(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6243471
(24)【登録日】2017年11月17日
(45)【発行日】2017年12月6日
(54)【発明の名称】デジタル会議システムのために使用するデバイス
(51)【国際特許分類】
G06F 13/38 20060101AFI20171127BHJP
G06F 3/00 20060101ALI20171127BHJP
G06F 13/36 20060101ALI20171127BHJP
H04L 12/28 20060101ALI20171127BHJP
H04N 7/15 20060101ALI20171127BHJP
【FI】
G06F13/38 320A
G06F3/00 A
G06F13/36 310E
H04L12/28 400
H04N7/15
【請求項の数】9
【外国語出願】
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2016-93328(P2016-93328)
(22)【出願日】2016年5月6日
(62)【分割の表示】特願2013-526375(P2013-526375)の分割
【原出願日】2011年6月21日
(65)【公開番号】特開2016-146217(P2016-146217A)
(43)【公開日】2016年8月12日
【審査請求日】2016年5月6日
(31)【優先権主張番号】10174392.0
(32)【優先日】2010年8月27日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】513048597
【氏名又は名称】テレビック・コンファレンス・ナムローゼ・フェンノートシャップ
【氏名又は名称原語表記】TELEVIC CONFERENCE NV
(74)【代理人】
【識別番号】100101454
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 卓二
(74)【代理人】
【識別番号】100081422
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 光雄
(74)【代理人】
【識別番号】100125874
【弁理士】
【氏名又は名称】川端 純市
(72)【発明者】
【氏名】カール・リロン
(72)【発明者】
【氏名】パトリック・タルン
(72)【発明者】
【氏名】ダヴィ・ファントム
【審査官】
田中 啓介
(56)【参考文献】
【文献】
特開2005−101803(JP,A)
【文献】
米国特許第05715475(US,A)
【文献】
国際公開第2010/064531(WO,A1)
【文献】
特表2008−519504(JP,A)
【文献】
特表2008−547296(JP,A)
【文献】
特開平11−127172(JP,A)
【文献】
国際公開第2009/123202(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F3/00、3/18
G06F13/20−13/42
H04L12/28、12/42−12/46
H04N7/10、7/14−7/173
H04N7/20−7/56
H04N21/00−21/858
H04W8/26、24/00、28/02
H04W72/04、74/04、74/08
H04W84/12、88/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
デジタル会議システム(1)のために使用するデバイス(2,3)であって、
前記デバイスは、第1のポート(5)及び第2のポート(6)を備え、
前記各ポートは2対の差動線路を備え、
前記デバイスは、ネットワークのスタートアップ又はロスのときのセンスモードにおいて前記第1のポート及び前記第2のポートを構成するように設けられ、
前記デバイスは、デジタル会議ネットワークに同期することによって前記第1のポートと前記第2のポートのいずれが入力ポートであるかを自動的に検出するための検出手段を備え、
前記デバイスは、
同期信号であるトリガー信号を受信すると、前記2対の差動線路を、外部差動受信ペアと内部差動送信ペアとして構成することにより、前記検出された入力ポートを前記デバイスの入力ポートとして構成し、前記2対の差動線路を、内部差動受信ペアと外部差動送信ペアとして構成することにより、前記第1のポート及び前記第2のポートのうちの他方のポートを前記デバイスの出力ポートとして構成する構成手段をさらに備えるデバイス。
【請求項2】
