特許第6243353号(P6243353)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6243353
(24)【登録日】2017年11月17日
(45)【発行日】2017年12月6日
(54)【発明の名称】投射光学系およびプロジェクタ装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 17/08 20060101AFI20171127BHJP
   G02B 13/18 20060101ALI20171127BHJP
   G03B 21/14 20060101ALI20171127BHJP
   G03B 21/00 20060101ALI20171127BHJP
【FI】
   G02B17/08 A
   G02B13/18
   G03B21/14 D
   G03B21/00 D
【請求項の数】16
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2014-554153(P2014-554153)
(86)(22)【出願日】2013年12月26日
(86)【国際出願番号】JP2013007653
(87)【国際公開番号】WO2014103324
(87)【国際公開日】20140703
【審査請求日】2016年12月22日
(31)【優先権主張番号】特願2012-287877(P2012-287877)
(32)【優先日】2012年12月28日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000227364
【氏名又は名称】株式会社nittoh
(74)【代理人】
【識別番号】100102934
【弁理士】
【氏名又は名称】今井 彰
(72)【発明者】
【氏名】松尾 恭彦
【審査官】 殿岡 雅仁
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2011/0267687(US,A1)
【文献】 特開2007−241260(JP,A)
【文献】 特開2011−237482(JP,A)
【文献】 特開2012−108267(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/005444(WO,A1)
【文献】 特開2010−244017(JP,A)
【文献】 特開2007−011248(JP,A)
【文献】 特開2004−258620(JP,A)
【文献】 特開2009−086315(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 9/00 − 17/08
G02B 21/02 − 21/04
G02B 25/00 − 25/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
縮小側の第1の像面から拡大側の第2の像面へ投射する投射光学系であって、
縮小側から入射した光により拡大側に第1の中間像を結像する第1の屈折光学系と、
縮小側の前記第1の中間像を拡大側に第2の中間像として結像する第2の屈折光学系と、
前記第2の中間像よりも拡大側に位置する正の屈折力の第1の反射面を含む第1の反射光学系とからなり
前記第2の屈折光学系は、フォーカシングを行う際に移動する第1のフォーカスレンズ群を含み、
前記第1のフォーカスレンズ群は、前記第2の屈折光学系に含まれる少なくとも1つのレンズを含
前記第1の屈折光学系は、フォーカシングを行う際に移動する第2のフォーカスレンズ群を含み、
前記第2のフォーカスレンズ群は、前記第1の屈折光学系に含まれる少なくとも1つのレンズを含む、投射光学系。
【請求項2】
請求項1において、
前記第1のフォーカスレンズ群は、前記第1の反射面および前記第2の像面の光学的距離の変化に対してフォーカシングを行う際に移動する第1の距離補正用レンズ群を含む、投射光学系。
【請求項3】
請求項2において、
前記第1の距離補正用レンズ群は、前記第2の屈折光学系の最も縮小側に位置する第1のレンズを含む、投射光学系。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれかにおいて、
前記第1のフォーカスレンズ群は、当該投射光学系の周辺温度の変化に対してフォーカシングを行う際に移動する第1の温度補正用レンズ群を含む、投射光学系。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれかにおいて、
前記第2のフォーカスレンズ群は、前記第1の反射面および前記第2の像面の光学的距離の変化に対してフォーカシングを行う際に移動する第2の距離補正用レンズ群を含む、投射光学系。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれかにおいて、
前記第2のフォーカスレンズ群は、当該投射光学系の周辺温度の変化に対してフォーカシングを行う際に移動する第2の温度補正用レンズ群を含む、投射光学系。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれかにおいて、
前記第1の反射面は前記第1の反射面および前記第2の像面の光学的距離の変化に対してフォーカシングを行う際に動かない、投射光学系。
【請求項8】
請求項1ないし7のいずれかにおいて、
前記第1の屈折光学系は、拡大側に凸面を向けたメニスカスタイプの負レンズを含み、
前記第2の屈折光学系は、当該第2の屈折光学系の最も縮小側に位置する縮小側に凸面を向けたメニスカスタイプの正レンズを含む、投射光学系。
【請求項9】
請求項において、
前記負レンズは前記第1の屈折光学系の最も拡大側に位置する、投射光学系。
【請求項10】
請求項8または9において、
前記負レンズの前記凸面および前記正レンズの前記凸面は非球面である、投射光学系。
【請求項11】
請求項1ないし10のいずれかにおいて、
前記第1の屈折光学系のペッツバール和PTZ1と、前記第1の屈折光学系の歪曲収差の三次収差係数DST1と、前記第1の屈折光学系のコマ収差の三次収差係数TCO1と、前記第2の屈折光学系のペッツバール和PTZ2と、前記第2の屈折光学系の歪曲収差の三次収差係数DST2と、前記第2の屈折光学系のコマ収差の三次収差係数TCO2とが以下の条件を満たす、投射光学系。
|PTZ1|<|PTZ2|
|DST1|<|DST2|
−0.5<|TCO1|−|TCO2|<0.5
【請求項12】
請求項1ないし11のいずれかにおいて、
前記第1の中間像の像面湾曲量FC1と、前記第2の中間像の像面湾曲量FC2とが以下の条件を満たす、投射光学系。
0<FC1×FC2
0.03<|FC1|
【請求項13】
請求項1ないし12のいずれかにおいて、
前記第1の中間像から出射する主光線は前記第2の屈折光学系の光軸の側を向いている、投射光学系。
【請求項14】
請求項1ないし13のいずれかに記載の投射光学系と、
前記第1の像面に画像を形成する光変調器とを有する、プロジェクタ装置。
【請求項15】
