特許第6243462号(P6243462)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6243462
(24)【登録日】2017年11月17日
(45)【発行日】2017年12月6日
(54)【発明の名称】洗濯方法
(51)【国際特許分類】
   D06F 35/00 20060101AFI20171127BHJP
   C11D 3/08 20060101ALI20171127BHJP
   C11D 3/10 20060101ALI20171127BHJP
   C11D 3/386 20060101ALI20171127BHJP
   C11D 3/39 20060101ALI20171127BHJP
   C11D 7/12 20060101ALI20171127BHJP
   C11D 7/42 20060101ALI20171127BHJP
   C11D 7/54 20060101ALI20171127BHJP
【FI】
   D06F35/00 Z
   C11D3/08
   C11D3/10
   C11D3/386
   C11D3/39
   C11D7/12
   C11D7/42
   C11D7/54
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-75330(P2016-75330)
(22)【出願日】2016年4月4日
(65)【公開番号】特開2017-184961(P2017-184961A)
(43)【公開日】2017年10月12日
【審査請求日】2016年5月25日
【審判番号】不服2017-7218(P2017-7218/J1)
【審判請求日】2017年5月19日
【早期審理対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】515210503
【氏名又は名称】株式会社ハッシュ
(74)【代理人】
【識別番号】100108006
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 昌弘
(72)【発明者】
【氏名】浅川 ふみ
【合議体】
【審判長】 田村 嘉章
【審判官】 井上 哲男
【審判官】 間中 耕治
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−993(JP,A)
【文献】 特表2007−505234(JP,A)
【文献】 特開2008−196075(JP,A)
【文献】 特表2004−502831(JP,A)
【文献】 特表2000−505138(JP,A)
【文献】 特開昭61−284292(JP,A)
【文献】 特表2003−513799(JP,A)
【文献】 特開平7−109489(JP,A)
【文献】 特表2003−504529(JP,A)
【文献】 特開2003−147394(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2013/72416(US,A1)
【文献】 特開2013−253352(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3037037(JP,U)
【文献】 特表2001−504538(JP,A)
【文献】 花王株式会社,シミ・汚れの種類別落とし方[食べ物・飲み物編],2016年1月29日,URL,http://www.kao.co.jp/lifei/support/25
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C11D 1/00-19/00
D06B 1/00-23/30
D06C 3/00-29/00
D06F 1/00-51/02,58/00-60/00
D06G 1/00-5/00
D06H 1/00-7/24
D06J 1/00-1/12
D06L 1/00-3/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被洗濯物を水洗いする第1の工程(ST21)と、
