(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記搬出テーブルは、下流端が上流端よりも低くなるように水平方向に対して傾斜し又は傾斜可能に構成された搬出シュータであることを特徴とする請求項1に記載の帯鋸盤。
前記搬出テーブルは、前記搬送方向へ間隔を置いて並びかつ搬出アクチュエータの駆動により回転可能な駆動ローラを有した搬出ローラコンベアであることを特徴とする請求項1に記載の帯鋸盤。
前記切断位置の上流側に前記搬送方向へ移動可能に設けられ、ワークを挟持する一対の搬送バイスジョーを有した搬送バイスを具備したことを特徴とする請求項1から請求項4のうちのいずれか1項に記載の帯鋸盤。
前記基台における前記切断位置の直上流側に設けられ、ワークを挟持する一対の上流本体バイスジョーを有した上流本体バイスを具備したことを特徴とする請求項1から請求項5のうちのいずれかの1項に記載の帯鋸盤。
【背景技術】
【0002】
現在広く普及している帯鋸盤は、一対の鋸刃ホイールの間をワークが自由に通過できるように、換言すれば、ワークの最大切断長さ(製品の最大長さ)の自由度を確保できるように、鋸刃ホイールを起立させた所謂起立タイプの帯鋸盤である。起立タイプの帯鋸
盤においては、切断位置において帯鋸刃の歯先をワークに対して垂直にするために、鋸刃ガイドによる帯鋸刃の捻り角度を大きくする必要がある。そのため、帯鋸刃の走行中に、帯鋸刃には引張応力及び曲げ応力の他に、捻り応力が繰り返し応力として作用し、帯鋸刃の胴疲労寿命を向上させることが困難になる。
【0003】
近年、帯鋸刃の胴疲労寿命を向上させることができる、所謂倒伏タイプの帯鋸盤の開発も進んでいる(特許文献1及び特許文献2等参照)。倒伏タイプの帯鋸盤における鋸刃ホイールは、ワークの最大切断長が前記鋸刃ホイールの直径によって規定(拘束)されるように倒伏した倒伏状態になっている。それに伴い、倒伏タイプの帯鋸盤では、鋸刃ガイドによる帯鋸刃の捻り角度をゼロ又は非常に小さくしても、切断位置において帯鋸刃の歯先をワークに対して垂直にすることができる。換言すれば、鋸刃ガイドによる帯鋸刃の捻り角度を大きくすることなく、切断位置において帯鋸刃の歯先をワークに対して垂直にすることができる。そして、倒伏タイプの帯鋸盤の構成について説明すると、次の通りである。
【0004】
倒伏タイプの帯鋸盤は、基台を具備しており、基台は、その上側(基台の上側)に、切削油(切削液の一例)を回収するオイルパン(切削液溜まりの一例)を有している。また、基台は、その上側に、鋸刃ハウジングを上下方向へ移動可能(昇降可能)に備えている。鋸刃ハウジングは、その下側(鋸刃ハウジングの下側)に、帯鋸刃を巻回して支持する一対の鋸刃ホイールを備えており、一対の鋸刃ホイールは、搬送方向に直交する搬送幅方向に離隔している。そして、各鋸刃ホイールは、前述のように、倒伏した倒伏状態になっており、それに伴い、起立タイプの帯鋸
盤に比べて、切断位置からオイルパンの下流端までの長さが長くなっている。更に、鋸刃ハウジングは、その適宜位置(鋸刃ハウジングの適宜位置)に、切断位置において前記帯鋸刃の歯先がワークに対して垂直になるように帯鋸刃を案内する鋸刃ガイドを備えている。
【0005】
基台は、切断位置の直下流側(搬送方向の直下流側)に、本体下流バイスを備えている。本体下流バイスは、ワークにおける製品に相当する部分(製品になる部分)を挟持する一対の本体下流バイスジョーを有している。そして、切断位置からオイルパンの下流端までの長さが長くなることに対応して、通常、基台は、切断位置の下流側に、製品をオイルパンの外側へ搬出するための搬出シュータを備えている。搬出シュータは、下流端(搬出シュータの下流端)が上流端(搬出シュータの上流端)よりも低くなるように水平方向に対して傾斜しており、搬出シュータの下流端側は、オイルパンから外側へ突出している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、製品をオイルパンの外側(基台の外側)へ確実に搬出するためには、搬出シュータの上流端を切断位置に位置させるか又は切断位置に近づける必要がある。一方、搬出シュータの上流端の位置を前述のように設定すると、帯鋸刃に供給される切削油、及び切断加工によって生成される切粉が搬出シュータを経由してオイルパンの外側(基台の外側)へ排出され易くなる。すると、切削油及び切粉が工場の床面に飛散して、作業環境を害することになる。
