特許第6243273号(P6243273)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6243273
(24)【登録日】2017年11月17日
(45)【発行日】2017年12月6日
(54)【発明の名称】芝刈機
(51)【国際特許分類】
   A01D 34/73 20060101AFI20171127BHJP
【FI】
   A01D34/73 101
【請求項の数】2
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-66529(P2014-66529)
(22)【出願日】2014年3月27日
(65)【公開番号】特開2015-188337(P2015-188337A)
(43)【公開日】2015年11月2日
【審査請求日】2016年11月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100077665
【弁理士】
【氏名又は名称】千葉 剛宏
(74)【代理人】
【識別番号】100116676
【弁理士】
【氏名又は名称】宮寺 利幸
(74)【代理人】
【識別番号】100191134
【弁理士】
【氏名又は名称】千馬 隆之
(74)【代理人】
【識別番号】100149261
【弁理士】
【氏名又は名称】大内 秀治
(74)【代理人】
【識別番号】100136548
【弁理士】
【氏名又は名称】仲宗根 康晴
(74)【代理人】
【識別番号】100136641
【弁理士】
【氏名又は名称】坂井 志郎
(74)【代理人】
【識別番号】100180448
【弁理士】
【氏名又は名称】関口 亨祐
(74)【代理人】
【識別番号】100067356
【弁理士】
【氏名又は名称】下田 容一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100160004
【弁理士】
【氏名又は名称】下田 憲雅
(74)【代理人】
【識別番号】100120558
【弁理士】
【氏名又は名称】住吉 勝彦
(74)【代理人】
【識別番号】100148909
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧澤 匡則
(74)【代理人】
【識別番号】100161355
【弁理士】
【氏名又は名称】野崎 俊剛
(72)【発明者】
【氏名】栗岡 俊介
(72)【発明者】
【氏名】鶴岡 慎吾
【審査官】 石川 信也
(56)【参考文献】
【文献】 実開平01−121323(JP,U)
【文献】 米国特許第06301868(US,B1)
【文献】 米国特許第03183655(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01D 34/73
A01D 34/63
A01D 34/68
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下方が開放されたハウジングと、該ハウジング内に位置して該ハウジングの上下方向に延びた回転軸と、該回転軸を回転中心として回転可能に前記ハウジング内に収納されたカッタブレードとを含む、芝刈機において、
前記カッタブレードは、前記回転軸に対し水平方向の両方へ延びた細長い部材であり、
前記カッタブレードの長手方向の両端部は、回転方向の前縁に形成された刃と、前記前縁から回転方向後方に向かうに従って上方に湾曲した前端と、前記前端に連なり且つ後上方へ湾曲しつつ延びて旋回流及び上昇気流を発生させるためのエアリフト部とを有し、
該エアリフト部には、前記回転軸を回転中心とした外周縁のなかの、少なくとも前記回転方向の後半部から、下方へ折り曲げ形成された折り曲げ部を介して、下方へ延びる垂下翼が一体に形成され、
該垂下翼は、前記エアリフト部の前記外周縁に沿った縦板状に形成され、
前記折り曲げ部の半径は、前記エアリフト部が前記回転方向の後上方へ湾曲するに従って、漸次大きくなるように設定されていることを特徴とする芝刈機。
【請求項2】
請求項1記載の芝刈機において、前記エアリフト部及び前記垂下翼は、前記前縁から回転方向後方に向かうに従って、回転中心側に近接するように湾曲することを特徴とする芝刈機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カッタブレードを改良したロータリ式芝刈機の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
