(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6243374
(24)【登録日】2017年11月17日
(45)【発行日】2017年12月6日
(54)【発明の名称】こんにゃく製造用アルカリ凝固剤、こんにゃくの製造方法及びこんにゃく製品
(51)【国際特許分類】
A23L 19/00 20160101AFI20171127BHJP
【FI】
A23L19/00 102Z
A23L19/00 102A
【請求項の数】19
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2015-81061(P2015-81061)
(22)【出願日】2015年4月10日
(65)【公開番号】特開2016-198051(P2016-198051A)
(43)【公開日】2016年12月1日
【審査請求日】2017年3月9日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】506011021
【氏名又は名称】オリヒロプランデュ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100123788
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 昭夫
(74)【代理人】
【識別番号】100127454
【弁理士】
【氏名又は名称】緒方 雅昭
(72)【発明者】
【氏名】鶴田 織寛
(72)【発明者】
【氏名】松浦 勝
【審査官】
池上 文緒
(56)【参考文献】
【文献】
特開平06−261702(JP,A)
【文献】
特開平08−103230(JP,A)
【文献】
特開2002−101839(JP,A)
【文献】
特開2000−236822(JP,A)
【文献】
特公昭46−040187(JP,B1)
【文献】
国際公開第2013/133442(WO,A1)
【文献】
新家龍ほか編, 食品成分シリーズ 糖質の科学, 1998年3月, 株式会社朝倉書店, p.28-30
【文献】
金井政人ほか,アルカリ臭を減らしたこんにゃくの開発,新潟県食品研究所・研究報告,2000年,no.34,p.15-18
【文献】
BUGAENKO, I.F., et al.,Lime solubility in concentrated sugar solutions,Sakharnaya Promyshlennost,1981年,no.1,p.27-28
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L 19/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
DWPI(Thomson Innovation)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スクロース、凝固用アルカリ成分としての水酸化カルシウム及び水を含み、スクロース及び水酸化カルシウムが水に溶解しているアルカリ性溶液からなることを特徴とするこんにゃく製造用のアルカリ凝固剤。
【請求項2】
スクロースを1質量%〜30質量%、水酸化カルシウムを0.25質量%〜6.5質量%含む請求項1に記載のアルカリ凝固剤。
【請求項3】
12.0〜12.8のpHを有する請求項1または2に記載のアルカリ凝固剤。
【請求項4】
スクロースがグラニュー糖である請求項1乃至3のいずれか一項に記載のアルカリ凝固剤。
【請求項5】
無菌ろ過処理されたものである請求項1乃至4のいずれか一項に記載のアルカリ凝固剤。
【請求項6】
こんにゃく糊にアルカリ凝固剤を混合した後に加熱凝固させる工程を有するこんにゃくの製造方法において、
前記アルカリ凝固剤として請求項1乃至4のいずれか一項に記載のアルカリ凝固剤を用いることを特徴とするこんにゃくの製造方法。
【請求項7】
製造されたこんにゃくを封入水とともに包装容器内に封入する工程を更に有する請求項6に記載のこんにゃくの製造方法。
【請求項8】
前記封入水が、スクロース、凝固用アルカリ成分としての水酸化カルシウム及び水を含み、スクロース及び水酸化カルシウムが水に溶解しているアルカリ性溶液からなる請求項7に記載のこんにゃくの製造方法。
【請求項9】
前記封入水が、スクロースを1質量%〜30質量%、水酸化カルシウムを0.25質量%〜6.5質量%含む請求項8に記載のこんにゃくの製造方法。
【請求項10】
前記封入水が、12.0〜12.8のpHを有する請求項8または9に記載のこんにゃくの製造方法。
【請求項11】
