【実施例】
【0030】
(テープ1)
米国特許第6,541,589号に記載及び教示される、ペルフルオロブチルエチレン改質剤を含んでなるPTFEポリマーの微粉を、Isopar K(Exxon Mobil Corp.,Fairfax,VA)と、0.200g/微粉のgの比率でブレンドした。滑沢剤を加えた粉体をシリンダー中で圧縮してペレットを形成し、70℃に設定したオーブンにおよそ8時間置いた。圧縮及び加熱されたペレットをラム押出して、幅がおよそ15.2cmで厚さが0.75mmである押出品テープを製造した。次いで、テープを圧縮ロールの間で圧延し、伸長させ、乾燥させると、6kpsi(機械方向)×6kpsi(横方向)のマトリックス引張強度を持つテープが生じた。得られた非対称ポリマーフィルムメッシュのテープ1に対応する表面は、密構造側であると考えられる。
【0031】
(テープ2)
PTFEポリマーの微粉(DuPont, Wilmington, DE)を、Isopar K(Exxon Mobil Corp.,Fairfax,VA)と、0.243g/微粉のgの比率でブレンドした。滑沢剤を加えた粉体をシリンダー中で圧縮してペレットを形成した。圧縮したペレットを室温でラム押出して、幅がおよそ15.2cmで厚さが0.75mmである押出品テープを製造した。次いで、テープを、38℃に設定した圧縮ロールの間で圧延して、厚さ0.28mmにした。次いで、テープを縦方向に8%伸長させ、乾燥させた。その過程で、3.2kpsi(機械方向)×1.4kpsi(横方向)のマトリックス引張強度を持つ圧延テープが生じた。得られた非対称ポリマーフィルムメッシュのテープ2に対応する表面は、開放構造側であると考えられる。
【0032】
(実施例1−薄い二面ポリマーフィルムパッチ)
テープ1の6層を、各層がその前の層と90度の角度をなすように、互いに積み重ねた。OEMプレスModel VAC-Q-LAM-1/75/14X13/2/4.0"/ E370C/N/N/N-C-480V (OEM Press Systems Inc., 311 S. Highland Ave., Fullerton, CA 92832)で、高真空(<29インチHg)下で、309℃及び100k−lbsの力で4分間完全密度(full density)まで積み重ねを圧縮してラミネートした。圧縮した積み重ねを放冷し、次いで、直径8.5インチの円に切り出した。
【0033】
円形試料の円周をつかみ、300℃で、軸方向延伸速度3.0インチ/秒で、延伸面積約11.25:1に放射状に延伸した。次いで、放射状に延伸した試料を緩和させ、1.5:1の面積減少を達成した。試料を取り除き、9インチ×9インチの試験片に切り出した。この過程を4回繰り返し、4つの放射状延伸PTFEディスクをつくった。
【0034】
上記の4つの放射状延伸PTFEディスクを、テープ2の1層と組み合わせ、単一の積み重ねた試験片にして、ポリマーフィルムメッシュを作成した。積み重ねた試験片を、OEMプレスModel VAC-Q-LAM-1/75/14X13/2/4.0"/ E370C/N/N/N-C-480V (OEM Press Systems Inc., 311 S. Highland Ave., Fullerton, CA 92832)で、高真空(<29インチHg)で、309℃及び約100k−lbsの力で、4分間ほぼ完全密度まで圧縮してラミネートした。圧縮して緻密にした積み重ねを放冷し、8.5インチの円に切り出した。円形試料の円周をつかみ、300℃で、0.2インチ/秒の軸方向変位の速度で、延伸比約11.25:1に延伸した。次いで、延伸したポリマーフィルムメッシュを、約1.5:1の面積減少に緩和させた。次いで、ポリマーフィルムメッシュを、350℃の対流オーブン(ESPEC Model SSPH-201, 4141 Central Parkway, Hudsonville, MI 49426)で10分間再び引っ張り、次いで放冷した。
【0035】
この微孔性延伸非対称PTFEポリマーフィルムメッシュ物品の断面SEMを
図5に示す。
【0036】
(実施例2−縫合管理により予備縫合された薄い二面ポリマーフィルムパッチ)
実施例1のポリマーフィルムメッシュの試料を、CO2 Plotter/Laser (Universal Laser Systems Model PLS6.60-50 16000 M 81st Street, Scottsdale, AZ 85260)を使用して、15cm×19cmの楕円のデバイスに切り出した。次いで、GORE-TEX CV-2縫合糸(W.L.Gore and Associates,Inc.,301 Airport Road, Elkton, MD 21921)を4つの基本位置:12時、3時、6時、及び9時の位置に通した。各縫合糸を、端から約0.5cm内側に通した。各縫合糸を、自由端がデバイスの腹部側になるように、デバイスに通した。各縫合糸の輪の侵入及び脱出点は、約0.5cm離れていた。次に、フッ化エチレンプロピレン(FEP)/延伸PTFE(ePTFE)複合フィルムの薄くて強い片をおよそ1cm×0.5cmの長方形に切り出した。延伸PTFEフィルムは米国特許第5476589A号に準じて調製した。FEP層はおよそ1ミルの厚さであった。この切り出した長方形を、縫合したポリマーフィルムメッシュの開放面に、露出している縫合糸のそれぞれが隠れるように置いた。次いで、これらのFEP/ePTFE長方形をポリマーフィルムメッシュに溶接し、それにより縫合糸を所定の位置に固定した。溶接は、ブラントチップを備え800°Fに設定した半田ごて(Weller WSD161, APEX Tool Group LLC., 14600 York Road Suite A, Sparks, MD 21152)及び手の圧力を使用して行った。
