(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第一及び第二のクランプコンデンサは、前記2つのクランプコンデンサに発生する電圧比を安定化するため、それぞれ第一及び第二のバランス抵抗が並列接続されている請求項2記載のフライバック方式のスイッチング電源装置。
前記スイッチング制御回路は、前記主スイッチング素子の両端電圧が所定電圧以下に低下したときにオンに転じるよう前記主スイッチング素子のオン・オフを制御する請求項1乃至6のいずれか記載のフライバック方式のスイッチング電源装置。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明のフライバック方式のスイッチング電源装置の第一の実施形態について、
図1、
図2に基づいて説明する。この実施形態のスイッチング電源装置10は、臨界モード制御用のICを用いた他励式の電源装置であり、入力電源12から入力された直流の入力電圧Viを、直流の出力電圧Voに変換して出力する。
【0017】
まず、スイッチング電源装置10の構成を
図1に基づいて説明する。スイッチング電源装置10は、入力電源12の両端に、トランス14の入力巻線14a及び主スイッチング素子16の直列回路が接続されている。主スイッチング素子16は、例えばNチャネルのMOS型FETであり、ドレインが入力巻線14aの一端に接続され、ソースが入力電源12のグランド側に接続され、後述するスイッチング制御回路18が出力する駆動パルスがゲート・ソース間に入力され、オン・オフする。なお、
図1の回路図には、後述する動作説明に影響する素子として、主スイッチング素子16のドレイン・ソース間に存在する寄生コンデンサ20(ds)を記載している。
【0018】
トランス14は、入力巻線14aと密に磁気結合した出力巻線14b及び補助巻線14cを有している。これらの巻数は、それぞれNa,Nb,Ncである。各巻線に付したドットは極性であり、入力巻線14aは、一端が主スイッチング素子16に接続され、他端が入力電源12のプラス側に接続されている。ここでは、入力巻線14aの他端にドットを付し、これを基準に他の巻線の極性を表している。トランス14は、主スイッチング素子16がオンの期間、入力電圧Viが入力巻線14aに印加されて励磁エネルギーが蓄積され、オフの期間にこれを放出する動作を行う。なお、
図1の回路図には、後述する動作説明に影響する素子として、入力巻線14aの両端に存在する巻線容量22、入力巻線14aと直列の位置に存在するトランス14のリーケージインダクタ24を記載している。
【0019】
出力巻線14bには、ドットが付してない一端にアノードが接続されたダイオードである出力整流素子26が設けられている。出力整流素子26は、主スイッチング素子16がオフの期間に導通し、出力巻線14bに発生する電圧を整流すると共に、トランス14が励磁エネルギーを放出する電流を流す。
【0020】
出力整流素子26のカソードと出力巻線14bのドットが付された他端との間に出力平滑コンデンサ28が設けられている。出力平滑コンデンサ28は、出力整流素子26が出力した整流電圧を平滑し、外部接続された負荷30に出力電圧Voを供給する。
【0021】
このように、スイッチング電源装置10は、トランス14、主スイッチング素子16、出力整流素子26及び出力平滑コンデンサ28で構成されたフライバック方式の電力変換部を有している。
【0022】
入力巻線14aの両端には、アクティブクランプ動作を行うためのクランプ回路32が設けられている。クランプ回路32は、NチャネルのMOS型FETであるクランプ素子34と第一のクランプコンデンサ36の直列回路を有し、第一のクランプコンデンサ36の一端が入力巻線14a及び主スイッチング素子16の接続点に接続され、第一のクランプコンデンサ36の他端がクランプ素子34のソースに接続され、クランプ素子34のドレインが、入力巻線14aのドットが付された他端に接続されている。そして、クランプ素子34のゲートが、振動電圧吸収用のゲート抵抗38を介して第一のクランプコンデンサ36の一端に接続されている。なお、
