特許第6243276号(P6243276)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6243276原薬の耐酸性を向上させたハードカプセル製剤
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6243276
(24)【登録日】2017年11月17日
(45)【発行日】2017年12月6日
(54)【発明の名称】原薬の耐酸性を向上させたハードカプセル製剤
(51)【国際特許分類】
   A61K 35/745 20150101AFI20171127BHJP
   A61K 9/48 20060101ALI20171127BHJP
   A61K 47/38 20060101ALI20171127BHJP
   A61K 47/02 20060101ALI20171127BHJP
   A61K 47/42 20170101ALI20171127BHJP
   A61K 47/44 20170101ALI20171127BHJP
   A61P 1/00 20060101ALI20171127BHJP
【FI】
   A61K35/745
   A61K9/48
   A61K47/38
   A61K47/02
   A61K47/42
   A61K47/44
   A61P1/00
【請求項の数】4
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2014-71976(P2014-71976)
(22)【出願日】2014年3月31日
(65)【公開番号】特開2015-193556(P2015-193556A)
(43)【公開日】2015年11月5日
【審査請求日】2016年10月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】593106918
【氏名又は名称】株式会社ファンケル
(74)【代理人】
【識別番号】100098110
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 みどり
(74)【代理人】
【識別番号】100090583
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 清
(72)【発明者】
【氏名】中川 公太
【審査官】 常見 優
(56)【参考文献】
【文献】 特開平03−163018(JP,A)
【文献】 特許第3102990(JP,B2)
【文献】 特表2008−516623(JP,A)
【文献】 特開2012−149032(JP,A)
【文献】 特開2002−332242(JP,A)
【文献】 特表2009−509983(JP,A)
【文献】 特開平01−163128(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K35/00−35/768
36/06−36/068
9/00− 9/ 72
47/00−47/ 69
31/00−33/ 44
38/00−51/ 12
A61P 1/00−43/ 00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
耐酸性の低い原薬成分と、ヒドロキシプロピルセルロース及び炭酸カルシウムとがハードカプセルに充填され
前記耐酸性の低い原薬成分がビフィズス菌生菌末であり、
ヒドロキシプロピルセルロースの配合量が、ビフィズス菌生菌末に対して3質量%〜20質量%であり、炭酸カルシウムの配合量が、ビフィズス菌生菌末に対して0.5質量〜10質量%であることを特徴とする、原薬成分の耐酸性を向上させたハードカプセル製剤。
【請求項2】
ハードカプセルが、耐酸性ハードカプセルであることを特徴とする請求項1記載の原薬成分の耐酸性を向上させたハードカプセル製剤。
【請求項3】
さらに、乳蛋白消化物が充填されたことを特徴とする、請求項1または2記載の原薬成分の耐酸性を向上させたハードカプセル製剤。
【請求項4】
さらに、硬化油脂が充填され
硬化油脂の配合量が、ビフィズス菌生菌末に対して、20質量%〜40質量%であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の原薬成分の耐酸性を向上させたハードカプセル製剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原薬成分の耐酸性を向上させたハードカプセル製剤に関する。さらに詳しく言うと、本発明は、耐酸性の低い原薬成分を、ヒドロキシメチルセルロース及び炭酸カルシウムとともにハードカプセルに充填して得られる、原薬成分の耐酸性を向上させたハードカプセル製剤に関する。
【背景技術】
【0002】
ビフィズス菌は、酸、水、酸素に弱く、経口摂取すると、胃酸等の消化管内の酸によってほとんどが死滅してしまうため、生菌のまま腸まで送達することが困難であった。
耐酸性の低い原薬成分を生きたまま腸までデリバリーするための方法として、近年、耐酸性のハードカプセルが用いられている。しかし、該カプセルは水分を含むとキャップとボディが分離し易くなるため、内容物の保護のためにバンドシールが必要となり、高コスト化を余儀なくされるという問題があった。
