(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6243463
(24)【登録日】2017年11月17日
(45)【発行日】2017年12月6日
(54)【発明の名称】天井用目地装置
(51)【国際特許分類】
E04B 1/68 20060101AFI20171127BHJP
【FI】
E04B1/68 100A
【請求項の数】7
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2016-86416(P2016-86416)
(22)【出願日】2016年4月22日
(65)【公開番号】特開2017-193925(P2017-193925A)
(43)【公開日】2017年10月26日
【審査請求日】2016年10月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000110365
【氏名又は名称】ドーエイ外装有限会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080838
【弁理士】
【氏名又は名称】三浦 光康
(74)【代理人】
【識別番号】100194261
【弁理士】
【氏名又は名称】栢原 崇行
(72)【発明者】
【氏名】後藤 英夫
【審査官】
新井 夕起子
(56)【参考文献】
【文献】
特開2013−087506(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 1/68
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右の躯体の天井部分の目地部を塞ぐ天井用目地装置であって、前記左右の躯体の一方の躯体に基端部が取り付けられた固定目地プレートと、該固定目地プレートの上方の位置で前記一方の躯体に取付端部が取り付けられた支持部材と、一端部が前記固定目地プレートの突出端部あるいは突出端部付近に位置し、他端部が前記他方の躯体にヒンジ部材を介して設けられた可動目地プレートと、該可動目地プレートの上面に脚部が設けられ、前記支持部材へ伸びるガイド部材とで構成され、地震によって前記目地部が狭くなるように前記左右の躯体が揺れ動いた場合には、前記ガイド部材が前記支持部材の上面をスライドし、この動きに伴って前記可動目地プレートが前記固定目地プレートに接触しないように前記ヒンジ部材を支点に上方へ回動し、前記ガイド部材は面接触状態で前記支持部材に支持されることを特徴とする天井用目地装置。
【請求項2】
左右の躯体の天井部分の目地部を塞ぐ天井用目地装置であって、前記左右の躯体間に設けられその中央枢支部が常時目地部の左右方向の中央に位置する中央維持装置と、該中央維持装置の中央枢支部に吊り下げ部材を介して吊り下げ状態で前記左右の躯体側に突出するようにそれぞれ設けられた固定目地プレートと、前記吊り下げ部材の該固定目地プレートの上方の位置で前記左右の躯体側にそれぞれ突出するように取り付けられた支持部材と、一端部が該固定目地プレートの突出端部あるいは突出端部付近に位置し、他端部が前記一方の躯体及び他方の躯体にそれぞれヒンジ部材を介して設けられた一対の可動目地プレートと、該一対の可動目地プレートの上面に脚部がそれぞれ設けられ、前記支持部材へ伸びる一対のガイド部材とで構成され、地震によって前記目地部が狭くなるように前記左右の躯体が揺れ動いた場合には、前記一対のガイド部材が前記支持部材の上面をスライドし、この動きに伴って前記一対の可動目地プレートが前記固定目地プレートに接触しないように前記ヒンジ部材を支点に上方へ回動するとともに、前記一対のガイド部材は面接触状態で前記支持部材にそれぞれ支持されることを特徴とする天井用目地装置。
【請求項3】
前記中央維持装置は、パンタグラフ状で前記中央枢支部を有するリンク部材と、該パンタグラフ状のリンク部材の複数の枢支部にそれぞれ設けられた複数の支持バーと、前記左右の躯体間に設けられ、前記支持バーの底面を支持する複数の支持アームとから成ること特徴とする請求項2に記載の天井用目地装置。
【請求項4】
前記吊り下げ部材の上部には、前記複数の支持バーの底面に当接する当接部材が設けられていることを特徴とする請求項3に記載の天井用目地装置。
【請求項5】