【0008】
つまり、倒伏タイプの帯鋸盤においては、製品をオイルパンの外側へ確実に搬出しつつ、切削油及び切粉が工場の床面に飛散することを十分に抑制して、作業環境の向上を図ることは困難であるという問題がある。
【0009】
そこで、本発明は、前述の問題を解決することができる、新規な構成の帯鋸盤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一態様は、無端状の帯鋸刃を走行(循環走行)させつつ、搬送方向の切断位置に位置決めされたワークの被切断部に対して切断加工を行う帯鋸盤であって、上側に切削液を回収するための切削液溜まりを有した基台と、前記基台に上下方向へ移動可能(昇降可能)に設けられた鋸刃ハウジングと、前記鋸刃ハウジングに回転可能に設けられ、前記搬送方向に直交する搬送幅方向に離隔し、ワークの最大切断長さがホイール径(鋸刃ホイールの直径)によって規定されるように倒伏した倒伏状態(倒伏姿勢)になっており、前記帯鋸刃を巻回して支持する一対の鋸刃ホイールと、前記切断位置において前記帯鋸刃の歯先がワークに対して垂直になるように前記帯鋸刃を案内する鋸刃ガイドと、前記基台における前記切断位置の下流側(前記搬送方向の下流側)に設けられ、ワークにおける製品に相当する部分(製品なる部分)を挟持する一対の本体下流バイスジョーを有した本体下流バイス(下流本体バイス機構)と、製品を前記切削液溜まりの外側(前記基台の外側)へ搬出するための搬出テーブルと、を具備し、平面視したときに、前記切断位置を走行する前記帯鋸刃の加工側の走行エリア(走行ライン)、及び前記切断位置に対して前記搬送方向に離隔した位置を走行する前記帯鋸刃の反加工側の走行エリア(走行ライン)が前記切削液溜まりの内側にそれぞれ位置し、前記搬出テーブルの上流端(入口端)が一対の前記鋸刃ホイールの中心を結ぶホイール中心線(回転中心)よりも下流側に位置し、前記本体下流バイスは、
前記切削液溜まりの内側における前記帯鋸刃の加工側の走行エリア側と前記搬出テーブルの上流端側との間で前記搬送方向へ移動可能に構成されていることである。
【0011】
本発明の一態様によると、ワークの被切断部を前記切断位置に位置決めした後に、一対の前記本体下流バイスジョーの協働によりワークを挟持することにより、ワークを前記基台に対して固定する。そして、一対の前記鋸刃ホイールの回転によって前記帯鋸刃を走行させた状態で、前記鋸刃ハウジングを下方向へ移動(下降)させる。これにより、ワークの被切断部に対して切断加工を行って、ワークから製品を取り出すことができる。なお、ワークの切断加工中に、前記帯鋸刃に対して適宜に切削液が供給されると共に、切粉が生成される。
【0012】
ワークから製品を取り出した後に、前記
本体下流バイスによって製品を前記搬出テーブルの上流端側まで搬送する。これにより、製品を前記搬出テーブルを経由して前記切削液溜まりの外側(前記基台の外側)へ搬出することができる。
【0013】
ここで、平面視したときに、前記帯鋸刃の加工側の走行エリア及び前記帯鋸刃の反加工側の走行エリアが前記切削液溜まりの内側にそれぞれ位置している。そのため、前記帯鋸刃に付着した切削液及び切粉が
前記切削液溜まりの外側(前記基台の外側)へ直接排出されることを抑えることができる。
【0014】
