特許第6243249号(P6243249)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6243249
(24)【登録日】2017年11月17日
(45)【発行日】2017年12月6日
(54)【発明の名称】超音波診断装置及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   A61B 8/08 20060101AFI20171127BHJP
【FI】
   A61B8/08
【請求項の数】10
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-29629(P2014-29629)
(22)【出願日】2014年2月19日
(65)【公開番号】特開2015-150379(P2015-150379A)
(43)【公開日】2015年8月24日
【審査請求日】2016年9月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】300019238
【氏名又は名称】ジーイー・メディカル・システムズ・グローバル・テクノロジー・カンパニー・エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100137545
【弁理士】
【氏名又は名称】荒川 聡志
(72)【発明者】
【氏名】谷川 俊一郎
(72)【発明者】
【氏名】松永 篤子
【審査官】 森口 正治
(56)【参考文献】
【文献】 特表2013−512026(JP,A)
【文献】 特開2004−215968(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 8/00−8/15
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体の生体組織に対する超音波のプッシュパルスの送信と、該プッシュパルスによって前記生体組織に生じたせん断弾性波を検出するための複数の検出用超音波パルスの同一音線における送信とが、交互に繰り返されるよう超音波プローブを制御する機能と、
前記検出用超音波パルスが送信される音線上に設定された全ての検出点において前記せん断弾性波が検出されたか否かを判定する判定機能と、
をプログラムにより実行するプロセッサーを備え、
前記超音波プローブを制御する機能は、前記判定機能により前記全ての検出点において前記せん断弾性波が検出されたと判定されるまで、または前記判定機能により前記全ての検出点において前記せん断弾性波が検出されていないと判定されなおかつ前記検出用超音波パルスが前記音線において所定の回数送信されるまで、前記音線において前記検出用超音波パルスが送信されるよう前記超音波プローブを制御する機能である、ことを特徴とする超音波診断装置。
【請求項2】
前記プロセッサーは、前記全ての検出点において前記せん断弾性波が検出された後又は前記全ての検出点において前記せん断弾性波が検出されていないと判定されなおかつ前記検出用超音波パルスが前記音線において所定の回数送信された後に、前記音線とは異なる音線において複数の前記検出用超音波パルスの送信が開始されるよう前記プログラムによって前記超音波プローブを制御することを特徴とする請求項1に記載の超音波診断装置。
【請求項3】
前記プロセッサーは、前記音線とは異なる音線における前記検出用超音波パルスの送信が開始される前に、前記プッシュパルスが送信されるよう前記プログラムによって前記超音波プローブを制御することを特徴とする請求項2に記載の超音波診断装置。
【請求項4】
前記検出用超音波パルスのエコー信号に基づいて、前記生体組織の弾性に関する計測値を算出する計測値算出機能のプログラムを実行するプロセッサーを備えることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の超音波診断装置。
【請求項5】
前記計測値に応じた表示形態を有する二次元の弾性画像が表示される表示部を備えることを特徴とする請求項4に記載の超音波診断装置。
【請求項6】
前記検出用超音波パルスは、前記二次元の弾性画像が表示される二次元領域に送信されることを特徴とする請求項5に記載の超音波診断装置。
【請求項7】
前記二次元領域における異なる音線上に前記検出用超音波パルスが送信されるように、前記プッシュパルスと、該プッシュパルスに対応する前記検出用超音波パルスとの交互の送信が繰り返されることを特徴とする請求項6に記載の超音波診断装置。
【請求項8】
