(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6243441
(24)【登録日】2017年11月17日
(45)【発行日】2017年12月6日
(54)【発明の名称】静止全体ビューを持つマイクロマニピュレータ制御ローカルビュー
(51)【国際特許分類】
A61B 8/12 20060101AFI20171127BHJP
【FI】
A61B8/12
【請求項の数】15
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2015-547207(P2015-547207)
(86)(22)【出願日】2013年11月20日
(65)【公表番号】特表2015-536785(P2015-536785A)
(43)【公表日】2015年12月24日
(86)【国際出願番号】IB2013060262
(87)【国際公開番号】WO2014097014
(87)【国際公開日】20140626
【審査請求日】2016年11月14日
(31)【優先権主張番号】61/737,980
(32)【優先日】2012年12月17日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】KONINKLIJKE PHILIPS N.V.
(74)【代理人】
【識別番号】100122769
【弁理士】
【氏名又は名称】笛田 秀仙
(72)【発明者】
【氏名】ワクスマン ピーター
【審査官】
森口 正治
(56)【参考文献】
【文献】
特表2007−526801(JP,A)
【文献】
特開2011−101811(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 8/00−8/15
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
細長い器具の遠位先端における場所の位置及びそこからの方向を導出し、前記導出された位置及び導出された方向によって座標系変換を実行し、前記場所から及び前記変換の結果に基づいて、前記先端とともに移動するローカルビューを形成する、追跡及び視点ベース撮像装置において、前記装置は、前記形成が起こる情報を出力する経食道心エコー検査(TEE)プローブを有し、前記情報は、前記先端及び生体構造を撮像した体積データを有する、装置。
【請求項2】
前記先端が、医療目的で身体組織を操作する、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記導出が、前記先端の撮像の内容に基づいて前記位置及び前記方向の少なくとも一方を決定することを有する、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
リアルタイム超音波撮像に対して構成され、前記形成が、前記リアルタイム超音波撮像において取得されたデータに基づく、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記装置が、ディスプレイを有し、リアルタイムで撮像し、前記リアルタイム撮像から、前記先端を含むが、前記先端とともに移動しない、より全体的なビューを表示する、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記装置が、リアルタイムで撮像し、
前記移動に対して固定した状態に保たれる視野を持つローカルビューであって、他の点では前記位置及び前記方向に同調した状態に保たれる前記ローカルビューと、
前記リアルタイム撮像から形成された、より全体的なビューと、
を同時に表示する、
請求項1に記載の装置。
【請求項7】
細長い器具の遠位先端における場所の位置及びそこからの方向を導出し、前記導出された位置及び導出された方向によって座標系変換を実行し、前記場所から及び前記変換の結果に基づいて、前記先端とともに移動するローカルビューを形成する、追跡及び視点ベース撮像装置において、前記装置が、前記位置及び前記方向の少なくとも一方において更新を動的に検出し、前記更新の検出に動的に応答して、前記導出、前記実行及び前記形成を繰り返し、前記形成は、前記先端及び生体構造を撮像した体積データを有する情報から起こる、装置。
【請求項8】
細長い器具の遠位先端における場所の位置及びそこからの方向を導出し、前記導出された位置及び導出された方向によって座標系変換を実行し、前記場所から及び前記変換の結果に基づいて、前記先端とともに移動するローカルビューを形成する、追跡及び視点ベース撮像装置において、前記方向の導出が、前記先端における複数の構造のリアルタイム撮像から前記方向を導出することを有し、前記形成は、前記先端及び生体構造を撮像した体積データを有する情報から起こる、装置。
