【実施例】
【0037】
(実施例1)
光学スタックは、以下の通り組み立てられた。LCDパネルは、Sony NSX−32GT1テレビセット(Sony USA,New York NYから入手可能)から得られた。1枚のシートの反射型偏光子(3M Company,St.Paul MNから入手可能なDBEF−Q)が、LCDパネルの水平方向に沿って配向された偏光子の通過軸を有して光学的に透明な接着剤(3M CompanyからOCA 8171として入手可能)を用いてパネルの下面へ積層された。LCDパネルから離れて対面する反射型偏光子シートの側面上に形成されたものは、以下により詳細に説明されている非対称ディフューザーであった。この非対称ディフューザーは、各構造体が細長い楕円の近似形状を有する、構造体の平行な組を有した。非対称ディフューザーは、楕円の長軸が反射型偏光子の通過軸に対して平行であるように配向された。このように配向されて、最大拡散の方向は透過軸に対して垂直であった。反射型偏光子シートの下にあって、かつ空気間隙によってそれから分離されたのは、プリズムフィルム(3M Companyから入手可能で、90度の頂点角度及び50マイクロメートルのピッチを有するBEF III−10T)であった。プリズムは、細長い楕円の長軸方向に対して概ね平行に配向された。プリズムフィルムの真下にあって、かつ空気間隙によってそれから分離されたのは、Samsung UN32C4000テレビセット(Samsung USA,Richfield Park NJから入手可能)から得られたマイクロレンズシート(ディフューザー)であった。マイクロレンズシートの直下にあって、かつ空気間隙によってそれから分離されたのは、やはりSony NSX−32GT1テレビセットから取られた導光板であった。このセットからの導光板は、80個の3mm×5mm LEDを用いて、上縁において照明された。
【0038】
反射型偏光子の下面上の非対称ディフューザーは、以下の通り準備された。例えば、PCT公開出願第WO 00/48037号及び米国特許第7,350,442号及び同第7,328,638号に記載されているファストツールサーボ(FTS)を備えたダイヤモンド旋削システムが、円筒形の微細複製ツールを生成するために使用された。円筒がその中心軸に沿って回転されるにつれて、円筒形ロールの周りのネジ経路を切削するためにダイヤモンドカッターが円筒形の表面に対して直角に移動した。ロール材料を切削するためにカッターがロール表面に対して直角な方向に沿って移動するにつれて、カッターによって切削される材料の幅は、カッターが移動する即ち中に及び外に突っ込むにつれて変化した。微細複製ツールを生成するためのプロセスについては、PCT公開出願第WO2010/041261号及び係属中の米国特許出願第61/236772号に更に記載されている。円筒形ツールにおいて生成された構造体は、次いで米国特許第5,175,030号(Lu)及び同第5,183,597号(Lu)に記載されている方法を用いて反射型偏光子の下面上で複製された。
図3は、非対称ディフューザーの光学顕微鏡写真の平面図である。
【0039】
図3に示された細長い構造体は、約160マイクロメートルの平均長さ及び約10マイクロメートルの最大幅部分における平均幅を有する。構造体の平均最大高さは、約2マイクロメートルであった。
【0040】
ディスプレイの輝度(有効透過率)は、Eldim EZContrast88LW(Market Tech Inc.,Scotts Valley CAから入手可能)を用いて垂直極角の関数として測定された。その結果得られたデータは、
図4のプロットに示されている。
【0041】
(実施例2)
光学スタックは、非対称ディフューザー構造体がその例においてそれらの方向に対して垂直に形成されたことを除き、実施例1のように組み立てられ、それによってそれらがプリズムに対しておおよそ垂直になった。この配向において、最大拡散の方向は水平であった。
【0042】
ディスプレイの輝度(有効透過率)は、実施例1に記載されるように垂直極角の関数として測定された。その結果得られたデータは、
図4のプロットに示されている。
【0043】
(実施例3)
光学スタックは、非対称ディフューザーを備えた反射型偏光子フィルムがディフューザー(3M Companyから入手可能な、DBEF−Q)のない反射型偏光子によって置き換えられたことを除いて、実施例1のように組み立てられた。
【0044】
垂直極角の関数としてのディスプレイの輝度(有効透過率)は、実施例1に記載されるように測定された。その結果得られたデータは、
図4のプロットに示されている。
【0045】
(実施例4)
視角は、実施例1の非対称ディフューザーを備えた反射型偏光子から成る単一フィルムについて測定された。水平視角(輝度がそのピーク値の半分まで低下する角度)は、1.5度であり、かつ垂直視角は17.1度であると決定された。これらは視準光源及び放射撮像球体(radiant imaging sphere)(Radiant ZEMAX,LLC,Redmond WAからIS−Sa Scatter and Appearance Measurement Systemとして入手可能)で測定された。
【0046】
(実施例5)
視角は、DBEF−D2−400(3M Companyから入手可能)、従来の対称ディフューザーを備えた反射型偏光子から成る単一フィルムで測定された。視角は、実施例4のように測定され、水平で11.3度及び垂直で12.8度であると決定された。
【0047】
(実施例6)
軸上輝度は、PR705 SpectraScan分光放射計(Photo Research Inc.,Chatsworth CAから入手可能)を用いて実施例1、2及び3の光学スタックについて測定された。実施例1及び2の光学組立体は、実施例3の光学組立体の軸上輝度の91%を有することが判明した。
【0048】
そこで、「非対称ディフューザーを備えた光学スタック」の実施形態が開示される。当業者は、本明細書に記載される光学フィルム及びフィルム物品は、開示の実施形態以外の実施形態と共に実施され得ることを認識するであろう。開示された実施形態は、例証するために提示されるもので、制限するためのものではない。
【0049】
代表的な実施形態は、以下を含む。
項目1.