前記支持部材及びガイド部材は、いずれも板状の部材で形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の天井用目地装置。
【請求項6】
前記支持部材又はガイド部材の一方は複数の角材状の部材で構成され、他方は板状の部材で構成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の天井用目地装置。
【請求項7】
前記支持部材及びガイド部材は複数の角材状の部材で構成され、少なくとも支持部材の上面又はガイド部材の底面のいずれかに板状の支持板を設けたことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の天井用目地装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は目地部を介して設けられた左右の躯体間に天井を設ける場合の天井用目地装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の天井用目地装置としては「目地部を介して建てられた左右の建物の一方の建物の天井部位の躯体に取付けられた、天井材の目地部側端部に形成された目地カバー押し上げ片と、この目地カバー押し上げ片と対向する部位の前記左右の建物の他方の建物の躯体の前後方向に固定されたガイドレールと、このガイドレールにスライド移動可能に取付けられた移動体と、この移動体に後端部が枢支され、前記目地カバー押し上げ片と当接する先端部が前記目地部が狭くなると該目地カバー押し上げ片によって上方へ回動される目地カバーと、この目地カバーの先端部の上方への回動が可能で、下方への回動を阻止する保持具とからなることを特徴とする天井用目地カバー装置」(特許文献1参照)が知られている。
【0003】
しかし、このような天井用目地装置では、目地カバーの底面が目地カバー押し上げ片の先端部分に擦れてしまい、目地カバーの底面が傷ついてしまうという欠点があった。
【0004】
このようなことを防止するために、目地カバーの底面が擦れないよう「一方の建物の天井躯体に吊り下げ具によって吊り下げ固定された先端部が目地部側端部まで位置する天井材と、この天井材の先端部と他方の建物の壁面との間を覆う目地天井カバーと、この目地天井カバーの先端部を少なくとも上方へ回動できるように後端部を前記他方の建物の壁面に取付ける取付け具と、前記目地天井カバーの先端部の上面にチャンネル状に固定された受け具と、前記一方の建物の目地部側の天井躯体に固定された、地震で目地部が狭くなると、前記受け具と係合して前記目地天井カバーの先端部を、前記天井材に衝突することなく上方へ回動させることができる目地天井カバー回動アームとからなる天井用目地装置」(特許文献2)も知られている。
【0005】
しかし、このような天井用目地装置では、受け具と目地天井カバー回動アームが略線接触となるため、目地カバーの寸法が大きくなり、その重量が大きくなると、局所的に非常に大きな荷重が加わり、アームや受具が変形するおそれがあった。
【0006】
また、このような天井用目地装置では、受具が通常時もアームに接触しているため、左右の躯体が前後方向に揺れ動いた際に、多少の揺れ動きであれば吸収できるものの、受具の幅等が限られているため、大きな揺れ動きは吸収できないという欠点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第3408181号公報
【特許文献2】特開2011−94291号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は以上のような従来の欠点に鑑み、支持部材に加わる荷重を分散することができると共に、地震で左右の躯体が異なる前後方向に大きく揺れ動いても、その揺れ動きをスムーズに吸収することができる天井用目地装置を提供することを目的としている。
【0009】
本発明の前記ならびにそのほかの目的と新規な特徴は次の説明を添付図面と照らし合わせて読むと、より完全に明らかになるであろう。