そのため、ビフィズス菌等の耐酸性が低い原薬成分を生きたまま腸まで届けることができるカプセル製剤の研究が種々行われている。
【0003】
例えば、特許文献1には、耐酸性被膜と硬化油脂層とからなる二重膜構造の腸溶性シームレスカプセルを製造する技術が開示されている。
また、特許文献2には、ビフィズス菌を、カプセルの表面にキトサン含有層と腸溶性基剤含有層が二重コーティングされたハードカプセル内に充填して、ビフィズス菌を大腸まで失活させずにデリバリーする技術が開示されている。
しかしながら、特許文献1に記載の方法は、専用の製造設備や工程を必要とし、高コスト化は避けられないという問題があった。また、特許文献2に記載の方法は、カプセルのコーティングに長時間(4〜5時間)を費やす必要があり、やはり高コスト化は避けられないという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3102990号公報
【特許文献2】特開2012−149032号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような状況下で、本発明は、耐酸性の低い原薬成分を生菌末のまま腸まで送達することができ、しかも、複雑な製造設備や工程を必要とせず、低コストで製造することが可能なハードカプセル製剤を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、耐酸性の低い原薬成分を、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)及び炭酸カルシウムとともに、ハードカプセル内に充填することにより、複雑な製造設備や工程を必要とせず、低pH環境でも原薬成分の生存性を大幅に向上でき、生菌のまま腸まで送達することができるハードカプセル製剤を得ることができることを見出し、本発明を完成させた。
また、ハードカプセルとして耐酸性のハードカプセルを用いることや、HPC及び炭酸カルシウムの他に、乳蛋白消化物や硬化油脂をハードカプセルに充填することにより、さらに生菌の残存率が高くなることを見出し、本発明を完成させた。
【0007】
すなわち、本発明は、以下のハードカプセル製剤を提供するものである。
(1)耐酸性の低い原薬成分と、ヒドロキシプロピルセルロース及び炭酸カルシウムとがハードカプセルに充填されたことを特徴とする、原薬成分の耐酸性を向上させたハードカプセル製剤。
(2)ハードカプセルが、耐酸性ハードカプセルであることを特徴とする前記(1)記載の原薬成分の耐酸性を向上させたハードカプセル製剤。
(3)さらに、乳蛋白消化物が充填されたことを特徴とする、前記(1)または(2)記載の原薬成分の耐酸性を向上させたハードカプセル製剤。
(4)さらに、硬化油脂が充填されたことを特徴とする、前記(1)〜(3)のいずれかに記載の原薬成分の耐酸性を向上させたハードカプセル製剤。
(5)耐酸性の低い原薬成分が、ビフィズス菌生菌末または乳酸菌生菌末であることを特徴とする前記(1)〜(4)のいずれかに記載の原薬成分の耐酸性を向上させたハードカプセル製剤。
(6)耐酸性の低い原薬成分が、ビフィズス菌生菌末であることを特徴とする前記(5)記載の原薬成分の耐酸性を向上させたハードカプセル製剤。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、特別な製造設備や製造工程を必要とせず、原薬成分の生存性を大幅に向上させ、原薬成分を死滅させずに生菌の状態で腸まで送達することができる製剤が得られる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明について、例を挙げながら詳しく説明する。
本発明における耐酸性の低い原薬成分は、サプリメント、健康食品、美容食品、医薬品などにおいて機能成分や有効成分として用いられ、胃酸あるいは胆汁酸等消化管から分泌される酸に対する耐性が弱い成分であれば限定されない。このような耐酸性の低い原薬成分としては、腸内での活性や代謝を期待して摂取、投与されるビフィズス菌や乳酸菌が好ましく、ビフィズス菌は特に好ましい。
【0010】
本発明において、ビフィズス菌は、耐酸性が低いものであれば特に限定されず、ビフィドバクテリウム・ビフィダム、ビフィドバクテリウム・ロンガム、ビフィドバクテリウム・アドレッセンティス、ビフィドバクテリウム・ブレーべ、ビフィドバクテリウム・インファンティス等に属する株のうち、胃酸などの酸に弱いものが好適に用いられる。
また、乳酸菌も耐酸性が低いものであれば特に限定されない。このような乳酸菌の例としては、ラクトバチルス・カゼイ、ラクトバチルス・アシドフィルス等に属する株のうち、胃酸等の酸に対する耐性が弱いものが好適に用いられる。これらはpH2.0では120分間残存するが、pH1.0ではすぐに死滅する。
本発明における原薬成分は、1種のみでも2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0011】
本発明においては、機能成分または有効成分としての耐酸性の低い原薬成分を、基剤成分としてのヒドロキシプロピルセルロース(HPC)及び炭酸カルシウムと組み合わせて、ハードカプセルに充填してハードカプセル製剤を製造する。