平面視したときに、前記搬出テーブルの上流端が前記ホイール中心線よりも下流側に位置している。そのため、前記帯鋸刃に供給される切削液、及び切断加工によって生成される切粉が前記搬出テーブルに到達し難くなって、前記搬出テーブルを経由して前記切削液溜まりの外側(前記基台の外側)へ排出されることを抑えることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、前述のように、前記
本体下流バイスによって製品を前記搬出テーブルの上流端側まで搬送している。これにより、前記搬出テーブルの上流端を前記切断位置に位置させ又は前記切断位置に近づけることなく、製品を前記切削液溜まりの外側(前記基台の外側)へ確実に搬出することができる。
【0016】
前述のように、前記帯鋸刃に付着した切削液及び切粉が
前記切削液溜まりの外側へ直接排出されること、及び切削液及び切粉が前記搬出テーブルを経由して前記切削液溜まりの外側へ排出されることをそれぞれ抑えることができる。これにより、切削液及び切粉が工場の床面に飛散することを十分に抑制して、作業環境の向上を図ることができる。
【0017】
つまり、本発明によれば、製品を前記切削液溜まりの外側へ確実に搬出しつつ、切削液及び切粉が工場の床面に飛散することを十分に抑制して、作業環境の向上を図ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の実施形態(第1実施形態及び第2実施形態)について図面を参照して説明する。なお、本願の明細書及び特許請求の範囲において、「設けられる」とは、直接的に設けられることの他に、別部材を介して間接的に設けられることを含む意であって、「備えられる」と同義である。「備える」とは、直接的に備えることの他に、別部材を介して間接的に備えることを含む意であって、「設ける」と同義である。「切断位置」とは、切断加工が行われる搬送方向の位置のことをいう。なお、図面中、「FF」は、前方向(搬送方向)、「FR」は、後方向(搬送方向の反対方向)、「L」は、左方向(搬送幅方向の一方側)、「R」は、右方向(搬送幅方向の他方側)、「U」は、上方向、「D」は、下方向をそれぞれ指してある。
【0020】
(本発明の第1実施形態)
図1から
図4に示すように、本発明の第1実施形態に係る帯鋸盤1は、無端状の帯鋸刃Bを走行(循環走行)させつつ、搬送方向(前方向)の切断位置CPに位置決めされた棒状のワークWの被切断部Waに対して切断加工を行うものである。また、本発明の第1実施形態に係る帯鋸盤1は、所謂倒伏タイプの帯鋸盤である。そして、本発明の第1実施形態に係る帯鋸盤1の具体的な構成は、以下の通りである。
【0021】
帯鋸盤1は、搬送方向に直交する搬送幅方向(左右方向)に延びた基台(本体フレーム)3を具備しており、基台3は、その上側(基台3の上側)に、切削油(切削液の一例)を収容するオイルパン(切削液溜まりの一例)5を有している。また、帯鋸盤1は、基台3の後側に設けられたかつ前後方向へ延びた支持フレーム7を具備しており、支持フレーム7は、その上側(支持フレーム7の上側)に、オイルパン5に連通しかつ切削油を収容するオイルパン9を有している。
【0022】
基台3は、その後面(基台3の後面)に、上下方向へ延びた一対のコラム11,13を備えており、一対のコラム11,13は、搬送幅方向に離隔している。各コラム11(13)は、その前面(コラム11(13)の前面)に、上下方向へ延びたLMガイド(リニアモーションガイド)15,17を有している。また、一対のコラム11,13は、それらの上部の間(一対のコラム11,13の上部の間)に、左右方向へ延びた連結部材19を連結するように備えている。
【0023】
一対のコラム11,13は、それらの間(一対のコラム11,13の間)に亘って、搬送幅方向へ延びた鋸刃ハウジング(切断加工ヘッド)21を上下方向へ移動可能(昇降可能)に備えている。換言すれば、鋸刃ハウジング21は、一対のコラム11,13を介して基台3に上下方向へ移動可能に設けられている。鋸刃ハウジング21の正面視形状は、下側を開いたU字形状を呈している。また、鋸刃ハウジング21は、その後面(鋸刃ハウジング21の後面)の左部に、LMガイド15に上下方向へ案内される複数のLMブロック(リニアモーションブロック)23を有している。鋸刃ハウジング21は、その後面の右部に、LMガイド17に上下方向へ案内される複数のLMブロック25を有している。そして、鋸刃ハウジング21は、基台3の適宜位置に設けられたハウジング用電動モータ(図示省略)とボールネジ(図示省略)、或いは油圧式のハウジング用シリンダ(図示省略)等の駆動により上下方向へ移動するようになっている。
