特許第6243337号(P6243337)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6243337向上した物理特性及び接着特性を有する表面処理ヤーン及び布帛並びに製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6243337
(24)【登録日】2017年11月17日
(45)【発行日】2017年12月6日
(54)【発明の名称】向上した物理特性及び接着特性を有する表面処理ヤーン及び布帛並びに製造方法
(51)【国際特許分類】
   D06M 10/02 20060101AFI20171127BHJP
   F41H 1/00 20060101ALI20171127BHJP
【FI】
   D06M10/02 C
   D06M10/02 D
   F41H1/00
【請求項の数】6
【全頁数】34
(21)【出願番号】特願2014-529813(P2014-529813)
(86)(22)【出願日】2012年9月5日
(65)【公表番号】特表2014-529017(P2014-529017A)
(43)【公表日】2014年10月30日
(86)【国際出願番号】US2012053774
(87)【国際公開番号】WO2013036522
(87)【国際公開日】20130314
【審査請求日】2015年9月2日
(31)【優先権主張番号】61/531,302
(32)【優先日】2011年9月6日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/566,320
(32)【優先日】2011年12月2日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】13/602,381
(32)【優先日】2012年9月4日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500575824
【氏名又は名称】ハネウェル・インターナショナル・インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】Honeywell International Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100140109
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 新次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100075270
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 泰
(74)【代理人】
【識別番号】100101373
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 茂雄
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100129311
【弁理士】
【氏名又は名称】新井 規之
(72)【発明者】
【氏名】タム,トーマス・イウ−タイ
(72)【発明者】
【氏名】クレイン,ラルフ
(72)【発明者】
【氏名】アーディフ,ヘンリー・ジェラルド
(72)【発明者】
【氏名】ヤング,ジョン・アームストロング
(72)【発明者】
【氏名】タレント,マーク
【審査官】 春日 淳一
(56)【参考文献】
【文献】 特開平07−102473(JP,A)
【文献】 特開平07−026415(JP,A)
【文献】 特表2005−523179(JP,A)
【文献】 国際公開第2006/135347(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D06M10/00−16/00
19/00−23/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラズマ処理によって変性されているか又はコロナ処理によって変性されており、周囲室温において少なくとも33g/デニールのテナシティーを有する変性された高テナシティー繊維を製造する方法であって、
(a)周囲室温において少なくとも33g/デニールのテナシティーを有する高テナシティー繊維を与え、ここでかかる繊維は繊維表面を有し、かかる表面は繊維表面仕上げ剤によって少なくとも部分的に被覆されている;
(b)前記繊維を洗浄して繊維表面仕上げ剤の一部のみを繊維表面から除去しかつ繊維の表面に残留繊維表面仕上げ剤を残存させ;そして
(c)高テナシティー繊維を、非真空圧に保持したチャンバー内において、高テナシティー繊維を変性するのに有効な条件下でプラズマ処理又はコロナ処理にかけ、ここで前者は100W/ft/分以下のエネルギー束でのプラズマ処理であり、後者は2〜100W/ft/分以下のエネルギー束でのコロナ処理であり;
それによって、プラズマ処理によって変性されているか又はコロナ処理によって変性されており、周囲室温において少なくとも33g/デニールのテナシティーを有する変性された高テナシティー繊維であって、繊維表面仕上げ剤が残存しているが、0%以上の繊維表面が露出されていて残留繊維表面仕上げ剤で被覆されていない繊維を製造する;
工程を含む上記方法。
【請求項2】
プラズマ処理によって変性されているか又はコロナ処理によって変性されている変性ポリマー繊維を製造する方法であって、
(a)繊維表面を有し、かかる表面は繊維表面仕上げ剤によって少なくとも部分的に被覆されているポリマー繊維を与え;
(b)前記繊維を洗浄して繊維表面仕上げ剤の一部のみを繊維表面から除去しかつ繊維の表面に残留繊維表面仕上げ剤を残存させ;そして
(c)ポリマー繊維を、非真空圧に保持したチャンバー内において、ポリマー繊維を変性するのに有効な条件下でプラズマ処理又はコロナ処理にかけ、ここで前者は100W/ft/分以下のエネルギー束でのプラズマ処理であり、後者は2〜100W/ft/分以下のエネルギー束でのコロナ処理であり;
それによって、プラズマ処理によって変性されているか又はコロナ処理によって変性されている変性繊維であって、繊維表面仕上げ剤が残存しているが、0%以上の繊維表面が露出されていて残留繊維表面仕上げ剤で被覆されていない変性繊維を製造する;
工程を含む上記方法。
【請求項3】
プラズマ処理によって変性されているか又はコロナ処理によって変性されている変性ポリマー繊維を製造する方法であって、
(a)少なくとも部分的に繊維表面仕上げ剤を含まない表面を有して、繊維表面の少なくとも一部が露出されて繊維表面仕上げ剤によって被覆されていないようになっているポリマー繊維を与え;そして
(b)ポリマー繊維を、非真空圧に保持したチャンバー内において、ポリマー繊維を変性するのに有効な条件下でプラズマ処理又はコロナ処理にかけ、ここで前者は100W/ft/分以下のエネルギー束でのプラズマ処理であり、後者は2〜100W/ft/分以下のエネルギー束でのコロナ処理であり;
それによって、プラズマ処理によって変性されているか又はコロナ処理によって変性されている変性繊維であって、当該繊維の表面に残留繊維表面仕上げ剤が残存しかつ50%以上の繊維表面が露出されていて残留繊維表面仕上げ剤で被覆されていない変性繊維を製造する;
工程を含む上記方法。
【請求項4】
工程(c)を大気圧条件に維持されているチャンバー内にて実施する、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
水洗によって、繊維表面仕上げ剤の一部を繊維表面から除去する、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記複数の繊維から防弾性織成又は不織繊維複合材料を形成することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2011年9月6日出願の共に係属している米国仮出願61/531,302(その開示事項はその全部を参照として本明細書中に包含する)の利益を主張する。本出願はまた、2011年12月2日出願の共に係属している米国仮出願61/566,320(その開示事項はその全部を参照として本明細書中に包含する)の利益も主張する。
【0002】
本発明は、繊維の物理強度特性を減少させることなく高テナシティー繊維を変性する方法に関する。より詳しくは、本発明は、繊維の物理強度特性を減少させることなくプラズマ処理又はコロナ処理によって繊維を変性する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
高分子量ポリエチレン繊維及びフィラメントなどの高テナシティーの繊維及びフィラメントを製造するための多くの異なる技術が公知である。更に、高テナシティーの合成繊維を含む複合材料から製造される防弾性物品が周知である。防弾ベスト、ヘルメット、車両用パネル、及び軍装備品の構造部材のような物品は、通常は、SPECTRAポリエチレン繊維又はKEVLARアラミド繊維のような高テナシティー繊維を含む布帛から製造されている。
【0004】
多くの用途に関して、高テナシティー繊維を織成布又は編成布において用いることができる。他の用途に関しては、繊維をポリマーマトリクス材料内に封入又は埋封して不織布に成形することができる。例えば、米国特許4,403,012、4,457,985、4,613,535、4,623,574、4,650,710、4,737,402、4,748,064、5,552,208、5,587,230、6,642,159、6,841,492、6,846,758(これらは全て参照として本明細書中に包含する)においては、伸びきり鎖超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)繊維のような高テナシティー繊維から形成される防弾性複合材料が記載されている。高テナシティー繊維のそれぞれのタイプは、それ独自の独特の特徴及び特性を有し、高テナシティー繊維から製造される防弾性複合材料は、種々の程度の発射体貫通抵抗性及び背面衝撃痕(BFS)を示す。当該技術において背面変形又は外傷痕としても知られている背面衝撃痕は、発射体の衝撃から生じる防護具の歪曲の深さの指標である。
【0005】
繊維をよく表す1つの特徴は、繊維が樹脂被覆のような表面被覆と結合するか又はそれと接着する能力である。ポリマーバインダー材料の強い接着は、防弾性布帛の製造において重要である。繊維表面上におけるポリマーバインダー材料の劣った接着は、繊維−繊維結合強度及び繊維−バインダー結合強度を減少させ、それによって結合した繊維の互いからの解離、及び/又はバインダーの繊維表面からの層間剥離を引き起こす可能性がある。これは、かかる複合材料の防弾特性(防弾性能としても知られている)を低下させ、最悪の製品の不具合を引き起こす可能性がある。例えば、共に係属している出願61/531,233;61/531,255;61/531,268;61/531,302;及び61/531,323に記載されているように、背面衝撃痕と、発射体の衝撃の結果として防弾性複合材料の構成繊維が互いから層間剥離及び/又は繊維表面被覆から層間剥離する傾向との間には直接的な相関関係がある。
【0006】
繊維表面と繊維表面被覆との間の結合を向上させることによって、繊維−繊維の解離及び/又は繊維−被覆の層間剥離の効果が減少し、それによって繊維上における摩擦が増加し、発射体の繊維との噛合が増加する。この結合強度の向上によって、複合材料の構造特性が向上し、発射体の衝撃のエネルギーを複合体の背面変形を減少させる形で消散させることができる。
【0007】
当該技術において公知なように、繊維が表面被覆と結合又は接着する能力は、繊維をコロナ処理又はプラズマ処理することによって向上させることができる。コロナ処理は、繊維をコロナ放電装置に通し、それによって繊維ウエブを一連の高電圧放電(これは、穿孔、粗面化、及び繊維の表面を部分的に酸化することによる極性官能基の導入などの種々の形態で繊維ウエブの表面に作用する傾向がある)に通すプロセスである。プラズマ処理は、コロナ処理に類似しているが、主としてプラズマ処理が複数の気体の制御された反応性雰囲気中で行うのに対して、コロナ処理においては反応性雰囲気が空気である点でコロナ処理と異なる。これらの処理は、繊維表面を取り除き、繊維表面を穿孔又は粗面化し、繊維表面から汚染物質を除去し、繊維表面を酸化し、繊維表面を極性化し、繊維表面においてポリマー分子の連鎖切断及び分子量減少を引き起こし、及び/又は遊離基結合によって繊維表面の付近でポリマー鎖を架橋させることなどによって繊維を変性する。これらの変性の結果として、その後に施される材料が繊維表面に吸着、接着、又は結合する能力が向上し、それによって繊維表面被覆が層間剥離する傾向が減少し、それによって発射体の衝撃による複合材料の背面変形が減少する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許4,403,012号明細書
【特許文献2】米国特許4,457,985号明細書
【特許文献3】米国特許4,613,535号明細書
【特許文献4】米国特許4,623,574号明細書
【特許文献5】米国特許4,650,710号明細書
【特許文献6】米国特許4,737,402号明細書
【特許文献7】米国特許4,748,064号明細書
【特許文献8】米国特許5,552,208号明細書
【特許文献9】米国特許5,587,230号明細書
【特許文献10】米国特許6,642,159号明細書
【特許文献11】米国特許6,841,492号明細書
【特許文献12】米国特許6,846,758号明細書
【特許文献13】米国特許出願61/531,233号明細書
【特許文献14】米国特許出願61/531,255号明細書
【特許文献15】米国特許出願61/531,268号明細書
【特許文献16】米国特許出願61/531,302号明細書
【特許文献17】米国特許出願61/531,323号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながらここで、プラズマ処理及びコロナ処理の厳しい条件は繊維のテナシティーに対して有害であることが認識された。データは、処理前の繊維のテナシティーは処理後の繊維のテナシティーよりも非常に大きいことを示した。繊維の貫通抵抗性は複合材料を形成する繊維の物理強度に正比例し、したがって物理強度の低下はV50速度の低下と相関し、BFSの所望の向上の達成は貫通抵抗性の犠牲を伴うので、これは望ましくない。したがって、優れたV50防弾性能特性を犠牲にすることなく減少した背面衝撃痕を有する防弾性複合材料を製造する方法に対する必要性が当該技術において継続して存在する。