HPCは、カプセル製剤の内容物を固めて、内容物の散逸を防止し、浸水を抑制する作用を有する。HPCとヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)は、共に浸水抑制作用を有し、胃酸耐性を付与する効果が期待されるが、HPCの方がHPMCに比べて浸水速度が小さく、浸水抑制効果が高い。また、HPMCは浸水時の膨潤度が高く、膨らんだカプセル内容物がカプセルから飛び出してしまうが、HPCは浸水時にも膨潤せず、より高い胃酸耐性を付与することができる。
本発明において、HPCは、耐酸性の低い原薬成分に対して、好ましくは、3質量%〜20質量%、さらに好ましくは、5質量%〜15質量%、特に好ましくは、8質量%〜10質量%の量で用いることが好ましい。
【0012】
炭酸カルシウムは、胃酸を中和させ、酸性で消化力の強いペプシンの作用を消滅、低下させる作用を有する。本発明においては、炭酸カルシウムをHPCと組み合わせて用いることにより、耐酸性の低い原薬成分の耐酸性を向上させることができる。
本発明において、炭酸カルシウムは、耐酸性の低い原薬成分に対して、好ましくは、0.5質量%〜10質量%の量、さらに好ましくは、1質量%〜5質量%、特に好ましくは、3質量%〜5質量%の量で用いることが好ましい。
【0013】
本発明は、耐酸性の低い原薬成分とともにHPCと炭酸カルシウムを用いることを特徴とするが、ハードカプセルとして耐酸性のハードカプセルを用いることがさらに好ましい。耐酸性のハードカプセルは、製剤への浸水を抑制することができ、健康食品や医薬等の機能成分や有効成分を胃酸等の酸から保護するために使用できるものであればよく、バンドシールはなくてもよい。このような耐酸性を有するハードカプセルとしては、CAPSUGEL社製のDRcaps等を特に好ましい例として挙げることができる。
【0014】
本発明においては、基剤成分として、上記の他に、乳蛋白消化物を用いることが好ましい。乳蛋白消化物としては、低pH環境下で凝固する性質を有し、浸水を抑制する性質を有するものであれば特に限定されない。このような乳蛋白消化物としては、森永乳業社製のGFR−Powder(N)等を特に好ましい例として挙げることができる。
本発明において、乳蛋白消化物は、耐酸性の低い原薬成分に対して、10質量%〜30質量%の量で用いることが好ましく、15質量%〜20質量%の量で用いることが特に好ましい。
【0015】
また、本発明においては、基剤成分として、HPCと炭酸カルシウムの他に、硬化油脂を用いることが好ましい。硬化油脂は、製剤中への浸水を抑制する作用を有し、サプリメント、機能性食品、医薬品において使用できるものであれば限定されない。
硬化油脂は、耐酸性の低い原薬成分に対して、20質量%〜40質量%の量で用いることが好ましく、20質量%〜30質量%の量で用いることが特に好ましい。
【0016】
本発明のハードカプセル製剤の製造方法は、限定されず、公知の方法により製造することができる。すなわち、機能成分または有効成分と基剤成分を常法により配合してカプセル内容物を調製し、それを常法によりハードカプセルに充填する方法により製造することができる。
ハードカプセルの内容物としては、耐酸性の低い原薬成分と上記基剤成分の他、許容される任意の原材料を任意の配合量で用いることができる。すなわち、ハードカプセルの内容物は、耐酸性の低い原薬成分以外の機能成分や有効成分を含んでいてもよく、その種類や配合量は特に限定されない。また、ハードカプセルの内容物は、上記基剤成分以外の任意の基剤成分を任意の配合量で含有することができる。
【0017】
本発明のハードカプセル製剤において用いることができるその他の基剤成分としては、賦形剤や滑沢剤等を挙げることができ、その種類は通常許容されるものであればよい。
【0018】
賦形剤としては、例えば、セルロース、乳糖、白糖、ブドウ糖、D−マンニトール、粉末還元麦芽糖水あめ、マルチトール、キシリトール、エリスリトール、D−ソルビトール、マルトース、デンプンおよびデンプン誘導体、アスパルテーム、グリチルリチン酸およびその塩、サッカリンおよびその塩、ステビアおよびその塩、スクラロース、アセスルファムカリウム、リン酸水素カルシウム、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース、デキストリン、デンプンおよびデンプン誘導体、グァーガム、アラビアゴム、トラガント、アルギン酸およびその塩、プルラン、カラギーナン、ゼラチン、寒天、カルボキシビニルポリマー、カルメロースナトリウム、デンプン、カルボキシメチルスターチナトリウム、カルメロースナトリウム、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース等が挙げられる。その中でも、デンプンは好ましい。これらの賦形剤は、1種または2種以上を適宜組み合わせて、任意の配合量で用いることができる。
【0019】
また、滑沢剤としては、例えば、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、タルク、水素添加植物油等が挙げられ、その中でもステアリン酸カルシウムは好ましい。これらの滑沢剤は、1種または2種以上を適宜組み合わせて任意の配合量で用いることができる。