ロータリ式芝刈機は、下方が開放されているハウジング内に収納されたカッタブレードを、芝草に沿って回転させることにより、該芝草を刈るものである。該カッタブレードの回転に伴って、芝刈機には騒音が発生する。該芝刈機の騒音を抑制するために、カッタブレードの改良が進められている。このような芝刈機の技術としては、例えば特許文献1が知られている。
【0003】
特許文献1で知られている芝刈機は、ハウジング内に位置して該ハウジングの上下方向に延びた回転軸と、該回転軸を回転中心として回転可能に該ハウジング内に収納された上部及び下部カッタブレードとを含む。該上部カッタブレードは、芝草を刈るために回転方向の前縁に形成された刃を有する。該下部カッタブレードの長手方向の両端部は、回転方向の前縁に形成された刃と、該前縁から後上方へ湾曲しつつ延びて旋回流及び上昇気流を発生させるためのエアリフト部とを有する。該下部カッタブレードにエアリフト部を備えることによって、騒音を抑制することができる。
【0004】
近年は、芝刈機の作業中における、環境に対する配慮が一層求められている。このために、カッタブレードの騒音抑制性能を一層重視することが求められる。そこで、特許文献2で知られているカッタブレードを採用することが考えられる。
【0005】
特許文献2で知られている芝刈機のカッタブレードは、長手方向の両端部に、エアリフト部と垂直翼とを備える。該垂直翼は、回転軸を回転中心としてカッタブレードの外周縁から、上方へ延びている。該垂直翼によって、空気の渦流の発生を抑制することにより、騒音を抑制することができる。
【0006】
しかし、カッタブレードの外周縁から上方へ垂直翼が延びた構成では、芝刈り作業中に刈った芝草が、該カッタブレードの上面に堆積する可能性がある。また、該垂直翼は、空気の流れ場、つまり空気の旋回流に直接に晒され得る。従って、該カッタブレードの騒音抑制性能を、より高めるには、改良の余地がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2006−67918号公報
【特許文献2】実開平1−121323号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、カッタブレードの騒音抑制性能を、より高めることができる技術を、提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に係る発明によれば、下方が開放されたハウジングと、該ハウジング内に位置して該ハウジングの上下方向に延びた回転軸と、該回転軸を回転中心として回転可能に前記ハウジング内に収納されたカッタブレードとを含む、芝刈機において、前記カッタブレードは、前記回転軸に対し水平方向の両方へ延びた細長い部材であり、前記カッタブレードの長手方向の両端部は、回転方向の前縁に形成された刃と、前記前縁から回転方向後方に向かうに従って上方に湾曲した前端と、前記前端に連なり且つ後上方へ湾曲しつつ延び旋回流及び上昇気流を発生させるためのエアリフト部とを有し、該エアリフト部には、前記回転軸を回転中心とした外周縁のなかの、少なくとも前記回転方向の後半部から、下方へ折り曲げ形成された折り曲げ部を介して、下方へ延びる垂下翼が一体に形成され、該垂下翼は、前記エアリフト部の前記外周縁に沿った縦板状に形成され、前記折り曲げ部の半径は、前記エアリフト部が前記回転方向の後上方へ湾曲するに従って、漸次大きくなるように設定されていることを特徴とする芝刈機が提供される。
【発明の効果】
【0010】
請求項1に係る発明では、該エアリフト部には、回転軸を回転中心とした外周縁から下方へ延びる垂下翼が形成されている。該垂下翼は、該外周縁に沿った縦板状に形成されている。このため、回転中のカッタブレードの回転方向の後端部分に発生する、空気の剥離や渦流を極力低減することができる。該剥離や渦流の発生に伴う芝刈機の騒音を極力低減することができる。
【0011】
さらには、該垂下翼は、該エアリフト部に対して下向きである。このため、芝刈り作業中に刈った芝草が、カッタブレードの上面に堆積するのを、防ぐことができる。従って、芝刈機の騒音の低減効果を、安定して得ることができる。しかも、該垂下翼は、カッタブレードの上面に沿って流れる空気の流れ場、つまり空気の旋回流に直接には晒されにくい。このため、該垂下翼自体から生じる空気の剥離や渦流を軽減することができる。
【0012】