【0024】
鋸刃ハウジング21は、その下側(鋸刃ハウジング21の下側)に、帯鋸刃Bを巻回させて支持する一対の鋸刃ホイール27,29を回転可能に備えており、一対の鋸刃ホイール27,29は、搬送幅方向に離隔している。そして、各鋸刃ホイール27(29)は、ワークWの最大切断長さがホイール径(鋸刃ホイール27(29)の直径)によって規定(拘束)されるように倒伏した倒伏状態(倒伏姿勢)になっている。特に、本発明の実施形態にあっては、鋸刃ホイール27(29)は、水平状態(水平方向に対して平行な状態)になっている。また、第1(一方)の鋸刃ホイール27は、帯鋸刃Bに張力を付与するために、鋸刃ハウジング21の左部に設けられた油圧式のホイール用シリンダ(図示省略)の駆動により第2(他方)の鋸刃ホイール29に対して接近離反する搬送幅方向へ位置調節可能になっている。更に、第2の鋸刃ホイール29のホイール軸(図示省略)は、鋸刃ハウジング21の右部に設けられたホイール用電動モータ(図示省略)の出力軸(図示省略)に連動連結されている。換言すれば、一対の鋸刃ホイール27,29は、ホイール用電動モータの駆動により回転するようになっている。なお、各鋸刃ホイール27(29)は、ワークWの最大切断長さがホイール径によって規定されるように倒伏状態になっていれば、水平方向に対して傾斜してもよい。
【0025】
鋸刃ハウジング21は、その後側(鋸刃ハウジング21の後側)に、切断位置CPにおいて帯鋸刃Bの歯先がワークWに対して垂直になるように帯鋸刃Bを案内する一対の鋸刃ガイド31,33を備えている。また、各鋸刃ホイール27(29)が水平状態になっていることに伴い、一対の鋸刃ガイド31,33による帯鋸刃Bの捻り角度は、ゼロになっている。そして、一対の鋸刃ガイド31,33は、搬送幅方向に離隔しており、第1(一方)の鋸刃ガイド31は、第2(他方)の鋸刃ガイド33に対して接近離反する搬送幅方向へ位置調節可能になっている。更に、各鋸刃ガイド31(33)は、その適宜位置(各鋸刃ガイド31(33)の適宜位置)に、帯鋸刃Bに対して切削油(切削液の一例)を供給する切削油供給部材(図示省略)を備えている。切削油供給部材は、例えば、特開2001−54818号公報、特開2001−150239号公報等に示す公知の構成からなるものである。なお、各鋸刃ホイール27(29)が水平方向に対して傾斜している場合には、一対の鋸刃ガイド31,33による帯鋸刃Bの捻り角度はゼロでなくてもよい。
【0026】
支持フレーム7は、その上側(支持フレーム7の上側)に、ワークWを搬送方向へ移動可能に支持する上流搬送テーブル35を備えている。また、上流搬送テーブル35は、搬送方向へ間隔を置いて並んだ複数の上流搬送ローラ37を有しており、各上流搬送ローラ37は、搬送幅方向に平行な軸心(上流搬送ローラ37の軸心)周りに自由に回転可能になっている。
【0027】
支持フレーム7は、その上側に、搬送方向へ延びた一対のガイド部材(ガイドレール)39,41を備えている。一対のガイド部材39,41は、それらの上側(一対のガイド部材39,41の上側)に、ワークWを搬送するための搬送バイス43を搬送方向及びその反対方向(前後方向)へ移動可能に備えている。換言すれば、搬送バイス43は、支持フレーム7における切断位置CPの上流側に一対のガイド部材39,41を介して搬送方向及びその反対方向へ移動可能に設けられている。
【0028】
