(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1のジオポリマー熱保護層が、アルミノケイ酸塩反応剤、アルカリ活性化剤、及び分散媒を有するジオポリマー前駆体組成物を硬化することにより形成される、請求項5の構造体。
前記アルミノケイ酸塩反応剤の重量パーセント、前記アルカリ活性化剤の重量パーセント、及び前記分散媒の重量パーセントの合計が組成物重量の100重量パーセントになるようにして、前記アルミノケイ酸塩反応剤が組成物重量の20重量パーセント〜80重量パーセント、前記アルカリ活性化剤が組成物重量の20重量パーセント〜80重量パーセント、及び前記分散媒が組成物重量の20重量パーセント〜80重量パーセントである、請求項6の構造体。
前記アルミノケイ酸塩反応剤が、石炭フライアッシュ、焼成クレー、冶金スラグ、及びそれらの組み合わせからなる群より選択され、前記アルカリ活性化剤がケイ酸ナトリウムを含む、請求項6または7の構造体。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本明細書では、発泡材料と、ジオポリマー熱保護層と、表面材とを有する耐火性複合構造体が説明される。本開示の実施形態は、ジオポリマー熱保護を有していないパネルなどの他のパネルの手法と比較して、改良された耐火性を提供することができる。加えて、本開示の実施形態は、本明細書に開示される耐火性複合構造体のジオポリマー熱保護層を形成するために用いられるジオポリマー前駆体とは異なる組成物から形成されるジオポリマー層を有するパネルなどの他のパネルの手法と比較して、改良された耐火性を提供することができる。例えば、上記ジオポリマー熱保護層は、1.0:0.1〜1.0:3.3の範囲のアルミニウムに対するケイ素のモル比を有するジオポリマー前駆体組成物から形成することができる。驚くべきことに、1.0:0.1〜1.0:3.3のアルミニウムに対するケイ素のモル比を有するジオポリマー前駆体組成物から形成されるジオポリマー、例えばジオポリマー熱保護層は、他のアルミニウムに対するケイ素のモル比を有する組成物から生成される他のジオポリマーに比較して、改良された強度及び/又は耐火性を有することができる。
【0009】
本明細書に開示される耐火性複合構造体は様々な用途に対して有用であり得る。例えば、本耐火性複合構造体は構造用断熱パネルとして用いてもよい。構造用断熱パネルは建築材料として用いることができる。構造用断熱パネルは発泡材料、例えば第1の表面材と第2の表面材との間に挟持される剛直な発泡体、例えば構造用ボードの二つの層、を備えることができる。構造用ボードは有機及び/又は無機とすることができる。例えば、構造用ボードは、他の種類のボードの中でも金属、合金、石膏、合板、及びそれらの組み合わせとすることができる。
【0010】
構造用断熱パネルは、壁材、屋根材、及び/又は床材などの種々の異なる用途に用い得る。構造用断熱パネルは、例えば、商業用建造物、住宅用建造物、及び/又は貨物運送コンテナに利用し得る。構造用断熱パネルは、構造用断熱パネルを用いない他の建造物及び/又はコンテナに比較して、当該パネルを利用する建造物及び/又はコンテナのエネルギー効率を増加させることを支援し得る。
【0011】
構造用断熱パネルは望ましい安定特性及び耐久特性を有する。例えば、構造用断熱パネルは、当該パネルを用いる建造物又はコンテナの使用可能な寿命を通して耐用することができる。その後、パネルは再使用又は再生利用することができる。
【0012】
以下の本開示の詳細な説明において、その一部を形成する添付の図面が参照され、該図面においては、1又は2以上の本開示の実施形態が如何にして実施され得るかが、例として示される。これらの実施形態は、当業者が本開示の実施形態を実施することができるように十分に詳細に記載されており、また、他の実施形態が利用し得ること、及び、本開示の範囲から逸脱することなく、プロセスの、電気的な及び/又は構造的な変更がなし得ることが理解されるべきである。
【0013】
本明細書における図は、初めの1桁又は複数桁の数字が図面の図番号に対応し、残りの数字が図面における要素又は構成部分に結び付き得る番号付け変換法に従う。異なる図の間での同様の要素又は構成部分は、同様の数字を用いることによって結び付けられ得る。例えば、104は
図1A中の要素「04」を指し、また、
図2において類似の要素は204と付し得る。関連する数字を含む要素は、また、特定の図を参照することなくそう付し得る。例えば要素「02」は、明細書中において特定の図を参照することなくそう付し得る。
【0014】
図1Aは本開示の多くの実施形態に係る耐火性複合構造体102の一部を図解する。様々な用途に対して、本明細書に開示される耐火性複合構造体は、他の呼び名がある中でも、サンドウィッチパネル、構造用断熱パネル、又は自立性断熱パネルと呼ばれ得る。耐火性複合構造体102は、多様な用途に利用され得る複合建設材料である。耐火性複合構造体102は発泡材料104、第1の表面材106、第2の表面材108、及びジオポリマー熱保護層110を備えることができる。
【0015】
図1Bは
図1Aの切断線1A−1Aに沿って描かれた
図1Aの断面図である。
図1Bに図解されるように、ジオポリマー112を含むジオポリマー熱保護層110は発泡材料104に接着することができる。
【0016】
発泡材料104は、例えば硬化状態への不可逆な反応により形成された高分子発泡体である、熱硬化発泡体であってもよい。発泡材料104は、他の熱硬化性発泡体がある中でも、ポリイソシアヌレート発泡体、ポリウレタン発泡体、フェノール樹脂発泡体、及びそれらの組み合わせであってもよい。一つの例として、発泡材料104は剛直なポリウレタン/ポリイソシアヌレート(PU/PIR)発泡体であってもよい。ポリイソシアヌレート発泡体は、例えばポリエステルグリコールであるポリオールと、例えばメチレンジフェニルジイソシアネート及び/又はポリ(メチレンジフェニルジイソシアネート)であるイソシアネートとを、イソシアネート基の当量数がイソシアネートの反応する基の当量数よりも多く、化学量論上の過剰分がイソシアヌレート結合に転化される、例えば比が1.8よりも大きくてもよい状態で反応させることによって形成することができる。ポリウレタン発泡体は、例えばポリエステルポリオール又はポリエーテルポリオールであるポリオールと例えばメチレンジフェニルジイソシアネート及び/又はポリ(メチレンジフェニルジイソシアネート)であるイソシアネートとを、イソシアネート基の当量数のイソシアネートの反応する基の当量数に対する比が1.8未満の状態で反応させることによって形成することができる。フェノール樹脂発泡体は、例えば石炭酸であるフェノールと、例えばホルムアルデヒドであるアルデヒドとを反応させることにより形成することができる。発泡材料104の形成は、また、発泡剤、界面活性剤、及び/又は触媒の使用を含んでもよい。