さらには、該垂下翼は、該エアリフト部の外周縁から、下方へ折り曲げ形成された折り曲げ部を介して、下方へ延びている。このため、該エアリフト部の外周縁と該垂下翼の上端部とのコーナには、翼端から発生する微小な空気の渦流を、極力低減することができる。
【0013】
さらには、該折り曲げ部の半径は、該エアリフト部が回転方向の後上方へ湾曲するに従って、漸次大きくなる。該エアリフト部のなかの、垂下翼の前端近傍には、刃がある。このため、垂下翼の前端の部分の折り曲げ部の半径は、極力小さいことが好ましい。該垂下翼の前端の部分から後方へ向かうにつれて、折り曲げ部の半径を大きくすることによって、回転中のカッタブレードの回転方向後端部分に発生する、空気の剥離や渦流を円滑に低減することができる。この結果、該剥離や渦流の発生に伴う騒音を、円滑に低減することができる。
【0014】
さらには、該垂下翼は、エアリフト部に一体に形成されている。しかも、該垂下翼は、エアリフト部の外周縁に沿った縦板状に形成されている。このため、該垂下翼は、エアリフト部を補強するための補強用リブの役割を果たすことができる。従って、エアリフト部の曲げ強度を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明に係る芝刈機の左側面図である。
図2図1に示される上部及び下部カッタブレードを側方から見た構成と斜め上から見た構成と長手方向端側から見た構成を示す図である。
図3図2に示される下部カッタブレードの斜視図である。
図4図3に示される下部カッタブレードの平面図である。
図5図3に示される下部カッタブレードの側面図である。
図6図3に示される下部カッタブレードの長手方向の端部を拡大した図である。
図7図6に示される折り曲げ部の各部位における断面図である。
図8図3に示される下部カッタブレードの作用図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明を実施するための形態を添付図に基づいて以下に説明する。
【実施例】
【0017】
実施例に係る芝刈機について、図1図8に基づき説明する。なお、「前」、「後」、「左」、「右」、「上」、「下」は作業者から見た方向に従う。
【0018】
図1に示されるように、芝刈機10は、芝草を刈る歩行型自走式作業機であって、ハウジング11と、該ハウジング11の前部に備えた左右の前輪12と、該ハウジング11の後部に備えた左右の後輪13と、該ハウジング11の中央の内部に収納された芝刈用の上部及び下部カッタブレード14,15と、該ハウジング11の上部に備えたエンジン16(動力源16)と、該ハウジング11から後方へ延びた操作ハンドル17とからなる。なお、動力源16はエンジンに限定されず、例えば電動モータであってもよい。
【0019】
該芝刈機10は、該エンジン16によって該上部及び下部カッタブレード14,15を回転させることにより、芝草を刈り取るとともに、該ハウジング11内に空気の流れ(旋回風の旋回流)を発生させ、該旋回流により、該上部及び下部カッタブレード14,15によって刈った芝草を刈り芝収納体22(図1参照)に送り込んで収納することができる。以下、該上部及び下部カッタブレード14,15によって刈られた芝草のことを「刈り芝」という。
【0020】
該ハウジング11は、下端面(図1に示される芝地Grに対向する面)だけが全面的に開放された、いわゆる下方が開放されたハウジングである。該ハウジング11は、該上部及び下部カッタブレード14,15によって刈られた芝草を、旋回風によって旋回運動させつつ、刈り芝搬出通路21へ向かわせるためのスクロール部を有した、平面視渦巻状の部材、つまり渦巻ケーシング(spiral case、scroll case)である。該刈り芝搬出通路21の後端にはグラスバッグ等の刈り芝収納体22を取付け可能である。刈り芝は、ハウジング11の内部で出力軸16a回りを旋回しながら刈り芝搬出通路21へ送られる。
【0021】
該ハウジング11は、機体の役割を兼ねており、上面に該エンジン16を重ねてボルト止めすることによって、一体的に組み付けたものである。該エンジン16は、下端から下方の芝地Grへ向かって該ハウジング11内まで延びた、出力軸16aを有する。該出力軸16aは、該ハウジング11内に位置して、該ハウジング11の上下方向に延びた回転軸である。結果として、該出力軸16a(回転軸16a)は、水平な芝地Gr、つまり地面Grに対して略垂直になる。
【0022】