スクロースがグラニュー糖である請求項8乃至10のいずれか一項に記載のこんにゃくの製造方法。
【請求項12】
前記アルカリ凝固剤が無菌ろ過処理されたものであり、無菌的にこんにゃくを製造する請求項6に記載のこんにゃくの製造方法。
【請求項13】
前記こんにゃく糊として加熱処理により無菌化したこんにゃく糊を用い、前記無菌ろ過処理をされているアルカリ凝固剤と無菌的に混合して、無菌的に包装した後に加熱凝固する工程を更に有する請求項12に記載のこんにゃくの製造方法。
【請求項14】
包装用容器内に、こんにゃく及びその加工品の少なくとも1種を、封入水とともに封入してなる包装こんにゃく製品であって、
前記封入水が、スクロース、凝固用アルカリ成分としての水酸化カルシウム及び水を含み、スクロース及び水酸化カルシウムが水に溶解しているアルカリ性溶液からなる
ことを特徴とする包装こんにゃく製品。
【請求項15】
前記こんにゃくまたはこんにゃく加工品が、従来法のこんにゃくまたはその加工品である請求項14に記載の包装こんにゃく製品。
【請求項16】
前記こんにゃくまたはこんにゃく加工品が、請求項1乃至5のいずれか一項に記載されるアルカリ凝固剤を用いて製造されたものである請求項14に記載の包装こんにゃく製品。
【請求項17】
前記封入水が、スクロースを1質量%〜30質量%、水酸化カルシウムを0.25質量%〜6.5質量%含む請求項14乃至16のいずれか一項に記載の包装こんにゃく製品。
【請求項18】
前記封入水が、12.0〜12.8のpHを有する請求項14乃至17のいずれか一項に記載の包装こんにゃく製品。
【請求項19】
スクロースがグラニュー糖である請求項14乃至18のいずれか一項に記載の包装こんにゃく製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、こんにゃく製造用アルカリ凝固剤、こんにゃくの製造方法及びこんにゃく製品に関する。
【背景技術】
【0002】
食品としてのこんにゃく製品は、一般的には、サトイモ科の植物であるコンニャクの球茎(通称こんにゃく芋やこんにゃく玉といわれる)に含有されるコンニャクマンナンを原料として、アルカリ凝固剤によるアルカリ処理と加熱処理を経て製造される。こんにゃく製品は古来より日本において食されてきた伝統的食品であり、低カロリーであり、かつ食物繊維としての機能も有していることから極めて優れた食品といえる。
アルカリ凝固剤の使用は、こんにゃく製品のpHを高アルカリ条件として微生物汚染を防ぎ、保存性を高める効果をも有している。
しかしながら、こんにゃく製品は渋みや苦み等のこんにゃく本来の味以外の雑味の原因となるアクを含む。また、こんにゃく製品の有する臭いは消費者によっては敬遠される場合があり、臭いが強いと、目的とする味付け調理が難しくなる場合がある。そのため、調理前に臭いやアクを除くための下処理が必要とされる場合が多い。
【0003】
アク取り法としては、冷水に曝す方法、塩もみ、まな板上でこんにゃくを擂粉木で叩くなどの方法が、こんにゃく臭を除去する方法としては、水に曝す方法、熱湯処理する方法などが伝統的に行われてきた。
アルカリ凝固剤のアルカリ成分として水酸化カルシウムを用いた場合には、水酸化カルシウムが水に難溶性であるため、固体の混じった懸濁液の状態でこんにゃく糊に添加しなくてはならず、水酸化カルシウムが、こんにゃく糊に完全に溶解しないで固体のままこんにゃく製品中に残る。その結果、これをそのまま調理した場合に、こんにゃく臭やアクの原因となるものと考えられている。
【0004】
近年、調理の時間を十分に持てない家庭が増え、煩雑なアク抜きを必要とするこんにゃく製品の調理は敬遠される傾向にある。
特許文献1には、こんにゃく芋またはその粉末に水を加えて糊を作り,これにゲル化剤としてカルシウム,カリウム,ナトリウムの塩類を加えてこんにゃくを製造する場合に、こんにゃく糊に還元糖(グルコース、フラクトース、マルトース、ラクトース、キシロース,アラビノース,ガラクトースなど)の中から1種または複数種を選んで添加して糊を作ったのち、ゲル化剤を加えて加熱反応せしめることによる、異臭を消去したこんにゃくの製造方法が開示されている。
特許文献1では、還元糖を用いてこんにゃくの異臭としてのアミン臭を消去できる理由について、こんにゃく芋に含まれる蛋白質が過剰に存在するアルカリと反応して発生するのではないかと推測して、強アルカリ下で還元糖と反応せしめて蛋白質を拘束すれば異臭が消去出来るのではないかという前提に基づいて本発明を実施したところ、予測通りの効果を上げることができた、としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平8−103230号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1では、こんにゃく芋由来の蛋白質がアルカリと反応することによる異臭の消臭を目的としており、特許文献1においは凝固剤として石灰懸濁液を用いており、固体状の水酸化カルシウムがこんにゃく製品中に残存することによるアクや臭いの発生という問題に対する解決策についてなんら提示されていない。
