特許第6243460号(P6243460)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6243460耐加水分解性気泡材料、その組成物および製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6243460
(24)【登録日】2017年11月17日
(45)【発行日】2017年12月6日
(54)【発明の名称】耐加水分解性気泡材料、その組成物および製造方法
(51)【国際特許分類】
   C08G 18/10 20060101AFI20171127BHJP
   C08G 18/63 20060101ALI20171127BHJP
   C08G 101/00 20060101ALN20171127BHJP
【FI】
   C08G18/10
   C08G18/63 030
   C08G101:00
【請求項の数】7
【外国語出願】
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-52627(P2016-52627)
(22)【出願日】2016年3月16日
(62)【分割の表示】特願2014-6728(P2014-6728)の分割
【原出願日】2006年8月3日
(65)【公開番号】特開2016-130319(P2016-130319A)
(43)【公開日】2016年7月21日
【審査請求日】2016年4月15日
(31)【優先権主張番号】0552529
(32)【優先日】2005年8月17日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】506036574
【氏名又は名称】サン−ゴバン イノベイティブ マテリアルズ ベルギー エス. エー.
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100077517
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 敬
(74)【代理人】
【識別番号】100087413
【弁理士】
【氏名又は名称】古賀 哲次
(74)【代理人】
【識別番号】100146466
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 正俊
(74)【代理人】
【識別番号】100128495
【弁理士】
【氏名又は名称】出野 知
(72)【発明者】
【氏名】レーマン,イブ
【審査官】 柳本 航佑
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−189830(JP,A)
【文献】 特開2001−106757(JP,A)
【文献】 特表2004−516371(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G 18/10
C08G 18/63
C08G 101/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリオール成分及びポリイソシアネート成分を含む架橋したポリウレタンプレポリマーからなる耐加水分解性気泡材料であって、前記耐加水分解性気泡材料が以下の工程
a)ポリオール成分とポリイソシアネート成分を反応させてイソシアネート末端基を有するポリウレタンプレポリマーを形成すること、ここで前記ポリオール成分とポリイソシアネート成分のNCO/(H+NH2)モル比は2〜5である、
b)このポリウレタンプレポリマーを押出し、押出されたポリウレタンプレポリマーを得ること、
c)加圧気体を注入することにより押出されたポリウレタンプレポリマーを発泡すること、
d)押出されたポリウレタンプレポリマーのイソシアネート末端基を水と反応させることにより、押出されたポリウレタンプレポリマーを架橋させること
を含む方法により得られ、前記ポリウレタンプレポリマーのポリオール成分が、スチレン/アクリルニトリルコポリマーの鎖によりグラフトされたポリエーテルポリオールを含む、耐加水分解性気泡材料。
【請求項2】
シーリング、絶縁もしくは制振のためのシールまたはシールの一部のための、ストリップ、シート、ストランドもしくはチューブの形態であることを特徴とする、請求項1に記載の耐加水分解性気泡材料。
【請求項3】
前記架橋が、室温かつ相対湿度50〜60%において行われる、請求項1に記載の耐加水分解性気泡材料。