【0020】
本発明のハードカプセル製剤の用途は特に限定されず、サプリメント、医薬品、健康食品、美容食品、飼料などに使用することができる。また、原薬成分とHPC及び炭酸カルシウムとの組み合わせは、それらが固まって存在していれば原薬成分に耐酸性を付与することができるため、ハードカプセル以外に、錠剤や固形化食品(ブロック状に固めた顆粒等)などの形態をとることも可能である。
【実施例】
【0021】
以下、実施例、試験例及び比較例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、これらは単なる例示であって、本発明を限定するものではない。
(実施例1〜4及び比較例1〜4)
<試験サンプル調製方法>
表1及び表2に示す原材料のうち、ステアリン酸カルシウム以外の原料を量り取り、V型混合器(筒井理化学器械社製:ミクロ型透視式混合器)で10分間混合した後、ステアリン酸カルシウムを加え、5分間混合し、カプセル充填用内容物を得た。次いで、カプセル充填機(Feton international社製:CAPSULE FILLER&LOADER)を使用し、1カプセル当り260mgの内容物を充填し試験サンプル(実施例1〜4及び比較例1〜4)を調製した。
【0022】
表1に示される実施例1〜4及び表2に示される比較例1〜4において用いる原材料の詳細は下記の通りである。
(機能成分)
・ビフィズス菌末(1)(森永乳業社製:高濃度ビフィズス菌末BB536−EX)生菌末
・ビフィズス菌末(2)(森永乳業社製:森永ビフィズス菌末B−3−EX)生菌末
・N−アセチルグルコサミン(焼津水産化学工業社製:マリンスウィート(R)YSK)
(賦形剤)
・ヒドロキシプロピルセルロース(日本曹達社製:セルニーH微粉)
・炭酸カルシウム(キューピー社製:カルホープ)
・乳蛋白消化物(森永乳業社製:GFR−Powdr(N))
・硬化油脂(川研ファインケミカル社製:ラブリワックス−102H)
・デンプン(松谷化学工業社製:松谷乾燥殺菌コーンスターチ)
(滑沢剤)
・ステアリン酸カルシウム(堺化学工業社製:食品添加物ステアリン酸カルシウム)
(カプセル)
・耐酸性ハードカプセル(CAPSUGEL社製:DRcaps)
・非耐酸性ハードカプセル(CAPSUGEL社製:Vcaps)
【0023】
実施例及び比較例における各成分の配合量は、実施例1を基準にし、各実施例2〜4及び比較例1〜4においては、各々の例で使用しない原材料の実施例1での配合量をデンプン(賦形剤)で置き換えた。すなわち、実施例3においては、乳蛋白消化物を使用していないが、実施例1での乳蛋白消化物の1粒当たりの質量である41.600mgと、内容物調製時の仕込量である16.000gを、実施例3ではデンプンの質量とした。
【0024】
<試験方法>
崩壊試験機(富山産業社製:NT−40HS)を使用し、37℃の日本薬局方1液(pH1.2)中でカプセルを120分間遊泳させた。その後カプセルを取り出し、下記方法で培養した。
すなわち、取り出したカプセル内容物を、生理食塩水を用いてサンプル調製し、TOSプロピオン酸寒天培地(ヤクルト薬品工業社製)へ混釈培養した。アネロパウチ・ケンキ(三菱ガス化学社製)を用いて嫌気状態にし、37℃、72時間の培養後コロニー数をカウントした。
なお、試験前の初発ビフィズス菌数は、2.0×1010個であった。
【0025】
<試験結果>
試験結果を表1及び表2に示す。
【0026】
【表1】
【0027】
【表2】
【0028】
表1に示されるビフィズス菌残数から明らかなように、HPC及び炭酸カルシウムを用いる実施例1〜4では、ビフィズス菌生菌の残数が非常に多かった。
それに対して、表2に示されるように、HPC、炭酸カルシウム、乳蛋白消化物、硬化油脂を含有しない比較例2では、ハードカプセルとして耐酸性ハードカプセルを用いても、ビフィズス菌生菌が完全に死滅した。また、HPC、炭酸カルシウム、硬化油脂を含有しない比較例3においても、ビフィズス菌生菌が完全に死滅した。比較例3とカプセル内容物を同じとし、ハードカプセルとして耐酸性ハードカプセルを用いた比較例4では、ビフィズス菌生菌の残数は、比較例3に比べると多かった。
また、実施例1の処方のうち、炭酸カルシウムを用いず、その分をデンプン(賦形剤)に置き換えた比較例1では、実施例1に比べてビフィズス菌生菌の残数が著しく減少した。
【0029】
これらの結果から、ビフィズス菌生菌末をHPC及び炭酸カルシウムと組み合わせて用いることにより、ビフィズス菌生菌末の耐酸性が著しく向上することが分かった。
また、実施例1と実施例2ではカプセルの内容物の処方は全く同じであるが、実施例1で耐酸性カプセルを用いることにより、さらにビフィズス菌の生菌末の耐酸性が向上することが分かった。
【産業上の利用可能性】
【0030】
本発明のハードカプセル製剤は、ビフィズス菌生菌末などの耐酸性の弱い原薬成分を死滅させずに、生きたまま腸まで送達することができ、水などに対する保存安定性にも優れているため、サプリメント、健康食品、美容食品、医薬品等の分野において広く利用できる。