第1の光学スタックと、前記第1の光学スタックに配設された第2の光学スタックと、を備えた光学スタックであって、
前記第1の光学スタックが、少なくとも1.3の平均有効透過率を有しかつ第1の方向に沿って延在する複数の線状構造体を備える構造化された第1の主面を備える光方向管理フィルムを備え、
前記第2の光学スタックが、
液晶パネルと、
前記液晶パネル上に配設された反射型偏光子であって、前記反射型偏光子が第1の偏光状態を有する光を実質的に反射しかつ前記第1の偏光状態に対して垂直である第2の偏光状態を有する光を実質的に透過する、反射型偏光子と、
前記反射型偏光子上に配設されかつ前記第1の方向に沿って余り拡散性でなくかつ前記第1の方向に直交する第2の方向に沿ってより拡散性である非対称光ディフューザーと、を備え、前記第2の光学スタック内の2つの隣接した主面のそれぞれの相当な部分が互いに物理的に接触していて、前記光学スタックの平均有効透過率が、前記視角が約35度から約55度まで増大するにつれて視角の関数として単調非増加を示す、光学スタック。
【0050】
項目2.前記光方向管理フィルムが、少なくとも1.4の平均有効透過率を有する、項目1に記載の光学スタック。
【0051】
項目3.前記光方向管理フィルムが、少なくとも1.5の平均有効透過率を有する、項目1に記載の光学スタック。
【0052】
項目4.前記光方向管理フィルムが、少なくとも1.6の平均有効透過率を有する、項目1に記載の光学スタック。
【0053】
項目5.前記光方向管理フィルムの前記第1の主面内の前記複数の線状構造体が、前記第1の方向に沿って延在する複数の線状プリズム構造体を備える、項目1に記載の光学スタック。
【0054】
項目6.各線状プリズム構造体が、ピーク及びピーク角度を有し、前記ピーク角度が70度〜120度の範囲にある、項目5に記載の光学スタック。
【0055】
項目7.各線状プリズム構造体が、ピーク及びピーク角度を有し、前記ピーク角度が80度〜110度の範囲にある、項目5に記載の光学スタック。
【0056】
項目8.各線状プリズム構造体が、ピーク及びピーク角度を有し、前記ピーク角度が85度〜95度の範囲にある、項目5に記載の光学スタック。
【0057】
項目9.各線状プリズム構造体が、ピーク及びピーク角度を有し、前記ピーク角度が88度〜92度の範囲にある、項目5に記載の光学スタック。
【0058】
項目10.前記光方向管理フィルムの前記構造化された第1の主面が、前記第2の光学スタックに対面する、項目1に記載の光学スタック。
【0059】
項目11.前記光方向管理フィルムの前記構造化された第1の主面が、前記第2の光学スタックから離れて対面する、項目1に記載の光学スタック。
【0060】
項目12.前記光方向管理フィルムが、前記構造化された第1の主面の反対側に第2の主面を備え、前記第2の主面が構造化されている、項目1に記載の光学スタック。
【0061】
項目13.前記光方向管理フィルムが、前記構造化された第1の主面の反対側に第2の主面を備え、前記第2の主面が構造化されていない、項目1に記載の光学スタック。
【0062】
項目14.前記液晶パネルの主面が、少なくとも50cmである対角線を有する、項目1に記載の光学スタック。
【0063】
項目15.前記液晶パネルの主面が、少なくとも75cmである対角線を有する、項目1に記載の光学スタック。
【0064】
項目16.前記反射型偏光子が、前記第1の偏光状態を有する光の少なくとも60%を反射し、かつ前記第2の偏光状態を有する光の少なくとも60%を透過する、項目1に記載の光学スタック。
【0065】
項目17.前記反射型偏光子が、前記第1の偏光状態を有する光の少なくとも70%を反射し、かつ前記第2の偏光状態を有する光の少なくとも70%を透過する、項目1に記載の光学スタック。
【0066】
項目18.前記反射型偏光子が、前記第1の偏光状態を有する光の少なくとも80%を反射し、かつ前記第2の偏光状態を有する光の少なくとも80%を透過する、項目1に記載の光学スタック。
【0067】
項目19.前記反射型偏光子が、前記第1の偏光状態を有する光の少なくとも90%を反射し、かつ前記第2の偏光状態を有する光の少なくとも90%を透過する、項目1に記載の光学スタック。
【0068】