搬送バイス43は、一対のガイド部材39,41に搬送方向及び搬送幅方向へ移動可能に案内される搬送バイスベッド(搬送スライダ)45を有している。搬送バイスベッド45は、上側を開放したU字形状を呈しており、搬送バイスベッド45の一部分は、上流搬送ローラ37の下側に位置している。換言すれば、搬送バイスベッド45は、上流搬送テーブル35に干渉しないようになっている。また、搬送バイスベッド45(搬送バイス43)は、支持フレーム7の適宜位置に設けられた搬送バイス用電動モータ(図示省略)とボールネジ(図示省略)、或いは油圧式の搬送バイス用シリンダ(図示省略)等の駆動により搬送方向へ移動するようになっている。
【0029】
搬送バイスベッド45は、その上面(搬送バイスベッド45の上面)に、ワークWを挟持する一対の搬送バイスジョー47,49を備えており、一対の搬送バイスジョー47,49は、搬送幅方向に対向している。また、第1(一方)の搬送バイスジョー47は、搬送バイスベッド45の左部に設けられた油圧式の搬送バイス用シリンダ51の駆動により第2(他方)の搬送バイスジョー49に対して接近離反する搬送幅方向へ移動するようになっている。なお、第2の搬送バイスジョー49は、搬送バイスベッド45の右部に設けられた油圧式の搬送バイス用ミニシリンダ(図示省略)の駆動により搬送幅方向へ僅かに移動するようになっている。
【0030】
基台3は、切断位置CPの直上流側(搬送方向の直上流側)に、ワークWを基台3に対して固定するための上流本体バイス53を備えている。上流本体バイス53は、基台3の上面における切断位置CPの直上流側に設けられかつワークWを支持する上流本体ベイスベッド(上流加工テーブル)55を有している。また、上流本体バイスベッド55は、その上面(上流本体バイスベッド55の上面)に、ワークWを挟持する一対の上流本体バイスジョー57,59を備えており、一対の上流本体バイスジョー57,59は、搬送幅方向に対向している。第1(一方)の上流本体バイスジョー57は、上流本体バイスベッド55の左部に設けられた油圧式の上流本体バイス用シリンダ61の駆動により第2(他方)の上流本体バイスジョー59に対して接近離反する搬送幅方向へ移動するようになっている。なお、第2の上流本体バイスジョー59は、上流本体バイスベッド55の右部に設けられた油圧式の上流本体バイス用ミニシリンダ(図示省略)の駆動により搬送幅方向へ僅かに移動するようになっている。
【0031】
基台3は、切断位置CPの下流側(搬送方向の下流側)に、ワークWを搬送方向へ移動可能に支持する下流搬送テーブル63を備えている。また、下流搬送テーブル63は、搬送方向へ間隔を置いて並んだ複数の下流搬送ローラ65を有しており、各下流搬送ローラ65は、搬送幅方向に平行な軸心(下流搬送ローラ65の軸心)周りに自由に回転可能になっている。
【0032】
基台3は、切断位置CPの下流側に、搬送方向へ延びた一対のガイド部材67,69を備えている。一対のガイド部材67,69は、それらの上側(一対のガイド部材67,69の上側)に、下流本体バイス71を搬送方向及びその反対方向(前後方向)へ移動可能に備えている。換言すれば、下流本体バイス71は、基台3の上面における切断位置CPの下流側に一対のガイド部材67,69を介して搬送方向及びその反対方向へ移動可能に設けられている。
【0033】
下流本体バイス71は、一対のガイド部材67,69に搬送方向及び搬送幅方向へ移動可能に案内される下流本体バイスベッド(下流本体スライダ)73を有している。下流本体バイスベッド73は、上側を開放したU字形状を呈しており、下流本体バイスベッド73の一部分は、下流搬送ローラ65の下側に位置している。換言すれば、下流本体バイスベッド73は、下流搬送テーブル63に干渉しないようになっている。また、下流本体バイスベッド73(下流本体バイス71)は、基台3の適宜位置に設けられた油圧式の下流本体バイス用シリンダ(図示省略)、或いは下流本体バイス用電動モータ(図示省略)とボールネジ(図示省略)等の駆動により搬送方向へ移動するようになっている。
【0034】