図1の回路図には、後述する動作説明に影響する素子として、クランプ素子34のドレイン・ソース間に存在する寄生コンデンサ40(ds)と、ゲート・ソース間に存在する寄生コンデンサ40(gs)と、ソースからドレインの向きに導通する寄生ダイオード42を記載している。寄生コンデンサ40(gs)は、ゲート抵抗38との間でローパスフィルタを構成し、ローパスフィルタは、第一のクランプコンデンサ36の負の電圧V36が入力され、高周波の振動成分を取り除いた正の電圧Vg34を出力する。詳しくは、後の動作説明の中で述べる。
【0023】
スイッチング制御回路18は、オン・オフ時間制御部18a、オンタイミング制御部18b、及び駆動回路18cを備えている。オン・オフ時間制御部18aは、出力電圧Voに相当する信号Vo1が一定の電圧値Vaに近づくように、すなわち、出力電圧Voが電圧値Vaに対応する目標値に保持されるように、主スイッチング素子16のオン時間及びオフ時間を制御する。オンタイミング制御部18bは、補助巻線14cの電圧V14cを観測し、主スイッチング素子16のオフ期間中、ドットが付されていない一端の電圧が−Vk以下に低下したとき、主スイッチング素子16をオンに反転させる指令を出す。駆動回路18cは、オン・オフ時間制御部18aからのオン時間及びオフ時間の指令と、オンタイミング制御部18bからの主スイッチング素子16をオンさせるタイミングの指令とを受け、双方を充足する駆動パルスを主スイッチング素子16のゲート・ソース間に向けて出力する。
【0024】
ここで、主スイッチング素子16の寄生コンデンサ20(ds)のC値をC20(ds)、入力巻線14aの巻線容量22のC値をC22、出力平滑コンデンサ28のC値をC28、第一のクランプコンデンサ36のC値をC36、クランプ素子34の寄生コンデンサ40(ds),40(gs)のC値をC40(ds),C40(gs)とすると、各C値の大小関係は、式(1),(2)を満たすようにすることが好ましい。
【0026】
【数2】
次に、スイッチング電源装置10の動作について、
図2の動作波形に基づいて説明する。スイッチング電源装置10の動作は、スイッチングの1周期を期間T1〜T6に分けて説明することができる。以下、各部のトランジスタ素子やダイオード素子が導通して電流が流れたとき、各素子の両端に発生する電圧降下は十分小さいと仮定し、無視して説明する。
【0027】
期間T1は、スイッチング制御回路18の制御により、主スイッチング素子16のゲート・ソース間の電圧Vg16がハイレベルになっており、主スイッチング素子16がオンし、ドレイン・ソース間の電圧Vd16がほぼゼロボルトになっている。また、入力巻線14aにはドットの側に入力電圧Viが印加され、出力巻線14bに接続された出力整流素子26の両端が逆バイアスされるので、出力整流素子26は非導通となる。したがって、主スイッチング素子16の電流Id16の波形に示すように、所定の傾きで増加する電流が入力電源12、入力巻線14a、主スイッチング素子16の経路に流れ、トランス14に励磁エネルギーが蓄積される。出力整流素子26の電流I26はゼロアンペアであり、出力電流Ioは出力平滑コンデンサ28から負荷30に向けて供給される。
【0028】
クランプ素子34と第一のクランプコンデンサ36の直列回路の両端には正の電圧V14a(入力電圧Vi)が印加される。期間T1は、クランプ素子34がオフしており、入力電圧Viが寄生コンデンサ40(ds)と第一のクランプコンデンサ36で分圧され、上記の式(2)の関係より、クランプ素子34のドレイン・ソース間の電圧Vd34がほぼ入力電圧Viとなり、第一のクランプコンデンサ36の電圧V36がほぼゼロボルトとなる。クランプ素子34のゲート・ソース間の電圧Vg34も、ほぼゼロボルトとなる。期間T1は、出力電圧信号Vo1を目標値Vaに近づけようとするスイッチング制御回路18の制御により、主スイッチング素子16の電圧Vg16がローレベルに転じた時に終了する。