ただし、図面はもっぱら解説のためのものであって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明の天井用目地装置は、左右の躯体の天井部分の目地部を塞ぐ天井用目地装置であって、前記左右の躯体の一方の躯体に基端部が取り付けられた固定目地プレートと、該固定目地プレートの上方の位置で前記一方の躯体に取付端部が取り付けられた支持部材と、一端部が前記固定目地プレートの突出端部あるいは突出端部付近に位置し、他端部が前記他方の躯体にヒンジ部材を介して設けられた可動目地プレートと、該可動目地プレートの上面に脚部が設けられ、前記支持部材へ伸びるガイド部材とで構成され、地震によって前記目地部が狭くなるように前記左右の躯体が揺れ動いた場合には、前記ガイド部材が前記支持部材の上面をスライドし、この動きに伴って前記可動目地プレートが前記固定目地プレートに接触しないように前記ヒンジ部材を支点に上方へ回動し、前記ガイド部材は面接触状態で前記支持部材に支持されることを特徴とする。
また、本発明の天井用目地装置は、左右の躯体の天井部分の目地部を塞ぐ天井用目地装置であって、前記左右の躯体間に設けられその中央枢支部が常時目地部の左右方向の中央に位置する中央維持装置と、該中央維持装置の中央枢支部に吊り下げ部材を介して吊り下げ状態で前記左右の躯体側に突出するようにそれぞれ設けられた固定目地プレートと、前記吊り下げ部材の該固定目地プレートの上方の位置で前記左右の躯体側にそれぞれ突出するように取り付けられた支持部材と、一端部が該固定目地プレートの突出端部あるいは突出端部付近に位置し、他端部が前記一方の躯体及び他方の躯体にそれぞれヒンジ部材を介して設けられた一対の可動目地プレートと、該一対の可動目地プレートの上面に脚部がそれぞれ設けられ、前記支持部材へ伸びる一対のガイド部材とで構成され、地震によって前記目地部が狭くなるように前記左右の躯体が揺れ動いた場合には、前記一対のガイド部材が前記支持部材の上面をスライドし、この動きに伴って前記一対の可動目地プレートが前記固定目地プレートに接触しないように前記ヒンジ部材を支点に上方へ回動するとともに、前記一対のガイド部材は面接触状態で前記支持部材にそれぞれ支持されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
以上の説明から明らかなように、本発明にあっては次に列挙する効果が得られる。
(1)請求項1に記載された発明においては、ガイド部材は面接触状態で支持部材に支持されるので、支持部材に加わる荷重を分散することができ、重量の大きい可動目地プレートであっても支持することができる。
(2)ガイド部材が前記支持部材の上面をスライドするように移動し、この動きに伴って前記可動目地プレートが前記固定目地プレートに接触することなく持ち上げられるため、可動目地プレートの底面等が傷つかず、地震による揺れ動きを吸収することができる。
(3)請求項2に記載した発明も前記(1)〜(2)と同様な効果が得られるとともに、寸法の大きな目地部を塞ぐことができる。
(4)請求項3に記載の発明も前記(1)〜(3)と同様な効果が得られるとともに、複数の支持アームによって支持部材にかかる荷重を支えることができる。
(5)請求項4に記載の発明も前記(1)〜(4)と同様な効果が得られるとともに、支持部材のガタツキを防止することができる。
(6)請求項5乃至請求項7に記載の各発明も前記(1)〜(5)と同様な効果が得られるとともに、地震で左右の躯体が異なる前後方向に大きく揺れ動いても、ガイド部材は支持部材の上面をスライド移動し、その揺れ動きをスムーズに吸収することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1乃至
図7は本発明の第1の実施形態を示す説明図である。
図8乃至
図14は本発明の第2の実施形態を示す説明図である。
図15及び
図16は本発明の第3の実施形態を示す説明図である。
図17及び
図18は本発明の第4の実施形態を示す説明図である。
【
図4】地震で目地部が少し狭くなった状態の動作説明図。
【
図5】地震で目地部が狭くなった状態の動作説明図。
【
図6】地震で目地部が広くなった状態の動作説明図。
【
図7】左右の躯体が異なる前後方向に揺れ動いた場合の動作説明図。
【
図11】地震で目地部が少し狭くなった状態の動作説明図。
【
図12】地震で目地部が狭くなった状態の動作説明図。
【
図13】地震で目地部が広くなった状態の動作説明図。
【