下流本体バイスベッド73は、その上面(下流本体バイスベッド73の上面)に、ワークWにおける製品に相当する部分(製品Mになる部分)Wm又は端材に相当する部分(端材Iになる部分)を挟持する一対の下流本体バイスジョー75,77を備えている。一対の下流本体バイスジョー75,77は、搬送幅方向に対向している。また、第1(一方)の下流本体イスジョー75は、下流本体バイスベッド73の左部に設けられた油圧式の下流本体バイス用シリンダ79の駆動により第2(他方)の下流本体バイスジョー77に対して接近離反する搬送幅方向へ移動するようになっている。なお、第2の下流本体バイスジョー77は、下流本体バイスベッド73の右部に設けられた油圧式の下流本体バイス用ミニシリンダ(図示省略)の駆動により搬送幅方向へ僅かに移動するようになっている。
【0035】
基台3は、切断位置CPの下流側に、製品M及び端材Iをオイルパン5の外側(基台3の外側)へ搬出する搬出シュータ(搬出テーブルの一例)81を備えている。また、搬出シュータ81は、下流端(出口端)81dが上流端(入口端)81uよりも低くなるように水平方向に対して傾斜している。搬出シュータ81の上流端81uは、下流搬送テーブル63の搬送高さ(パスライン)よりも低い高さ位置に位置している。更に、搬出シュータ81は、その適宜位置(搬出シュータ81の適宜位置)に、製品Mと端材Iを仕分けるセパレータ83を備えており、このセパレータ83は、油圧式のセパレート用揺動シリンダ(図示省略)の駆動により基端部側(セパレータ83の基端部側)の揺動軸85周りに揺動可能になっている。セパレータ83によって仕分けられた製品Mは、基台3の後側に配置された製品ボックス87に回収され、セパレータ83によって仕分けられた端材Iは、基台3の後側に製品ボックス87に隣接して配置された端材ボックス89に回収されるようになっている。なお、搬出シュータ81が水平方向に対して傾斜した状態で基台3に対して固定される代わりに、上流端81u側の揺動軸(図示省略)周りの揺動によって傾斜可能に構成してもよい。
【0036】
本発明の実施形態に係る帯鋸盤1は、更に、次のような構成を有している。
【0037】
図1及び
図3に示すように、平面視したときに、切断位置CPを走行する帯鋸刃Bの加工側の走行エリア(走行ライン)A1、及び切断位置CPに対して搬送方向に離隔した位置を走行する帯鋸刃Bの反加工側の走行エリア(走行ライン)A2は、オイルパン5の内側にそれぞれ位置している。また、平面視したときに、搬出シュータ81の上流端(入口端)81uが一対の鋸刃ホイール27,29の中心(回転中心)27c,29cを結ぶホイール中心線HLよりも下流側に位置している。これは、搬出シュータ81の上流端81uがホイール中心線HLよりも下流側に位置していれば、帯鋸刃Bに供給される切削油、及び切断加工によって生成される切粉が搬出シュータ81に到達し難くなることが試験的に明らかになったことによるものである。更に、搬出シュータ81の下流端81d側がオイルパン5から外側へ突出している。換言すれば、搬出シュータ81の下流端81dがオイルパン5の下流端5dよりも下流側に位置している。
【0038】
下流本体バイスベッド73が前述のように下流本体バイス用シリンダ等の駆動により搬送方向及びその反対方向へ移動することにより、下流本体バイス71がワークWから取り出した製品Mを搬出シュータ81の上流端81u側まで搬送する製品搬送機構を兼用することになる。なお、下流本体バイス71が製品搬送機構を兼用する代わりに、各下流搬送ローラ65を自由に回転するフリーローラから、搬出モータ等の搬出アクチュエータ(図示省略)の駆動により回転する駆動ローラに変更してもよい。或いは、製品Mを搬送方向へ押出すプッシャ(図示省略)を用いてもよい。
【0039】
続いて、本発明の第1実施形態の作用及び効果について説明する。
【0040】