【0007】
本発明の目的は、固体状の水酸化カルシウムがこんにゃく製品中に残存することによる臭いや雑味の原因となるアクが効果的に低減されており、これらを取り除く前処理の必要のないこんにゃく製品及びその製造方法、並びに、かかるこんにゃくの製造に好適なアルカリ凝固剤を提供することにある。
本発明の他の目的は、アルカリ凝固剤のアルカリ成分としての水酸化カルシウムの有効かつ効果的な利用を可能とし、こんにゃく糊のゲル化を直接推進するこんにゃくの製造方法及びそれに用いるアルカリ凝固剤を提供することにある。
本発明の更なる目的は、アルカリ凝固剤のアルカリ成分としての水酸化カルシウムのこんにゃく製造における効率良い利用を可能とすることにある。
本発明の更なる目的は、こんにゃく製品(例えば、アルカリ凝固剤として使用して製造されたこんにゃくを加工した包装こんにゃく製品、さらには、従来の石灰懸濁液を使用して製造されたこんにゃくを加工した包装こんにゃく製品)における封入水として、水酸化カルシウムの効果的かつ効率的な利用を可能とすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明にかかるこんにゃく用アルカリ凝固剤は、
スクロース、凝固用アルカリ成分としての水酸化カルシウム及び水を含み、
スクロース及び水酸化カルシウムが水に溶解しているアルカリ性溶液
からなることを特徴とする。
【0009】
本発明にかかるこんにゃくの製造方法は、
こんにゃく糊にアルカリ凝固剤を混合して凝固させる工程を有するこんにゃくの製造方法において、
前記アルカリ凝固剤として上記構成のアルカリ凝固剤を用いることを特徴とする。
本発明にかかる包装こんにゃく製品は、包装用容器内に、こんにゃく及びその加工品の少なくとも1種を、封入水とともに封入してなる包装こんにゃく製品であって、
前記封入水が、
スクロース、凝固用アルカリ成分としての水酸化カルシウム及び水を含み、
スクロース及び水酸化カルシウムが水に溶解しているアルカリ性溶液
からなる
ことを特徴とする。
包装用容器内に、封入水と共に封入するこんにゃく及びその加工品の少なくとも1種としては、上記構成のアルカリ凝固剤を用いて製造されたこんにゃく及びこんにゃく加工品、さらには、従来法で製造されたこんにゃく及びその加工品の少なくとも1種を用いることができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、凝固用のアルカリ成分としての水酸化カルシウムの必要量が糖の共存下で溶解し、かつ水酸化カルシウムの固形分を含有していないアルカリ凝固剤を用いてこんにゃくを製造することによって、固体状の水酸化カルシウムがこんにゃく製品中に残存することによる臭いや雑味の原因となるアクが効果的に低減されており、これらを取り除く前処理の必要のないこんにゃく製品を得ることができる。
本発明によれば、必要量の水酸化カルシウムを水溶液中に溶解した状態で利用することができ、固形分としての過剰な水酸化カルシウムの投入を抑制し、かつこんにゃく糊との混合による凝固時におけるpHの制御も容易となり、効率良くかつ効果的な水酸化カルシウムのアルカリ凝固剤成分としての利用が可能となる。
更に、本発明によれば非還元糖と水酸化カルシウムを溶解状態で含む水溶液を包装こんにゃく製品の封入水として利用することで、包装こんにゃく製品の封入水の成分としての水酸化カルシウムの効果的かつ効率的な利用が可能となる。
これらの点は、工業的なこんにゃくの生産及びその流通等において極めて有用である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】各濃度のショ糖溶液に添加した水酸化カルシウム濃度とショ糖溶液に溶解した水酸化カルシウム濃度の関係を示す図である。
【
図2】6%ショ糖溶液に添加する水酸化カルシウム濃度と上清区分の水酸化カルシウム濃度の関係を示す図である。
【
図3】20%ショ糖溶液に添加した水酸化カルシウム濃度と上清区分の水酸化カルシウム濃度との関係を示す図である。
【
図4】6%ショ糖溶液における溶解温度と水酸化カルシウムの溶解濃度との関係を示す図である。
【
