特許第6243466号(P6243466)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6243466ハロオレフィンを製造するために有用な共沸混合物及び共沸混合物様の組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6243466
(24)【登録日】2017年11月17日
(45)【発行日】2017年12月6日
(54)【発明の名称】ハロオレフィンを製造するために有用な共沸混合物及び共沸混合物様の組成物
(51)【国際特許分類】
   C09K 5/04 20060101AFI20171127BHJP
   C09K 3/00 20060101ALI20171127BHJP
【FI】
   C09K5/04 C
   C09K3/00 111A
   C09K3/00 111B
   C09K5/04 D
【請求項の数】4
【外国語出願】
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2016-91190(P2016-91190)
(22)【出願日】2016年4月28日
(62)【分割の表示】特願2013-555484(P2013-555484)の分割
【原出願日】2012年2月21日
(65)【公開番号】特開2016-186076(P2016-186076A)
(43)【公開日】2016年10月27日
【審査請求日】2016年5月20日
(31)【優先権主張番号】61/445,776
(32)【優先日】2011年2月23日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】13/355,965
(32)【優先日】2012年1月23日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500575824
【氏名又は名称】ハネウェル・インターナショナル・インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】Honeywell International Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100140109
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 新次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100075270
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 泰
(74)【代理人】
【識別番号】100101373
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 茂雄
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100120754
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 豊治
(72)【発明者】
【氏名】ハルス,ライアン
(72)【発明者】
【氏名】ファム,ハン・ティー
(72)【発明者】
【氏名】トゥン,シュー・スン
(72)【発明者】
【氏名】ポクロフスキ,コンスタンティン・エイ
(72)【発明者】
【氏名】マーケル,ダニエル・シー
【審査官】 井上 恵理
(56)【参考文献】
【文献】 特表2010−534680(JP,A)
【文献】 国際公開第2010/123148(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09K 5/00− 5/20
C07C 17/00−25/28
C01B 7/00− 7/24
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
2,3,3,3−テトラクロロプロペン及びフッ化水素から構成される共沸混合物又は共沸混合物様の組成物であって、3.0〜7.0重量%の2,3,3,3−テトラクロロプロペン及び93.0〜97.0重量%のフッ化水素を有する共沸混合物又は共沸混合物様の組成物。
【請求項2】
18psiaの圧力において25℃の沸点を有する、請求項1に記載の共沸混合物又は共沸混合物様の組成物。
【請求項3】
2,3,3,3−テトラクロロプロペンを含む混合物から2,3,3,3−テトラクロロプロペンを取り出す方法であって、フッ化水素及び2,3,3,3−テトラクロロプロペンから構成される共沸混合物又は共沸混合物様の組成物を形成するのに十分な量のフッ化水素を前記混合物に加え;その後、前記共沸混合物又は共沸混合物様の組成物を前記混合物から分離する;ことを含む方法。
【請求項4】
5重量%の2,3,3,3−テトラクロロプロペン及び95重量%のフッ化水素から構成される請求項1に記載の共沸混合物又は共沸混合物様の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2011年2月23日出願の米国仮出願61/445,776(その内容を参照として本明細書中に包含する)に関連し、その優先権の利益を主張する。
本発明は、ハロオレフィンの製造において有用な3元及び2元の共沸混合物及び共沸混合物様の組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
クロロフルオロカーボン(CFC)又はヒドロクロロフルオロカーボン(HCFC)などのフルオロカーボンをベースとする流体は、工業用冷媒、発泡剤、熱伝達媒体、溶媒、気体状誘電体、及び他の用途において望ましい特性を有する。これらの用途において使用するため、及びハロカーボンの製造において使用するためには、単一成分の流体、又は共沸混合物様の混合物、即ち沸騰及び蒸発によって実質的に分別されないものが特に望ましい。