項目20.前記非対称光ディフューザーが、体積光ディフューザーを備える、項目1に記載の光学スタック。
【0069】
項目21.前記非対称光ディフューザーが、表面光ディフューザーを備える、項目1に記載の光学スタック。
【0070】
項目22.前記非対称光ディフューザーが、第1の視角で前記第1の方向に沿って及び第2の視角で前記第2の方向に沿って光を散乱させ、前記第2の視角と前記第1の視角との比は少なくとも1.5である、項目1に記載の光学スタック。
【0071】
項目23.前記非対称光ディフューザーが、第1の視角で前記第1の方向に沿って及び第2の視角で前記第2の方向に沿って光を散乱させ、前記第2の視角と前記第1の視角との比は少なくとも2である、項目1に記載の光学スタック。
【0072】
項目24.前記非対称光ディフューザーが、第1の視角で前記第1の方向に沿って及び第2の視角で前記第2の方向に沿って光を散乱させ、前記第2の視角と前記第1の視角との比は少なくとも2.5である、項目1に記載の光学スタック。
【0073】
項目25.前記非対称光ディフューザーが、第1の視角で前記第1の方向に沿って及び第2の視角で前記第2の方向に沿って光を散乱させ、前記第2の視角と前記第1の視角との比が少なくとも3である、項目1に記載の光学スタック。
【0074】
項目26.前記第2の光学スタック内の2つの隣接した主面のそれぞれの少なくとも50%が、互いに物理的に接触している、項目1に記載の光学スタック。
【0075】
項目27.前記第2の光学スタック内の2つの隣接した主面のそれぞれの少なくとも60%が、互いに物理的に接触している、項目1に記載の光学スタック。
【0076】
項目28.前記第2の光学スタック内の2つの隣接した主面のそれぞれの少なくとも70%が、互いに物理的に接触している、項目1に記載の光学スタック。
【0077】
項目29.前記第2の光学スタック内の2つの隣接した主面のそれぞれの少なくとも80%が、互いに物理的に接触している、項目1に記載の光学スタック。
【0078】
項目30.前記第2の光学スタック内の2つの隣接した主面のそれぞれの少なくとも90%が、互いに物理的に接触している、項目1に記載の光学スタック。
【0079】
項目31.前記第2の光学スタック内の各層が、前記第2の光学スタック内の隣接した層上に直接形成されるか又は接着剤を介して前記隣接した層へ付着されるかのいずれかである、項目1に記載の光学スタック。
【0080】
項目32.前記光学スタックの前記平均有効透過率が、視角が約30度から約60度まで増大するにつれて単調減少する、項目1に記載の光学スタック。
【0081】
項目33.前記光学スタックの前記平均有効透過率が、視角が約25度から約65度まで増大するにつれて単調減少する、項目1に記載の光学スタック。
【0082】
項目34.前記光学スタックの前記平均有効透過率が、視角が約20度から約70度まで増大するにつれて単調減少する、項目1に記載の光学スタック。
【0083】
項目35.前記光学スタックの前記平均有効透過率が、視角が約15度から約75度まで増大するにつれて単調減少する、項目1に記載の光学スタック。
【0084】
項目36.前記光学スタックの前記平均有効透過率が、視角が約10度から約80度まで増大するにつれて単調減少する、項目1に記載の光学スタック。
【0085】
項目37.前記光学スタックの前記平均有効透過率が、視角が約5度から約85度まで増大するにつれて単調減少する、項目1に記載の光学スタック。
【0086】
項目38.前記視角が5度〜85度の前記視角範囲の一部分の中で増大するときは、前記光学スタックの前記平均有効透過率が、一定のままである、項目37に記載の光学スタック。
【0087】
項目39.前記第1の光学スタックと前記第2の光学スタックとの間に空気間隙を備える、項目1に記載の光学スタック。
【0088】
項目40.前記光学スタックの前記平均有効透過率が、前記非対称光ディフューザーを備えないことを除いて前記同一の構成を有する光学スタックと比較して約15%の差で、より高いか又はより低い、項目1に記載の光学スタック。
【0089】
項目41.前記光学スタックの前記平均有効透過率が、前記非対称光ディフューザーを備えないことを除いて前記同一の構成を有する光学スタックと比較して約10%以下の差で、より高いか又はより低い、項目1に記載の光学スタック。
