(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6243232
(24)【登録日】2017年11月17日
(45)【発行日】2017年12月6日
(54)【発明の名称】熱交換器用フィンの製造方法およびそのフィン並びに熱交換器
(51)【国際特許分類】
H01L 23/36 20060101AFI20171127BHJP
H01L 23/473 20060101ALI20171127BHJP
H05K 7/20 20060101ALI20171127BHJP
【FI】
H01L23/36 Z
H01L23/46 Z
H05K7/20 N
【請求項の数】9
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-6649(P2014-6649)
(22)【出願日】2014年1月17日
(65)【公開番号】特開2015-135894(P2015-135894A)
(43)【公開日】2015年7月27日
【審査請求日】2017年1月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】000222484
【氏名又は名称】株式会社ティラド
(74)【代理人】
【識別番号】100082843
【弁理士】
【氏名又は名称】窪田 卓美
(72)【発明者】
【氏名】石井 紀之
(72)【発明者】
【氏名】山崎 丈嗣
【審査官】
豊島 洋介
(56)【参考文献】
【文献】
特開2013−236024(JP,A)
【文献】
特開2010−010418(JP,A)
【文献】
米国特許第5510650(US,A)
【文献】
特開平09−026278(JP,A)
【文献】
特開平04−100633(JP,A)
【文献】
特開2001−284865(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L23/29
23/34 −23/36
23/373−23/427
23/44
23/467−23/473
H05K 7/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属板のプレス加工により、細長い基部(1)の幅方向の少なくとも一端側に歯形状の多数の凹凸部(2)を一体に形成して帯状体(3)を形成するプレス工程と、
その帯状体(3)をその長手方向に定間隔のエレメント(4)ごとに、つづら折りに折り曲げる折り曲げ工程と、
各エレメント(4)間を圧縮してエレメント(4)どうしを接触させて積層する圧縮工程と、を具備する熱交換器用フィンの製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載の熱交換器用フィンの製造方法において、
前記帯状体(3)の凹凸部(2)における凹部(2a)の前記長手方向の幅を凸部(2b)の幅より大とし、互いに接するエレメント(4)は、一方の凹部(2a)に他方の凸部(2b)がその重ね合わせ方向に配置されるように、前記帯状体(3)を折り曲げる前記折り曲げ工程とした熱交換器用フィンの製造方法。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の熱交換器用フィンの製造方法において、
前記帯状体(3)の凹凸部(2)における凸部(2b)を台形状に形成した熱交換器用フィンの製造方法。
【請求項4】
請求項1〜請求項3に記載の熱交換器用フィンの製造方法において、
前記プレス工程で、各エレメント(4)の長さごとの折り曲げ位置に、前記帯状体(3)の幅方向へ線状の曲げ凹部(5)を、帯状体(3)の表面側と裏面側とに交互に形成して、折り曲げを容易にした熱交換器用フィンの製造方法。
【請求項5】
請求項1〜請求項4のいずれかに記載の熱交換器用フィンの製造方法において、
金属板のプレス加工により、細長い基部(1)の幅方向の一端側にのみ歯形状の多数の凹凸部(2)を一体に形成して帯状体(3)を形成すると共に、各エレメント(4)の折り曲げ位置で、その基部(1)の幅方向の他端側に予め切欠部(6)を形成しておき、折り曲げ工程の際に、その幅方向の他端側に折り曲げに伴う突出部(7)の発生を防止した熱交換器用フィンの製造方法。