該回転軸16aには、ハウジング11内において、クラッチ(図示せず)を介して該上部及び下部カッタブレード14,15が取り付けられている。エンジン16によって上部及び下部カッタブレード14,15を駆動することにより、該上部及び下部カッタブレード14,15は、ハウジング11内において、回転軸16a(軸心SC)を回転中心として回転可能である。
【0023】
図2(a)は、図1に示された該上部及び下部カッタブレード14,15を側方から見た構成を表している。図2(b)は、図2(a)に示された上部及び下部カッタブレード14,15を斜め上から見た構成を表している。図2(c)は、図2(b)に示された上部及び下部カッタブレード14,15をc矢視線方向から見た構成を表している。
【0024】
図2(a),(b)に示されるように、上部カッタブレード14は、回転軸16aに対し水平方向の両方へ延びた、平面視略平板状の細長い部材、つまり平面視略帯板状の部材である。該上部カッタブレード14は、長手方向の両端部31,31に、芝草を刈るために回転方向Raの前縁32に形成された一対の刃33,33を有する。
【0025】
図3図5に示されるように、該下部カッタブレード15は、回転軸16aに対し水平方向の両方へ延びた、平面視略平板状の細長い部材、つまり平面視略帯板状の部材である。該下部カッタブレード15の長手方向の両端部41,41は、該下部カッタブレード15の回転方向Raの前縁42に形成された一対の刃43,43と、該前縁42から後上方(矢印Rb方向)へ湾曲しつつ延びた一対のエアリフト部44,44とを有している。以下、矢印Rb方向のことを、「エアリフト部44の湾曲方向Rb」という。
【0026】
図2(b),(c)に示されるように、該上部カッタブレード14の刃33,33の刃先33a,33aに対し、該下部カッタブレード15の刃43,43の刃先43a,43aの少なくとも一部は、回転方向Raに対して反対側にオフセットしている。
【0027】
次に、該下部カッタブレード15について詳しく説明する。以下、該下部カッタブレード15のことを、適宜「カッタブレード15」と言い換える。
【0028】
図3図5に示されるように、該エアリフト部44,44は、該下部カッタブレード15が回転方向Raへ回転したときに、空気の旋回流及び上昇気流を発生させるための部分であり、該下部カッタブレード15に一体に形成されている。
【0029】
詳しく述べると、該エアリフト部44,44の前端44a,44aは、該刃43,43の近傍に位置している。例えば、該エアリフト部44の前端44aは、該刃43の刃先43aからエアリフト部44の後端44bまでの全幅Wa(図2(c)参照)に対し、略中央に位置している。
【0030】
該一対のエアリフト部44,44には、回転軸16aを回転中心とした外周縁45,45のなかの、少なくとも回転方向Raの後半部から、下方へ折り曲げ形成された一対の折り曲げ部46,46を介して、下方へ延びる一対の垂下翼47,47が一体に形成されている。該垂下翼47,47は、該エアリフト部44,44の外周縁45,45に沿った縦板状に形成されている。該垂下翼47,47の前端47a,47aは、該エアリフト部44,44の前端44a,44aに位置している。
【0031】
図6は、図3に示されるカッタブレード15の長手方向の端部41を拡大して表している。図7(a)は、図6の7a−7a線に沿った断面を表している。図7(b)は、図6の7b−7b線に沿った断面を表している。図7(c)は、図6の7c−7c線に沿った断面を表している。
【0032】
該折り曲げ部46,46の半径rbは、該エアリフト部44,44が回転方向Raの後上方へ湾曲するに従って、漸次大きくなるように設定されている。
【0033】
つまり、図6及び図7(a)に示されるように、該カッタブレード15の長手方向端面15aのなかの、垂下翼47の前端47aよりも回転方向Ra前側の部位には、折り曲げ部を有していない。図6及び図7(b)に示されるように、該垂下翼47の前端47aの部分の折り曲げ部46の半径rbは、極力小さく設定されている。図6及び図7(c)に示されるように、該垂下翼47の後部の部分の折り曲げ部46の半径rbは、前側よりも大きく設定されている。
【0034】
次に、上記構成の作用を説明する。図8(a)は、比較例のカッタブレード15Aのエアリフト部44Aを示している。図8(b)は、本発明の実施例のカッタブレード15のエアリフト部44を示している。
【0035】
図8(a)に示される比較例のカッタブレード15Aのエアリフト部44Aは、垂下翼を有していない他は、実施例のエアリフト部44と同じ構成である。該エアリフト部44Aには、回転軸を回転中心とした外周縁45には、空気の剥離や渦流fwを発生し得る。