上流搬送テーブル35にワークWを搬入して、ワークWの一部分を一対の搬送バイスジョー47,49の間に介在させる。次に、搬送バイス用シリンダ51の駆動により第1の搬送バイスジョー47を右方向へ移動させることにより、一対の搬送バイスジョー47,49の協働によりワークWを挟持することができる。そして、搬送バイス用電動モータ(図示省略)等の駆動により搬送バイスベッド45(搬送バイス43)を搬送方向へ移動させる。これにより、ワークWを搬送方向へ搬送して、ワークWの被切断部Waを切断位置CPに位置決めすることができる。このとき、ワークWの一部分は、一対の上流本体バイスジョー57,59の間に介在し、ワークWにおける製品に相当する部分Wmは、一対の下流本体バイスジョー73,75の間に介在している。
【0041】
ワークWの被切断部Waを切断位置CPに位置決めした後に、上流本体バイス用シリンダ61の駆動により第1の上流本体バイスジョー57を右方向へ移動させることにより、一対の上流本体バイスジョー57,59の協働によりワークWを挟持する。また、下流本体バイス用シリンダ79の駆動により第1の下流本体バイスジョー75を右方向へ移動させることにより、一対の上流本体バイスジョー75,77の協働によりワークWにおける製品に相当する部分Wmを挟持する。これにより、ワークWを基台3に対して強固に固定することができる。
【0042】
ワークWを基台3に対して固定した後に、ホイール用電動モータの駆動により一対の鋸刃ホイール27,29を回転させて、帯鋸刃Bを走行(循環走行)させる。そして、鋸刃ハウジング用電動モータ等の駆動により鋸刃ハウジング21を下方向へ移動(下降)させる。これにより、ワークWの被切断部Waに対して切断加工を行って、ワークWから製品Mを取り出すことができる。なお、ワークWの切断加工中に、切削油供給部材によって帯鋸刃Bに対して適宜に切削油が供給されると共に、切粉が生成される。また、ワークWの先端側の被切断部Waに対して所謂先端切り等を行う場合には、ワークWから端材Iを取り出すことになる。
【0043】
ワークWから製品Mを取り出した後に、下流本体バイス用シリンダ(図示省略)等の駆動により下流本体バイスベッド73(下流本体バイス71)を搬送方向へ移動させる。これにより、製品Mを搬送方向へ搬送して、搬出シュータ81の上流端81u側まで搬送することができる。すると、製品Mをその自重(製品Mの自重)によって搬出シュータ81を経由してオイルパン5の外側(基台3の外側)へ搬出することができる。
【0044】
ここで、平面視したときに、帯鋸刃Bの加工側の走行エリアA1及び帯鋸刃Bの反加工側の走行エリアA2がオイルパン5の内側にそれぞれ位置している。そのため、帯鋸刃Bに付着した切削油及び切粉がオイルパン5の外側(基台3の外側)へ直接排出されることを抑えることができる。
【0045】
平面視したときに、搬出シュータ81の上流端81uがホイール中心線HLよりも下流側に位置している。そのため、帯鋸刃Bに供給される切削油、及び切断加工によって生成される切粉が搬出シュータ81に到達し難くなって、搬出シュータ81を経由してオイルパン5の外側へ排出されることを抑えることができる。
【0046】
従って、本発明の第1実施形態によれば、前述のように、下流本体バイス71によって製品Mを搬出シュータ81の上流端81u側まで搬送している。これにより、搬出シュータ81の上流端81uを切断位置CPに位置させ又は切断位置CPに近づけることなく、製品Mをオイルパン5の外側へ確実に搬出することができる。
【0047】
また、本発明の第1実施形態によれば、前述のように、帯鋸刃Bに付着した切削油及び切粉がオイルパン5の外側へ直接排出されること、及び切削油及び切粉が搬出シュータ81を経由してオイルパン5の外側へ排出されることをそれぞれ抑えることができる。これにより、切削油及び切粉が工場の床面に飛散することを十分に抑制して、作業環境の向上を図ることができる。
【0048】
つまり、本発明の第1実施形態によれば、製品Mをオイルパン5の外側へ確実に搬出しつつ、切削油及び切粉が工場の床面に飛散することを十分に抑制して、作業環境の向上を図ることができる。
【0049】