【0017】
発泡材料104は5ミリメートル〜300ミリメートルの厚さ105を有することができる。5ミリメートル〜300ミリメートルの全ての個々の数値及び部分範囲は本明細書中に含まれ且つ本明細書中に開示され、例えば、上記発泡材料は、下限である5ミリメートル、7.5ミリメートル、又は10ミリメートルから、上限である300ミリメートル、250ミリメートル、又は200ミリメートルまでの厚さを有することができる。例えば、上記発泡材料は、5ミリメートル〜300ミリメートル、7.5ミリメートル〜250ミリメートル、又は10ミリメートル〜200ミリメートルの厚さを有することができる。
【0018】
図1Bに図解されるように、発泡材料104は、耐火性複合構造体102の第1の表面材106と第2の表面材108との間に位置する。第1の表面材106及び第2の表面材108は複合建築材料に好適な材料であってよい。例えば、本開示の多くの実施形態によれば、第1の表面材106及び第2の表面材108は、それぞれ独立に、他の材料がある中でも、アルミニウム、鋼、ステンレス鋼、銅、ガラス繊維強化プラスチック、石膏、又はそれらの組み合わせから形成することができる。第1の表面材106及び第2の表面材108は、それぞれ独立に、0.05ミリメートル〜25.00ミリメートルの厚さを有することができる。0.05ミリメートル〜25.00ミリメートルの全ての個々の数値及び部分範囲は本明細書中に含まれ且つ本明細書中に開示され、例えば、第1の表面材106及び第2の表面材108は、それぞれ独立に、下限である0.05ミリメートル、0.10ミリメートル、又は0.20ミリメートルから、上限である25.00ミリメートル、20.00ミリメートル、又は15.00ミリメートルまでの厚さを有することができる。例えば、第1の表面材106及び第2の表面材108は、それぞれ独立に、0.05ミリメートル〜25.00ミリメートル、0.10ミリメートル〜20.00ミリメートル、又は0.20ミリメートル〜15.00ミリメートルの厚さを有することができる。
【0019】
本開示の多くの実施形態によれば、ジオポリマー熱保護層110は、ジオポリマー前駆体、例えばジオポリマー前駆体組成物中に含まれるジオポリマー前駆体を硬化することにより形成することができる。ジオポリマー前駆体は他のジオポリマー前駆体と反応して、ジオポリマー112を生成することができる。
【0020】
ジオポリマー前駆体組成物はアルミノケイ酸塩反応剤を含むことができる。アルミノケイ酸塩反応剤はジオポリマー前駆体である。アルミノケイ酸塩反応剤はアルミノケイ酸塩である。アルミノケイ酸塩はアルミニウム原子、ケイ素原子、及び酸素原子を含む化合物である。アルミノケイ酸塩反応剤はフライアッシュ、焼成クレー、冶金スラグ、及びそれらの組み合わせからなる群より選択することができる。
【0021】
フライアッシュは石炭の燃焼から生成する副生物である。例えば、発電プラントの多種燃料炉(utility furnaces)は微粉化石炭を燃焼することができ、フライアッシュを生成する。フライアッシュの構造、組成、及びその他の特性は、石炭の組成及びフライアッシュが生成する燃焼プロセスに依存し得る。米国試験材料協会(ASTM) C618規格は、クラスCフライアッシュ及びクラスFフライアッシュなどの異なる分類のフライアッシュを認定している。クラスCフライアッシュは亜炭又は亜瀝青炭の燃焼から生成することができる。クラスFフライアッシュは無煙炭又は瀝青炭の燃焼から生成することができる。1又は2以上の実施形態に関し、フライアッシュはクラスFフライアッシュ、クラスCフライアッシュ、及びそれらの組み合わせからなる群より選択することができる。
【0022】
本明細書で用いられる「クレー」とは、水和フィロケイ酸アルミニウムをいう。クレーは変化し得る量の鉄、マグネシウム、アルカリ金属、及び/又はアルカリ土類金属を含むことができる。クレーの例としては、これらに限定されないが、アンチゴライト、温石綿、リザルダイト、ハロイサイト、カオリナイト、イライト、モンモリロナイト、バーミキュライト、タルク、パリゴルスカイト、葉蝋石、黒雲母、白雲母、金雲母、リシア雲母、マーガライト、海緑石、及びそれらの組み合わせが挙げられる。クレーは焼成を受け、焼成クレーを生成することができる。焼成としては、クレーを500℃〜1000℃の温度に1時間〜24時間の間晒すことを挙げることができる。
【0023】
冶金スラグは、溶鉱炉を用いるいくつかのプロセスを始めとする多くのプロセスで生成することができる。例えば、冶金スラグは鉄鉱石から銑鉄を生成するプロセスにおいて生成することができる。一部の冶金スラグは27重量パーセント〜38重量パーセントのSiO
2及び7重量パーセント〜12重量パーセントのAl
2O
3を含むことができる。冶金スラグは、また、例えばCaO、MgO、Fe
2O
3、及びMnOも含むことができる。
【0024】
ジオポリマー前駆体はアルカリ活性化剤を含むことができる。アルカリ活性化剤はジオポリマー前駆体である。アルカリ活性化は、苛性環境におけるケイ酸アルミニウム及び/又はアルカリ及び/若しくはアルカリ土類元素を含む化合物間の反応を伴う。1又は2以上の実施形態に関して、アルカリ活性化剤はケイ酸ナトリウムを含む。本明細書で用いるケイ酸ナトリウムとは、酸化ナトリウム(Na
2O)及びシリカ(SiO
2)を含む化合物をいう。ケイ酸ナトリウムは1.0〜10.0のSiO
2/Na
2O重量比を有することができ、但し該重量比はSiO
2の重量をNa