縮小側の第1の像面から拡大側の第2の像面へ投射する投射光学系と、
前記投射光学系のフォーカシングを行うフォーカシング機構とを有し、
前記投射光学系は、縮小側から入射した光により拡大側に第1の中間像を結像する第1の屈折光学系と、
縮小側の前記第1の中間像を拡大側に第2の中間像として結像する第2の屈折光学系と、
前記第2の中間像よりも拡大側に位置する正の屈折力の第1の反射面を含む第1の反射光学系とからなり
前記フォーカシング機構は、前記第2の屈折光学系に含まれる少なくとも1つのレンズを動かす機構と、前記第1の屈折光学系に含まれる少なくとも1つのレンズを動かす機構とを含む、投射システム。
【請求項16】
縮小側の第1の像面から拡大側の第2の像面へ投射する投射光学系のフォーカシングを行う方法であって、
前記投射光学系は、縮小側から入射した光により拡大側に第1の中間像を結像する第1の屈折光学系と、
縮小側の前記第1の中間像を拡大側に第2の中間像として結像する第2の屈折光学系と、
前記第2の中間像よりも拡大側に位置する正の屈折力の第1の反射面を含む第1の反射光学系とからなり
当該方法は、前記第2の屈折光学系に含まれる少なくとも1つのレンズと、前記第1の屈折光学系に含まれる少なくとも1つのレンズとを動かすことを含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プロジェクタ装置の投射光学系に関するものである。
【背景技術】
【0002】
日本国特許公開2004−258620号公報(文献1)には、投射画面の大画面化を図りつつ、投射装置外の投影空間を縮小するために、反射面を含む結像光学系を採用しつつ、色収差も補正可能な投射光学系およびこのような投射光学系を用いる画像投射装置を実現することが記載されている。そのため、この文献1には、ライトバルブの投影側にライトバルブの側から第1、第2の光学系を上記順序に配し、第1の光学系は1以上の屈折光学系を含み、正のパワーを有し、第2の光学系はパワーを有する反射面を1以上含み、正のパワーを有し、ライトバルブにより形成された画像を第1及び第2の光学系の光路上に中間像として結像させ、中間像をさらに拡大してスクリーン上に投射することが記載されている。
【発明の概要】
【0003】
プレゼンテーション用や学校教育用などの様々な用途において、広角で鮮明な画像を投射する投射光学系が求められている。
【0004】
本発明の態様の1つは、縮小側の第1の像面から拡大側の第2の像面へ投射する投射光学系である。この投射光学系は、縮小側から入射した光により拡大側に第1の中間像を結像する第1の屈折光学系と、縮小側の第1の中間像を拡大側に第2の中間像として結像する第2の屈折光学系と、第2の中間像よりも拡大側に位置する正の屈折力の第1の反射面を含む第1の反射光学系とを有し、第2の屈折光学系は、フォーカシングを行う際に移動する第1のフォーカスレンズ群を含み、第1のフォーカスレンズ群は、第2の屈折光学系に含まれる少なくとも1つのレンズを含む。
【0005】
この投射光学系においては、第1の屈折光学系が第1の中間像を結像し、その第1の中間像を第2の屈折光学系が拡大側に第2の中間像として結像し、その第2の中間像を第1の反射面が拡大して反射させている。このため、第2の中間像を拡大反射する際に発生する収差を第1の反射面において補正するように設計することは容易ではない。この投射光学系においては、第2の屈折光学系が第1の反射面により発生する像面湾曲などを補正した第2の中間像を結像させ、第1の屈折光学系が第2の屈折光学系により発生するコマ収差などを補正した第1の中間像を結像させやすい。したがって、拡大された鮮明な画像を投射しやすい。さらに、この投射光学系においては、フォーカシングを行う際に、第2の屈折光学系の少なくとも1つのレンズを含む第1のフォーカスレンズ群を移動させている。このため、投射距離などの変化に伴う収差変動を補正した第2の中間像を結像させやすく、投射画像の結像性能の変動も抑制しやすい。
【0006】
広角で焦点距離が短い投射光学系においては被写界深度が深く、焦点深度も深くなりやすい。このため、第1の反射面および第2の像面の光学的距離(投射距離)の変化に伴う、投射画像の中心近傍におけるピント変動を抑制しやすいのに対して、投射画像の周辺における像面湾曲の変動は大きくなりやすい。したがって、第1のフォーカスレンズ群は、第1の反射面および第2の像面の光学的距離の変化に対してフォーカシングを行う際に移動する第1の距離補正用レンズ群を含むことが望ましい。投射距離の変化に伴う像面湾曲の変動を補正した、鮮明な拡大画像を投射しやすい。
【0007】
第1の中間像の結像位置の近傍においては画角ごとの光束が分離しやすい。このため、第1の距離補正用レンズ群は、第2の屈折光学系の最も縮小側に位置する第1のレンズを含むことが望ましい。フォーカシングを行う際に、第1の中間像に最も近い第1のレンズを動かすことにより、フォーカシングに伴う収差変動を抑制しながら、ピントの微調整を行うことができる。したがって、投射距離の変化に伴うピント変動をいっそう抑制した、鮮明な拡大画像を投射しやすい。
【0008】
第1のフォーカスレンズ群は、当該投射光学系の周辺温度の変化に対してフォーカシングを行う際に移動する第2の温度補正用レンズ群を含むことが望ましい。投射光学系を設置する周辺温度の変化に伴う、レンズの屈折率の変化によるピント変動を補正した、鮮明な拡大画像を投射しやすい。
【0009】
第1の屈折光学系は、フォーカシングを行う際に移動する第2のフォーカスレンズ群を含み、第2のフォーカスレンズ群は、第1の屈折光学系に含まれる少なくとも1つのレンズを含む。フォーカシングを行う際に、第1の屈折光学系の少なくとも1つのレンズを含む第2のフォーカスレンズ群を移動させることにより、第1のフォーカスレンズ群の移動距離を短くできる。このため、第1のフォーカスレンズ群と第1の中間像との干渉を抑制でき、第1の中間像の結像位置をほとんど動かすことなくフォーカシングを行うことができる。したがって、投射画像の結像性能の変動を抑制しやすい、コンパクトな投射光学系を提供できる。
【0010】
第2のフォーカスレンズ群は、第1の反射面および第2の像面の光学的距離の変化に対してフォーカシングを行う際に移動する第2の距離補正用レンズ群を含むことが望ましい。広範囲の投射距離の変化に伴うピント変動を抑制した、鮮明な拡大画像を投射しやすい。第2のフォーカスレンズ群は、当該投射光学系の周辺温度の変化に対してフォーカシングを行う際に移動する第2の温度補正用レンズ群を含むことが望ましい。
【0011】
第1の反射面は第1の反射面および第2の像面の光学的距離の変化に対してフォーカシングを行う際に動かないことが望ましい。投射距離の変化に対して第1の反射面を動かさないことにより、第1の像面および第1の反射面の光学的距離を変えずにフォーカシングを行うことができる。このため、第1の反射面の取り付け公差が投射画像の結像性能に与える影響(公差感度)を低減できる。
【0012】