本発明はこの必要性に対する解決策を与える。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、プラズマ処理によって変性されているか又はコロナ処理によって変性されており、周囲室温において少なくとも約33g/デニールのテナシティーを有する変性された高テナシティー繊維を製造する方法であって、
(a)周囲室温において少なくとも約33g/デニールのテナシティーを有する高テナシティー繊維を与え、ここでかかる繊維は繊維表面を有し、かかる表面は繊維表面仕上げ剤によって少なくとも部分的に被覆されているか、或いはかかる繊維は繊維表面仕上げ剤を実質的に含まず;
(b)繊維表面が繊維表面仕上げ剤によって少なくとも部分的に被覆されている場合には、繊維表面仕上げ剤の少なくとも一部を繊維表面から除去し;そして
(c)高テナシティー繊維を、非真空圧に維持されているチャンバー内において、高テナシティー繊維を変性するのに有効な条件下でプラズマ処理又はコロナ処理にかけ;
それによって、プラズマ処理によって変性されているか又はコロナ処理によって変性されており、周囲室温において少なくとも約33g/デニールのテナシティーを有する変性された高テナシティー繊維を製造する;
工程を含む上記方法を提供する。
【0011】
本発明はまた、プラズマ処理によって変性されているか又はコロナ処理によって変性されている変性ポリマー繊維を製造する方法であって、
(a)繊維表面を有し、かかる表面は繊維表面仕上げ剤によって少なくとも部分的に被覆されているか、又は繊維は繊維表面仕上げ剤を実質的に含まないポリマー繊維を与え;
(b)繊維表面が繊維表面仕上げ剤によって少なくとも部分的に被覆されている場合には、繊維表面仕上げ剤の少なくとも一部を繊維表面から除去し;そして
(c)ポリマー繊維を、非真空圧に維持されているチャンバー内において、ポリマー繊維を変性するのに有効な条件下でプラズマ処理又はコロナ処理にかけ;
それによって、プラズマ処理によって変性されているか又はコロナ処理によって変性されている変性繊維を製造する;
工程を含む上記方法も提供する。
【0012】
本発明は更に、プラズマ処理によって変性されているか又はコロナ処理によって変性されている変性ポリマー繊維を製造する方法であって、
(a)少なくとも部分的に繊維表面仕上げ剤を含まない表面を有して、繊維表面の少なくとも一部が露出されて繊維表面仕上げ剤によって被覆されていないようになっているポリマー繊維を与え;そして
(c)ポリマー繊維を、非真空圧に維持されているチャンバー内において、ポリマー繊維を変性するのに有効な条件下でプラズマ処理又はコロナ処理にかけ;
それによって、プラズマ処理によって変性されているか又はコロナ処理によって変性されている変性繊維を製造する;
工程を含む上記方法を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の目的のためには、優れた弾丸貫通抵抗性を有する物品とは、弾丸のような変形性の発射体、及び榴散弾のような破片の貫通に対する優れた特性を示すものを示す。
本発明の目的のためには、「繊維」は、その長さ寸法が幅及び厚さの横方向の寸法よりも遙かに大きい細長い物体である。本発明において用いるための繊維の断面は広く変化させることができ、これらは、断面が円形、平面、又は楕円形であってよい。而して、「繊維」という用語は、規則的又は不規則な断面を有するフィラメント、リボン、ストリップなどを包含するが、繊維は実質的に円形の断面を有することが好ましい。本明細書において用いる「ヤーン」という用語は、複数の繊維から構成される単一ストランドとして定義される。単繊維は、一本だけのフィラメント又は複数のフィラメントから形成することができる。一本だけのフィラメントから形成される繊維は、本発明においては「シングルフィラメント」繊維又は「モノフィラメント」繊維のいずれかと呼び、複数のフィラメントから形成される繊維は、本発明においては「マルチフィラメント」繊維と呼ぶ。
【0014】
本明細書において用いる「繊維層」は、一方向に配向した繊維のシングルプライ、一方向に配向した繊維の複数の非コンソリデーションプライ、一方向に配向した繊維の複数のコンソリデーションプライ、織成布、複数のコンソリデーション織成布、又はフェルト、マット、及びランダムに配向されている繊維を含むもののような他の構造体などの複数の繊維から形成された任意の他の布帛構造体を含んでいてよい。「層」とは、概して平面状の配列を示す。それぞれの繊維層は、外側の頂面及び外側の底面の両方を有する。一方向に配向した繊維の「シングルプライ」は、一方向の実質的に平行のアレイで整列している重畳していない繊維の配列を含む。このタイプの繊維配列は、当該技術において「ユニテープ」、「一方向テープ」、「UD」、又は「UDT」としても知られている。本明細書において用いる「アレイ」とは繊維又はヤーンの規則的な配列(織成布を除く)を示し、「平行アレイ」とは繊維又はヤーンの規則的な平行の配列を示す。「配向した繊維」との関連で用いられる「配向」という用語は、繊維の延伸に対して繊維の配列を指す。「布帛」という用語は、プライの成形又はコンソリデーションを行っているか又は行っていない1以上の繊維プライを含んでいてよい構造体を示す。例えば、織成布又はフェルトは単一の繊維プライを含んでいてよい。一方向繊維から形成される不織布は、通常は互いの上に積層してコンソリデーションした複数の繊維プライを含む。本明細書において用いる場合には、「単一層」構造とは、ポリマーバインダー材料と一緒に単一の一体構造に融合された、即ち低圧積層又は高圧成形によってコンソリデーションした1以上の個々のプライ又は個々の層から構成される任意の一体型繊維構造を指す。「コンソリデーション」とは、ポリマーバインダー材料をそれぞれの繊維プライと一緒に単一の一体層に結合させることを意味する。コンソリデーションは、乾燥、冷却、加熱、加圧、又はこれらの組み合わせによって行うことができる。湿式積層プロセスの場合のように、繊維又は布帛層は一緒に接着させることができるので、熱及び/又は圧力は必要でない可能性がある。「複合材料」という用語は、繊維と少なくとも1種類のポリマーバインダー材料との組み合わせを指す。本明細書において用いる「混成複合材料」とは、複数の繊維層のコンソリデーションした組み合わせを指す。本明細書において記載する「不織」布は、織成によって形成されていない全ての布帛構造を包含する。例えば、不織布は、ポリマーバインダー材料で少なくとも部分的に被覆し、積層/重畳し、単一層の一体型部材にコンソリデーションした複数のユニテープ、並びに好ましくはポリマーバインダー組成物で被覆した非平行のランダムに配向した繊維を含むフェルト又はマットを含んでいてよい。
【0015】
繊維表面仕上げ剤は、通常は全ての繊維に対してそれらの処理容易性を促進させるために施す。繊維表面の直接プラズマ又はコロナ処理を行うためには、存在する繊維表面仕上げ剤を、繊維表面から少なくとも部分的に除去し、好ましくは繊維複合材料を形成する構成繊維の幾つか又は全部の繊維表面の全部又は一部から実質的に完全に除去することが必要である。この繊維仕上げ剤の除去はまた、繊維−繊維の摩擦を向上させ、樹脂又はポリマーバインダー材料を繊維表面に直接結合させて、それによって繊維−被覆の結合強度を増加させるようにも働く。繊維表面仕上げ剤を少なくとも部分的に除去する工程は、好ましくは全ての繊維配向/延伸工程が完了した時点で開始する。繊維を洗浄する工程又は他の形態で繊維仕上げ剤を除去する工程によって、下層の繊維表面の少なくとも一部が露出されるのに十分な繊維仕上げ剤が除去されるが、異なる除去条件によって異なる量の仕上げ剤が除去されると予測される。例えば、洗浄剤(例えば水)の組成、洗浄技術の力学的特性(例えば繊維と接触する水の強さ;洗浄浴の撹拌等)のようなファクターが、除去される仕上げ剤の量に影響を与える。本発明における目的のためには、繊維仕上げ剤の最小の除去を達成する最小の処理によって、一般に繊維表面積の少なくとも10%を露出させる。好ましくは、繊維が大部分繊維表面仕上げ剤を含まないように繊維表面仕上げ剤を除去する。本明細書において用いる繊維表面仕上げ剤を「大部分含まない」繊維とは、それらの仕上げ剤の少なくとも50重量%が除去され、より好ましくはそれらの仕上げ剤の少なくとも約75重量%が除去された繊維である。繊維は繊維表面仕上げ剤を実質的に含まないことが更により好ましい。繊維仕上げ剤を「実質的に含まない」繊維とは、それらの仕上げ剤の少なくとも約90重量%が除去され、最も好ましくはそれらの仕上げ剤の少なくとも約95重量%が除去されて、それによって以前に繊維表面仕上げ剤によって被覆されていた繊維表面積の少なくとも約90%又は少なくとも約95%が露出された繊維である。最も好ましくは、残留する仕上げ剤は、繊維の重量+仕上げ剤の重量を基準として約0.5重量%以下、好ましくは繊維の重量+仕上げ剤の重量を基準として約0.4重量%以下、より好ましくは約0.3重量%以下、より好ましくは約0.2重量%以下、最も好ましくは約0.1重量%以下の量で存在する。
【0016】
繊維仕上げ剤組成物の表面張力によって、相当量の仕上げ剤が除去される場合であっても、仕上げ剤はそれ自体を繊維表面上に分布させる性質を示すことができる。而して、大部分が繊維表面仕上げ剤を含まない繊維は、未だその表面積の一部が繊維仕上げ剤の非常に薄い被覆によって被覆されているようにすることができる。しかしながら、この残留する繊維仕上げ剤は、通常は連続被覆ではなく仕上げ剤の残留片として存在する。したがって、大部分が繊維表面仕上げ剤を含まない表面を有する繊維は、好ましくはその表面が少なくとも部分的に露出されて繊維仕上げ剤によって被覆されておらず、好ましくは繊維表面積の50%未満が繊維表面仕上げ剤によって被覆されている。大部分が繊維仕上げ剤を含まない繊維表面を含む本発明の繊維複合材料は、次にポリマーバインダー材料で被覆する。繊維仕上げ剤の除去によって繊維表面積の50%未満が繊維表面仕上げ剤によって被覆されているようになった場合には、それによってポリマーバインダー材料は繊維表面積の50%超と直接接触するようになる。
【0017】
最も好ましくは、繊維表面仕上げ剤を繊維から実質的に完全に除去し、繊維表面を実質的に完全に露出させる。この点に関し、繊維表面仕上げ剤の実質的に完全な除去とは、繊維表面仕上げ剤の少なくとも約95%、より好ましくは少なくとも約97.5%、最も好ましくは少なくとも約99.0%の除去であり、それによって、繊維表面を少なくとも約95%露出させ、より好ましくは少なくとも約97.5%露出させ、最も好ましくは少なくとも約99.0%露出させる。理想的には、繊維表面仕上げ剤の100%を除去して、それによって繊維表面積の100%を露出させる。繊維表面仕上げ剤を除去した後、ポリマーバインダー材料、樹脂、又は他の吸着物を露出した繊維表面の上に施す前に、除去された仕上げ剤粒子を繊維から取り除くことも好ましい。繊維仕上げ剤の最小の除去を達成する繊維の処理は一般に繊維表面積の少なくとも約10%を露出させるので、繊維仕上げ剤の少なくとも一部を除去するために同様に洗浄又は処理していない類似の複合材料は、繊維表面積の10%未満が露出されており、0%の表面の露出又は実質的に繊維表面の露出がない。
【0018】
また、繊維−被覆の結合強度を増加させると、繊維を一緒に適切に結合させるのに必要なバインダーの量が減少する。このバインダーの量の減少によってより多い数の繊維を布帛内に含ませることが可能になり、これによって向上した強度を有するより軽量の防弾材料を潜在的に製造することが可能になる。またこれによって、得られる布帛複合材料の向上した防刃性ももたらされる。
【0019】
機械技術手段及び化学技術手段の両方を含む繊維表面仕上げ剤を除去するための任意の従来公知の方法が本発明の関連の中で有用である。必要な方法は、一般に仕上げ剤の組成によって定まる。例えば、本発明の好ましい態様においては、水のみを用いて洗浄除去することができる仕上げ剤で繊維を被覆する。通常は、繊維仕上げ剤は、1種類以上の潤滑剤、1種類以上の非イオン乳化剤(界面活性剤)、1種類以上の静電防止剤、1種類以上の湿潤及び結合剤、並びに1種類以上の抗菌化合物の組み合わせを含む。本発明において好ましい仕上げ剤配合物は、水のみを用いて洗浄除去することができる。また、機械的手段を化学薬品と一緒に用いて化学的除去の効率性を向上させることもできる。例えば、脱イオン水を用いる仕上げ剤除去の効率性は、水適用プロセスの力、方向、速度等を操作することによって向上させることができる。
【0020】
最も好ましくは、他の化学薬品を用いることなく、好ましくは脱イオン水を用いて繊維を繊維ウエブとして水で洗浄及び/又はすすぎ、洗浄の後に場合によっては繊維の乾燥を行う。仕上げ剤が水溶性でない他の態様においては、仕上げ剤は、例えば研磨洗浄剤、化学的洗浄剤、又は酵素洗浄剤を用いて除去又は洗浄除去することができる。例えば、米国特許5,573,850及び5,601,775(参照として本明細書中に包含する)においては、非イオン界面活性剤(Charlotte, N.C.のClariant Corporationから商業的に入手できるHOSTAPUR CX)、トリナトリウムホスフェート、及び水酸化ナトリウムを含む浴にヤーンを通し、次に繊維をすすぐことが教示されている。他の有用な化学薬品としては、非排他的に、メタノール、エタノール、及び2−プロパノールのようなアルコール;シクロヘキサン及びトルエンのような脂肪族及び芳香族炭化水素;ジクロロメタン及びトリクロロメタンのような塩素化溶剤;が挙げられる。また、繊維の洗浄によって任意の他の表面汚染物質も除去され、これによって繊維と樹脂又は他の被覆材料との間のより密な接触が可能になる。
【0021】
水で繊維を洗浄するために用いられる好ましい手段は、繊維から繊維表面仕上げ剤を実質的に除去する能力を除いて限定することは意図しない。好ましい方法においては、仕上げ剤の除去は、繊維ウエブを加圧水ノズルに通して繊維から仕上げ剤を洗浄し(又はすすぎ)及び/又は物理的に除去することを含むプロセスによって行う。繊維は、場合によっては、繊維をかかる加圧水ノズルに通す前に水浴内に予め浸漬するか、及び/又は繊維を加圧水ノズルに通した後に浸漬することができ、また場合によっては、任意のかかる随意的な浸漬工程の後に繊維を更なる加圧水ノズルに通すことによってすすぐこともできる。洗浄/浸漬/すすぎを行った繊維もまた好ましくは、洗浄/浸漬/すすぎが完了した後に乾燥する。繊維を洗浄するために用いる装置及び手段は、それが、布帛ではなく、即ちそれらを織成するか又は不織繊維層若しくはプライに成形する前に、個々のマルチフィラメント繊維/マルチフィラメントヤーンを洗浄することができなければならないことを除いて限定することは意図しない。
【0022】