【請求項4】
前記架橋が、55〜60℃かつ相対湿度85〜95%において行われる、請求項1に記載の耐加水分解性気泡材料。
【請求項5】
前記ポリイソシアネート成分がメチレンビス(4-フェニルイソシアナート)である、請求項1に記載の耐加水分解性気泡材料。
【請求項6】
前記ポリエーテルポリオールがポリ(エチレンオキシド/プロピレンオキシド)エーテルポリオールである、請求項1に記載の耐加水分解性気泡材料。
【請求項7】
請求項1記載の耐加水分解性気泡材料の製造方法であって、以下の工程
a)ポリオール成分とポリイソシアネート成分を反応させてイソシアネート末端基を有するポリウレタンプレポリマーを形成すること、ここで前記ポリオール成分とポリイソシアネート成分のNCO/(H+NH2)モル比は2〜5である、
b)このポリウレタンプレポリマーを押出し、押出されたポリウレタンプレポリマーを得ること、
c)加圧気体を注入することにより押出されたポリウレタンプレポリマーを発泡すること、
d)押出されたポリウレタンプレポリマーのイソシアネート末端基を水と反応させることにより、押出されたポリウレタンプレポリマーを架橋させること
を含み、前記ポリウレタンプレポリマーのポリオール成分が、スチレン/アクリルニトリルコポリマーの鎖によりグラフトされたポリエーテルポリオールを含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、気泡材料、より詳細には、発泡ポリウレタンポリマーから作られた軟質可撓性材料、特にシーリング、絶縁または制振要素を製造するために使用できる気泡材料に関するものである。
【背景技術】
【0002】
このような材料は特に、自動車産業および種々の電子機器を製造する産業で使用できる。自動車産業におけるそれらの使用例としては、種々のドア、ドアトリム、ヘッドライト、空調ユニットなどへの取り付けを意図する発泡シールがある。
【0003】
これらの発泡ポリウレタンシールの製造は、大気中または制御雰囲気下で架橋する事により気泡体になる適当な粘度を有する材料を、シールを装着しなければならない部分に溶着または押出しする事によって実施する。この材料の適用は、グルーブ、前部または平滑表面に実施できる。
【0004】
発泡層は以下のごとく製造する事もできる。適当な粘度を有する材料を、シリコーンまたは弗素化製品などを含浸させた紙もしくはガラス繊維、またはプラスチックフィルムのような媒体上にシートとして押出すことにより溶着させ、次に、シートの厚さを調整し生成物を発泡および架橋させた後、この層を剥離除去し、次いで所望のシール寸法に切断する。或いは、この気泡体を、完成された気泡製品の重要部分を形成する非ノンスティック基質、例えばポリエステルフィルム上に積層する。
【0005】
溶着される材料は、前もって製造しておき、使用するまで不活性雰囲気中に保存できる安定な形態とする事ができる。このような系は「一成分」系と呼ばれる。或いは、溶着される材料は、互いに別々に保存されている成分から製造され、適用直前に、計量および混合機器を用いて適当な量で混合される。この系は「二成分」系と呼ばれる。
【0006】
これらの技術のより詳細な説明については、本出願企業の欧州特許0930323B1を参照できる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
これらの発泡材料は、特に湿潤環境におけるそれらの機械的特性、温度挙動および耐老化性が自動車製造業者によって確立された標準に適合する事を証明する試験に合格しなければならない。これらの標準は次第に厳格になりつつある。
【0008】
発泡ポリウレタンシールは、水分に長時間接触すると加水分解する危険性がある。自動車製造業者は、耐加水分解性を評価できる加圧オートクレーブ中での厳格な老化試験を開発した。本出願企業の知る限りにおいて、現在市場にある発泡ポリウレタンシールは、最新の自動車製造業の要件に適合する結果を与えていない。
【0009】
このような発泡材料の改善を求めて本出願企業は、ポリマーマトリックスの処方に配合するための特別なファミリーのポリオールの使用が所望結果の達成を可能にする事を発見した。本発明の対象となるのはこの使用である。
【課題を解決するための手段】
【0010】
故に、本発明の一つの対象は、第一に、耐加水分解性軟質気泡材料のポリマーマトリックスを形成するポリウレタンの、ポリオール成分またはポリオール−ポリアミン成分を形成するために用いる、