前記同期信号はビット同期信号である請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記デバイスはデジタル会議システムのために使用するデリゲートユニットである請求項1又は2に記載のデバイス。
【請求項4】
前記デバイスはデジタル会議システムのために使用する拡張ユニットである請求項1又は2に記載のデバイス。
【請求項5】
ディジーチェーン型トポロジーで設けられた請求項1から4までのうちのいずれか1つに記載の複数のデバイスと、少なくとも1つの中央ユニット(4)を備えるデジタル会議システム。
【請求項6】
前記複数のデバイスをポーリングするように設けられたネットワーク監視モジュールをさらに備える請求項5に記載のデジタル会議システム。
【請求項7】
前記中央ユニットは前記ネットワーク監視モジュールをポーリングするように設けられる請求項6に記載のデジタル会議システム。
【請求項8】
構成情報を記憶する記憶手段を備える請求項5から7までのうちのいずれか1つに記載のデジタル会議システム。
【請求項9】
デジタル会議システムにおいて冗長性を得る方法であって、
前記デジタル会議システムは、少なくとも1つの中央ユニットと、ディジーチェーン型トポロジーで設けられた複数のデバイスとを備え、
前記各デバイスは、第1のポート(5)及び第2のポート(6)を備え、
前記各ポートは2対の差動線路を備え、
前記デバイスは、ネットワークのスタートアップ又はロスのときのセンスモードにおいて前記第1のポート及び前記第2のポートを構成するように設けられ、
前記デバイスは、デジタル会議ネットワークに同期することによって前記第1のポートと前記第2のポートのいずれが入力ポートであるかを自動的に検出するための検出手段を備え、
前記デバイスは、
前記2対の差動線路を、外部差動受信ペアと内部差動送信ペアとして構成することで前記検出された入力ポートを前記デバイスの入力ポートとして構成し、前記2対の差動線路を内部差動受信ペアと外部差動送信ペアとして構成することで前記第1のポート及び前記第2のポートのうちの他方のポートを前記デバイスの出力ポートとして構成する構成手段を備え、これにより前記各デバイスが前記少なくとも1つの中央ユニットへの2つの経路を有し、
前記方法は、
前記2つの経路のうちの第1の経路を介して前記デジタル会議システムの複数のデバイスのセットを接続するアクティブなネットワークの分岐を生成するステップと、
前記デジタル会議システムに障害が検出される場合、同期信号であるトリガー信号を送信することによって、前記アクティブな分岐の終端において少なくとも前記デバイスの出力ポートを入力ポートとして動作させ、前記2対の差動線路を外部差動受信ペアと内部差動送信ペアとして構成することにより、前記2つの経路のうちの第2の経路をアクティブにさせるステップとを含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に、中央ユニットと当該中央ユニットに接続可能な複数のデリゲート(delegate)ユニットとを備えるデジタル会議システムの技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
会議システムは、参加している複数の代表者(デリゲート)のためのいくつかのデリゲートユニットに接続する中央ユニットを備える。中央ユニットは、種々のデリゲートユニットからの複数のオーディオチャンネルを組み合わせて、受信されたオーディオ及びデータのチャンネルとこれらのチャンネルの組み合わせとを配信する役割を果たす。従来技術の解決方法において、これらのデリゲートユニットは、ディジーチェーンの方法で中央ユニットの処理手段に接続される。各中央ユニットは、複数のポートを有し、複数のデリゲートユニットの複数の分岐はこれらのポートに接続可能である。オプションとして、1つ又はそれ以上の拡張ユニットは、会議システムにおける複数のデリゲートユニットの分岐の量を拡張するように設けられる。
図1は、従来技術における公知の典型的なセットアップを例示する。本システムの全てのデリゲートユニットは、典型的には差動線路を用いて実施される出力ポート及び入力ポートの2つのポートを有する。出力ポートは、外部送信ペア及び内部受信ペア(
図2A参照)として表されることができ、入力ポートは、外部受信ペア及び外部送信ペア(
図2B参照)として表されることができる。しかしながら、外部ペア又は内部ペアは可能な表現を構成するのみである。全ての入力ポートは出力ポートに接続される必要がある。
【0003】
