特許第6243405号(P6243405)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6243405調整可能な用量を有する流体ディスペンサー
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6243405
(24)【登録日】2017年11月17日
(45)【発行日】2017年12月6日
(54)【発明の名称】調整可能な用量を有する流体ディスペンサー
(51)【国際特許分類】
   A47K 5/12 20060101AFI20171127BHJP
   B65D 83/00 20060101ALI20171127BHJP
【FI】
   A47K5/12 A
   B65D83/00 K
【請求項の数】12
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2015-510376(P2015-510376)
(86)(22)【出願日】2013年4月30日
(65)【公表番号】特表2015-518409(P2015-518409A)
(43)【公表日】2015年7月2日
(86)【国際出願番号】US2013038823
(87)【国際公開番号】WO2013165991
(87)【国際公開日】20131107
【審査請求日】2016年4月4日
(31)【優先権主張番号】61/642,928
(32)【優先日】2012年5月4日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】13/869,205
(32)【優先日】2013年4月24日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】510250467
【氏名又は名称】エコラボ ユーエスエー インコーポレイティド
(73)【特許権者】
【識別番号】514277857
【氏名又は名称】ジョン ティー.ペルキー
(73)【特許権者】
【識別番号】514277868
【氏名又は名称】ブライアン ピー.カールソン
(73)【特許権者】
【識別番号】514277879
【氏名又は名称】トロイ エー.アンダーソン
(73)【特許権者】
【識別番号】514277891
【氏名又は名称】ブライアン ケー.スタヘル
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100102819
【弁理士】
【氏名又は名称】島田 哲郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100153084
【弁理士】
【氏名又は名称】大橋 康史
(74)【代理人】
【識別番号】100160705
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 健太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100157211
【弁理士】
【氏名又は名称】前島 一夫
(72)【発明者】
【氏名】ジョン ティー.ペルキー
(72)【発明者】
【氏名】ブライアン ピー.カールソン
(72)【発明者】
【氏名】トロイ エー.アンダーソン
(72)【発明者】
【氏名】ブライアン ケー.スタヘル
【審査官】 藤脇 昌也
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2012/0080452(US,A1)
【文献】 登録実用新案第3019811(JP,U)
【文献】 米国特許第05443236(US,A)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0006848(US,A1)
【文献】 特開2008−308221(JP,A)
【文献】 特開平11−104030(JP,A)
【文献】 米国特許第05033657(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47K 5/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングと、
分注すべき流体供給物を有するハウジング内部のコンテナと、
ユーザーが起動させた場合に一定量の流体がコンテナから分注される結果となる分注用アクチュエータと、
高用量表面、低用量表面、内側縁部および外側縁部を含む調整可能な用量機構本体であって、相対的に高用量表面よりも低用量表面に近いところに位置づけされた1つ以上の用量調整用フランジをさらに含む用量機構本体と、
を含むディスペンサーにおいて、
ハウジングが、ハウジングの内部に位置づけされ調整可能な用量機構本体を高用量配向または低用量配向のいずれかで収容するようにサイズ決定された調整可能な用量機構収容部域をさらに含み、
