特許第6243339号(P6243339)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6243339-空気の流れを案内する流通案内フード 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6243339
(24)【登録日】2017年11月17日
(45)【発行日】2017年12月6日
(54)【発明の名称】空気の流れを案内する流通案内フード
(51)【国際特許分類】
   H05K 7/20 20060101AFI20171127BHJP
   G06F 1/20 20060101ALI20171127BHJP
【FI】
   H05K7/20 G
   G06F1/20
【請求項の数】6
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2014-537535(P2014-537535)
(86)(22)【出願日】2012年9月6日
(65)【公表番号】特表2014-531136(P2014-531136A)
(43)【公表日】2014年11月20日
(86)【国際出願番号】EP2012067415
(87)【国際公開番号】WO2013060519
(87)【国際公開日】20130502
【審査請求日】2014年6月19日
【審判番号】不服2016-17428(P2016-17428/J1)
【審判請求日】2016年11月22日
(31)【優先権主張番号】102011117223.1
(32)【優先日】2011年10月28日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】000005223
【氏名又は名称】富士通株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100192636
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 隆夫
(72)【発明者】
【氏名】シュエルショーン, ローレンツ
(72)【発明者】
【氏名】ケーラー, フリードリヒ
【合議体】
【審判長】 國分 直樹
【審判官】 井上 信一
【審判官】 安藤 一道
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−251067(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 7/20
G06F 1/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータ又は他の電子装置における空気の流れを案内する流通案内フードであって、複数の個別的なパーツにより形成され、第1の流通案内要素及び複数の第2の流通案内要素を少なくとも有し、
前記第1の流通案内要素は、平坦な第1の材料により形成され、前記第1の流通案内要素が複数の2次元領域により形成され且つ前記2次元領域の各々が平坦であり直線的な縁を有するように前記第1の材料が整形され、前記第1の流通案内要素は、空気の主な流れを案内するメイン流通路を提供して大まかな大凡の流れのパターンを与えることにより、前記の流れを流通させるように機能し、
前記複数の第2の流通案内要素は、前記第1の材料とは異なる第2の材料により形成され、前記流れを流通させるように機能し、
前記第2の流通案内要素は、発泡プラスチック材料により軽量で塊状に形成され、
前記第2の流通案内要素は1つ以上の平坦面を有し、少なくとも1つの平坦面の全面が前記第1の流通案内要素に接着により取り付けられ、
前記第2の流通案内要素は前記流れのパターンを細かく制御するように機能し、
前記複数の第2の流通案内要素は、メイン流通路を複数のパート流通路に分割するように、前記第1の流通案内要素のうちの同じ面に設けられ、
分割されたパート流通路の前記空気の流れは、隣接する第2の流通案内要素の間の隙間により案内される、流通案内フード。
【請求項2】
前記第2の流通案内要素は、平坦面により支配的に規定されるように切断又は加工された形状を有する、請求項1に記載の流通案内フード。
【請求項3】
前記第1の流通案内要素はパンチ加工によるパーツである、請求項1に記載の流通案内フード。
【請求項4】
前記第1の流通案内要素は、複数の平坦なセグメントに分割された形状を有し、
前記第1の流通案内要素の異なる平坦なセグメントは、互いに異なる平面を規定するように互いに区切られている、請求項3に記載の流通案内フード。
【請求項5】
前記第1の流通案内要素は、複数の平坦なセグメントの内側表面において前記メイン流通路を規定する形状を有し、
複数の第2の流通案内要素が、前記第1の流通案内要素の前記内側表面に取り付けられる、請求項4に記載の流通案内フード。
【請求項6】
前記第1の流通案内要素及び前記複数の第2の流通案内要素の双方が、前記流れのパターンの実際の通路を提供する、請求項1に記載の流通案内フード。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