【請求項9】
前記構造からの1つの構造が、中空で環状である、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記構造が、放射対称である、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記向きの導出が、前記先端における構造の撮像から前記向きを導出することを有し、前記構造が、前記向きの超音波決定を容易化するように円周方向に非対称である、請求項8に記載の装置。
【請求項12】
細長い器具の遠位先端における場所の位置及びそこからの方向を導出し、前記導出された位置及び導出された方向によって座標系変換を実行し、前記場所から及び前記変換の結果に基づいて、前記先端とともに移動するローカルビューを形成する、追跡及び視点ベース撮像装置において、前記装置が、リアルタイムで撮像し、前記ローカルビューと、前記リアルタイム撮像から形成される、より全体的なビューとの間で切り替え、前記ローカルビューの形成は、前記先端及び生体構造を撮像した体積データを有する情報から起こる、装置。
【請求項13】
前記切り替えが、制御部のユーザ作動に応答する、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
細長い器具の遠位先端における場所の位置及びそこからの方向を導出し、前記導出された位置及び導出された方向によって座標系変換を実行し、前記場所から及び前記変換の結果に基づいて、前記先端とともに移動するローカルビューを形成する、追跡及び視点ベース撮像装置において、前記装置が、前記方向における軸に関する向きを前記設備からのフィードバックに適合させることにより前記変換を調整する、装置。
【請求項15】
追跡及び視点ベース撮像に対するコンピュータ可読媒体において、前記媒体が、複数の動作を実行するようにプロセッサにより実行可能な命令を含むプログラムを有し、前記複数の動作が、
細長い器具の遠位先端における場所の位置及びそこからの方向を導出する動作と、
前記導出された位置及び前記導出された方向によって座標系変換を実行する動作と、
前記場所から及び前記変換の結果に基づいて、前記先端とともに移動するローカルビューを形成する動作と、
を有し、
前記変換が、前記方向における軸に関する向きを前記設備からのフィードバックに適合させることにより前記変換を調整され、前記形成は、前記先端及び生体構造を撮像した体積データを有する情報から起こる、媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、対象を追跡すること及び前記対象からの局所的撮像、並びに、より具体的には、前記対象上の場所からの局所的撮像に関する。
【背景技術】
【0002】
三次元(3D)超音波画像を使用する超音波支援手術は、トランスデューサ技術の進歩が、カテーテル技術の進歩により平行され、急速に発展している。
【0003】
最小侵襲血管内手術は、カテーテルの遠位端に配置された様々な可能な装置を使用して実行されることができる。臨床医は、切開部を通って静脈に至るまで体内に前記カテーテルを進める。ハンドルのような、制御部は、曲がりくねった経路を通して前記カテーテルを操作するために、近位端に存在する。目的地において、この装置(又は「マイクロマニピュレータ」)は、外科手術を実行するように近位で操作される。カテーテルによって実行される他のタイプの外科手術は、腹腔鏡検査、胸腔鏡検査(thoracoscopy)、胸腔鏡検査(pleuroscopy)、アテレクトミ、レーザ切除等である。
【0004】
Lockhart他に対する米国特許第6226547号(以下「Lockhart」)は、カテーテルを追跡するのに磁場を使用することが開示されている。Lockhartは、前記カテーテルのヘッドの場所を表示するが、撮像に言及していない。
【0005】
Tgavalekos他に対する米国特許公開第2009/0118620号(以下「Tgavalekos」)は、アブレーションカテーテル、及びアブレーションを監視する撮像カテーテルを開示している。両方のカテーテルが、磁気的に追跡され、それぞれの表現が、アブレーションを受けている領域の術前又は術中撮像において、表示のために、重畳される。前記撮像は、モータにより駆動される。前記追跡に対するモータノイズ干渉を避けるために、複数の追跡装置が、前記撮像カテーテル上に一緒に配置される。
【0006】