2Oの重量で除した商として表される。1.0を含む1.0〜10.0の全ての個々の数値及び部分範囲は本明細書中に含まれ且つ本明細書中に開示され、例えば、ケイ酸ナトリウムは、1.0、1.25、又は1.5の下限を有し、10.0、8.0又は6.0の上限までの範囲のSiO
2/Na
2O重量比を有することができ、但し該重量比はSiO
2の重量をNa
2Oの重量で除した商として表される。例えば、ケイ酸ナトリウムは、1.0〜10.0、1.25〜8.0、又は1.5〜6.0の範囲のSiO
2/Na
2O重量比を有することができ、但し該重量比はSiO
2の重量をNa
2Oの重量で除した商として表される。ケイ酸ナトリウムの例としては、これらに限定されないが、オルトケイ酸塩(Na
4SiO
4)、メタケイ酸塩(Na
2SiO
3)、二ケイ酸塩(Na
2Si
2O
5)、四ケイ酸塩(Na
2Si
4O
9)、及びそれらの組み合わせが挙げられる。ケイ酸ナトリウムは固体、溶液、又はそれらの組み合わせとして利用し得る。ケイ酸ナトリウム溶液は水を含むことができる。ケイ酸ナトリウム溶液の水は、ケイ酸ナトリウム溶液の酸化ナトリウムの重量パーセント、シリカの重量パーセント、及び水の重量パーセントの合計がケイ酸ナトリウム溶液の100重量パーセントとなるようにして、ケイ酸ナトリウム溶液の40重量パーセント〜75重量パーセントである値を有する量で用い得る。40重量パーセントを含む40重量パーセント〜75重量パーセントの全ての個々の数値及び部分範囲は本明細書中に含まれ且つ本明細書中に開示され、例えば、ケイ酸ナトリウム溶液の水は、ケイ酸ナトリウム溶液の酸化ナトリウムの重量パーセント、シリカの重量パーセント、及び水の重量パーセントの合計がケイ酸ナトリウム溶液の100重量パーセントとなるようにして、40重量パーセント、43重量パーセント、又は45重量パーセントの下限を有し、75重量パーセント、70重量パーセント、又は65重量パーセントの上限までの範囲とすることができる。例えば、ケイ酸ナトリウム溶液の水は、ケイ酸ナトリウム溶液の酸化ナトリウムの重量パーセント、シリカの重量パーセント、及び水の重量パーセントの合計がケイ酸ナトリウム溶液の100重量パーセントとなるようにして、40重量パーセント〜75重量パーセント、43重量パーセント〜70重量パーセント、又は45重量パーセント〜70重量パーセントの範囲とすることができる。上記アルカリ活性化剤はアルカリ水酸化物を含むことができる。アルカリ水酸化物の例としては、これらに限定されないが、水酸化ナトリウム及び水酸化カリウムが挙げられる。アルカリ活性化剤は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、及びそれらの組み合わせからなる群より選択することができる。アルカリ水酸化物を含む実施形態に関して、アルカリ水酸化物は、ケイ酸ナトリウム溶液の酸化ナトリウムの重量パーセント、シリカの重量パーセント、水の重量パーセント、及びアルカリ水酸化物の重量パーセントの合計がケイ酸ナトリウム溶液の100重量パーセントとなるようにして、ケイ酸ナトリウム溶液の50重量パーセントまでの値を有する量で用い得る。0重量パーセントより大きく、50重量パーセントを含む全ての個々の数値及び部分範囲は本明細書中に含まれ且つ本明細書中に開示され、例えば、アルカリ水酸化物は、ケイ酸ナトリウム溶液の酸化ナトリウムの重量パーセント、シリカの重量パーセント、水の重量パーセント、及びアルカリ水酸化物の合計がケイ酸ナトリウム溶液の100重量パーセントとなるようにして、0重量パーセントより大きい下限を有し、50重量パーセント、45重量パーセント、又は40重量パーセントの上限までの範囲で用いることができる。例えば、アルカリ水酸化物は、ケイ酸ナトリウム溶液の酸化ナトリウムの重量パーセント、シリカの重量パーセント、水の重量パーセント、及びアルカリ水酸化物の重量パーセントの合計がケイ酸ナトリウム溶液の100重量パーセントとなるようにして、0重量パーセントより大きく50重量パーセントまで、0重量パーセントより大きく45重量パーセントまで、又は0重量パーセントより大きく40重量パーセントまでの範囲の値を有する量で用い得る。
【0025】
ジオポリマー前駆体組成物は分散媒を含むことができる。分散媒は水を含むことができる。分散媒は1種又は2種以上のジオポリマー前駆体の溶解及び/又は加水分解のために用いることができる。
【0026】
ジオポリマー前駆体組成物は、異なる用途に対して異なる量の成分を含むことができる。アルミノケイ酸塩反応剤は、アルミノケイ酸塩反応剤の重量パーセント、アルカリ活性化剤の重量パーセント、及び分散媒の重量パーセントの合計が組成物重量の100重量パーセントになるようにして、組成物重量の20重量パーセント〜80重量パーセントとすることができる。20重量パーセントを含む20重量パーセント〜80重量パーセントの全ての個々の数値及び部分範囲は本明細書中に含まれ且つ本明細書中に開示され、例えば、アルミノケイ酸塩反応剤は、20重量パーセント、25重量パーセント、又は30重量パーセントの下限を有し、80重量パーセント、75重量パーセント、又は70重量パーセントの上限までの範囲とすることができる。アルカリ活性化剤は、アルミノケイ酸塩反応剤の重量パーセント、アルカリ活性化剤の重量パーセント、及び分散媒の重量パーセントの合計が組成物重量の100重量パーセントになるようにして、組成物重量の20重量パーセント〜80重量パーセントとすることができる。20重量パーセントを含む20重量パーセント〜80重量パーセントの全ての個々の数値及び部分範囲は本明細書中に含まれ且つ本明細書中に開示され、例えば、アルカリ活性化剤は、20重量パーセント、25重量パーセント、又は30重量パーセントの下限を有し、80重量パーセント、75重量パーセント、又は70重量パーセントの上限までの範囲とすることができる。分散媒は、アルミノケイ酸塩反応剤の重量パーセント、アルカリ活性化剤の重量パーセント、及び分散媒の重量パーセントの合計が組成物重量の100重量パーセントになるようにして、組成物重量の20重量パーセント〜80重量パーセントとすることができる。20重量パーセントを含む20重量パーセント〜80重量パーセントの全ての個々の数値及び部分範囲は本明細書中に含まれ且つ本明細書中に開示され、例えば、分散媒は、20重量パーセント、25重量パーセント、又は30重量パーセントの下限を有し、80重量パーセント、75重量パーセント、又は70重量パーセントの上限までの範囲とすることができる。