【0003】
残念なことに、地球温暖化及びオゾン層破壊のような懸念される環境上の問題は、これらの流体の幾つかの使用に起因するものであり、これにより現在はそれらの使用が制限されている。ヒドロフルオロオレフィン(HFO)は、CFC、HCFC、及びHFCなどに対する可能性のある代替物として提案されている。しかしながら、HFOを含む新規な環境に優しい非分別性の混合物を確認することは、共沸混合物の形成が容易に予測できないという事実のために複雑である。したがって、産業界は、HFOを製造するため、又は上記の用途の1つ又は組み合わせの範囲内で用いることができる、CFC、HCFC、及びHFCに対する許容でき且つ環境により優しい代替物である新規なHFOベースの混合物を継続的に探し求めている。本発明は中でもこれらの必要性を満足する。
【発明の概要】
【0004】
本発明は、ハロオレフィンの製造において有用な3元及び2元の共沸混合物及び共沸混合物様の組成物に関する。一形態においては、3元の共沸性又は共沸混合物様の組成物は、フッ化水素(HF)、2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(HCFO−1233xf)、及び1,1,2,3−テトラクロロプロペン又は1,1,1,2,2−ペンタフルオロプロパン(HFC−245cb)のいずれかから選択される第3の成分から実質的に構成される。2元の共沸混合物又は共沸混合物様の組成物は、2,3,3,3−テトラクロロプロペン及びフッ化水素から実質的に構成される。これには限定されないが、これらの共沸混合物の1つ又は組合せを用いて、HCFO−1233xfの製造中の反応生成物流、又は2,3,3,3−テトラフルオロプロペン(HFO−1234yf)の製造中の中間体反応流の成分を分離することができる。
【0005】
共沸混合物又は共沸混合物様の組成物が、フッ化水素、2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン、及び1,1,2,3−テトラクロロプロペンを含む態様においては、フッ化水素は約3〜約28重量%の量で与えることができ;2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンは約68〜約93重量%の量で与えることができ;そして1,1,2,3−テトラクロロプロペンは約2.5〜約4.3重量%の量で与えることができる。更なる態様においては、フッ化水素は約5.9〜約25重量%の量で存在し;2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンは約72〜約90.3重量%の量で存在し;そして1,1,2,3−テトラクロロプロペンは約3.0〜約3.8重量%の量で存在する。これは、約15〜約110psiaの間の圧力において約0〜約61℃の間の沸点を有する。更なる態様においては、これは、約16.2psiaの圧力において約0℃の沸点;約3
9.9psiaの圧力において約24.9℃の沸点;及び/又は約109.7psiaの圧力において約59.8℃の沸点;を有する。
【0006】
共沸混合物又は共沸混合物様の組成物が、フッ化水素、2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン、及び1,1,1,2,2−ペンタフルオロプロパンを含む態様においては、フッ化水素は約3.0〜約22.0重量%の量で与えることができ;2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンは約65.0〜約83.5重量%の量で与えることができ;1,1,1,2,2−ペンタフルオロプロパンは約11.1〜約15.5重量%の量で与えることができる。更なる態様においては、フッ化水素は約4.5〜約20.5重量%の量で与えることができ;2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンは約67.4〜約81重量%の量で与えることができ;そして1,1,1,2,2−ペンタフルオロプロパンは約12.1〜約14.5重量%の量で与えることができる。これは、約15〜約110psiaの間の圧力において約0〜約61℃の間の沸点を有する。更なる態様においては、これは、約18.0psiaの圧力において約0℃の沸点;約44.8psiaの圧力において約24.9℃の沸点;及び約120.0psiaの圧力において約59.7℃の沸点;を有する。
【0007】
共沸混合物又は共沸混合物様の組成物が2,3,3,3−テトラクロロプロペン及びフッ化水素を含む態様においては、2,3,3,3−テトラクロロプロペンは約3〜約7重量%の間の量、そしてフッ化水素は約93〜約97重量%の間の量で与えることができる。更なる態様においては、この2元の共沸混合物又は共沸混合物様の組成物は、約5重量%の2,3,3,3−テトラクロロプロペン及び約95重量%のフッ化水素から形成され、約18psiaの圧力において約25℃の沸点を有する。
【0008】
本発明の3元の共沸混合物は、本明細書において規定する方法を用いて、有効量のフッ化水素、2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン、及び1,1,2,3−テトラクロロプロペン又は1,1,1,2,2−ペンタフルオロプロパンのいずれかをブレンドすることによって、そして2元の共沸混合物又は共沸混合物様の組成物は、本明細書において規定する方法を用いて、有効量の2,3,3,3−テトラクロロプロペン及びフッ化水素をブレンドすることによって形成することができる。
【0009】