Narciso, Jr.に対する米国特許第5217456号(以下「Narciso」)は、光ファイバ上で伝達される光を用いてカテーテル遠位先端から撮像するように構成され、前記光は、軸方向に回転する側方監視窓を通って出入りする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の態様は、従来技術に関して上に示された1以上の欠点に対処することを対象とする。
【0008】
各々が参照により全体としてここに組み込まれる上記の文献のいずれも、どのようにして安全に、ロバストにかつ容易にカテーテルベースの手術を監視するかに関する十分な解決法を提供していない。
【0009】
現在、カテーテルを用いて実行される手術中に画像ガイダンスを提供する単純な、効果的な、最小侵襲手段は、存在しない。
【0010】
特に、例として、Tgavalekosにおける撮像カテーテルの設計は、複数の追跡装置に対するニーズにより複雑である。また、アブレーションカテーテル先端の視点からの局所的な撮像は存在しない。また、前記先端とともに動的に移動し、これにより全体ビューと協力して、前記手術中に撮像制御部を動作することから外科医を解放するような撮像も存在しない。また、軟組織を示差的に撮像する超音波の利点を提供するような撮像も存在しない。
【0011】
加えて、手術用の一部のカテーテルは、Narcisoのように、遠位先端において局所的撮像装置を含むが、前記先端において必要とされる全ての機能、例えば、撮像装置、マイクロマニピュレータ、熱アブレーションの場合に冷却機構、及び操作ケーブル接続を含めることは、重荷である。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の一態様において、追跡及び視点ベース撮像装置は、細長い器具の遠位先端における場所の位置及びそこからの方向を導出(deriving)するように構成される。これは、更に、前記導出された位置及び導出された方向によって座標系変換を実行し、前記場所から及び前記変換の結果に基づいて、前記先端とともに移動するローカルビューを形成するように構成される。
【0013】
副態様として、前記器具は、前記装置のコンポーネントとして機能する。
【0014】
他の副態様において、前記器具は、前記先端において、医学的治療及び/又は医療装置を届けるように備えられる。
【0015】
関連する副態様において、前記先端は、特に、医療目的で身体組織を操作するように構成される。
【0016】
他の関連する副態様において、前記器具は、カテーテルを含む。前記先端は、体内に配置される。
【0017】
他の副態様において、前記装置は、前記移動に対して、前記ローカルビューの視野を固定した状態に保つが、他の点では、前記ローカルビューを前記位置及び前記方向に同調させるように構成される。
【0018】
代替的な副態様において、前記装置は、更に、前記位置及び/又は方向における更新を動的に検出し、前記更新の検出に動的に応答して、前記導出、前記実行及び前記形成を繰り返すように構成される。
【0019】
補足的態様において、更にリアルタイムで撮像するように構成される前記装置は、ディスプレイを含むように構成される。前記装置は、更に、前記ディスプレイ上に及び前記リアルタイム撮像から、前記ローカルビューと、前記先端を含むが前記先端とともに移動しない、より全体的なビューとを表示するように構成される。
【0020】
特定の副態様において、前記装置は、更に、更新として、毎秒少なくとも1回、前記導出、前記実行及び前記形成を繰り返すように構成される。
【0021】
特定の副態様において、前記装置は、更に、リアルタイムで超音波撮像するように構成され、前記形成は、前記リアルタイム超音波撮像において取得されたデータに基づく。
【0022】
他の副態様において、前記形成は、前記先端の前記リアルタイム撮像において取得されたデータに基づく。
【0023】
更に他の副態様において、前記導出は、前記先端の前記撮像の内容に基づいて前記位置及び/又は方向を決定することを伴う。
【0024】
1つの特定の副態様において、前記方向の導出は、前記先端における構造の前記リアルタイム撮像から行うことを含む。
【0025】
前記装置が、更に、ディスプレイを含み、前記ディスプレイに前記ローカルビューを表示するように構成されることも、副態様である。
【0026】
他の副態様として、前記装置は、更に、リアルタイムで撮像し、前記ローカルビューと、前記リアルタイム撮像から形成される、より全体的なビューとの間で切り替えるように構成される。
【0027】
更に他の副態様において、前記切り替えは、制御部のユーザ作動に応答する。
【0028】
代替的な副態様において、前記装置は、更に、リアルタイム撮像し、前記リアルタイム撮像から形成される、より全体的なビュー及び前記ローカルビューを同時に表示するように構成される。
【0029】