与えられたこの従来のセットアップに対して以下の問題が生じる。システムの導入の期間に、2つの入力ポート又は2つの出力ポートを互いに接続することによって、誤った接続が生じる場合がある。左から右へ又は右から左への配線は異なる、又は、複数のケーブルは互いに交差する。
【0004】
オーディオ信号及びビデオ信号などの遅延に影響されやすい複数の情報信号はネットワークを介して伝送されるために、会議システムの相互に接続された複数のユニットは同期される必要がある。同期されたネットワークを達成することによって、各サブシステムでのデータ処理が最小化され、このことは、例えば、データを再びサンプリングする必要性を回避する。
【0005】
特許文献1は、ATMセルの再利用を用いたビデオ会議システムを開示する。複数のビデオ会議端末は、ATMネットワークに接続されたチェーン端末のヘッド装置を有するディジーチェーン型の接続で設けられる。各端末は、一意的なATMアドレスを有するビデオプログラム入力ポートと複数のビデオプログラム出力ポートとを有し、各々には、複数のビデオプログラム入力ポートアドレスのうちの1つのアドレスが供給される。
【0006】
特許文献2は、全二重イーサネット(登録商標)ネットワーク上のカスケード接続された複数のノードのための時刻同期、決定的データ配信、及び冗長性に関連する。提案される解決方法は、複数のネットワークメッセージにおいてタイムスタンプ及び関連するデータを調整することによって、通信ネットワーク上の別々のノードにおいてクロックを精密に同期させることを可能にする。複数のノードのディジーチェーン接続が確立される。冗長性は、ディジーチェーンをリングトポロジーに拡張することによって提供される。監視デバイスはこの場合において提供され、本監視デバイスは、冗長性を得るために、2つの専用のポートと、専用の信号プロトコルとを有する1つのマスタークロックを備える。通常の動作の期間に、監視デバイスは、複数の特別なパケットを送信することによってトラフィックを監視する。同時に、監視デバイス及び複数の終端ノードは、定期的にそれらのポートのリンク状態を監視し、複数の終端ノードは、ポートの障害の場合に、他のポートを介して監視デバイスに通知する。従って、この開示において、障害は中央デバイスを経由して検出され、又は、通知される。
【0007】
特許文献3は、ビジネスオフィス内で、人物からコンピュータへ、及び、コンピュータからコンピュータへの複数の接続を有効にする情報切り替え交換機のファミリーの形式のデジタル情報交換システムに関する。提案される解決方法は、複数のシステムテーブル項目又は複数のソフトウェアモジュールの追加を変更することによって、電話機器の機能及びシステムの機能の両方を簡単な方法で追加及び変更することを可能にする。デバイスの障害の自動検出は、システムを常時動作状態に保持する。障害発生の即時の自動通知の結果、障害を有する複数のデバイス又は複数のコンポーネントは、即時に交換可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許第5930237号明細書
【特許文献2】欧州特許出願公開第1717978A1号明細書
【特許文献3】米国特許第4442502号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、デジタル会議システムのために使用するデバイスであって、従来技術の上記複数の問題点を回避又は克服できるデバイスを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、デジタル会議システムのために使用するデバイスに関する。デバイスユニットは、互いに接続された第1及び第2のポートを備える。デバイスは、トリガー信号を受信すると、第1又は第2のポートのいずれかのポートを入力ポートとして構成して、他方のポートを出力ポートとして構成する構成手段を備える。上記トリガー信号は、それによって、同期信号である。
【0011】
提案された解決方法は、1つのポート上のアクティブなリンクの選択を可能にする。ポートの選択は、「自動的な」方法で行われる。トリガー信号を受信すると、デリゲートユニットの複数のポートのうちの1つのポートの構成が引き起される。複数の入力ポートと複数の出力ポートとの間の接続エラーは、従って、回避可能である。なお、同期信号は、種々の方法で得られることが可能である。例えば、同期信号は、シリアルデータストリームを経由して得られることが可能であり、又は、定期的に送信される複数のデータパケットから誘導されて得られることが可能である。
【0012】
すでに説明されたように、トリガー信号は同期信号である。有利な実施形態において、同期信号はビット同期信号である。
【0013】