調整可能な用量機構本体が調整可能な用量機構収容部域内に高用量配向で収容された場合に、相対的に多量の流体製品が後続する分注のためにポンプ内に吸引され、一方、調整可能な用量機構本体が調整可能な用量機構収容部域内に低用量配向で収容された場合に、相対的に少量の流体製品が後続する分注のためにポンプ内に吸引されるようになっている、
ことを特徴とするディスペンサー。
【請求項2】
調整可能な用量機構本体が馬蹄形状の本体を含む請求項1に記載のディスペンサー。
【請求項3】
馬蹄形状の本体が、つま先部分と、側方に間隔を有する一対のヒール部分とをさらに含む、請求項2に記載のディスペンサー。
【請求項4】
調整可能な用量機構本体が用量インジケータリブをさらに含む、請求項1に記載のディスペンサー。
【請求項5】
ハウジングが高用量インジケータと低用量インジケータをさらに含み、用量インジケータリブは、調整可能な用量機構本体が調整可能な用量機構収容部域内に高用量配向で収容された場合に高用量インジケータと整列し、かつ用量インジケータリブは、調整可能な用量機構本体が調整可能な用量機構収容部域内に低用量配向で収容された場合に低用量インジケータと整列する、請求項4に記載のディスペンサー。
【請求項6】
調整可能な用量機構本体が閉鎖された形状を有する、請求項1に記載のディスペンサー。
【請求項7】
調整可能な用量機構本体が、側面が開放した形状を有する、請求項1に記載のディスペンサー。
【請求項8】
調整可能な用量機構収容部域が、調整可能な用量機構本体を収容するようにサイズ決定されたスロットをさらに含む、請求項1に記載のディスペンサー。
【請求項9】
ハウジングがさらにポンプ係合表面を含み、
調整可能な用量機構本体が調整可能な用量機構収容部域内に高用量配向で収容された場合、用量調整用フランジがポンプ係合表面に相対的に近いところに位置づけされ、一方、調整可能な用量機構本体が調整可能な用量機構収容部域内に低用量配向で収容された場合に、用量調整用フランジがポンプ係合表面から相対的に遠いところに位置づけされるようになっている、請求項1に記載のディスペンサー。
【請求項10】
1つ以上の用量調整用フランジが、本体部材の内側縁部から内向きに延在する一対の用量調整用フランジを含む、請求項1に記載のディスペンサー。
【請求項11】
分注アクチュエータがユーザーにより手動で起動させられる、請求項1に記載のディスペンサー。
【請求項12】
分注アクチュエータが、ユーザーの存在を感知することによって自動的に起動させられる、請求項1に記載のディスペンサー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、流体ディスペンサーに関する。
【背景技術】
【0002】
手洗いは、接客業(ホテル、レストランなど)およびヘルスケア(病院、介護施設など)を含めた多くの産業において重要である。さらに、さまざまな流体の分注(dispens)を行う多くの利用分野が他にも存在する。手洗いを容易にするため、例えば、事業所の従業員または利用者、ヘルスケア施設の従業員、患者または訪問者あるいは他の人物が手を洗う目的で厨房またはトイレのシンクの近くに、手洗浄製品を分注する流体ディスペンサーを設置する場合がある。このような流体ディスペンサーは、所望される流体製品の供給物の入ったカートリッジまたは可撓性バッグなどの使い捨てまたは詰め替え可能な製品コンテナを収納する。流体には、例えばフォーム、液体および/またはジェルが含まれ得る。ディスペンサーは、一般に壁掛け式であり、流体製品の供給物を詰め替えまたは交換しうるようにディスペンサーハウジングの開閉を可能にするヒンジ式カバーを含む。一部の流体ディスペンサーは、ディスペンサー上の取っ手、バーまたはボタンを押すかまたは引くことにより、手動で起動させられる。他の流体ディスペンサーは、ディスペンサーの近くのユーザーまたはユーザーの手の存在を感知することよって自動的に分注する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
一般に、本開示は、調整可能な用量を有する流体ディスペンサーに関する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
