特許第6243423号(P6243423)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ テレフオンアクチーボラゲット エル エム エリクソン(パブル)の特許一覧

特許6243423マルチ標準無線アクセスネットワークのための無線アクセス技術間干渉協調
<>
  • 特許6243423-マルチ標準無線アクセスネットワークのための無線アクセス技術間干渉協調 図000002
  • 特許6243423-マルチ標準無線アクセスネットワークのための無線アクセス技術間干渉協調 図000003
  • 特許6243423-マルチ標準無線アクセスネットワークのための無線アクセス技術間干渉協調 図000004
  • 特許6243423-マルチ標準無線アクセスネットワークのための無線アクセス技術間干渉協調 図000005
  • 特許6243423-マルチ標準無線アクセスネットワークのための無線アクセス技術間干渉協調 図000006
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6243423
(24)【登録日】2017年11月17日
(45)【発行日】2017年12月6日
(54)【発明の名称】マルチ標準無線アクセスネットワークのための無線アクセス技術間干渉協調
(51)【国際特許分類】
   H04W 28/16 20090101AFI20171127BHJP
   H04W 72/12 20090101ALI20171127BHJP
【FI】
   H04W28/16
   H04W72/12
【請求項の数】23
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2015-525965(P2015-525965)
(86)(22)【出願日】2013年7月23日
(65)【公表番号】特表2015-524637(P2015-524637A)
(43)【公表日】2015年8月24日
(86)【国際出願番号】IB2013056038
(87)【国際公開番号】WO2014024071
(87)【国際公開日】20140213
【審査請求日】2016年6月23日
(31)【優先権主張番号】13/569,776
(32)【優先日】2012年8月8日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】598036300
【氏名又は名称】テレフオンアクチーボラゲット エルエム エリクソン(パブル)
(74)【代理人】
【識別番号】100095957
【弁理士】
【氏名又は名称】亀谷 美明
(74)【代理人】
【識別番号】100096389
【弁理士】
【氏名又は名称】金本 哲男
(74)【代理人】
【識別番号】100101557
【弁理士】
【氏名又は名称】萩原 康司
(74)【代理人】
【識別番号】100128587
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 一騎
(72)【発明者】
【氏名】リ、シャオ−ドン
(72)【発明者】
【氏名】リー チェン チェオン、パトリック
(72)【発明者】
【氏名】カオ、カール
【審査官】 相澤 祐介
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2010/084937(WO,A1)
【文献】 特表2012−517734(JP,A)
【文献】 特開2008−160380(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/021388(WO,A1)
【文献】 特開2011−124732(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/063837(WO,A1)
【文献】 特表2012−516616(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/051187(WO,A1)
【文献】 国際公開第2012/006194(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24− 7/26
H04W 4/00−99/00
3GPP TSG RAN WG1−4
SA WG1−2
CT WG1
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の基地局(16)を介する第1の無線アクセス技術(12)及び第2の基地局(18)を介する第2の無線アクセス技術(14)を少なくとも実装する通信システムにおける協調干渉抑圧の方法であって、前記第2の無線アクセス技術(14)は、前記第1の無線アクセス技術(12)とは異なり、前記方法は、
前記第1の基地局(16)に関連付けられる第1のデバイスから、前記第1の無線アクセス技術(12)を介して前記第1の基地局16)において受信される干渉信号に関する信号品質情報を受信すること(S100)と、
UE放射特性のモデリングに基づいて、UEの推定される隣接チャネル漏洩レベルの前記信号品質情報においてレポートされる干渉レベルとの相関を判定することにより、前記第2の基地局(18)に関連付けられる第2のデバイスにおいて、前記第2の無線アクセス技術(14)を介して前記第2の基地局(18)へアクセスする与干渉ユーザ機器(UE)を識別すること(S102)と、
前記第2の基地局(18)を介して、前記与干渉ユーザ機器により引き起こされる干渉を抑圧すること(S104)と、
を含む方法。
【請求項2】
前記信号品質情報は、前記干渉レベルに加えて、セクタ識別、前記干渉信号の周波数、及び前記第1の基地局(16)において前記干渉が検出された時刻、のうちの少なくとも1つを含む、請求項1の方法。