好ましい実施形態において、デバイスはデリゲートユニットである。変形例の実施形態において、デバイスは拡張ユニットであり、付加的な複数のデリゲートユニットは当該拡張ユニットに接続可能である。
【0014】
もう1つの態様において、本発明はまた、ディジーチェーン型トポロジーで設けられた前述の複数のデバイスと、少なくとも1つの中央ユニットとを備えるデジタル会議システムに関する。
【0015】
有利に、デジタル会議システムは、複数のデバイスをポーリングするように設けられたネットワーク監視モジュールをさらに備える。
【0016】
好ましい実施形態において、デジタル会議システムの少なくとも1つの中央ユニットは、ネットワーク監視モジュールをポーリングするように設けられる。
【0017】
デジタル会議システムは好ましくは、また、構成情報を記憶する記憶手段を備える。
【0018】
第2の態様において、本発明は、デジタル会議システムにおいて冗長性を得る方法であって、本デジタル会議システムは、少なくとも1つの中央ユニットと、ディジーチェーン型トポロジーで設けられた複数のデバイスとを備え、各デバイスは、互いに接続された第1及び第2のポートと、第1又は第2のポートのいずれかのポートをデバイスの入力ポートとして構成して、他方のポートを出力ポートとして構成する構成手段とを備える方法に関する。本方法は、
デジタル会議システムにおいて、オプションとして全てのデバイスである、複数のデバイスのセットを接続するアクティブなネットワークの分岐を生成するステップと、
デジタル会議システムに障害が検出される場合、トリガー信号を送信することによって、アクティブな分岐の終端において少なくともデバイスの出力ポートを入力ポートとして動作させ、トリガー信号は同期信号であるステップとを含む。
なお、アクティブな分岐の終端でのデバイスの出力ポートは入力ポートとして動作させられ、アクティブな分岐の終端と障害の位置との間に位置する複数のデバイスもまた、それらが存在するならば、それらの出力ポートを入力ポートとして動作させる。
【0019】
もう1つの態様において、本発明は、デジタル会議システムのデバイス(例えば、デリゲートユニット又は拡張ユニット)を交換する方法であって、本デジタル会議システムは、ディジーチェーン型トポロジーで設けられた複数のデバイスと中央ユニットとを備えるネットワークとして構成される方法に関する。本方法は、
デジタル会議システムのデバイスのロスを検出するステップと、
上記デバイスを交換用デバイスによって交換するステップと、
デジタル会議システムにおいて交換用デバイスを検出するステップと、
トリガー信号の手段によって、ロスされたデバイスの構成設定を用いて、検出された交換用デバイスを中央ユニットを経由して構成し、トリガー信号は同期信号であるステップとを含む。
デバイスのロスは、例えばケーブルの障害又はネットワーク配線の障害によって発生する場合がある。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】従来技術のデジタル会議システムの典型的なセットアップを例示する。
【
図4】拡張ユニットを用いたセットアップを例示する。
【
図5】本発明に係るデジタル会議システムのセットアップを例示する。
【
図6】本発明に係るケーブル冗長性を有するデジタル会議システムのセットアップを例示する。
【
図7】複数のデリゲートユニットと複数の拡張ユニットとの間のケーブル冗長性を有する複数の拡張ユニットを備えた本発明のデジタル会議システムの実施形態を例示する。
【
図8】複数のデリゲートユニットと複数の拡張ユニットとの間のケーブル冗長性と、拡張ユニットの冗長性とを有する複数の拡張ユニットを備えた本発明のデジタル会議システムの実施形態を例示する。
【
図9】複数のデリゲートユニットと複数の拡張ユニットとの間のケーブル冗長性と、拡張ユニットの冗長性と、中央ユニットの冗長性とを有する複数の拡張ユニットを備える本発明のデジタル会議システムの実施形態を例示する。
【
図10】複数のデリゲートユニットと複数の拡張ユニットとの間のケーブル冗長性及び拡張ユニットの冗長性を有する複数の拡張ユニットと、特別な周辺機能性(例えば、オーディオの入力及び出力等)のネットワークに接続可能な他の複数のデバイスとを備える本発明のデジタル会議システムの実施形態を例示する。
【発明を実施するための形態】
【0021】