布帛を形成する前に繊維表面仕上げ剤を除去することは、本発明においては、特に複数の一方向に整列した繊維を含む複数の繊維プライをコンソリデーションすることによって形成される不織布を製造することを対象としている。不織の一方向に整列した繊維プライを形成するための通常のプロセスにおいては、繊維束をクリールから供給して、ガイド及び1以上の延展機バーを通して平行化梳櫛中に誘導し、次に繊維をポリマーバインダー材料で被覆する。或いは、繊維を延展機バーと接触する前に被覆することができ、或いはそれらを二組の延展機バー(1つは被覆セクションの前で、1つは被覆セクションの後)の間で被覆することができる。通常の繊維束(例えばヤーン)は約30〜約2000の個々のフィラメントを有し、それぞれの繊維は通常は約120〜約240の個々のフィラメント(しかしながらこれに限定されない)を含む。延展機バー及び平行化梳櫛によって、束になった繊維を分散及び延展し、それらを同一平面状に並べて再構成する。理想的な繊維の延展によって、個々の繊維又は更には個々のフィラメントが単一の繊維面内に互いに対して隣接して配置され、最小量の繊維が互いの上に重畳している実質的に一方向の平行な繊維のアレイが形成される。この延展工程の前又はその間に繊維表面仕上げ剤を除去することによって、繊維/フィラメントがそれと相互作用する洗浄剤(例えば水)の物理的相互作用のために、かかる平行なアレイへの繊維の延展を向上又は促進することができる。繊維の延展及び平行化の後においては、かかる平行アレイの繊維は、通常は、繊維の厚さによって1インチあたり約3〜16の繊維端(1cmあたり1.2〜6.3の端部)を含む。したがって、繊維表面仕上げ剤を除去することによって、繊維の延展が向上し、その後に施される材料/吸着物の繊維表面上における結合強度が向上するという二重の利益が達成される。
【0023】
繊維表面仕上げ剤を所望の程度まで除去した後、繊維をプラズマ処理又はコロナ処理のいずれかにかける。プラズマ処理及びコロナ処理は両方とも繊維表面において繊維を変性し、それによってその後に施される吸着物(例えばポリマー/樹脂)の繊維表面上における吸着力/結合力を更に向上させる。繊維仕上げ剤を除去することによって、これらの更なるプロセスを、繊維表面仕上げ剤又は表面汚染物質に対してではなく、繊維の表面に対して直接作用させることができる。プラズマ処理及びコロナ処理は、それぞれ、バルク繊維と繊維表面被覆との間の相互作用を最適にして被覆の繊維表面への定着を向上させるために望ましい。この変性した相互作用はBFSの向上において容易に見ることができる。
【0024】
コロナ処理は、繊維をコロナ放電装置に通し、それによって繊維ウエブを一連の高電圧放電(これは、穿孔、粗面化、及び繊維の表面を部分的に酸化することによる極性官能基の導入などの種々の形態で繊維ウエブの表面に作用する傾向がある)に通すプロセスである。コロナ処理は、通常は繊維表面を酸化し、及び/又は繊維表面に極性を付加する。コロナ処理はまた、繊維の表面中に小さい穴又は孔を焼成することによっても作用する。繊維が易酸化性である場合には、酸化の程度は、コロナ処理の出力、電圧、及び周波数のようなファクターによって定まる。コロナ放電場内での滞留時間も1つのファクターであり、これはコロナ処理装置のデザイン又はプロセスのライン速度によって操作することができる。好適なコロナ処理ユニットは、例えばEnercon Industries Corp., Menomonee Falls, Wis.、Sherman Treaters Ltd., Thame, Oxon,英国、又はHamburg,ドイツのSoftal Corona & Plasma GmbH & Coから入手できる。
【0025】
好ましい態様においては、繊維を、約2W/ft/分〜約100W/ft/分、より好ましくは約5W/ft/分〜約50W/ft/分、最も好ましくは約20W/ft/分〜約50W/ft/分のコロナ処理にかける。約1W/ft/分〜約5W/ft/分のより低いエネルギーのコロナ処理も有用であるが、効果がより弱い可能性がある。繊維表面に電荷を加えることに加えて、コロナ処理は、繊維の表面を穿孔することによって表面を粗面化することができる。
【0026】
プラズマ処理においては、繊維を、通常は繊維ウエブとして、酸素、アルゴン、ヘリウム、アンモニア、又は他の適当な不活性又は非不活性ガス(上記の気体の組合せを含む)のような不活性又は非不活性ガスを充填しているチャンバー内のイオン化雰囲気に通して、それによって繊維を、中性分子、イオン、遊離基、及び紫外光の組み合わせと接触させる。繊維表面において、表面が荷電粒子(イオン)と衝突することによって、運動エネルギーの移動及び電子の交換の両方などが引き起こされる。更に、表面と遊離基との間の衝突によって同様の化学転位が引き起こされる。また、励起原子及びより低い状態に緩和された分子によって放出される紫外光による繊維表面の衝撃によっても、繊維基材への化学的変化がもたらされる。これらの相互作用の結果として、プラズマ処理によって繊維の化学構造及び繊維表面の形状の両方を変性することができる。例えば、コロナ処理と同様に、プラズマ処理によっても繊維表面に極性を加え、及び/又は繊維の表面部分を酸化することができる。プラズマ処理はまた、繊維の表面エネルギーを増加させ、接触角を減少させ、繊維表面の架橋密度を変化させて、それによってその後の被覆の硬度、融点、及び物質定着を増加させるように機能させることもでき、繊維表面に化学的官能性を付加し、繊維表面を潜在的に除去することができる。これらの効果は、同様に繊維の化学的性質によって定まり、用いるプラズマのタイプによっても定まる。
【0027】
異なるプラズマガスを用いると表面の化学構造は異なって変性されるので、気体の選択は所望の表面処理のために重要である。これは当業者によって定められる。例えば、アンモニアプラズマを用いることによってアミン官能基を繊維表面に導入することができ、一方、酸素プラズマを用いることによってカルボキシル及びヒドロキシル基を導入することができることが知られている。したがって、反応性雰囲気に、アルゴン、ヘリウム、酸素、窒素、アンモニア、及び/又は布帛をプラズマ処理するために好適であることが知られている他の気体の1以上を含ませることができる。反応性雰囲気には、1種類以上のこれらの気体を、原子、イオン、分子、又は遊離基形態で含ませることができる。例えば、本発明の好ましい連続プロセスにおいては、好ましくはアルゴン原子、酸素分子、アルゴンイオン、酸素イオン、酸素遊離基、及び他の微量種を含む制御された反応性雰囲気に繊維のアレイを通す。好ましい態様においては、反応性雰囲気は、アルゴンと酸素の両方を約90%〜約95%のアルゴン及び約5%〜約10%の酸素の濃度で含み、90/10又は95/5のアルゴン/酸素の濃度が好ましい。他の好ましい態様においては、反応性雰囲気は、ヘリウムと酸素の両方を約90%〜約95%のヘリウム及び約5%〜約10%の酸素の濃度で含み、90/10又は95/5のヘリウム/酸素の濃度が好ましい。他の有用な反応性雰囲気は、ゼロガス雰囲気、即ち約79%の窒素、約20%の酸素、及び少量の他の気体を含む室内空気であり、これもある程度はコロナ処理のために有用である。
【0028】
プラズマ処理は、主としてプラズマ処理が複数の気体の制御された反応性雰囲気中で行うのに対して、コロナ処理においては反応性雰囲気が空気である点でコロナ処理と異なる。プラズマ処理装置内の雰囲気は容易に制御及び維持して、コロナ処理よりもより制御可能で柔軟な方法で表面極性を達成することを可能にすることができる。放電は、気体を電子、イオン、遊離基、及び準安定生成物に解離する高周波(RF)エネルギーによる。プラズマ中で生成する電子及び遊離基が繊維表面と衝突し、共有結合を開裂させ、繊維表面上に遊離基を生成させる。バッチプロセスにおいては、所定の反応時間又は温度の後、プロセスガス及びRFエネルギーを停止して、残留ガス及び他の副生成物を除去する。本発明において好ましい連続プロセスにおいては、選択された反応性ガスの原子、分子、イオン、及び/又は遊離基、並びに他の微量種を含む制御された反応性雰囲気に繊維のアレイを通す。反応性雰囲気は絶えず生成及び補充して(これによって安定状態の組成に到達すると思われる)、被覆機を停止させるまでは停止又はクエンチしない。
【0029】
プラズマ処理は、Hamburg,ドイツのSoftal Corona & Plasma GmbH & Co.;Belmont, Californiaの4th State, Inc.;Elgin, IllinoisのPlasmatreat US LP;Milwaukee, WisconsinのEnercon Surface Treating Systems;から入手できるプラズマ処理機のような任意の有用な商業的に入手できるプラズマ処理機を用いて行うことができる。プラズマ処理は、真空下に維持されているチャンバー内か、又は大気条件に維持されているチャンバー内において行うことができる。大気システムを用いる場合には、完全に閉止されたチャンバーは必須ではない。非真空環境内、即ち完全真空又は不完全真空のいずれかに維持されていないチャンバー内で繊維をプラズマ処理又はコロナ処理することによって、繊維分解の可能性が増加する可能性がある。これは、反応性種の濃度が処理圧力に比例するからである。この増加した繊維分解の可能性は、処理チャンバー内での滞留時間を減少させることによって相殺することができる。真空下での繊維の処理は、それらの繊維表面仕上げ剤を通して繊維を処理する必要性を加味すると、長い処理滞留時間の必要性をもたらす。これにより、通常は約15%〜20%の繊維テナシティーのような繊維の強度特性の損失が望ましくなく引き起こされる。処理の攻撃性は、処理のエネルギー束を減少させることによって低下させることができるが、これは繊維上の吸着物の結合を向上させる点での処理の有効性を犠牲にし、これによってBFSの向上が制限される。しかしながら、予期しなかったことに、繊維仕上げ剤を少なくとも部分的に除去した後に繊維処理を行うと、繊維テナシティーの損失は5%未満、通常は2%未満、又は1%未満であり、しばしば全く損失がなく、幾つかの場合においては、繊維の強度特性は実際には増加する(これは、繊維表面の直接処理によってポリマー繊維の架橋密度が増加するためである)ことも見出された。繊維仕上げ剤を少なくとも部分的に除去した後に繊維処理を行う場合には、処理は、遙かにより有効であり、被覆の結合の向上及びBFSを犠牲にすることなく、種々のエネルギー束のレベルにおいて攻撃性のより低い非真空環境において行うことができる。本発明の最も好ましい態様においては、高テナシティー繊維を、ほぼ大気圧又は大気圧より高い圧力に維持されているチャンバー内でプラズマ処理又はコロナ処理にかける。二次的な利益として、真空下での処理は1回に1つの繊維の処理に制限されるのに対して、大気圧下でのプラズマ処理は1回に1つより多い繊維を処理することが可能である。
【0030】
好ましいプラズマ処理プロセスは、ほぼ大気圧、即ち1気圧(760mmHg(760Torr))において、ほぼ室温(70°F〜72°F)のチャンバー温度を用いて行う。プラズマチャンバーの内部の温度は処理プロセスによって変化させることができる可能性があるが、温度は一般に処理中に独立して冷却又は加熱せず、繊維はプラズマ処理装置を迅速に通過するので繊維の処理には影響しないと考えられる。プラズマ電極と繊維ウエブとの間の温度は、通常は約100℃である。プラズマ処理プロセスは、好ましくは、約0.5kW〜約3.5kW、より好ましくは約1.0kW〜約3.05kWのRF出力下で行い、最も好ましくは、プラズマ処理は2.0kWに設定した大気圧プラズマ処理装置を用いて行う。この電力はプラズマ処理区域の幅(又は電極の長さ)にわたって分配し、この電力はまた、繊維ウエブをプラズマ処理装置の反応性雰囲気に通すライン速度に反比例する速度で基材又は繊維ウエブの長さにわたって分配する。この単位面積あたり単位時間あたりのエネルギー(平方フィートあたり分あたりのワット数、又はW/ft/分)又はエネルギー束は、処理レベルを比較するのに有用な手段である。エネルギー束に関する有効値は、好ましくは約0.5〜約200W/ft/分、より好ましくは約1〜約100W/ft/分、更により好ましくは約1〜約80W/ft/分、更により好ましくは約2〜約40W/ft/分、最も好ましくは約2〜約20W/ft/分である。全気体流速は約16L/分であるが、これは厳密に限定することは意図していない。
【0031】
全気体流速はプラズマ処理区域の幅にわたって分配されるので、プラズマ処理装置のプラズマ処理区域の長さ/幅が増加するのに伴って更なるガス流が必要な可能性がある。例えば、2倍の処理区域の幅を有するプラズマ処理装置は、1倍の処理区域の幅を有するプラズマ処理装置と比べて2倍多い気体流が必要な可能性がある。繊維のプラズマ処理時間(又は滞留時間)も、用いるプラズマ処理装置の寸法に対して相対的なものであり、厳密に限定することは意図していない。好ましい大気システムにおいては、約1/2秒間〜約3秒間の滞留時間で繊維をプラズマ処理に曝露し、平均滞留時間は約2秒間である。より適切な指標は、単位面積あたり時間あたりに繊維に施されるRF出力の観点でのプラズマ処理の量である。
【0032】
更に、本発明の複合材料及び布帛には、処理している幾つかの繊維及び処理していない幾つかの繊維を含ませることができる。例えば、本発明における複合材料は、コロナ処理している幾つかの繊維及びプラズマ処理している幾つかの繊維から製造することができる。これらの代表的なプロセスのそれぞれは、繊維の表面上におけるそれらの作用により、繊維の化学的性質によってバルク繊維とその後に施される被覆材料との間の相互作用を変性、向上、又は減少させるために用いることができる。本発明の種々の処理工程は、複合材料を背面衝撃痕又は他の特性の所望の範囲内に位置づけるために繊維を操作するための方法として用いることができる。BFS試験によって特定の複合材料が所望の値よりも悪いBFSを有することが測定される場合には、これは更なる繊維の洗浄及び/又は更なる表面処理を行ってかかる特性を所望の範囲内に更に増加させなければならないことを示している。
【0033】
プラズマ及びコロナ処理は、繊維表面仕上げ剤を少なくとも部分的に除去した後であるが、バインダー/マトリクス樹脂或いは他の表面吸着物/被覆を施す前に行う。整列させた繊維ウエブをポリマーバインダー材料又は樹脂で被覆する直前に露出した繊維表面を処理することは、繊維製造プロセスにもたらされる中断が最も少なく、繊維を変性して保護されていない状態にしておく時間が最も短いので最も好ましい。繊維スプール(巻回繊維パッケージ)から繊維を解舒して繊維を繊維ウエブに整列させた直後に繊維表面仕上げ剤を除去して露出した繊維表面を処理し、その後直ちに繊維にポリマー/樹脂被覆を被覆又は含侵させることが理想的である。また、繊維の表面変性の寿命又は崩壊率に関して考慮した場合、これによって繊維が処理されて未被覆の状態にされている時間が最も短くなる。しかしながら、これは主として全製造プロセスに最も少ない中断をもたらすために理想的なのであって、必ずしも複合材料のBFS性能の向上を達成するために理想的なのではない。