【請求項3】
前記与干渉ユーザ機器を識別することは、前記第1の基地局(16)のカバレッジセクタの、前記第2の基地局(18)のカバレッジセクタとの相関判定を行うこと、をさらに含む、請求項1の方法。
【請求項4】
カバレッジセクタは、レンジ、ロケーション、エレベーション、及び角度セクタ、のうちの少なくとも1つにより特定される、請求項3の方法。
【請求項5】
前記与干渉ユーザ機器を識別することは、前記干渉信号の周波数の、前記第2の基地局(18)によりユーザ機器へ割り当てられた周波数との相関判定を行うこと、をさらに含む、請求項1の方法。
【請求項6】
前記与干渉ユーザ機器を識別することは、
前記第1の基地局(16)により前記干渉が検出された時刻の、前記第2の基地局(18)におけるユーザ機器(UE)(20)からのアップリンク信号の受信時刻との相関判定を行うこと、
前記与干渉UEの信号のラウンドトリップ遅延に基づいて、前記与干渉UEの距離を判定すること、
前記UE(20)のアップリンク制御チャネル上で受信される測位システムの座標に基づいて、前記UE(20)のロケーションを判定すること
干渉を経験している前記基地局への前記与干渉UEの近接度を、そのそれぞれの座標に基づいて判定すること、及び、
前記UE(20)から受信される信号の方向に基づいて、前記与干渉UEの方向を判定すること、
のうちの少なくとも1つをさらに含む、請求項1の方法。
【請求項7】
前記与干渉ユーザ機器(UE)により引き起こされる干渉を抑圧することは、識別される干渉周波数とは別個の周波数を占めるリソースブロックを前記UE(20)へ再割り当てすること、を含む、請求項1の方法。
【請求項8】
前記与干渉ユーザ機器へ割り当てられたリソースブロックが少なくとも1つの他のユーザ機器へ再割り当てされる、請求項7の方法。
【請求項9】
前記少なくとも1つの他のユーザ機器は、前記第1の基地局(16)により受信される他の信号との干渉の推定レベルに基づいて決定され、干渉の前記推定レベルは、UEの送信スペクトル密度、ロケーション、方角、近接度、及びレポートされる信号品質、のうちの少なくとも1つに基づく、請求項8の方法。
【請求項10】
前記与干渉ユーザ機器により引き起こされる干渉を抑圧することは、非周期的なCQI/RIレポート、サービス認識型バッファ推定、及び適応的HARQ再送信、のうちの少なくとも1つを用いて、前記与干渉ユーザ機器のアップリンク制御情報の送信を、物理アップリンク制御チャネル(PUCCH)から物理アップリンク共有チャネル(PUSCH)へと移動させること、を含む、請求項1の方法。
【請求項11】
前記与干渉ユーザ機器(UE)により引き起こされる干渉を抑圧することは、
前記与干渉ユーザ機器の送信電力を低減すること、
前記第1の無線アクセス技術(12)の帯域内の異なる周波数へハンドオーバすることを前記与干渉UEへ指示すること、及び、
前記第2の無線アクセス技術(14)の周波数帯域へのインター技術ハンドオーバを実行することを前記与干渉UEへ指示すること、
のうちの少なくとも1つを含む、請求項1の方法。
【請求項12】
前記与干渉ユーザ機器により引き起こされる干渉を抑圧することは、複数の送信時間インターバル(TTI)にわたって前記与干渉ユーザ機器による送信を分散させること、を含む、請求項1の方法。
【請求項13】
第1の無線アクセス技術(12)に従って動作する少なくとも1つの基地局(16)の第1のセットと通信するように適合される干渉協調デバイスであって、
前記第1の無線アクセス技術(12)とは異なる第2の無線アクセス技術(14)に従って動作する第2の基地局(18)により受信される干渉信号に関する信号品質情報を受信するように構成される受信機(24)と、
UE放射特性のモデリングに基づいて、UEの推定される隣接チャネル漏洩レベルの前記信号品質情報においてレポートされる干渉レベルとの相関を判定することにより、少なくとも1つの基地局(16)の前記第1のセットのうちの少なくとも1つによりカバーされるセクタ内から発する干渉の少なくとも1つの有り得るソースを識別して、干渉レポートを生成する、ように構成されるプロセッサ(26)と、
前記プロセッサ(26)により生成される前記干渉レポートを、少なくとも1つの基地局(16)の前記第1のセットのうちの少なくとも1つへ送信するように構成される送信機(28)と、
を備え、
前記干渉レポートは、前記第1のセットの基地局(16)が与干渉ユーザ機器(20)を識別することを可能とする情報を有する、
干渉協調デバイス。
【請求項14】
受信される前記信号品質情報は、前記干渉レベルに加えて、
前記干渉信号の受信元である前記第2の基地局のセクタの識別、
前記干渉信号の周波数、及び、
前記干渉信号に関連付けられるタイムスタンプ、
のうちの少なくとも1つを含む、請求項13の干渉協調デバイス。
【請求項15】
前記プロセッサ(26)は、前記干渉信号の受信元である前記第2の基地局(18)の前記セクタに対応する、前記第1のセット内の基地局(16)のセクタをさらに判定する、請求項14の干渉協調デバイス。
【請求項16】
前記プロセッサ(26)は、前記第2の無線アクセス技術(14)に従って動作する複数の基地局(18)により受信される干渉信号に関する情報を統合する、請求項13の干渉協調デバイス。
【請求項17】
干渉の有り得るソースは、前記干渉信号の受信元であるセクタに対応するセクタ内の前記干渉信号の周波数に隣接する周波数で通信している前記第1のセットの基地局(16)をさらに識別することにより判定される、請求項13の干渉協調デバイス。
【請求項18】
前記第1のセットの基地局に、干渉協調プロキシ(22)が位置する、請求項13の干渉協調デバイス。
【請求項19】
2つの異なる無線アクセス技術の間の干渉協調を実装するように構成される通信システムであって、