第1の屈折光学系は、拡大側に凸面を向けたメニスカスタイプの負レンズを含み、第2の屈折光学系は、当該第2の屈折光学系の最も縮小側に位置する縮小側に凸面を向けたメニスカスタイプの正レンズを含むことが望ましい。第1の中間像を、第1の中間像よりも縮小側に位置する負レンズの凸面と、第1の中間像よりも拡大側に位置する正レンズの凸面とにより挟むことにより、コマ収差および球面収差の発生を抑制できる。負レンズは第1の屈折光学系の最も拡大側に位置することが望ましい。第1の中間像の結像位置の近傍においては画角ごとの光束が分離しやすい。したがって、負レンズの凸面および正レンズの凸面を非球面とすることにより、像面湾曲、非点収差および歪曲収差などの軸外収差を効果的に補正できる。
【0013】
この投射光学系においては、第1の屈折光学系のペッツバール和PTZ1と、第1の屈折光学系の歪曲収差の三次収差係数DST1と、第1の屈折光学系のコマ収差の三次収差係数TCO1と、第2の屈折光学系のペッツバール和PTZ2と、第2の屈折光学系の歪曲収差の三次収差係数DST2と、第2の屈折光学系のコマ収差の三次収差係数TCO2とが以下の条件(1)〜(3)を満たすことが望ましい。
|PTZ1|<|PTZ2| ・・・・・(1)
|DST1|<|DST2| ・・・・・(2)
−0.5<|TCO1|−|TCO2|<0.5・・・・・(3)
【0014】
この投射光学系においては、条件(1)により、第1の屈折光学系よりも第2の屈折光学系の像面湾曲の補正効果を大きくし、条件(2)により、第1の屈折光学系よりも第2の屈折光学系の歪曲収差の補正効果を大きくし、条件(3)により、第1の屈折光学系および第2の屈折光学系のコマ収差の補正効果をほぼ等しくしている。このため、第2の屈折光学系の補正負担を軽減できる。したがって、第2の屈折光学系の構成を簡素化し、第2の屈折光学系をコンパクトにしやすい。
【0015】
さらに、第1の中間像の像面湾曲量FC1と、第2の中間像の像面湾曲量FC2とが以下の条件(4)および(5)を満たすことが望ましい。
0<FC1×FC2 ・・・・・(4)
0.03<|FC1| ・・・・・(5)
【0016】
この投射光学系においては、第1の中間像から出射する主光線は第2の屈折光学系の光軸の側を向いていることが望ましい。
【0017】
本発明の他の態様の1つは、上記の投射光学系と、第1の像面に画像を形成する光変調器とを有するプロジェクタ装置である。
【0018】
本発明の他の態様の1つは、縮小側の第1の像面から拡大側の第2の像面へ投射する投射光学系と、投射光学系のフォーカシングを行うフォーカシング機構とを有する投射システムである。この投射システムの投射光学系は、縮小側から入射した光により拡大側に第1の中間像を結像する第1の屈折光学系と、縮小側の第1の中間像を拡大側に第2の中間像として結像する第2の屈折光学系と、第2の中間像よりも拡大側に位置する正の屈折力の第1の反射面を含む第1の反射光学系とを含み、フォーカシング機構は、第2の屈折光学系に含まれる少なくとも1つのレンズを動かす機構と、第1の屈折光学系に含まれる少なくとも1つのレンズを動かす機構とを含む。
【0019】
本発明の他の態様の1つは、縮小側の第1の像面から拡大側の第2の像面へ投射する投射光学系のフォーカシングを行う方法である。投射光学系は、縮小側から入射した光により拡大側に第1の中間像を結像する第1の屈折光学系と、縮小側の第1の中間像を拡大側に第2の中間像として結像する第2の屈折光学系と、第2の中間像よりも拡大側に位置する正の屈折力の第1の反射面を含む第1の反射光学系とを含み、当該方法は、第2の屈折光学系に含まれる少なくとも1つのレンズと、第1の屈折光学系に含まれる少なくとも1つのレンズとを動かすことを含む。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明に係る投射光学系を用いたプロジェクタ装置の概略構成を示す図。
図2】第1の実施形態に係る投射光学系の概略構成を示す図。
図3】第1の実施形態に係る投射光学系の光線図。
図4】第1の実施形態に係る投射光学系のレンズデータを示す図。
図5】第1の実施形態に係る投射光学系の諸数値を示す図であり、(a)は第1および第2の投射位置におけるレンズ間隔を示し、(b)は基本データを示し、(c)は非球面データを示す。
図6】第1の実施形態に係る投射光学系の第1の投射位置におけるコマ収差図。
図7】第1の実施形態に係る投射光学系の第2の投射位置におけるコマ収差図。
図8】第1の実施形態に係る投射光学系の第1の投射位置における歪曲収差図。
図9】第1の実施形態に係る投射光学系の第2の投射位置における歪曲収差図。
図10】第2の実施形態に係る投射光学系の概略構成を示す図。
図11】第2の実施形態に係る投射光学系の光線図。
図12】第2の実施形態に係る投射光学系のレンズデータを示す図。
図13】第2の実施形態に係る投射光学系の諸数値を示す図であり、(a)は第1および第2の投射位置におけるレンズ間隔を示し、(b)は基本データを示し、(c)は非球面データを示す。
図14】第2の実施形態に係る投射光学系の第1の投射位置におけるコマ収差図。
図15】第2の実施形態に係る投射光学系の第2の投射位置におけるコマ収差図。
図16】第2の実施形態に係る投射光学系の第1の投射位置における歪曲収差図。
図17】第2の実施形態に係る投射光学系の第2の投射位置における歪曲収差図。
図18】第3の実施形態に係る投射光学系の光線図。
図19】第4の実施形態に係る投射光学系の光線図。
図20】第5の実施形態に係る投射光学系の光線図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1に、本発明に係る投射光学系を用いたプロジェクタ装置の概略構成を示している。プロジェクタ(プロジェクタ装置)6は、光変調器(ライトバルブ)7と、ライトバルブ7に変調用の照明光を照射する照明光学系8と、ライトバルブ7により形成された画像をスクリーン9へ投射する投射システム150とを有する。この投射システム150は、ライトバルブ7の像面を縮小側の第1の像面とし、ライトバルブ7の画像を投影光90として拡大側の第2の像面であるスクリーン9に拡大して投射する投射光学系1と、投射光学系1のフォーカシングを行うフォーカシング機構(フォーカシングユニット)80とを含む。
【0022】
ライトバルブ7は、LCD(液晶パネル)、デジタルミラーデバイス(DMD)または有機ELなどの画像を形成できるものであればよく、単板式であっても、各色の画像をそれぞれ形成する方式であってもよい。また、ライトバルブ7は、反射型のLCDであっても透過型のLCDであってもよく、透過型の場合の照明光学系8はライトバルブ7に対して投射光学系1の光軸100の方向の反対側に配置される。典型的なライトバルブ7はDMDを採用した単板式のビデオプロジェクタであり、照明光学系8は、ハロゲンランプなどの白色光源と、円盤型の回転色分割フィルタ(カラーホイール)とを備えて、DMD7が、赤、緑、青の3原色の画像を時分割で形成するものである。なお、図1において、DMD7はDMDの第1の像面の位置を示す。スクリーン9は壁面やホワイトボードなどであってもよく、プロジェクタ6はフロントプロジェクタであっても、スクリーンを含むリアプロジェクタであってもよい。
【0023】