前記第1の工程で水洗いした前記被洗濯物のしみ部分に対して水が乾く前に、タンパク加水分解酵素及び水を含有する洗剤を塗布する第2の工程(ST22)と、
前記洗剤を日光が当たらない場所で乾かす第3の工程(ST23)と、
前記第3の工程の後に前記しみ部分に前記洗剤を塗布する第4の工程(ST24)と、
前記第4の工程で塗布された洗剤を日光が当たらない場所で乾かす第5の工程(ST25)と、
前記第3の工程後に、前記第4の工程及び前記第5の工程のセットを複数回繰り返した後に、前記しみ部分に前記洗剤を塗布し、水で濡らす第6の工程(ST28)と、
前記第6の工程の後に前記しみ部分を擦る第7の工程(ST29)と、
前記第7の工程の後に前記被洗濯物を水洗いする第8の工程(ST30)と、
前記第8の工程の水洗いされた前記被洗濯物が乾く前に、前記しみ部分に前記洗剤を塗布する第9の工程(ST31)と、
前記第9の工程の後に、塗布された前記洗剤を日光が当たらない場所で乾かす第10の工程(ST32)と、
前記第10の工程の後に前記しみ部分に前記洗剤を塗布する第11の工程(ST33)と、
前記第10の工程及び前記第11の工程を所定回数繰り返した後に、前記しみ部分に前記洗剤を塗布して水で濡らす第12の工程(ST34,ST35)と、
前記第12の工程の後に前記しみ部分を擦る第13の工程(ST36)、
前記第13の工程の後に前記被洗濯物を水洗いする第14の工程(ST37)と、
前記しみ部が落ちるまで、前記第2工程から前記第8の工程を繰り返す第15の工程(ST38,ST39)と
を有する洗濯方法。
【請求項2】
被洗濯物を水洗いする第1の工程(ST11)と、
前記第1の工程で水洗いした前記被洗濯物のしみ部分に対して水が乾く前に、タンパク加水分解酵素及び水を含有する洗剤を塗布する第2の工程(ST12)と、
前記第2の工程後に、前記被洗濯物の前記洗剤を日光が当たらない場所で乾かす第3の工程(ST13)と、
前記第3の工程の後に、前記しみ部分に対して前記洗剤を塗布する第4の工程(ST12)、
前記第4の工程の後に前記被洗濯物から前記洗剤を洗い流す第5の工程(ST15)と
を有し、
前記第2の工程後に、前記第3の工程及び前記第4の工程のセットを少なくとも1回行った後に前記第5の工程を行う
洗濯方法。
【請求項3】
前記第3の工程は日光を当てずに乾かし、
前記第5の工程の後に前記被洗濯物を乾かす第6の工程(ST16)を有し、
前記被洗濯物の一部に前記洗剤を塗布する第1の前工程(ST1)と、
前記第1の前工程で塗布された前記洗剤を乾かす第2の前工程(ST2)と、
前記第2の前工程の後に前記被洗濯物を水洗いする第3の前工程(ST3)と、
前記第3の前工程後に、前記被洗濯物に前記洗剤の塗布による変色が無い場合に、前記第1〜5の工程を行う
請求項2に記載の洗濯方法。
【請求項4】
前記洗剤は、
a)水中の過酸化水素と反応して炭素数7〜19のアルキル基を有する有機過酸を生成する有機過酸前駆体と過酸化水素放出体を含有する漂白洗剤組成物と、
b)タンパク加水分解酵素と、
c)炭酸水素ナトリウムと、
d)水
とを成分として含有し、
a,b,c,d成分の重量比が
a:b:c:d=10000:10〜30:10〜60:800〜1200
である
請求項1〜3のいずれかに記載の洗濯方法。
【請求項5】
前記成分a、b、c、dを攪拌して得られ、
a,b,c,d成分の重量比が、
a:b:c:d=10000:16〜20:30〜40:900〜1100
であり、
前記a成分は、
下記成分、
a1)界面活性剤:
a2)結晶性アルカリ金属ケイ酸塩
a3)a2成分以外の金属イオン封鎖剤を含有し、
前記a1,a2,a3成分の合計量が前記漂白洗剤組成物中の70〜99重量%を占め、a1成分に対するa2成分の割合が重量比でa2/a1=90/10〜45/55であり、a3成分に対するa2成分の割合がa2/a3=7/93〜75/25であって、かつa1成分としての非イオン性界面活性剤に対する有機過酸前駆体の割合が重量比で10/90〜70/30である
請求項4に記載の洗濯方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、親油的な汚れに対して優れた洗浄性を発揮する洗剤(しみ抜き剤)を用いた洗濯方法に関する
