【課題を解決するための手段】
【0008】
本明細書においては、音声増強装置、及び音声増強装置を含む呼吸マスク、並びに呼吸マスクの着用者ための音声伝達を増強する方法が説明される。
【0009】
1つ以上の実施形態では、本明細書に記載されている音声増強装置及び方法は呼吸マスクの清浄空気封入部内の第1の周波数範囲内の音響エネルギーを検出し、スピーカを用いて清浄空気封入部の外部へ補償音響エネルギーを送出する。1つ以上の実施形態では、補償音響エネルギーは、補償音響エネルギーが所定の減衰周波数範囲の少なくとも90%にわたってマスク本体の音響減衰分布よりも6dB未満大きい振幅を有するような、所定の減衰振幅分布を呈する。1つ以上の実施形態では、補償音響エネルギーは、1つ以上の減衰周波数範囲にわたって均一であるか、又は不均一である減衰振幅分布を有して送出されてもよい。
【0010】
1つ以上の実施形態では、1つ以上の所定の減衰周波数範囲は、呼吸マスク全般、又は音声増強装置が用いられる特定の形式の呼吸マスクの減衰特性に基づき選択されてもよい。呼吸マスクの減衰特性は、マスクを通されないか、又は振幅を減少させて通される音声の周波数範囲の単数の部分又は複数の部分として説明されてもよい。本明細書に記載されている音声増強装置及び方法は、清浄空気封入部の外部へ1つ以上の減衰周波数範囲内の補償音響エネルギーを送出することによって、呼吸マスクによって生じる減衰を補償してもよい。そうすることで、本明細書に記載されている音声増強装置及び方法は、呼吸マスクの着用者の近くの人による音声の了解度を高めてもよい。1つ以上の実施形態では、補償音響エネルギーは、1つ以上の減衰周波数範囲にわたって均一であるか、又は不均一である減衰振幅分布を有して送出されてもよい。
【0011】
本明細書に記載されている音声増強装置及び方法は、音声周波数範囲全体の一部のみにわたる、及び/又は1つ以上の選択された減衰振幅分布を有する音響エネルギーを送出するので、例えば、より広い周波数範囲、例えば、本明細書に記載されている装置及び方法を用いて清浄空気封入部内で検出されたとおりの周波数範囲の全てにわたる、又は減衰振幅分布を有しない音響エネルギーを送出するように設計されたシステムと比べて、本明細書に記載されている装置及び方法を用いて音声を増強するために必要とされる電力は低減され得る。
【0012】
一態様では、本明細書に記載されているとおりの呼吸マスクの1つ以上の実施形態は、マスクと着用者の口及び鼻との間に清浄空気封入部を画定するように構成されるマスク本体と、音声増強装置と、を含んでもよい。音声増強装置は、マスク本体への取り付けのために構成されるマイクロホンであって、マイクロホンは、マスク本体に取り付けられると清浄空気封入部内の音響エネルギーを検出するように更に構成される、マイクロホンと、清浄空気封入部の外部で音響エネルギーを生成するように構成されるスピーカと、スピーカ及びマイクロホンに動作可能に接続されるコントローラと、を含む。
【0013】
1つ以上の実施形態では、コントローラは、マイクロホンから音声信号を受信する工程であって、音声信号は、第1の周波数範囲内のマイクロホンによって検出された音響エネルギーを指示する、受信する工程と、スピーカへ出力信号を送出する工程であって、出力信号は、スピーカに、補償音響エネルギーを放出させるように構成され、補償音響エネルギーは、第1の周波数範囲の全てに満たない部分をカバーする1つ以上の所定の減衰周波数範囲内で放出され、補償音響エネルギーは、1つ以上の所定の減衰周波数範囲のそれぞれの所定の減衰周波数範囲にわたって所定の減衰振幅分布を含む、送出する工程と、を実行するように構成されてもよい。
【0014】
本明細書に記載されている呼吸マスクの1つ以上の実施形態では、所定の減衰振幅分布は1つ以上の所定の減衰周波数範囲のうちの少なくとも1つの所定の減衰周波数範囲にわたって均一である。
【0015】
本明細書に記載されている呼吸マスクの1つ以上の実施形態では、所定の減衰振幅分布は1つ以上の所定の減衰周波数範囲のうちの少なくとも1つの所定の減衰周波数範囲にわたって不均一である。
【0016】
本明細書に記載されている呼吸マスクの1つ以上の実施形態では、音声増強装置はセレクタを含み、セレクタはコントローラに動作可能に接続され、2つ以上の異なる所定の減衰周波数範囲から1つ以上の所定の減衰周波数範囲を選択するように構成される。
【0017】