【0027】
本開示の多くの実施形態によれば、ジオポリマー前駆体組成物は、1.0:0.1〜1.0:3.3のアルミニウムに対するケイ素のモル比を有することができる。換言すれば、ジオポリマー熱保護層は、1.0:0.1〜1.0:3.3のアルミニウムに対するケイ素のモル比を有するジオポリマー前駆体組成物を硬化することにより形成される。1.0:0.1を含む1.0:0.1〜1.0:3.3の、アルミニウムに対するケイ素のモル比の全ての個々の数値及び部分範囲は本明細書中に含まれ且つ本明細書中に開示され、例えば、ジオポリマー前駆体組成物は、1.0:0.1、1.0:0.5、又は1.0:1.0の下限を有し、1.0:3.3、1.0:3.1、又は1.0:2.9の上限までの範囲のアルミニウムに対するケイ素のモル比を有することができる。例えば、ジオポリマー熱保護層は、1.0:0.1〜1.0:3.3、1.0:0.5〜1.0:3.1、又は1.0:1.0〜1.0:2.9の範囲のアルミニウムに対するケイ素のモル比を有するジオポリマー前駆体組成物を硬化することにより形成することができる。議論したように、1.0:0.1〜1.0:3.3のアルミニウムに対するケイ素のモル比を有するジオポリマー前駆体組成物から生成されるジオポリマー、例えばジオポリマー熱保護層は、他のアルミニウムに対するケイ素のモル比を有する組成物から生成される他のジオポリマーと比較して、改良された強度及び/又は耐火性を有することができる。理論に拘束されるものではないが、アルミニウムに対してより多くのケイ素を有するいくつかの組成物が2次元構造を形成するのに対して、1.0:0.1〜1.0:3.3のアルミニウムに対するケイ素のモル比を有するジオポリマー前駆体組成物から生成されるジオポリマーは、3次元構造を形成すると考えられる。
【0028】
ジオポリマー前駆体組成物は骨材を含むことができる。本明細書において用いる骨材とは、不活性材料、例えば、ジオポリマー前駆体組成物のジオポリマー前駆体と実質的に反応性をもたない材料をいう。骨材はジオポリマー化反応の間、変化せずにそのまま残る。骨材の例としては、これらに限定されないが、砂、砂利、砕石、又はそれらの組み合わせが挙げられる。骨材は、例えば分離した個別の粒子である微粒子とすることができる。骨材は様々な用途に対して異なる大きさ及び/又は異なる形状であってよい。骨材は、例えば、0.0625ミリメートル〜2.0ミリメートルのISO 14688で規定される平均直径をもつ粒子径分布を有することができる。0.0625ミリメートルを含む0.0625ミリメートル〜2.0ミリメートルの全ての個々の数値及び部分範囲は本明細書中に含まれ且つ本明細書中に開示され、例えば、骨材は、0.0625ミリメートル、0.07ミリメートル、又は0.08ミリメートルの下限を有し、2.0ミリメートル、1.90ミリメートル、又は1.80ミリメートルの上限までの範囲の平均直径をもつ粒子径分布を有することができる。例えば、骨材は、0.0625ミリメートル〜2.0ミリメートル、0.07ミリメートル〜1.90ミリメートル、又は0.08ミリメートル〜1.80ミリメートルの範囲の平均直径をもつ粒子径分布を有することができる。本開示の多くの実施形態によれば、骨材は実質的に球状とすることができる。但し、実施形態はそのようには限定されない。本開示の多くの実施形態によれば、骨材は実質的に非球状とすることができる。実質的に非球状の骨材の例としては、これらに限定されないが、立方体形状、多角形形状、細長い形状、不規則な形状及びそれらの組み合わせが挙げられる。骨材を含む実施形態に関し、ジオポリマー熱保護層の全重量がアルミノケイ酸塩反応剤、アルカリ活性化剤、分散媒、及び骨材の重量の合計であるとして、骨材はジオポリマー熱保護層の全重量の70重量パーセントまでの値を有する量で用いることができる。0重量パーセント超を含み、0重量パーセントより大きく70重量パーセントまでの全ての個々の数値及び部分範囲は本明細書中に含まれ且つ本明細書中に開示され、例えば、骨材は、0重量パーセントより大きい、10重量パーセント、又は15重量パーセントの下限を有し、70重量パーセント、65重量パーセント、又は60重量パーセントの上限までの範囲で用いることができる。例えば、ジオポリマー熱保護層の全重量がアルミノケイ酸塩反応剤、アルカリ活性化剤、分散媒、及び骨材の重量の合計であるとして、骨材はジオポリマー熱保護層の全重量の0重量パーセントより大きく70重量パーセントまで、10重量パーセント〜65重量パーセント、又は15重量パーセント〜60重量パーセントの範囲で用い得る。骨材は、例えば骨材を含まない他のジオポリマーに比較して、ジオポリマー中のき裂の生成を低減することを支援し得る。いくつかの用途に対して、ジオポリマー中のき裂が望ましくないことがあり得る。一例として、き裂は、ジオポリマー前駆体の硬化の間及び/又は硬化が完了した後にジオポリマー中に形成し得る。
【0029】
本開示の多くの実施形態によれば、ジオポリマー前駆体組成物は、他の追加成分がある中でも、中空のケイ酸塩材料などの追加成分を含むことができる。中空のケイ酸塩材料の例としては、これらに限定されないが、ガラス球、エアロゲル、セノスフェア、ゼオライト、メソポーラスケイ酸塩構造体、及びそれらの組み合わせが挙げられる。エアロゲルとしてはゾル−ゲルプロセスによって製造される低密度ケイ酸塩構造体が挙げられる。セノスフェアは、例えばフライアッシュを産生するプロセスの間に生成することができる。中空のガラス球は、例えばアルミナなどの添加剤を含んでもよい。ゼオライトとしては、例えば天然及び合成のアルミナ/ケイ酸塩が挙げられ、金属カチオンを含んでもよい。メソポーラスケイ酸塩構造体としては、ケイ酸塩が生成した後に除去することができる有機テンプレートの周囲にケイ酸塩を生成させることによって得られる構造体が挙げられる。異なる用途に対して、追加成分は様々な量で用い得る。
【0030】