【0029】
期間T2に入ると、主スイッチング素子16がオフに転じ、トランス14に蓄積された励磁エネルギーを放出するリセット動作が開始する。そのため、入力巻線14a、寄生コンデンサ20(ds)、入力電源12の経路に寄生コンデンサ20(ds)を充電する電流(リセット電流)が流れ、主スイッチング素子16のドレイン・ソース間の電圧Vd16が上昇する。これに伴って巻線容量22も放電され、入力巻線14aの電圧V14aが入力電圧Viからゼロに向かって低下する。
【0030】
また、期間T2の間は電圧V14aが正電圧なので、出力巻線14bに接続された出力整流素子26は逆バイアスの状態であり、出力整流素子26は非導通のままである。クランプ素子34もオフしており、電圧V14aがゼロボルトに向かって低下するのに伴って、電圧Vd34もゼロボルトに向かって低下する。また、電圧V36及び電圧Vg32は、ほぼゼロボルトに保持される。
【0031】
電圧V16dが上昇する速度は、ほぼ寄生コンデンサ20(ds)、巻線容量22、及び寄生コンデンサ40(ds)を合成したC値により制限される。上記の式(2)に示すように、これらを合成したC値(C20(ds),C22,C40(ds)を足し算した値)は非常に小さい値なので、電圧V16dが上昇する傾きは非常に急峻である。第一のクランプコンデンサ36は、C値が大きいが、寄生コンデンサ40(ds)と直列の形になるのでほとんど影響しない。期間T2は、電圧V14aがゼロボルトに達した時に終了する。
【0032】
期間T3に入っても、主スイッチング素子16はオフを継続する。トランス14のリセット動作も継続され、入力電源12、トランス14の入力巻線14a及び巻線容量22、寄生コンデンサ20(ds)の経路に、寄生コンデンサ20(ds)を充電する電流(リセット電流)が流れ、ドレイン・ソース間の電圧Vd16が入力電圧Viを超えて上昇する。これに合わせて、巻線容量22を逆向きに充電する電流(リセット電流)が流れ、入力巻線14aの電圧V14aが負方向に上昇する。
【0033】
また、期間T3は、電圧V14aが負の電圧になるので出力巻線14bの電圧がドットと逆向きになるが、負方向の電圧値が低いので、出力整流素子26の両端は逆バイアスの状態であり、出力整流素子26は非導通のままとなる。
【0034】
クランプ素子34と第一のクランプコンデンサ36の直列回路の両端には負の電圧V14aが印加される。期間T3が開始してしばらくの間、クランプ素子34はオフしているが、寄生ダイオード42が導通し、入力巻線14aの両端に第一のクランプコンデンサ36が並列接続される形となる。したがって、第一のクランプコンデンサ36を充電する電流(リセット電流)が流れ、電圧V36が電圧V14aとほぼ等しい波形になる。その後、電圧V36が負方向に上昇するのに伴い、クランプ素子34の電圧Vg34が正方向に上昇し、ゲート閾値Vth34を超えると、クランプ素子34がオンに転じる。クランプ素子34がオンすると、寄生ダイオード42に流れていたリセット電流がクランプ素子34に流れるようになる。
【0035】
電圧V16dが上昇する速度は、ほぼ第一のクランプコンデンサ36のC値により制限される。上記の式(2)の関係に示すように、このC値(=C36)は大きい値なので、電圧V16dが上昇する傾きが期間T2よりも緩やかになる。寄生コンデンサ20(ds)と巻線容量22は、第一のクランプコンデンサ36と並列に接続される形になるが、C値が小さいため、ほとんど影響しない。期間T3は、電圧V14aが負方向に上昇して(−Vr)に達した時に終了する。ここで、電圧値Vrは、式(3)のように表される。
【0036】
【数3】