本明細書に記載されている呼吸マスクの1つ以上の実施形態では、音声増強装置はセレクタを含み、セレクタはコントローラに動作可能に接続され、2つ以上の異なる所定の減衰振幅分布から1つ以上の所定の減衰振幅分布を選択するように構成される。
【0018】
本明細書に記載されている呼吸マスクの1つ以上の実施形態では、マイクロホン、スピーカ及びコントローラは、コントローラに動作可能に接続される電力源とともに筐体内に配置され、筐体はマスク本体への取り付けのために構成される。1つ以上の実施形態では、呼吸マスクはポートを含み、音声増強装置の筐体は、ポートへの選択的取り付けのために構成される取り付け部品を含む。
【0019】
本明細書に記載されている呼吸マスクの1つ以上の実施形態では、マイクロホンは、マスク本体への取り付けのために構成された筐体に取り付けられ、スピーカ及びコントローラは補助筐体内に配置される。
【0020】
本明細書に記載されている呼吸マスクの1つ以上の実施形態では、1つ以上の所定の減衰周波数範囲は1つの所定の減衰周波数範囲のみを含む。
【0021】
本明細書に記載されている呼吸マスクの1つ以上の実施形態では、1つ以上の所定の減衰周波数範囲は約10,000Hz以下の上限を含む。
【0022】
本明細書に記載されている呼吸マスクの1つ以上の実施形態では、1つ以上の所定の減衰周波数範囲は約300Hz以上の下限を含む。
【0023】
別の態様では、本明細書に記載されているとおりの呼吸マスクへの取り付けのために構成される音声増強装置の1つ以上の実施形態は、呼吸マスクの清浄空気封入部内の音響エネルギーを検出するように構成されるマイクロホンと、内部でマイクロホンが、音響エネルギーを検出するように構成される清浄空気封入部の外部で音響エネルギーを生成するように構成されるスピーカと、マイクロホン及びスピーカに動作可能に接続されるコントローラと、を含んでもよい。1つ以上の実施形態では、コントローラは、マイクロホンから音声信号を受信する工程であって、音声信号は、第1の周波数範囲内のマイクロホンによって検出された音響エネルギーを指示する、受信する工程と、スピーカへ出力信号を送出する工程であって、出力信号は、スピーカに、補償音響エネルギーを放出させるように構成され、補償音響エネルギーは、第1の周波数範囲の全てに満たない部分をカバーする1つ以上の所定の減衰周波数範囲内で放出され、補償音響エネルギーは、1つ以上の所定の減衰周波数範囲のそれぞれの所定の減衰周波数範囲にわたって所定の減衰振幅分布を含む、送出する工程と、を実行するように構成されてもよい。
【0024】
本明細書に記載されている音声増強装置の1つ以上の実施形態では、所定の減衰振幅分布は1つ以上の所定の減衰周波数範囲のうちの少なくとも1つの所定の減衰周波数範囲にわたって均一である。
【0025】
本明細書に記載されている音声増強装置の1つ以上の実施形態では、所定の減衰振幅分布は1つ以上の所定の減衰周波数範囲のうちの少なくとも1つの所定の減衰周波数範囲にわたって不均一である。
【0026】
本明細書に記載されている音声増強装置の1つ以上の実施形態では、音声増強装置はセレクタを含み、セレクタはコントローラに動作可能に接続され、2つ以上の異なる所定の減衰周波数範囲から1つ以上の所定の減衰周波数範囲を選択するように構成される。
【0027】
本明細書に記載されている音声増強装置の1つ以上の実施形態では、音声増強装置はセレクタを含み、セレクタはコントローラに動作可能に接続され、2つ以上の異なる所定の減衰振幅分布から1つ以上の所定の減衰振幅分布を選択するように構成される。
【0028】
本明細書に記載されている音声増強装置の1つ以上の実施形態では、マイクロホンは、内部でマイクロホンが、音響エネルギーを検出するように構成される清浄空気封入部を画定する呼吸マスクのポートへの取り付けのために構成される筐体内に配置される。1つ以上の実施形態では、スピーカ及びコントローラは筐体内に配置される。1つ以上の実施形態では、スピーカ及びコントローラは補助筐体内に配置される。
【0029】
本明細書に記載されている音声増強装置の1つ以上の実施形態では、1つ以上の所定の減衰周波数範囲は1つの所定の減衰周波数範囲のみを含む。
【0030】
本明細書に記載されている音声増強装置の1つ以上の実施形態では、1つ以上の所定の減衰周波数範囲は約10,000Hz以下の上限を含む。
【0031】