(本発明の第2実施形態)
図5及び
図6に示すように、本発明の第2実施形態に係る帯鋸盤91は、所謂倒伏タイプの帯鋸盤であり、本発明の第1実施形態に係る帯鋸盤1(
図1から
図4参照)と同様の構成を有している。以下、帯鋸盤91の構成のうち、帯鋸盤1と異なる構成についてのみ説明する。なお、帯鋸盤91における複数の構成要素のうち、帯鋸盤1における構成要素と対応するものについては、図面中に同一符号を付してある。
【0050】
帯鋸盤91は、搬出テーブルとして搬出シュータ81の他に、基台3の後側に設けられた搬出ローラコンベア93を具備している。また、搬出ローラコンベア93は、搬送方向へ間隔を置いて並んだ複数の駆動ローラ(搬出ローラ)95を有しており、複数の駆動ローラ95は、搬出モータ(搬出アクチュエータの一例)97の駆動により搬送幅方向に平行な軸心(駆動ローラ95の軸心)周りに回転可能になっている。
【0051】
搬出ローラコンベア93の上流側の部分93aは、搬出シュータ81の上側(上方)に位置している。搬出ローラコンベア93の上流側の部分93aは、油圧式のコンベア用揺動シリンダ(図示省略)の駆動により揺動軸99周りに上下方向へ揺動(移動の一例)可能に構成されている。換言すれば、搬出ローラコンベア93の上流側の部分93aは、コンベア用揺動シリンダの駆動により水平状態(水平方向に対して平行な水平状態)と、水平方向に対して傾斜した傾斜状態に切り替え可能に構成されている。また、搬出ローラコンベア93は、その下流端側(後端側)に、製品Mを搬出ローラコンベア93から外側へ搬出するための補助シュータ101を備えている。補助シュータ101から排出された製品Mは、搬出ローラコンベア93の後側に配置された製品ボックス103に回収されるようになっている。
【0052】
続いて、本発明の第2実施形態の作用のうち、本発明の第1実施形態の作用と異なる点についてのみ説明する。
【0053】
製品Mの長さが長い場合等には、コンベア用揺動シリンダの駆動により搬出ローラコンベア93の上流側の部分93aを水平状態に切り替えておく。そして、本発明の第1実施形態の作用と同様に、ワークWから製品Mを取り出した後に、下流本体バイス用シリンダ等の駆動により下流本体バイスベッド73(下流本体バイス71)を搬送方向へ移動させる。これにより、製品Mを搬送方向へ搬送して、搬出ローラコンベア93の上流側の部分93aまで搬送することができる。すると、搬出ローラコンベア93(搬出モータ97)の駆動により製品Mをオイルパン5の外側(基台3の外側)へ搬出することができる。
【0054】
製品Mの長さが短い場合等には、コンベア用揺動シリンダの駆動により搬出ローラコンベア93の上流側の部分93aを傾斜状態に切り替えておく。そして、本発明の第1実施形態の作用と同様に、ワークWから製品Mを取り出した後に、下流本体バイス用シリンダ等の駆動により下流本体バイスベッド73を搬送方向へ移動させる。これにより、製品Mを搬送方向へ搬送して、搬出ローラコンベア93の上流側の部分93aまで搬送することができる。すると、製品Mをその自重(製品Mの自重)によって搬出シュータ81を経由してオイルパン5の外側へ搬出することができる。
【0055】
そして、本発明の第2実施形態においても、本発明の第1実施形態と同様の効果を奏するものである。
【0056】
なお、本発明は、前述の実施形態の説明に限られるものではなく、次のように種々の態様で実施可能である。例えば、本発明の第1実施形態において、搬出シュータ81の上流端81uが帯鋸刃Bの反加工側の走行エリアA2の下流側に位置してもよい。この場合には、下流本体バイス71が製品Mを帯鋸刃Bの反加工側の走行エリアA2を超えて搬出シュータ81の上流端81u側まで搬送することになる。また、本発明の第2実施形態において、搬出シュータ81を省略して搬出ローラコンベア93のみを搬出テーブルとして用いる等、種々の態様で実施可能である。そして、本発明に包含される権利範囲は、前述の実施形態に限定されないものである。