本発明の共沸混合物及び共沸混合物様の組成物は、1,1,2,3−テトラクロロプロペン、2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン、1,1,1,2,2−ペンタフルオロプロパン及び/又は2,3,3,3−テトラクロロプロペン、並びに少なくとも1種類の他の成分を含む混合物から、1,1,2,3−テトラクロロプロペン、2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン、1,1,1,2,2−ペンタフルオロプロパン及び/又は2,3,3,3−テトラクロロプロペンを取り出す方法において用いることができる。この方法は、本明細書において議論する3元の共沸混合物又は共沸混合物様の組成物或いは2元の共沸混合物のいずれかを形成するのに十分な量のフッ化水素を混合物に加えることを含む。形成されたら、蒸留のような標準的な分離技術を用いて、1種類又は複数の共沸混合物又は共沸混合物様の組成物を少なくとも1種類の他の成分から分離する。混合物の他の成分は、1,1,2,3−テトラクロロプロペン、2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン、1,1,1,2,2−ペンタフルオロプロパン、2,3,3,3−テトラクロロプロペン、又はこれらの組み合わせのいずれかと共沸混合物又は共沸混合物様の組成物を形成してもしなくてもよい。幾つかの形態においては、少なくとも1種類の他の成分はハロカーボンを含み、これは2,3,3,3−テトラフルオロプロペン(HFO−1234yf)を製造するためのプロセスにおける副生成物、出発試薬、又は中間体であってよい。かかるハロカーボンは、2−クロロ−1,1,1,2−テトラフルオロプロパン;1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパン;2,3,3,3−テトラフルオロプロペン;2,3−ジクロロ−3,3−ジフルオロプロペン(HCFO−1232x
f);1,2−ジクロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン;2,3,3−トリクロロ−3−フルオロプロペン(HCFO−1231xf);3,3,3−トリフルオロプロピン;及びこれらの組合せ;からなる群から選択することができる。
【0010】
本発明はまた、まず、少なくとも1種類のヒドロクロロカーボン(例えば、1,1,2,3−テトラクロロプロペン及び/又は2,3,3,3−テトラクロロプロペン)及び/又はヒドロクロロフルオロカーボンを含む出発材料をフッ素化剤と反応させて、2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン、フッ化水素、並びに1,1,2,3−テトラクロロプロペン及び/又は1,1,1,2,2−ペンタフルオロプロパンを含む反応生成物を生成させることによって2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンを製造する方法にも関する。次に、反応生成物を蒸留して、本明細書において議論する3元の共沸混合物様の組成物のいずれか又は両方を含む留出物を生成させる。次に、留出物を1種類以上の物質と接触させ、留出物から3元の共沸混合物様の組成物の少なくとも一部を分離し、即ち、3元の共沸混合物様の組成物を崩壊させるのに十分な量の2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン、フッ化水素、及び1,1,2,3−テトラクロロプロペン又は1,1,1,2,2−ペンタフルオロプロパンのいずれかを分離する。幾つかの形態においては、この接触工程は、留出物を、硫酸、苛性溶液、又は水性系と接触させ、次に留出物からフッ化水素の少なくとも一部を除去して、2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン、及び1,1,2,3−テトラクロロプロペン又は1,1,1,2,2−ペンタフルオロプロパンのいずれかを含む精製留出物を生成させることを含む。次に、精製留出物を、1,1,2,3−テトラクロロプロペン又は1,1,1,2,2−ペンタフルオロプロパンと比べて2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンに対する選択的親和性を有する抽出媒体と接触させ、次に1,1,2,3−テトラクロロプロペン又は1,1,1,2,2−ペンタフルオロプロパンから2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンを分離する。
【0011】
更なる態様においては、本発明は、1,1,2,3−テトラクロロプロペン、2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン、及びフッ化水素の共沸混合物様の組成物を与え;そして、1,1,2,3−テトラクロロプロペンの少なくとも一部を、蒸気相中でフッ素化剤と反応させて少なくとも1種類のフッ素化有機化合物を生成させる;ことによって有機化合物をフッ素化する方法に関する。或いは、かかる方法には、2,3,3,3−テトラクロロプロペン及びフッ化水素から実質的に構成される共沸混合物様の組成物を与え;そして、2,3,3,3−テトラクロロプロペンの少なくとも一部を、蒸気相中でフッ素化剤と反応させて少なくとも1種類のフッ素化有機化合物を生成させる;ことを含ませることができる。
【0012】
本発明方法にはまた、1,1,2,3−テトラクロロプロペン、2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン、及びフッ化水素の共沸混合物又は共沸混合物様の組成物を形成するのに有効な量の1,1,2,3−テトラクロロプロペン、2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン、及びフッ化水素をブレンドすることによってヒドロクロロプロペンの沸点を低下させることを含ませることもできる。或いは、かかる方法は、2,3,3,3−テトラクロロプロペン及びフッ化水素の共沸混合物様の混合物を形成するのに有効な量の2,3,3,3−テトラクロロプロペン及びフッ化水素をブレンドすることを含む。