【請求項6】
請求項1〜請求項5のいずれかに記載の熱交換器用フィンの製造方法において、
金属板のプレス加工により、細長い基部(1)の幅方向の両端側に歯形状の多数の凹凸部(2)を一体に形成して帯状体(3)を形成した熱交換器用フィンの製造方法。
【請求項7】
請求項1〜請求項6のいずれかに記載の熱交換器用フィンの製造方法において、
エレメント(4)の積層方向の中間位置に、凹凸部の存在しない仕切部(4a)を介装した熱交換器用フィンの製造方法。
【請求項8】
請求項1〜請求項7のいずれかに記載の製造方法により製造された熱交換器用フィン。
【請求項9】
請求項8に記載の熱交換器フィンがインナーフィン(8)として、一対の皿状プレート間(10) (11)の流路内に介装された熱交換器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一例としてヒートシンクとして用いられる熱交換器用フィンの製造方法およびそのフィンを用いた熱交換器に関する。
【背景技術】
【0002】
パワートランジスタや集積回路パッケージ等の発熱体を冷却するヒートシンクは、コンパクトで且つ伝熱面積が広いものが求められる。
下記特許文献1及び2は、多数のプレートをプレス成形し、外周に枠部を有するとともに、その内側で熱吸収媒体の流れ方向の上流域と下流域に一対のマニホールド部を有し、中間部に多数のスリットが形成されたパンチングプレートを作製する。そのパンチングプレートを厚み方向に積層し、その積層方向の上下両端に端板を配置してなるものである。
そして、その端板にパワートランジスタや集積回路パッケージ等を貼着し、内部に熱吸収媒体を流通させるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012−18966号公報
【特許文献2】特開2010−205981号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のようなヒートシンクは、それぞれ独立した多数のプレートを積層し、各プレート間をろう付け固定してなるものであり、部品点数が多く、その組み立てが面倒である欠点があった。また、部品点数が少ないヒートシンクを製造する方法として、肉厚フィンをダイキャストによって製造する方法や鍛造によって製造する方法が考えられるが、ダイキャストの場合はその後のろう付けができず、鍛造による場合は、そのコストが大きくなる。さらに、ダイキャストや鍛造でフィンを製造する場合、その流路形状の設計変更が困難となる。
そこで、本発明は流路形状の設計変更が容易で、低コストであり、部品点数が少なく、組み立てが容易な熱交換器用フィンの製造方法およびそのフィンを用いた熱交換器を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載の本発明は、金属板のプレス加工により、細長い基部(1)の幅方向の少なくとも一端側に歯形状の多数の凹凸部(2)を一体に形成して帯状体(3)を形成するプレス工程と、
その帯状体(3)をその長手方向に定間隔のエレメント(4)ごとに、つづら折りに折り曲げる折り曲げ工程と、
各エレメント(4)間を圧縮してエレメント(4)どうしを接触させて積層する圧縮工程と、を具備する熱交換器用フィンの製造方法である。
【0006】
請求項2に記載の本発明は、請求項1に記載の熱交換器用フィンの製造方法において、
前記帯状体(3)の凹凸部(2)における凹部(2a)の前記長手方向の幅を凸部(2b)の幅より大とし、互いに接するエレメント(4)は、一方の凹部(2a)に他方の凸部(2b)がその重ね合わせ方向に配置されるように、前記帯状体(3)を折り曲げる前記折り曲げ工程とした熱交換器用フィンの製造方法である。
請求項3に記載の本発明は、請求項1または請求項2に記載の熱交換器用フィンの製造方法において、
前記帯状体(3)の凹凸部(2)における凸部(2b)を台形状に形成した熱交換器用フィンの製造方法である。
【0007】
請求項4に記載の本発明は、請求項1〜請求項3に記載の熱交換器用フィンの製造方法において、