【0034】
本明細書に記載する方法にしたがって製造される繊維複合材料は、優れた背面衝撃痕特性を示すことが見出された。背面衝撃痕は、発射体の衝撃によって軟質防護具又は硬質防護具のいずれかが裏当て材料の中又は着用者の体の中へ歪曲する深さの指標である。より具体的には、当該技術において「背面変形」、「外傷痕」、又は「鈍力外傷」としても知られているBFSは、防護具が発射体の貫通を停止させた時点で発射体が防護具の下にどのくらい多くの衝撃を残すかの指標であり、防護具の下の人体が遭遇する潜在的な鈍的外傷を示す。背面変形の減少は、繊維複合材料の構成繊維を変性して、繊維−繊維の噛合を向上させ、及び/又は繊維−被覆の層間剥離傾向を減少させることで得られる。発射体の衝撃による繊維−繊維の解離及び/又は繊維−被覆の層間剥離の減少は、繊維を布帛に加工する前に従前から存在する繊維表面仕上げ剤を繊維から少なくとも部分的に除去した後に繊維をプラズマ処理又はコロナ処理することによって最適化され、ここで布帛の形成は、繊維を相互接続して、それによって織成布層、不織布層、又は不織繊維プライを形成することを含む。繊維表面仕上げ剤は一般に上記に記載のように必要な加工助剤として知られているので、不織布層又は不織繊維プライの形成前、又は織成布の織成の前に繊維表面仕上げ剤を除去することはこれまで知られていなかった。不織布の製造においては、繊維表面仕上げ剤は、一般的に、帯電を減少させ、繊維の縺れを阻止し、繊維を潤滑してそれが織機部品上で滑動することを可能にし、及び繊維延伸工程中などの加工中の繊維の結合を向上させるために必要である。従前に存在する繊維表面仕上げ剤の少なくとも一部をを繊維から除去した後に繊維をプラズマ処理又はコロナ処理することによって、露出された繊維表面を直接処理して、それによって繊維仕上げ剤について処理を行うのではなく、繊維表面を変性することが可能になる。繊維−繊維の解離及び/又は繊維−被覆の層間剥離を減少させることにより、高速の発射体に対して対応して優れた背面衝撃痕性能を有する複合材料が得られる。
【0035】
背面衝撃痕の向上は、構成繊維がポリエチレン繊維(それらの防弾能力において他の繊維よりも性質的に優れているが、それらの構造特性においては必ずしも優れていない)である場合に特に明らかである。ポリエチレン繊維の表面を、それから形成されるポリエチレンベースの布帛を製造する前に上記に記載したように処理すると、アラミド繊維などの任意の他の繊維のタイプよりも比較的優れている構造特性、弾丸貫通抵抗性、及び背面衝撃痕抵抗特性の組み合わせが達成される。
【0036】
この点に関し、本発明の繊維複合材料は、2.0psfの面密度を有する複合材料に関して測定して、約427m/秒〜約445m/秒(1430フィート/秒(fps)±30fps)の速度で発射した124グレーンの9mmFMJ−RN発射体によって衝撃を与えた際に約6.0mm未満の好ましい背面衝撃痕を有する。これは、本発明の全ての繊維複合材料又は物品が2.0psfの面密度を有すると言っている訳ではなく、本発明の全ての繊維複合材料又は物品がかかる速度におけるかかるFMJ−RN発射体に対して6mmのBFSを有すると言っている訳でもない。これは、本発明方法にしたがって製造される複合材料が、2.0psfのパネルに成形した場合に、2.0psfのパネルは、ほぼ室温(約70°F〜72°F)において測定して、かかる速度におけるかかるFMJ−RN発射体に対して約6mm未満のBFSを有することを特徴とすることを明らかにしているに過ぎない。
【0037】
また、BFS、背面変形、外傷痕、及び鈍力外傷の用語は、発射体の衝撃による複合材料の陥没の深さの指標ではなく、発射体の衝撃による裏当て材料中又は着用者の体の中への陥没の深さの指標であることも理解すべきである。これは硬質防護具、特にヘルメット防護具の研究に特に関連している。ヘルメットのBFSは通常はプロトタイプのヘルメットを金属製の頭部模型上に配置し、ヘルメットを頭部模型から1/2インチ(1.27cm)離すサスペンションシステムによってヘルメットを頭部模型上に保持することによって試験される。頭部模型の複数のセクションにクレイを充填し、これらのクレイ領域中の陥没の深さを、測定において1/2インチの間隔の深さを含まないBFSとして測定する。これは、実験室でのBFS試験を現場での使用において兵士が遭遇する実際のBFSと相関させる目的のために行うものであり、通常のヘルメットは、ヘルメットの内部パッド又はサスペンションシステム/保持ハーネスによって、頭部から通常は1/2インチのずれを含んでいる。他方において、軟質防護具のBFSは、通常は、空隙を与えずにクレイ表面上に直接防護具を配置することによって試験される(これは、実際の現場での使用におけるその位置と合致している)。したがって、BFSの深さの測定値は用いる試験法に対して相対的なものであり、BFSの深さの測定値を比較する場合には、用いる試験法が、試験試料を裏当て材料上に直接配置することを必要としていたか否か、又は裏当て材料から離して配置することを必要としていたか否かを明らかにすることが必要である。この点に関し、本出願における全ての背面衝撃痕データは、共に係属している特許出願61/531,233に記載されている装置を用いて、2.0psfの試料とクレイ裏当て材料との間に1/2インチの空隙を与えて測定した。本発明の好ましい態様においては、本発明の繊維複合材料は、ほぼ室温において測定して、NIJ標準規格0101.04の発射体発射条件下で約427m/秒〜約445m/秒の速度で発射した124グレーンの9mmFMJ発射体で衝撃を与えた際に約5mm未満、より好ましくは約4mm未満、より好ましくは約3mm未満、より好ましくは約2mm未満のより好ましい背面衝撃痕を有し、最も好ましくは、約427m/秒〜約445m/秒の速度で発射した124グレーンの9mmFMJ−RN発射体(弾底を除いて約90%の銅及び10%の亜鉛を含む弾丸)で衝撃を与えた際に約1mm未満の背面衝撃痕を有する。約427m/秒〜約445m/秒の速度で発射した124グレーンの9mmFMJ−RN発射体に対してBFSを試験することは、当該技術において通常的である。
【0038】
これらのBFS値を達成するかかる繊維複合材料は、それぞれ、複数の接合された繊維層を有し、それぞれの繊維層はポリマー材料によって少なくとも部分的に被覆されている表面を有する繊維を含み、かかる繊維は、大部分が繊維表面仕上げ剤を含まないで、かかるポリマー材料が大部分繊維表面と直接接触するようになっている。これらのBFS値を達成するかかる繊維複合材料はまた、好ましくは、16グレーンの直円柱(RCC)形発射体に対して、少なくとも約3200フィート/秒(fps)(975.36m/秒)、より好ましくは少なくとも約3300fps(1005.84m/秒)、更により好ましくは少なくとも約3400fps(1036.32m/秒)、更により好ましくは少なくとも約3500fps(1066.8m/秒)、最も好ましくは少なくとも約3600fps(1097.28m/秒)のV50を示す。上記のV50値は全て、約2.0ポンド/ft(psf)(9.76kg/m(ksm))の複合材料の面密度を有する防護具パネルに関するものである。BFSと同様に、これは本発明の全ての繊維複合材料又は物品が特定の面密度を有すると言っている訳ではなく、本発明の全ての繊維複合材料又は物品が16グレーンのRCC発射体に対して少なくとも約3300フィート/秒のV50を有すると言っている訳でもない。これは、本発明方法にしたがって製造される複合材料が、2.0psfのパネルに成形した際に、16グレーンのRCC発射体に対して少なくとも約3200フィート/秒のV50を有することを特徴とすることを明らかにしているに過ぎない。
【0039】
本発明の好ましい態様においては、本発明の繊維複合材料は、ほぼ室温において測定して、約427m/秒〜約445m/秒の速度で発射した124グレーンの9mmFMJ−RN発射体に対して約5mm以下のBFSに加えて、16グレーンのRCC発射体に対して少なくとも約3200fps又は少なくとも約3300fpsのV50、より好ましくは、約427m/秒〜約445m/秒の速度で発射した124グレーンの9mmFMJ−RN発射体に対して約4mm以下のBFSに加えて、16グレーンのRCC発射体に対して少なくとも約3200fps又は少なくとも約3300fpsのV50、更により好ましくは、約427m/秒〜約445m/秒の速度で発射した124グレーンの9mmFMJ−RN発射体に対して約3mm以下、約2mm以下、又は約1mm以下のBFSに加えて、16グレーンのRCC発射体に対して少なくとも約3200fps又は少なくとも約3300fpsのV50を有する。本発明のより好ましい態様においては、本発明の繊維複合材料は、ほぼ室温において測定して、約427m/秒〜約445m/秒の速度で発射した124グレーンの9mmFMJ−RN発射体に対して約5mm以下のBFSに加えて、16グレーンのRCC発射体に対して少なくとも約3400fps又は少なくとも約3500fpsのV50、より好ましくは、約427m/秒〜約445m/秒の速度で発射した124グレーンの9mmFMJ−RN発射体に対して約4mm以下のBFSに加えて、16グレーンのRCC発射体に対して少なくとも約3400fps又は少なくとも約3500fpsのV50、最も好ましくは、約427m/秒〜約445m/秒の速度で発射した124グレーンの9mmFMJ−RN発射体に対して約3mm以下、約2mm以下、又は約1mm以下のBFSに加えて、16グレーンのRCC発射体に対して少なくとも約3300fpsのV50を有する。本発明の最も好ましい態様においては、本発明の繊維複合材料は、ほぼ室温において測定して、約427m/秒〜約445m/秒の速度で発射した124グレーンの9mmFMJ−RN発射体に対して約5mm以下のBFSに加えて、16グレーンのRCC発射体に対して少なくとも約3600fpsのV50、より好ましくは、約427m/秒〜約445m/秒の速度で発射した124グレーンの9mmFMJ−RN発射体に対して約4mm以下のBFSに加えて、16グレーンのRCC発射体に対して少なくとも約3600fpsのV50、最も好ましくは、約427m/秒〜約445m/秒の速度で発射した124グレーンの9mmFMJ−RN発射体に対して約3mm以下、約2mm以下、又は約1mm以下のBFSに加えて、16グレーンのRCC発射体に対して少なくとも約3600fpsのV50を有する。上述したように、このBFSデータは、共に係属している特許出願61/531,233に記載されている装置を用いて、2.0psfの試料とクレイ裏当て材料との間に1/2インチの空隙を与えて、室温において測定して測定した。
【0040】
本発明の繊維層及び複合材料を形成する高強度で高引張弾性率のポリマー繊維は、プラズマ/コロナ処理の後の繊維のテナシティーが、プラズマ/コロナ処理の前の元の繊維のテナシティーの約95%〜100%であり(即ち、処理による繊維テナシティーの損失が5%未満であり)、より好ましくは元の繊維のテナシティーの約98%〜100%であり(即ち、処理による繊維テナシティーの損失が2%未満であり)、更により好ましくは元の繊維のテナシティーの約99%〜100%であり(即ち、処理による繊維テナシティーの損失が1%未満であり)、更により好ましくはプラズマ/コロナ処理の後の繊維のテナシティーが、プラズマ/コロナ処理の前の元の繊維のテナシティーに等しく(即ち、処理による繊維テナシティーの損失がなく)、最も好ましくはプラズマ/コロナ処理の後の繊維のテナシティーが、プラズマ/コロナ処理の前の元の繊維のテナシティーよりも大きい(即ち、処理によって繊維テナシティーが増加する)ならば、任意の繊維テナシティーのものであってよい。
【0041】
したがって、本発明において形成される繊維層及び複合材料は、好ましくは、プラズマ/コロナ処理の前に少なくとも約20g/デニールのテナシティー、及びプラズマ/コロナ処理の後に少なくとも約20g/デニールのテナシティーを有する高強度で高引張弾性率のポリマー繊維から形成される防弾性複合材料である。より好ましくは、繊維は、プラズマ/コロナ処理の前に少なくとも約25g/デニールのテナシティー、及びプラズマ/コロナ処理の後に少なくとも約25g/デニールのテナシティーを有する。より好ましくは、繊維は、プラズマ/コロナ処理の前に少なくとも約30g/デニールのテナシティー、及びプラズマ/コロナ処理の後に少なくとも約30g/デニールのテナシティーを有する。より好ましくは、繊維は、プラズマ/コロナ処理の前に少なくとも約33g/デニールのテナシティー、及びプラズマ/コロナ処理の後に少なくとも約33g/デニールのテナシティーを有する。より好ましくは、繊維は、プラズマ/コロナ処理の前に少なくとも約35g/デニールのテナシティー、及びプラズマ/コロナ処理の後に少なくとも約35g/デニールのテナシティーを有する。更により好ましくは、繊維は、プラズマ/コロナ処理の前に少なくとも約37g/デニールのテナシティー、及びプラズマ/コロナ処理の後に少なくとも約37g/デニールのテナシティーを有する。より好ましくは、繊維は、プラズマ/コロナ処理の前に少なくとも約39g/デニールのテナシティー、及びプラズマ/コロナ処理の後に少なくとも約39g/デニールのテナシティーを有する。より好ましくは、繊維は、プラズマ/コロナ処理の前に少なくとも約45g/デニールのテナシティー、及びプラズマ/コロナ処理の後に少なくとも約45g/デニールのテナシティーを有する。より好ましくは、繊維は、プラズマ/コロナ処理の前に少なくとも約50g/デニールのテナシティー、及びプラズマ/コロナ処理の後に少なくとも約50g/デニールのテナシティーを有する。より好ましくは、繊維は、プラズマ/コロナ処理の前に少なくとも約55g/デニールのテナシティー、及びプラズマ/コロナ処理の後に少なくとも約55g/デニールのテナシティーを有する。更により好ましくは、繊維は、プラズマ/コロナ処理の前に少なくとも約60g/デニールのテナシティー、及びプラズマ/コロナ処理の後に少なくとも約60g/デニールのテナシティーを有する。最も好ましくは、繊維は、プラズマ/コロナ処理の前に少なくとも約65g/デニールのテナシティー、及びプラズマ/コロナ処理の後に少なくとも約65g/デニールのテナシティーを有する。本明細書において示す全てのテナシティーの測定値は、周囲室温において測定する。本明細書において用いる「デニール」という用語は、線密度の単位を指し、繊維又はヤーン9000mあたりの質量(グラム数)に等しい。本明細書において用いる「テナシティー」という用語は、未延伸の試験試料の単位線密度(デニール)あたりの力(グラム数)として表される引張応力を指し、ASTM−D2256によって測定する。繊維の「初期弾性率」は、変形に対するその抵抗性を表す材料の特性である。「引張弾性率」という用語は、元の繊維の長さの割合(インチ/インチ)として表される歪みの変化に対するデニールあたりのグラム力(g/d)で表されるテナシティーの変化の比を指す。繊維の引張弾性率はまた、繊維のテナシティーと同様にプラズマ及びコロナ処理の影響を受ける。しかしながら、繊維表面仕上げ剤を除去した後に大気圧下で繊維をプラズマ又はコロナ処理すると、繊維表面の直接処理による架橋密度の増加のために弾性率が上昇することが実際に見出された。