図5】こんにゃく中の水酸化カルシウム濃度とこんにゃくのpHの関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明者らは、臭いや渋みが少なく、臭いの除去やアク抜きの必要がなく、簡単に調理することのできるこんにゃくの製造方法について鋭意検討を重ねてきた。本発明者らは、更に、臭いや渋みが少ないこんにゃくの製造において、こんにゃく製造用のアルカリ凝固剤のアルカリ成分である水酸化カルシウムの更なる効率的な利用を可能とする技術の開発について鋭意検討を行った。
その結果、こんにゃく製造に必要な濃度の水酸化カルシウム懸濁液を、水酸化カルシウムの固形分を含まない水酸化カルシウムの溶液とすることができれば、こんにゃく中に固体として残る水酸化カルシウムを無くすことができるので、臭いの除去やアク抜きは必要なくなるという結論に至った。
更に、水酸化カルシウムの固形分を含まず、かつ、水酸化カルシウムを高濃度で含み、保存安定性に優れたアルカリ凝固剤を提供することができれば、こんにゃく製造用のアルカリ凝固剤のアルカリ成分である水酸化カルシウムの更なる効率的な利用が可能となり、工業的な大量生産において極めて有用な技術を提供可能であるとの結論に至った。
【0013】
特許文献1の還元糖を用いたこんにゃく臭の消臭方法を用いるこんにゃくの製造においては、還元糖によるこんにゃく臭の消臭効果を得ることができるものの、アルカリ凝固剤としては従来の石灰懸濁液を用いている。従って、特許文献1の方法においても、水酸化カルシウムの固形分がこんにゃくに残存することによる臭いやアクの発生の低減という技術課題はなお残された状態のままである。
本発明者らは、糖が共存することによって水酸化カルシウムの水への溶解度を向上させた水酸化カルシウム水溶液を、こんにゃく製造用のアルカリ凝固剤として利用可能かどうかについて更に検討を重ねた。
非還元糖であるショ糖溶液に水酸化カルシウムを溶解させた水酸化カルシウムの溶液(ショ糖石灰溶液)について、溶液中のカルシウム量の測定値から換算した水酸化カルシウム量を基準としてこんにゃく製造試験を行った。比較のために使用した消石灰についてもカルシウム量を測定し、水酸化カルシウム量を算定した。その結果、
図5に示すように、ショ糖石灰溶液は、こんにゃく糊中で石灰懸濁液と同等のpHを調整する機能を有しており、アルカリ成分として効果的に作用していることが判明した。この結果に基づき、本発明者らは、非還元糖の存在下で水に対する溶解度が向上している水酸化カルシウム水溶液を、こんにゃく製造用の凝固剤のアルカリ成分として有効に利用できるとの結論に至り、本発明を完成した。
【0014】
このように、本発明によれば、こんにゃく臭の除去やアク抜きといった消費者にとって煩雑な前処理の手間を省き、より身近な食材として幅広いこんにゃくの活用の道を拓くものである。
本発明は現代の食生活に適応した簡便で美味しい新しいこんにゃく製品の提供を目的とするものであり、本発明においては、かかる目的を、アルカリ凝固剤のアルカリ成分として含有する水酸化カルシウムの溶解度を、糖を共存させることによって向上させ、かつこんにゃく製造に必要とする濃度で水酸化カルシウムを利用できるようにしたことにより達成した。
本発明にかかるこんにゃく製造用のアルカリ凝固剤は、糖、凝固用アルカリ成分としての水酸化カルシウム及び水を含み、糖及び水酸化カルシウムが水に溶解しているアルカリ性溶液からなる。
アルカリ凝固剤の成分として利用する糖としては、目的とする凝固剤としての効果に影響を与えず、かつ水酸化カルシウムの溶解度を向上させる機能を有するものでなくてはならない。このような観点から本発明においては、糖として非還元糖が用いられる。
【0015】
水酸化カルシウムは糖溶液に溶解する(化学大辞典、p1170、1998年発行、大木道則他、(株)東京化学同人)ことから、水酸化カルシウムを単糖類、二糖類、三糖類、オリゴ糖類及び多糖類の何れかで溶解し、こんにゃく製造用のアルカリ凝固剤として使用することが可能と考えるのが妥当である。しかしながら、水酸化カルシウムが強塩基であるため、還元糖の場合は所謂褐変反応を起こし、本発明の目的には使用できないことが明らかとなった。