一実施例において、本開示は、ハウジングと、分注すべき流体供給物を有するハウジングの内部のコンテナと、ユーザーが起動させた場合に一定量の流体がコンテナから分注される結果となる分注用アクチュエータと、高用量表面、低用量表面、内側縁部および外側縁部を含む調整可能な用量機構本体であって、相対的に高用量表面よりも低用量表面に近いところに位置づけされた1つ以上の用量調整用フランジをさらに含む本体と、を含むディスペンサーにおいて、ハウジングが、ハウジングの内部に位置づけされ調整可能な用量機構本体を高用量配向または低用量配向のいずれかで収容するようにサイズ決定された調整可能な用量機構収容部域をさらに含み、こうして、調整可能な用量機構本体が調整可能な用量機構収容部域内に高用量配向で収容された場合に、相対的に多量の流体製品が後続する分注のためにポンプ内に吸引され、調整可能な用量機構本体が調整可能な用量機構収容部域内に低用量配向で収容された場合に、相対的に少量の流体製品が後続する分注のためにポンプ内に吸引されるようになっている、ディスペンサーに向けられている。
【0005】
1つ以上の実施例の詳細は、添付図面および以下の明細書中に記されている。他の特徴および利点は、明細書および図面から、およびクレームから明らかになるものである。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】調整可能な用量を有する例示的流体ディスペンサーを示すブロック図である。
図2】例示的な調整可能な用量機構を示す例示的ディスペンサー(カバー開放状態)の斜視図である。
図3】ディスペンサーの内部に設置された図2の調整可能な用量機構を有する例示的ディスペンサー(カバー開放状態)の斜視図である。
図4】高用量側(high dose side)から見た例示的な調整可能な用量機構の斜視図である。
図5】低用量側(low dose side)から見た例示的な調整可能な用量機構の斜視図である。
図6】高用量配向で設置された調整可能な用量機構を有し、カバーが取外された状態の例示的ディスペンサー(ポンプ無し)の正面図である。
図7】低用量配向で設置された調整可能な用量機構を有し、カバーが取外された状態の例示的ディスペンサー(ポンプ無し)の正面図である。
図8】分注アクチュエータが解放された位置にある状態で、高用量配向で設置された調整可能な用量機構を有する、カバーが取外された状態の例示的ディスペンサー(ポンプを含む)の正面図である。
図9】分注アクチュエータが完全に押し下げられた位置にある状態で、高用量配向で設置された調整可能な用量機構を有する、カバーが取外された状態の例示的ディスペンサー(ポンプを含む)の正面図である。
図10】分注アクチュエータが解放された位置にある状態で、低用量配向で設置された調整可能な用量機構を有する、カバーが取外された状態の例示的ディスペンサー(ポンプを含む)の正面図である。
図11】分注アクチュエータが完全に押し下げられた位置にある状態で、低用量配向で設置された調整可能な用量機構を有する、カバーが取外された状態の例示的ディスペンサー(ポンプを含む)の正面図である。
図12】代替的な調整可能な用量機構の斜視図である。
図13】高用量位置に設置された代替的な調整可能な用量機構の斜視図である。
図14】低用量位置に設置された代替的な調整可能な用量機構の斜視図である。
図15】調整可能な用量能力を有する別の例示的ディスペンサーの内部斜視図である。
図16】調整可能な用量機構本体が高用量配向で収容された状態の、図15のディスペンサーの内部正面図である。
図17】調整可能な用量機構本体が低用量配向で収容された状態の、図15のディスペンサーの内部正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
図1は、調整可能な用量を有する例示的流体ディスペンサー100の前方斜視図である。例示的流体ディスペンサー100は、手洗浄液、液体石けん、ローション、ジェル、フォーム、シャンプー、ハンドクリーム、殺菌剤、消毒剤、フォーム、洗剤、漂白剤、清浄剤、洗たく用製品などを含めた(ただしこれに限定されない)あらゆるタイプの流体を分注してよい。
【0008】
例示的ディスペンサー100には、フロントカバー102とバックプレート104を有するハウジング110が含まれている。バックプレート104は、壁または他の物体に対するディスペンサー100の取付けを容易にする。この実施例において、ハウジング110は、カバー102が閉鎖位置と開放位置の間で枢動できるようにする1つまたは複数のヒンジ112を含む。プッシュバー106により、ユーザーはディスペンサー100を手動で起動させて、矢印108により示されている通りに一定量の流体を分注させることができる。他の実施例では、プッシュバー106の代りに異なるタイプの手動式アクチュエータが使用されてよい。代替的には、ディスペンサー100は、その近くのユーザーの手の存在を検出し、検出に応答して自動的にアクチュエータを始動させて、一定量の流体を分注させるセンサーを含んでいてよい。
【0009】