1つの他の副態様において、前記装置は、更に、ディスプレイを含み、更に、リアルタイム撮像し、前記リアルタイム撮像から、前記先端を含むが、前記先端とともに移動しない、より全体的なビューを表示するように構成される。
【0030】
1つの典型的な副態様において、前記装置は、前記形成が生じる情報を出力するように構成された経食道心エコー検査(TEE)プローブを含む。
【0031】
追加的な副態様において、前記場所は、前記先端とともに移動するが、前記先端に対して固定される。
【0032】
1つの他の態様において、前記装置は、前記方向における軸についての向きを設備からフィードバックに適合させることにより前記変換を調整するように構成される。
【0033】
このようなシステムを用いて、外科医は、(コンピュータゲームの「鳥瞰図」のような)前記マニピュレータを含む心臓の「ランドスケープ」ビューと前記マニピュレータの正面の心臓の部分を示す(コンピュータゲームの「アバタビュー」のような)「ローカル」ビューとの間で切り替えることができる。コンピュータゲームのたとえには意味があると考えられ、これら2つのタイプのビューは、アクションゲーム中に最も望ましいビューとして進化し、これは、心臓介入手術中の活動と多くの類似性を持つ。代わりに、洞窟を通る道を探すたとえを検討することができ、洞窟のマップ(ランドスケープ)及び懐中電灯(ローカル)は、どちらか一方ではなく、両方とも有用である。
【0034】
一般的な問題は、超音波支援心臓介入処置中に外科医の視覚と手の協調関係をサポートすることである。しかしながら、特に、ここで提案されることは、手術される心臓の領域のローカルビュー及びランドスケープビューの両方を提供する問題に対処する。前記ローカルビューは、前記処置を実行するのに使用される。前記ランドスケープビューは、マイクロマニピュレータカテーテルを配置するのに使用される。したがって、良好なシステムは、両方を提供すべきである。
【0035】
新規の追跡及び視点ベースの撮像装置の詳細は、正しい縮尺で描かれていない以下の図面の助けで、以下に記載される。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【
図1】本発明による手術器具追跡及び視点ベースの撮像の概略的かつ概念的な図である。
【
図2】本発明による可能な表示画面スナップショット及び構成の概念図である。
【
図3】本発明による手術器具追跡及び視点ベースの撮像撮像の構造的かつ機能的全体図である。
【
図4A】本発明による追跡及び視点ベースの撮像の代替的なフローチャートである。
【
図4B】本発明による追跡及び視点ベースの撮像の代替的なフローチャートである。
【
図4C】本発明による追跡及び視点ベースの撮像の代替的なフローチャートである。
【
図5】本発明によるローカルビュー表示初期化のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0037】
図1は、典型的な手術器具追跡及び視点ベースの撮像を描いている。
【0038】
体内使用のためのカテーテルのような、細長い手術器具102のボディが、血管104又は器官空洞内に配置されて示される。器具102の遠位先端106には、例えばアブレーション又は電気生理学に対する電極108がある。電極108は、格納可能かつ拡張可能でありうる。格納/拡張及び操作は、器具102のハンドル(図示されない)において近位で制御される。また、遠位先端106には、前記先端を超音波で追跡するのに使用可能な2つの反響構造110、112がある。構造110、112は、中空で環状であり、放射対称性でありうる。中空性は、ステント前進のような機能のために、カテーテルボディの軸心を空けておく。対称性は、各構造110、112の中心を識別するのを支援する。例えば、遠位先端106における場所116の位置114は、近位構造110内の中心であり、前記場所からのローカルビュー方向118は、前記場所から遠位構造112の中心までの線に対応する。ローカルビュー120は、当該場所116からであり、ローカルビュー方向118である。ローカルビュー120は、いかに詳細に論じられるように、生撮像から再構成される。ローカルビュー120に関連付けられるのは、ローカルビュー方向118における軸122に関する先端106の向きである。前記向きは、以下に詳細に論じられるように、例えば、操作に対して、「左」引っ張りワイヤ及び「右」引っ張りワイヤを持つカテーテルに関する。先端106における構造110、112の一方又は両方は、前記向きの超音波決定を容易化するように円周方向に非対称でありうる。代わりに、遠位先端106は、Lockhart及びTgavalekosのように追跡に対する1以上の磁場トランスデューサを含むことができる。ローカルビュー方向118は、遠位先端106から長手方向に真っ直ぐであるように