この投射光学系1は、縮小側の第1の像面であるDMD7から拡大側の第2の像面であるスクリーン9へ投射する投射光学系である。投射光学系1は、複数のレンズを含み、縮小側から入射した光により拡大側に第1の中間像51を結像する第1の屈折光学系10と、複数のレンズを含み、縮小側の第1の中間像51を拡大側に第2の中間像52として結像する第2の屈折光学系20と、第2の中間像52よりも拡大側に位置する正の屈折力の第1の反射面31aを含む第1の反射光学系30とを有する。
【0024】
投射光学系1のフォーカシングを行うフォーカシングユニット80は、第1の反射面31aおよびスクリーン9の光学的距離(投射距離)を検出する距離検出ユニット81と、投射光学系1の周辺温度を検出する温度検出ユニット82とを有する。フォーカシングユニット80は、距離検出ユニット81により検出された投射距離の変化に対して、第1の屈折光学系10、第2の屈折光学系20および第1の反射光学系30に含まれる少なくとも1つのレンズおよび/または反射面を動かす第1の機構を備えていてもよい。さらに、フォーカシングユニット80は、温度検出ユニット82により検出された周辺温度の変化に対して、第1の屈折光学系10、第2の屈折光学系20および第1の反射光学系30に含まれる少なくとも1つのレンズおよび/または反射面を動かす第2の機構を備えていてもよい。
【0025】
この投射光学系1においては、第1の中間像51、第2の中間像52および第1の反射面31aにより結像される像が、第1の屈折光学系10および第2の屈折光学系20の共通する光軸100に対してそれぞれ反転する。このため、DMD7の中心からスクリーン9の中心に至る光線(主光線)90が光軸100と3回交差してスクリーン9に至るように投射光学系1を設計できる。すなわち、DMD7と第1の反射面31aとの間では光線90が光軸100と2回交差する。このため、DMD7と第1の反射面31aとを光軸100に対して同じ方向、すなわち光軸100を含む第1の面101に対して同方向の第1の方向101a(図1において下方向)に配置できる。このため、DMD7を照明する照明光学系8を第1の方向(下方向)101aに配置することにより、第1の面101に対して同じ第1の方向101aのスペースを照明光学系8と第1の反射面31aとで共有できる。したがって、投射光学系1および照明光学系8を含めたプロジェクタ6の高さ(厚さ)を薄型化できる。
【0026】
図2に、第1の実施形態に係る投射光学系1を示している。図3に、投射光学系1の光線図を示している。この投射光学系1は、入射側(縮小側)が非テレセントリックの変倍を行わない固定焦点(単焦点)タイプの投射光学系である。投射光学系1は、縮小側のDMD7の側から順に配置された、6枚のレンズL1〜L6を含む第1の屈折光学系10と、5枚のレンズL7〜L11を含む第2の屈折光学系20と、第1の反射面31aを備えた1枚のミラー(凹面鏡)31を含む第1の反射光学系30とを有する。この投射光学系1においては、第1の像面であるDMD7に形成された画像が、第1の屈折光学系10、第2の屈折光学系20および第1の反射光学系30により、第2の像面であるスクリーン9に拡大して投射される。なお、第1の屈折光学系10および/または第2の屈折光学系20は、適当な位置で光軸100を折り曲げるためのプリズムやミラー(鏡面)を備えていてもよい。
【0027】
第1の屈折光学系10は、全体が正の屈折力のレンズ系であり、DMD7の側から順に配置された、両凸タイプの正レンズL1と、2枚貼合の接合レンズ(バルサムレンズ、ダブレット)LB1と、両凸タイプの正レンズL4と、両凸タイプの正レンズL5と、拡大側に凸面S11を向けたメニスカスタイプの負レンズL6とから構成されている。接合レンズLB1は、DMD7の側から順に配置された、両凸タイプの正レンズL2と、両凹タイプの負レンズL3とから構成されている。正レンズL2のDMD7の側(縮小側)の凸面S3は非球面である。さらに、負レンズL6の両面、すなわちDMD7の側の凹面S10およびミラー31の側(拡大側)の凸面S11も非球面である。第1の屈折光学系10の縮小側には、カバーガラスCGを挟んでDMD7が配置されている。第1の屈折光学系10は、第1の屈折光学系10と第2の屈折光学系20との間の空間41に、第1の像面であるDMD7により形成された画像を第1の中間像51として結像する。
【0028】
第2の屈折光学系20は、全体が正の屈折力のレンズ系であり、DMD7の側から順に配置された、縮小側に凸面S12を向けたメニスカスタイプの正レンズL7と、両凸タイプの正レンズL8と、縮小側に凸面S16を向けたメニスカスタイプの正レンズL9と、2枚貼合の接合レンズLB2とから構成されている。接合レンズLB2は、縮小側に凸面S18を向けたメニスカスタイプの負レンズL10と、両凸タイプの正レンズL11とから構成されている。正レンズL7の両面、すなわちDMD7の側の凸面S12およびミラー31の側の凹面S13は非球面である。第2の屈折光学系20は、第2の屈折光学系20と第1の反射面31aとの間の空間42に、第1の中間像51を第2の中間像52として結像する。
【0029】
第1の反射光学系30は、全体が正の屈折力のミラー系であり、第1の反射面(鏡面)31aを含むミラー(凹面鏡)31から構成されている。ミラー31の第1の反射面31aは非球面である。第1の反射光学系30は、第2の像面であるスクリーン9に第2の中間像52を投影することにより、DMD7の画像をスクリーン9に拡大投射する。なお、投射光学系1に含まれるレンズ面および鏡面(反射面)は回転対称の球面または非球面であるが、回転非対称の面、たとえば自由曲面であってもよい。以降の実施形態においても同様である。
【0030】
この投射光学系1においては、第1の中間像51と第2の中間像52とが光軸100に対して反対側に結像(逆転)する。このため、第1の中間像51から第2の中間像52に至る光束は拡大側に向かうにつれて光軸100の周りに集中する。したがって、第2の屈折光学系20の拡大側のレンズ径を縮小側のレンズ径に対して小さくできる。このため、第2の屈折光学系20をコンパクトにできる。さらに、第2の屈折光学系20の拡大側のレンズ径を小さくできるため、第1の反射面31aにより反射された光束(投影光)と第2の屈折光学系20との干渉を抑制できる。このため、第2の屈折光学系20と第1の反射面31aとの光学的距離(空気間隔)を短くしやすく、第1の反射面31aを小型化できる。
【0031】