ハンドケアディスペンサーの実施例においては、ソープディスペンサーは一般に、従業員、一般の人または他のユーザーによる手洗いを容易にするため、厨房、病室、休憩室または他の場所に設置される。ディスペンサーが使用されている環境(例えばヘルスケア場所に対して接客業またはレストランの場所)や、分注されている流体のタイプおよび/または組織または企業体の特定の要件に応じて、分注すべき流体製品に所望される量は異なる可能性がある。この目的で、ディスペンサー100には、所望の設定値に用量を調整できるようにする調整可能な用量機構が具備されている。
【0010】
図2は、本明細書の目的でディスペンサーから取外された状態の例示的な調整可能な用量機構120の例を示す例示的ディスペンサー100(カバー102は開放状態)の斜視図である。図3は、ディスペンサーの内部に設置された図2の調整可能な用量機構120を有する例示的ディスペンサー100(カバー102は開放状態)の斜視図である。ディスペンサー100は、プッシュバー106(または他の手動式または自動式分注アクチュエータ)に作動的に連結されたアクチュエータ160を含む。プッシュバー106の起動に応答して、アクチュエータ160は、以下でさらに詳述する通りポンプ(図2には図示せず)を押し下げるように機能して、既定量の流体を流体コンテナ(同様に図2には図示せず)から分注させる。この実施例において、ポンプ収容部域115とスロット116Aおよび116Bを有するポンプ支持フレーム114は、図3に示されている通り調整可能な用量機構120を収容するようにサイズ決定されている。
【0011】
図4は、高用量配向にある例示的調整可能な用量機構120の斜視図である。図5は、低用量配向にある例示的調整可能な用量機構120の斜視図である。この実施例では、調整可能な用量機構120は、高用量表面121、低用量表面123、内側縁部125および外側縁部127を有する概して馬蹄形の本体126を含む。本明細書の目的で、高用量配向とは、図4に示されている通り高用量表面121が上を向いているものとして定義され、低用量配向とは、図5に示されている通りに低用量表面123が上を向いているものとして定義される。しかしながら、これらの定義は、説明を目的としたものにすぎず、開示がこの点において限定されることはないということを理解すべきである。
【0012】
この実施例の本体126はさらに、本体126の内側縁部125から内向きに延在する一対の用量調整用フランジ122Aおよび122Bを含む。フランジ122Aおよび122Bは、相対的に高用量表面121よりも低用量表面123に近いところで内側縁部126上に位置づけされる。したがって、高用量配向において、フランジ122Aおよび122Bは本質的に、調整可能な用量機構120の下向きに面した側の方に位置づけされる。低用量配向では、フランジ122Aおよび122Bは本質的に、調整可能な用量機構120の上向きに面した側の方に位置づけされている。この実施例では、一対の用量調整用フランジが示されているが、本開示はこの点において限定されるように意図されていないことを理解すべきである。例えば、本体126は1つ以上の用量調整用フランジを含んでいてよい。別の実施例として、2つの別個のフランジではなくむしろ単一の用量調整用フランジまたはリムが、本体126の内側縁部の周囲に延在していてよい。さらに、1つ以上の用量調整用フランジは、内側縁部125から内向きに延在するのではなくむしろ外側縁部127から外向きに延在してよい。したがって、図中に示されている具体的実施例に加えて、調整可能な用量機構本体126の多くの異なる実施例が本開示の範囲内に入るものとみなされる。
【0013】
この実施例において、調整可能な分注機構本体126にはさらに、つま先部分126と一対の側方に間隔を有するヒール部分128A、128Bが含まれる。複数のヒール部分の1つ、すなわちこの実施例ではヒール部分128Aの近くに、用量インジケータリブ124が位置づけされてよい。
【0014】
他の実施例において、分注機構本体126は馬蹄形である必要はない。例えば、分注機構本体126は、円形、楕円形、矩形、正方形あるいは事実上任意の他の閉鎖された規則的または不規則な形状であってよい。さらに他の実施例では、図4および5に示された概して馬蹄形の形状に加えて、分注機構本体126は側面が開放した事実上任意の他の規則的または不規則な形状をとってよい。
【0015】