図14】左右の躯体が異なる前後方向に揺れ動いた場合の動作説明図。
【
図15】第3の実施形態の天井用目地装置の平面図。
【
図17】第4の実施形態の天井用目地装置の平面図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面に示す本発明を実施するための形態により、本発明を詳細に説明する。
なお、本明細書では
図1を基準として左右方向、前(図面上方)後(図面下方)方向という。また、
図2を基準として上(図面上方)下(図面下方)方向という。
また、本発明において躯体とは、建物、道路、スラブ、エレベーターシャフト等の目地プレートを設置可能な建造物をいい、出入口とはドアや扉の設けられた出入口だけではなく、人や車両等が通行できる通路も含むものである。
【0014】
図1乃至
図7に示す本発明を実施するための第1の形態において、1は目地部2を介して設けられた左右の躯体3、4間に設置された天井用目地装置である。
図1乃至
図3に示すように、前記左右の躯体3、4の一方の躯体3には、本実施の形態においては目地部2の約半分を覆う板状の固定目地プレート5が設けられている。この固定目地プレート5は、その突出端部5bが傾斜面6に形成されており、基端部5aが固定的に一方の躯体3に取り付けられている。
【0015】
この固定目地プレート5の上方の一方の躯体3の壁面には、支持部材7が固定されている。この支持部材7は、板状の部材で構成され、全体的に正面視で右下がりとなるように傾斜している。この支持部材7の先端部7bには、前記傾斜よりも急角度となるような傾斜面8が形成されている。なお、取付端部7aはこの固定目地プレート5の上方の一方の躯体3の壁面にボルトによって固定的に取り付けられている。
【0016】
前記固定目地プレート5と対向する位置には、一端部9bが前記固定目地プレート5の突出端部5b付近に位置し、目地部を覆う板状の可動目地プレート9が設けられている。
この可動目地プレート9は、他端部9aが前記他方の躯体4にヒンジ部材10を介して設けられており、上方に回転可能となっている。また、可動目地プレート9の一端部9b側は、前記固定目地プレート5の突出端部5bに形成された傾斜面6と対応するような傾斜面11に形成されており、前記固定目地プレート5の突出端部5bと若干の間隔を隔てて位置するように構成されている。なお、この隙間を塞ぐように、前記固定目地プレート5の突出端部5bの底面には、カバー板12が設けられている。このカバー板12を設けることにより、通常時に生じる固定目地プレート5の突出端部5bと可動目地プレート9の一端部9bの間の隙間を塞ぐことができる。
【0017】
可動目地プレート9の他端部9a側の上面には、脚部13aが設けられ目地部2の中央側へ略水平状態で延伸し、前記支持部材7に支持される板状のガイド部材13が固定的に設けられている。このガイド部材13の先端部13bには、前記支持部材7の先端部7bに形成された傾斜面8と対応するような傾斜面14に形成されており、この傾斜面14は、通常時(地震による揺れ動きのない状態)において、前記支持部材7の先端部7bに形成された傾斜面8に当接している。
【0018】
なお、地震によって目地部が狭くなった際に、固定目地プレート5と可動目地プレート9が接触しないように支持部材7がガイド部材13をせり上げられる程度であれば、隙間を有していても良い。
【0019】
また、ガイド部材13の脚部13a側の上面には、可動目地プレート9が水平状態よりも下方へ回動しないように本実施の形態においては、複数のワイヤー15が設けられている。このワイヤー15の他端部は、他方の躯体4の壁面に固定されている。本実施の形態においては、ワイヤー15を用いているが、このような作用効果を得られるものであれば、どのような構成を用いてもよい。例えばチェーン、可動目地プレート9の他端部9aの底面に当接するブラケット等が考えられる。
【0020】
このガイド部材13の底面は、目地部が狭くなった際に前記支持部材7の上面と面接触するように、若干の傾斜が形成されている。
【0021】
地震によって左右の躯体3、4の間の目地部2が少し狭くなるように揺れ動いた場合には、
図5に示すように、ガイド部材13の先端部13bの傾斜面14が支持部材7の傾斜面8により上方に持ち上げられ、この動きにともなって可動目地プレート9もヒンジ部材10を介して上方へ回動する。この作用により、可動目地プレート9の一端部9bや底面は、固定目地プレート5と接触することなく回動する。
