【課題を解決するための手段】
【0006】
ロスバスタチン又はその薬学的に許容される塩は曝光により化学構造が変化し、ジアステレオマーである下記分解化合物(1)が生成することが知られている。
実際に製剤サンプルを用いてHPLC分析したところ、
図1に示すチャートが得られ、曝光前には認められなかった2つのピークからなる光分解物が確認できた。
本明細書では、この2つの光分解物1,2をロスバスタチン保持時間に対する相対保時間としてR.R.T1.6及びR.R.T1.7と表現する。
【化1】
本分解物が生成されると、製剤中のロスバスタチンの含量を一定に保つことが不可能となり、十分な治療効果を得られないことが懸念される。
さらに、本分解物の生体への影響は未知数であるため生成は防止すべきである。
そこで本発明者らは、上記2種の分解物の生成を抑制する観点から医薬組成を検定し本発明に至った。
このような錠剤は、ロスバスタチン又はその薬学的に許容される塩と、一価のカチオン無機塩と、光保護剤とを含有させるのが有効であることが明らかになった。
この場合に、ロスバスタチン又はその薬学的に許容される塩と、一価のカチオン無機塩と、光保護剤とを含有する造粒顆粒に、光保護剤が含まれる後末成分(光保護末)を加え打錠した錠剤としてもよい。
また、ロスバスタチン又はその薬学的に許容される塩と、一価のカチオン無機塩と、光保護剤とを含有する造粒顆粒に、光保護剤が含まれるコーティング層を形成した錠剤としてもよい。
さらには、ロスバスタチン又はその薬学的に許容される塩と、一価のカチオン無機塩と、光保護剤とを含有する造粒顆粒に、光保護剤が含まれるコーティング層を形成し、前記コーティング顆粒に、光保護剤が含まれる後末成分(光保護末)を加え打錠した錠剤としてもよい。
光保護剤は、酸化チタン,酸化鉄,タール系色素のうちいずれか1つ以上であるのが好ましい。
また、ロスバスタチンは加温加湿保存条件下により分解物であるラクトン体を生成することが知られている。
このラクトン体の生成を抑えるには、塩基性物質を添加することが有用であることは公知の事実だが、検討の結果、塩基性物質というよりもむしろpHに関係なく、1価のカチオン無機塩の方が、ラクトン体生成抑制効果は高いことが判明した。
すなわち、ロスバスタチンまたはその薬学的に許容される塩に1価のカチオン無機塩を含有し、さらに酸化鉄、タール系色素、酸化チタンから選ばれる1種以上を含有することで、温度、湿度、光に対して安定な製剤を得ることができ、本発明が完成した。
本発明により、フィルムコーティングに頼ること無く、製剤に含まれるロスバスタチンまたはその薬学的に許容される塩の光安定性が維持される。
従って、錠剤の分割使用あるいは粉砕使用する可能性がある場合において、ロスバスタチンまたはその薬学的に許容される塩の曝光による分解が抑制され、さらには、フィルムコーティングが好ましくない口腔内崩壊錠でも、同様に曝光による分解が抑制され、有効性の高い高脂血症治療や高コレステロール血症治療が可能となる。
また、ラクトン体生成抑制を目的として配合する1価のカチオン無機塩等は不快な味(苦味、収斂性)を呈することが多い。
本発明で提案したように1価のカチオン無機塩を主薬含有顆粒に配合し、主薬と無機塩が効率的に接することで、1価のカチオン無機塩の配合量を少なくできる。
さらにその顆粒をコーティングすることで口腔内での1価のカチオン無機塩の溶出を抑えられるため、錠剤全体に1価のカチオン無機塩を分散させる製造方法より不快な味を軽減することができる。
本発明において、光保護剤としての酸化チタンの含有量は、ロスバスタチンの分解防止の面から、製剤全量に対して0.01〜25質量%であるのが好ましく、より好ましくは0.1〜20質量%、特に好ましくは0.5〜15質量%である。
本発明に使用される酸化鉄は例えば黄色三二酸化鉄、三二酸化鉄が挙げられる。
タール系色素は、例えば食用黄色5号、黄色4号等、及びそれらのアルミニウムレーキが挙げられる。
これらの中で特に黄色三二酸化鉄が好ましい。
酸化鉄又はタール系色素の本発明医薬製剤中の含有量は、ロスバスタチンの分解防止の面から、製剤全量に対して0.001〜4質量%であるのが好ましく、より好ましくは0.005〜2質量%、特に好ましくは0.01〜1質量%である。
造粒には公知の技術、例えば乾式造粒法、流動層造粒法、転動造粒法、撹拌造粒法、噴霧造粒法等が利用できる。
流動層造粒は同一の装置で造粒、コーティング及び乾燥の全てを行うことが出来るので、特に好ましい。
本発明においては、光保護剤に加えて賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、コーティング剤などの経口投与可能な医薬品添加剤が使用できる。
賦形剤としては、乳糖水和物、D−マンニトール、結晶セルロース、バレイショデンプン、トウモロコシデンプン、軽質無水ケイ酸、含水二酸化ケイ素などが挙げられる。
結合剤としてはヒドロキシプロピルセルロース、ヒプロメロース、メチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポビドン、エチルセルロース、アミノアルキルメタアクリレートコポリマーRS、酢酸ビニル樹脂、アミノアルキルメタアクリレートコポリマーE、メタアクリル酸コポリマーL、メタアクリル酸コポリマーS、ヒプロメロースフタル酸エステル、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート、カルボキシメチルエチルセルロースなどが挙げられる。
崩壊剤としては、クロスポビドン、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、カルメロース、クロスカルメロースナトリウム、デンプングリコール酸ナトリウム、カルメロースカルシウム、部分アルファー化デンプンなどが挙げられる。
滑沢剤としてはステアリン酸マグネシウム、ショ糖脂肪酸エステル、硬化油、タルクなどが挙げられる。
コーティング剤として、ヒプロメロース、ヒドロキシプロピルセルロース、エチルセルロース、PEG6000、トリアセチン、酸化チタン、三二酸化鉄、カルナウバロウなどが挙げられる。
更に必要に応じて、他の成分、例えば甘味剤、矯味剤、着色剤、香料等を配合してもよい。
本発明の医薬製剤には、ロスバスタチンの加温加湿保存下での経時安定性を向上させる目的で、1価のカチオン無機塩を配合するのが好ましい。
1価のカチオン無機塩としては、例えば、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、リン酸三ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、クエン酸二ナトリウム、塩化ナトリウム等を挙げることができる。