この投射光学系1においては、第2の屈折光学系20の最も拡大側から2つ目のレンズが正の屈折力を備えていることが好ましい。さらに、第2の屈折光学系20の最も拡大側から3つ目のレンズが正の屈折力を備えていることが望ましい。さらに、第2の屈折光学系20の最も拡大側のレンズ(最終レンズ)が両側に凸面を向けた接合レンズであることがいっそう望ましい。本例の投射光学系1は、上記の条件を全て備えており、第2の屈折光学系20の最も拡大側から2つ目および3つ目のレンズとして正の屈折力を備えた正レンズL9および正レンズL8が配置され、第2の屈折光学系20の最も拡大側の最終レンズとして両側に凸面S18およびS20を向けた接合レンズLB2が配置されている。このため、最終レンズの直前に負の屈折力のレンズを配置することなく、第2の中間像52に至る光束を効果的に収束させることができる。したがって、第2の屈折光学系20の拡大側のレンズ径をいっそう小型化できる。このため、第1の反射面31aにより反射された光束と第2の屈折光学系20との干渉を抑制でき、第2の屈折光学系20の拡大側のレンズをカットする必要もない。したがって、第2の屈折光学系20は、最終レンズを除いてまたは含めて全て正の屈折力のレンズにより構成されていることが望ましい。第1の中間像51から第2の中間像52に至る光束を光軸100の周りに集中させやすく、第1の反射面31aから、より光軸100に近い投影光を射出できる。したがって、第1の反射面31aの光軸100に近い領域まで有効に利用でき、光軸100に対し仰角は小さく、画角が大きな像をスクリーン9に拡大投影できる。
【0032】
この投射光学系1においては、第1の屈折光学系10が第1の中間像51を結像し、その第1の中間像51を第2の屈折光学系20が拡大側に第2の中間像52として結像し、その第2の中間像52を第1の反射面31aが拡大して反射させている。このため、第1の反射面31aにおいて第2の中間像52を拡大反射する際、第2の中間像52からスクリーン9に至る光線経路が急激に変化するので、DMD7の画像を超広角化(広画角化)できる反面、大きな像面湾曲および歪曲収差が発生する。第1の反射面31aにおいて像面湾曲および歪曲収差(台形歪み)などの諸収差を補正するように設計することは困難である。したがって、この投射光学系1においては、第1の反射面31aは像面湾曲および歪曲収差を含むものとし、第2の屈折光学系20が第1の反射面31aにより発生する諸収差の内、主に像面湾曲および歪曲収差を補正した第2の中間像52を結像させている。さらに、第1の屈折光学系10が第2の屈折光学系20の補正により発生するコマ収差と、第2の屈折光学系20の補正により残った像面湾曲および歪曲収差とを補正した第1の中間像51を結像させている。このため、超広角の鮮明な画像をスクリーン9に投射可能な投射光学系1を提供できる。
【0033】
さらに、この投射光学系1の第2の屈折光学系20は、投射距離、周辺温度、周辺湿度などの投射環境の変化に対してフォーカシング(焦点調整)を行う際に移動する第1のフォーカスレンズ群61を含む。本例の第1のフォーカスレンズ群61は、第1の反射面31aおよびスクリーン9の光学的距離(投射距離)V3の変化に対してフォーカシングを行う際に移動する距離補正用レンズ群(第1の距離補正用レンズ群)71を含む。距離補正用レンズ群71は、第2の屈折光学系20に含まれる5枚のレンズL7〜L11の内の最も縮小側に位置する第1のレンズ(正レンズ)L7により構成されている。
【0034】
この投射光学系1は、超広角で焦点距離が極めて短く、第1の像面の側の被写界深度が深いパンフォーカスタイプの光学系である。このため、投射光学系1とスクリーン9との距離を変化させたときに像がぼやけて見えない範囲、すなわち第2の像面の側の焦点深度も深い。したがって、投射距離V3の変化に伴う、投射画像の中心近傍におけるピント変動を焦点深度の範囲に収めやすいのに対して、投射画像の周辺における収差変動(像面変動)は大きくなりやすい。この投射光学系1においては、フォーカシングを行う際に、距離補正用レンズ群71の第1のレンズL7を移動させている。すなわち、第1の屈折光学系10および第1の反射面31aは動かず、第2の屈折光学系20の第1のレンズL7が、縮小側の第1の中間像51と拡大側の第2の中間像52との間を光軸100の方向に移動する。このため、第1の中間像51および第1の反射面31aの光学的距離を変えずにフォーカシングを行うことができる。したがって、第1の中間像51の結像位置および結像性能が変動することを防止できる。このため、第1のレンズL7を移動させることにより、投射距離V3の変化に伴う像面湾曲および歪曲収差の変動を補正した第2の中間像52を結像させやすい。したがって、投射距離V3の変化に伴う収差変動を補正した、鮮明な拡大画像を投射できる。さらに、第1のレンズL7の両面凸面S12および凹面S13は非球面である。このため、投射距離V3の変化に伴う収差変動をいっそう効果的に補正できる。
【0035】
さらに、第1のレンズL7は第2の屈折光学系20の中で最も第1の中間像51に近いレンズである。第1の中間像51の結像位置の近傍、すなわち第1の中間像51の拡大側においては光線90が発散し、画角ごとの光束が分離しやすい。さらに、第1の中間像51は、光軸100から離れるにつれて像面が縮小側に僅かに倒れるように、光軸100に対し略垂直に結像されている。このため、第1の中間像51の近傍の光線90は略テレセントリックに近い状態で光束が集中しないように分散している。したがって、フォーカシングを行う第1のレンズL7を第1の中間像51に最も近い位置に配置することにより、フォーカシングを行う際に光線経路を急激に変化させることなく、フォーカシングに伴う収差変動を抑えるとともに横倍率(像倍率)を抑えながら、ピント合わせの微調整を行うことができる。このため、投射距離V3の変化に伴うピント変動をいっそう抑制した、鮮明な拡大画像を投射できる。
【0036】
本例のフォーカシングユニット80は、距離検出ユニット81により検出された投射距離V3の変化に対して、第2の屈折光学系20に含まれる第1のレンズL7を動かす第1の機構を備えている。このため、第1の投射位置P1(投射距離V3=−550mm)から第2の投射位置P2(投射距離V3=−700mm)へ投射距離V3が変化すると、第1の機構が第1のレンズL7を縮小側から拡大側へ、すなわち第1の中間像51の側から第2の中間像52の側へ約0.64mm動かすことによりフォーカシングを行う。
【0037】
さらに、第1の反射面31aは投射距離V3の変化に対してフォーカシングを行う際に動かない。フォーカシングを行う際にミラー31を動かすと偏芯が発生しやすく、近点および遠点の結像性能が不均衡となりやすい。この投射光学系1においては、投射距離V3の変化に対してミラー31を固定し、第1のレンズL7を移動させることにより、第2の屈折光学系20の中でフォーカシングを完結できる。このため、ミラー31の取り付け公差(誤差)が投射画像の結像性能に与える影響(公差感度)を低減できる。
【0038】
なお、第1のフォーカスレンズ群61は、距離補正用レンズ群71の他に、投射距離V3の変化に対してフォーカシングを行う際に移動する距離補正用レンズ群を備えていてもよく、その距離補正用レンズ群は、4枚のレンズL8〜L11から構成されていることが好ましい。投射距離V3の変化に伴う像面湾曲の変動をさらに良好に補正できる。距離補正用レンズ群のそれぞれは、独立または連動して移動してもよい。
【0039】
また、第1のフォーカスレンズ群61は、投射光学系1の周辺温度の変化に対してフォーカシングを行う際に移動する温度補正用レンズ群(第1の温度補正用レンズ群)を備えていてもよく、その温度補正用レンズ群は、5枚のレンズL7〜L11から構成されていることが好ましい。投射光学系1を設置する周辺温度の変化に伴う、レンズの屈折率の変化によるピント変動(バックフォーカス変動)を補正した、鮮明な拡大画像を投射できる。