第1の無線アクセス技術(12)に関連付けられる第1の基地局から干渉測定結果を受信するように構成される第1の干渉協調デバイス(22)と、
前記第1の干渉協調デバイス(22)との通信関係にある第2の干渉協調デバイス(30)と、
を含み、
前記第2の干渉協調デバイス(30)は、
前記第1の干渉協調デバイス(22)から、前記干渉測定結果に基づく、干渉レベルを示す信号品質情報を含む干渉制御要求を受信し、
UE放射特性のモデリングに基づいて、UEの推定される隣接チャネル漏洩レベルの前記信号品質情報により示される前記干渉レベルとの相関を判定することにより、第2の無線アクセス技術(14)を介して第2の基地局(18)へアクセスする与干渉ユーザ機器(UE)を識別し、
前記第1の無線アクセス技術(12)とは異なる前記第2の無線アクセス技術(14)に関連付けられる前記第2の基地局(18)へ第1の干渉情報を送信する、
ように構成される、通信システム。
【請求項20】
前記第1の干渉協調デバイス(22)及び前記第2の干渉協調デバイス(30)は、共設される、請求項19の通信システム。
【請求項21】
前記第1の干渉協調デバイス(22)は、前記第2の基地局(18)からの干渉測定結果に基づく干渉制御要求を、前記第2の干渉協調デバイス(30)から受信し、第2の干渉情報を前記第1の基地局(16)へ送信する、請求項19の通信システム。
【請求項22】
前記第1の干渉協調デバイス(22)は、前記第1の基地局(16)に位置する、請求項19の通信システム。
【請求項23】
前記第2の干渉協調デバイス(30)は、前記第2の基地局(18)に位置する、請求項22の通信システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2つ以上の異なる無線アクセス技術の間の干渉協調のための方法及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
事業者が2G/3Gキャリア(例えば、符号分割多重アクセス、CDMA)と同じ周波数帯域内にLTE(long term evolution)キャリアを配備する場合、2G/3G無線アクセス技術の範囲内で動作するユーザ機器からの干渉が、LTE無線アクセス技術基盤による信号の受信に干渉し得る。反対に、LTE無線アクセス技術の範囲内で動作するユーザからの干渉が、2G/3G無線アクセス技術基盤による信号の受信に干渉し得る。干渉は、複数の無線技術が同じ地理的カバレッジエリア内に共存し、互いに隣接して割り当てられたキャリアを有する場合に、特に起こりそうである。
【0003】
図1は、逆拡散後のCDMA信号2及び隣接する帯域内のLTE信号4のプロットである。見ることができるように、LTE信号4の一部分6がCDMA信号2に干渉しており、より小さい程度にCDMA信号2の一部分8がLTE信号4に干渉している。ユーザ機器(UE)は多くの場合低コストな消費者製品であって基地局の送信フィルタほど急峻な送信フィルタを有する余裕がないために、問題はダウンリンクよりもアップリンク上でより苛酷である。干渉の問題を悪化させるのは、与干渉ユーザ機器がそのサービング基地局から遠くにあり、但し干渉を受けている基地局からは近く、最大電力で送信を行っており、一方で、異なる技術の他のユーザ機器の送信機が、電力制限の状況にあり、そのサービング基地局までに最大の経路損失を経験している場合である。
【0004】
LTEといった単一の無線アクセスネットワーク(RAN)の範囲内のセル間干渉を解決するための解決策は存在している。そうしたケースにおいて、拡張ノードB(eNB)といった基地局は、干渉の測定を実行し、その測定結果を他のeNBへとレポートし、当該他のeNBは、干渉信号を抑圧するように動作する。例えば、1つの解決策において、周波数帯域のエッジから離れた物理アップリンク制御チャネル(PUCCH)の静的な割り当てが採用されるかもしれず、それには、変化する干渉条件への適応が無く、アップリンクの無線リソースのフラグメント化という欠点が伴う。他の解決策は、物理アップリンク信号チャネル(PUSCH)についてのランダムな周波数割当てに関係し、それにはPUCCHによる干渉が除去されないという欠点が伴う。フラクショナルな周波数再利用が採用されるかも知れないが、フラクショナルな周波数再利用は、複数の共存する異なる無線アクセス技術の間には適用可能ではない。3GPP(third generation partnership project)システムでは、セル間干渉を解決するためにX2インタフェースが採用され得るが、これは2つの異なる無線アクセス技術の間の干渉には適用可能ではない。他の解決策は、2つの潜在的に干渉し合う信号の間の大きな保護帯域(guard band)に依拠することだが、これはスペクトル上で非効率的である。
【発明の概要】
【0005】
本発明は、有利な点として、第1の基地局を介する第1の無線アクセス技術及び第2の基地局を介する第2の無線アクセス技術を少なくとも実装する通信システムにおける協調干渉抑圧のための方法及びシステムを提供する。上記第1及び第2の無線アクセス技術は、互いに異なる。1つの観点によれば、本発明は、上記第1の基地局に関連付けられる第1のデバイスから、上記第2の基地局において、上記第1の無線アクセス技術を介して上記第1の基地局において受信される干渉信号に関する情報を受信するために提供される。上記第2の基地局に関連付けられる第2のデバイスにおいて、上記第2の無線アクセス技術を介して上記第2の基地局へアクセスする与干渉ユーザ機器が識別される。上記識別は、上記第1の基地局に関連付けられる上記第1のデバイスから受信される上記情報に基づく。上記第2の基地局を介して、識別された上記与干渉ユーザ機器により引き起こされる干渉が抑圧される。