【0090】
項目42.前記光学スタックの前記平均有効透過率が、前記非対称光ディフューザーを備えないことを除いて前記同一の構成を有する光学スタックと比較して約8%以下の差で、より高いか又はより低い、項目1に記載の光学スタック。
【0091】
項目43.前記光学スタックの前記平均有効透過率が、前記非対称光ディフューザーを備えないことを除いて前記同一の構成を有する光学スタックと比較して約5%以下の差で、より高いか又はより低い、項目1に記載の光学スタック。
【0092】
項目44.前記非対称光ディフューザーが、前記光方向管理フィルムの前記構造化された第1の主面と対面する、項目1に記載の光学スタック。
【0093】
項目45.前記非対称光ディフューザーが、前記光方向管理フィルムの前記構造化された第1の主面から離れて対面する、項目1に記載の光学スタック。
【0094】
項目46.前記反射型偏光子層が、交互層を備え、前記交互層の少なくとも1つが複屈折材料を備える、項目1に記載の光学スタック。
【0095】
項目47.前記反射型偏光子層が、ワイヤグリッド反射型偏光子を備える、項目1に記載の光学スタック。
【0096】
項目48.前記反射型偏光子層が、コレステリック反射型偏光子を備える、項目1に記載の光学スタック。
【0097】
項目49.前記反射型偏光子層が、複数の実質的に平行繊維を備え、前記繊維が複屈折材料を備える、項目1に記載の光学スタック。
【0098】
項目50.前記反射型偏光子層が、拡散反射偏光フィルム(DRPF)を備える、項目1に記載の光学スタック。
本発明の実施態様の一部を以下の態様[1]−[10]に記載する。
[態様1]
第1の光学スタックと、前記第1の光学スタックに配設された第2の光学スタックと、を備えた光学スタックであって、
前記第1の光学スタックが、
少なくとも1.3の平均有効透過率を有しかつ第1の方向に沿って延在する複数の線状構造体を備える構造化された第1の主面を備える光方向管理フィルムを備え、
前記第2の光学スタックが、
液晶パネルと、
前記液晶パネル上に配設された反射型偏光子であって、前記反射型偏光子が第1の偏光状態を有する光を実質的に反射しかつ前記第1の偏光状態に対して垂直である第2の偏光状態を有する光を実質的に透過する、反射型偏光子と、
前記反射型偏光子上に配設されかつ前記第1の方向に沿って余り拡散性でなくかつ前記第1の方向に直交する第2の方向に沿ってより拡散性である非対称光ディフューザーと、を備え、
前記第2の光学スタック内の2つの隣接した主面のそれぞれの相当な部分が互いに物理的に接触していて、前記光学スタックの平均有効透過率が、前記視角が約35度から約55度まで増大するにつれて視角の関数として単調非増加を示す、光学スタック。
[態様2]
前記光方向管理フィルムが、少なくとも1.4の平均有効透過率を有する、態様1に記載の光学スタック。
[態様3]
前記光方向管理フィルムが、前記構造化された第1の主面と反対側の第2の主面を備え、前記第2の主面が構造化されている、態様1に記載の光学スタック。
[態様4]
前記光方向管理フィルムが、前記構造化された第1の主面と反対側の第2の主面を備え、前記第2の主面が構造化されていない、態様1に記載の光学スタック。
[態様5]
前記液晶パネルの主面が、少なくとも50cmである対角線を有する、態様1に記載の光学スタック。
[態様6]
前記非対称光ディフューザーが、第1の視角で前記第1の方向に沿って及び第2の視角で前記第2の方向に沿って光を散乱させ、前記第2の視角と前記第1の視角との比が少なくとも1.5である、態様1に記載の光学スタック。
[態様7]
前記第2の光学スタック内の2つの隣接した主面のそれぞれの少なくとも50%が、互いに物理的に接触している、態様1に記載の光学スタック。
[態様8]
前記光学スタックの前記平均有効透過率が、視角が約30度から約60度まで増大するにつれて単調減少する、態様1に記載の光学スタック。
[態様9]
前記第1の光学スタックと第2の光学スタックとの間に空気間隙を備える、態様1に記載の光学スタック。
[態様10]
前記光学スタックの前記平均有効透過率が、前記非対称光ディフューザーを備えないことを除いて前記同一の構成を有する光学スタックと比較して約15%以下の差で、より高いか又はより低い、態様1に記載の光学スタック。