【背景技術】
【0002】
衣服等の被洗濯物に付着した食べこぼし、口紅等の親油的な汚れは、通常の洗濯機による洗濯のみでは落ちないことが多い。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上述したような親油的な汚れを洗濯による落としたいという要請がある。
本発明の目的は、親油的な汚れに対して優れた洗浄性を発揮する洗濯方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上述した従来技術の問題点を解決し、上述した目的を達成するために、本発明の洗濯方法は、被洗濯物を水洗いする第1の工程(ST11)と、前記第1の工程で水洗いした前記被洗濯物のしみ部分に対して水が乾く前に、タンパク加水分解酵素及び水を含有する洗剤を塗布する第2の工程(ST12)と、前記第2の工程後に、前記被洗濯物の前記洗剤を日光が当たらない場所で乾かす第3の工程(ST13)と、前記第3の工程の後に、前記しみ部分に対して前記洗剤を塗布する第4の工程(ST12)、前記第4の工程の後に前記被洗濯物から前記洗剤を洗い流す第5の工程(ST15)とを有し、前記第2の工程後に、前記第3の工程及び前記第4の工程のセットを少なくとも1回行った後に前記第5の工程を行う。
【0005】
本発明の洗濯方法によれば、親油的な汚れに対して優れた洗浄性を発揮できる。
【0006】
好適には本発明の洗濯方法の前記第3の工程は日光を当てずに乾かす。
【0007】
好適には本発明の洗濯方法は、前記第の工程の後に前記被洗濯物を乾かす第の工程(ST16)を有する
【0008】
好適には本発明の洗濯方法は、前記被洗濯物の一部に前記洗剤を塗布する第1の前工程(ST1)と、前記第1の前工程で塗布された前記洗剤を乾かす第2の前工程(ST2)と、前記第2の前工程の後に前記被洗濯物を水洗いする第3の前工程(ST3)と、前記第3の前工程後に、前記被洗濯物に前記洗剤の塗布による変色が無い場合に、前記第1〜4の工程を行う。
【0009】
また、本発明の洗濯方法は、被洗濯物を水洗いする第1の工程(ST21)と、前記第1の工程で水洗いした前記被洗濯物のしみ部分に対して水が乾く前に、タンパク加水分解酵素及び水を含有する洗剤を塗布する第2の工程(ST22)と、前記洗剤を日光が当たらない場所で乾かす第3の工程(ST23)と、前記第3の工程の後に前記しみ部分に前記洗剤を塗布する第4の工程(ST24)と、前記第4の工程で塗布された洗剤を日光が当たらない場所で乾かす第5の工程(ST25)と、前記第3の工程後に、前記第4の工程及び前記第5の工程のセットを複数回繰り返した後に、前記しみ部分に前記洗剤を塗布し、水で濡らす第6の工程(ST28)と、前記第6の工程の後に前記しみ部分を擦る第7の工程(ST29)と、前記第7の工程の後に前記被洗濯物を水洗いする第8の工程(ST30)と、前記第8の工程の水洗いされた前記被洗濯物が乾く前に、前記しみ部分に前記洗剤を塗布する第9の工程(ST31)と、前記第9の工程の後に、塗布された前記洗剤を日光が当たらない場所で乾かす第10の工程(ST32)と、前記第10の工程の後に前記しみ部分に前記洗剤を塗布する第11の工程(ST33)と、前記第10の工程及び前記第11の工程を所定回数繰り返した後に、前記しみ部分に前記洗剤を塗布して水で濡らす第12の工程(ST34,ST35)と、前記第12の工程の後に前記しみ部分を擦る第13の工程(ST36)と、前記第13の工程の後に前記被洗濯物を水洗いする第14の工程(ST37)と、前記しみ部が落ちるまで、前記第2工程から前記第8の工程を繰り返す第15の工程(ST38,ST39)とを有する。

【0010】
この構成によれば、墨汁、カビ、泥、血液等の親油的な汚れに対して優れた洗浄性を発揮できる。
【0011】
好適には本発明の洗濯方法の前記洗剤は、a)水中の過酸化水素と反応して炭素数7〜19のアルキル基を有する有機過酸を生成する有機過酸前駆体と過酸化水素放出体を含有する漂白洗剤組成物と、b)タンパク加水分解酵素と、c)炭酸水素ナトリウムと、d)水とを成分として含有し、,b,c,d成分の重量比が:b:c:d=10000:10〜30:10〜60:800〜1200である。