【0040】
また、第1の屈折光学系10は、投射環境の変化に対してフォーカシングを行う際に移動する第2のフォーカスレンズ群を備えていてもよい。第2のフォーカスレンズ群は、投射距離V3の変化に対してフォーカシングを行う際に移動する幾つかの距離補正用レンズ群(第2の距離補正用レンズ群)を備えていてもよく、幾つかの距離補正用レンズ群は、4枚のレンズL1〜L4から構成されているものや、2枚のレンズL5およびL6から構成されているものを含む。さらに、第2のフォーカスレンズ群は、周辺温度の変化に対してフォーカシングを行う際に移動する温度補正用レンズ群(第2の温度補正用レンズ群)を備えていてもよく、その温度補正用レンズ群は、4枚のレンズL1〜L4から構成されていることが好ましい。すなわち、距離補正用レンズ群として移動する4枚のレンズL1〜L4を、温度補正用レンズ群として移動させてもよい。温度補正用レンズ群のそれぞれは、独立または連動して移動してもよい。
【0041】
この投射光学系1においては、第1の中間像51の結像位置の前後、すなわち第1の中間像51の縮小側および拡大側において画角ごとの光束が分離しやすい。この投射光学系1においては、第1の中間像51に対して空気間隔のみを挟んだ縮小側に両面非球面の負レンズL6を配置し、第1の中間像51に対して空気間隔のみを挟んだ拡大側に両面非球面の正レンズL7を配置している。このため、第1の中間像51を、非球面形状の凸面S11および凸面S12により挟むことができる。したがって、コマ収差および球面収差の発生を抑制できるとともに、像面湾曲、非点収差および歪曲収差などの軸外収差も効果的に補正できる。さらに、DMD7および第1の反射面31aは光軸100に対して同方向の第1の方向101aに配置されており、DMD7からの主光線91は第1の中間像51を経由して第1の反射面31aへ折り返される。このため、第1の中間像51の前後の負レンズL6および正レンズL7のレンズ径は大きくなりやすい。したがって、負レンズL6および正レンズL7を樹脂製とすることにより、諸収差を効果的に補正するとともに低コスト化を図りやすい。
【0042】
この投射光学系1においては、第1の屈折光学系10のペッツバール和(像面湾曲の三次収差係数)PTZ1、歪曲収差の三次収差係数DST1、およびコマ収差の三次収差係数TCO1と、第2の屈折光学系20のペッツバール和PTZ2、歪曲収差の三次収差係数DST2、およびコマ収差の三次収差係数TCO2とが以下の条件(1)〜(3)を満たすように設計できる。
|PTZ1|<|PTZ2| ・・・・・(1)
|DST1|<|DST2| ・・・・・(2)
−0.5<|TCO1|−|TCO2|<0.5・・・・・(3)
【0043】
この投射光学系1においては、条件(1)により、第1の屈折光学系10よりも第2の屈折光学系20の像面湾曲の補正効果を大きくし、条件(2)により、第1の屈折光学系10よりも第2の屈折光学系20の歪曲収差の補正効果を大きくし、条件(3)により、第1の屈折光学系10および第2の屈折光学系20のコマ収差の補正効果をほぼ等しくしている。すなわち、第1の反射面31aにより発生する像面湾曲および歪曲収差の大部分を第2の屈折光学系20が補正し、第2の屈折光学系20の補正により残った像面湾曲および歪曲収差を第1の屈折光学系10が補正することにより、第2の屈折光学系20の補正負担を軽減している。したがって、第2の屈折光学系20の構成を簡素化でき、第2の屈折光学系20をコンパクトにできる。条件(3)の上限は、0.25であることが望ましく、0.1であることがさらに望ましい。また、条件(3)の下限は、−0.25であることが望ましく、−0.1であることがさらに望ましい。第1の屈折光学系10と第2の屈折光学系20とでコマ収差をキャンセルできる。
【0044】
この投射光学系1においては、第1の中間像51の像面湾曲量FC1と、第2の中間像52の像面湾曲量FC2とが以下の条件(4)および(5)を満たすように設計できる。
0<FC1×FC2 ・・・・・(4)
0.03<|FC1| ・・・・・(5)
【0045】
この投射光学系1においては、条件(4)により、第1の中間像51および第2の中間像52のそれぞれの像面湾曲の向き(符号)を同じにし、条件(5)により、第1の中間像51の像面湾曲量FC1を所定の量よりも大きくし、第2の屈折光学系20の補正により残った像面湾曲を第1の屈折光学系10により補正している。本例では、第1の屈折光学系10および第2の屈折光学系20により、第1の中間像51および第2の中間像52のそれぞれが縮小側に凹形状(拡大側に凸形状)の像面を向けるように結像されている。第1の中間像51および第2の中間像52のそれぞれは、縮小側に凸形状(拡大側に凹形状)の像面を向けるように結像されていてもよい。
【0046】
さらに、第1の屈折光学系10は、第1の中間像51の像面が光軸100から離れるにつれて縮小側に倒れるように傾けて結像させている。このため、第1の中間像51から出射する主光線91が光軸100の側を向くように、すなわち拡大側に向けてテレセントリックよりも下り傾斜するように設計できる。すなわち、第1の中間像51から出射する主光線91の光線角度ANG1が以下の条件(6)を満たすように設計できる。
ANG1<0 ・・・・・(6)
【0047】
この投射光学系1においては、条件(6)により、第1の中間像51における主光線91の光線角度ANG1が、発散方向を正としたときに負となるように、すなわち光軸100と平行な第1の軸111に対して俯角となるように設計できる。このため、第2の屈折光学系20のパワーを強くする必要がない。したがって、第2の屈折光学系20のレンズ径を小さくできる。
【0048】
図4に、投射光学系1のレンズデータを示している。図5に、投射光学系1の諸数値を示している。レンズデータにおいて、RiはDMD(ライトバルブ)7の側から順に並んだ各レンズ(各レンズ面)の曲率半径(mm)、diはDMD7の側から順に並んだ各レンズ面の間の距離(mm)、ndはDMD7の側から順に並んだ各レンズの屈折率(d線)、νdはDMD7の側から順に並んだ各レンズのアッベ数(d線)を示している。図4において、Flatは平面を示している。図5(c)において、「En」は「10のn乗」を意味し、たとえば「E−05」は「10の−5乗」を意味する。以降の実施形態においても同様である。
【0049】
図5(a)に示すように、第1の反射面31aとスクリーン9との間の空気間隔(光学的距離、投射距離)V3は、第1の投射位置P1において−550mmであり、第2の投射位置P2において−700mmである。この投射光学系1においては、第1の投射位置P1と第2の投射位置P2との間で投射距離V3が変化すると、負レンズL6と正レンズL7との間の空気間隔V1(d11)と、正レンズL7と正レンズL8との間の空気間隔V2(d13)とを変化させることによりフォーカシングを行う。
【0050】