本明細書中で議論されたように、ジオポリマー前駆体組成物は硬化されてジオポリマー112、例えばジオポリマー熱保護層110、を生成することができる。ジオポリマー112、例えばジオポリマー熱保護層110、は式Iにより表すことができる。
(式I)
(M)
y[−(SiO
2)
z−AlO
2]
x・wH
2O
【0031】
上記式中、各Mは独立に元素の周期表の第1族のカチオンであり、xは2以上の整数であってポリシアル酸基繰り返し単位の数を表し、yは、xに対するyの比がゼロよりも大きい(y/x>0)、好ましくはゼロより大きく2以下(0<y/x≦2)となるように選択される有理数又は無理数であり、zは1〜35の有理数又は無理数であり、wは、xに対するwの比(w/x)がポリシアル酸基繰り返し単位当たりの水のモル比を表す有理数又は無理数である。zはポリシアル酸基におけるアルミニウム原子のモル数に対するケイ素原子のモル数(Si/Al)に等しいモル比を表す。ジオポリマー中におけるSiO
2官能基の分布はランダムであると特徴付けられ得る。従って、zは有理数又は無理数となり得る。別段の断りがない限りにおいて、語句「元素の周期表」は、国際純正・応用化学連合(IUPAC)により出版された、2007年6月22日付版の公式な周期表をいう。
【0032】
ジオポリマー112、例えばジオポリマー熱保護層110、はジオポリマー前駆体組成物を20℃〜150℃の温度で硬化することによって生成される。20℃を含む20℃〜150℃の全ての個々の数値及び部分範囲は本明細書中に含まれ且つ本明細書中に開示され、例えば、ジオポリマーは、20℃、25℃、又は30℃の下限を有し、150℃、140℃、又は130℃の上限までの範囲の温度において、ジオポリマー前駆体組成物を硬化することによって生成することができる。例えば、ジオポリマー112は、20℃〜150℃、25℃〜140℃、又は30℃〜130℃の範囲の温度において、ジオポリマー前駆体組成物を硬化することによって生成することができる。様々な用途に対して、ジオポリマー112は、ジオポリマー前駆体組成物を異なる時間間隔の間で硬化することによって生成することができる。ジオポリマー112は、ジオポリマー前駆体組成物を、例えば1分未満から28日間の時間間隔の間で硬化することによって生成することができる。1分未満を含む1分未満〜28日間の全ての個々の数値及び部分範囲は本明細書中に含まれ且つ本明細書中に開示され、例えば、ジオポリマーは、1分未満、1分間、又は5分間の下限を有し、28日間、24日間、又は20日間の上限までの範囲の時間間隔の間において、ジオポリマー前駆体組成物を硬化することによって生成することができる。例えば、ジオポリマー112は、1分未満〜28日間、1分間〜24日間、又は5分間〜20日間の時間間隔の間において、ジオポリマー前駆体組成物を硬化することによって生成することができる。1又は2以上の実施形態に関して、ジオポリマー前駆体組成物は基材、例えば本明細書で議論された発泡材料104及び/又は表面材106、108など、に塗工し、その基材上で硬化することができる。ジオポリマー前駆体組成物は浸漬、吹付け、ローリング、コテ塗工、又は別な操作などの種々の操作により基材に塗工することができる。
【0033】
図1Bに図解されるように、ジオポリマー112を含むジオポリマー熱保護層110は、発泡材料104に対して、例えば接続界面114を介して接着することができる。1又は2以上の実施形態に関して、接続界面114は接着性材料を含むことができる。接着性材料としては、熱硬化性接着剤などの架橋接着剤を挙げることができる。例えば、接着性材料としては、他の架橋接着剤がある中でも、ポリイソシアヌレート、例えばウレタン糊であるウレタン、エポキシ系、又はスルホン化ポリスチレンを挙げることができる。本開示の多くの実施形態によれば、接着性材料はジオポリマー熱保護層110を発泡材料104に結合することができる。接着性材料を含む実施形態に関し、接着性材料は様々な量、例えばジオポリマー熱保護層110を発泡材料104に接着するために十分な量で用い得る。但し、実施形態はそのように限定はされない。1又は2以上の実施形態に関して、例えば接続界面114である接着性材料を用いずに発泡材料104に接着されたジオポリマー熱保護層110は、接着性材料を含まない。
【0034】
ジオポリマー熱保護層110は0.5ミリメートル〜100ミリメートルの厚さ111を有することができる。0.5ミリメートル〜100ミリメートルの全ての個々の数値及び部分範囲は本明細書中に含まれ且つ本明細書中に開示され、例えば、ジオポリマー熱保護層110は、100ミリメートル、80ミリメートル、又は60ミリメートルの上限から、0.5ミリメートル、1ミリメートル、又は2ミリメートルの下限までの厚さ111を有することができる。例えば、ジオポリマー熱保護層110は、0.5ミリメートル〜100ミリメートル、1ミリメートル〜80ミリメートル、2ミリメートル〜60ミリメートルの厚さ111を有することができる。
【0035】
本明細書で議論されたように、ジオポリマー熱保護層110は、本明細書に開示されるジオポリマー熱保護層110を有していないパネルなどの他のパネルの手法と比較して、耐火性複合構造体102に対して改良された耐火性を提供し得る。例えば、ジオポリマー熱保護層110は、ジオポリマー−アエロゲル複合層110を有していないパネルと比較して、同様の加熱に晒された際に、発泡材料104がより少ない熱エネルギーを受けるように支援することができる。一例として、耐火性は、材料、例えば耐火性複合構造体102、を炉からの加熱に晒し、その後、当該材料の炉と反対側上及び/又は当該材料の厚さ方向の一定の距離における温度上昇を経時的に計測することによって測定することができる。同様の炉による加熱条件下での別な材料の相当する温度と比較して、当該材料の部位上及び/又は部位内においてより低い温度が得られることは、耐火性が改良されたと見なすことができる。いくつかの用途に関し、ジオポリマー熱保護層の厚さを変えること及び/又は追加のジオポリマー熱保護層を組み込むことで、改良された耐火性を提供することを支援することができる。
【0036】