例えば、10質量%グルコース溶液に溶解した水酸化カルシウムの0.22μmフィルター濾過液(以降グルコース石灰液と称す)はpHが12.44で、原子吸光光度計によるCa量から換算した水酸化カルシウム濃度が3.47質量%であった。この10質量%グルコース石灰液5.76gを、水で希釈して20g(水酸化カルシウム換算で1質量%溶液)とし、こんにゃく精粉(特等粉)5gを水道水175gに加えて8分間撹拌後、1.5時間室温に静置して十分膨潤させたこんにゃく糊に混練りした。これを包装し、80℃で30分間加熱後一晩室温に放置して十分に凝固を進行させた。このこんにゃくのpHは9.4であり、所定のpHである11.0以上とはならず、食感はもちもち感が強く、歯切れの良い食感が求められる場合に対応できないと思われるものであった。尚、このpH9.4というのは、水酸化カルシウム濃度で0.5%の石灰懸濁液を使用した場合とほぼ同じであった。従って、グルコース溶液に溶解している水酸化カルシウムは、こんにゃく糊のゲル化に寄与している割合が50%程度と考えられ、利用効率の悪いものであった。また、この10質量%グルコース石灰液を、密栓付きの容器に入れて40℃の温度条件下で保存を行ったところ、1日目で褐色化が進み、2日目に至って濁りを生じ、3日目には沈殿が生じ始め、その後も褐色化と沈殿生成はさらに進んだ。その後も褐色化と沈殿生成はさらに進み、非常に不安定な溶液であった。
【0016】
以上の結果を踏まえ、糖としては非還元糖の使用が好ましいとの結論に至った。
非還元糖としては、入手が容易という点ではスクロース(ショ糖)、トレハロースを挙げることができる。スクロースは水酸化カルシウムの溶解能、ならびに糖と共に溶解する水酸化カルシウムのアルカリ性剤としての安定性
が高く、本発明においては非還元糖としてスクロースが用いられる。スクロースとして、市販のグラニュー糖、上白糖等の種々の砂糖製品が利用できる。上白糖には褐変の原因となる少量の転化糖(還元糖)が含まれている場合があり、グラニュー糖を用いるのが好ましい。
【0017】
アルカリ成分として用いる水酸化カルシウムとしては、食品用途して利用し得るものであれば特に限定されない。工業的な大量生産における製造コストの低減という観点からは、石灰岩から得られる消石灰が有用である。
アルカリ凝固剤としてのアルカリ水溶液は、水酸化カルシウムを糖とともに水に添加して攪拌混合するか、あるいは、糖を溶解した糖水溶液に水酸化カルシウムの過剰量を加え攪拌混合し、その後不溶性の画分を除く方法等によって調製することができる。
水酸化カルシウムの糖の共存下における溶解度も水溶液の調製温度によって変化する。通常は同一糖濃度の水溶液中への水酸化カルシウムの溶解濃度は温度と反比例する。すなわち、より低い温度の方がより高い濃度で水酸化カルシウムを溶解させることができる。また、糖濃度や温度等の条件によっては水酸化カルシウムの溶解濃度を正確に予測できない場合があり、そのような場合は、過剰量の水酸化カルシウムを添加して、調製された水溶液中に残存する固形分を分離した後のアルカリ水溶液をアルカリ凝固剤として利用することができる。この固形分の分離は、静置後の上清取得によって行えば良いが、さらに、遠心分離、膜ろ過、或いは、ろ過助剤の使用による清澄処理等の公知の分離方法で、浮遊している微細な粒子を取り除き、所謂透明な溶液として使用することはより好ましい。
【0018】
アルカリ凝固剤としてのアルカリ水溶液を調製する際の糖の投入量としては、目的とする水酸化カルシウムの溶解濃度を達成できる量であればよいが、糖溶液が高濃度となると不溶性の水酸化カルシウムの沈降が阻害され、溶解させる水酸化カルシウムの濃度を調整する必要が生じる。また、35%となると添加した水酸化カルシウムが凝集して粘着性のある塊状となる等の障害が発生する場合がある。従って、水に対して1〜30質量%、好ましくは2〜20質量%、さらに好ましくは5〜15%の範囲から選択するとよい。
アルカリ凝固剤としてのアルカリ水溶液に含まれる溶解状態にある水酸化カルシウムの濃度は、こんにゃく製造における使用温度において、目的とするアルカリ凝固剤としての機能及び保存安定性を得ることができる量であればよいが、糖溶液に溶解させる水酸化カルシウム濃度が6.5%を超えると不溶性の水酸化カルシウムが沈降し難く、固液分離が困難となる場合がある。従って、0.25質量%〜6.5質量%の範囲が好ましい。
【0019】
アルカリ凝固剤としてのアルカリ水溶液の調製温度は、こんにゃく製造における使用温度において、目的とするアルカリ凝固剤としての機能及び保存安定性を得ることができる温度とすれば良く、特に制限はないが、5℃〜70℃、例えば9〜11℃の冷却温度や21〜25℃の通常の室温から選択することができる。
調製温度において得られる糖の共存下での水酸化カルシウムの投入量は、溶解度の2〜4倍程度(質量基準)の割合の量を投入することが好ましい(
図2、
図3)。
アルカリ凝固剤自体は、アルカリ凝固剤としての目的とする凝固機能を得ることができるアルカリ性を有していればよいが、例えば12〜13、好ましくは12.0〜12.8、より好ましくは12.3〜12.8の範囲から選択したpHのアルカリ性とすることができる。