ポリスチレン、ポリアクリロニトリルおよびスチレン/アクリロニトリルコポリマーのうち少なくとも1種の鎖によってグラフトされたポリエステルおよびポリエーテルポリオール、ならびに、
ポリスチレン、ポリアクリロニトリルおよびスチレン/アクリロニトリルコポリマーのうち少なくとも1種が分散されているポリエステルおよびポリエーテルポリオール
から選ばれる、前記ポリオール成分の少なくとも一部もしくは前記ポリオール−ポリアミン成分のポリオール部分の少なくとも一部を構成する、少なくとも1種のポリオール(P)の使用である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
「スチレン/アクリロニトリルコポリマー」という語は、ランダムコポリマー、ブロックコポリマーおよびこれらの組み合わせを意味するものと理解する。
【0012】
本発明に係るポリオール群(P)は特に、その主鎖に、スチレンおよびアクリロニトリル、のうち少なくとも1種から誘導されるセグメントがグラフトされている、ポリエーテルおよびポリエステルポリオールである。このポリエーテルおよびポリエステルポリオールの主鎖は、例えばポリ(エチレンオキシド)、ポリ(プロピレンオキシド)またはポリ(プロピレンオキシド-エチレンオキシド)である。
【0013】
グラフトPO/PEポリエーテルポリオールでは、そのバックボーンは、エチレンオキシド単位およびプロピレンオキシド単位を組み込んだコポリマー(このようなコポリマーは、場合により、エチレンオキシドオリゴマーがプロピレンオキシドオリゴマーに結合しているブロックコポリマーであってよい);ランダムコポリマー(エチレンオキシドサブユニットおよびプロピレンオキシドサブユニットがランダムに分布している);またはブロックポリマーおよびランダムポリマーの組み合わせであるポリマーである。
【0014】
グラフトポリエーテルポリオールの例は米国特許US-A-4670477に見いだす事ができ、その中では、それらは修飾されたポリエーテルポリオールとして記載されている。ポリスチレンまたはポリアクリロニトリルのうち少なくとも一方が分散されているポリ(エチレンオキシド/プロピレンオキシド)エーテルポリオールもまた記載されている。
【0015】
グラフトポリオールは幾つかの企業から市販されている。Bayer社製の「ポリマーポリオール」と呼ばれるポリオール、BASF社製の「グラフトポリオール」と呼ばれるポリオール、およびDow社製の「コポリマーポリオール」と呼ばれるポリオールがある。
【0016】
ポリオールまたはポリオール群(P)は、ポリウレタンプレポリマーのポリオール成分またはポリオール-ポリアミン成分の少なくとも5%(重量)、特に10%(重量)に相当するのが好都合である。
【0017】
気泡材料は、シーリング、絶縁または制振のためのシールまたはシールの一部のための、ストリップ、シート、ストランドまたはチューブの形態とする事ができる。
【0018】
本発明の別の対象は、
(A)少なくとも2に等しい官能基を有する少なくとも1種のポリオールから形成されたポリオール成分、または、少なくとも2に等しい官能価を有する少なくとも1種のポリオールおよび少なくとも2に等しい官能価を有する少なくとも1種のポリアミンから形成されたポリオール-ポリアミン成分[ここで、該ポリオール成分の少なくとも一部、または該ポリオール-ポリアミン成分のポリオール部分の少なくとも一部は、ポリスチレン、ポリアクリロニトリルおよびスチレン/アクリロニトリルコポリマー、のうち少なくとも一つの鎖によってグラフトされたポリエステルおよびポリエーテルポリオール、ならびに、ポリエステルおよびポリエーテルポリオール[ここに、ポリスチレン、ポリアクリロニトリルおよびスチレン/アクリロニトリルコポリマー、のうち少なくとも1種が分散されている]から選ばれる、少なくとも1種のポリオール(P)によって形成されている];および、
(B)ポリイソシアナート成分、
を含み、成分(A)および(B)の量が特に、該成分(A)および(B)が、少なくとも2、特に約2〜5、好ましくは2〜3.5のNCO/(OH+NH2)モル比で反応できるように選択される事を特徴とする、耐加水分解性軟質気泡材料のポリウレタンポリマーマトリックスの形成を目的とする組成物である。
【0019】