一態様において、本発明はデジタル会議システムのために使用するデバイスに関し、本デジタル会議システムには、複数のデバイスの複数のポートのうちの1つのポート上のアクティブなリンクの選択を可能にする自動ポート選択機構が設けられる。本デバイスは、例えば、デリゲートユニット又は拡張ユニットであることが可能である。本機構はスタートアップ時のみならず実行時にも使用されることが可能であるために、本機構は、複数のスレーブ(すなわち、複数のデリゲートユニット及び/又は複数の拡張ユニット等の会議システムの複数のユニット)と会議システムの中央ユニットとの間の相互接続に、増加されたネットワーク冗長性を付加することに貢献する。従って、増加されたネットワーク冗長性が達成される。本発明に係る解決方法を利用することによって、ネットワークのケーブル障害は、本システムのいかなるデバイスから中央ユニットへの接続を失うことなく、ネットワークにおけるアクティブな複数のリンクの再配線を導くであろう。さらに、許容される障害はケーブル障害に限られない。ユニットの障害、ネットワーク配線の障害又は中央ユニットデバイスの障害もまた、スマートケーブリングを用いて許容される。
【0022】
本発明のような自動ポートタイプ検出及び構成の方法を、デバイス(例えばデリゲートユニット)に導入することによって、ユニットはまず、どのポートが入力ポートであるかを見る。次いで、他方のポートは出力ポートとして構成されることとなる。どのポートが入力ポートであってどのポートが出力ポートであるかを検出することは、ネットワークを同期することによって行われる。
【0023】
ポートは、差動線路の2つのペアを有する。入力ポートは、外部差動受信ペア及び内部差動送信ペア(外部ペア又は内部ペアは、可能な表現に過ぎない。)として表示される。出力ポートは、ちょうど反対の複数のペアを有する。
【0024】
ネットワーク上の同期は、ユニットが正しい時刻に正しいデータを参照することを意味する。同期によって、複数のユニットにおける処理は最小化される(オーディオの再サンプリング、オーディオビデオ同期等がない)。検討されるデジタル会議システムにおいて、ビット同期が好ましくは適用されることによって、同期された各デバイスは同一のクロックを有し、従って、データ操作が非常に簡単になる。ビット同期は、クロックのジッタが無視される場合、各デバイスがほぼ同一のクロックを有することを意味する。
【0025】
スタートアップでは、中央ユニットは、その複数の出力ポートをアクティブにする。スタートアップ時又はネットワークのロスのとき、複数のデリゲートユニットは、それらの全てのネットワークポートを受信モード(検知)に構成する。このときの期間に、全てのデリゲートユニットは、外部ペア上のネットワークを発見しようと試みる。これは、1つのポートがネットワーク上で同期されるまで、順次に(まず左のポート、次いで右のポート、次いで左のポート、…)、または、同時に(同時に両方のポート)行われる。この時点から、デリゲートユニットは、どのポートが入力ポートであり、どのポートが出力ポートであるかを知り、それに応じて複数のポートを構成する。
図3は、入力ポート及び出力ポートとしての、検知フェーズを有する自動ポートタイプ検出と後続の構成とをそれぞれ例示する。このような方法で、ネットワークは段階的に構築される。まず、最も近い複数のデリゲートユニットはそれらの複数のポートを構成して、次いで、その次に近い複数のデリゲートユニットはそれらの複数のポートを構成する。当該構成は、最後のデリゲートユニットがそのポートを設定するまで行われる。言い換えると、複数のデリゲートユニットはディジーチェーン型トポロジーで設けられる。
【0026】
オプションとして、拡張ユニットは、
図4に例示されるように統合可能である。ネットワークが検出されない限り、拡張ユニットの全ての専用の出力ポートは受信モードにある。
【0027】
この自動ポートタイプ検出は、
図1に図示される現在の状況の配線図を、
図5の配線図に変更することを可能にする。後者の図は、導入の期間に、複数の入力ポートと複数の出力ポートとの間にいかなる接続エラーも発生されないという利点と、それ以上のケーブルの交差がないという利点を提供する。背景技術の章で説明された問題点は従って克服される。
【0028】
得られた図はさらに、2重分岐の冗長性を可能にする。自動ポートタイプ検出は確かに、冗長性の実施例を可能にする。全てのポートを接続することによって、本システムは、単なるリング構造よりもさらに冗長である。リング型ネットワークを拡大するために、本ネットワークは、複数のサブリングによって拡張される。リングの始端及び終端は、しかしながら、常に同じデバイスである。従って、当該デバイスが動作しない場合、サブリングの全体は動作しない。2重分岐のコンセプトを用いると、ネットワークはリング状に接続される必要はなくなる。冗長接続は、データが中央ユニットに至る1つ以上の経路を有することを意味する。2重分岐の機構は常に、中央ユニットに至る1つの経路を使用し、他の経路を使用しない。以下の複数の図(