期間T4に入ると、出力巻線14bのドットと逆向きの電圧が出力電圧Voに達し、出力整流素子26の両端が順バイアスの状態になり、出力整流素子24が導通する。主スイッチング素子16はオフを継続する。期間T4は、トランス14のリセット電流が、出力整流素子26、出力平滑コンデンサ28及び負荷30の経路に流れる。この電流は、出力整流素子26の電流I26の波形に示すように、所定の傾きで減少する波形となる。出力整流素子26が導通すると、非常に大きなC値(=C28)を有する出力平滑コンデンサ28が出力巻線14bの両端に接続される形になるので、出力巻線14bの電圧は、ほぼ出力電圧Voに固定される。
【0037】
出力巻線14bの電圧が出力電圧Voに固定されるので、電圧V14aが、ほぼ(−Vr)=(−Vo・Na/Nb)に保持される。ただし、期間T4の当初は、リーケージインダクタンス24が原因で発生する高周波の振動成分が電圧V14aに重畳する。
【0038】
クランプ素子34と第一のクランプコンデンサ36の直列回路の両端には、高周波の振動成分が重畳した負の電圧V14aが印加される。期間T4に入ってもクランプ素子34はオンを継続しており、入力巻線14aに第一のクランプコンデンサ36が並列接続される形となる。したがって、第一のクランプコンデンサ36を充電する電流(リセット電流)が流れ、電圧V36が電圧V14aとほぼ等しい波形になる。電圧Vg34は、ゲート抵抗38及び寄生コンデンサ40(gs)で成るローパスフィルタの効果により、電圧V36から高周波の振動成分が除去された波形(正の電圧)となる。つまり、ゲート抵抗38を設けることによって、クランプ素子34のゲート・ソース間に過大な振動電圧が入力されるのを防止することができる。期間T4は、出力整流素子26の電流I26が減少してゼロアンペアになり、トランス14のリセット動作が終了した時に終了する。
【0039】
期間T5に入ると、出力整流素子26が非導通となり、出力電流Ioは、出力平滑コンデンサ28から負荷30に向けて供給される。また、主スイッチング素子16はオフを継続し、クランプ素子34はオンを継続する。したがって、トランス14の各巻線の電圧は固定されず、トランス14の励磁インダクタとトランス14の周辺のコンデンサ成分との間で自由共振が発生する。主要なコンデンサ成分は、C値が大きい第一のクランプコンデンサ36であり、寄生コンデンサ20(ds)や巻線容量22等は第一のクランプコンデンサ36と並列に接続される形になるが、C値が小さいためほとんど影響しない。したがって、コンデンサ成分のC値が大きいため(共振周波数が非常に低くなるため)、負の電圧V14dが緩やかにゼロボルトに向かって上昇し、電圧Vd16も緩やかに低下する。これに伴い、負の電圧V36も緩やかにゼロボルトに向かって上昇し、正の電圧Vg34も緩やかに低下する。期間T5は、電圧Vg34が低下してゲート閾値Vth34に達した時に終了する。
【0040】
期間T6に入ると、クランプ素子34がオフに転じる。主スイッチング素子16はオフを継続し、出力整流素子26もオフを継続する。したがって、期間T5と同様に、トランス14の励磁インダクタとトランス14の周辺のコンデンサ成分との間の自由共振が発生する。期間T6は、クランプ素子34がオフしているので、主要なコンデンサ成分は、C値が小さい寄生コンデンサ20(ds)、巻線容量22、及び寄生コンデンサ40(ds)に切り替わる。C値が大きい第一のクランプコンデンサ36は、寄生コンデンサ40(ds)と直列の形になるため、ほとんど影響しない。したがって、コンデンサ成分のC値(C20(ds),C22,C40(ds)を足し算した値)が小さいため(自由共振の周波数が非常高くなるため)、負の電圧V14dがゼロボルトに向かう速度がやや速くなり、電圧Vd16が低下する速度もやや速くなる。
【0041】
期間T6は、スイッチング制御回路18の制御により、主スイッチング素子16のゲート・ソース間の電圧Vg16がハイレベルに転じた時に終了する。オンタイミング制御部18bは、補助巻線14cの電圧V14cを観測することにより、電圧Vd16の状態を検出する。電圧V14cと電圧Vd16の関係は、式(4)のように表される。