開示される実施の形態は、コンピュータその他の電子装置内での空気の流れを案内する流通案内フード等に関連する。
【背景技術】
【0002】
コンピュータその他の電子装置は、熱を発生する電力消費電子素子を含んでいるので、冷却する必要がある。過剰に高い動作温度は、例えば、マイクロプロセッサやメモリチップの信頼性を危険にさらし、それらのサービス寿命を短くしてしまうこと等が懸念される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来、冷却は送風機や放熱構造を用いて行われ、例えば、冷却フィン、空気案内フード、小型熱伝導金属構造(compact heat-conductive metal structure)等を個々のチップの直近に設けている。空気案内フードは空気の流れを空間的に制限する成形部材であり、これにより、冷却されるべき素子の方から出る空気の流出を案内するように、或いは冷却されるべき素子の方に入る空気の流入を案内するように、より緻密な方法で空気の流れを制御する。
【0004】
場合によっては、最適化されたエアダクト又は空気孔は非常に複雑な幾何学形状になることに起因して、空気を案内する機能を発揮するための要素又は部材は、通常、プラスチック材料による小型の射出成形された部材のように形成され、成形又は整形は特殊なプラスチック処理ツール(例えば、モールド部材等)を用いて実行される。これは、1個の空気案内フードを形成し、その空気案内フードは、コンピュータ内部での所望の風のパターン及びその幾何学形状に特化して形成された空気案内部をもたらす。
【0005】
しかしながら、コンピュータの内部構造がますます複雑化するにつれて、及び/又は所望の風のパターン(空気が流れるパターン)がますます緻密になるにつれて、そのような従来の流通案内フードを製造することは過剰に高価となってしまうことに加えて過剰に時間を要してしまうことが懸念される。
【0006】
一側面による実施の形態の課題は、性能を実質的に落とすことなく安価に製造することが可能な流通案内フードを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一側面による流通案内フードは、
コンピュータ又は他の電子装置における空気の流れを案内する流通案内フードであって、複数の個別的なパーツにより形成され、第1の流通案内要素及び少なくとも1つの第2の流通案内要素を有し、
前記第1の流通案内要素は、平坦な第1の材料により形成され、前記流れの流通を案内するように機能し、
前記少なくとも1つの第2の流通案内要素は、前記第1の材料とは異なる第2の材料により形成され、前記流れの流通を案内するように機能し、及び前記第1の流通案内要素に設けられている、流通案内フードである。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】流体案内フードの実施の形態を示す図。
図2】流体案内フードが内部に設けられているコンピュータを示す図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<実施の形態の概要>
上記の課題は出願時の特許請求の範囲に記載される流通案内フード等により達成される。本発明によれば、1個に形成された部品として製造するのではなく、流通案内フードは、異なる材料で形成された複数の部分(又はパーツ)の集まりとして製造される。実施の形態においては、例えば金属板のような第1の平坦な材料が使用され、これは整形された後に(整形は、スタンプ又はプレス工程、折り畳み工程及び/又は折り曲げ工程等により行われてもよい)、大まかな大凡の流れパターン又は流れの境界をもたらす。第1の流通案内要素は、好ましくは、2つの2次元領域をなすようにパンチ工程、折り畳み工程又は折り曲げ工程により形成され、2つの2次元領域の各々は平坦で直線的な縁(又は辺)を有する。流通パターンを細かく制御するための第2の材料で形成された別の整形された要素は、特に、そのような第1の整形された要素の上に簡易に設けられることが可能である。
【0010】
<実施の形態の詳細な説明>
以下、図面を用いて例示的な実施の形態を説明する。
【0011】
図1は、コンピュータ又は他の電子装置の内部で空気の流れを案内する流通案内フード10の一例を斜視図により示している。流通案内フード10は複数の個別的な部分(又はパーツ)により形成されている。メイン流通路7(主要な流れの経路)を提供する第1の流通案内要素1は、平坦な第1の材料11から形成され、平坦な第1の材料は例えば金属板、厚紙又はプラスチック材料等により形成されていてもよい。メイン流通路7は図1の斜視図において左側から右側へ流通案内フード10を通るように延びており;メイン流通路7は第1の流通案内要素1により少なくとも1つの方向(例えば、下向きの方向)に対して限定される。すなわち、第1の流通案内要素1は下向きの方向に対する境界を形成する。別の方向(例えば、上向きの方向)に対してもメイン流通路7はコンピュータ内部の別の要素により限定されてもよいが(別の要素が)、必須ではない。
【0012】