【0013】
本発明に関する更なる態様及び有利性は、本明細書に与える開示事項に基づいて当業者に容易に明らかになるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明は、3元又は2元の共沸混合物及び共沸混合物様の組成物に関する。幾つかの態
様においては、3元の共沸混合物及び共沸混合物様の組成物は、2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(1233xf)、フッ化水素(HF)、及び1,1,2,3−テトラクロロプロペン(TCP)又は1,1,1,2,2−ペンタフルオロプロパン(HFC−245cb)のいずれかを含む。2元の共沸混合物及び共沸混合物様の組成物は、2,3,3,3−テトラクロロプロペン及びHFを含む。これには限定されないが、これらの共沸混合物の1つ又は組合せを用いて、HCFO−1233xf又は2,3,3,3−テトラフルオロプロペン(HFO−1234yf)のようなハロオレフィンの製造中の反応流の成分を分離することができる。
【0015】
本明細書において用いる「共沸混合物様」という用語は、厳密に共沸性であるか、又は概して共沸性混合物のように挙動する組成物を指す。共沸性混合物は、液体の組成と蒸気の組成が所定の圧力及び温度において等しい2以上の成分の系である。実際面では、これは、共沸性混合物の成分が一定の沸点を有するか又は実質的に一定の沸点を有し、一般に相変化中に熱力学的に分離することができないことを意味する。共沸性混合物の沸騰又は蒸発によって形成される蒸気の組成は、元の液体の組成と同一であるか又は実質的に同一である。而して、共沸混合物様の組成物の液相及び蒸気相中の成分の濃度は、組成物を沸騰させるか又は他の形態で蒸発させるにつれて、あったとしても最小にしか変化しない。これに対して、非共沸性混合物を沸騰又は蒸発させると、液相中の成分濃度が相当な程度まで変化する。
【0016】
共沸混合物様の組成物の成分に関して本明細書において用いる「実質的に構成される」という用語は、組成物が、示される成分を共沸混合物様の比で含み、更なる成分が新しい共沸混合物様の系を形成しないならば更なる成分を含んでいてもよいことを意味する。例えば、3種類の化合物から実質的に構成される共沸混合物様の混合物は、更なる成分が混合物を非共沸性にせず且つ共沸混合物を形成する化合物のいずれかと共沸混合物を形成しないならば場合によっては1以上の更なる成分を含んでいてもよい3元の共沸混合物を形成するものであり、2種類の化合物から実質的に構成される共沸混合物様の混合物は、更なる成分が混合物を非共沸性にせず且つ共沸混合物を形成する化合物のいずれかと共沸混合物を形成しないならば場合によっては1以上の更なる成分を含んでいてもよい2元の共沸混合物を形成するものである。
【0017】
本明細書において用いる「有効量」という用語は、他の成分と組み合わせることによって本発明の共沸混合物又は共沸混合物様の組成物を形成するそれぞれの成分の量を指す。
HCFO−1233xf、TCP、及びHFの3元の共沸混合物又は共沸混合物様の組成物:
一態様においては、本発明は、共沸性又は共沸混合物様の組成物を形成するのに有効な量の2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(HCFO−1233xf)、1,1,2,3−テトラクロロプロペン(TCP)、及びフッ化水素を与える。本発明の組成物は、好ましくは、HCFO−1233xf、TCP、及びフッ化水素(HF)のみの組合せから実質的に構成される3元の共沸混合物である。
【0018】
上記の幾つかの態様においては、HCFO−1233xf、TCP、及びHFの3元の共沸混合物又は共沸混合物様の組成物は、1233xfが約68〜約93重量%の量で存在し;TCPが約2.5〜約4.3重量%の量で存在し;HFが約3〜約28重量%の量で存在する;場合に形成される。更なる態様においては、かかる3元の共沸混合物又は共沸混合物様の組成物は、1233xfが約72〜約90.3重量%の量で存在し;TCPが約3〜約3.8重量%の量で存在し;HFが約5.9〜約25重量%の量で存在する;場合に形成される。
【0019】
HCFO−1233xf、TCP、及びHFの3元の共沸混合物又は共沸混合物様の組
成物は、約15〜約110psiaの間の圧力において約0〜約61℃の間の沸点を有する。幾つかの形態においては、これは、約16.2psiaの圧力において約0℃の沸点;約39.9psiaの圧力において約24.9℃の沸点;及び/又は約109.7psiaの圧力において約59.8℃の沸点;を有する。
【0020】
この共沸混合物又は共沸混合物様の組成物は、HFを、このプロセスのために公知で、下記においてより詳細に議論する出発試薬の1つ又は組み合わせと反応させることによる1233xfを製造するためのプロセス中に形成される可能性がある。本発明の共沸混合物又は共沸混合物様の組成物はまた、共沸混合物又は共沸混合物様の組成物を生成させるのに有効な量のHCFO−1233xf、TCP、及びフッ化水素(HF)をブレンドすることによって形成することもできる。この目的を達成するためには、これらの成分のそれぞれを商業的に購入することができ、及び/又は本明細書に記載するもののような当該技術において公知の方法によって製造することができる。3つ以上の成分を混合して組成物を形成する当該技術において公知の任意の広範囲の方法を、共沸混合物様の組成物を製造する本方法において用いるように適合させることができる。例えば、1233xf、TCP、及びフッ化水素(HF)は、手作業及び/又は機械によって、バッチ又は連続反応及び/又はプロセスの一部として、或いは2以上のかかる工程の組合せによって、混合、ブレンド、又は他の形態で接触させることができる。本明細書における開示事項を考慮すれば、当業者は、過度の実験を行うことなく本発明による共沸混合物様の組成物を容易に製造することができるであろう。