図1に示されるが、代わりに、側視方向のような他の方向であってもよい。
【0039】
経食道(TEE)プローブ124は、血管内超音波(IVUS)カテーテルに対して一般に提供されるもののような、前向き光学素子とともに、例示的かつ非限定的な例として、示される。しかしながら、前記光学素子は、代わりに、又は加えて、側視性能を含んでもよい。TEE体積データ126取得は、リアルタイムである。前記生撮像は、遠位先端106及び周知の生体構造の撮像を含む。
【0040】
データ126のサブセットから、ローカルビュー120が形成され、その視野(FOV)128は、示される角度範囲により
図1に示される。
図1に描かれるローカルビュー120は、リアルタイムC面撮像から形成されるが、データ126の厚い又は薄いいかなるサブセットも、前記ローカルビューを構成しうる。ローカルビュー120を形成することは、前記ローカルビューに対する少なくとも対応するTEE体積データ126の座標系変換130を伴う。ローカルビュー120は、FOV128を固定したまま、遠位先端106とともに移動する。FOV128は、約30度であるように
図1に示されるが、いかなる角度セクタも使用されることができる。前記移動は、
図1において直交する破線両矢印132、134から見られるように平行移動であることができる。第3の直交方向は、他のタイプの移動であるが、
図1には示されていない。前記移動は、曲線矢印136、138の対から見られるように、回転であることもできるが、2つの他の直交する向きにおいて、いずれかの方向における回転が可能である。したがって、前記ハンドルにおける前記カテーテル制御の動作の結果としての、ローカルビュー120の移動は、握られる懐中電灯を動かすことにたとえられる。臨床的介入に対して、ローカルビュー120は、カテーテル遠位先端106及び周囲の生体構造を含む、より全体的なビュー、例えば心臓の生画像と併せて最良に使用される。
【0041】
図2のローカルビュー120は、ディスプレイ上に見られ、より全体的な又はグローバルビュー204に伴われる。
図2のブラケット206は、2つのビュー120、204が同時に表れることを示す。外科医は、外科手術を実行する際に2つのビュー120、204の間で視線を単に切り替えることを必要とする。同時に、外科医は、カテーテルの遠位先端106に位置する前記マイクロマニピュレータを動作するように前記カテーテルハンドル上のユーザ制御部を手動で動作する。両方のビュー120、204は、好ましくは、リアルタイムで、すなわち、少なくとも毎秒一回又は20乃至60Hzのような他の周波数で更新される。代替例として、ビュー120、204は、セクタスイープ矢印構成208により
図2に示されるように画面上で交代することができ、オプションとして、各ビューは、利用可能な画面空間を満たすようなサイズにされる。各交代は、トグルスイッチによりユーザ作動されることができるか、又はユーザ介入なしで自動的であることができる。ユーザ作動で、臨床医の手は、フットペダルが使用される場合に、手術のために空けておくことができる。前記トグルスイッチは、代わりに、前記カテーテルハンドル上にあることができる。前記スイッチが、前記カテーテルハンドル上にあろうと、又は超音波コンソールのような他の場所にあろうと、切り替えが手動で行われる場合、これは、手術中の都合のいい時間に行われることができ、外科医は、遠位先端106の移動を伴う撮像変化に応答して超音波制御部を動作しなければならないことから解放される。
【0042】
一時的な更新として、ローカルビュー210及び同時のより全体的なビュー212は、前記ローカルビューが遠位先端106とともに移動するのに対し、前記より全体的なビューが移動しないことを示す。ここで、2つの全体的なビュー204、212を比較することから見られるように、遠位先端106は、血管104の2つの分岐の一方の中に移動するが、前記ビューは移動していない。他方で、及び対応して、ローカルビュー120において早い時間に見られる分岐点214は、遠位先端106が左の分岐に入ると、もはや可視ではなく、ここで新しいローカルビュー210を提供する。
【0043】
図3は、特定の典型的な手術器具追跡及び視点ベースの撮像装置300の全体図を提供する。これは、ホストシステム302及び細長い手術器具304を含む。これは、更に、リアルタイム3D撮像のために、2D超音波トランスデューサを持つ経食道(TEE)プローブ306、及びビームフォーマを含む。
【0044】