【0006】
上記観点によれば、いくつかの実施形態において、上記干渉信号に関する上記情報は、セクタ識別、上記干渉信号の周波数、干渉のレベル、及び上記第1の基地局において上記干渉が検出された時刻、のうちの少なくとも1つを含む。いくつかの実施形態において、上記与干渉ユーザ機器を識別することは、上記第1の基地局のカバレッジセクタの、上記第2の基地局のカバレッジセクタとの相関判定を行うこと、を含む。いくつかの実施形態によれば、カバレッジセクタは、レンジ、ロケーション、エレベーション、及び角度セクタ、のうちの少なくとも1つにより特定される。いくつかの実施形態によれば、上記与干渉ユーザ機器を識別することは、上記干渉信号の周波数の、上記第2の基地局によりユーザ機器へ割り当てられた周波数との相関判定を行うこと、を含む。いくつかの実施形態によれば、上記与干渉ユーザ機器を識別することは、上記第1の基地局により上記干渉が検出された時刻の、上記第2の基地局におけるユーザ機器(UE)からのアップリンク信号の受信時刻との相関判定を行うこと、上記与干渉UEの信号のラウンドトリップ遅延に基づいて、上記与干渉UEの距離を判定すること、上記UEのアップリンク制御チャネル上で受信される測位システムの座標に基づいて、上記UEのロケーションを判定すること、UE放射特性のモデリングに基づいて、上記UEの推定される隣接チャネル漏洩レベルの、干渉レポートにおいてレポートされる干渉レベルとの相関判定を行うこと、干渉を経験している上記基地局への上記与干渉UEの近接度(proximity)を、そのそれぞれの座標に基づいて判定すること、及び、上記UEから受信される信号の方向(direction)に基づいて、上記与干渉UEの方向を判定すること、のうちの少なくとも1つを含む。
【0007】
いくつかの実施形態によれば、上記与干渉ユーザ機器(UE)により引き起こされる干渉を抑圧することは、識別される干渉周波数とは別個の周波数を占めるリソースブロックを上記UEへ再割り当てすること、を含む。上記与干渉ユーザ機器へ割り当てられたリソースブロックは、少なくとも1つの他のユーザ機器へ再割り当てされ得る。上記少なくとも1つの他のユーザ機器は、上記第1の基地局により受信される他の信号との干渉の推定レベルに基づいて決定されてよく、干渉の上記推定レベルは、UEの送信スペクトル密度、ロケーション、方角(orientation)、近接度、及びレポートされる信号品質、のうちの少なくとも1つに基づく。いくつかの実施形態によれば、上記与干渉ユーザ機器により引き起こされる干渉を抑圧することは、非周期的なCQI/RIレポート、サービス認識型バッファ推定、及び適応的HARQ再送信、のうちの少なくとも1つを用いて、上記与干渉ユーザ機器のアップリンク制御情報の送信を、物理アップリンク制御チャネル(PUCCH)から物理アップリンク共有チャネル(PUSCH)へと移動させること、を含む。いくつかの実施形態によれば、上記与干渉ユーザ機器(UE)により引き起こされる干渉を抑圧することは、上記与干渉ユーザ機器の送信電力を低減すること、上記第1の無線アクセス技術の帯域内の異なる周波数へハンドオーバすることを上記与干渉UEへ指示すること、及び、上記第2の無線アクセス技術の周波数帯域へのインター技術ハンドオーバを実行することを上記与干渉UEへ指示すること、のうちの少なくとも1つを含む。いくつかの実施形態によれば、上記与干渉ユーザ機器により引き起こされる干渉を抑圧することは、複数の送信時間インターバル(TTI)にわたって上記与干渉ユーザ機器による送信を分散させること、を含む。
【0008】
他の観点によれば、本発明は、第1の無線アクセス技術に従って動作する少なくとも1つの基地局の第1のセットと通信するように適合される干渉協調デバイス、を提供する。上記干渉協調デバイスは、受信機と、プロセッサと、送信機とを含む。上記受信機は、上記第1の無線アクセス技術とは異なる第2の無線アクセス技術に従って動作する第2の基地局により受信される干渉信号に関する情報を受信する、ように構成される。上記プロセッサは、上記受信機により受信される上記情報に基づいて、少なくとも1つの基地局の上記第1のセットのうちの少なくとも1つによりカバーされるセクタ内から発する干渉の少なくとも1つの有り得るソース(likely source)を識別して、干渉レポートを生成する、ように構成される。上記送信機は、上記プロセッサにより生成される上記干渉レポートを、少なくとも1つの基地局の上記第1のセットのうちの少なくとも1つへ送信する、ように構成され、上記干渉レポートは、上記第1のセットの基地局が与干渉ユーザ機器を識別することを可能とする情報を有する。
【0009】
上記観点によれば、いくつかの実施形態において、受信される上記情報は、上記干渉信号の受信元である上記第2の基地局のセクタの識別(identification)、上記干渉信号の周波数、上記干渉信号の干渉レベル、及び、上記干渉信号に関連付けられるタイムスタンプ、のうちの少なくとも1つを含む。いくつかの実施形態において、上記プロセッサは、上記干渉信号の受信元である上記第2の基地局の上記セクタに対応する、上記第1のセット内の基地局のセクタを判定する。いくつかの実施形態において、上記プロセッサは、上記第2の無線アクセス技術に従って動作する複数の基地局により受信される干渉信号に関する情報を統合する。いくつかの実施形態において、干渉の有り得るソースは、上記干渉信号の受信元であるセクタに対応するセクタ内の上記干渉信号の周波数に隣接する周波数で通信している上記第1のセットの基地局を識別することにより判定される。いくつかの実施形態において、上記第1のセットの基地局に、上記干渉協調プロキシが位置する。
【0010】