【0042】
繊維を形成するポリマーは、好ましくは、防弾性複合材料/布帛を製造するために好適な高強度で高引張弾性率の繊維である。防弾性複合材料及び物品を形成するために特に好適である特に好適な高強度で高引張弾性率の繊維材料としては、高密度及び低密度ポリエチレンなどのポリオレフィン繊維が挙げられる。高配向の高分子量ポリエチレン繊維、特に超高分子量ポリエチレン繊維、及びポリプロピレン繊維、特に超高分子量ポリプロピレン繊維のような伸び切り鎖ポリオレフィン繊維が特に好ましい。アラミド繊維、特にパラアラミド繊維、ポリアミド繊維、ポリエチレンテレフタレート繊維、ポリエチレンナフタレート繊維、伸び切り鎖ポリビニルアルコール繊維、伸び切り鎖ポリアクリロニトリル繊維、ポリベンズオキサゾール(PBO)及びポリベンゾチアゾール(PBT)繊維のようなポリベンザゾール繊維、液晶コポリエステル繊維、及びM5繊維のような他の硬質ロッド繊維も好適である。これらの繊維のタイプのそれぞれは当該技術において従来公知である。また、上記の材料のコポリマー、ブロックポリマー、及びブレンドも、ポリマー繊維を製造するために好適である。
【0043】
防弾性布帛のために最も好ましい繊維のタイプとしては、ポリエチレン、特に伸び切り鎖ポリエチレン繊維、アラミド繊維、ポリベンザゾール繊維、液晶コポリエステル繊維、ポリプロピレン繊維、特に高配向伸び切り鎖ポリプロピレン繊維、ポリビニルアルコール繊維、ポリアクリロニトリル繊維、及び他の硬質ロッド繊維、特にM5繊維が挙げられる。具体的には、最も好ましい繊維はアラミド繊維である。
【0044】
ポリエチレンの場合においては、好ましい繊維は、少なくとも500,000、好ましくは少なくとも1,000,000、より好ましくは2,000,000〜5,000,000の間の分子量を有する伸び切り鎖ポリエチレンである。かかる伸び切り鎖ポリエチレン(ECPE)繊維は、米国特許4,137,394又は4,356,138(参照として本明細書中に包含する)に記載されているような溶液紡糸プロセスにおいて成長させることができ、或いは米国特許4,551,296及び5,006,390(これも参照として本明細書中に包含する)に記載されているように溶液から紡糸してゲル構造を形成することができる。本発明において用いるのに特に好ましい繊維のタイプは、Honeywell International Inc.からSPECTRAの商標で販売されているポリエチレン繊維である。SPECTRA繊維は当該技術において周知であり、例えば米国特許4,623,547及び4,748,064に記載されている。ポリエチレンに加えて、他の有用なポリオレフィン繊維のタイプは、Spartanburg, South CarolinaのMilliken & Companyから商業的に入手できるTEGRIS繊維のようなポリプロピレン(繊維又はテープ)である。
【0045】
また、アラミド(芳香族ポリアミド)又はパラアラミド繊維も特に好ましい。これは商業的に入手することができ、例えば米国特許3,671,542に記載されている。例えば、有用なポリ(p−フェニレンテレフタルアミド)フィラメントは、DuPontによってKEVLARの商標で商業的に製造されている。また、DuPontによってNOMEXの商標で商業的に製造されているポリ(m−フェニレンイソフタルアミド)繊維、及びTeijinによってTWARONの商標で商業的に製造されている繊維;韓国のKolon Industries, Inc.によってHERACRONの商標で商業的に製造されているアラミド繊維;ロシアのKamensk Volokno JSCによって商業的に製造されているp−アラミド繊維のSVM及びRUSAR、及びロシアのJSC Chim Voloknoによって商業的に製造されているARMOS:p−アラミド繊維も、本発明の実施において有用である。
【0046】
本発明を実施するために好適なポリベンザゾール繊維は、商業的に入手することができ、例えば米国特許5,286,833、5,296,185、5,356,584、5,534,205、及び6,040,050(これらのそれぞれを参照として本明細書中に包含する)において開示されている。本発明を実施するために好適な液晶コポリエステル繊維は、商業的に入手することができ、例えば米国特許3,975,487;4,118,372;及び4,161,470(これらのそれぞれを参照として本明細書中に包含する)において開示されている。好適なポリプロピレン繊維としては、米国特許4,413,110(参照として本明細書中に包含する)に記載されている高配向の伸び切り鎖ポリプロピレン(ECPP)繊維が挙げられる。好適なポリビニルアルコール(PV−OH)繊維は、例えば米国特許4,440,711及び4,599,267(参照として本明細書中に包含する)に記載されている。好適なポリアクリロニトリル(PAN)繊維は、例えば米国特許4,535,027(参照として本明細書中に包含する)において開示されている。これらの繊維のタイプのそれぞれは従来公知であり、広く商業的に入手することができる。
【0047】
M5繊維は、ピリドビスイミダゾール−2,6−ジイル(2,5−ジヒドロキシ−p−フェニレン)から形成され、Richmond, VirginiaのMagellan Systems Internationalによって製造されており、例えば米国特許5,674,969、5,939,553、5,945,537、及び6,040,478(これらのそれぞれを参照として本明細書中に包含する)に記載されている。全ての上記の材料(これらは全て商業的に入手できる)の組み合わせもまた好適である。例えば、アラミド繊維、UHMWPE繊維(例えばSPECTRA繊維)、炭素繊維等、並びにガラス繊維及び他のより低い性能の材料の1以上の組み合わせから繊維層を形成することができる。しかしながら、BFS及びV50値は繊維のタイプによって変動する可能性がある。
【0048】
繊維は、上記に規定するテナシティーを有する繊維を達成するのに有用な任意の好適なデニール数のものであってよい。選択は、防弾有効性及びコストを考慮することによって決定される。より微細な繊維は製造及び織成するのがより高コストであるが、単位重量あたりより大きい防弾有効性を生じさせることができる。少なくとも約37g/デニールのテナシティーを有する超高分子量ポリエチレン繊維は、例えば共に係属している2011年6月30日出願の出願13/173,919の方法を用いることによって得ることができる。
【0049】
高強度繊維を製造するための他の公知の方法は、例えば米国特許4,413,110、4,440,711、4,535,027、4,457,985、4,623,547、4,650,710、及び4,748,064(本発明と整合する範囲で参照として本明細書中に包含する)において開示されている。溶液成長又はゲル繊維プロセスを含むかかる方法は当該技術において周知である。パラアラミド繊維などの他の好ましい繊維のタイプのそれぞれを形成する方法も当該技術において従来公知であり、これらの繊維は商業的に入手できる。
【0050】
所望のように繊維表面仕上げ剤の少なくとも一部を繊維表面から除去した後、及び場合によってはその後に施される吸着物の繊維表面上における吸着力を向上させるのに有効な条件下で繊維表面を処理した後、次に吸着物を場合によっては繊維の少なくとも幾つかの少なくとも一部の上に施す。この目的のためには、「吸着物」はポリマーバインダー材料及び樹脂を含む任意の固体、液体、又は気体であってよく、吸着は、繊維表面への材料の任意の形態の結合を包含する。「吸着物」の定義は、ポリマーバインダー材料、樹脂、又はポリマーマトリクス材料として有用な全てのポリマーを明確に包含するが、有用な吸着物の種類は、結合特性を有するバインダー材料ではない、スピン仕上げ材料のような繊維表面仕上げ剤物質などの結合特性を有しない材料を明確に排除する。これに対して、繊維表面仕上げ剤材料は、本発明にしたがって繊維表面から特異的に除去される。「吸着物」という用語はまた、同じ出願人に所有されている米国特許出願公開2008/0119098(その開示事項を参照として本明細書中に包含する)において開示されているように、酸化ケイ素、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化タンタル、酸化ハフニウム、酸化ジルコニウム、アルミン酸チタン、ケイ酸チタン、アルミン酸ハフニウム、ケイ酸ハフニウム、アルミン酸ジルコニウム、ケイ酸ジルコニウム、窒化ホウ素、又はこれらの組み合わせのような無機材料を明確に包含する。
【0051】
「吸着(又は「吸着力」若しくは「吸着させる」)」という用語は、広範には、繊維表面上の任意の材料(固体、液体、気体、又はプラズマ)の物理吸着及び化学吸着の両方を包含するように意図され、ここで、「物理吸着」とは本発明においては繊維表面上の材料の物理的結合として定義され、「化学吸着」とは本発明においては繊維表面上の材料の化学的結合として定義され、ここで、化学反応は露出されている繊維(即ち吸着材)の表面において起こる。本明細書において用いる「吸着」という用語は、限定なしにポリマーマトリクス内の繊維の繊維湿潤/接着を増加させる手段などの、材料を物理的又は化学的に基材表面に付着、接着、又は結合させる任意の可能な手段を包含すると意図される。これは、明確に、任意のモノマー、オリゴマー、ポリマー、又は樹脂などの任意の固体、液体、又は気体材料を繊維表面上に接着又は被覆することを包含し、任意の有機材料又は無機材料を繊維表面上に施すことを包含する。
【0052】
本発明の織成又は不織材料を形成する繊維をポリマーバインダー材料で被覆又は含侵することが、本発明において最も好ましい。樹脂のようなポリマーバインダー材料の吸着物によって、繊維層の個々の繊維を部分的か又は実質的のいずれかで被覆し、好ましくはそれぞれの繊維層の個々の繊維のそれぞれを実質的に被覆する。ポリマーバインダー材料はまた「ポリマーマトリクス」材料として当該技術において一般的に知られており、これらの用語は本発明においては互換的に用いられる。これらの用語は当該技術において従来公知であり、その生来の接着特性によるか、又は周知の加熱及び/又は加圧条件にかけた後のいずれかに繊維を一緒に結合する材料を示す。かかる「ポリマーマトリクス」又は「ポリマーバインダー」材料はまた、耐摩耗性及び有害な環境条件に対する抵抗性のような他の望ましい特性を有する布帛を与えることもできるので、織成布を用いる場合のようにその結合特性が重要ではない場合であっても、繊維をかかるバインダー材料で被覆することが望ましい可能性がある。
【0053】
好適なポリマーバインダー材料には、低弾性率のエラストマー材料、及び高弾性率の硬質材料の両方が含まれる。本明細書全体にわたって用いられる引張弾性率という用語は、繊維に関してはASTM−2256によって、ポリマーバインダー材料に関してはASTM−D638によって測定される弾性率を意味する。低弾性率又は高弾性率のバインダーには、種々のポリマー及び非ポリマー材料を含ませることができる。好ましいポリマーバインダーは低弾性率のエラストマー材料を含む。本発明の目的のためには、低弾性率のエラストマー材料は、ASTM−D638試験手順にしたがって約6,000psi(41.4MPa)以下の測定引張弾性率を有する。低弾性率ポリマーは、好ましくは、約4,000psi(27.6MPa)以下、より好ましくは約2400psi(16.5MPa)以下、より好ましくは1200psi(8.23MPa)以下、最も好ましくは約500psi(3.45MPa)以下のエラストマーの引張弾性率を有する。エラストマーのガラス転位温度(Tg)は、好ましくは約0℃未満、より好ましくは約−40℃未満、最も好ましくは約−50℃未満である。エラストマーはまた、少なくとも約50%、より好ましくは少なくとも約100%の好ましい破断伸びも有し、最も好ましくは少なくとも約300%の破断伸びを有する。
【0054】
低い弾性率を有する広範囲の材料及び配合物をポリマーバインダーとして用いることができる。代表例としては、ポリブタジエン、ポリイソプレン、天然ラバー、エチレン−プロピレンコポリマー、エチレン−プロピレン−ジエンターポリマー、ポリスルフィドポリマー、ポリウレタンエラストマー、クロロスルホン化ポリエチレン、ポリクロロプレン、可塑化ポリ塩化ビニル、ブタジエンアクリロニトリルエラストマー、ポリ(イソブチレン−co−イソプレン)、ポリアクリレート、ポリエステル、ポリエーテル、フルオロエラストマー、シリコーンエラストマー、エチレンのコポリマー、ポリアミド(幾つかの繊維のタイプに関して有用である)、アクリロニトリルブタジエンスチレン、ポリカーボネート、及びこれらの組み合わせ、並びに繊維の融点より低い温度で硬化可能な他の低弾性率ポリマー及びコポリマーが挙げられる。異なるエラストマー材料のブレンド、又はエラストマー材料と1種類以上の熱可塑性材料のブレンドもまた好ましい。
【0055】
共役ジエン及びビニル芳香族モノマーのブロックコポリマーが特に有用である。ブタジエン及びイソプレンは好ましい共役ジエンエラストマーである。スチレン、ビニルトルエン、及びt−ブチルスチレンは好ましい共役芳香族モノマーである。ポリイソプレンを導入したブロックコポリマーは、水素化して飽和炭化水素エラストマーセグメントを有する熱可塑性エラストマーを生成させることができる。ポリマーは、タイプA−B−Aの簡単なトリブロックコポリマー、タイプ(AB)(n=2〜10)のマルチブロックコポリマー、又はタイプR−(BA)(x=3〜150)の放射形状のコポリマー(ここで、Aはポリビニル芳香族モノマーからのブロックであり、Bは共役ジエンエラストマーからのブロックである)であってよい。これらのポリマーの多くは、Houston, TXのKraton Polymersによって商業的に製造されており、刊行物"Kraton Thermoplastic Rubber", SC-68-81に記載されている。PRINLINの商標で販売されており、Dusseldorf,ドイツに本拠を置くHenkel Technologiesから商業的に入手できるスチレン−イソプレン−スチレン(SIS)ブロックコポリマーの樹脂分散液もまた有用である。特に好ましい低弾性率ポリマーバインダーのポリマーは、Kraton Polymersによって商業的に製造されているKRATONの商標で販売されているスチレンブロックコポリマーを含む。特に好ましいポリマーバインダー材料は、KRATONの商標で販売されているポリスチレン−ポリイソプレン−ポリスチレンブロックコポリマーを含む。