ポリオール群(P)以外のポリオールまたはポリオール群および成分(A)の処方に配合できるポリアミンは、ポリエステル;ポリカプロラクトン;ポリエーテル;ポリオレフィン、特にヒドロキシル化EVAコポリマー;飽和または不飽和ポリブタジエン;ポリイソプレン;およびポリジメチルシロキサン、例えば、
脂肪族および/または芳香族ポリエステルタイプ、好ましくはほぼ脂肪族、特に脂肪族グリコール、場合によりジエチレングリコールから誘導される、ならびに脂肪族および/または芳香族酸から誘導されるもの;または、
ポリエーテルタイプのもの、特にポリエチレンオキシドおよび/またはポリプロピレンオキシドまたはポリテトラヒドロフラン、
の主鎖をそれぞれ有するポリオールおよびポリアミンから選択できる。
【0020】
ポリオールまたはポリオール-ポリアミン成分は、10000g/mol前後またはこれ以下、好ましくは約500〜4000g/mol、特に1500〜3500g/molの分子量を有するオリゴマーであるのが好都合である。
【0021】
その官能価は、好ましくは上限値として約2であり、そして特に1500〜3500g/molである。
【0022】
成分(B)は、単純分子、特に少なくとも2個のイソシアナート官能基を有する芳香族分子、そしてさらに、オリゴマー(特に上記の範囲から選択できる分子量を有する)、プレポリマーの形態に修飾された上記イソシアナート、およびイソシアナートプレポリマーから選択でき、少なくとも2に等しい官能価を有するこれらのオリゴマーおよびプレポリマーはイソシアナート末端基を有する。
【0023】
成分(B)を形成するイソシアナートまたはイソシアナート群は、したがって、パラフェニレンジイソシアナート、トランス-1,4-シクロヘキサンジイソシアナート、3-イソシアナートメチル-3,3,5-トリメチルシクロヘキシルイソシアナート、1,5-ナフタレンジイソシアナート、メチレンビス(4-フェニルイソシアナート)(ピュアMDI)、クルードMDI、トルエン2,4-ジイソシアナート(2,4-TDI)、トルエン2,6-ジイソシアナート(2,6-TDI)、およびそれらの混合物、例えば、80%の2,4異性体を含む80/20 TDIまたは65/35 TDI、そしてさらに粗製TDI(未精製80/20 TDI)から選択できる。
【0024】
これらの化合物の中でも、粗製またはピュアMDIまたはこの二者の混合物が最も好ましい。
【0025】
イソシアナート化合物については、官能価は好ましくは上限値として約2、特に約2〜2.8である。
【0026】
本発明に係る組成物は、さらに、微粒子または粉体、有機または鉱物性増量剤、例えば炭酸カルシウムおよびカーボンブラック;可塑剤、着色剤、安定剤、界面活性剤、気泡調節剤および触媒、から選ばれる少なくとも1種の常套的添加剤を含む事ができ、このような添加剤または添加剤群は、通常、成分(A)と合せられている。
【0027】
「増量剤」という語は、本明細書では一般的に、ポリマーマトリックスに可溶性でなく混和性でもないがポリマーマトリックス中に分散して最終化合物の性質または特性(機械的性質、化学的性質、色、製造コスト)の1またはそれ以上を改善できる生成物を意味するものと理解する。
【0028】
本発明に係る組成物の第一の態様によれば、この組成物は、場合により少なくとも1種の添加剤を配合していてもよい成分(A)および(B)の反応から生成されるイソシアナート末端基を有するポリウレタンプレポリマーより成る、粘稠なペーストの形状である(一成分生成物)。
【0029】
このような反応は当業者に周知であり、反応温度および時間は使用する成分に応じて変わる。
【0030】
一つの変形によれば、イソシアナート末端基を有するポリウレタンプレポリマーは、トリアルコキシシリル化反応を受けて、トリアルコキシシリル末端基を有するポリウレタンプレポリマーを生成する。NCO基と反応できるトリアルコキシシランは、アミノプロピルトリメトキシシランのようなアミノプロピルトリアルコキシシラン、またはトリアルコキシメルカプトシランであってよい。
【0031】
本発明に係る組成物の第二の態様によれば、成分(A)および(B)は、発泡剤としての水の存在下に、使用直前に混合し(二成分系)、次いでこの混合物を、適用時に、部分または支持体上に押し出して気泡材料を生成する事を意図している。
【0032】
本発明のさらに別の対象は、上記定義による組成物の押出しによって気泡材料を製造する方法であって、
a)上に定義したような成分(A)および(B)の反応によりポリウレタンプレポリマーを製造し(一成分生成物);