第1の流通案内要素1は、好ましくは複数の直線状の縁部4に沿うように、折り畳み工程、パンチ加工工程、折り曲げ工程又はその他の工程により形成され、複数の平坦部(すなわち、平坦なセグメント3)を形成することが好ましい。第1の流通案内要素1は、簡易な方法で所望の形状に形成することが可能であり、以後、特に簡易な方法で更に処理されることが可能である。このため、1つ以上の第2の流通案内要素2;2a、2bが設けられ、これらは流れのパターン(又は空気の流れ方)を微調整するように機能する。例えば、図1はそのような2つの流体案内要素2a、2bを示している。これらは、或る体積を占める材料であることが好ましい第2の材料12により形成され、そのような材料は、例えば、小さな塊状材料又は発泡材料等である。特に、発泡材料が有用であるのは、それが、材料を大量に消費することなく、例えばカット又は切断のような簡易な方法で整形できるからである。図1に示す特定の実施の形態では、第1の流通案内要素1が平坦部又は平坦な部材により専ら又は支配的に規定されており、この実施の形態は第2の流通案内要素2との組み合わせにより特に優れた利点を有し、第2の流通案内要素2は、特に簡易な方法で幾何学的形状を形成することが可能であり、特に簡易な方法で第1の流通案内要素1に結合可能であり、特に簡易な場合においては、特定の第2の流通案内要素2の1つ以上の平坦表面部6の全面を接着剤により第1の流通案内要素1の平坦セグメント3に結合することが可能である。例えば、第1の流通案内要素1の内側に接着剤で取り付けられた第2の流通案内要素2;2a、2bは、例えばメイン流通路7を、複数のパート流通路(又は複数のサブ流通路)8;8a、8bに制限する、局所的に制限する、仕向ける又は分割することを可能にする。複数の第2の流通案内要素が、互いに結合されてもよいし、或いは別の形式で互いに結合されてもよい。そのような形態によらず、平坦な材料で形成される第1の流通案内要素1は、第2の流体案内要素2により更に形状が整えられるメイン流通路7を提供する。従って、第1の流通案内要素1及び第2の流通案内要素2;2a、2bの双方により、空気又はその他の気体状の媒質又は媒体の実際の通路が提供される。全ての第2の流通案内要素2は、第1の流通案内要素1を形成している平坦な材料部11の同じ面上に設けられていることが好ましく;第2の流通案内要素2とともに提供される第1の流通案内要素1の表面5は、流通路を包囲する又は部分的に包囲する流通案内要素の内側をなす。
【0013】
本願で説明される流通案内構造又は流通案内フード10は、例えば、冷気で冷やされるべきコンピュータの1つ以上のユニットとファンとの間で適切な空気の流れをもたらす。或いは、そのような流体案内フード10は1つ以上のユニットからの熱気をそらすように使用されてもよい。同様に、素子又はファンに到る前に流通案内フードを先ず最初に経由して流れる空気は、ファンによりユニットから排気されてもよい。
【0014】
図2は、本発明による流通案内フード10を使用するコンピュータ20又は他の電子装置15に関する概略断面図を示す。冷却することを要するコンピュータの2つのユニット14とファン13とが断面図に示されている。流通案内フード10は、コンピュータ20の内部に組み込まれており、メイン流通路7を制限又は規定し、図中の矢印による流れのパターンから分かるように、冷却されるべきユニット14に近い領域での空気の流れを強めている。
【0015】
流通案内フード10は、例えば金属板のような第1の材料11により形成される第1の流通案内要素1と、例えば発泡材料のような第2の材料12により形成される少なくとも1つの第2の流通案内要素2とを有する。第2の流通案内要素2は、例えば、第1の流通案内要素1の中間部分における上面(最上位に位置して下側を向いている面)に結合される。第1の流通案内要素1の横並びの側壁(群)及び高さにより、紙面内及び紙面に垂直な方向におけるメイン流通路7に利用可能な体積が規定される。第2の流通案内要素は、例えば、ブロック形状の構造であってもよいし、或いは平坦部による他の仕方で規定されてもよいし、流通路7を更に限定してもよい。その結果、ユニット14の近傍において、空気の流速は更に速くなる。本願で説明される流通案内フードは、非常に簡易に製造することが可能であり、プラスチック材料で射出成形により1個の部品として形成する場合よりも安価であり、かつ基本形状は最も簡易であるにもかかわらず、流れのパターンを最適化することが可能であり、例えば、第1及び/又は第2の形状のパーツによる傾斜した境界面により、或いは立体的な材料により形成される特定の第2の形状のパーツの湾曲面により最適化することが可能である。
【0016】
上記の方法に基づいて、第1及び第2の流通案内要素の形状を整え、第2の材料12により形成される追加的な流通案内要素2を追加することにより、流れのパターンを更に最適化することが可能である。
【符号の説明】
【0017】
1 第1の流通案内要素
2;2,2b 第2の流通案内要素
3 平坦セグメント
4 直線状縁部
5 第1表面
6 平坦な表面
7 メイン流通路
8;8a;8b パート流通路
10 流通案内フード
11 第1の材料
12 第2の材料
13 ファン
14 ユニット
15 電子装置
20 コンピュータ
図1
図2