【0042】
【数4】
オンタイミング制御部18bは、電圧V14cが(−Vk)まで低下したことを検出すると、電圧Vd16がゼロボルト付近の所定電圧(=Vi−Vk・Na/Nc)まで低下したと判断し、駆動回路18cが主スイッチング素子16のゲート・ソース間の電圧Vg16をハイレベルに反転させ、主スイッチング16をオンさせる。この動作により、主スイッチング素子16がゼロボルトスイッチング又はこれに近い動作を行うことができ、主スイッチング素子16のスイッチング損失が小さく抑えられる。
【0043】
その後、スイッチング電源装置10は、次の周期の期間T1〜T6に移行し、上述した動作を繰り返す。
【0044】
以上説明したように、スイッチング電源装置10は、部品点数が少なく安定に動作する独特のクランプ回路32により、理想的なアクティブクランプ動作(特許文献1のスイッチング電源装置と同様の動作)を実現することができる。
【0045】
また、クランプ素子34のゲートと直列の位置にゲート抵抗38が設けられ、電圧V36から高周波の振動成分を取り除いた電圧Vg34が生成されるので、クランプ素子34のゲート・ソース間に過大な振動電圧が入力されるのを防止することができる。さらに、オンタイミング制御部18bの動作により、電圧Vd16がゼロボルト付近まで低下した時に主スイッチング素子16がオンするので、主スイッチング素子16のスイッチング損失が小さく抑えられる。
【0046】
次に、本発明のフライバック方式のスイッチング電源装置の第二の実施形態について、
図3、
図4に基づいて説明する。ここで、上記のスイッチング電源装置10と同様の構成は、同一の符号を付して説明を省略する。この実施形態のスイッチング電源装置44は、上記のスイッチング電源装置10のクランプ回路32を、新たなクランプ回路46に置き換えたもので、特に入力電圧Viが高い場合に適した実施形態である。
【0047】
クランプ回路46は、
図3に示すように、第一のクランプコンデンサ36の位置に第一のクランプコンデンサ48(1)が設けられ、第一のクランプコンデンサ48(1)及びゲート抵抗38の接続点
と、入力巻線14a及び前記主スイッチング素子16の接続点
との間に、第二のクランプコンデンサ48(2)が設けられている。また、第一及び第二のクランプコンデンサ48(1),48(2)の両端に、それぞれ第一及び第二のバランス抵抗50(1),50(2)が並列接続されている。第一のクランプコンデンサ48(1)のC値はC48(1)、第二のクランプコンデンサ48(2)のC値はC48(2)である。
【0048】
上記の式(1),(2)は上記実施形態のクランプ回路32についての式であるが、クランプ回路46の場合は、C36を、C48(1)及びC48(2)を合成した値(=C48(1)・C48(2)/(C48(1)+C48(2))に置き換えて考えるとよい。また、ゲート抵抗38が第一及び第二のクランプコンデンサ48(1),48(2)の接続点に接続されているため、ゲート抵抗38及び寄生コンデンサ40(gs)で成るローパスフィルタに入力されるのは、第一及び第二のクランプコンデンサ48(1),48(2)の直列回路の両端電圧(=V48(1)+V48(2))ではなく、これを分圧した電圧V48(1)となる。したがって、電圧V48(1),V48(2),Vg34の関係は、式(5)のように表される。
【0049】
【数5】
式(5)における分数の部分を容量分圧比Ybとすると、容量分圧比Ybは、C48(1)がC40(gs)よりも十分大きいとすれば、ほぼC48(1)とC48(2)の比で決まることになる。ただし、クランプ素子34のゲート電流や寄生コンデンサ40(gs)に流れる電流等の影響で、第一及び第二のクランプコンデンサ48(1),48(2)に流れる電流のバランスが崩れると、容量分圧比Ybが不安定になるケースが考えられる。しかし、第一及び第二のバランス抵抗50(1),50(2)を設けると、電流のアンバランスを容易に解消することができるので、式(5)に示す容量分圧比Ybを安定に得ることができる。