前記プレス工程で、各エレメント(4)の長さごとの折り曲げ位置に、前記帯状体(3)の幅方向へ線状の曲げ凹部(5)を、帯状体(3)の表面側と裏面側とに交互に形成して、折り曲げを容易にした熱交換器用フィンの製造方法である。
請求項5に記載の本発明は、請求項1〜請求項4のいずれかに記載の熱交換器用フィンの製造方法において、
金属板のプレス加工により、細長い基部(1)の幅方向の一端側にのみ歯形状の多数の凹凸部(2)を一体に形成して帯状体(3)を形成すると共に、各エレメント(4)の折り曲げ位置で、その基部(1)の幅方向の他端側に予め切欠部 (6)を形成しておき、折り曲げ工程の際に、その幅方向の他端側に折り曲げに伴う突出部(7)の発生を防止した熱交換器用フィンの製造方法である。
【0008】
請求項6に記載の本発明は、請求項1〜請求項5のいずれかに記載の熱交換器用フィンの製造方法において、
金属板のプレス加工により、細長い基部(1)の幅方向の両端側に歯形状の多数の凹凸部(2)を一体に形成して帯状体(3)を形成した熱交換器用フィンの製造方法である。
請求項7に記載の本発明は、請求項1〜請求項6のいずれかに記載の熱交換器用フィンの製造方法において、
エレメント(4)の積層方向の中間位置に、凹凸部(2)の存在しない仕切部(4a)を介装した熱交換器用フィンの製造方法である。
【0009】
請求項8に記載の本発明は、請求項1〜請求項7のいずれかに記載の製造方法により製造された熱交換器用フィンである。
【0010】
請求項9に記載の本発明は、請求項8に記載の熱交換器用フィンがインナーフィン(8)として、一対の皿状プレート(10)(11)間の流路内に介装された熱交換器である。
【発明の効果】
【0011】
本発明の熱交換器用フィンの製造方法は、金属板のプレス加工により、細長い基部1に歯形状の多数の凹凸部2を一体に形成して帯状体3を形成し、その帯状体3を長手方向に定間隔のエレメント4ごとに、つづら折りに折り曲げ、各エレメント4間を圧縮してフィンを製造しているため、そのフィンの製造が容易で量産性が高く、安価に提供できる。また、折り返された基部1が互いに接触してフィンを形成しているため、フィンピッチが正確に金属板の厚みとなり、そのピッチ管理が容易であるとともに、コンパクトで伝熱面積の広い性能のよい熱交換器用フィンとなる。さらに、基部1を折り曲げる位置とその回数によって、フィンの大きさや形を容易に変形することができるので、熱交換器の大きさや用途などに合わせて製造することが容易となる。
【0012】
請求項2に記載の熱交換器用フィンの製造方法によれば、帯状体3の凹部2aの長手方向の幅を凸部2bの幅より大とし、隣接するエレメント4どうしの一方の凹部2aに他方の凸部2bがその重ね合わせ方向に配置されるように帯状体3を折り曲げてフィンを製造するため、熱吸収媒体が各凸部2b間を蛇行状に流通し、それを撹拌して熱交換を促進することができる。
請求項3に記載の熱交換器用フィンの製造方法によれば、帯状部3の凸部2bを台形状に形成したので、凸部2bの先端の部分(発熱体貼着側のプレート内面近傍)には熱吸収媒体が多く流れ、凸部2bと基部1との付根の部分には熱吸収媒体が少なく流れるようになる。これにより、発熱体の直下でその熱を効果的に吸収することができ、熱交換性能を向上できる。
【0013】
請求項4に記載の熱交換器用フィンの製造方法によれば、プレス工程で、帯状体3の折り曲げ位置に幅方向へ線状の曲げ凹部5を設けたから、フィンの折り曲げ工程を容易かつ正確に行うことができる。
請求項5に記載の熱交換器用フィンの製造方法によれば、プレス加工により、各エレメント4の折り曲げ位置で、その基部1の幅方向の他端側に予め切欠部6を形成したから、折り曲げ工程の際に、その幅方向の他端側に折り曲げに伴う突出部7の発生を防止し、そのフィンに隣接するプレートとの干渉を避けることができる。
【0014】
請求項6に記載の熱交換器用フィンの製造方法によれば、細長い基部1の幅方向の両端側に凹凸部2を一体に形成して帯状体3を形成するので、伝熱面積を大きくすることができ、良好な熱交換を行うことができる。
請求項7に記載の熱交換器用フィンの製造方法のように、エレメント4の積層方向の中間位置に、凹凸部2の存在しない仕切部4aを介装した場合には、熱交換器内部を流通する熱吸収媒体の流れを効率よく整流し、各部を流れる熱吸収媒体の流量を均一にすることができる。
