇所で且つ同時にパネル400の破断が発生する状態となり、一箇所でパネル400の破断が発生する場合に比べ、タブ500の操作荷重が大きくなる。
【0086】
また、本実施形態では、第1スコア線430と第2スコア線450との接続部が中心線CL上にないため、押し付け部位4Aと引っ張り部位4Bが互いに異なる方向に移動し開口が形成される。これに対し、
図5−2(缶蓋300の他の形態を示した図)に示すように、第1スコア線430と第2スコア線450との接続部が中心線CL上にある場合、パネル400上の二つの領域が、タブ500の先端部510によって同時に押圧されるようになる。
【0087】
ここで、
図5−2に示すように、第2スコア線450により分割される第1スコア線430内の領域を4X、4Yとする。このとき、タブ500(点線)の長手方向は中心線CLに沿うように付設されるため、タブ500の先端部510の裏側に部位4Xおよび部位4Yが位置するようになる。このため、タブ500の操作により先端部510が押圧するパネル400上の部位は、4Xおよび4Yとなる。なお、以下、これらの部位を押しつけ部位4Xおよび押しつけ部位4Yとよぶ。
【0088】
図5−2に示す形態にて、タブ500を操作すると、最初に湾曲部454からパネル400の破断が開始する。その後、パネル400の破断は、第2スコア線450を経由して第1スコア線430上の接続部に到達する。接続部に到達した後、第1スコア線430によるパネル400の破断は、押し付け部位4Xと押し付け部位4Yの二箇所同時に進行する。つまり、接続部以降のパネル400の破断は、先端部510が押し付け部位4Xと押し付け部位4Yの二箇所を同時に押圧してパネル400の破断を進行させることになる。そのため、一箇所を押圧する場合に比べ、タブ500の操作荷重は大きくなる。
【0089】
一方、本実施形態は、タブ500の先端部510が押圧する部位は押し付け部位4Aの一箇所のみである。このとき、引っ張り部位4Bにかかる荷重は、先端部510がパネル400を押圧する荷重の反力として突出部420(リベット900)が受ける荷重であり、引っ張り部位4Bのために新たな外力を必要としていない。そのため、本実施形態の場合、タブ500は押し付け部位4Aの一箇所のパネル400の破断に要する操作荷重を加えるだけで済み、接続部が中心線CL上にある場合に比べタブ500の操作荷重は小さくなる。
【0090】
ここで、パネル400の形成される凹溝70について検討する。
図3では、開口形成により缶内に侵入するパネル400の部位は、第1スコア線430で囲まれた領域である。このとき、第1スコア線430で囲まれた領域は、第2スコア線450により、押し付け部位4Aと引っ張り部位4B(
図5−1参照)とに分かれ、互いに相反する方向に移動して開口が形成される。このとき、引っ張り部位4Bの移動量は少ないことが望ましい。そのため、凹溝70がない場合に比べ、凹溝70がある場合の方が、押し付け部位4Aおよび引っ張り部位4Bの曲げ剛性が向上するため、凹溝70があることが望ましくなる。
【0091】
なお、上記では説明を省略したが、本実施形態では、
図3、
図5−1に示すように、直線部430Bの右端部492と、U字状部430Aの他端部432との間に位置する領域に(舌片部の根元となる部分に)、溝600(スコア線のような破断を促す溝ではなく曲げを容易にする溝(スコア線より浅く且つ幅広の溝など))が設けられている。
この溝600は、右端部492が設けられている側から他端部432が設けられている側に向かうように形成されている。これにより、本実施形態では、舌片部の曲がりがさらに生じやすくなっている。なお、溝600は必ずしも必要ではなく溝600は省略することもできる。また、溝600は直線状に限らず曲率を付与して形成してもよい。
【0092】
なお、直線部430Bを設けずに、溝600を延長し、一端部431と他端部432との間に溝600を設ける態様も考えられる。ところで、この場合は、第1スコア線430に沿って、一端部431および他端部432まで進行してきたパネル400の破断が、この一端部431および他端部432まで達した際に停止し、一端部431と他端部432との間では、パネル400の破断が生じないようになる。このような場合、溝600を全く設けない場合に比べれば、タブ500の操作荷重が小さくなるが、直線部430Bを設ける場合に比べると、タブ500の操作荷重が大きくなってしまう。
【0093】
また、本実施形態では、上記のとおり、領域RAと突出部420との間を通過するように第2スコア線450が設けられている場合を例示したが、第2スコア線450の配置態様はこのような態様に限られない。例えば、
図6(缶蓋300の他の構成例を示した図)に示すように、領域RAと突出部420との間を通過しない第2スコア線450を設けることもできる。さらに、第2スコア線450の形状も特に限定されず、第2スコア線450に曲率を付与するようにしてもよい。
【0094】
図7は、缶蓋300の他の構成例を示した図である。
上記にて説明した実施形態では、U字状部430Aの一端部431に直線部430Bを接続し、且つ、この一端部431から、U字状部430Aの他端部432に向かうように直線部430Bを形成した場合を一例に説明した。ところで、
図7に示すように、他端部432に直線部430Bを接続し、他端部432から一端部431側に向かうように、直線部430Bを形成するようにしてもよい。この場合も、舌片部を曲げる際の曲げ領域を小さくでき、タブ500の操作荷重が小さくなる。
【0095】
なお、本図で示す態様よりも
図3等で示した上記態様の方が、パネル400の表面から離れる方向への、タブ500の先端部510の移動が抑制されるようになり、本図で示す態様よりも
図3等で示した上記態様の方が、符号4Dで示した上記領域(
図5−1参照)における、パネル400の破断がより生じやすくなる。
【0096】
ここで、本実施形態では、上記のとおり、開口が形成される際、引っ張り部位4B(
図5−1参照)がパネル400の表面から浮くようになるが、
図7に示す態様では、この際、例えば、符号7Aで示す領域にてパネル400の破断が生じる可能性があり、この場合、引っ張り部位4Bのパネル400からの浮き量が極めて大きくなる。そしてこの場合、パネル400からタブ500の先端部510が離れてしまい、符号4Dで示した上記領域(
図5−1参照)における、パネル400の破断が難しくなるおそれがある。
【0097】
一方で、
図3等にて示した上記態様では、引っ張り部位4Bの浮き量が小さくなり、
図7にて示した態様に比べ、タブ500の先端部510がパネル400のより近い箇所に位置するようになる。そして、この場合は、
図7にて示した態様に比べ、符号4Dで示した上記領域における、パネル400の破断が生じやすくなる。