図6は、高用量配向で設置された調整可能な用量機構120を有し、カバーが取外された状態の例示的ディスペンサーの正面図である。図7は、低用量配向で設置された調整可能な用量機構120を有し、カバーが取外された状態の例示的ディスペンサーの正面図である。本明細書の目的では、ディスペンサーは、図6および7においてポンプ無しで示されている。フレーム114は、下部係合表面162を含み、この表面に対し、ディスペンサーが起動された時点でポンプ(図6および7には図示せず)の下部表面が係合する。図6の高用量配向では、フランジ122Aおよび122Bは、図7の低用量配向にある場合の位置に比べてディスペンサーとの関係において低いところに位置づけされる。その結果、下部係合表面162とフランジ122Aおよび122Bの底面の間には空隙132がもたらされる。図7の低用量配向において、フランジ122Aおよび122Bは、図6の高用量配向にある場合の位置に比べてディスペンサーとの関係において高いところに位置づけされる。その結果、下部係合表面162とフランジ122Aおよび122Bの底面の間には空隙134がもたらされる。フランジ122Aおよび122Bの底面と下部係合表面162の間の距離のこの差、すなわち空隙134のサイズに比べた空隙132のサイズの差は、調整可能な用量機構120が図7の低用量配向にある場合に比べた高用量配向で分注される流体量の変化を説明している。
【0016】
図8および9は、高用量配向で設置された調整可能な用量機構120を有しカバーが取外された状態にある例示的ディスペンサーの正面図である。ポンプ150も、図8および9の両方においてディスペンサーの内部に設置された状態で示されている。ポンプ150は、上部表面152と底部表面154を有する係合リング156を含む。ポンプ150は同様に、ノズル158も含んでおり、これを通して、矢印109により示されている通り、流体製品が分注される。
【0017】
一部の実施例において、ポンプ150は、最適な性能を得るためポンプが起動される毎に完全に押し下げられるように設計されたポンプを用いて実施されてよい。以下でさらに詳細に説明するように、本明細書中に記載の調整可能な用量機構を有するディスペンサーは、高用量モードと低用量モードの両方においてポンプを完全に押し下げることができるようにする。こうして、本明細書中に記載の調整可能な用量機構を有するディスペンサーは、最適な性能を得るため完全に押し下げられるように設計されたポンプ用として有利であるかもしれない。しかしながら、必ずしもポンプが完全に押し下げられる必要のないものを含めた他のタイプのポンプも同様に使用してよいということを理解すべきである。したがって、他の実施例において、ポンプ150は、他の任意のポンプを用いて実施されてよい。したがって、異なるタイプのポンプを使用してよく、開示はこの点において限定されていないことを理解すべきである。
【0018】
図8では、分注アクチュエータ160は、完全に解放された位置にあり、一方図9では、分注アクチュエータ160は、完全に係合した位置にある(例えば分注アクチュエータは完全に押し下げられている)。図8において、ディスペンサークチュエータが(手動式または自動式のいずれかで)解放された場合、アクチュエータ160は下向きに移動し、こうして係合フランジ122Aおよび122Bの底部表面が係合リング156の上部表面152を下向きに押すことになる。図9に示されているようにディスペンサーが(手動式または自動式のいずれかで)起動された場合、アクチュエータ160は上向きに移動し、こうして下部係合表面162が、係合リング156の底部表面154を上向きに押すことになる。こうしてポンプ150が起動させられ、その結果、相対的に高い供与量の流体製品が矢印109により示されている通りに分注されることになる。
【0019】
図10および11は、低用量配向で設置された調整可能な用量機構120を有する、カバーが取外された状態にある例示的ディスペンサーの正面図である。ポンプ150も同様に、図10および図11の両方においてディスペンサーの内部に設置された状態で示されている。図10において、分注アクチュエータ160は完全に解放された位置にあり、一方図11では、分注アクチュエータ160は完全に係合された位置にある(例えば分注アクチュエータは完全に押し下げられている)。
【0020】
図11に示されているようにディスペンサーが(手動式または自動式のいずれかで)起動された場合、アクチュエータ160は上向きに移動し、こうして下部係合表面162が、係合リング156の底部表面154を上向きに押すことになる。こうしてポンプ150が起動させられ、その結果、(図8および9に示されている高用量モードで分注される相対的に高い供与量と比べて)相対的に低い供与量の流体製品が矢印111により示されている通りに分注されることになる。
【0021】
図10において、ディスペンサークチュエータが(手動式または自動式のいずれかで)解放された場合、アクチュエータ160は下向きに移動し、こうして係合フランジ122Aおよび122Bの底部表面が係合リング156の上部表面152を下向きに押すことになる。しかしながら、係合リング154の上部表面は、空隙134により示される移動距離を通過するまで、フランジ122Aおよび122Bと接触しない。一般に、低用量構成における空隙134のサイズは、図8および9に示された高用量構成での空隙132のサイズよりも大きい。低用量構成において空隙サイズ134がさらに大きいことの結果として、低用量構成において次の分注サイクルのためにポンプ150内に吸引される流体製品は少なくなる。このようにして、矢印111によって示されている通り、低用量構成で相対的に低い供与量の流体製品が分注される。さらに、高用量および低用量の両方の構成において各々の分注の間、アクチュエータは、下部表面162により画定される最大限まで押し下げられるかまたは係合される。