【0020】
本発明にかかる、糖と水酸化カルシウムの水溶液からなるアルカリ凝固剤は、50℃以下の水溶液の状態を保持する温度条件下において極めて安定であり、大量に調製して密封貯蔵し、必要に応じて希釈して使用することができ、こんにゃくの生産量に応じてその使用量を調節できるので、工業的な利用という点から価値が高い。
【0021】
本発明にかかるアルカリ凝固剤は、非還元糖を共存させたことにより、水酸化カルシウムの固形分を含まず、水酸化カルシウムを高濃度で含み、かつ、保存安定性に優れる。従って、大量製造したアルカリ凝固剤をストックして必要に応じて使用することができ、更に、こんにゃく製造時における効率的な水酸化カルシウムの利用を達成することができる。
【0022】
本発明にかかるこんにゃく製品は、アルカリ凝固剤として上述した非還元糖と水酸化カルシウムが水に溶解しているアルカリ水溶液を用いて製造されたものである。
本発明にかかるこんにゃく製品としては、生詰と称されるこんにゃく製品、並びに、包装用容器内にこんにゃく及びこんにゃく加工品の少なくとも1種が封入水とともに封入された包装こんにゃく製品を挙げることができる。
こんにゃく及びこんにゃく加工品の形状は特に限定されず、例えば、角型、丸型、球型、菱型、棒状等とすることができる。これらの形状は、玉こんにゃくやしらたきのように、アルカリ凝固剤を含むこんにゃく糊を目的する形状に成形しつつ凝固させる方法により、あるいは、糸状のこんにゃくや各種の形状のこんにゃくのように、ブロック状や板状等のこんにゃくの塊を目的とする形状に切断や分割してこんにゃく加工品とする方法などにより得ることができる。
【0023】
上述したアルカリ凝固剤を用いるこんにゃくの製造は以下のようにして行うことができる。
まず、こんにゃく原料と水とを混練して、必要に応じて加温して、こんにゃく原料を膨潤させたこんにゃく糊を調製する。
こんにゃく原料としては、こんにゃく芋(玉)を裁断、粉砕、すり潰しなどの方法により加工した生原料及びその加工処理品、こんにゃく芋(玉)から得られる精粉、荒粉及びその加工処理品など、こんにゃくの製造に用いられている各種のこんにゃく原料が利用できる。
こんにゃく糊には、こんにゃく製品の調理用途に応じて、予め豆乳、豆腐、魚肉、畜肉、海藻、調味料、香辛料、エキス類及び香料から選択された少なくとも1種を調合することができる。
次に、こんにゃく糊に、本発明にかかるアルカリ凝固剤を添加して混練して加熱し、こんにゃく糊を凝固させる。更に、常法により、成形及び水洗浄などの処理を行ってこんにゃく製品を得ることができる。こんにゃく糊との混合時の温度が70℃以下であれば、混練り工程中で水酸化カルシウムは析出せず、水酸化カルシウムの固形分が要因となる臭いやアクの発生を防止することができる。
こんにゃく糊へのアルカリ凝固剤の添加量は、目的とする凝固状態を得ることができるように設定すればよく特に限定されない。一般的にこんにゃく糊の濃度は一律ではないが、例えば、2〜3質量%濃度のこんにゃく糊の場合であれば、水酸化カルシウムがこんにゃく中に0.1質量%前後の濃度となる様に添加することが重要である。また、こんにゃく糊の重量に対して10〜20質量%の範囲でアルカリ凝固剤溶液を添加するのが好ましい。
また、水酸化カルシウムがこんにゃく中に0.06〜0.08質量%前後の濃度となる様に、或いは、0.12〜0.16質量%前後の濃度となる様に添加することにより食感を調製することが可能である。更に、本発明にかかるアルカリ凝固剤を用いて製造されたこんにゃくのpHが、通常は11〜12.3の範囲となるようにアルカリ凝固剤を添加することが好ましく、11.5〜12.0がより好ましい。
更に、常法により、生詰こんにゃく製品としたり、包装容器内に封入水とともに封入して包装こんにゃく製品とすることができる。
【0024】
本発明者らは、非還元糖と水酸化カルシウムを溶解した状態で含むアルカリ水溶液が封入水としても有用であることを見出した。すなわち、非還元糖と水酸化カルシウムを溶解した状態で含むアルカリ水溶液は、50℃以下の温度条件下において水溶液の状態を維持して極めて安定であり、封入水として好適に利用でき、更に、70℃の温度条件下において、糖濃度が1〜3質量%の溶液で1日〜2日間、4質量%以上の溶液で数日間程度は水酸化カルシウムの析出を生じないことから、高温を含む広い範囲での温度条件下での封入にも適しており、こんにゃく、或いは、しらたき等のこんにゃく加工品を包装容器内に封入する際の封入水として好適に利用できるとの結論を得た。