b)場合により、この一成分生成物を水分を避けて保存し;
c)この生成物を加圧気体と混合して押出し可能材料を形成させ;
d)発泡が活性化された押出し材料を取得するため、或る量の押出し可能材料を押出し;そして、
e)発泡を進行させ、湿潤雰囲気下に押出し材料を架橋させる、
より成る工程を含むことを特徴とする方法である。
【0033】
加圧気体は好ましくは窒素とする事ができるが、この目的に合う事が知られている他の気体、即ち空気、二酸化炭素、n-ペンタン等でもよい。
【0034】
湿潤雰囲気下での架橋処理は、当業者に周知の条件下で、例えば室温〜80℃の温度範囲において、約40〜100%の相対湿度を有する雰囲気下で実施できる。
【0035】
本発明はさらに、上に定義したような組成物の押出しによる、気泡材料の製造方法に関するものであり、その方法は、
a)押出し可能材料を取得するため、二成分系を形成する、別々に保存された二つの成分(A)および(B)を、水の存在下で(この水は、初めから成分(A)に添加されているか、または混合時にのみ導入される)混合し;
b)所定量の押出し可能材料を押出し;そして、
c)大気中または制御環境下で架橋を進行させる、
より成る工程を含むことを特徴とする。
【0036】
第一の上記方法の工程d)または第二の上記方法の工程b)において、押出し可能材料は、それを受け入れようとする部分に溶着し、特にこの材料は、当該部分にシーリング、絶縁または制振シールを形成するためにバンドまたはストランドまたはリングとして溶着できる。
【0037】
該部分の表面のネガティブインプリントを担持するノンスティック表面を有する金型中に押出しを行い、その後この表面に移動させる事もまた考えられる。
【0038】
第一の上記方法の工程d)または第二の上記方法の工程b)においては、押出し可能材料をバンド、層またはディスクとして、シリコーン、弗素化製品などを含浸させた紙もしくはガラス繊維、またはプラスチックフィルムのような支持体上に溶着させ、この支持体/押出し材料のアセンブリを、押出し材料の厚みを制御するため、場合により2個のロールの間を通過させ、次いで、場合によりシーリング、絶縁または制振シールにとって望ましい形状およびサイズに切り取られた発泡した押出し材料を分離する事もできる。
【0039】
「押出し」という語は、本明細書では、広い意味において、流体または粘稠な状態にある材料を適用開口部またはノズルに移動させる技術を意味するものと理解する。この用語は、本発明を、当該材料の形状を一致させる技術に限定するものではなく、材料は、開口部を出る際にノズル出口とは実質的に異なる寸法を自由にとる。
【0040】
最後に本発明は、イソシアナート末端基を有するポリウレタンプレポリマーの押出しにより得られる耐加水分解性気泡材料に関するものでもあり、ここで、発泡は、加圧気体の注入および/または水および該イソシアナート末端基の間の化学反応によって行われ、少なくとも1種のポリオール(P)は、ポリスチレン、ポリアクリロニトリルおよびスチレン/アクリロニトリルコポリマー、のうち少なくとも1種の鎖によってグラフトされたポリエステルおよびポリエーテルポリオール、ならびに、ポリスチレン、ポリアクリロニトリルおよびスチレン/アクリロニトリルコポリマー、のうち少なくとも1種が分散されているポリエステルおよびポリエーテルポリオールから選ばれ、当該気泡材料のポリマーマトリックスを形成しているポリウレタンのポリオール成分またはポリオール-ポリアミン成分の処方中に配合され、このポリオールまたはポリオール群(P)は、当該ポリオール成分の少なくとも一部、または当該ポリオール-ポリアミン成分のポリオール部分の少なくとも一部に相当する。
【0041】
この気泡材料は、シーリング、絶縁または制振シールのためのストリップ、シート、ストランドまたはチューブの形態であるのが好都合である。
【0042】
シーリングを確実とするため、それは、適用しようとする部分にしっかりと付着させてあり、その後、そのシールを圧迫するのに好適な何らかの機械的手段により、裏部分がその部分/シールアセンブリに固定されるようになる。
【0043】
以下の実施例に本発明を説明するが、その範囲を限定するものではない。これらの実施例においてパーセンテージは、それに反する旨の指摘がない限り、重量で表現する。
【実施例】
【0044】
実施例1
ポリウレタンプレポリマーの製造