細長い手術器具304は、近位のハンドル及び細長いボディで構成される。前記細長いボディは、カテーテル308を含み、前記カテーテルの遠位先端106において、はさみ又はプライヤ、ステント配置機構又は他の装置のような、マイクロマニピュレータ310を含む。より一般的には、遠位先端106は、身体組織を操作又は変形するように設計されることができる。又は、これは、単に、又は加えて、何らかのタイプの感知により監視し、薬物、化学薬品又は化学物質のような、内因性又は外因性の、物質を投薬するように設計されることができ、又は他の医学的使用に対して設計されることができる。
【0045】
ホストシステム302は、マイクロコントローラ312、位置及び向きトラッカ314、座標系変換モジュール318を含むローカルビュー形成ソフトウェア316、及びコンソールを含む。前記コンソールは、画像を提示する画面のようなユーザディスプレイ320、及びローカルビュー向き初期化制御部324及びビュートグリング制御部326を含む撮像に対するユーザ制御部322を特徴づける。位置及び向きトラッカ314は、カテーテル308の先端106において反響構造110、112を位置特定するようにTEEプローブ306によりリアルタイムで取得された体積データを使用する。代わりに、他の追跡方法が、Tgavalekosに記載されるように、カテーテル先端106における1以上の磁場トランスデューサ、及び別個のカテーテルを用いて患者内に挿入されうる基準追跡素子を含んでもよい。この場合、前記基準追跡素子は、ホストシステム302内のトラッカ314に無線で又は有線で通信的に結合される。ホストシステム302は、ソフトウェア、ハードウェア、ファームウェア又はこれらの組み合わせで実現されることができる。
【0046】
以下で論じられる装置300の移動依存実施例のような、一部の実施例において、マイクロコントローラ312は、カテーテル308のハンドルにおける電子制御部と信号を交換するように設計されることができる。一部の実施例に対して、マイクロコントローラ装置312は、1以上の集積回路として実施されることができる。
【0047】
図4A、4B、4Cを参照すると、追跡及び視点ベースの撮像は、移動独立プロセス400又は代わりに移動依存プロセス404、408によって実現可能である。プロセス400、404、408は、ホストシステム302内のマイクロコントローラ312により管理される。
【0048】
移動独立プロセス400に対して、全体ビュー204が、取得された生超音波無線周波数(RF)データから形成される(ステップS412)。全体ビュー204は、RFデータの体積セットを構成する特定の幾何形状に関連付けられる。前記形状は、心臓又は心臓の一部のような器官に限定されうる。全体ビュー204から、カテーテル先端106における反響構造110、112が検出される(ステップS416)。前記構造のうち近位のもの110から、位置114が得られ、両方の構造110、112から、ローカルビュー方向118が得られる(ステップS420)。前記構造のエコー輝度は、これらの輝度が自動的に区別可能であるようなものである。前記区別は、前記全体ビューを構成する前記撮像において、位置及び向きトラッカ314により、行われる。構造110、112は、各々、カテーテル308の壁に挟まれた環状のガス充満ギャップであることができる。位置114及び方向118を補足するために、先端106の向きも、得られうる。しかしながら、前記カテーテルの向きは、必要とされない又は望まれなくてもよく、この場合、任意の向きが、座標系変換目的で提供されることができる。ここで上に示されたように、反響構造110、112を実施する代替例は、電磁追跡である。その結果は、ホストシステム302により導出される。前記導出は、離れた追跡設備からの受け取りのおかげで起こる。又は、前記導出は、前記基準追跡素子からの入力に基づいて位置及び向きトラッカ314により実行される計算の結果として起こる。導出されたパラメータから、全体ビュー204の座標は、ローカルビュー形成ソフトウェア316の座標系変換モジュール318によりローカル座標に変換される。これは、ローカルビュー120を形成する(ステップS424)。ローカル及び全体ビュー120、204は、ディスプレイ320上に表示される(ステップS428)。撮像が、続行すべき場合(ステップS432)、処理はステップ412に戻る。上述のように、プロセス400は、リアルタイムで動作することができ、毎秒少なくとも一回反復する。
【0049】
第1の移動依存プロセス404は、同様であるが、第3及び第4のステップS420、S424の間に条件付き分岐を含む。遠位先端106の移動が検出されない場合(ステップS422)、処理は、座標変換ステップS424をスキップし、ローカル及び全体ビュー120、204を表示する(ステップS428)。先端移動は、位置114、方向118、又は前記向きのいずれかが、以前の反復以降に変化した場合に、検出される。