【0022】
さらに左右の躯体3、4の間の目地部2が狭くなると、
図6に示すように、前記ガイド部材13が前記支持部材7の上面をスライドするように移動し、この動きに伴って前記可動目地プレート9が前記固定目地プレート5に接触することなく揺れ動きを吸収する。
この時、前記ガイド部材13は面接触状態で前記支持部材7に支持されるので、可動目地プレート9の寸法が大きくなり、その重量が大きいものであっても、荷重を分散できるので、ガイド部材13や支持部材7が変形したり、破損することを防止できる。
【0023】
なお、本実施の形態においては、支持部材7及びガイド部材13をいずれも板状に構成しているが、支持部材7とガイド部材13が面接触状態で接触すればよいので、支持部材7を板状とし、ガイド部材13を多数の角材状の部材で構成してもよく、支持部材7を多数の角材状の部材で構成し、ガイド部材13を板状としてもよい。
地震によって左右の躯体3、4の間の目地部2が広くなるように揺れ動いた場合には、
図6に示すように、固定目地プレート5と可動目地プレート9が離間するように移動し、地震による揺れ動きを吸収する。
【0024】
なお、可動目地プレート9はワイヤー15により支持されているので、水平状態から下方へ回動することなく、水平状態を保ったまま左右方向にスライド移動できる。
地震によって左右の躯体3、4が異なる前後方向に揺れ動いた場合には、
図7に示すように、固定目地プレート5と可動目地プレート9が前後方向にスライド移動し、地震による揺れ動きを吸収する。
【0025】
支持部材7とガイド部材13は板状に構成されているため、これらが当接していても、前後方向の揺れ動き幅が制限されることなく、地震による揺れ動きを吸収することができる。
【0026】
また、目地部2が狭くなるとともに、左右の躯体3、4が異なる前後方向に揺れ動いた場合であっても、前後方向の揺れ動き幅が制限されることがないため、地震による揺れ動きを確実に吸収することができる。
【0027】
[発明を実施するための異なる形態]
次に、
図8乃至
図18に示す本発明を実施するための異なる形態につき説明する。なお、これらの本発明を実施するための異なる形態の説明に当って、前記本発明を実施するための第1の形態と同一構成部分には同一符号を付して重複する説明を省略する。
【0028】
図8乃至
図14に示す本発明を実施するための第2の形態において、前記本発明を実施するための第1の形態と主に異なる点は、一方の躯体3及び他方の躯体4に可動目地プレート9をヒンジ部材10を介してそれぞれ設けるとともに、左右の躯体3、4間に、その中央部が常時目地部2の左右方向の中央に位置するように中央維持装置16を設け、該中央維持装置16の中央部に角柱状の吊り下げ部材17と、この吊り下げ部材17の下部に設けられた取付板30を介して吊り下げ状態で前記左右の躯体側に突出するように固定目地プレート5A設け、前記取付板30該固定目地プレート5Aの上方に前記左右の躯体側に突出するようにそれぞれ支持部材7Aを設けた点で、このような天井用目地装置1A前記本発明を実施するための第1の形態と同様な作用効果が得られる。
【0029】
中央維持装置16は、本実施の形態においては、パンタグラフ状で前記中央枢支部18を有するリンク部材19と、該パンタグラフ状のリンク部材19の複数の枢支部18aにそれぞれ設けられた角材状の複数の支持バー20と、前記左右の躯体3、4間に設けられ、前記複数の支持バー20の底面を支持する複数の支持アーム21とで構成されている。
【0030】
なお、本実施の形態において中央枢支部18とは、リンク部材19の中央に位置する枢支部をいう。
【0031】
吊り下げ部材17と取付板30、固定目地プレート5Aは本実施の形態においては、溶接で固定されているが、ブラケット等を用いてボルトで固定してもよい。
【0032】
また、吊り下げ部材17に取付板30を介して固定目地プレート5Aが固定されているが、取付板30を用いず、吊り下げ部材17に直接固定目地プレート5Aや支持部材7Aを固定してもよい。
【0033】