図1Bに図解されるように、ジオポリマー熱保護層110は、例えば第2の接続界面116を介して、第1の表面材106に接着することができる。1又は2以上の実施形態に関して、接続界面116は本明細書で議論された接着性材料を含むことができる。但し、実施形態はそのように限定はされない。1又は2以上の実施形態に関して、例えば接続界面116である接着性材料を用いずに第1の表面材106に接着されたジオポリマー熱保護層110は、接着性材料を含まない。
【0037】
再度
図1Bを参照して、本開示の多くの実施形態によれば、第1の表面材106は、他の熱源がある中でも、例えば火である熱源120に面するように構成することができる。
図1Bに図解される例において、熱は熱源120から第1の表面材106に、その後ジオポリマー熱保護層110に、その後発泡材料104に伝わり得る。ジオポリマー熱保護層110を熱源120に対して相対的に発泡材料104の前に配置することによって、望ましいジオポリマー熱保護層110の効力を提供して発泡材料104を保護すること、及び/又は本明細書で議論された改良された耐火性を有する耐火性複合構造体102を提供することを支援し得る。
【0038】
図2は本開示の多くの実施形態に係る耐火性複合構造体202の断面図である。
図2に示されるように、耐火性複合構造体202は第1のジオポリマー熱保護層210−1及び第2のジオポリマー熱保護層210−2を備えてもよい。第2のジオポリマー熱保護層210−2は、本明細書中で議論されたような、第1のジオポリマー熱保護層210−1の特性と類似の特性を有することができる。第2のジオポリマー熱保護層210−2は、例えば、本明細書中で議論されたジオポリマー前駆体組成物の硬化によって形成することができる。
【0039】
1又は2以上の実施形態に関して、第2のジオポリマー熱保護層210−2は発泡材料204と第2の表面材208との間に位置することができる。第2のジオポリマー熱保護層210−2を発泡材料204と第2の表面材208との間に配置することで、第2の表面材208から発泡材料204に伝わり得る熱から発泡材料204を保護することを支援し得る。加えて、第2のジオポリマー熱保護層210−2を発泡材料204と第2の表面材208との間に配置することで、例えば、第2の表面材208が熱源に晒された場合に、発泡材料204と第2の表面材208との間に第2のジオポリマー熱保護層210−2を有することのないパネルと比較して、第1の表面材206の表面上の温度をより低くすることを支援し得る。
【0040】
図3は本開示の多くの実施形態に係る耐火性複合構造体302の断面図である。
図3に示されるように、耐火性複合構造体302は、発泡材料304−1と第1の表面材306との間に複数のジオポリマー熱保護層310−1、310−3を備えることができる。
図3に図解される例は発泡材料304−1と第1の表面材306との間に二つのジオポリマー熱保護層310−1、310−3を備えるが、実施形態はそのように限定はされない。例えば、耐火性複合構造体302は、発泡材料304−1と第1の表面材306との間に3、4、5、6、7、8、9、10、又は更に多くのジオポリマー熱保護層を備えることができる。
【0041】
図3に示されるように、耐火性複合構造体302は、発泡材料304−1と第2の表面材308との間に複数のジオポリマー熱保護層310−2、310−4を備えることができる。
図3に図解される例は発泡材料304−1と第2の表面材308との間に二つのジオポリマー熱保護層310−2、310−4を備えるが、実施形態はそのように限定はされない。例えば、耐火性複合構造体302は、発泡材料304−1と第2の表面材308との間に3、4、5、6、7、8、9、10、又は更に多くのジオポリマー熱保護層を備えることができる。
【0042】
図3に示されるように、耐火性複合構造体302は複数の発泡材料304−1、304−2、304−3を備えることができる。1又は2以上の実施形態に関して、発泡材料304−1、304−2、304−3のそれぞれは、二つのジオポリマー熱保護層を、例えばそれらの間に位置して、分離する。
図3に図解される例は三つの発泡材料304−1、304−2、304−3を備えるが、実施形態はそのように限定はされない。例えば、耐火性複合構造体302は4、5、6、7、8、9、10、又は更に多くの発泡材料を備えることができる。
【0043】
本明細書に開示される耐火性複合構造体02は様々なプロセスによって形成し得る。例えば、耐火性複合構造体02は、二台のコンベアの配置を用いる連続積層プロセスなどの連続プロセスによって形成されてもよく、該連続積層プロセスでは、ジオポリマー熱保護層10の成分が、例えば注ぎ込まれ又は噴霧されて、柔軟であっても剛直であってもよい第1の表面材06の表面上に堆積することができ、その後、発泡材料04を形成するための反応混合物が、例えば注ぎ込まれ又は噴霧されて、硬化しているジオポリマー熱保護層の成分上に堆積することができ、その後第2の表面材08の表面が発泡材料04を形成するための反応混合物に接触することができる。様々な用途に対して、他の形成プロセスが用いられてもよい。例えば、第2のジオポリマー熱保護層10の成分は、例えば注ぎ込まれ又は噴霧されて、第2の表面材08の内側の表面上、又はその代わりに、上記硬化しているジオポリマー熱保護層成分を、第2の表面材の内側の表面と硬化発泡体を形成する組成物の間に担持することとなる基材上に直接堆積させることができる。その結果、上記基材は、発泡体−ジオポリマー界面に組み込まれたまま残ることとなる。更に、本明細書に開示される耐火性複合構造体02は、ジオポリマー熱保護層の成分を、例えば注ぎ込む又は噴霧して、第1の表面材06上及び/又は第2の表面材08上に堆積させることを含む不連続なプロセスによって形成されてもよい。その後、第1の表面材及び第2の表面材は、それらのジオポリマー熱保護層と共にプレス中に載置されてもよく、発泡材料04を形成するための反応混合物が、例えば注ぎ込まれる又は噴霧されて、第1及び第2の表面材06、08の間に堆積することができる。
【0044】
上記説明は例証の形態でなされたものであり、限定的なものではない。本開示の様々な実施形態の範囲は、当業者にとって上記説明を検証することにより明らかとなる他の用途及び/又は他の構成要素を含む。
【実施例】
【0045】