また、正レンズL2の凸面S3と、負レンズL6凹面S10および凸面S11と、正レンズL7の凸面S12および凹面S13と、ミラー31の第1の反射面31aとは、非球面である。非球面は、Xを光軸100の方向の座標、Yを光軸100と垂直方向の座標、光の進行方向を正、Rを近軸曲率半径とすると、図5(c)の係数K、A3、A4、A6、A8、A10、A12およびA14を用いて次式で表わされる。以降の実施形態においても同様である。
X=(1/R)Y/[1+{1−(1+K)(1/R)1/2
+A3Y+A4Y+A6Y+A8Y+A10Y10+A12Y12+A14Y14
【0051】
図6に、投射光学系1の第1の投射位置P1におけるコマ収差図を示している。図7に、投射光学系1の第2の投射位置P2におけるコマ収差図を示している。図8に、投射光学系1の第1の投射位置P1における歪曲収差図を示している。図9に、投射光学系1の第2の投射位置P2における歪曲収差図を示している。図6図9に示すように、いずれの収差も良好に補正されており、鮮明な拡大画像を投射することができる。なお、コマ収差は、波長620nm(点線)と、波長550nm(実線)と、波長460nm(一点鎖線)とを示している。
【0052】
図10に、第2の実施形態に係る投射光学系2を示している。図11に、投射光学系2の光線図を示している。この投射光学系2は、入射側(縮小側)がテレセントリックの変倍を行わない固定焦点(単焦点)タイプの投射光学系である。投射光学系2は、縮小側のDMD7の側から順に配置された、12枚のレンズL1〜L12を含む第1の屈折光学系10と、6枚のレンズL13〜L18を含む第2の屈折光学系20と、第1の反射面31aを備えた1枚のミラー(凹面鏡)31を含む第1の反射光学系30とを有する。この投射光学系2においても、第1の像面であるDMD7に形成された画像が、第1の屈折光学系10、第2の屈折光学系20および第1の反射光学系30により、第2の像面であるスクリーン9に拡大して投射される。なお、上記の実施形態と共通の構成については、共通の符号を付して説明を省略する。以降の実施形態においても同様である。
【0053】
第1の屈折光学系10は、全体が正の屈折力のレンズ系であり、DMD7の側から順に配置された、拡大側に凸面S2を向けたメニスカスタイプの正レンズL1と、縮小側に凸面S3を向けたメニスカスタイプの正レンズL2と、3枚貼合の接合レンズ(バルサムレンズ、トリプレット)LB1と、2枚貼合の接合レンズLB2と、拡大側に凸面S13を向けたメニスカスタイプの正レンズL8と、両凸タイプの正レンズL9と、拡大側に凸面S17を向けたメニスカスタイプの負レンズL10と、2枚貼合の接合レンズLB3とから構成されている。接合レンズLB1は、DMD7の側から順に配置された、縮小側に凸面S5を向けたメニスカスタイプの負レンズL3と、両凸タイプの正レンズL4と、拡大側に凸面S8を向けたメニスカスタイプの負レンズL5とから構成されている。接合レンズLB2は、DMD7の側から順に配置された、両凹タイプの負レンズL6と、両凸タイプの正レンズL7とから構成されている。接合レンズLB3は、DMD7の側から順に配置された、両凹タイプの負レンズL11と、両凸タイプの正レンズL12とから構成されている。第1の屈折光学系10の縮小側には、拡大側から順に配置された、プリズム(TIRプリズム)Prと、カバーガラスCGとを挟んでDMD7が配置されている。負レンズL10の両面、すなわちDMD7の側の凹面S16よびミラー31の側の凸面S17は非球面である。接合レンズLB2のミラー31の側、すなわち接合レンズLB2および正レンズL8の間の空間には、絞りStが配置されている。
【0054】
第2の屈折光学系20は、全体が正の屈折力のレンズ系であり、DMD7の側から順に配置された、縮小側に凸面S21を向けたメニスカスタイプの正レンズL13と、拡大側に凸面S24を向けたメニスカスタイプの正レンズL14と、拡大側に凸面S26を向けたメニスカスタイプの正レンズL15と、拡大側に凸面S28を向けたメニスカスタイプの正レンズL16と、2枚貼合の接合レンズLB4とから構成されている。接合レンズLB4は、縮小側に凸面S29を向けたメニスカスタイプの負レンズL17と、両凸タイプの正レンズL18とから構成されている。正レンズL13の両面、すなわちDMD7の側の凸面S21およびミラー31の側の凹面S22は非球面である。
【0055】
さらに、この投射光学系2の第2の屈折光学系20は、投射環境の変化に対してフォーカシング(焦点調整)を行う際に移動する第1のフォーカスレンズ群61を含む。本例の第1のフォーカスレンズ群61は、第1の反射面31aおよびスクリーン9の光学的距離(投射距離)V5の変化に対してフォーカシングを行う際に移動する距離補正用レンズ群(第1の距離補正用レンズ群)71を含む。距離補正用レンズ群71は、第2の屈折光学系20に含まれる6枚のレンズL13〜L18の内の最も縮小側に位置する第1のレンズ(正レンズ)L13により構成されている。
【0056】
この投射光学系2においては、第2の屈折光学系20の最も拡大側から2つ目および3つ目のレンズとして正の屈折力を備えた正レンズL16および正レンズL15が配置され、第2の屈折光学系20の最も拡大側のレンズ(最終レンズ)として両側に凸面S29およびS31を向けた接合レンズLB4が配置されている。このため、最終レンズの直前に負の屈折力のレンズを配置することなく、第2の中間像52に至る光束を効果的に収束させることができる。したがって、第2の屈折光学系20の拡大側のレンズ径をいっそう小型化できる。このため、第1の反射面31aにより反射された光束と第2の屈折光学系20との干渉を抑制でき、第2の屈折光学系20の拡大側のレンズをカットする必要もない。したがって、第2の屈折光学系20は、最終レンズを除いてまたは含めて全て正の屈折力のレンズにより構成されていることが望ましい。
【0057】
この投射光学系2においては、フォーカシングを行う際に、第2の屈折光学系20の中で最も第1の中間像51に近い距離補正用レンズ群71の第1のレンズL13を移動させている。このため、フォーカシングに伴う収差変動を抑制しながら、ピントの微調整を行うことができる。したがって、投射距離V5の変化に伴う像面湾曲の変動を補正した、鮮明な拡大画像を投射できる。
【0058】
本例のフォーカシングユニット80は、距離検出ユニット81により検出された投射距離V5の変化に対して、第2の屈折光学系20に含まれる第1のレンズL13を動かす第1の機構を備えている。このため、第1の投射位置P1(投射距離V5=−469mm)から第2の投射位置P2(投射距離V5=−1449mm)へ投射距離V5が変化すると、第1の機構が第1のレンズL13を縮小側から拡大側へ約1.77mm動かすことによりフォーカシングを行う。
【0059】
さらに、この投射光学系2の第1の屈折光学系10は、投射環境の変化に対してフォーカシングを行う際に移動する第2のフォーカスレンズ群62を含む。本例の第2のフォーカスレンズ群62は、投射距離V5の変化に対してフォーカシングを行う際に移動する距離補正用レンズ群(第2の距離補正用レンズ群)72を含む。距離補正用レンズ群72は、第1の屈折光学系10に含まれる7枚のレンズL2〜L8から構成されている。
【0060】