【0021】
HCFO−1233xf、HFC−245cb、及びHFの3元の共沸混合物又は共沸混合物様の組成物:
他の態様においては、本発明は、共沸性又は共沸混合物様の組成物を形成するのに有効な量の2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(HCFO−1233xf)、1,1,1,2,2−ペンタフルオロプロパン(HFC−245cb)、及びフッ化水素を与える。本発明の組成物は、好ましくは、HCFO−1233xf、HFC−245cb、及びフッ化水素(HF)のみの組合せから実質的に構成される3元の共沸混合物である。
【0022】
上記の幾つかの態様においては、HCFO−1233xf、HFC−245cb、及びHFの3元の共沸混合物又は共沸混合物様の組成物は、HCFO−1233xfが約65〜約83.5重量%の量で存在し;HFC−245cbが約11.1〜約15.5重量%の量で存在し;HFが約3〜約22重量%の量で存在する;場合に形成される。更なる態様においては、かかる3元の共沸混合物又は共沸混合物様の組成物は、1233xfが約67.4〜約81重量%の量で存在し;245cbが約12.1〜約14.5重量%の量で存在し;HFが約4.5〜約20.5重量%の量で存在する;場合に形成される。
【0023】
HCFO−1233xf、HFC−245cb、及びHFの3元の共沸混合物又は共沸混合物様の組成物は、約15〜約110psiaの間の圧力において約0〜約61℃の間の沸点を有する。幾つかの形態においては、これは、約18.0psiaの圧力において約0℃の沸点;約44.8psiaの圧力において約24.9℃の沸点;及び/又は約120.0psiaの圧力において約59.8℃の沸点;を有する。
【0024】
この共沸混合物又は共沸混合物様の組成物は、HFを、このプロセスのために公知で、下記においてより詳細に議論する出発試薬の1つ又は組み合わせと反応させることによるHCFO−1233xfを製造するためのプロセス中に形成される可能性がある。或いは、本発明の共沸混合物又は共沸混合物様の組成物は、共沸混合物又は共沸混合物様の組成物を生成させるのに有効な量のHCFO−1233xf、HFC−245cb、及びHFをブレンドすることによって形成することができる。この目的を達成するためには、これ
らの成分のそれぞれを商業的に購入することができ、及び/又は本明細書に記載するもののような当該技術において公知の方法によって製造することができる。3つ以上の成分を混合して組成物を形成する当該技術において公知の任意の広範囲の方法を、共沸混合物様の組成物を製造する本方法において用いるように適合させることができる。例えば、HCFO−1233xf、HFC−245cb、及びHFは、手作業及び/又は機械によって、バッチ又は連続反応及び/又はプロセスの一部として、或いは2以上のかかる工程の組合せによって、混合、ブレンド、又は他の形態で接触させることができる。本明細書における開示事項を考慮すれば、当業者は、過度の実験を行うことなく本発明による共沸混合物様の組成物を容易に製造することができるであろう。
【0025】
2,3,3,3−テトラフルオロプロペン及びHFの2元の共沸混合物又は共沸混合物様の組成物:
更なる態様においては、本発明は、共沸性又は共沸混合物様の組成物を形成するのに有効な量の2,3,3,3−テトラクロロプロペン及びフッ化水素を与える。本発明の組成物は、好ましくは、2,3,3,3−テトラクロロプロペン及びフッ化水素(HF)のみの組合せから実質的に構成される2元の共沸混合物である。
【0026】
上記の幾つかの態様においては、2,3,3,3−テトラクロロプロペン及びHFの2元の共沸混合物又は共沸混合物様の組成物は、2,3,3,3−テトラクロロプロペンが約3〜約7重量%の量で存在し、HFが約93〜約97重量%の量で存在する場合に形成される。更なる態様においては、かかる2元の共沸混合物又は共沸混合物様の組成物は、2,3,3,3−テトラクロロプロペンが約5重量%の量で存在し、HFが約95重量%の量で存在する場合に形成される。
【0027】
2,3,3,3−テトラクロロプロペン及びHFの2元の共沸混合物又は共沸混合物様の組成物は、約18psiaの圧力において約25℃の沸点を有する。
この共沸混合物又は共沸混合物様の組成物は、HFを、このプロセスのために公知で、下記においてより詳細に議論する出発試薬の1つ又は組み合わせと反応させることによる1233xfを製造するためのプロセス中に形成される可能性がある。或いは、本発明の共沸混合物又は共沸混合物様の組成物は、共沸混合物又は共沸混合物様の組成物を生成させるのに有効な量の2,3,3,3−テトラクロロプロペン及びHFをブレンドすることによって形成することができる。この目的を達成するためには、これらの成分のそれぞれを商業的に購入することができ、及び/又は本明細書に記載するもののような当該技術において公知の方法によって製造することができる。3つ以上の成分を混合して組成物を形成する当該技術において公知の任意の広範囲の方法を、共沸混合物様の組成物を製造する本方法において用いるように適合させることができる。例えば、2,3,3,3−テトラクロロプロペン及びHFは、手作業及び/又は機械によって、バッチ又は連続反応及び/又はプロセスの一部として、或いは2以上のかかる工程の組合せによって、混合、ブレンド、又は他の形態で接触させることができる。本明細書における開示事項を考慮すれば、当業者は、過度の実験を行うことなく本発明による共沸混合物様の組成物を容易に製造することができるであろう。