また別の観点によれば、本発明は、2つの異なる無線アクセス技術の間の干渉協調を実装するように構成される通信システムを提供する。上記通信システムは、第1の無線アクセス技術に関連付けられる第1の基地局から干渉測定結果を受信するように構成される第1の干渉協調デバイスを含む。上記第1の干渉協調デバイスとの通信関係にある第2の干渉協調デバイスは、上記第1の干渉協調デバイスから、上記干渉測定結果に基づく干渉制御要求を受信し、上記第1の無線アクセス技術とは異なる第2の無線アクセス技術に関連付けられる第2の基地局へ第1の干渉情報を送信する、ように構成される。
【0011】
上記観点によれば、いくつかの実施形態において、上記第1の干渉協調デバイス及び上記第2の干渉協調デバイスは、共設(collocate)される。いくつかの実施形態において、上記第1の干渉協調デバイスは、上記第2の基地局からの干渉測定結果に基づく干渉制御要求を、上記第2の干渉協調デバイスから受信し、第2の干渉情報を上記第1の基地局へ送信する。いくつかの実施形態において、上記第1の干渉協調デバイスは、上記第1の基地局に位置する。上記第2の干渉協調デバイスは、上記第2の基地局に位置し得る。
【図面の簡単な説明】
【0012】
本発明並びにその付随する利点及び特徴のより完全な理解は、以下の詳細な説明を参照することで、次の添付図面との関係において検討した場合に、一層容易となるであろう。
【0013】
図1】逆拡散後の符号分割多重アクセス(CDMA)信号のプロット及び隣接帯域内の与干渉LTE(Long Term Evolution)信号のプロットである。
図2】本発明の原理に従って構築される例示的な通信システムのブロック図である。
図3】本発明の原理に従った第1及び第2の基地局の間の干渉協調のための例示的な処理のフローチャートである。
図4】本発明の原理に従った干渉協調プロキシを用いた干渉協調のための例示的な処理のフローチャートである。
図5】本発明の原理に従って与干渉ユーザ機器を識別するための例示的な処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明に従った例示的な実施形態を詳細に説明する前に、留意されることとして、実施形態は、少なくとも2つの異なる無線アクセス技術を有する通信ネットワークにおける協調干渉抑圧に関する装置コンポーネント及び処理ステップの組合せの中に主にある。従って、システム及び方法のコンポーネントは、適切な場所で図面において慣例的なシンボルにより表現されており、図面は、ここでの説明の恩恵を有する技術における当業者にとって容易に明白となるであろう詳細で本開示を曖昧にしないために、本発明の実施形態の理解に関する特定の詳細のみを示している。
【0015】
ここで使用されるところによれば、「第1の(first)」及び「第2の(second)」、「上部(top)」及び「下部(bottom)」などといった関係上の用語は、必ずしもそうしたエンティティ又はエレメントの間の物理的な又は論理的な関係性又は順序を要し又は示唆することなく、あるエンティティ又はエレメントを他のエンティティ又はエレメントと区別するためにのみ使用され得る。
【0016】
次に図面を参照すると、同様の参照符号は同様のエレメントを表しており、図2には、本発明の原理に従って構築される例示的な通信システム10のブロック図が示されている。通信システム10は、第1の無線アクセス技術12及び第2の無線アクセス技術14を有する。例えば、第1の無線アクセス技術12は符号分割多重アクセス(CDMA)技術であるかもしれず、一方で第2の無線アクセス技術14はLTE(long term evolution)技術であるかもしれない。第1の基地局16は、第1の無線アクセス技術12に従って動作し、第2の基地局18は、第2の無線アクセス技術14に従って動作する。なお、基地局16及び18は、別個の場所にあってもよく、又は共設され若しくはアンテナ、無線機及びベースバンドプロセッサといった機器を共有してもよい。
【0017】
各基地局16及び18は、ユーザ機器20からアップリンク信号を受信し得る。例えば、ユーザ機器20へその時点でサービスしている基地局18により、ユーザ機器20からの所望のアップリンク信号が受信され得る。しかしながら、その同じアップリンク信号は、ユーザ機器20へその時点でサービスしていない基地局16によって、干渉信号としても受信されるかもしれない。これは、例えば第1の無線アクセス技術12の基地局16が第2の無線アクセス技術14の基地局18によりカバーされるセクタと重複するセクタをカバーする場合に生じ得る。例えば、ユーザ機器は基地局18のLTEキャリア周波数を用いて送信を行っており、一方で基地局16の受信機は上記LTEキャリア周波数に隣接するCDMAキャリア周波数で信号を受信するようにチューニングされているかもしれない。ユーザ機器20のLTE信号からのエネルギーは、基地局16の隣接CDMA周波数帯域へとあふれていき、基地局16において干渉を生じさせ得る。
【0018】
いくつかの実施形態において、基地局16は、基地局16の動作周波数帯域に隣接する周波数帯域内で、干渉信号の存在を検出するために周波数でスキャンを行い得る。干渉信号は、例えば、第1の無線アクセス技術がCDMAである場合、周波数帯域全体にわたる、各個別CDMAチャネル上の測定される受信信号強度インジケータ(RSSI)と対雑音キャリア受信エネルギー(E)との比率に基づいて検出されてよく、比較のための2つの値はHzで正規化されている。CDMAの1.25MHzキャリアの右側エッジへの干渉が存在する場合、キャリアの右側エッジでのこれら1つ以上のCDMAチャネルの比較される比率は、CDMAキャリア上のフィルタリングされた平均的な比率に対して、予め決定される値の分を超えて上回るであろう。干渉信号は、例えば第1の無線アクセス技術がLTEである場合、帯域エッジでの各物理リソースブロック(PRB)についてのアップリンク干渉及び雑音の測定結果から検出され得る。10MHzのLTEキャリアの左側エッジへの干渉が存在する場合、例えば、左側エッジでの周波数又はサブキャリアについての測定される干渉及び雑音は、LTEキャリア全体上のフィルタリングされた平均的な比率に対して、予め決定される値の分を超えて上回るであろう。