【0050】
次に、スイッチング電源装置44の動作について、
図4の動作波形に基づいて説明する。スイッチング電源装置44の動作波形は、上記のスイッチング電源装置10の動作波形(
図2)とほぼ同様の形となるが、特徴的なところは、クランプ素子34のゲート・ソース間の電圧Vg34の電圧レベルである。
【0051】
スイッチング電源装置44は、期間T3〜T5において、第一のクランプコンデンサ48(1)の電圧V48(1)が、電圧V14aに容量分圧比Ybを乗じた電圧となり、電圧Vg34の波高値は(Yb・Vr)となる。
【0052】
電圧値Vrは、式(3)から分かるように、トランス14の入力巻線14aと出力巻線14bの巻数Na,Nbによって異なってくる。通常、巻数Na,Nbは、トランス14の飽和特性や出力整流素子26の耐電圧特性等を考慮して設定され、例えば、「入力電圧Vi=24Vの電源装置」において巻数Na=6ターンが適切である場合、同様の条件で「入力電圧Vi=48Vの電源装置」を設計すると、巻数Na=12ターンが適切と言える。したがって、入力電圧Viの高い電源装置は、相対的に電圧値Vrが高くなり、電圧Vg34も高くなってしまう。
【0053】
一方、クランプ素子34に使用されるMOS型FETは、通常、ゲート・ソース間の耐電圧が20V〜30V程度なので、電圧Vg34の波高値は、20V〜30V以下でなければならない。このため、上記のスイッチング電源装置10の場合、電圧Vg34の波高値を
一定以下に抑えるための特別な手段を備えていないので、入力電圧Viが高い電源装置にそのまま適用することができない。
【0054】
これに対して、スイッチング電源装置44は、第一及び第二のクランプコンデンサ48(1),48(2)のC値(=C48(1),C48(2))を変更することによって容量分圧比Ybを自在に調節できるので、電圧Vg34の波高値を容易に20〜30V以下に抑えることができる。
【0055】
以上説明したように、スイッチング電源装置44は、上記のスイッチング電源装置10と同様の作用効果を得ることができ、さらに、入力電圧Viが高い電源装置にも容易に適用することができる。
【0056】
次に、本発明のフライバック方式のスイッチング電源装置の第三の実施形態について、
図5、
図6に基づいて説明する。ここで、上記のスイッチング電源装置10と同様の構成は、同一の符号を付して説明を省略する。この実施形態のスイッチング電源装置52は、上記のスイッチング電源装置10のクランプ回路32を新たなクランプ回路52に置き換えたもので、特に入力電圧Viが高い場合に適した実施形態である。
【0057】
クランプ回路52は、
図5に示すように、第一のクランプコンデンサ36及びゲート抵抗38の接続点が、入力巻線を直列に分割した分割点に接続されている。以下、入力巻線における分割点より入力電源12側の部分を第一の入力巻線14a(1)、主スイッチング素子16側の部分を第二の入力巻線14a(2)と称し、巻数はそれぞれNa(1),Na(2)とする。
【0058】
上記の式(1),(2)は上記実施形態のクランプ回路32についての式であるが、クランプ回路52の場合は、NaをNa(1)に置き換え、C36をC36・[(Na(1)+Na(2))/Na(1)]
2に置き換え、C40(ds)をC40(ds)・[(Na(1)+Na(2))/Na(1)]
2に置き換え、C40(ds)をC40(gs)・[(Na(1)+Na(2))/Na(1)]
2に置き換えて考えるとよい。
【0059】
次に、スイッチング電源装置52の動作について、
図6の動作波形に基づいて説明する。スイッチング電源装置52の動作波形は、上記のスイッチング電源装置10の動作波形(
図2)とほぼ同様の形となるが、特徴的なところは、クランプ素子34のゲート・ソース間の電圧Vg34の電圧レベルである。