【0056】
低弾性率ポリマーマトリクスバインダー材料は、防弾ベストのような柔軟な防護具を形成するために非常に有用であるが、ヘルメットのような硬質防護具物品を形成するために有用な高弾性率の硬質材料は本発明において特に好ましい。好ましい高弾性率の硬質材料は、一般に6,000psiより高い初期引張弾性率を有する。本発明において有用な好ましい高弾性率の硬質ポリマーバインダー材料としては、ポリウレタン(エーテル系及びエステル系の両方)、エポキシ樹脂、ポリアクリレート、フェノール/ポリビニルブチラール(PVB)ポリマー、ビニルエステルポリマー、スチレン−ブタジエンブロックコポリマー、並びにビニルエステルとジアリルフタレート、又はフェノールホルムアルデヒドとポリビニルブチラールのような複数のポリマーの混合物が挙げられる。本発明において用いるのに特に好ましい硬質ポリマーバインダー材料は、好ましくはメチルエチルケトンのような炭素−炭素飽和溶媒中に可溶で、硬化した際にASTM−D638によって測定して少なくとも約1×10psi(6895MPa)の高い引張弾性率を有する熱硬化性ポリマーである。特に好ましい硬質ポリマーバインダー材料は、米国特許6,642,159(その開示事項を参照として本明細書中に包含する)に記載されているものである。ポリマーバインダーには、低弾性率材料であっても又は高弾性率材料であっても、カーボンブラック又はシリカのような充填剤を更に含ませることができ、オイルで増量することができ、或いは当該技術において周知なように、イオウ、ペルオキシド、金属酸化物、又は放射線硬化系によって加硫することができる。
【0057】
約2,000psi(13.79MPa)〜約8,000psi(55.16MPa)の範囲の引張弾性率の軟質及び硬質材料の両方の範囲内の極性樹脂又は極性ポリマー、特にポリウレタンが、具体的には最も好ましい。好ましいポリウレタンは、必須ではないが最も好ましくは共溶媒を含まない水性ポリウレタン分散液として施す。かかるものとしては、水性のアニオン性ポリウレタン分散液、水性のカチオン性ポリウレタン分散液、及び水性の非イオン性ポリウレタン分散液が挙げられる。水性のアニオン性ポリウレタン分散液;水性の脂肪族ポリウレタン分散液が特に好ましく、水性のアニオン性脂肪族ポリウレタン分散液が最も好ましく、これらは全て好ましくは共溶媒を含まない分散液である。かかるものとしては、水性のアニオン性ポリエステル系ポリウレタン分散液;水性の脂肪族ポリエステル系ポリウレタン分散液;及び水性のアニオン性脂肪族ポリエステル系ポリウレタン分散液;が挙げられ、これらは全て好ましくは共溶媒を含まない分散液である。かかるものとしてはまた、水性のアニオン性ポリエーテルポリウレタン分散液;水性の脂肪族ポリエーテル系ポリウレタン分散液;及び水性のアニオン性脂肪族ポリエーテル系ポリウレタン分散液;が挙げられ、これらは全て好ましくは共溶媒を含まない分散液である。水性カチオン性及び水性非イオン性分散液の全ての対応する変形体(ポリエステル系;脂肪族ポリエステル系;ポリエーテル系;脂肪族ポリエーテル系等)は同様に好ましい。約700psi以上(特に好ましい範囲は700psi〜約3000psiである)の100%伸びにおける弾性率を有する脂肪族ポリウレタン分散液が最も好ましい。約1000psi以上、更により好ましくは約1100psi以上の100%伸びにおける弾性率を有する脂肪族ポリウレタン分散液がより好ましい。1000psi以上、好ましくは1100psi以上の弾性率を有する脂肪族ポリエーテル系アニオン性ポリウレタン分散液が最も好ましい。
【0058】
本発明の複合材料から形成される物品の剛性、衝撃特性、及び防弾特性は、繊維を被覆するポリマーバインダーポリマーの引張弾性率の影響を受ける。例えば、米国特許4,623,574においては、約6,000psi(41,300kPa)未満の引張弾性率を有するエラストマーマトリクスで構成される繊維強化複合材料は、より高弾性率のポリマーで構成される複合材料、及びポリマーバインダー材料を用いない同じ繊維構造体の両方と比べて優れた防弾特性を有することが開示されている。しかしながら、低い引張弾性率のポリマーバインダー材料のポリマーはまた、より低い剛性の複合材料を生成させる。更に、幾つかの用途において、特に複合材料を防弾モード及び構造モードの両方で機能させなければならない場合には、防弾性と剛性の優れた組み合わせが必要である。したがって、用いるポリマーバインダーのポリマーの最も適切なタイプは、本発明の複合材料から形成される物品のタイプによって変化する。両方の特性の折衷を達成するために、好適なポリマーバインダーは、低弾性率の材料及び高弾性率の材料の両方を組み合わせて単一のポリマーバインダーを形成することができる。
【0059】
ポリマーバインダー材料は、繊維ウエブ(例えば平行アレイ又はフェルト)として配列されている複数の繊維に同時か又は逐次的に施して被覆ウエブを形成するか、織成布に施して被覆織成布を形成するか、或いは他の配置として構成して、それによって繊維層にバインダーを含侵させることができる。本明細書において用いる「含侵させる」という用語は、「埋封する」及び「被覆する」、或いは他の形態で被覆を施すことと類義であり、ここではバインダー材料は繊維層中に拡散して、単に繊維層の表面上に配されている訳ではない。ポリマー材料はまた、繊維ウエブの一部でない繊維の少なくとも1つのアレイの上に施して、次に繊維を織成布に織成するか、或いは次に本明細書において上記に記載した方法にしたがって不織布を作成することができる。織成及び不織の繊維プライ、層、及び布帛を形成する技術は当該技術において周知である。
【0060】
必須ではないが、織成繊維層を形成する繊維は、ポリマーバインダーで少なくとも部分的に被覆し、次に不織繊維層に関して行われるものと同様のコンソリデーション工程を行う。かかるコンソリデーション工程は、複数の織成繊維層を互いと融合させるか、又はバインダーをかかる織成布の繊維と更に融合させるために行うことができる。例えば、複数の織成繊維層は必ずしもコンソリデーションしなくてもよく、通常の接着剤を用いるか又は縫製などによる他の手段によって結合させることができる。
【0061】
一般に、ポリマーバインダー被覆は、複数の不織繊維プライを有効に融合、即ちコンソリデーションするために必要である。ポリマーバインダー材料は、個々の繊維の全表面領域の上か、又は繊維の部分的な表面領域の上のみに施すことができる。最も好ましくは、ポリマーバインダー材料の被覆は、本発明の繊維層を形成するそれぞれの個々の繊維の実質的に全部の表面領域の上に施す。繊維層が複数のヤーンを含む場合には、好ましくはヤーンの単一のストランドを形成するそれぞれの繊維をポリマーバインダー材料で被覆する。
【0062】
任意の適当な適用法を用いてポリマーバインダー材料を施すことができ、「被覆」という用語は、それによってそれをフィラメント/繊維の上に施す方法を限定することは意図していない。ポリマーバインダー材料は、当業者によって容易に決定される任意の適当な方法を用いて繊維表面の上に直接施し、次にバインダーを通常は本明細書において議論するように繊維層の中に拡散させる。最も好ましくは、それぞれの個々の繊維を少なくとも部分的にポリマー材料で被覆し、好ましくは個々の繊維のそれぞれを実質的に被覆又は封入して、フィラメント/繊維の表面領域の全部又は実質的に全部をポリマーバインダー材料で被覆する方法を用いる。
【0063】
繊維表面仕上げ剤を少なくとも部分的に除去した後に、好ましくはその後に施される吸着物の繊維表面上における吸着力を向上させる表面処理を行った後に繊維をポリマーバインダーで被覆することが必要であるが、繊維は、繊維を1以上のプライ/層に配列する前又は後、或いは繊維を織成布に織成する前又は後のいずれかにおいてポリマーバインダーで被覆することができる。織成布は、平織り、千鳥綾織り、斜子織り、サテン織り、綾織りなどのような任意の布帛織成法を用いて、当該技術において周知の技術を用いて形成することができる。平織りは最も通常的なものであり、繊維を直交の0°/90°の配向で織成する。織成の前又は後のいずれかにおいて、それぞれの織成布材料の個々の繊維をポリマーバインダー材料で被覆することができ、或いは被覆しなくてもよい。通常は、布帛の織成はポリマーバインダーで繊維を被覆する前に行い、この場合にはしたがって織成布にバインダーを含侵させる。しかしながら、本発明は、ポリマーバインダーを繊維に施す段階によっても、或いはポリマーバインダーを施すために用いる手段によっても限定することは意図していない。
【0064】
不織布を製造するための方法は当該技術において周知である。本発明における好ましい態様においては、複数の繊維を少なくとも1つのアレイに配列し、通常は実質的に平行の一方向のアレイに整列した複数の繊維を含む繊維ウエブとして配列する。上述したように、不織の一方向に整列した繊維プライを形成するための通常の方法においては、繊維束をクリールから供給し、ガイド及び1以上の延展機バーを通して平行化梳櫛の中に導き、次に繊維をポリマーバインダー材料で被覆する。通常の繊維束は約30〜約2000の個々の繊維を有する。延展機バー及び平行化梳櫛によって、束になった繊維を分散及び延展し、それらを同一平面状に並べて再編成する。理想的な繊維の延展によって、個々のフィラメント又は個々の繊維が単一の繊維面内に互いに対して隣接して配置され、繊維が互いの上に重畳していない実質的に一方向の平行な繊維のアレイが形成される。この段階で、この延展工程の前又はその間に繊維表面仕上げ剤を除去することによって、かかる平行なアレイへの繊維の延展を向上又は促進することができる。
【0065】
繊維をバインダー材料で被覆した後、被覆された繊維を、単一層の一体部材にコンソリデーションした複数の重畳している不織繊維プライを含む不織繊維層に成形する。本発明の好ましい不織布構造においては、それぞれの単一のプライ(ユニテープ)の平行な繊維がそれぞれの単一のプライの縦の繊維方向に対してそれぞれの隣接する単一のプライの平行の繊維に直交して配置されている複数の積層されて重畳しているユニテープを形成する。重畳している不織繊維プライの積層体を、熱及び圧力下で、或いは個々の繊維プライの被覆を接着することによってコンソリデーションして、単一層の一体部材(当該技術においては単一層のコンソリデーションした網状物とも呼ばれる:「コンソリデーションした網状物」とは、ポリマーマトリクス/バインダーによってコンソリデーションした(融合した)繊維プライの組み合わせを示す)を形成する。本発明の物品にはまた、接合した織成布及び不織布の複合的にコンソリデーションした組み合わせ、並びに一方向の繊維プライ及び不織フェルト布帛から形成される不織布の組み合わせを含ませることもできる。
【0066】
最も通常的には、不織繊維層又は布帛は1〜約6の接合した繊維プライを含むが、種々の用途に関して所望の場合には約10〜約20のような多くのプライを含ませることができる。プライの数がより多いと防弾性がより大きいが、重量もより大きくなる。したがって、本発明の繊維層複合材料及び/又は布帛複合材料又は物品を形成する繊維プライの数は、布帛又は物品の最終用途によって変動する。例えば、軍事用の防弾ベストにおいては、所望の1.0ポンド/平方フィート(4.9kg/m)以下の面密度を達成する物品複合材料を形成するためには、合計で約100プライ(又は層)〜約50の個々のプライ(又は層)が必要な可能性があり、ここでプライ/層は、本明細書に記載する高強度繊維から形成される織成布、編成布、フェルト加工布、又は不織布(平行な配向の繊維又は他の配列を有する)であってよい。他の態様においては、法執行機関用の防弾ベストは、NIJ脅威レベルに基づくプライ/層の数を与えることができる。例えば、NIJ脅威レベルIIIAのベストに関しては、合計で40プライになる可能性がある。より低いNIJ脅威レベルに関しては、より少ないプライ/層を用いることができる。本発明は、他の公知の防弾性構造体と比べて布帛の重量を増加させることなく、所望のレベルの弾丸保護を達成するためにより多くの数の繊維プライを含ませることを可能にする。
【0067】
当該技術において従来公知なように、優れた防弾性は、個々の繊維プライがクロスプライされていて、1つのプライの繊維の整列方向が他のプライの繊維の整列方向に対して角度が回転しているようになっている場合に達成される。最も好ましくは、繊維プライは0°及び90°の角度で直交させてクロスプライするが、隣接するプライは他のプライの縦の繊維方向に対して約0°〜約90°の間の実質的に任意の角度で整列させることができる。例えば、5プライの不織構造体は、0°/45°/90°/45°/0°又は他の角度で配向している複数のプライを有していてよい。かかる回転一方向整列は、例えば米国特許4,457,985;4,748,064;4,916,000;4,403,012;4,623,574;及び4,737,402(これらは全て本発明と矛盾しない範囲で参照として本明細書中に包含する)に記載されている。
【0068】
米国特許6,642,159に記載されている方法などによって繊維プライをコンソリデーションして繊維層及び複合材料を形成する方法は周知である。コンソリデーションは、乾燥、冷却、加熱、加圧、又はこれらの組み合わせによって行うことができる。湿式積層プロセスの場合と同様に、繊維又は布帛層は接着剤で一緒に接着させることができるので、熱及び/又は圧力は必要でない可能性がある。通常は、コンソリデーションは、プライを一体の布帛に結合させるのに十分な熱及び圧力の条件下で、個々の繊維プライを互いの上に配置することによって行う。コンソリデーションは、約50℃〜約175℃、好ましくは約105℃〜約175℃の範囲の温度、及び約5psig(0.034MPa)〜約2500psig(17MPa)の範囲の圧力において、約0.01秒間〜約24時間、好ましくは約0.02秒間〜約2時間の間行うことができる。加熱の際には、ポリマーバインダー被覆を完全に溶融させることなく粘着又は流動させることができる可能性がある。しかしながら一般には、ポリマーバインダー材料を(溶融させることができるものである場合に)溶融させる場合には、複合材料を形成するために比較的低い圧力しか必要ではなく、一方、バインダー材料を粘着点に加熱するだけである場合には、通常はより高い圧力が必要である。当該技術において従来公知なように、コンソリデーションは、カレンダーセット、フラットベッド積層機、プレス、又はオートクレーブ内で行うことができる。最も通常的には、複数の直交している繊維ウエブをバインダーポリマーと一緒に「接着」し、フラットベッド積層機を通して送って、結合の均一性及び強度を向上させる。更に、コンソリデーション及びポリマーの適用/結合工程には、2つの別々の工程又は単一のコンソリデーション/積層工程を含ませることができる。