前記計測値算出機能は、前記検出用超音波パルスのエコー信号に基づいて、前記せん断弾性波の伝搬速度を算出する伝搬速度算出機能であることを特徴とする請求項4〜7のいずれか一項に記載の超音波診断装置。
【請求項9】
前記計測値算出機能は、前記検出用超音波パルスのエコー信号に基づいて算出された前記せん断弾性波の伝搬速度に基づいて、生体組織の弾性値を算出する弾性値算出機能であることを特徴とする請求項4〜8のいずれか一項に記載の超音波診断装置。
【請求項10】
被検体の生体組織に対する超音波のプッシュパルスの送信と、該プッシュパルスによって前記生体組織に生じたせん断弾性波を検出するための複数の検出用超音波パルスの同一音線における送信とが、交互に繰り返されるよう超音波プローブを制御する機能と、
前記検出用超音波パルスが送信される音線上に設定された全ての検出点において前記せん断弾性波が検出されたか否かを判定する判定機能と、
を超音波診断装置のプロセッサーに実行させるプログラムであって、
前記超音波プローブを制御する機能は、前記判定機能により前記全ての検出点において前記せん断弾性波が検出されたと判定されるまで、または前記判定機能により前記全ての検出点において前記せん断弾性波が検出されていないと判定されなおかつ前記検出用超音波パルスが前記音線において所定の回数送信されるまで、前記音線において前記検出用超音波パルスが送信されるよう前記超音波プローブを制御する機能である、ことを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波のプッシュパルスによって生体組織に生じたせん断弾性波を検出するための検出用超音波パルスを送信する超音波診断装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
生体組織に対して、超音波プローブから音圧の高い超音波パルス(プッシュパルス)を送信して、生体組織の弾性を計測する弾性計測手法が知られている(例えば、特許文献1参照)。より詳細には、プッシュパルスによって生体組織に生じたせん断弾性波(shear wave)を検出用超音波パルスによって検出して、せん断弾性波の伝搬速度や生体組織の弾性値を算出している。そして、算出値に応じた色などを有する弾性画像が表示される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012−100997号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、二次元の弾性画像を表示させる場合においては、弾性画像が表示される二次元の関心領域において、複数音線分の検出用超音波パルスの送受信が行なわれる。しかし、一回のプッシュパルスの送信で、二次元の関心領域内の全ての音線において、せん断弾性波を検出することは困難な場合がある。そこで、一フレーム分の弾性画像を得るために、プッシュパルスの送信と検出用超音波パルスの送受信とが交互に繰り返されることにより、前記関心領域内の全ての音線についてせん断弾性波を検出している。
【0005】
また、二次元の弾性画像を表示させるためには、一音線上の複数点においてせん断弾性波を検出する必要がある。そこで、検出用超音波パルスの送受信は、同一音線上において複数回行なわれている。
【0006】
一音線における検出用超音波パルスの送受信回数は、予め設定された固定値である。従って、一音線上の全ての点においてせん断弾性波が検出された後においても、検出用超音波パルスの送受信が行われることがある。この場合、音響的にも時間的にも無駄な検出用超音波パルスの送受信が行われていることになる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述の課題を解決するためになされた一の観点の発明は、被検体の生体組織に対する超音波のプッシュパルスの送信と、このプッシュパルスによって前記生体組織に生じたせん断弾性波を検出するための複数の検出用超音波パルスの同一音線における送信とが、交互に繰り返されるよう超音波プローブを制御するプログラムであって、前記検出用超音波パルスが送信される音線上における所定数の検出点において前記せん断弾性波が検出されるまで、前記音線において前記検出用超音波パルスが送信されるよう前記超音波プローブを制御するプログラムを実行するプロセッサーを備えることを特徴とする超音波診断装置である。
【発明の効果】
【0008】