【0060】
スイッチング電源装置44は、期間T3〜T5において、第一のクランプコンデンサ36の電圧V36が、第一の入力巻線14a(1)の電圧V14a(1)とほぼ等しくなり、電圧Vg34の波高値はVr(1)となる。つまり、電圧Vg34の波高値(期間T4における電圧Vg34)は、式(6)のように表される。
【0061】
【数6】
電圧値Vr(1)は、式(6)から分かるように、巻数Na(1)によって異なってくる。先に述べたように、入力電圧Viが高い電源装置を設計すると入力巻線の総巻数(Na(1)+Na(2))が多くなるため、クランプ素子34のゲート・ソース間の耐電圧が問題になる。しかし、スイッチング電源装置52は、巻数Na(1)とNa(2)の比を変更することによって電圧値Vr(1)を自在に調節できるので、電圧Vg34の波高値を容易に20〜30V以下に抑えることができる。
【0062】
以上説明したように、スイッチング電源装置52は、上記のスイッチング電源装置10と同様の作用効果を得ることができ、さらに、部品点数を増やさずに入力電圧Viが高い電源装置にも適用することができる。例えば、上記のスイッチング電源装置44と比較すると、スイッチング電源装置44の場合は、入力電圧Viが高い電源装置に適用できるようにするため、スイッチング電源装置10の構成に複数の部品(第二のクランプコンデンサ、バランス抵抗)を追加しているが、スイッチング電源装置52の場合は、部品を追加せずに同様の効果を得ることができる。
【0063】
ただ、トランス14をディスクリート部品で構成する場合(例えば、ボビンに電線を巻回してコアを組み付けた一般的な構造)、入力巻線を直列に分割した分割点を外部に引き出すため、端子を1つ追加する必要があるので、ボビンの端子の数が足りなくケースが考えられる。しかし、トランス14の各巻線を多層基板の導体層に形成されたコイルパターンで構成し、この多層基板にトランス14以外の回路素子を実装する構造にすれば、コイルパターン内の特定の位置(入力巻線の分割点)と第一のクランプコンデンサ36の一端を、導体層に形成した配線パターンを用いて簡単に接続できるので、ボビンの端子の数が足りなくなるという問題は発生しない。
【0064】
なお、本発明のフライバック方式のスイッチング電源装置は上記実施形態に限定されるものではない。例えば、第一のクランプコンデンサの電圧に重畳する高周波の振動電圧(期間T4)が小さい場合は、クランプ素子に接続されている振動電圧吸収用のゲート抵抗を省略してもよい。
【0065】
また、上記実施形態では、動作の説明を容易にするため、式(2)に示すように、主スイッチング素子の寄生コンデンサのC値(=C20(ds))、入力巻線の巻線容量のC値(=C22)、クランプ素子の寄生コンデンサのC値(=C40(ds),C40(gs))が十分小さいと仮定した。しかし、クランプコンデンサのC値が比較的小さい場合、寄生コンデンサ等のC値も回路特性に影響する。この場合は、寄生コンデンサ等の位置に、各部のC値を調整するためのコンデンサ素子を接続してもよい。
【0066】
上記実施形態のスイッチング制御回路は、臨界モード制御用のICを用いて他励式の制御を行う構成であるが、リンギングチョークコンバータのように自励式で臨界モード制御が行われる構成にしてもよい。
【0067】
主スイッチング素子のゼロボルトスイッチング又はこれに近い動作を実現するため、上記のスイッチング制御回路18は、補助巻線14cの電圧変化を観測することによって主スイッチング素子16の両端電圧Vd16が低下したことを検知しているが、主スイッチング素子の両端電圧を直接に観測する構成にしてもよい。あるいは、期間T4が終了したタイミング(トランス14のリセット動作が終了したこと)を所定の方法で検知し、その後一定時間が経過した時に電圧Vd16が一定以下に低下しているとみなす方法を使用してもよい。この方法は、一般的なリンギングチョークコンバータにも適用しやすい方法である。