【0019】
干渉測定結果は、疑似的な干渉測定結果をスムースアウトするために時間にわたって平均され得る。平均された干渉測定結果は、第1の干渉協調プロキシ22へ、測定された干渉をレポートすべきかを判定するために、閾値と比較され得る。測定された干渉を第1の干渉協調プロキシ22へとレポートすべきである場合、干渉信号の受信元であるセクタのセクタIDもまたレポートされる。セクタIDは、セクタのレンジ、エレベーション及び/又は角度セクタ(angular sector)、並びにGPS座標に関連付けられ得る(よって、干渉レポートはこうした情報を含むことになる)。レポートは、干渉が検出された周波数又は周波数帯域、干渉のレベル、及び干渉が測定された時刻を示すタイムスタンプをも含んでよい。
【0020】
干渉測定結果及び関連付けられる情報は、第1の干渉協調プロキシ22へと通信され得る。第1の干渉協調プロキシ22は、基地局16と共設されてもよく、又は基地局16とは分離されていてもよい。第1の干渉協調プロキシ22は、受信機24、プロセッサ26及び送信機28を含み得る。受信機24は、干渉測定結果及び関連付けられる情報を、基地局16の1つ以上から受信する。プロセッサ26は、干渉測定結果及び関連付けられる情報に基づいて、干渉制御要求を生成する。干渉制御要求は、干渉信号の周波数帯域、干渉の電力レベル、干渉信号の受信元であったセクタに関連する情報、及び干渉信号の測定の時刻を示すタイムスタンプを含み得る。送信機28は、第2の干渉協調プロキシ30へ干渉制御要求を送信し得る。
【0021】
第2の干渉協調プロキシ30は、基地局18と共設されてもよく、又は基地局18とは分離されていてもよい。また、第2の干渉協調プロキシ30は、第1の干渉協調プロキシ22と共設されてもよく、又はそこから分離されていてもよい。第2の干渉協調プロキシ30は、受信機32、プロセッサ34及び送信機36を含み得る。受信機32は、複数の他の干渉協調プロキシから干渉制御要求を受信してもよい。プロセッサ34は、それら干渉制御要求を統合し、干渉制御要求内に含まれるセクタ及び周波数情報を第2の無線アクセス技術の基地局によサービスされる動作周波数及びセクタに関連付けることにより、干渉の有り得るソース(likely sources)を識別する。送信機36は、干渉の元であり得るセクタ及び周波数を識別する干渉レポートを、識別された当該セクタにおいて識別された当該周波数で送信を行う基地局18へ、干渉がいつ測定されたのかを識別するタイムスタンプと共に送信し得る。
【0022】
基地局18は、干渉レポートを受信し、識別されたセクタ内の、タイムスタンプにより識別された時刻に識別された周波数で送信を行ったUEを識別する。与干渉UE20の識別は、UE20が最大送信電力か否かに関わらず、受信信号強度インジケータ(RSSI)、リファレンス信号受信電力(RSRP)及びリファレンス信号受信品質(RSRQ)といった測定結果に基づいてもよく、並びに、UEレンジ及び干渉を受ける基地局へのUE20の近接度(proximity)の判定に基づいてもよい。第2の無線アクセス技術14がCDMA 1x/1xアドバンストである場合、与干渉UE20は、その電力制御ヘッドルーム、受信符号電力(RCP)及び/又は周期的な送信電力レポートに基づいて識別されてもよい。干渉者であると判定されたUEのリストは、構成されるラウンドトリップ遅延閾値に基づいてフィルタリングされてもよい。それにより、第1の無線アクセス技術の識別されたセクタの中央へ近く、又は第2の無線アクセス技術の識別されたセクタから遠いUEが、リストからフィルタリングされ得る。
【0023】
よって、いくつかの実施形態において、与干渉UE20を識別することは、第1の基地局16により干渉が検出された時刻の、第2の基地局18におけるUEからのアップリンク信号の受信時刻との相関判定を行うこと、を含んでもよい。与干渉UE20を識別することは、与干渉UE20の信号のラウンドトリップ遅延に基づいて、与干渉UEの距離を判定すること、を含んでもよい。与干渉UE20を識別することは、UEのアップリンク制御チャネル上で受信される測位システムの座標に基づいて、UE20のロケーションを判定すること、を含んでもよい。測位システムは、例えば、GPS(Global Positioning System)であってもよい。与干渉UE20を識別することは、干渉を経験している基地局への与干渉UE20の近接度を判定すること、を含んでもよい。与干渉UE20を識別することは、与干渉UE20のサービング基地局が干渉を経験している基地局とは共設されていないことを判定すること、を含んでもよい。与干渉UE20を識別することは、与干渉UE20から受信される信号の方向に基づいて、与干渉UE20の方向を判定すること、を含んでもよい。与干渉UE20を識別することは、例えば3GPP仕様又は多様なUEタイプの予め記憶される特性から、UEのアップリンク放射マスクのモデリングに基づいて、与干渉UE20の推定される隣接チャネル漏洩度を推定することと、当該推定結果と干渉レポートからの干渉レベルとの相関判定を行うことと、を含んでもよい。
【0024】