本明細書に記載されている音声増強装置の1つ以上の実施形態では、1つ以上の所定の減衰周波数範囲は約300Hz以上の下限を含む。
【0032】
本明細書に記載されているとおりの音声を増強する方法の1つ以上の実施形態では、本方法は、マイクロホンを用いて呼吸マスクの清浄空気封入部内の音響エネルギーを検出する工程、音声信号をマイクロホンからコントローラへ送出する工程であって、音声信号は、第1の周波数範囲内の検出された音響エネルギーを指示する、送出する工程と、スピーカへ出力信号を送出する工程であって、出力信号はスピーカに、清浄空気封入部の外部へ、第1の周波数範囲の全てに満たない部分をカバーする1つ以上の所定の減衰周波数範囲内で補償音響エネルギーを放出させ、補償音響エネルギーは1つ以上の所定の減衰周波数範囲のそれぞれの所定の減衰周波数範囲にわたって所定の減衰振幅分布を含む、送出する工程と、を含んでもよい。
【0033】
本明細書に記載されている方法の1つ以上の実施形態では、所定の減衰振幅分布は1つ以上の所定の減衰周波数範囲のうちの少なくとも1つの所定の減衰周波数範囲にわたって均一である。
【0034】
本明細書に記載されている方法の1つ以上の実施形態では、所定の減衰振幅分布は1つ以上の所定の減衰周波数範囲のうちの少なくとも1つの所定の減衰周波数範囲にわたって不均一である。
【0035】
本明細書に記載されている方法の1つ以上の実施形態では、本方法は、2つ以上異なる所定の減衰周波数範囲から1つ以上の所定の減衰周波数範囲を選択する工程を含む。
【0036】
本明細書に記載されている方法の1つ以上の実施形態では、本方法は、2つ以上異なる所定の減衰振幅分布から1つ以上の所定の減衰振幅分布を選択する工程を含む。
【0037】
本明細書に記載されている方法の1つ以上の実施形態では、マイクロホンは筐体に取り付けられ、本方法は、筐体を呼吸マスク上のポートに取り付ける工程含む。
【0038】
本明細書に記載されている方法の1つ以上の実施形態では、1つ以上の所定の減衰周波数範囲は1つの所定の減衰周波数範囲のみを含む。
【0039】
本明細書に記載されている方法の1つ以上の実施形態では、1つ以上の所定の減衰周波数範囲は約10,000Hz以下の上限を含む。
【0040】
本明細書に記載されている方法の1つ以上の実施形態では、1つ以上の所定の減衰周波数範囲は約300Hz以上の下限を含む。
【0041】
「好ましい」及び「好ましくは」という語は、特定の状況下で特定の利点をもたらし得る本明細書に記載される実施形態を指す。しかしながら、同一又は他の環境下で、他の実施形態も好ましい可能性がある。更に、1つ以上の好ましい実施形態の記載は、他の実施形態が有用でないことを示唆するものではなく、また、本発明の範囲から他の実施形態を排除することを意図するものでもない。
【0042】
本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用される場合、単数形の「1つの(a)」、「1つの(an)、及び「該(the)」は、文脈がそうではないと明確に示さない限り、複数の指示対象を含む。したがって、例えば、「1つの(a)」又は「該(the)」構成要素への言及は、複数の構成要素及び当業者に既知のそれらの等価物のうちの1つ以上を含み得る。更に、「及び/又は」という用語は、列記される要素の1つ又は全て若しくは列記される要素の任意の2つ以上の組み合わせを意味する。
【0043】
「含む」という用語及びその変形は、これらの用語が添付の説明で用いられる場合、制限的意味を有さないことに留意する。更に、「1つの(a)」、「1つの(an)」、「該(the)」、「少なくとも1つ」、及び「1つ以上」は、本明細書において、交換可能に使用される。
【0044】
左、右、前方、後方、上部、底部、側、上方、下方、水平、垂直等の相対語が、本明細書において使用される場合があり、その場合、特定の図面において見られる視点からである。これらの用語は、説明を簡単にするためだけに使用され、しかしながら、本発明の範囲を決して制限しない。
【0045】
上述の概要は、本明細書に記載されているとおりの音声増強装置、音声増強装置を含む呼吸マスク、及び音声伝達を増強する方法のそれぞれの実施形態又はあらゆる実装形態を説明することを意図されてはいない。むしろ、本発明のより完全な理解は、添付図面の図を考慮して、以下の発明を実施するための形態及び特許請求の範囲を参照することによって、明らかとなり、理解される。