【0037】
縫合糸のもつれを防ぐように設計された縫合管理は、米国特許第6,165,217号に準じて製造した生体吸収性ポリマーの「糸」から製造したコイルを利用して、配向した縫合糸の取り付けられた組を束ねることにより達成した。生体吸収性フィルムの質量は7mg/cm
2であった。このフィルムを「たばこ状に巻き」、「糸」を作った。次いで、この「糸」を縫合糸に巻いて、対応する隣接縫合糸を固定した。熱(260°F、10秒間)を、ヒートガン(Steinel Model HL2010E, 9051 Lyndale Avenue, Bloomington, MN 55420)により加え、生体吸収性ポリマーを収縮させて熱硬化させた。
【0038】
(実施例3−予備縫合され5mmトロカールポートによる送達用に管に包装された薄い二面ポリマーフィルムパッチ)
実施例2の縫合されたポリマーフィルムメッシュ物品を、楕円の短軸で半分に折った。折ったポリマーフィルムメッシュを、水平式回転ドリルプレスにチャックで固定された2つの小さいマンドレル(又は分かれたマンドレル)(New England Precision Grinding, 0.013インチ×70インチのPTFE被覆304SSマンドレル、35 Jeffrey Avenue, Holliston, MA 01746-2027)の間に置き、ドリルプレスが回転して、縫合されたポリマーフィルムメッシュデバイスを巻き、マンドレルの周りの堅いパッケージにした。巻かれたアセンブリをチャックから外し、巻かれた縫合済みポリマーフィルムメッシュの中からマンドレルを外した。巻かれた縫合済みポリマーフィルムメッシュを、内径約5.2mmの管(Grilamid製、0.005インチの壁のナイロン管)に挿入した。管及び巻かれた縫合デバイスを、内径約5.5mmの5mmトロカールポート(Covidien 15 Hampshire Street, Mansfield, MA 02048)に挿入した。縫合済みポリマーフィルムメッシュの展開は、巻かれた縫合済みポリマーフィルムメッシュが容易にトロカールから押し出され、比較的水平に置かれたテーブルトップに広げられた時に実証された。
【0039】
(実施例4−荷重分散−5:1楕円形開口部)
楕円形開口部作成の縫合保持効果を、米国特許第7306729号に準じて作成したePTFEポリマーフィルムメッシュ物品を使用して決定した。ベースのePTFE材料は、マトリックス引張強度が、機械方向と横方向で、それぞれ48kpsi及び46kpsiであった。その材料を、CO2プロッター/レーザー(Universal Laser Systems Model PLS6.60-50 16000 M 81st Street, Scottsdale, AZ 85260)に取り付けた。材料の面にビームの焦点を合わせた。試験方向の向きで(機械方向、横方向、及び公称45度)、楕円がポリマーフィルムメッシュ物品の外周に実質的に平行であるような向きに、r
major0.05インチ及びr
minor0.010インチ(すなわち、5:1の比)の楕円を材料からレーザーカットした。縫合保持測定は、機械方向、横方向、及び45度方向のそれぞれで、レーザーによる開口部に試験ピンを連続的に配置して実施した。結果を
図7に示す。
【0040】
(実施例5−荷重分散−2:1楕円形開口部)
楕円形開口部作成の縫合保持効果を、米国特許第7306729号に準じて作成したePTFEポリマーフィルムメッシュ物品を使用して決定した。ベースのePTFE材料は、マトリックス引張強度が、機械方向と横方向で、それぞれ48kpsi及び46kpsiであった。その材料を、CO2プロッター/レーザー(Universal Laser Systems Model PLS6.60-50 16000 M 81st Street, Scottsdale, AZ 85260)に取り付けた。材料の面にビームの焦点を合わせた。試験方向の向きで(機械方向、横方向、及び公称45度)、楕円がポリマーフィルムメッシュ物品の外周に実質的に平行であるような向きに、r
major0.05インチ及びr
minor0.025インチ(すなわち、5:1の比)の楕円を材料からレーザーカットした。縫合保持測定は、機械方向、横方向、及び45度方向のそれぞれで、レーザーによる開口部に試験ピンを連続的に配置して実施した。結果を
図7に示す。
【0041】
(実施例6−荷重分散−1:1楕円形開口部)