【0022】
低用量配向内に提供される空隙134は高用量配向で提供される空隙132よりも大きいことから、ポンプ150内に吸引される流体製品の量は、図10および11の低用量配向の場合よりも図8および9の高用量配向の場合の方が相対的に大きい。ここでもまた、これは、係合リング156の上部表面152が、低用量配向の場合よりも高用量配向の場合にアクチュエータの解放中のより早い時点でフランジ122Aおよび122Bと接触し、こうして低用量配向に比べて相対的に多くの流体製品がポンプ150内に吸引されるという事実に起因している。
【0023】
空隙132および/または134のサイズは、高用量配向および/または低用量配向で分注されるべき所望の量の流体製品を提供するように調整されてよい。例えば、高用量配向は1.5ミリリットル(ml)の液体用量を提供してよく、一方低用量配向はこの液体の1.0ミリリットル(ml)の用量を提供してよい。別の実施例として、高用量配向は1.0ミリリットル(ml)のフォーム用量を提供してよく、一方低用量配向は、このフォームを0.7ミリリットル(ml)の用量で提供してよい。しかしながら、これらの絶対的および相対的供与量が単なる例示を目的としたものであり、本開示がこの点において限定されるものではないことを理解すべきである。
【0024】
図8〜11において、分注機構本体126は、図4および5にさらに詳しく示されている概して馬蹄形のものである。しかしながら、任意の開放型または閉鎖型形状で置換されてよく、本開示はこの点において限定されるものではない。側面が開放した規則的または不規則的な形状を有する分注機構本体により、ポンプを概して水平な方向からディスペンサー内に設置することが可能になるかもしれない。閉鎖された規則的または不規則な形状を有する分注機構本体の実施例においては、ポンプを幾分かさらに垂直な方向で(例えば図8〜11に示された実施例では上から)設置してもよい。こうして、本明細書では、分注機構本体126の具体的実施例が図示され説明されているが、本明細書中に記載の調整可能な用量機能を提供することのできる任意のサイズおよび形状の分注機構を、本開示の精神および範囲から逸脱することなく、提示された具体的実施例の代わりに使用してよいということを理解すべきである。
【0025】
本明細書中に記載の調整可能な用量機構を有するディスペンサーは、いくつかの利点を提供する。例えば、本明細書中に記載の設計は、手動式プッシュバーの移動距離を制限しない。これにより、より小さい用量を提供するためにプッシュバーの移動距離が制限される場合に比べて、ユーザーはより確実な感覚を体験する。別の実施例として、高用量配向および低用量配向の両方において下部係合表面162を維持するということは、ディスペンサーがどの配向で置かれているかとは無関係にポンプ150が完全に押し下げられることを意味している。このことは、起動される毎に完全に押し下げられることが好まれる一部のタイプのポンプにとっては1つの利点であるかもしれない。
【0026】
高用量配向と低用量配向の両方において下部係合表面162を維持することにより、ディスペンサーが高用量配向または低用量配向のいずれにあるかとは無関係にアクチュエータがその最下位置に戻るという結果も同様にもたらされる。これは、それ自体、用量設定値の如何に関わらずポンプとアクチュエータの整列を補助して、ディスペンサー機構の厄介な手動操作を必要とせずにポンプを取り外したりディスペンサー内に再度設置することができるようにするかもしれない。
【0027】
図12は、同じく代替的な調整可能な用量機構220を示す、ディスペンサー220の一部分の内部斜視図である。ディスペンサー200は、調整可能な用量機構220を収容するようにサイズ決定された少なくとも2つのスロット218を有する調整可能な用量フレーム216を含む。この実施例において、フレーム216は2つのスロット、高用量スロット218Aと低用量スロット218Bを含む。ディスペンサー200はさらに、下部ポンプ係合表面262を含む。ポンプ250には、上部表面252と下部表面254を有する係合リング256を含む。
【0028】
図13は、高用量構成でディスペンサー内に設置された図12の調整可能な用量機構220の斜視図である。換言すると、図13においては、機構220が、高用量スロット218A内に設置されている。図14は、低用量構成で設置された調整可能な用量機構220の斜視図である。換言すると、図14においては、機構220が低用量スロット218B内に設置されている。図13の高用量構成にある場合、調整可能な用量機構220の下部表面と下部係合表面262の間に空隙232が提供される。図14の低用量構成にある場合、調整可能な用量機構220の下部表面と下部係合表面262の間に空隙234が提供される。