上記一の観点の発明によれば、前記検出用超音波パルスが送信される音線上における所定数の検出点において前記せん断弾性波が検出されるまで、前記音線において検出用超音波パルスが送信される。従って、前記音線上における所定数の検出点において前記せん断弾性波が検出されると、前記音線における検出用超音波パルスの送信が終了になるので、無駄な検出用超音波パルスの送信が行われることを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施の形態の一例である超音波診断装置の概略構成を示すブロック図である。
図2】エコーデータ処理部の構成を示すブロック図である。
図3】表示制御部の構成を示すブロック図である。
図4】Bモード画像及び弾性画像が表示された表示部を示す図である。
図5】Bモード画像に関心領域が設定された表示部を示す図である。
図6】弾性画像を表示させるための処理を示すフローチャートである。
図7】プッシュパルスの送信と、プッシュパルスによって生じたせん断弾性波とを説明する図である。
図8】プッシュパルスの送信に対応する検出用超音波パルスの送受信を説明する図である。
図9】せん断弾性波の検出点を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。図1に示す超音波診断装置1は、超音波プローブ2、送受信ビームフォーマ3、エコーデータ処理部4、表示制御部5、表示部6、操作部7、制御部8、記憶部9を備える。
【0011】
前記超音波プローブ2は、本発明における超音波プローブの実施の形態の一例であり、被検体の生体組織に対して超音波を送信する。この超音波プローブ2により、生体組織にせん断弾性波を生じさせるための超音波パルス(プッシュパルス)が送信される。また、前記超音波プローブ2により、せん断弾性波を検出するための検出用超音波パルスが送信され、そのエコー信号が受信される。
【0012】
前記検出用超音波パルスの送受信は、後述する関心領域R内の複数の音線において行われる。後述するように、前記プッシュパルスが一回送信された後に、一音線における前記検出用超音波パルスの送受信が行われる。前記プッシュパルスの送信と前記検出用超音波パルスの送受信は、交互に繰り返される。また、プッシュパルスが一回送信された後に、一音線において前記検出用超音波パルスが複数回送受信される。
【0013】
さらに、前記超音波プローブ2により、Bモード画像を作成するためのBモード画像用超音波パルスが送信され、そのエコー信号が受信される。
【0014】
前記送受信ビームフォーマ3は、前記制御部8からの制御信号に基づいて、前記超音波プローブ2を駆動させて所定の送信パラメータ(parameter)を有する前記各種の超音波パルスを送信させる。また、送受信ビームフォーマ3は、超音波のエコー信号について、整相加算処理等の信号処理を行なう。
【0015】
前記エコーデータ処理部4は、図2に示すように、Bモード処理部41、伝搬速度算出部42、弾性値算出部43、判定部44を有する。前記Bモード処理部41は、前記送受信ビームフォーマ3から出力されたエコーデータに対し、対数圧縮処理、包絡線検波処理等のBモード処理を行い、Bモードデータを作成する。
【0016】
また、前記伝搬速度算出部42は、前記送受信ビームフォーマ3から出力された前記検出用超音波パルスのエコーデータに基づいて、前記せん断弾性波の伝搬速度を算出する(伝搬速度算出機能)。また、前記弾性値算出部43は、プッシュパルスが送信された生体組織の弾性値を、前記伝搬速度に基づいて算出する(弾性値算出機能)。詳細は後述する。前記伝搬速度算出機能及び前記弾性値算出機能は、本発明における計測値算出機能の実施の形態の一例である。また、前記伝搬速度及び前記弾性値は、本発明における生体組織の弾性に関する計測値の実施の形態の一例である。
【0017】
ちなみに、前記伝搬速度のみが算出され、前記弾性値は必ずしも算出されなくてもよい。前記伝搬速度のデータ又は前記弾性値のデータを、弾性データと云うものとする。
【0018】
前記判定部44は、後述するように、一音線における検出点の全てにおいてせん断弾性波が検出されたか否かを判定する。
【0019】
前記表示制御部5は、図3に示すように、画像表示制御部51、関心領域設定部52を有する。前記画像表示制御部51は、前記Bモードデータをスキャンコンバータ(scan converter)によって走査変換してBモード画像データを作成し、このBモード画像データに基づくBモード画像を前記表示部6に表示させる。また、前記画像表示制御部51は、前記弾性データをスキャンコンバータによって走査変換して弾性画像データを作成し、この弾性画像データに基づく弾性画像を前記表示部6に表示させる。
【0020】