そして、本製造方法により製造されたフィンをインナーフィン8として用いた熱交換器は、製造が容易で量産性が高く、安価に生産でき、部品点数が最少になる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の熱交換器用フィンを備えた熱交換器を示す分解斜視図。
【
図2】同フィンを製造する工程を示す斜視図(A)、その要部斜視拡大図(B)。
【
図3】同フィンの各実施例の正面図であって、(A)はその第1実施例であって、凸部(2b)の形状が長方形のものであり、(B)はその第2実施例であって、凸部(2b)が台形のものであり、(C)は第3実施例であって、凸部(2b)が幅方向両端に形成されたのもの。
【
図4】同各フィンの曲げ凹部5を形成する説明図であって、(A)はその正面図であり、(B)は同底面図、(C)はその下部に形成する突出防止用の切欠部6の説明図。
【
図6】
図4(C)の切欠部を設けない場合の突出部の説明図。
【
図7】仕切部を有するフィンを用いた熱交換器の熱吸収媒体14の流れを示す説明図(A)、及び同フィンの製造工程の説明図(B)。
【
図8】本発明のさらに他の例の熱交換器用フィンの製造工程を示す説明図。
【
図9】さらに他の例の熱交換器用フィンを用いた熱交換器を示す説明図。
【
図10】さらに他の例の熱交換器用フィンを用いた熱交換器を示す説明図。
【
図11】さらに他の例の熱交換器用フィンを用いた熱交換器を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
次に、図面に基づいて本発明の各実施の形態につき説明する。
図1〜
図7は、本発明の第1実施例のフィンの製造方法およびそれをインナーフィン8として用いた熱交換器である。
【0017】
(本発明のフィンの製造方法の第1実施例)
この熱交換器用フィンは、
図2に示す如く、先ず、平坦な金属板をプレス成形する工程により、細長い基部1に歯形状の多数の凹凸部2が一体に形成されて帯状体3を構成する。凹凸部2の凸部2bは、この例では、基部1の幅方向の一端縁に定間隔に凸設されている。この例では、
図4(A)に示す如く、帯状体3の凹部2aの長手方向の幅は、凸部2bの長手方向の幅より大に形成される。後述する通り、この熱交換器用フィンは、凸部2bが平面千鳥状に配置され、熱吸収媒体はフィンの凸部2bの配置に従って、各凸部2b間を蛇行状に流通する。このとき、凹部2aと凸部2bとの差の1/2の幅が熱吸収媒体の流通路となるので、その幅が小さいと流通抵抗が大となる。一方で、その幅が大きすぎても放熱面積が減少する。
【0018】
そこで、隣り合う凹部2aと凸部2bの幅は、放熱面積と流通抵抗を考慮して決定される。さらに、この凸部2bの形状は、
図3 (B)に示す如く、台形状のようにすることができる。台形状の凸部2bは、ダイキャストや鍛造による製造方法では困難である。しかし、プレス成形によりフィンの流路形成を行う場合、容易にその基本となる帯状体3を製造でき、それを折り曲げて肉厚なインナーフィンとすることが可能となる。また、
図3(B)に代えて、
図3(A)の如く、方形にすることもできる。さらには、
図3(C)に示す如く、その凹凸部2を基部1の幅方向両端部に設けることもできる。
【0019】
次いで、
図2に示す如く、帯状体3を後述する熱交換器のインナーフィン8の流れ方向長さと整合するエレメント4の長さの位置で、定間隔につづら折にする。さらに、そのエレメント4は、
図2(B)に示す如く、互いに接触するように圧着されるとともに、隣接するエレメント4どうしの一方の凹部2aに他方の凸部2bがその重ね合わせ方向に配置され、
図2に示す、熱交換器用フィンを完成する。
隣接するエレメント4の凸部2bは互いに半ピッチ位置ずれしており、各凸部2bが平面千鳥状に配置される。
エレメント4の折り曲げ位置を特定するため、プレス成型時に
図4(A)、(B)に示す如く、その折り曲げ位置の幅方向へ直線状の曲げ凹部5をその表面側と裏面側とに、交互に設ける。それにより、折り曲げを容易にすることができる。