【0028】
使用方法:
これには限定されないが、一形態においては、本発明の3元及び/又は2元の共沸混合物又は共沸混合物様の組成物を形成して、HCFO−1233xf及び/又はHFO−1234yfのような特定のヒドロフルオロカーボンの製造中に用いられるか又は形成される未反応の出発材料、反応中間体、及び/又は生成物若しくは副生成物を単離するために使用することができる。HCFO−1233xfはHFO−1234yfの製造における公知の中間体である。その製造は当該技術において周知であり、米国出願20070007488、20070197842、及び20110004035(これらの内容を参照
として本明細書中に包含する)に記載されている。1つの非限定的な例においては、テトラクロロプロペン又はペンタクロロプロパン試薬(例えば、1,1,2,3−テトラクロロプロペン及び/又は2,3,3,3−テトラクロロプロペン及び/又は1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパン)を、接触液相又は蒸気相反応でフッ化水素によってフッ素化する。その生成物流は、未反応の出発試薬、HCFO−1233xf、過フッ素化副生成物(例えばHFC−245cb)、並びに他の反応中間体、不純物、及び/又は副生成物を含む可能性がある。生成物流をその成分部分に分離するために本発明の3元及び/又は2元の共沸混合物又は共沸混合物様の組成物を用いることができ、これはHFO−1234yfの製造のために更に処理することができ、或いはフッ素化反応内で再循環することができる。
【0029】
一形態においては、共沸混合物又は共沸混合物様の組成物は、反応プロセス中に形成され、或いは他の形態では本明細書において規定する1種類以上の共沸混合物を形成するのに有効な量のフッ化水素(又は他の共沸性成分の1つ)を生成物流に加えることによって形成される。その後、標準的な分離手段を用いて、例えば蒸留によって共沸性又は共沸混合物様の組成物を生成物流から分離する。
【0030】
本発明に対する限定ではないが、一形態においては、HCFO−1233xf/TCP/HF、又は2,3,3,3−テトラフルオロプロペン及びHFの共沸性又は共沸混合物様の組成物は、所望の生成物であるHCFO−1233xfから未反応の出発試薬を単離するために用いることができる。この目的のためには、これは反応プロセスの結果として形成され、或いはフッ化水素(又は他の共沸性成分)を必要に応じて反応生成物流に加えて、HCFO−1233xf/TCP/HF、及び2,3,3,3−テトラフルオロプロペン/HFの共沸混合物又は共沸混合物様の組成物のいずれか又は両方を形成することができる。次に、標準的な分離手段を用いて、例えば蒸留によって1種類又は複数の共沸混合物を生成物流から分離及び単離する。次に、留出物を、硫酸、苛性溶液、又は水性系と接触させてフッ化水素を除去することができる。残りの成分(例えば、HCFO−1233xf/TCP、又は2,3,3,3−テトラフルオロプロペン)は、標準的な分離又は抽出法を用いて単離することができる。HCFO−1233xf/TCPに関しては、精製した留出物を、1,1,2,3−テトラクロロプロペンと比べてHCFO−1233xfに対する選択的親和性を有する抽出媒体と接触させることができる。単離されたHCFO−1233xfは、HFO−1234yfの製造における更なるフッ素化に送ることができる。TCP及び/又は2,3,3,3−テトラクロロプロペンは、次に更なる処理のためのフッ素化に再循環して戻すことができる。
【0031】
また、HCFO−1233xf/HFC−245cb/HFの共沸混合物を、上記で議論した1以上の技術を用いて生成物流から回収することもできる。この目的のためには、共沸混合物は反応プロセスの結果として形成され、或いは、フッ化水素(又は他の共沸性成分)を必要に応じて反応生成物流に加えて、共沸混合物又は共沸混合物様の組成物のいずれか又は両方を形成することができる。次に、標準的な技術、例えば蒸留を用いて共沸混合物を生成物流から分離及び単離する。留出物を、硫酸、苛性溶液、又は水性系と接触させてフッ化水素を除去することができる。残りの成分(例えば、HCFO−1233xf/HFC−245cb)は、標準的な分離又は抽出法を用いて単離することができる。例えば、精製した留出物を、HFC−245cbと比べてHCFO−1233xfに対する選択的親和性を有する抽出媒体と接触させて、2つの化合物を分離するようにすることができる。HCFO−1233xfは、HFO−1234yfの製造における更なるフッ素化のために前方に送ることができる。HFC−245cbは1234yfの製造における粗第1中間体として送ることができる。而して、米国出願20070197841、20090240090、及び20090203945(その内容を参照として本明細書中に包含する)に開示されているように、HFC−245cbは、当該技術において公知の
脱ハロゲン化水素化剤を用いて脱ハロゲン化水素化することができる。
【0032】
任意の上記の反応流の試薬、中間体、副生成物、又は不純物は、個々か又は混合物でHFCO−1233xf、TCP、HFC−245cb、HF、又は2,3,3,3−テトラクロロプロペンのいずれかと別の共沸混合物又は共沸混合物様の混合物を形成してもしなくてもよい。通常の不純物又は副生成物としては、HCFO−1233xfと混和性であってよく、HFO−1234yfの製造のための反応物質又は製造中に生成するものとして知られている他のハロカーボンが挙げられる。かかるハロカーボンとしては、2−クロロ−1,1,1,2−テトラフルオロプロパン;1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパン;2,3,3,3−テトラフルオロプロペン;2,3−ジクロロ−3,3−ジフルオロプロペン(HCFO−1232xf);1,2−ジクロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン;2,3,3−トリクロロ−3−フルオロプロペン(HCFO−1231xf);3,3,3−トリフルオロプロピン;及びこれらの組み合わせ;が挙げられるが、これらに限定されない。