【0069】
或いは、コンソリデーションは、好適な成形装置内において熱及び圧力下で成形することによって行うことができる。一般に、成形は、約50psi(344.7kPa)〜約5,000psi(34,470kPa)、より好ましくは約100psi(689.5kPa)〜約3,000psi(20,680kPa)、最も好ましくは約150psi(1,034kPa)〜約1,500psi(10,340kPa)の圧力で行う。或いは、成形は、約5,000psi(34,470kPa)〜約15,000psi(103,410kPa)、より好ましくは約750psi(5,171kPa)〜約5,000psi、より好ましくは約1,000psi〜約5,000psiのより高い圧力で行うことができる。成形工程は、約4秒間〜約45分間かかる可能性がある。好ましい成形温度は、約200°F(約93℃)〜約350°F(約177℃)、より好ましくは約200°F〜約300°Fの温度、最も好ましくは約200°F〜約280°Fの温度の範囲である。本発明の繊維層及び布帛複合材料を成形する圧力は、通常は得られる成形生成物の剛性又は柔軟性に直接的な影響を与える。より高い圧力で成形すると、一般に、ある限界以下のより剛性の材料が生成する。成形圧力に加えて、繊維プライの量、厚さ、及び組成、並びにポリマーバインダー被覆のタイプも、複合材料から形成される物品の剛性に直接影響を与える。
【0070】
本明細書に記載する成形及びコンソリデーション技術のそれぞれは類似しているが、それぞれのプロセスは相違している。特に、成形はバッチプロセスであり、コンソリデーションは一般に連続プロセスである。更に、成形は通常は、形作られている成形型、或いは平面パネルを形成する場合にはマッチドダイ成形型のような成形型の使用を伴っており、必ずしも平面状の生成物を生成させる訳ではない。通常は、コンソリデーションは、柔軟(可撓性)の防護具布帛を製造するために、フラットベッド積層機、カレンダーニップセット内においてか、又は湿式積層として行う。成形は、通常は硬質防護具、例えば剛性板を製造するためのものである。いずれのプロセスにおいても、好適な温度、圧力、及び時間は、一般に、ポリマーバインダー被覆材料のタイプ、ポリマーバインダーの含量、用いるプロセス、及び繊維のタイプによって定まる。
【0071】
十分な防弾特性を有する布帛物品を製造するためには、バインダー/マトリクス被覆の全重量は、好ましくは、繊維の重量+被覆の重量の約2重量%〜約50重量%、より好ましくは約5重量%〜約30重量%、より好ましくは約7重量%〜約20重量%、最も好ましくは約11重量%〜約16重量%を構成し、不織布に関しては16%が最も好ましい。織成布に関してはより低いバインダー/マトリクス含量が適切であり、繊維の重量+被覆の重量の0より多いが10重量%未満のポリマーバインダーの含量が通常は最も好ましい。これは限定を意図してはいない。例えば、フェノール/PVB含侵織成アラミド布帛は、時には約20%〜約30%のより高い樹脂含量を用いて製造されるが、約12%の含量が通常は好ましい。
【0072】
繊維層の織成又はコンソリデーションの後、場合によっては熱可塑性ポリマー層を、通常の方法によって繊維複合材料の外側表面の一方又は両方に付着させることができる。熱可塑性ポリマー層のために好適なポリマーとしては、非排他的に、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリエステル(特にポリエチレンテレフタレート(PET)及びPETコポリマー)、ポリウレタン、ビニルポリマー、エチレンビニルアルコールコポリマー、エチレンオクタンコポリマー、アクリロニトリルコポリマー、アクリルポリマー、ビニルポリマー、ポリカーボネート、ポリスチレン、フルオロポリマーなど、並びにこれらのコポリマー及び混合物、例えばエチレンビニルアセテート(EVA)及びエチレンアクリル酸からなる群から非排他的に選択することができる熱可塑性ポリマーが挙げられる。天然及び合成ラバーポリマーもまた有用である。これらの中で、ポリオレフィン及びポリアミド層が好ましい。好ましいポリオレフィンはポリエチレンである。有用なポリエチレンの非限定的な例は、低密度ポリエチレン(LDPE)、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、線状中密度ポリエチレン(LMDPE)、線状極低密度ポリエチレン(VLDPE)、線状超低密度ポリエチレン(ULDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、並びにこれらのコポリマー及び混合物である。Cuyahoga Falls, OhioのSpunfab, Ltd.から商業的に入手できるSPUNFABポリアミドウエブ(Keuchel Associates, Inc.に対して登録された商標)、及びCernay,フランスのProtechnic S.A.から商業的に入手できるTHERMOPLAST及びHELIOPLASTのウエブ、ネット、及びフィルムもまた有用である。熱可塑性ポリマー層は、熱積層のような周知の技術を用いて複合材料の表面に結合させることができる。通常は、積層は、複数の層を一体のフィルムに結合させるのに十分な熱及び圧力の条件下で個々の層を互いの上に配置することによって行う。個々の層を互いの上に配置し、この集合体を次に、通常は、当該技術において周知の技術によって、加熱した一対の積層ローラーのニップに通す。積層加熱は、約95℃〜約175℃、好ましくは約105℃〜約175℃の範囲の温度、約5psig(0.034MPa)〜約100psig(0.69MPa)の範囲の圧力において、約5秒間〜約36時間、好ましくは約30秒間〜約24時間行うことができる。
【0073】
個々の布帛/複合材料/繊維層の厚さは、個々の繊維の厚さ及び布帛中に含ませる繊維層の数に対応する。好ましい織成布は、層あたり約25μm〜約600μm、より好ましくは約50μm〜約385μm、最も好ましくは層あたり約75μm〜約255μmの好ましい厚さを有する。好ましい不織布、即ち不織の単一層のコンソリデーションした網状物は、約12μm〜約600μm、より好ましくは約50μm〜約385μm、最も好ましくは約75μm〜約255μmの好ましい厚さを有し、単一層のコンソリデーションした網状物は、通常は2つのコンソリデーションしたプライ(即ち2つのユニテープ)を含む。いずれの熱可塑性ポリマー層も、好ましくは非常に薄く、約1μm〜約250μm、より好ましくは約5μm〜約25μm、最も好ましくは約5μm〜約9μmの好ましい層厚さを有する。SPUNFAB不織ウエブのような不連続ウエブは、好ましくは6g/平方メートル(gsm)の坪量で施す。かかる厚さが好ましいが、他の厚さを形成して特定の必要性を満足することができ、これもなお本発明の範囲内であることを理解すべきである。
【0074】
本発明の布帛/複合材料は、コンソリデーション/成形の前に約20g/m(0.004ポンド/ft(psf))〜約1000gsm(0.2psf)の好ましい面密度を有する。コンソリデーション/成形の前の本発明の布帛/複合材料に関するより好ましい面密度は、約30gsm(0.006psf)〜約500gsm(0.1psf)の範囲である。本発明の布帛/複合材料に関する最も好ましい面密度は、コンソリデーション/成形の前において約50gsm(0.01psf)〜約250gsm(0.05psf)の範囲である。互いの上に積層してコンソリデーションした複数の繊維層を含む本発明の物品は、約1000gsm(約0.2psf)〜約40,000gsm(8.2psf)、より好ましくは約2000gsm(約0.41psf)〜約30,000gsm(6.1psf)、より好ましくは約3000gsm(約0.61psf)〜約20,000gsm(4.1psf)、最も好ましくは約3750gsm(0.77psf)〜約15,000gsm(3.1psf)の好ましい複合材料の面密度を有する。ヘルメットに成形した複合物品に関する通常の範囲は、約7,500gsm(1.54psf)〜約12,500gsm(2.56psf)である。
【0075】
本発明の布帛は、種々の用途において用いて、周知の技術を用いて、可撓性の軟質防護具物品及び剛性の硬質防護具物品などの種々の異なる防弾性物品を形成することができる。例えば、防弾性物品を形成するために好適な技術は、例えば米国特許4,623,574、4,650,710、4,748,064、5,552,208、5,587,230、6,642,159、6,841,492、及び6,846,758(これらの全部を本発明と矛盾しない範囲で参照として本明細書中に包含する)に記載されている。本複合材料は、硬質防護具、並びに硬質防護具物品を製造するプロセスにおいて形成される成形又は未成形のサブアセンブリ中間物を形成するために特に有用である。「硬質」防護具とは、十分な機械的強度を有していて、相当量の応力に曝露した際に構造剛性を保持し、へたれることなく自立することができる、ヘルメット、軍用車両用パネル、又は保護シールドのような物品を意味する。かかる硬質物品は、好ましくは(しかしながら排他的ではないが)、高引張弾性率のバインダー材料を用いて形成される。
【0076】
これらの構造体は、物品に成形するために複数の別個のシートに切断して積層することができ、或いは前駆体に成形し、次にこれを用いて物品を形成することができる。かかる技術は当該技術において周知である。本発明の最も好ましい態様においては、それぞれがコンソリデーションした複数の繊維プライを含む複数の繊維層を与え、複数の繊維プライをコンソリデーションするコンソリデーション工程の前、工程中、又は工程後のいずれかにおいて、熱可塑性ポリマーをそれぞれの繊維層の少なくとも1つの外側表面に結合させ、その後、複数の繊維層を防護具物品又は防護具物品のサブアセンブリにコンソリデーションする他のコンソリデーション工程によって複数の繊維層を融合する。
【0077】
弾丸貫通抵抗性及び背面衝撃痕の両方を含む本発明の繊維複合材料の防弾特性は、当該技術において周知の技術にしたがって測定することができる。
【実施例】
【0078】
以下の実施例は本発明を例示するように働く。
実施例1〜10:
実施例1〜10においては、洗浄してそれらの繊維仕上げ剤を除去しておらず、及びプラズマ処理していない超高分子量ポリエチレン繊維の物理特性を測定した。実施例1〜30の全部に関する繊維試料は、超高分子量ポリエチレン繊維の同じスプールから選択した。10個の対照繊維試料に関して、繊維デニール、最大歪みにおける繊維荷重(ポンド力、lbf)、最大荷重における歪み%、繊維テナシティー(g/デニール)、及び繊維の初期引張弾性率(g/デニール)を測定した。結果を表1に示し、ここで繊維は対照繊維1〜10として示す。
【0079】
【表1】
【0080】
実施例11〜20:
実施例11〜20においては、洗浄してそれらの繊維仕上げ剤を実質的に除去した後であるが、プラズマ処理していない超高分子量ポリエチレン繊維の物理特性を測定した。実施例1〜30の全部に関する繊維試料は、超高分子量ポリエチレン繊維の同じスプールから選択した。
【0081】
仕上げ剤を除去するために、繊維を、脱イオン水を含む予備浸漬水浴を通して約18秒間のおよその滞留時間で送った。予備浸漬水浴から排出した後、繊維を30個の水ノズルの列によってすすいだ。それぞれの水ノズルの水圧は約42psiであり、1分あたりノズルあたり約0.5ガロンの水の流速を用いた。ノズルから排出される水は比較的平坦な流れとして形成され、繊維の上に接触する水の角度は隣接するノズルから放出される流れの入射角に対して0°又は30°のいずれかであった。水温は28.9℃と測定された。水ノズルの列を通るライン速度は約12フィート/分であった。浸漬浴中の水及びノズルに供給する水は、最初に別の脱イオンシステムに通すことによって脱イオンした。次に、洗浄された繊維を乾燥して分析した。
【0082】
10個の洗浄した繊維試料に関して、繊維デニール、最大歪み時の繊維荷重、最大荷重時の歪み%、繊維テナシティー、及び繊維初期引張弾性率を測定した。結果を表2に示し、ここでは繊維は洗浄繊維1〜10として示す。
【0083】
【表2】
【0084】
実施例21〜30:
実施例21〜30においては、洗浄してそれらの繊維仕上げ剤を実質的に除去した後であり、その後にプラズマ処理も行った超高分子量ポリエチレン繊維の物理特性を測定した。実施例1〜30の全部に関する繊維試料は、超高分子量ポリエチレン繊維の同じスプールから選択した。
【0085】
実施例11〜20に関して記載した方法にしたがって、繊維仕上げ剤を実質的に除去した。プラズマ処理は、大気圧プラズマ処理装置(Enercon Industries Corp.からのモデル:Enercon Plasma3 Station Model APT12DF-150/2、幅29インチの電極を有する)に、約12フィート/分のライン速度において、約2.5秒間のプラズマ処理装置内の繊維の滞留時間を用い、プラズマ処理装置を1.5kWの出力に設定して、洗浄した繊維を連続的に通過させることによって行った。処理は、標準大気圧(760torr)下において、90%アルゴンガス及び10%酸素の雰囲気中で行った。
【0086】
10個の洗浄した繊維試料に関して、繊維デニール、最大歪み時の繊維荷重、最大荷重時の歪み%、繊維テナシティー、及び繊維初期引張弾性率を測定した。結果を表3に示し、ここでは繊維はW&P繊維(洗浄及びプラズマ処理した繊維)1〜10として示す。
【0087】
【表3】
【0088】
結論:
まとめると、実施例1〜30は、繊維を洗浄して繊維仕上げ剤を実質的に除去した後にプラズマ処理した繊維は、処理の前及び後の両方でほぼ同じ物理特性を有することを示す。特に、複合処理によって繊維テナシティーの損失はほぼなく、多くの場合においては初期引張弾性率が増加した。
【0089】
繊維特性の平均に基づくと、実施例は、プラズマ処理の前に繊維を洗浄した場合には、約1%のテナシティーの利得、及び約2.7%の初期引張弾性率の増加を示す。テナシティー及び初期引張弾性率の増加は、例えば、繊維表面仕上げ剤を通してではなく、繊維表面上に直接プラズマ処理することにより繊維表面においてポリマー鎖が架橋されることによって得られる可能性がある。