【0020】
さらに、この例では、
図4(C)に示す如く、基部1の折り曲げ部の下面を楔状に凹陥し、折り曲げた時に
図5に示すテーパ状の切欠部6が形成される。これは、基部1の下面を平坦にすることで、第1プレート10と基部1の下面とを干渉させることなく、インナーフィン8を第1プレート10に着座させるものである。仮に、基部1の下端面に
図6に示す突出部7が存在すると、基部1が第1プレート10から僅かに浮き上がる。
次に、
図7(B)に示す如く、帯状体3の長手方向の一定位置に凹凸部2の存在しない仕切部4aを設けることもできる。この仕切部を有することにより、熱交換器の内部を流通する熱吸収媒体の流れを整流することができる。
【0021】
(本発明のフィンを用いた熱交換器)
図1に示す如く、この熱交換器用フィンをインナーフィン8として、一対の皿状の第1プレート10と第2プレート11とからなる熱交換器の本体9に内装する。第1プレート10,第2プレート11は、外周にフランジ部を有する皿状の偏平凹部を形成し、この例ではその長手方向の一端で、その幅方向の両側に一対の出入口パイプ12を接続する。そして、各第1プレート10,第2プレート11の偏平凹部の幅方向両側にマニホールド部16を設け、その一対のマニホールド部16間にインナーフィン8を載置する。従って、インナーフィン8の幅は一対のマニホールド部16を除く、各プレートの幅に等しい。なお、マニホールド部16とインナーフィン8の載置部との境界にインナーフィン8のリブ15を設けてもよい。この際、インナーフィン8の折り曲げ部に
図5のようなテーパ状の切欠部6を設けるとともに、リブ15を第1プレート10に設けた場合、その位置決めが容易になる。インナーフィン8の各凸部2bの稜線が、各プレートの幅方向に一致する。インナーフィン8の下面は、第1プレート10の偏平凹部と接触し、インナーフィン8のそれぞれの凸部2bの上端面は、第2プレート11の偏平凹部と接触する。そして、各部品を組立て、炉内で各部品間を一体にろう付けして熱交換器を完成する。
【0022】
そして、熱吸収媒体14を出入口パイプ12の一方側から流入させ、偏平凹部の一方のマニホールド部16から他方のマニホールド部16にインナーフィン8を介して幅方向へ流通させ、出入口パイプ12の他方側からそれを流出させる。このとき熱吸収媒体14は、
図7(A)に示す如く、幅方向の一方の端部から、インナーフィン8の幅方向へ凸部2bと凹部2aの間を蛇行状に流通し、他方の端部より流出する。
即ち、熱吸収媒体14は、板厚方向へ蛇行状に流通する。その熱吸収媒体14は、一例として、気液二相状態の冷媒、或いは、冷却水が用いられる。そして、熱交換器の本体9の外面には発熱体13が接触固定され、その熱を熱吸収媒体14に伝達し、発熱体13を冷却するものである。なお、発熱体13を熱交換器の本体9の両外面に固定する場合には、
図3(C)のフィンを用いると効率よく熱交換することができる。
【0023】
(本発明のフィンの製造方法の第2実施例)
次に、
図8は本発明の第2実施例であり、これが第1実施例の
図2のインナーフィン8と異なる点は、その折り曲げ部の位置である。同図に示す如く、この例の折り曲げ部は平面視で階段状に形成されている。
このようなインナーフィン8は一例として、
図9に示す如く、使用される。これはインナーフィン8の全体形状を平行四辺形に傾斜させて配置し、熱吸収媒体14の出入り口を熱交換器の対角位置に配置する場合などに利用できる。このようにすると、入口より遠い位置にも熱吸収媒体を十分に供給することができ、バランスの良い熱交換を行うことができる。
また、
図10に示す如く、そのフィンの平面形状を台形型にすることもでき、さらには、
図11に示す如く、両プレート9、10に仕切部17を設け、2パス型の熱交換器とすることもできる。
【符号の説明】
【0024】
1 基部
2 凹凸部
2a 凹部
2b 凸部
3 帯状体
4 エレメント
4a 仕切部
5 曲げ凹部
6 凹陥部
7 突出部
8 インナーフィン
【0025】
9 本体
10 第1プレート
11 第2プレート
12 出入口パイプ
13 発熱体
14 熱吸収媒体
15 リブ
16 マニホールド部
17 仕切部