【0033】
幾つかの態様においては、本明細書に記載する共沸混合物又は共沸混合物様の組成物は、2,3,3,3−テトラフルオロプロペン(HFO−1234yf)のような特定のヒドロフルオロオレフィンの合成中に誘導される有用な中間体である。例えば、HCFO−1233xf(中間体)の合成反応中に2,3,3,3−テトラクロロプロペン及びHFを反応器中に導入すると、これらの成分の少なくとも一部が共沸混合物を形成し、これはその後に関係する反応生成物流から回収することができる。
【0034】
本発明の更なる態様においては、TCP、HCFO−1233xf、及びHFから実質的に構成される共沸混合物又は共沸混合物様の混合物を形成するのに有効な量のTCP、1233xf、及びHFをブレンドすることを含む、ヒドロクロロプロペンの沸点を低下させる方法が提供される。TCPの沸点を低下させることは、TCPを蒸気相フッ素化反応における反応物質として用いる場合に有利である。より詳しくは、沸点を低下させることによって化合物の気化が促進され、したがって化合物の分解を阻止することを助け、更にフッ素化プロセスに必要なエネルギーの量が減少する。
【0035】
したがって、(a)TCP、HCFO−1233xf、及びHFから実質的に構成される共沸混合物様の組成物を与え;そして、(b)TCPの少なくとも一部を、蒸気相中でフッ素化剤と反応させて、少なくとも1種類のフッ素化有機化合物、好ましくはヒドロクロロフルオロオレフィン、より好ましくはクロロトリフルオロプロペン、更により好ましくは2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンを生成させる;ことを含む、有機化合物をフッ素化する方法が提供される。
【0036】
本発明の更なる態様においては、2,3,3,3−テトラクロロプロペン及びHFから実質的に構成される共沸混合物様の混合物を形成するのに有効な量の2,3,3,3−テトラクロロプロペン及びHFをブレンドすることを含む、ヒドロクロロプロペンの沸点を低下させる方法が提供される。2,3,3,3−テトラクロロプロペンの沸点を低下させることは、2,3,3,3−テトラクロロプロペンを蒸気相フッ素化反応における反応物質として用いる場合に有利である。より詳しくは、沸点を低下させることによって化合物の気化が促進され、したがって化合物の分解を阻止することを助け、更にフッ素化プロセスに必要なエネルギーの量が減少する。
【0037】
したがって、(a)2,3,3,3−テトラクロロプロペン及びHFから実質的に構成される共沸混合物様の組成物を与え;そして、(b)2,3,3,3−テトラクロロプロペンの少なくとも一部を、蒸気相中でフッ素化剤と反応させて、少なくとも1種類のフッ素化有機化合物、好ましくはヒドロフルオロオレフィン、より好ましくはテトラフルオロ
プロペン、更により好ましくは2,3,3,3−テトラフルオロプロペンを生成させる;ことを含む、有機化合物をフッ素化する方法も提供される。
【実施例】
【0038】
以下の非限定的な実施例は本発明を例示するように働く。
実施例1:HCFO−1233xf、TCP、及びHFの3元の共沸混合物又は共沸混合物様の組成物:
容器内で、4重量%のTCP及び96重量%のHCFO−1233xfの混合物を調製した。次に、予め脱気したHFを、混合物全体が25重量%のHFを含むようになるまで段階的に漸増して加えた。それぞれの漸増段階において、温度を0、25、及び60℃に保持した。それぞれの温度において混合物を平衡に到達させて、圧力を記録した。実験圧力及び温度を表1に与える。表1は、>5.9のHF重量%においては、圧力はほぼ一定であることを示し、これは不均一の共沸混合物様の混合物が形成されたことを示す。
【0039】
【表1】
【0040】
実施例2:HCFO−1233xf、TCP、及びHFの3元の共沸混合物又は共沸混合物様の組成物:
3.0重量%のTCP、72.0重量%のHCFO−1233xf、及び25.0重量%のHFの混合物を21℃に保持した。この混合物は不均一共沸混合物を形成するので、蒸気相をサンプリングすることによって共沸組成を求めることができる。蒸気相中のHFをサンプリングして分析した。共沸組成は、21℃において14.0重量%のHFであると求められた。
【0041】
実施例3:HCFO−1233xf、HFC−245cb、及びHFの3元の共沸混合物又は共沸混合物様の組成物:
容器内で、15.2重量%のHFC−245cb及び84.8重量%のHCFO−1233xfの混合物を調製した。次に、予め脱気したHFを、混合物全体が20.5重量%のHFを含むようになるまで段階的に漸増して加えた。それぞれの漸増段階において、温度を0、25、及び60℃に保持した。それぞれの温度において混合物を平衡に到達させて、圧力を記録した。実験圧力及び温度を表2に与える。表2は、>4.5のHF重量%においては、圧力はほぼ一定であることを示し、これは不均一の共沸混合物様の混合物が形成されたことを示す。
【0042】
【表2】
【0043】
実施例4:HCFO−1233xf、HFC−245cb、及びHFの3元の共沸混合物又は共沸混合物様の組成物:
67.5重量%のHCFO−1233xf、12.0重量%のHFC−245cb、及び20.5重量%のHFの混合物を21℃に保持した。この混合物は不均一共沸混合物を形成するので、蒸気相をサンプリングすることによって共沸組成を求めることができる。蒸気相中のHFをサンプリングして分析した。共沸組成は、24℃及び43psiaにおいて11.8重量%のHFであると求められた。
【0044】
実施例5:2,3,3,3−テトラクロロプロペン及びHFの2元の共沸混合物又は共沸混合物様の組成物:
容器内で、2,3,3,3−テトラクロロプロペン及びHFの混合物を混合した。2,3,3,3−テトラクロロプロペン及びHFの系は、不均一共沸混合物を形成する。これは不均一共沸混合物であるので、蒸気空間の組成を分析することによって共沸組成を求めることができる。25℃において蒸気空間をサンプリングし、HFの共沸組成は18psiaにおいて95重量%であると求められた。
本発明は以下の態様を含む。
[1]
フッ化水素、2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン、並びに1,1,2,3−テトラクロロプロペン及び1,1,1,2,2−ペンタフルオロプロパンからなる群から選択される第3の成分から実質的に構成される3元の共沸混合物又は共沸混合物様の組成物。
[2]
第3の成分が1,1,2,3−テトラクロロプロペンである、[1]に記載の3元の共沸性又は共沸混合物様の組成物。
[3]
フッ化水素が約3.0〜約28.0重量%の量で存在し;2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンが約68.0〜約93.0重量%の量で存在し;1,1,2,3−テトラクロロプロペンが約2.5〜約4.3重量%の量で存在する、[2]に記載の3元の共沸性又は共沸混合物様の組成物。
[4]
約16.2psiaの圧力において約0℃の沸点、約39.9psiaの圧力において約24.9℃の沸点、または約109.7psiaの圧力において約59.8℃の沸点を有する、[2]に記載の3元の共沸性又は共沸混合物様の組成物。
[5]
第3の成分が1,1,1,2,2−ペンタフルオロプロパンである、[1]に記載の3元の共沸性又は共沸混合物様の組成物。
[6]
フッ化水素が約3.0〜約22.0重量%の量で存在し;2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンが約65.0〜約83.5重量%の量で存在し;1,1,1,2,2−ペンタフルオロプロパンが約11.1〜約15.5重量%の量で存在する、[5]に記載の3元の共沸性又は共沸混合物様の組成物。
[7]
約18.0psiaの圧力において約0℃の沸点、約44.8psiaの圧力において約24.9℃の沸点、又は約120.0psiaの圧力において約59.7℃の沸点を有する、[5]に記載の3元の共沸性又は共沸混合物様の組成物。
[8]
a.少なくとも1種類のヒドロクロロカーボン及び/又はヒドロクロロフルオロカーボンを含む出発材料をフッ素化剤と反応させて、2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン、フッ化水素、並びに1,1,2,3−テトラクロロプロペン及び1,1,1,2,2−ペンタフルオロプロパンからなる群から選択される第3の成分を含む反応生成物を生成させ;
b.反応生成物を蒸留して、[1]に記載の3元の共沸混合物様の組成物を含む留出物を生成させ;そして
c.留出物を、硫酸、苛性溶液、又は水溶液と接触させ、留出物からフッ化水素の少なくとも一部を除去して、2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン、並びに1,1,2,3−テトラクロロプロペン及び1,1,1,2,2−ペンタフルオロプロパンからなる群から選択される第3の成分を含む精製留出物を生成させる;
ことを含む2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンの製造方法。
[9]
2,3,3,3−テトラクロロプロペン及びフッ化水素から実質的に構成される共沸性又は共沸混合物様の組成物。
[10]
約3.0〜約7.0重量%の間の2,3,3,3−テトラクロロプロペン、及び約93.0〜約97.0重量%の間のフッ化水素を有する、[9]に記載の共沸性又は共沸混合物様の組成物。
[11]
約18psiaの圧力において約25℃の沸点を有する、[9]に記載の共沸性又は共沸混合物様の組成物。
[12]
1,1,2,3−テトラクロロプロペン、2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン、1,1,1,2,2−ペンタフルオロプロパン、及び/又は2,3,3,3−テトラクロロプロペン、並びに少なくとも1種類の他の成分を含む混合物から、1,1,2,3−テトラクロロプロペン、2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン、1,1,1,2,2−ペンタフルオロプロパン、及び/又は2,3,3,3−テトラクロロプロペンを取り出す方法であって、フッ化水素、1,1,2,3−テトラクロロプロペン、及び2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンの3元の共沸混合物又は共沸混合物様の組成物;フッ化水素、1,1,1,2,2−ペンタフルオロプロパン、及び2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンの3元の共沸混合物又は共沸混合物様の組成物;並びに2,3,3,3−テトラクロロプロペン及びフッ化水素の2元の共沸混合物又は共沸混合物様の組成物;からなる群から選択される共沸性又は共沸混合物様の組成物を形成するのに十分な量のフッ化水素を混合物に加え;その後、3元の共沸性組成物を少なくとも1種類の他の成分から分離する;ことを含む上記方法。