図6〜
図9、以下にさら解説される)における冗長な複数の接続は、複数の破線である。
【0029】
2重分岐のコンセプトにおいて、全てのケーブルは使用されるわけではなく、すなわち、スタートアップの期間に、複数のデリゲートユニットは、デリゲートユニットのポート1又はポート2のいずれかのポートに接続されたネットワークにおける分岐を選択して切り替える。従って、アクティブな分岐は、スタートアップの期間に生成される。結果として、アクティブな分岐における最後のユニットにおいて構成された出力ポートに接続されたケーブルは、このセッションの期間には使用されないこととなる。アクティブな分岐におけるケーブル障害は、ユーザに通知することなく、使用される複数の分岐を動的に変化させる。2重分岐のネットワークにおけるケーブル障害をユーザに通知するために、以下の機能性が使用可能である。中央ユニットは、デリゲートユニットが、使用される分岐の終端にあるかどうかを検出できる。従って、中央ユニットが検知コマンドを最後のデリゲートユニットに送信するとき、当該ユニットは強制的に、出力ポートを、検知する入力ポートにすることができる。これを行うことによって、中央ユニットは、この場合において、この最後のユニットが同期を参照するかどうかを問い合わせる。言い換えると、「もしそれが動作するならば、冗長な経路を検出する」。中央ユニットは、この最後のユニットを通常モードに設定して、もう1つのデリゲートユニットの制御に行く。なお、ただ1つのデリゲートユニットが、一度に検知モードになることが可能である。分岐又はデバイスの障害の場合におけるネットワークの変化は、重要ではないアーチファクトをもたらす。全ての他のデバイスの間の同期は保持される。
【0030】
会議システムは、いくつかの冗長性可能性を有してもよい。まず、ケーブル冗長性(
図6〜
図9参照)がある:
1つのケーブルが動作しない場合、システムはさらに動作する。
本システムの全てのデリゲートユニットは、中央ユニットに至る2つの経路を有する。
【0031】
スマートケーブリングを用いることによって、拡張ユニットの冗長性(
図8及び
図9)を達成できる:
1つのケーブルが動作しない場合又は拡張ユニットが動作しない場合、システムは動作している状態を保つこととなる。
本システムにおける全てのデリゲートユニットは、中央ユニットに直接的に又は異なる複数の拡張ユニットを介して至る2つの経路を有する。
全ての拡張ユニットは、中央ユニットに直接的に又は異なる複数の拡張ユニットを介して至る2つの経路を有してもよい。
【0032】
さらなるオプションは、
図9に例示されるような中央ユニットの冗長性である:
1つのケーブルが動作しない場合、又は、拡張ユニットが動作しない場合、又は、中央ユニットが動作しない場合、本システムはさらに動作する。
本システムにおける全てのデリゲートユニットは、両方の中央ユニットに直接的に又は複数の拡張ユニットを介して至る経路を有する。全ての拡張ユニットは、それ自身の中央ユニットへの2つの経路を有する。複数の中央ユニットは、
図9における複数のデリゲートユニットのためにN−1モードで接続される。
【0033】
なお、デジタル会議システムは、複数のデリゲートユニット、複数のインタプリタデスク及び複数のネットワークデバイス(オーディオの入力モジュール及び/又は出力モジュールなど)も備えてもよい。これらはすべて、本発明に係る複数のデバイスとして実施されることが可能である。一例として、
図10はデジタル会議システムを例示し、本デジタル会議システムは、複数のデリゲートユニットと複数の拡張ユニットとの間のケーブル冗長性を有する複数の拡張ユニットと、特別な周辺機能性(例えば、オーディオの入力及び出力など)のネットワークに接続されることが可能な他の複数のデバイスとを備える。
【0034】
デジタル会議システムの信頼性をさらに改善するために、複数のデリゲートユニットによって提供される増加された冗長性から離れて、付加的な複数の方法が予測される。
【0035】
もう1つの態様において、本発明は従って、ほぼリアルタイムでのネットワークにおける複数のデバイスの障害の検出に関する。本発明に係るネットワーク監視モジュールを有するデジタル会議システムを提供することによって、複数のエラーは迅速かつ簡単な方法で発見可能である。検出される複数のデバイスエラーは、複数の欠陥ユニットの自動交換によって解決可能である。提案されたユニットは、欠陥ユニットの複数の構成設定を自動的に引き継ぐことが可能である。さらなる構成操作は必要ない。
【0036】