【0029】
図8〜11に関して以上で記述したものと同様に、図13の高用量構成と図14の低用量構成の両方において、ディスペンサーが(手動式かまたは自動式のいずれかで)起動された場合、アクチュエータ260は概して上向き方向に移動し、こうして、下部係合表面は係合リング256の底部表面254を押すことになる。図13の高用量構成においては、空隙232のサイズは、図14の低用量構成における空隙134のサイズに比べ相対的に小さい。その結果、高用量構成においてポンプ250内に吸引される流体製品の量と比べて、低用量構成では相対的に少ない流体量がポンプ250の中に吸引される。このようにして、低用量スロット218B内に調整可能な用量機構が位置づけされた場合、高用量スロット218Aと比較して相対的に低い用量の流体製品が分注される。しかしながら、各分注時に、アクチュエータ260は、機構220が低用量または高用量構成のいずれに位置づけされているかとは無関係に、下部係合表面262により定義される最大限まで押し下げられるかまたは係合される。
【0030】
図14の低用量配向で提供される空隙234は、図13の高用量配向で提供される空隙232よりも大きいことから、ポンプ250内に吸引される流体製品の量は、低用量配向の場合よりも高用量配向の場合の方が相対的に大きい。ここでもまた、これは、係合リング256の上部表面252が、低用量配向の場合よりも高用量配向の場合にアクチュエータの解放中のより早い時点にフランジ機構220の下部表面と接触し、こうして低用量配向に比べて相対的に多くの流体製品がポンプ250内に吸引されるという事実に起因している。
【0031】
図15は、調整可能な用量能力を有する別の例示的ディスペンサー300の内部斜視図である。この実施例において、調整可能な用量機構320には用量インジケータリブ322が含まれる。用量調整装置収容フレーム314には高用量インジケータ330Aと低用量インジケータ330Bが含まれている。図16に示されている通り、用量インジケータリブ322は、調整可能な用量機構本体320が調整可能な用量機構収容部域内に高用量配向で収容された場合、高用量インジケータ330Aと整列する。同様に、図17に示されている通り、用量インジケータリブ322は、調整可能な用量機構本体320が調整可能な用量機構収容部域内に低用量配向で収容された場合、低用量インジケータ330Bと整列する。このようにして、ユーザーは調整可能な用量機構本体が高用量配向または低用量配向のいずれで設置されているかを視覚的に判定することができる。このとき、調整可能な用量機構本体が所望の配向で当初設置されていない場合、ユーザーはそれを取外して再度設置してよい。
【0032】
本明細書中に示され記載されている実施例は、ディスペンサーの下部係合表面と調整可能な用量機構の底部表面の間の空隙または距離の調整が、分注される製品の相対的量を調整する効果を有することを示している。相対的により小さい空隙または距離とは、後続する分注のためにポンプ内に相対的により多くの製品が吸引されることを意味する。相対的により大きい空隙または距離とは、後続する分注のために相対的により少ない製品がポンプ内に吸引されることを意味する。したがって、この空隙または距離が調整されてディスペンサーに調整可能な用量を提供するあらゆる実施が本開示の範囲内に入るよう意図されたものであり、本明細書中で図示され記述されている具体的実施例が単なる一例にすぎず、本開示がこの点において限定されるものではないことを理解すべきである。
【0033】
さらに、本明細書中で図示され記載されている実施例には高および低用量構成が含まれているが、3つ以上の用量オプションが具備され得る他の実施形態も高く評価されることを理解すべきである。例えば、図2〜11に関して記述された実施例において、フランジが異なる厚みまたは異なる配置を有する追加の調整可能な用量機構が含まれていて、3つ以上の異なるサイズの空隙を結果としてもたらしてもよい。別の実施例として、図12〜14に関連して、ディスペンサーは、各々異なる用量レベルを提供する3つ以上のスロット218を有するフレーム216を含んでいてよい。したがって、調整可能な用量機構を有するディスペンサーに対する多くの変形形態が、本開示の範囲内に含まれるように意図されている。
【0034】
さまざまな実施例が記述されてきた。これらのおよび他の実施例は、以下のクレームの範囲内に入るものである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17