【0036】
これに対し、図8(b)に示される実施例のカッタブレード15のエアリフト部44は、垂下翼47を有している。つまり、該外周縁45には、下方へ延びる垂下翼47が形成されている。該垂下翼47は、該外周縁45に沿った縦板状に形成されている。このため、回転中のカッタブレード15の回転方向Raの後端部分に発生する、空気の剥離や渦流fwを極力低減することができる。該剥離や渦流の発生に伴う芝刈機10の騒音を極力低減することができる。
【0037】
さらには、図3及び図7に示されるように、該垂下翼47,47は、該エアリフト部44,44に対して下向きである。このため、芝刈り作業中に刈った芝草が、カッタブレード15の上面15bに堆積するのを、防ぐことができる。従って、芝刈機10の騒音の低減効果を、安定して得ることができる。しかも、該垂下翼47,47は、カッタブレード15の上面15bに沿って流れる空気の流れ場、つまり空気の旋回流に直接には晒されにくい。このため、該垂下翼47,47自体から生じる空気の剥離や渦流を軽減することができる。
【0038】
さらには、図3図6及び図7に示されるように、該垂下翼47,47は、該エアリフト部44,44の外周縁45,45から、下方へ折り曲げ形成された該折り曲げ部46,46を介して、下方へ延びている。このため、図7に示されるように、該エアリフト部44,44の外周縁45,45と該垂下翼47,47の上端部とのコーナには、翼端から発生する微小な空気の渦流fwを、極力低減することができる。
【0039】
該エアリフト部44は高い部位ほど、つまり前端44aから後端44bへ向かうほど、垂下翼47に空気の剥離や渦流が多く発生して、騒音源となり得る。このため、折り曲げ部46の半径rbは大きいことが好ましい。
【0040】
しかし、図6及び図7に示されるように、エアリフト部44には、外周縁45のなかの回転方向Raの後半部にのみ、折り曲げ部46を介して垂下翼47が形成されている。言い換えると、該エアリフト部44のなかの、垂下翼47の前端47a近傍には、刃43がある。つまり、該カッタブレード15の長手方向端面15aのなかの、垂下翼47の前端47aよりも回転方向Ra前側の部位には、折り曲げ部を有していない。従って、垂下翼47の全範囲にわたり、該半径rbが一様に大きいままでは、該垂下翼47の前端47a部分を流れる空気の剥離や渦流fwの発生を、抑制することはできない。
【0041】
これに対し、本実施例では、垂下翼47の前端47aの部分の、折り曲げ部46の半径rbは、極力小さく設定されている。従って、該カッタブレード15の長手方向端面15aは、該前端47aの回転方向Ra前後での、形状の変化を小さくすることができる。この結果、該前端47a部分を流れる空気の剥離や渦流fwの発生を抑制することによって、騒音を抑制することができる。
【0042】
しかも、該折り曲げ部46の半径rbは、該エアリフト部44が回転方向Raの後上方へ湾曲するに従って、漸次大きくなる。回転中のカッタブレード15の回転方向Ra後端部分に発生する、空気の剥離や渦流fwを円滑に低減することができる。この結果、該剥離や渦流の発生に伴う騒音を、円滑に低減することができる。
【0043】
さらには、図3に示されるように、該垂下翼47,47は、エアリフト部44,44に一体に形成されている。しかも、該垂下翼47,47は、該エアリフト部44,44の外周縁45,45に沿った縦板状に形成されている。このため、該垂下翼47,47は、該エアリフト部44,44を補強するための補強用リブの役割を果たすことができる。従って、該エアリフト部44,44の曲げ強度を高めることができる。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明の芝刈機10は、歩行型芝刈機に採用するのに好適である。
【符号の説明】
【0045】
10 芝刈機
11 ハウジング
15 カッタブレード(下部カッタブレード)
15a 長手方向端面
15b 上面
16 動力源(エンジン)
16a 回転軸(出力軸)
41 下部カッタブレードの長手方向の端部
42 回転方向の前縁
43 刃
44 エアリフト部
44a エアリフト部の前端
44b エアリフト部の後端
45 回転軸を回転中心とした外周縁
46 折り曲げ部
47 垂下翼
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8