実施例において、例えば以下を始めとする材料に対する種々の用語及び定義が用いられた。
【0046】
ケイ酸ナトリウム溶液(アルカリ活性化剤、ケイ酸ナトリウム溶液 グレード52、Occidental Chemical Corporationより入手可能)、クラスFフライアッシュ(アルミノケイ酸塩反応剤、BORAL(登録商標)より入手可能)、分散媒(水、脱イオン、実験室で作製)、表面材(厚さ0.3mmのステンレス鋼304板)、追加成分(セノスフェア、CTB150、Ceno Technologies Inc.より入手可能)。
【0047】
ジオポリマー前駆体組成物
ジオポリマー前駆体組成物を以下のようにして調製した。水(12.5グラム)及びケイ酸ナトリウム溶液(37.5グラム)を容器に添加し混合した。クラスFフライアッシュ(162.5グラム)及びケイ砂(50.0グラム)を上記容器の内容物に添加し、毎分700〜900回転で高せん断混合機(L1U08型混合機、LIGHTNIN(登録商標)より入手可能)により混合した。このジオポリマー前駆体組成物は、1.00:2.68のアルミニウムに対するケイ素の比を有していた。
【0048】
実施例1
耐火性複合構造体 実施例1を以下のようにして作製した。上記の調製したジオポリマー前駆体組成物をダイに注型し、次に、注型されたジオポリマー前駆体組成物に発泡材料を圧入した。注型されたジオポリマー前駆体組成物を60℃で24時間硬化し、厚さ10ミリメートルの、発泡材料に結合したジオポリマー熱保護層を形成した。上記発泡材料は、The Dow Chemical Companyより入手可能な、VORATHERM(商標)CN604ポリイソシアヌレートシステムを用いて作製された厚さ160ミリメートルのポリイソシアヌレート発泡体であった。厚さ0.3mmのステンレス鋼304板を、非発泡のポリウレタン(FoamFast 74、3M(商標)より入手可能)を用いてジオポリマー熱保護層に貼り付けた。目視において注型ジオポリマーにき裂は観察されなかった。
【0049】
多数のジオポリマー熱保護層
上記のジオポリマー前駆体組成物をダイに注型し、60℃で24時間硬化した。硬化したジオポリマーを切断して、多数の厚さ2ミリメートルのジオポリマー熱保護層、多数の厚さ3ミリメートルのジオポリマー熱保護層、及び多数の厚さ5ミリメートルのジオポリマー熱保護層を形成した。
【0050】
多数の発泡材料
The Dow Chemical Companyより入手可能な、VORATHERM(商標)CN604ポリイソシアヌレートシステムを用いて作製されたポリイソシアヌレート発泡体である発泡材料を、多数の厚さ8ミリメートルの発泡材料、多数の厚さ21ミリメートルの発泡材料、多数の厚さ59ミリメートルの発泡材料、多数の厚さ65ミリメートルの発泡材料、及び多数の厚さ85ミリメートルの発泡材料に切断した。
【0051】
実施例2
耐火性複合構造体 実施例2を以下のようにして作製した。順に、厚さ5ミリメートルのジオポリマー熱保護層、厚さ21ミリメートルの発泡材料、厚さ3ミリメートルのジオポリマー熱保護層、厚さ21ミリメートルの発泡材料、厚さ3ミリメートルのジオポリマー熱保護層、厚さ21ミリメートルの発泡材料、厚さ3ミリメートルのジオポリマー熱保護層、厚さ21ミリメートルの発泡材料、厚さ3ミリメートルのジオポリマー熱保護層、及び厚さ59ミリメートルの発泡材料を耐熱テープで共に固定した。厚さ0.3mmのステンレス鋼304板を、非発泡のポリウレタン(FoamFast 74、3M(商標)より入手可能)を用いて厚さ5ミリメートルのジオポリマー熱保護層に貼り付けた。
【0052】
実施例3
耐火性複合構造体 実施例3を以下のようにして作製した。順に、厚さ5ミリメートルのジオポリマー熱保護層、厚さ8ミリメートルの発泡材料、厚さ2ミリメートルのジオポリマー熱保護層、厚さ8ミリメートルの発泡材料、厚さ2ミリメートルのジオポリマー熱保護層、厚さ8ミリメートルの発泡材料、厚さ2ミリメートルのジオポリマー熱保護層、厚さ8ミリメートルの発泡材料、厚さ2ミリメートルのジオポリマー熱保護層、厚さ8ミリメートルの発泡材料、厚さ2ミリメートルのジオポリマー熱保護層、厚さ8ミリメートルの発泡材料、厚さ2ミリメートルのジオポリマー熱保護層、厚さ8ミリメートルの発泡材料、厚さ2ミリメートルのジオポリマー熱保護層、厚さ8ミリメートルの発泡材料、厚さ2ミリメートルのジオポリマー熱保護層、厚さ8ミリメートルの発泡材料、厚さ2ミリメートルのジオポリマー熱保護層、及び厚さ65ミリメートルの発泡材料を耐熱テープで共に固定した。厚さ0.3mmのステンレス鋼304板を、非発泡のポリウレタン(FoamFast 74、3M(商標)より入手可能)を用いて厚さ5ミリメートルのジオポリマー熱保護層に貼り付けた。
【0053】
比較例A
比較例Aを以下のようにして作製した。発泡材料を形成した。発泡材料はThe Dow Chemical Companyより入手可能な、VORATHERM(商標)CN604ポリイソシアヌレートシステムを用いて作製された厚さ160ミリメートルのポリイソシアヌレート発泡材料であった。厚さ0.3ミリメートルのステンレス鋼304板を、非発泡のポリウレタン(FoamFast 74、3M(商標)より入手可能)を用いて発泡材料に貼り付けた。
【0054】
実施例1〜3及び比較例Aの耐火性を以下のようにして試験した。THERMO SCIENTIFIC(登録商標)Themolyne 48000型炉の扉に76.2ミリメートル×76.2ミリメートルの孔を形成した。炉を1000℃に加熱し、ISO−834−1における加熱曲線と同等である、EN 1361−1試験規格に用いられる温度対時間曲線に準拠する温度対時間曲線を追跡した。実施例1〜3及び比較例Aの各鋼板を、それぞれ炉の扉の孔に固定した。実施例1の発泡材料中の、熱源に晒されるステンレス鋼板から測定して10ミリメートル、80ミリメートル、及び120ミリメートルの位置に熱電対を配置し、温度を記録して耐火性を測定した。実施例2の発泡材料中の、熱源に晒されるステンレス鋼板から測定して80ミリメートル及び120ミリメートルの位置に熱電対を配置し、温度を記録して耐火性を測定した。実施例3の発泡材料中の、熱源に晒されるステンレス鋼板から測定して80ミリメートル、100ミリメートル、及び120ミリメートルの位置に熱電対を配置し、温度を記録して耐火性を測定した。実験目的であるために、実施例1〜3は第2の表面材を備えていなかった。表1は、1時間後に測定された、実施例1〜3に関する各熱電対の位置での温度に対応するデータを示す。比較例Aの発泡材料中の、熱源に晒されるステンレス鋼板から測定して10ミリメートル、80ミリメートル、及び120ミリメートルの位置に熱電対を配置し、温度を記録して耐火性を測定した。比較例Aは第2の表面材を備えていなかった。表2は、1時間後に測定された、比較例Aに関する各熱電対の位置での温度に対応するデータを示す。