【0012】
この構成によれば、当該洗剤を用いることで、親油的な汚れに対してさらに優れた洗浄性を発揮できる。
【0013】
好適には本発明の洗濯方法の前記洗剤は、前記成分a、b、c、dを攪拌して得られている。
【0014】
好適には本発明の洗濯方法の前記洗剤は、a,b,c,d成分の重量比が、a:b:c:d=10000:16〜20:30〜40:00〜100である。
【0015】
好適には本発明の洗濯方法の前記洗剤の前記a成分は、下記成分、a1)界面活性剤:a2)結晶性アルカリ金属ケイ酸塩a3)a2成分以外の金属イオン封鎖剤を含有し、前記a1,a2,a3成分の合計量が前記漂白洗剤組成物中の70〜99重量%を占め、a1成分に対するa2成分の割合が重量比でa2/a1=90/10〜45/55であり、a3成分に対するa2成分の割合がa2/a3=7/93〜75/25であって、かつa1成分としての非イオン性界面活性剤に対する有機過酸前駆体の割合が重量比で10/90〜70/30である。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、親油的な汚れに対して優れた洗浄性を発揮する洗剤を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1は、本発明の実施形態に係わる洗濯方法の前工程(適合テスト)を説明するためのフローチャートである。
図2図2は、本発明の実施形態に係わる洗濯方法の基本しみ抜き手順を説明するためのフローチャートである。
図3図3は、本発明の実施形態に係わる洗濯方法の墨汁、カビ、泥、血液等が付着した被洗濯物のしみ抜き手順を説明するためのフローチャートである。
図4図4は、本発明の実施形態に係わる洗濯方法の墨汁、カビ、泥、血液等が付着した被洗濯物のしみ抜き手順を説明するための図3の続きのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態に係わる洗濯方法について説明する。
[前工程(適合テスト)]
図1は、本発明の実施形態に係わる洗濯方法の前工程(適合テスト)を説明するためのフローチャートである。
ステップST1:
衣服等の被洗濯物の一部(目立たない部分)に前記洗剤を塗布する。
【0019】
ステップST2:
室内干し等で、日光が当たらない環境で、洗剤を乾かす。
【0020】
ステップST3:
被洗濯物を洗濯機に入れて水洗い洗濯する。
【0021】
ステップST4:
ステップST3の後に、被洗濯物に洗剤の塗布による変色が無い場合に、後述する洗剤を用いた洗濯の本工程を行う。変色がある場合は、本実施形態の洗濯方法を行わない。
【0022】
このように前工程を行うことで、被洗濯物が洗剤によって変色して使用できなくなることを回避できる。
【0023】
[基本しみ抜き工程]
図2は、本発明の実施形態に係わる洗濯方法の基本しみ抜き手順を説明するためのフローチャートである。
ステップST11:
被洗濯物を洗濯機で水洗いする。被洗濯物がデリケート素材の場合は手洗いする。
【0024】
ステップST12:
ステップST11で水洗いした被洗濯物が乾く前に、しみ部分に本実施形態の洗剤を塗布する。
【0025】
ステップST13:
ステップST12の後に、被洗濯物に塗布された洗剤を室内等の日光が当たらない場所で乾かす(自然乾燥させる)。
【0026】
ステップST14:
しみが取れるか、あるいはステップST12,ST13を3回繰り返した場合に、ステップST15に進む。
【0027】
ステップST15:
被洗濯物を洗濯機で洗う。被洗濯物がデリケート素材の場合は手洗いする。
【0028】
ステップST16:
被洗濯物を乾かす。このときには日光に当てても良い。
【0029】
上述した図2に示す洗濯方法によれば、親油的な汚れに対して優れた洗浄性を発揮することができる。
【0030】
[墨汁、カビ、泥、血液等が付着した被洗濯物のしみ抜き手順]
図3及び図4は、本発明の実施形態に係わる洗濯方法の墨汁、カビ、泥、血液等が付着した被洗濯物のしみ抜き手順を説明するためのフローチャートである。
ステップST21:
被洗濯物を洗濯機で水洗いする。被洗濯物がデリケート素材の場合は手洗いする。