前記支持アーム21は、例えば、一方の躯体3に取り付けられた基端筒22と、この基端筒22の先端部より出没するようにスライド移動可能に取付けられた中間筒23と、この中間筒23より出没するようにスライド移動可能に取付けられ、その先端部が他方の躯体に取り付けられる先端筒24とで構成されている。
【0034】
この支持アーム21は互い違いに取り付けられており、基端筒22が一方の躯体3に取り付けられている支持アーム21と隣り合う支持アーム21は、基端筒22が他方の躯体4に取り付けられ、先端筒24が一方の躯体に取り付けられている。
【0035】
このように取付けることにより、支持バー20がそれぞれ複数の基端筒22上面に支持される。
【0036】
また、前記吊り下げ部材17の上部には、前記複数の支持バー20の底面に当接する正面視逆三角形状の当接部材25が設けられている。
【0037】
この当接部材25は、吊り下げ部材17に挿入される外形円筒形状の取付具26と、この取付具26に固定され正面視逆三角形状で板状の一対の当接部材本体27と、取付具26の下端部に当接し、取付具26を吊り下げ部材17に固定する固定具28とで構成される。
【0038】
この当接部材25の上部は複数の支持バー20の底面に常時当接しているので、例えば地震によって目地部が広くなった場合等に、吊り下げ部材17及び吊り下げ部材の下部に設けられた取付板30、固定目地プレート5Aが振り子のようにガタつくことを防止できる。
【0039】
なお、中央維持装置16には、固定目地プレート5Aや可動目地プレート9の荷重がかかるため、パンタグラフ状で前記中央枢支部18を有するリンク部材19と、該パンタグラフ状のリンク部材19の複数の枢支部18aにそれぞれ設けられた角材状の複数の支持バー20と、前記左右の躯体3、4間に設けられ、前記複数の支持バー19の底面を支持する複数の支持アーム20とで構成することが望ましいが、荷重に耐えられるリンク部材19を用いる場合には、このリンク部材19のみで中央維持装置16を構成してもよい。
【0040】
図15及び
図16に示す本発明を実施するための第3の形態において、前記本発明を実施するための第1の形態と主に異なる点は、多数の角材で構成した支持部材7Bとするとともに、この支持部材7Bの上面に薄板状の支持板29を固定し、ガイド部材13Aも多数の角材で構成した点で、このような天井用目地装置1Bにしても、多数の角材で構成したガイド部材13Aの底面が、支持部材7Bの上面に薄板状の支持板29に面接触状態で支持されるため、前記本発明を実施するための第1の形態と同様な作用効果が得られる。
【0041】
なお、支持板29をガイド部材13Aの底面に固定してもよく、この支持板29は、支持部材7Bの上面の一部又はガイド部材13Aの底面の一部に設けてもよい。支持部材7Bの上面の一部又はガイド部材13Aの底面の一部に設ける場合には、支持板29の長さは、支持板29と支持部材7B又はガイド部材13Aが面接触するような寸法を確保できればよい。
【0042】
図17及び
図18に示す本発明を実施するための第4の形態において、前記本発明を実施するための第2の形態と主に異なる点は、多数の角材で構成した支持部材7Bとするとともに、この支持部材7Bの先端部7b付近の上面に薄板状の支持板29を固定し、ガイド部材13Aも多数の角材で構成した点で、このような天井用目地装置1Cにしても、前記本発明を実施するための第2の形態と同様な作用効果が得られる。
なお、支持板29をガイド部材13Aの先端部13b付近の底面に固定してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明は天井用目地装置を製造する産業で利用される。
【符号の説明】
【0044】
1、1A、1B、1C:天井用目地装置、
2:目地部、 3:一方の躯体、
4:他方の躯体、 5、5A:固定目地プレート、
6:傾斜面、 7、7A、7B:支持部材、
8:傾斜面、 9:可動目地プレート、
10:ヒンジ部材、 11:傾斜面、
12:カバー板、 13、13A:ガイド部材、
14:傾斜面、 15:ワイヤー、
16:中央維持装置、 17:吊り下げ部材、
18:中央枢支部、 19:リンク部材、
20:支持バー、 21:支持アーム、
22:基端筒、 23:中間筒、
24:先端筒、 25:当接部材、
26:取付具、 27:当接部材本体、
28:固定具、 29:支持板、
30:取付板。