【0050】
第2の移動依存プロセス408は、ステップS436を用いて、先端移動が検出されるまで最後のステップS432の後に前記プロセスを条件付きで停止する。このプロセス408における先端移動は、カテーテル308のハンドルにおけるユーザ制御部を用いて検出される。前記ハンドル制御部は、ホストシステム302内のマイクロコントローラ312に無線又は有線で通信的に結合される。
【0051】
オプションのローカルビュー表示初期化プロセス500は、
図5に例示される。この実施例において、手術器具追跡及び視点ベース撮像装置300は、細長い手術器具304に対する操作設備を特徴づけ、方向118における軸に関する向きを前記設備からのフィードバックに適合させることにより前記変換を調整するように構成される。この実施例は、ユーザが、例えば、表示されるローカルビュー120が、「右」カテーテル操作ケーブルを引く場合に右方向運動及び「左」操作ケーブルを引く場合に左方向運動を特徴づけるように、前記向きを必要とする又は望む場合を対象としている。オプションとして、ユーザは、例えば、ローカルビュー120を回転させるようにインタラクティブに画面上のスライドバーを用いて、ローカルビュー向き初期化制御部324を操作する(ステップS510)。これは、ユーザ誘導回転によって前記変換を調整するローカルビュー形成ソフトウェアを含む。前記ユーザは、この場合、カテーテル遠位先端106をわずかに操作するように前記カテーテルハンドルを動作することにより回転配置を試験する(ステップS520)。前記ユーザは、ローカルビュー120が、まだ前記操作と整列されていないことを画面上で見る場合、ステップS510に戻るか、他の形で、整列が完了される。
【0052】
追跡及び視点ベース撮像装置は、細長い器具の遠位先端における場所の位置及びそこからの方向を導出し、前記位置及び方向によって座標系変換を実行し、前記場所から及び前記変換の結果に基づいて、前記先端とともに移動するローカルビューを形成するように構成される。前記装置は、前記移動に対して、前記ローカルビューの視野を固定した状態に保つことができるが、前記ローカルビューを、他の形で、前記位置及び前記方向と同調させることができる。リアルタイム超音波撮像から、前記ローカルビューと、前記先端を含むが、前記先端とともに移動しない、より全体的なビューとが、表示されることができる。前記遠位先端は、カテーテルのものであることができ、動的ローカル及び全体撮像の組み合わせによりインタラクティブに支援される手術に対するマイクロマニピュレータを装備されることができる。
【0053】
前記追跡及び視点ベース撮像装置の応用は、心臓介入及びマイクロマニピュレータを使用する他の超音波支援手術を含む。
【0054】
本発明は、図面及び先行する記載に詳細に図示及び記載されているが、このような図示及び記載は、説明的又は典型的であり、限定的ではないと見なされるべきであり、本発明は、開示された実施例に限定されない。
【0055】
例えば、静止TEEプローブが、実例となる実施例において使用されるが、静止経胸壁心エコー検査(TTE)プローブが、代わりに使用されてもよい。また、心臓カテーテルのようなカテーテルが、実例となる実施例において使用される細長い器具であるが、腹腔鏡、内視鏡、結腸鏡又は検鏡のような他の細長い器具が、上で提案されているものの意図される範囲内である。また、上で提案されたものは、治療又は診断に限定されず、例えば、追跡及び視点ベースの撮像は、構造を見せるように組織を移動する前記マイクロマニピュレータとともに、検視において使用されてもよい。
【0056】
開示された実施例に対する他の変形例は、図面、開示及び添付の請求項の検討から、請求された発明を実施する当業者により理解及び達成されることができる。請求項において、単語「有する」は、他の要素又はステップを除外せず、不定冠詞「ある」は、複数を除外しない。請求項内の参照符号は、その範囲を限定すると解釈されるべきではない。
【0057】
コンピュータプログラムは、光記憶媒体又は半導体媒体のような適切なコンピュータ可読媒体に瞬間的に、一時的に又はより長い時間期間に対して記憶されることができる。このような媒体は、一時的な伝搬信号ではないという意味でのみ持続性であるが、レジスタメモリ、プロセッサキャッシュ、RAM及び他の揮発性メモリのような他の形式のコンピュータ可読媒体を含む。
【0058】
単一のプロセッサ又は他のユニットが、請求項に記載された複数のアイテムの機能を満たしてもよい。特定の方策が相互に異なる従属請求項に記載されているという単なる事実は、これらの方策の組み合わせが有利に使用されることができないことを示さない。