【0031】
ステップST22:
ステップST21で水洗いした被洗濯物が乾く前に、しみ部分に本実施形態の洗剤を塗布する(1回目)。
【0032】
ステップST23:
ステップST22で被洗濯物に塗布された洗剤を室内等の日光が当たらない場所で乾かす(自然乾燥させる)(1回目)。
【0033】
ステップST24:
しみ分に本実施形態の洗剤を塗布する(2回目)。
【0034】
ステップST25:
ステップST24で被洗濯物に塗布された洗剤を室内等の日光が当たらない場所で乾かす(自然乾燥させる)(2回目)。
【0035】
ステップST26:
しみ部分に本実施形態の洗剤を塗布する(3回目)。
【0036】
ステップST27:
ステップST26で被洗濯物に塗布された洗剤を室内等の日光が当たらない場所で乾かす(自然乾燥させる)(3回目)。
【0037】
ステップST28:
しみ部分に前記洗剤を塗布し、水で濡らす。
【0038】
ステップST29:
しみ部分を擦る。
【0039】
ステップST30:
被洗濯物を洗濯機で水洗いする。
【0040】
ステップST31:
ステップST30で水洗いされた被洗濯物が乾く前に、しみ部分に洗剤を塗布する。
【0041】
ステップST32:
ステップST31で被洗濯物に塗布された洗剤を室内等の日光が当たらない場所で乾かす(自然乾燥させる)。
【0042】
ステップST33:
しみ部分に洗剤を塗布する。
ステップST34:
ステップST32及びST33を所定回数繰り返す。
【0043】
ステップST35:
しみ部分に洗剤を塗布して水で濡らす。
【0044】
ステップST36:
被洗濯物のしみ部分を擦る。
【0045】
ステップST37:
被洗濯物を洗濯機で洗う。被洗濯物がデリケート素材の場合は手洗いする。
【0046】
ステップS38:
ステップST22〜ST30繰り返す。
ステップST39:
しみ部分が取れたか、あるいはステップST38を3回以上繰り返した場合に作業(処理)を終了する。
【0047】
上述した図2に示す洗濯方法によれば、墨汁、カビ、泥、血液等が付着した被洗濯物のしみに対して優れた洗浄性を発揮することができる。
【0048】
以下、上述した本実施形態の洗濯方法に用いられる洗剤を説明する。
本実施形態の洗剤は、
a)水中の過酸化水素と反応して炭素数7〜19のアルキル基を有する有機過酸を生成する有機過酸前駆体と過酸化水素放出体を含有する漂白洗剤組成物と、
b)タンパク加水分解酵素と、
c)炭酸水素ナトリウムと、
d)水
とを成分として含有している。
【0049】
前記a,b,c,d成分の重量比は、以下である。
a:b:c:d=10000:10〜30:10〜60:800〜1200
【0050】
本実施形態の洗剤は、例えば、a成分を10kg、b成分を10〜30g、c成分を10〜60g、水を1リットルを用意し、これらを攪拌して製造される。
【0051】
第1の容器に、成分aを入れる。
また、第2の容器に、加熱された1リットルの水(お湯)を容器に入れ、b成分とc成分とを入れて溶かす。
次に、第1の容器に、第2の容器の液体を入れて攪拌して洗剤を得る。
【0052】
本実施形態の洗剤のa,b,c,d成分の重量比は、好ましくは以下である。
a:b:c:d=10000:16〜20:30〜40:900〜1100
【0053】
以下、a成分について詳細に説明する。
a成分である漂白洗剤組成物は、水中の過酸化水素と反応して炭素数7〜19のアルキル基を有する有機過酸を生成する有機過酸前駆体と過酸化水素放出体を含有する粒状又は粉末状の漂白洗剤組成物である。
【0054】
水中の過酸化水素と反応して有機過酸を生成する有機過酸前駆体としては、アルカノイルオキシベンゼンスルホン酸塩類、アルカノイルオキシ安息香酸塩類、N, N, N', N'−テトラアセチルエチレンジアミン等が挙げられるが、下記の一般式で示されるアルカノイルオキシベンゼンスルホン酸塩が、保存安定性、漂白性能が高いため好ましく用いられる。
【0055】
【化1】
【0056】
式中、Rは炭素数7〜19の直鎖のアルキル基又はアルキレン基を示し、Mはアルカリ金属を示す。)
【0057】