【0090】
比較例1〜6:
比較例1〜6においては、プラズマ処理した後であるが、プラズマ処理の前に洗浄してそれらの繊維仕上げ剤を除去していない超高分子量ポリエチレン繊維の物理特性を測定した。比較例1〜6の全部に関する繊維試料は、超高分子量ポリエチレン繊維の同じスプールから選択した。
【0091】
3個の対照繊維試料及び3個のプラズマ処理した試料に関して、繊維デニール、最大歪み時の繊維荷重、最大荷重時の歪み%、繊維テナシティー、及び繊維初期引張弾性率を測定した。プラズマ処理は、洗浄した繊維を、低圧プラズマ処理装置(Plasma Science Model PS 1010、Elgin, ILのPlasmatreat US LPから商業的に入手できる;単繊維をチャンバーから排出される前にプラズマ雰囲気に複数回通過させることができるように改造した)に、約10m/分のライン速度において、約1.4分間のプラズマ処理装置内の繊維の滞留時間で、プラズマ処理を250Wの出力に設定して、連続的に通過させることによって行った。処理は、400mTorrの圧力において、90%アルゴンガス及び10%酸素の雰囲気中で行った。結果を表4及び5に示す。
【0092】
【表4】
【0093】
【表5】
【0094】
結論:
まとめると、比較例1〜6は、最初に繊維を洗浄して繊維仕上げ剤を実質的に除去しないでプラズマ処理した繊維は、プラズマ処理によって繊維平均で約17%のテナシティーの損失という繊維テナシティーの大きな損失を受けることを示す。これは、大気圧における実施例1〜30のプラズマ処理レベル(即ち1.5kW)に対して、低い圧力での比較例1〜6における実質的により攻撃性の低いプラズマ処理レベル(即ち250W)を考慮すると特に明らかである。
【0095】
実施例31:
約45g/dの繊維テナシティーを有する一方向に配向した実質的に平行の超高分子量ポリエチレン繊維の4つのプライを含ませた4プライ不織複合材料を形成した。
【0096】
プライを形成する前に、繊維を洗浄してそれらの繊維仕上げ剤を実質的に除去し、次にプラズマ処理し、乾燥した。仕上げ剤を除去するために、複数の繊維スプール(マルチフィラメント繊維あたり1つのスプール)から複数のマルチフィラメント繊維を解舒し、次に固定した平行化梳櫛に通して、繊維を均一に離隔した繊維ウエブに組織化した。次に、繊維ウエブを、脱イオン水を含む予備浸漬水浴を通して約18秒間のおよその滞留時間で送った。予備浸漬水浴から排出した後、繊維を30個の水ノズルの列によってすすいだ。それぞれの水ノズルの水圧は約42psiであり、1分あたりノズルあたり約0.5ガロンの水の流速を用いた。ノズルから排出される水は比較的平坦な流れとして形成され、繊維の上に接触する水の角度は隣接するノズルから放出される流れの入射角に対して0°又は30°のいずれかであった。水温は28.9℃と測定された。予備浸漬水浴を通り、水ノズルの列を通るライン速度は、約4m/分〜約20m/分の範囲であった。浸漬浴中の水及びノズルに供給する水は、最初に別の脱イオンシステムに通すことによって脱イオンした。次に、洗浄された繊維を乾燥し、更なる処理のために送った。
【0097】
プラズマ処理は、大気圧プラズマ処理装置(Enercon Industries Corp.からのモデル:Enercon Plasma3 Station Model APT12DF-150/2、幅29インチの電極を有する)に、約12フィート/分の速度において、プラズマ処理装置を1.5kWの出力に設定して、洗浄した繊維の幅29インチのウエブを連続的に通過させることによって行った。これによって、2000W/(29インチ×12FPM)又は繊維に加えた分あたり67W/ftのワット密度で測定される繊維の面積上への出力分布が得られた。プラズマ処理装置内での繊維の滞留時間は約2.5秒間であった。処理は標準大気圧下で行った。プラズマ処理後の繊維テナシティーは約45g/dであった。
【0098】
その後、繊維を、1100psiの弾性率を有する脂肪族アニオン性ポリウレタン分散液で被覆した。それぞれのプライは、プライの約16重量%の樹脂含量を有していた。4つのプライを、それぞれのプライの縦の繊維方向に対して0°/90°/0°/90°で配向した。この4プライ複合材料は、約35gsmの繊維面密度(プライあたり)、及び約42gsmのそれぞれのプライの全面密度を有しており、これはそれぞれ140gsm及び167gsmの最終生成物のFAD及びTADに相当する。
【0099】
実施例32:
実施例31の複合材料をコンソリデーションした2.0psfの試料に成形し、室温において背面衝撃痕及びV50に関して試験した。周囲室温における16グレーンのRCC発射体に対する平均V50値は3621フィート/秒であった。同じ16グレーンのRCC発射体に対する周囲室温における平均BFSは、複合材料の背面とクレイ裏当て材料との間に1/2インチの空隙を配して測定して3mmであった。
【0100】
背面衝撃痕の測定:
背面衝撃痕は、共に係属している特許出願61/531,233に記載されている装置を用いて測定した。複合材料は、複合物品とクレイブロックとの間に特別に機械加工したスペーサーエレメントを挿入することによってクレイブロックから1/2インチ(12.7mm)離隔させた。特別に機械加工したスペーサーエレメントは、縁、及びかかる縁によって画定されている内部キャビティーを有する部材を含んでいて、クレイはキャビティーを通して露出させ、スペーサーはクレイの前表面と直接接触して配置した。スペーサーの内部キャビティーに対応する目標位置において、発射体を複合物品に発射した。発射体によってスペーサーの内部キャビティーに対応する位置において複合物品に衝撃を与え、それぞれの発射体の衝撃によってクレイに測定可能な陥没を形成した。3mmのBFS測定値は、スペーサーエレメントの深さを考慮しないこの方法によるクレイ内の陥没の深さを指し、即ち、BFS測定値は複合材料とクレイとの間の実際の距離は含んでいない。
【0101】
50の測定:
50データは、従来公知の標準方法により、特に国防総省試験法標準規格MIL-STD-662Fの条件にしたがって、16グレーンのRCC発射体に対して獲得した。
【0102】
実施例33〜38:
実施例31及び32を繰り返して、しかしながら異なるバインダー樹脂を用いて更なる2.0psfの試料を作成した。複合材料を室温において背面衝撃痕及びV50に関して試験し、結果を表6に示す。実施例36〜38に関しては、実施例31のようなプラズマ処理ではなく、コロナ処理を行った。コロナ処理は、洗浄した繊維のウエブを、幅30インチの電極を有するコロナ処理装置に、約15フィート/分の速度において、コロナ処理装置を2kWの出力に設定して連続的に通過させることによって行った。コロナ場内での繊維の滞留時間は約2秒間であった。処理は標準大気圧下で行った。
【0103】
【表6】
【0104】
実施例39:
実施例31の複数の複合材料を、複数の21インチ×21インチの正方形に切り出した。複数の正方形試料を1以上の防弾シェルに成形し、防弾シェルを強化戦闘用ヘルメットに成形した。それぞれの防弾シェルは約2.8ポンド(約2.24psf)の重量であった。ヘルメットの外側の上にポリマーベースの外側表面被覆又は厚いフィルムを配し、ヘルメットの内側の上に織成ポリエチレンベースの布帛(例えば、1200デニールのS900 SPECTRAポリエチレン繊維を含ませた織成布スタイル903;21×21の端部/インチ(端部/2.54cm)のピックカウントの平織り;7オンス/yd(217g/m(gsm)の面重量)を配した。場合によっては、ヘルメットはパッド及びサスペンションを用いて完成した。
【0105】
実施例40:
1方向に配向した実質的に平行の45g/dの繊維の4つのプライを含ませた4プライ不織複合材料を形成した。繊維を洗浄してそれらの繊維仕上げ剤を実質的に除去し、次にプラズマ処理し、乾燥した。プラズマ処理後の繊維テナシティーは45g/dであった。その後、繊維を、1100psiの弾性率を有する脂肪族アニオン性ポリウレタン分散液で被覆した。それぞれのプライはプライの約16重量%の樹脂含量を有していた。4つのプライを、それぞれのプライの縦の繊維方向に対して0°/90°/0°/90°で配向した。この4プライ複合材料は、約53gsmの繊維面密度(プライあたり)、及び約64gsmのそれぞれのプライの全面密度を有していた。
【0106】
好ましい態様を参照して本発明を特に示し且つ記載したが、発明の精神及び範囲から逸脱することなく種々の変更及び修正を行うことができることは当業者に容易に認められるであろう。特許請求の範囲は、開示されている態様、上記で議論したこれらの代替物、及びこれらに対する全ての均等物をカバーするように解釈されると意図される。
以下に本発明の実施態様を記載する。
[1]
プラズマ処理によって変性されているか又はコロナ処理によって変性されており、周囲室温において少なくとも約33g/デニールのテナシティーを有する変性された高テナシティー繊維を製造する方法であって、
(a)周囲室温において少なくとも約33g/デニールのテナシティーを有する高テナシティー繊維を与え、ここでかかる繊維は繊維表面を有し、かかる表面は繊維表面仕上げ剤によって少なくとも部分的に被覆されているか、或いはかかる繊維は繊維表面仕上げ剤を実質的に含まず;
(b)繊維表面が繊維表面仕上げ剤によって少なくとも部分的に被覆されている場合には、繊維表面仕上げ剤の少なくとも一部を繊維表面から除去し;そして
(c)高テナシティー繊維を、非真空圧に維持されているチャンバー内において、高テナシティー繊維を変性するのに有効な条件下でプラズマ処理又はコロナ処理にかけ;
それによって、プラズマ処理によって変性されているか又はコロナ処理によって変性されており、周囲室温において少なくとも約33g/デニールのテナシティーを有する変性された高テナシティー繊維を製造する;
工程を含む上記方法。
[2]
工程(c)の処理を大気圧に維持されているチャンバー内で行う、[1]に記載の方法。
[3]
繊維を水で洗浄することによって、繊維表面仕上げ剤を繊維の表面から少なくとも部分的に除去する、[1]に記載の方法。
[4]
工程(c)の処理がプラズマ処理であり、複数の繊維を約100W/ft/分以下のプラズマエネルギー束でプラズマ処理する、[1]に記載の方法。
[5]
工程(c)の処理がプラズマ処理であり、複数の繊維を約20W/ft/分以下のプラズマエネルギー束でプラズマ処理する、[1]に記載の方法。
[6]
繊維表面仕上げ剤を繊維の表面から部分的にのみ除去する、[1]に記載の方法。
[7]
繊維表面仕上げ剤を繊維の表面から実質的又は完全に除去する、[1]に記載の方法。
[8]
工程(c)の処理を大気圧に維持されているチャンバー内で行う、[7]に記載の方法。
[9]
工程(c)の処理がプラズマ処理であり、複数の繊維を約100W/ft/分以下のプラズマエネルギー束でプラズマ処理する、[7]に記載の方法。
[10]
工程(c)の処理がプラズマ処理であり、複数の繊維を約20W/ft/分以下のプラズマエネルギー束でプラズマ処理する、[7]に記載の方法。
[11]
繊維表面仕上げ剤を繊維の表面から実質的又は完全に除去し、工程(c)の処理を大気圧に維持されているチャンバー内で行い、工程(c)の処理がプラズマ処理であり、複数の繊維を約100W/ft/分以下のプラズマエネルギー束でプラズマ処理する、[1]に記載の方法。
[12]
繊維表面仕上げ剤を繊維の表面から実質的又は完全に除去し、工程(c)の処理を大気圧に維持されているチャンバー内で行い、工程(c)の処理がプラズマ処理であり、複数の繊維を約20W/ft/分以下のプラズマエネルギー束でプラズマ処理する、[1]に記載の方法。
[13]
工程(a)が、周囲室温において少なくとも約37g/デニールのテナシティーを有する超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)繊維を与えることを含み、繊維表面が繊維表面仕上げ剤によって少なくとも部分的に被覆されており、変性された高テナシティーUHMWPE繊維が周囲室温において少なくとも約37g/デニールのテナシティーを有する、[1]に記載の方法。
[14]
工程(a)が、周囲室温において少なくとも約37g/デニールのテナシティーを有する超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)繊維を与えることを含み、繊維表面が繊維表面仕上げ剤によって少なくとも部分的に被覆されており、変性された高テナシティーUHMWPE繊維が周囲室温において少なくとも約37g/デニールのテナシティーを有する、[11]に記載の方法。
[15]
実質的に平行のアレイで整列された[11に記載の変性された高テナシティー繊維から形成される繊維プライ。
[16]
前記[11]に記載の複数の変性された高テナシティー繊維から形成される布帛。
[17]
前記[11]に記載の複数の変性された高テナシティー繊維、及びかかる変性された高テナシティー繊維の少なくとも幾つかの上に少なくとも部分的に被覆されているポリマーバインダー材料を含む繊維複合材料。
[18]
前記[17]に記載の繊維複合材料から形成される物品。
[19]
プラズマ処理によって変性されているか又はコロナ処理によって変性されている変性ポリマー繊維を製造する方法であって、
(a)繊維表面を有し、かかる表面は繊維表面仕上げ剤によって少なくとも部分的に被覆されているか、又は繊維は繊維表面仕上げ剤を実質的に含まないポリマー繊維を与え;
(b)繊維表面が繊維表面仕上げ剤によって少なくとも部分的に被覆されている場合には、繊維表面仕上げ剤の少なくとも一部を繊維表面から除去し;そして
(c)ポリマー繊維を、非真空圧に維持されているチャンバー内において、ポリマー繊維を変性するのに有効な条件下でプラズマ処理又はコロナ処理にかけ;
それによって、プラズマ処理によって変性されているか又はコロナ処理によって変性されている変性繊維を製造する;
工程を含む上記方法。
[20]
プラズマ処理によって変性されているか又はコロナ処理によって変性されている変性ポリマー繊維を製造する方法であって、
(a)少なくとも部分的に繊維表面仕上げ剤を含まない表面を有して、繊維表面の少なくとも一部が露出されて繊維表面仕上げ剤によって被覆されていないようになっているポリマー繊維を与え;そして
(c)ポリマー繊維を、非真空圧に維持されているチャンバー内において、ポリマー繊維を変性するのに有効な条件下でプラズマ処理又はコロナ処理にかけ;
それによって、プラズマ処理によって変性されているか又はコロナ処理によって変性されている変性繊維を製造する;
工程を含む上記方法。