従来の水酸化カルシウム(石灰)懸濁液を封入水として使用する場合は、水酸化カルシウム(石灰)懸濁液の上清を封入水として利用しており、通常は0.15質量%程度の濃度の水酸化カルシウム溶液である。これに対して、本発明にかかる封入水の保存安定性は良好であり、非還元糖の共存により封入水中における水酸化カルシウムの濃度を、水酸化カルシウムを含む従来の封入水よりも高くすることができる。従って、製品の軽量化による輸送重量コストの低減を図り、かつ封入水の成分としての水酸化カルシウムの効率的な利用を達成することもできる。
封入水としてのアルカリ水溶液を調製する際の糖の投入量としては、目的とする水酸化カルシウムの溶解濃度を達成できる量であればよいが、糖溶液の濃度が35%となると添加した水酸化カルシウムが凝集して粘着性のある塊状となる場合がある。従って、水に対して1〜30質量%、好ましくは5〜20%の範囲から選択するとよい。
封入水としてのアルカリ水溶液に含まれる溶解状態にある水酸化カルシウムの濃度は、封入水としての機能及び保存安定性を得ることができる量であればよいが、糖溶液に溶解させる水酸化カルシウム濃度が6.5%を超えると不溶性の水酸化カルシウムが沈降し難く、固液分離が困難となる場合がある。従って、0.25質量%〜6.5質量%の範囲が好ましい。
封入水としてのアルカリ水溶液は、目的とする封入水としての機能を得ることができるアルカリ性を有していればよいが、例えば12〜13、好ましくは12.0〜12.8、より好ましくは12.3〜12.8の範囲から選択したpHのアルカリ性とすることができる。
本発明にかかる封入水は、こんにゃく及びしらたき等のこんにゃく加工品の少なくとも1種を包装容器に密封する際に好適に利用可能であり、封入されるこんにゃくやこんにゃく加工品の種類は限定されない。こんにゃくやこんにゃく加工品としては、先に、本発明にかかるアルカリ凝固剤を用いて製造し得るものとして説明した、各種こんにゃく及びこんにゃく加工品を挙げることができる。
本発明にかかる封入水は、本発明にかかるアルカリ凝固剤を用いて製造されたこんにゃくまたはこんにゃく加工品の包装用への封入用に使用することができ、更には、従来法によるこんにゃくあるいはこんにゃく加工品を包装容器に密封する際の封入水としても使用することができる。
【0025】
一方、本発明にかかる、糖と水酸化カルシウムの水溶液からなるアルカリ凝固剤は、保存中にも固形分が発生せずに保存安定性に優れているという利点を有する。このアルカリ凝固剤は、無菌ろ過処理が可能である。無菌ろ過処理されたアルカリ凝固剤は、無菌的にこんにゃくを製造する際に好適に利用できる。無菌ろ過処理には、液体の無菌処理に利用されている無菌ろ過装置を利用することができる。
無菌的なこんにゃくの製造方法の一例として、加熱殺菌により無菌化したこんにゃく糊と、無菌ろ過処理されているアルカリ凝固剤とを無菌的に混合し、無菌包装後加熱処理する方法を挙げることができる。
さらなる例としては、上記こんにゃく糊に、豆乳、豆腐、魚介類、畜肉、海藻、調味料、香辛料、エキス類及び香辛料等を調合し、上記加熱滅菌をして無菌化した後に、上記と同様の方法、手順で無菌こんにゃく加工品を製造する方法を挙げることができるが、この場合のpHは10.0を切る場合がある。
こんにゃく糊の加熱殺菌方法としては、目的とする殺菌効果を得ることができる方法であればよく、公知の殺菌方法から選択した加熱殺菌方法を用いることができる。また、アルカリ凝固剤の無菌ろ過処理方法としても、目的とする無菌ろ過処理が達成できる方法であればよく、目的に応じた孔径のフィルターを選択して用いることができる。殺菌済みのこんにゃく糊と無菌処理されたアルカリ凝固剤との無菌的な混合及び包装容器への封入は、菌による汚染防止処置が施された公知の環境中や装置内で行うことができる。
無菌的なこんにゃくの製造方法の一例として、こんにゃく精粉(特等粉)を33〜35倍量の25℃の水に溶解後、間接加熱タイプの熱交換機を用いて130〜140℃で30秒〜200秒間の加熱滅菌処理により無菌化したこんにゃく糊と、0.2μmのポアーサイズを有するフィルター(東洋濾紙(株)製セルロース混合エステルタイプメンブレンフィルター)で無菌ろ過処理された無菌アルカリ凝固剤(0.6〜1質量%水酸化カルシウムを含有しているグラニュー糖濃度5〜7質量%濃度の水溶液)とを、無菌こんにゃく糊9に対して無菌アルカリ凝固剤1の割合(質量比)で無菌的に混合して、予め無菌化処理の施された軟包材に無菌的に包装し、80℃、30分程度の加熱凝固処理をする方法を挙げることができる。なお、無菌化したこんにゃく糊の加熱殺菌処理においては、高温条件では処理時間を短く、また低温条件では処理時間を長く設定することが好ましい。