従来の複数の会議システムにおいて、複数のデリゲートユニットのスキャニングは、共有された制御チャンネル上のポーリングによって実行される。スキャニングのための帯域幅はこのチャンネルに制限されるために、複数のデリゲートユニットのポーリングは決してより高度なものになりえない。新しいポーリングは、例えば40秒毎に開始され、このことは大抵の場合、満足の行く性能に対して遅すぎる。
【0037】
ポーリング速度を増すために、複数のデリゲートユニットのポーリングが増加されるように、ネットワークを介したチャンネルのスキャニングが用いられることが可能である(例えば、オーディオチャンネル)。変形例として、複数のデリゲートユニットのポーリング機能が中央ユニットからオフロードされるように、ネットワーク監視ユニットが利用可能である。
【0038】
ネットワーク監視ユニットは、例えば種々のデバイスのパーソナル番号を用いて、会議システムの種々のデバイスを継続的にチェックする。ネットワーク監視ユニットは、従来技術の複数のシステムに使用されるような中央ユニット上のスキャニングよりも速く(例えば、1秒間に複数回)、1つのサブファミリー内の全てのタイプの複数のデリゲートユニットを計算する。サブファミリーは、システムにおける同一の又は類似の機能を有する会議システムの一部を意味し、例えば、ちょうど複数の拡張ユニット等と同様に、複数のデリゲートユニットがサブファミリーを構成する。中央ユニットは、ネットワークの変更のために監視ユニットをポーリングする必要がある。その場合において、デリゲートユニットのロスは、(上述の40秒の代わりに)1秒以内に検出されることが可能である。1つのサブファミリー内のデリゲートユニットの数は計算される。
【0039】
新しいデリゲートユニットが会議ネットワーク内に挿入されるとき、当該デリゲートユニットは検出されて、自動交換が実行される。まず、中央ユニットは、デリゲートユニットのロスを、ネットワーク監視ユニットを介して検出する。従って、システムのオペレータは、エラー表示又はエラーメッセージを受け取る。オペレータは、会議室に入り、不良ユニットを取り外して、それをスペアユニットに交換する。1秒以内に、中央ユニットはスペアユニットを検出して、不良ユニットの複数のパラメータを用いてそのスペアユニットを再初期化する。システムはダウンする必要はない。会議は、交換の期間に継続可能である。
【0040】
上記解決方法は従来の会議システムのような解決方法に対して明確に好ましい。これによって、デリゲートユニットのロスが検出されたときに、システムのオペレータは不良ユニットをスペアユニットに交換するが、オペレータはこのユニットをシステムに付加する必要がある。システムは停止される必要があり、古いユニットは取り除かれて、新しいユニットが初期化されて、その後、システムは再スタートされ、結果として数分のシステムのダウンタイムが発生する。
【0041】
本発明は特定の複数の実施形態を参照して説明されたが、本発明が前述の複数の実施形態の詳細に限定されず、本発明がその範囲から逸脱することなく種々の変更及び修正を用いて実施されてもよいことは、当業者には明らかである。複数の実施形態は、従って、例示であって限定的でないように全ての点で考えられるべきである。本発明の範囲は前述の説明ではなく、むしろ添付された特許請求の範囲によって示される。特許請求の範囲の意味及び均等の範囲に該当するすべての変更は従って、その範囲に含まれる。言い換えると、基礎的な基本的原理の範囲内に収まりかつ基本的原理の特性がこの特許出願において請求されている任意及び全ての変更例、変形例、又は均等物を包含することは、熟慮されている。さらに、用語「備えている」又は「備える」が他の構成要素又はステップを除外しないこと、用語「1つ」が複数であることを除外しないこと、及びコンピュータシステム、プロセッサ又はもう1つの統合されたユニットなどの単一の構成要素が請求項において列挙されるいくつかの手段の機能を果たすことは、本特許出願の読者によって理解される。請求項におけるいかなる引用符号も、関係するそれぞれの請求項を限定するものとして解釈されるべきでない。用語「第1の」、「第2の」、「第3の」、「a」、「b」、「c」などは、明細書又は請求項において用いられる場合、類似の複数の構成要素又はステップを区別するために導入され、必ずしも一連の又は経時的な順序を説明しない。同様に、用語「上部」、「下部」、「上の」、「下の」などは、記述的な目的のために導入され、相対的な位置を意味する必要はない。このように使用される用語は、適切な状況下では置き換え可能であり、本発明の実施形態は、上で説明又は図示された1つ又は複数の実施形態とは異なる順序又は向きで、本発明に係る動作ができることが理解される必要がある。