スチレン/アクリロニトリルコポリマーによりグラフトされたポリエーテルをメチレンビス(4-フェニルイソシアナート)(MDI)と反応させる事により、ポリウレタンプレポリマーを製造した。このグラフトポリエーテルは、BASF社によりLUPRANOL類として販売されているものであり;19.8前後のOH数である事を特徴としている(製品1gあたりのKOHのmgで表現)。使用されるMDIは、官能性2およびイソシアナートNCO基含有率33.5%(製品1gあたりのNCO相当物のwt%)を有するピュアMDIと、官能性2.7およびイソシアナートNCO基含有率31.5%(製品1gあたりのNCO相当物のwt%)を有するクルードMDIの混合物であった。クルードMDIは、イソシアナート総重量の24%(重量)に相当していた。
【0045】
LUPRANOL 50kgを乾燥空気で表面をフラッシングしつつ混合機に入れ、約95℃の温度に加熱した。
【0046】
次に、ピュアMDI 5.8kgおよびクルードMDI 1.8kgを加えて初期のNCO/OHモル比を3.4とし、中等度の撹拌で混合物をホモジナイズした。
【0047】
理論的NCOパーセンテージ含有率に到達したならば、生成物の0.275%量のアミン型触媒、カーボンブラック0.4%、およびシリコーン界面活性剤0.25%を加えた。ホモジナイズした後、この生成物を乾燥雰囲気下で速やかに包装した。
【0048】
気泡材料の製造
上で製造した一成分生成物を、
- 生成物の貯蔵品および押出し温度までこの生成物を加熱する手段;
- 粘稠な生成物のためのデリバリー管および加圧窒素のためのデリバリー管を取り付けた混合装置;および、
- 押出しノズルを備えた押出し可能材料のためのデリバリー管、
を含むEP-A-0654297に開示された型の発泡機中、加圧窒素の存在下で押し出した。
【0049】
混合装置のチェンバー内の温度および圧力の影響下で、窒素は一成分生成物に溶解した。押出しノズルの出口においてこの材料は大気圧に暴露され、この圧力低下が、ポリマーを膨張させる気泡の生成と共に窒素の放出をもたらした。
【0050】
直径6mm前後の押出しストランドを形成させるよう押出し条件を適合させた。ノズルを35℃に加熱し、押出しチャネルを出る際に材料の粘度が所望の値を維持するようにした。
【0051】
押出し操作の後、押し出されたストランドを、2種類の条件下の湿潤雰囲気中で架橋させる工程を実施した:室温および相対湿度約50ないし60%、或いは高温雰囲気、例えば適当なチェンバー中、55℃ないし60℃且つ85%ないし95%の相対湿度。
【0052】
伸びの測定
得られた気泡材料の伸びを測定し、次いで加水分解後に測定した(ISO 2440標準の条件下に、水分飽和雰囲気中120℃のオートクレーブで15時間)。
【0053】
DIN 53571標準に従い、引っ張り速度300mm/分およびジョー間隙100mmで、直径6mmのロッド上で伸びを測定した。
【0054】
本発明の実施例2〜4
グラフトポリオールの代わりに、この同じグラフトポリオールをエチレンオキシド/プロピレンオキシド混合物に基づくポリエーテルとのブレンドとして使用する以外は実施例1の方法に従った(同じNCO/OHモル比)。エチレンオキシド/プロピレンオキシド混合物に基づくポリエーテルは、BASF社により商品名LUPRANOLとして販売されているものであり、28前後のOH数を特徴としている(製品1gあたりのKOHのmgで表現)。
【0055】
実施例2〜4は、これら2つの成分の相対比で区別された。これらの成分の量(kg)を以下の表に示す。
【表1】
【0056】
比較実施例
ポリオール相がエチレンオキシド/プロピレンオキシド混合物に基づくポリエーテルのみで構成されていた事以外は実施例1ないし4の方法に従った。
【0057】
伸びの数値の変化による気泡材料の加水分解の評価
気泡材料の加水分解は、ポリウレタンマトリックスの鎖を破壊し、それがこの材料の伸びの増大を導く。換言すると、材料の分解が少ないほど伸びの変化も小さい。
【0058】
下の表は、本発明の実施例の各々について、比較実施例に記載の気泡材料について得られた伸びの変化に関して標準化された伸びのパーセンテージ変化を示す。
この表はさらに、同じ時間を経た後のシールの高さ縮みまたは高さの減少(%)をも示す。
【0059】
【表2】
【0060】
この表は、スチレン/アクリロニトリルコポリマーによりグラフトされたポリエーテルの存在が、ポリエーテル鎖の分解を著しく減少させている事を明確に示している。