そして、基地局は、識別された与干渉UEについて違反認定(ticket)を発行し、違反認定されたUEにより引き起こされる干渉を低減するためのステップをとる。よって、基地局18は、少なくとも部分的に、第1の基地局16のカバレッジセクタの、基地局18のカバレッジセクタとの相関判定を行うことにより、与干渉UE20を識別してもよい。ここで使用されるところによれば、カバレッジセクタは、概して指向性アンテナに関連付けられる基地局の角度セクタをいい、レンジ、エレベーション及び角度セクタにより特定され得る。さらに、又は代替的に、基地局18は、少なくとも部分的に、干渉信号の周波数の、基地局18によりユーザ機器20へ割り当てられた周波数との相関判定を行うことにより、与干渉UE20を識別してもよい。また、基地局18は、少なくとも部分的に、基地局16において干渉信号が検出された時刻の、基地局18におけるUE20からのアップリンクの受信時刻との相関判定を行うことにより、与干渉UE20を識別してもよい。
【0025】
違反認定されたUE20により引き起こされる干渉を抑圧するためにとられ得るステップは、与干渉UE20へ割り当てられたリソースブロックを変更し、リソースブロックの再割り当て先の他のUEが有意な干渉を起こさないであろうという判定に基づいて、当該他のUEへそれらリソースブロックを再割り当てする。この判定は、当該他のUEにより引き起こされる他の信号との干渉の推定されるレベルに基づいてなされてよい。例えば、基地局18は、他のUEの位置を計算し、当該他のUEの送信スペクトル密度、ロケーション、方角、近接度、及び測定されるRSSI、RSRP、RSRQに基づいて、基地局16のレポートされたセクタへのあり得る干渉レベルを推定し得る。
【0026】
違反認定されたUE20により引き起こされる干渉を抑圧するためにとられ得るステップは、違反認定されたUEの、物理アップリンク共有チャネル(PUSCH)へ割り当てられるリソースブロックを変更することを含んでもよい。例えば、PUSCH上の割り当ては、第1の無線アクセス技術の周波数帯域に近い第2の無線アクセス技術の周波数帯域の帯域エッジから離れた異なる周波数へ、切り替えられてもよい。違反認定されたUE20により引き起こされる干渉を抑圧するためにとられ得るステップは、違反認定されたUE20の送信電力を低減し、又は違反認定されたUE20に複数の送信時間インターバル(TTI)にわたってその送信を分散させること、を含み得る。
【0027】
また、干渉抑圧は、識別された干渉している周波数とは別個の周波数を占めるリソースブロックをUEへ再割り当てすること、を含んでもよい。第1の基地局により受信される他の信号との干渉の推定されるレベルに基づいて判定される少なくとも1つの他のUEへ、リソースブロックが再割り当てされ得る。干渉の推定されるレベルは、UEの送信スペクトル密度、ロケーション、方角、距離、及びレポートされる信号品質、のうちの少なくとも1つに基づき得る。
【0028】
干渉抑圧は、与干渉UEが帯域エッジの物理アップリンク制御チャネル(PUCCH)へ割り当てられることを妨げることを含んでもよく、及び、PUCCH上でのスケジューリング要求(SR)の送信を回避するサービス認識型(service aware)バッファ推定アルゴリズムを用いることを含んでもよい。
【0029】
干渉抑圧は、PUSCH上の非周期的なチャネル品質インジケータ(CQI)/RI、及び、時間周波数領域におけるUL再送信の柔軟なスケジューリングを可能とする適応的HARQ再送信、のうちの少なくとも1つを用いることを含んでもよい。
【0030】
干渉抑圧は、与干渉ユーザ機器の送信電力を低減すること、を含んでもよい。干渉抑圧は、第1の無線アクセス技術12の帯域内の異なる周波数へハンドオーバすることを与干渉UE20へ指示すること、又は、第2の無線アクセス技術の周波数帯域へのインター技術ハンドオーバを実行することを与干渉UE20へ指示すること、を含んでもよい。干渉抑圧は、複数の送信時間インターバル(TTI)にわたって与干渉ユーザ機器20による送信を分散させること、を含んでもよい。
【0031】
例えば、第2の無線アクセス技術がCDMA 1xRTT/1xアドバンストである場合、干渉は、少なくとも部分的に、UE20のアップリンク送信へより低いコーデックレートを割り当てることにより抑制されてもよい。さらに、又は代替的に、干渉しているキャリア周波数がアクティブセットから除外され、他の非干渉キャリアがアクティブセットへ追加されてもよい。第2の無線アクセス技術14がCDMA EVDOである場合、干渉は、より電力の低い送信信号とより短いアップリンクパケットとが使用されるように、与干渉UE20のRTCMAC(reverse traffic channel media access control)パラメータを調整することにより抑圧されてもよい。さらに、又は代替的に、UE20は、自身の許可されたRRI(reverse rate indication)リミットを引き下げるように指示されてもよい。さらに、又は代替的に、アクティブセット内の干渉しているキャリア周波数が除去され、干渉しない他のキャリアと置換えられてもよい。
【0032】
図2の実施形態において、第1の干渉協調プロキシ22は、第2の干渉協調プロキシ30へと干渉制御要求を送信することに加えて、第2の干渉協調プロキシ30から干渉制御要求を受信し得る。これら受信される干渉制御要求は、干渉の有り得るソースを判定し、及び基地局16へと送信される干渉レポートを生成するために、プロセッサ26により処理される。これら干渉レポートの受信に応じて、基地局16は、与干渉UEを識別し、識別される与干渉UEからの干渉を抑圧する。
【0033】
上で注記したように、第1の干渉協調プロキシ22は、各無線アクセス技術の基地局16及び18が共設される場合には、より高速なアクセス時間を達成するために、第2の干渉協調プロキシ30と共設され又はマージされてもよい。よって、各無線アクセス技術が共通的な基地局を共有するケースでは、2つの無線アクセス技術の間の干渉を回避するために、結合的なスケジューリング(joint scheduling)及び干渉予測を採用することができる。