上記式において、Rの具体例としては、ヘプチル基、オクチル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、ノナデシル基等が挙げられ、好ましくはウンデシル基、ドデシル基が挙げられる。Mの具体例としては、ナトリウム、カリウム等が挙げられ、好ましくはナトリウムである。なお、上記の一般式で示されるアルカノイルオキシベンゼンスルホン酸塩は、オルト、メタ、パラ体のいずれでもよいが、パラ体を主成分とするものが好ましい。
【0058】
上記のような有機過酸前駆体の使用量に関しては、非イオン性界面活性剤に対する有機過酸前駆体の割合が重量比で10/90〜70/30であり、好ましくは15/85〜50/50である。有機過酸前駆体の割合がこの範囲より少ないと前述のごとく、界面活性剤比が高くなり十分に漂白活性化剤(有機過酸)が生成せず、下着の黄ばみ汚れ等に十分な洗浄性が得られなくなる傾向があり、この範囲より多いと相対的に界面活性剤比が低くなり、皮脂汚れ洗浄性が低下する傾向がある。なお、上記の有機過酸前駆体の製造方法としては、通常公知の方法、例えばフェノールスルホン酸塩と対応する炭素数の酸クロライド等を反応させる等の方法が用いられる。
【0059】
用いられる過酸化水素放出体としては、粒状又は粉体状の過炭酸塩、過ホウ酸塩、過リン酸塩、過ケイ酸塩等が挙げられ、好ましくは過炭酸塩、特に好ましくは過炭酸ナトリウムが挙げられる。このような過酸化水素放出体は、有効酸素濃度が好ましくは5〜15%、さらに好ましくは7〜13%の粒状又は粉末状物であり、漂白洗剤組成物中の使用量は、好ましくは0.5〜15重量%、さらに好ましくは1〜10重量%、最も好ましくは2〜7重量%である。
【0060】
本実施形態においては、上記の有機過酸前駆体と過酸化水素放出体により、有機過酸が生成するが、このような有機過酸としては、過脂肪酸等が挙げられ、炭素数7〜19、特に炭素数8〜14の直鎖アルキル基を有する過脂肪酸である場合が好ましい。炭素数7未満であると、肌着等の黄変や皮脂汚れに対する洗浄力が劣る傾向があり、炭素数19を超えると溶解性が悪く、使用が困難である。
【0061】
a成分の漂白洗剤組成物は、上記の成分以外に、下記成分、a1)界面活性剤、a2)結晶性アルカリ金属ケイ酸塩、a3)a2成分以外の金属イオン封鎖剤を含有するものである。
【0062】
これらの成分の含有量と含有比率は以下のとおりである。即ち、上記a1,a2,a3成分の合計量は、漂白洗剤組成物中の70〜99重量%であり、好ましくは80〜96重量%である。この合計量がこの範囲より少ないと、十分な洗浄効果を得ることができない。
【0063】
a1成分に対するa2成分の割合は重量比でa2/a1=90/10〜45/55であり、好ましくは80/20〜50/50である。a2成分の割合がこの範囲より少ないと有機過酸の生成が抑制され、加えて皮脂汚れ洗浄性も低下する傾向があり、この範囲より多いと本発明の効果を十分得られなくなる傾向がある。
【0064】
a3成分に対するa2成分の割合はa2/a3=7/93〜75/25であり、好ましくは15/85〜65/35である。a2成分の割合がこの範囲よりはずれると本発明の効果を十分得られなくなる傾向がある。

【0065】
低い界面活性剤濃度は、洗濯液中の洗剤濃度を低くすることで達成することができる。洗剤濃度は、標準使用量より決定される。洗剤濃度は通常、使用される洗濯用水の硬度によって異なる。この理由は洗濯用水の硬度によって金属イオン封鎖剤の量を調製する必要がある為である。
本実施形態では、上述した洗剤を用いることで、界面活性剤が酵素を浸透させてバラバラに分解されたシミを炭酸水素ナトリウムで生地の表面に浮き上がらせ、過酸化水素水で色素系のシミを脱色し、それらの残留物を水ですすぎ流すことで、シミを効果的に除去できる。
【0066】
本発明は上述した実施形態には限定されない。
すなわち、当業者は、本発明の技術的範囲またはその均等の範囲内において、上述した実施形態の構成要素に関し、様々な変更、コンビネーション、サブコンビネーション、並びに代替を行ってもよい。
本発明は、上述した洗剤以外の洗剤を用いてもよい。
また、上述した図1図4に示す各工程の一部あるいは全部を機械で自動的に行うようにしてもよい。
図1
図2
図3
図4