上述したように、無菌状態で包装容器内にこんにゃくを封入することが可能となることにより、制菌保存効果をアルカリ剤による高pHに頼る必要がなく、pH域を設定する際の自由度が高くなり、種々の味付けやフレーバリングが可能となる。従って、種々の調理用途に対応したこんにゃく製品の供給が可能となり、商品開発の可能性が広がるものと考えられる。
このように、本発明によれば、臭いの除去やアク抜きといった消費者にとって煩雑な前処理の手間を省き、より身近な食材として幅広いこんにゃくの活用の道を拓くものである。
【実施例】
【0026】
以下に実施例により本発明を更に詳細に説明する。
(実施例1)
図1に示す各種糖濃度の水溶液(500g)を、糖としてグラニュー糖を用いて室温(20〜23℃または21〜25℃の条件、以下同様)で調製した。各糖水溶液に過剰量の石灰(水酸化カルシウム:井上石灰工業(株)製、商品名:蒟太郎)を添加混合し、室温で3時間攪拌混合した。その後、室温で一晩静置した後に上清区分を回収し、これをポワーサイズ0.22μmのフィルター(東洋濾紙(株)製 型式:DISMC−25SS)を用いてろ過した。得られたろ液中のCaイオン濃度を原子吸光分光光度計((株)島津製作所 型式AA−7000)により測定し、水酸化カルシウム濃度として換算した。得られた結果を
図1に●として示した。それぞれの溶液を20〜50℃に静置したが、不溶性物質の生成はみられなかった。
(実施例2)
糖濃度を6質量%として、異なる調製温度(室温または冷却温度:9〜11℃)における上清区分中の水酸化カルシウム濃度を実施例1と同様にして評価した。得られた結果を
図2に示す。
(実施例3)
糖濃度を20質量%として、室温における上清区分中の水酸化カルシウム濃度を実施例1と同様にして評価した。得られた結果を
図3に示す。
(実施例4)
糖濃度を6質量%として、各種調製温度における上清区分中の水酸化カルシウム濃度を実施例1と同様にして評価した。得られた結果を
図4に示す。なお、
図4における「飽和水溶液」は石灰懸濁液の上清区分である。
【0027】
(実施例5)
こんにゃく精粉(特等粉)5gを25℃の水175gに溶解させ、8分間攪拌した後、90分間室温で放置してこんにゃく糊を調製した。得られたこんにゃく糊に、石灰(水酸化カルシウム:井上石灰工業(株)製、商品名:蒟太郎)を用いて調製した石灰懸濁液20gをアルカリ凝固剤として混合して60秒間混練し、耐熱フィルムで包装して80℃で30分間加熱した後、一晩静置してこんにゃくを得た。石灰懸濁液としては、各種石灰配合割合の懸濁液を個々に用いた。
更に、こんにゃく精粉(特等粉)5gを25℃の水175gに溶解させ、8分間攪拌した後、90分間室温で放置してこんにゃく糊を調製した。得られたこんにゃく糊に、ショ糖溶液に溶解した水酸化カルシウムの水溶液(ショ糖石灰溶液)からなるアルカリ凝固剤を混合して60秒間混練し、耐熱フィルムで包装して80℃で30分間加熱した後、一晩室温に静置してこんにゃくを得た。アルカリ凝固剤は、グラニュー糖及び石灰(水酸化カルシウム:井上石灰工業(株)製、商品名:蒟太郎)を用いて、表1に示す各種糖及び水酸化カルシウム濃度の水溶液として調製し、これらのアルカリ凝固剤を個々に用いた。
【0028】
【表1】
【0029】
得られた各こんにゃくを磨砕し、磨砕物のpHを測定した。得られた結果を
図5に示した。
(実施例6)
包装容器内に密封された包装こんにゃく製品を室温においてこんにゃくの温度を室温とし、開封直後に1.5cm×3cmのサイズにカットし、そのままの状態でパネラーによる官能評価を行った。
なお、包装こんにゃく製品は以下の方法により製造した。
こんにゃく精粉(特等粉)20.75gに対して25℃の水を726.25g加え、良く撹拌後1時間30分放置してこんにゃく糊を調製後、1%濃度の石灰懸濁液(蒟太郎)83gを加えて素早く混練りし、耐熱フィルムを用いて200g単位で包装をした。これを80℃、30分間加熱後、一晩室温に静置して凝固を完結させた。また、予め、6質量%グラニュー糖溶液500g(23℃)に150gの水酸化カルシウム粉末(蒟太郎)を加え、室温(23℃)で3時間撹拌後、室温に一晩静置して得られた上清区分(450g)を0.22μmのフィルター(東洋濾紙(株)製 型式:DISMIC−25SS)を用いて濾過した溶液(水酸化カルシウム換算濃度1.10%)を水で1.1倍に希釈(水酸化カルシウム換算濃度1%)したショ糖石灰溶液83gを用いた以外は、石灰懸濁液使用のものと全く同じ操作でこんにゃくを調製した。こんにゃくのpHは、石灰懸濁液使用のものがpH11.73であり、ショ糖石灰溶液使用のものがpH11.78とほぼ同じであった。
官能検査の結果を表2に示した。
【0030】
【表2】