【0034】
図3は、与干渉UEを決定し及びその干渉を抑圧するための例示的な処理のフローチャートであり、上述した第1及び第2の干渉協調プロキシの機能がそれぞれの基地局16及び18へと統合されている。第2の基地局18は、第1の基地局16から干渉信号に関する情報を受信する(S100)。第2の基地局18は、受信される上記情報に基づいて、第2の基地局18へアクセスする与干渉UE20を識別する(S102)。そして、第2の基地局18は、識別された与干渉UE20により引き起こされる干渉を抑圧するためのステップをとる(S104)。例示的な干渉抑圧ステップは、上で議論されている。
【0035】
図4は、与干渉UEを判定し、第1及び第2の干渉協調プロキシ22及び30を用いてその干渉を抑圧するための例示的な処理のフローチャートである。第1の無線アクセス技術12の第1の基地局16において、干渉が測定される(S106)。基地局16から第1の干渉協調プロキシ22へと、干渉測定結果が送信される(S108)。干渉信号の受信元であるセクタ及び干渉信号の周波数もまた、第1の干渉協調プロキシ22へと送信される。第1の干渉協調プロキシ22は、第2の干渉協調プロキシ30へ干渉制御要求を送信する(S110)。第2の干渉協調プロキシ30は、第2の無線アクセス技術14の対応するセクタ及び対応するUE送信周波数を識別し、第2の無線アクセス技術14の複数の基地局18の各々へと、その情報を含む干渉レポートを送信する(S112)。基地局18は、干渉レポートの情報に基づいて、与干渉UE20を識別する(S114)。そして、基地局は、与干渉UEによる干渉を抑圧するための1つ以上のステップをとる(S116)。干渉抑圧のための例示的なステップは、上で説明されている。
【0036】
図5は、基地局により与干渉UEを識別するための例示的な処理のフローチャートである。基地局16又は18といった基地局は、与干渉UEの周波数及びセクタを示す干渉レポートを、それぞれの干渉協調プロキシ22又は30から受信する(S118)。基地局は、示された周波数又はそれに近い周波数で送信を行っているセクタ内のアクティブUEのリストを準備する(S120)。アクティブUEのリスト内の、隣接するセクタ及び/又は周波数において干渉を引き起こしているUEが識別され得る(S122)。これは、閾値を上回る送信電力を有するUEであってもよい。基地局は、識別されたUEにより引き起こされる干渉を抑圧し得る(S124)。例えば、基地局は、閾値を上回る送信電力を有するUEに、それらの送信電力を低減するように指示してもよい。これは、例えば、UEの送信電力を引き下げる目的で、無線リソース制御(RRC)を通じて、UEのパスロス補償及び閉ループ電力制御の受信目標電力を変更することにより、行われることができる。
【0037】
上で注記したように、基地局は、与干渉UEによる干渉を抑圧するための、他の追加的な又は代替的なステップをとり得る。例えば、基地局は、チャネル品質インジケータ(CQI)といった情報を、帯域エッジにある物理アップリンク制御チャネル(PUCCH)上で送信する代わりに、当該情報を物理アップリンク共有チャネル(PUSCH)上のUEの送信信号に含めさせてもよい。干渉を低減する他の手法は、VoIP(voice over Internet protocol)ユーザがPUCCH上でスケジューリング要求を送信しなければならないことを回避するために、無線リソース管理(RRM)の特徴を用いることである。干渉を低減する他の手法は、時間領域及び周波数領域でのアップリンク及びダウンリンクの再送の柔軟なスケジューリングを可能とするために、再送を最小の干渉しか生じさせないPUSCHリソースブロックへと移動することができるように、適応的ハイブリッド自動再送要求(HARQ)再送信を用いることである。干渉を低減するための他の方法は、帯域エッジから離れたPUCCHリソースを単純に割り当てることである。
【0038】
本発明は、ハードウェア、又はハードウェア及びソフトウェアの組合せにおいて実現されることができる。いかなる種類のコンピューティングシステム、又はここで説明した方法を遂行するために適合される他の装置も、ここで説明した機能を実行するために適している。ハードウェア及びソフトウェアの典型的な組合せは、1つ以上の処理エレメントを有する専門化されたコンピュータシステム、並びに、ロードされ実行された場合にここで説明した方法を遂行するようにコンピュータシステムを制御する、記憶媒体上に記憶されるコンピュータプログラム、であり得る。また、本発明を、ここで説明した方法の実装を可能とする全ての特徴を含むコンピュータプログラムプロダクト内に組み込むこともでき、コンピュータプログラムプロダクトは、コンピューティングシステム内にロードされた場合にそれら方法を遂行することができる。記憶媒体とは、任意の揮発性又は不揮発性の有形の記憶デバイスをいう。
【0039】
本文脈におけるコンピュータプログラム又はアプリケーションは、情報処理ケイパビリティを有するシステムに、特定の機能を直接的に又は次のいずれか若しくは双方の後に実行させることを目的とする、任意の言語、コード又は表記法での命令のセットの任意の表現を意味する:a)他の言語、コード又は表記法への変換;b)異なる材料形態での複製。
【0040】
本発明が本明細書において上で具体的に示され説明されたものへ限定されないことが、当業者により理解されるであろう。加えて、反対の言及が上でなされていない限り、添付図面の全ては実寸通りではないことに留意すべきである。本発明の範囲及び思想から逸脱することなく、上の教示を踏まえて、多様な修正例及び変形例が可能であり、本発明は、次の特許請求の範囲によってのみ限定される。
図1
図2
図3
図4
図5