【表1】
【表2】
【0055】
表1〜2のデータは、実施例1〜3の各熱電対の位置における温度が、同一の試験時間に対して、比較例Aの相当する各熱電対の温度よりもより低いことを示している。実施例1〜3の温度が比較例Aの温度に比較してより低いことは、各実施例1〜3は比較例Aに比較して改良された耐熱性を有することを示している。
【0056】
実施例4
耐火性複合構造体 実施例4を以下のようにして作製した。
【0057】
ジオポリマー前駆体組成物を以下のようにして調製した。水(12.5グラム)及びケイ酸ナトリウム溶液(37.5グラム)を容器に添加し混合した。クラスFフライアッシュ(162.5グラム)及びケイ砂(50.0グラム)を上記容器の内容物に添加し、毎分700〜900回転で高せん断混合機(L1U08型混合機、LIGHTNIN(登録商標)より入手可能)により混合した。このジオポリマー前駆体組成物は、1.00:2.68のアルミニウムに対するケイ素の比を有していた。2バッチの各ジオポリマー前駆体組成物のそれぞれをダイ中に注型し、60℃で24時間硬化した。硬化したジオポリマーは立方センチメートル当たり2.03グラムの密度を有していた。硬化したジオポリマーをそれぞれ二つの厚さ7.5ミリメートルのジオポリマー熱保護層に成形した。順に、厚さ7.5ミリメートルのジオポリマー熱保護層、厚さ85ミリメートルの発泡材料、及び厚さ7.5ミリメートルのジオポリマー熱保護層を耐熱テープで共に固定した。厚さ0.3ミリメートルのステンレス鋼304板を、非発泡のポリウレタン(FoamFast 74、3M(商標)より入手可能)を用いて7.5ミリメートルのジオポリマー熱保護層に貼り付けた。
【0058】
実施例5
耐火性複合構造体 実施例5を以下のようにして作製した。
【0059】
ジオポリマー前駆体組成物を以下のようにして調製した。水(7.0グラム)及びケイ酸ナトリウム溶液(14.3グラム)を容器に添加し混合した。クラスFフライアッシュ(31.0グラム)及びセノスフェア(8.6グラム)を上記容器の内容物に添加し、毎分700〜900回転で高せん断混合機(L1U08型混合機、LIGHTNIN(登録商標)より入手可能)により混合した。このジオポリマー前駆体組成物は、1.00:2.65のアルミニウムに対するケイ素の比を有していた。2バッチの各ジオポリマー前駆体組成物のそれぞれをダイ中に注型し、60℃で24時間硬化した。硬化したジオポリマーをそれぞれ二つの厚さ7.5ミリメートルのジオポリマー熱保護層に成形した。順に、厚さ7.5ミリメートルのジオポリマー熱保護層、厚さ85ミリメートルの発泡材料、及び厚さ7.5ミリメートルのジオポリマー熱保護層を耐熱テープで共に固定した。厚さ0.3ミリメートルのステンレス鋼304板を、非発泡のポリウレタン(FoamFast 74、3M(商標)より入手可能)を用いて7.5ミリメートルのジオポリマー熱保護層に貼り付けた。
【0060】
実施例6
耐火性複合構造体 実施例6を以下のようにして作製した。
【0061】
ジオポリマー前駆体組成物を以下のようにして調製した。水(8.0グラム)及びケイ酸ナトリウム溶液(20.0グラム)を容器に添加し混合した。クラスFフライアッシュ(21.5グラム)及びセノスフェア(13.9グラム)を上記容器の内容物に添加し、毎分700〜900回転で高せん断混合機(L1U08型混合機、LIGHTNIN(登録商標)より入手可能)により混合した。このジオポリマー前駆体組成物は、1.00:2.74のアルミニウムに対するケイ素の比を有していた。2バッチの各ジオポリマー前駆体組成物のそれぞれをダイ中に注型し、60℃で24時間硬化した。硬化したジオポリマーは立方センチメートル当たり0.92グラムの密度を有していた。硬化したジオポリマーをそれぞれ二つの厚さ7.5ミリメートルのジオポリマー熱保護層に成形した。順に、厚さ7.5ミリメートルのジオポリマー熱保護層、厚さ85ミリメートルの発泡材料、及び厚さ7.5ミリメートルのジオポリマー熱保護層を耐熱テープで共に固定した。厚さ0.3ミリメートルのステンレス鋼304板を、非発泡のポリウレタン(FoamFast 74、3M(商標)より入手可能)を用いて7.5ミリメートルのジオポリマー熱保護層に貼り付けた。
【0062】
実施例4〜6の耐火性を、実施例1〜3及び比較例Aに対して行ったように、以下のようにして試験した。実施例4〜6のそれぞれに対して、発泡材料中の、熱源に晒されるステンレス鋼板から測定して100ミリメートルの位置に熱電対を配置し、温度を記録して耐火性を測定した。実験目的であるために、実施例4〜6は第2の表面材を備えていなかった。表3は、1時間後、2時間後、及び2.5時間後に測定された、実施例4〜6に関する各熱電対の位置での温度に対応するデータを示す。
【表3】
【0063】
実施例4は二つのジオポリマー熱保護層を備えていた。本明細書で議論し及び示したように、ジオポリマー熱保護層は、例えば比較例Aであるジオポリマー熱保護層を有さないパネルなどの他のパネルの手法と比較して、耐熱性の向上をもたらすことができる。表3のデータは、実施例5〜6の100ミリメートルの熱電対の位置における温度が、同一の試験時間に対して、実施例4の100ミリメートルの熱電対の位置における温度に対してより低い及び/又は同等であったことを示している。実施例5〜6の温度が、実施例4に比較してより低い及び/又は同等であったことは、例えば比較例Aであるジオポリマー熱保護層を有さないパネルなどの他のパネルの手法と比較して、実施例4〜6のそれぞれが改良された耐火性を有することを示している。