図4に示すように、前記弾性画像EIは、前記Bモード画像BIに設定された関心領域R内に表示される二次元の画像である。前記弾性画像EIは、前記伝搬速度又は前記弾性値に応じた色を有するカラー(color)画像である。前記画像表示制御部51は、前記Bモード画像データ及び前記弾性画像データを合成して合成画像データを作成し、この合成画像データに基づく画像を前記表示部6に表示させる。従って、前記弾性画像EIは、背景のBモード画像BIが透過する半透明の画像である。
【0021】
前記関心領域Rは、前記関心領域設定部52によって設定される。より詳細には、前記関心領域設定部52は、操作者による前記操作部7における入力に基づいて、前記関心領域Rを設定する。前記関心領域Rは、前記検出用超音波パルスの送受信領域である。
【0022】
前記表示部6は、LCD(Liquid Crystal Display)や有機EL(Electro−Luminescence)ディスプレイなどである。前記操作部7は、特に図示しないが、操作者が指示や情報を入力するためのキーボード(keyboard)や、トラックボール(trackball)等のポインティングデバイス(pointing device)などを含んで構成されている。
【0023】
前記制御部8は、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサーである。この制御部8は、前記記憶部9に記憶されたプログラムを読み出し、前記超音波診断装置1の各部を制御する。例えば、前記制御部8は、前記記憶部9に記憶されたプログラムを読み出し、読み出されたプログラムにより、前記送受信ビームフォーマ3、前記エコーデータ処理部4及び前記表示制御部5の機能を実行させる。
【0024】
前記制御部8は、前記送受信ビームフォーマ3の機能のうちの全て、前記エコーデータ処理部4の機能のうちの全て及び前記表示制御部5の機能のうちの全ての機能をプログラムによって実行してもよいし、一部の機能のみをプログラムによって実行してもよい。前記制御部8が一部の機能のみを実行する場合、残りの機能は回路等のハードウェアによって実行されてもよい。
【0025】
なお、前記送受信ビームフォーマ3、前記エコーデータ処理部4及び前記表示制御部5の機能は、回路等のハードウェアによって実現されてもよい。
【0026】
前記記憶部9は、HDD(Hard Disk Drive:ハードディスクドライブ)や、RAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)等の半導体メモリ(Memory)である。
【0027】
次に、本例の超音波診断装置1の作用について説明する。先ず、操作者は被検体に対してBモード用の超音波の送受信を行ない、図5に示すように、エコー信号に基づくBモード画像BIを表示させる。そして、このBモード画像BIに関心領域Rを設定する。この関心領域Rは、弾性画像を表示させたい領域に設定される。
【0028】
次に、操作者は、前記操作部7において弾性画像を表示させる入力を行なう。弾性画像を表示させるための処理について、図6のフローチャートに基づいて説明する。前記操作部7において弾性画像を表示させる入力があると、図6の処理が開始される。
【0029】
先ず、ステップS1において、前記制御部8は、図7に示すように、生体組織Tに対して前記超音波プローブ2からプッシュパルスPPを送信させる。図7において、前記プッシュパルスPPは、音線(矢印)で示されている(以降の図においても同様)。前記プッシュパルスPPは、前記関心領域Rの近傍の外側に送信される。前記プッシュパルスPPにより、生体組織Tにせん断弾性波Wが発生する。このせん断弾性波Wは、前記プッシュパルスから遠ざかる方向(図7の矢印の方向)へ前記生体組織T内を伝播する。
【0030】
次に、ステップS2では、前記制御部8は、図8に示すように、検出用超音波パルスDPを前記超音波プローブ2によって前記生体組織Tに送受信させる。前記検出用超音波パルスDPは、前記関心領域R内を伝播するせん断弾性波W(図8では図示省略)を検出するための超音波パルスである。前記検出用超音波パルスDPは、図8において音線(矢印)で示されている。
【0031】
次に、ステップS3では、前記ステップS2において送受信された前記検出用超音波パルスの音線上における所定数の検出点において、前記せん断弾性波Wが検出されたか否かを、前記判定部44が判定する。
【0032】
ここで、二次元の弾性画像を表示するためには、図9に示すように、一音線Lにつき、関心領域R内の複数の検出点Pにおいて前記せん断弾性波Wの検出を行なう必要がある。前記検出点Pの数は、予め設定されている。前記判定部44は、前記ステップS3において、所定数の前記検出点Pの全てにおいて、前記せん断弾性波Wが検出されたか否かを判定する。