この投射光学系2においては、フォーカシングを行う際に、距離補正用レンズ群71の第1のレンズL13の他に、距離補正用レンズ群72のレンズL2〜L8を移動させている。すなわち、レンズL2〜L8は、縮小側のDMD7と拡大側の第1の中間像51との間を光軸100の方向に移動する。このため、レンズL2〜L8を移動させることにより、第1のレンズL13の移動距離を短くできる。したがって、第1のレンズL13と第1の中間像51との干渉を抑制でき、第1の中間像51の結像位置をほとんど動かすことなくフォーカシングを行うことができる。このため、広範囲の投射距離V5の変化に伴うピント変動を抑制した、鮮明な拡大画像を投射できる。
【0061】
本例のフォーカシングユニット80は、距離検出ユニット81により検出された投射距離V5の変化に対して、第1の屈折光学系10に含まれるレンズL2〜L8を動かす第1の機構を備えている。このため、第1の投射位置P1(投射距離V5=−469mm)から第2の投射位置P2(投射距離V5=−1449mm)へ投射距離V5が変化すると、第1の機構がレンズL2〜L8を縮小側から拡大側へ約0.96mm動かすことによりフォーカシングを行う。
【0062】
なお、第1のフォーカスレンズ群61は、距離補正用レンズ群71の他に、投射距離V5の変化に対してフォーカシングを行う際に移動する距離補正用レンズ群を備えていてもよく、その距離補正用レンズ群は、5枚のレンズL14〜L18から構成されていることが好ましい。
【0063】
また、第1のフォーカスレンズ群61は、投射光学系2の周辺温度の変化に対してフォーカシングを行う際に移動する温度補正用レンズ群(第1の温度補正用レンズ群)を備えていてもよく、その温度補正用レンズ群は、6枚のレンズL13〜L18から構成されていることが好ましい。
【0064】
また、第2のフォーカスレンズ群62は、距離補正用レンズ群72の他に、投射距離V5の変化に対してフォーカシングを行う際に移動する距離補正用レンズ群を備えていてもよく、その距離補正用レンズ群は、4枚のレンズL9〜L12から構成されていることが好ましい。
【0065】
また、第2のフォーカスレンズ群62は、投射光学系2の周辺温度の変化に対してフォーカシングを行う際に移動する幾つかの温度補正用レンズ群(第2の温度補正用レンズ群)を備えていてもよく、幾つかの温度補正用レンズ群は、1枚のレンズL1から構成されているものや、12枚のレンズL1〜L12から構成されているものを含む。
【0066】
図12に、投射光学系2のレンズデータを示している。図13に、投射光学系2の諸数値を示している。図13(a)に示すように、第1の反射面31aとスクリーン9との間の空気間隔(光学的距離、投射距離)V5は、第1の投射位置P1において−469mmであり、第2の投射位置P2において−1449mmである。この投射光学系2においては、第1の投射位置P1と第2の投射位置P2との間で投射距離V5が変化すると、正レンズL1と正レンズL2との間の空気間隔V1(d2)と、正レンズL8と正レンズL9との間の空気間隔V2(d13)と、正レンズL12と正レンズL13との間の空気間隔V3(d20)と、正レンズL13と正レンズL14との間の空気間隔V4(d22)とを変化させることによりフォーカシングを行う。
【0067】
図14に、投射光学系2の第1の投射位置P1におけるコマ収差図を示している。図15に、投射光学系2の第2の投射位置P2におけるコマ収差図を示している。図16に、投射光学系2の第1の投射位置P1における歪曲収差図を示している。図17に、投射光学系2の第2の投射位置P2における歪曲収差図を示している。図14図17に示すように、いずれの収差も良好に補正されており、鮮明な拡大画像を投射することができる。なお、コマ収差は、波長650nm(点線)と、波長550nm(実線)と、波長440nm(一点鎖線)とを示している。
【0068】
図18に、第3の実施形態に係る投射光学系3を示している。この投射光学系3は、投射光学系2を、第1の屈折光学系10の途中で屈曲させたタイプの投射光学系である。投射光学系3の第1の屈折光学系10は、正レンズL8と正レンズL9との間の空間で光軸100をほぼ直角に折り曲げるためのミラー95を含む。この投射光学系3においては、ミラー95が第1の屈折光学系10を屈曲させることにより、投射光学系3の全長を短くできる。さらに、第1の屈折光学系10を屈曲させることにより形成されたスペース99に、照明光学系8やフォーカシング機構80を配置することにより、投射光学系3および照明光学系8などを含めたプロジェクタ6を小型化できる。
【0069】
図19に、第4の実施形態に係る投射光学系4を示している。この投射光学系4は、投射光学系2を、第2の屈折光学系20の途中で屈曲させたタイプの投射光学系である。さらに、図20に、第5の実施形態に係る投射光学系5を示している。この投射光学系5は、投射光学系2を、第2の屈折光学系20とミラー31との間で屈曲させたタイプの投射光学系である。図19および図20に示すように、投射光学系4および5においては、第2の屈折光学系20およびミラー31を小型化できるため、投影光の投射方向をミラー31の近傍で変化させたとしても、第1の反射面31aにより反射された投影光と、第2の屈折光学系20やミラー31との干渉を抑制できる。これらの投射光学系3ないし5は、適当な位置で光路を複数回折り曲げるための複数のプリズムやミラー(鏡面)を備えていてもよい。
【0070】
なお、本発明はこれらの実施形態に限定されず、特許請求の範囲に規定されたものを含む。投射光学系の周辺温度の変化に対してフォーカシングを行う際には、第1の屈折光学系および第2の屈折光学系の屈折光学系全体を移動させてもよく、第2の屈折光学系および第1の反射光学系を移動させてもよく、第1の屈折光学系、第2の屈折光学系および第1の反射光学系の投射光学系全体を移動させてもよく、第1の反射光学系だけを移動させてもよい。また、第1の屈折光学系、第2の屈折光学系および第1の反射光学系を有する本光学系は、投射用だけでなく撮影用を含む種々の用途に用いることが可能である。また、投射光学系に含まれるレンズ面および鏡面(反射面)は回転対称の球面または非球面であってもよく、回転非対称の面、たとえば自由曲面であってもよい。また、第1の屈折光学系の光軸および第2の屈折光学系の光軸は共通であってもよく、偏心(シフト)していてもよい。また、投射光学系は、変倍を行わない固定焦点タイプであってもよく、変倍を行う可変焦点(ズーム)タイプであってもよい。また、第1の屈折光学系および第2の屈折光学系に含まれるレンズの少なくとも何れかおよび/または第1の反射光学系に含まれる反射面は、光軸から偏心していてもよい。その場合、各光学系の光軸は主たる光学素子の光軸を含む。また、第1の屈折光学系の光軸および第2の屈折光学系の光軸は共通であってもよく、偏心(シフト)していてもよい。また、第1の反射光学系の拡大側にさらに屈折光学系を備えていてもよい。また、投射光学系に含まれるレンズおよび/または反射面にアナモフィックな光学素子を用いることも可能である。
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