【0033】
前記ステップS3において、全ての検出点Pにおいて前記せん断弾性波Wが検出されていないと判定された場合(前記ステップS3において「NO」)、ステップS4の処理へ進む。このステップS4では、前記制御部8は、前記検出用超音波パルスDPの送受信がN回目(N≧2)であるか否かを判定する。Nは、全ての検出点Pにおいて前記せん断弾性波Wを検出することができる数に予め設定されている。
【0034】
前記ステップS4において、N回目ではないと判定された場合(前記ステップS4において「NO」)、前記ステップS2の処理へ戻る。これにより、前記生体組織Tに対し、検出用超音波パルスDPが前回と同じ音線上に送信され、この検出用超音波パルスDPのエコー信号が受信される。
【0035】
前記ステップS3において、全ての検出点Pにおいて前記せん断弾性波Wが検出されたと判定された場合(前記ステップS3において「YES」)、ステップS5の処理へ移行する。従って、所定数の前記検出点Pにおいて前記せん断弾性波が検出されるまで、同一音線において前記検出用超音波パルスDPの送受信が行われることになる。また、前記ステップS4において、N回目であると判定された場合(前記ステップS4において「YES」)も、ステップS5の処理へ移行する。
【0036】
ステップS5では、前記制御部8は、前記関心領域R内の全ての音線において前記検出用超音波パルスDPの送受信が行われたか否かを判定する。
【0037】
前記ステップS5において、前記関心領域R内の全ての音線において前記検出用超音波パルスDPの送受信が行われていないと判定された場合(前記ステップS5において「NO」)、前記ステップS1の処理へ戻る。これにより、前記ステップS1において、前記生体組織Tに対し、再びプッシュパルスPPが送信された後、前記ステップS2において、検出用超音波パルスDPが送受信される。ただし、この検出用超音波パルスDPは、前回の検出用超音波パルスDPの送受信が行われた音線の隣の音線において送受信される。ちなみに、前記プッシュパルスPPは、前回と同じ音線上に送信されてもよいし、前回とは異なる音線上に送信されてもよい。そして、前記ステップS3,S4の処理が行われる。以上により、前記関心領域Rにおける異なる音線上に前記検出用超音波パルスDPが送受信されるように、前記プッシュパルスPPの送信と前記検出用超音波パルスDPの送受信とが繰り返されることになる。
【0038】
一方、前記ステップS5において、前記関心領域R内の全ての音線において前記検出用超音波パルスDPの送受信が行われたと判定された場合(前記ステップS5において「YES」)、処理を終了する。以上により、一フレーム分の弾性画像データを作成するための検出用超音波パルスDPのエコー信号が取得され、前記関心領域R内に弾性画像EIが表示される。以降、前記Bモード用の超音波の送受信と、前記ステップS1〜S5の処理が繰り返されることにより、Bモード画像BI及び弾性画像EIのフレームが更新される。
【0039】
本例によれば、前記ステップS3において、一音線における全ての検出点Pにおいて前記せん断弾性波Wが検出されたと判定された場合、その音線における検出用超音波パルスDPの送受信が終了する。従って、不必要な検出用超音波パルスDPの送受信が行われることはなく、前記検出用超音波パルスDPの送受信が予め設定された回数行われる場合と比べて、前記検出用超音波パルスDPの送受信を少なくすることができるので、フレームレートを向上させることができる。
【0040】
以上、本発明を前記実施形態によって説明したが、本発明はその主旨を変更しない範囲で種々変更実施可能なことはもちろんである。例えば、前記プッシュパルスPPが一回送信された後に、複数の音線の各々において前記検出用超音波パルスDPが複数回送受信される場合にも同様に適用することができる。
【0041】
また、前記ステップS1において、前記プッシュパルスPPが送信された後、前記ステップS2において、前記検出用超音波パルスDPの送受信がM(M<N)回繰り返された後に、前記ステップS3の判定が行われてもよい。Mは、前記せん断弾性波Wが、全ての検出点Pにおいて検出されない程度の数に設定される。
【符号の説明】
【0042】
1 超音波診断装置
2 超音波プローブ
3 送受信ビームフォーマ
6 表示部
8 制御部
42 伝搬速度算出部
43 弾性値算出部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9