楕円形開口部作成の縫合保持効果を、米国特許第7306729号に準じて作成したePTFEポリマーフィルムメッシュ物品を使用して決定した。ベースのePTFE材料は、マトリックス引張強度が、機械方向と横方向で、それぞれ48kpsi及び46kpsiであった。その材料を、CO2プロッター/レーザー(Universal Laser Systems Model PLS6.60-50 16000 M 81st Street, Scottsdale, AZ 85260)に取り付けた。材料の面にビームの焦点を合わせた。試験方向の向きで(機械方向、横方向、及び公称45度)、楕円がポリマーフィルムメッシュ物品の外周に実質的に平行であるような向きに、r
major0.05インチ及びr
minor0.050インチ(すなわち、5:1の比)の楕円を材料からレーザーカットした。縫合保持測定は、機械方向、横方向、及び45度方向のそれぞれで、レーザーによる開口部に試験ピンを連続的に配置して実施した。結果を
図7に示す。
【0042】
(実施例7−荷重分散−対照、楕円形開口部なし)
楕円形開口部作成の縫合保持効果を、米国特許第7306729号に準じて作成したePTFEポリマーフィルムメッシュ物品を使用して決定した。ベースのePTFE材料は、マトリックス引張強度が、機械方向と横方向で、それぞれ48kpsi及び46kpsiであった。この対照試料は、機械方向、横方向、及び45度方向のそれぞれに対応する位置でポリマーフィルムメッシュ物品に試験ピンを押しつけることにより試験した。結果を
図7に示す。
【0043】
(実施例8−荷重分散−スリット要素)
縫合位置付近の小さなスリット作成の縫合保持に対する効果を、米国特許第7306729号に準じて作成したePTFEポリマーフィルムメッシュ物品を使用して決定した。ベースのePTFE材料は、マトリックス引張強度が、機械方向と横方向で、それぞれ48kpsi及び46kpsiであった。ポリマーフィルムメッシュ物品の端からおよそ0.5cm内側で端に平行にカミソリの刃で切って、小さなスリットの切れ目をつくった。次いで、スリットと物品の端との間の位置で、ポリマーフィルムメッシュ物品に試験ピンを押しつけた。引張性質を測定した。
図8は、スリットが全くない対照試料に比較した、スリットの長さの関数としての縫合糸引き抜き引張り結果を示す。
【0044】
(実施例9−荷重分散−「帽子」要素)
縫合位置付近の小さな「帽子」状スリット作成の縫合保持に対する効果を、米国特許第7306729号に準じて作成したePTFEポリマーフィルムメッシュ物品を使用して決定した。ベースのePTFE材料は、マトリックス引張強度が、機械方向と横方向で、それぞれ48kpsi及び46kpsiであった。ポリマーフィルムメッシュ物品の端からおよそ0.5cm内側で端に平行にカミソリの刃で切って、小さな「帽子」状スリットの切れ目をつくった。次いで、「帽子」状スリットと物品の端との間の位置で、試験ピンをポリマーフィルムメッシュ物品に押しつけた。引張性質を測定した。
図8は、スリットが全くない対照試料に比較した、「帽子」状スリットの長さの関数としての、縫合糸引き抜き引張り結果を示す。
【0045】
(実施例10−複数の縦方向荷重分散要素)
複数の荷重分散要素を含んでなる材料の機械方向の引裂抵抗を、以下のとおり評価した。米国特許第7306729号に準じてePTFE物品を作成し、平均質量193g/m
2、平均密度2.1g/cc、及びMTS(機械方向)36kpsi及び(横方向)55kpsiの材料を得た。その材料を、CO2プロッター/レーザー(Universal Laser Systems Model PLS6.60-50 16000 M 81st Street, Scottsdale, AZ 85260)に取り付けた。材料の面にビームの焦点を合わせた。r
major0.02インチ及びr
minor0.004インチの楕円のマトリックスを、連続的な材料中にレーザー処理した。楕円は、その短軸が材料の機械方向に平行になるように向けた。楕円は、縦方向には0.07インチ(公称の中心−中心間)離して、横方向には0.08インチ(公称の端−端間)離して配置した。得られた材料は、
図6のより小さい穴(55)の均一パターンにより示される穴のパターンを有した。
【0046】
受け取ったままの材料及びこの実施例で上述のレーザー処理した荷重分散要素のマトリックスのある材料の両方から、1インチ×2インチの試料試験片を切り出した。各試料の引裂き伝播特性を、ASTM D1938 Trouser Tear Methodに実質的に従って試験した。試料試験片の長軸を、材料の機械方向に平行にした。鋭いカミソリの刃を使用して長軸に沿って試験片に手作業で切れ目を入れることにより、鋭い裂け目を作り始めた。各タブを、引張試験器の低いグリップ及び高いグリップに取付け、200mm/分のクロスヘッドスピードで試験し、生じた力のトレースを記録した。対照及びレーザー処理試料の両方の力対変位データを、
図11に示す。レーザー処理試料により保持される最大の力は、対照試料より著しく高い。これは、最大の力又は耐荷力に関して、この薄いフィルム試験片に多数の穴を切ったことが、機械方向の引張性質をおよそ2倍増加させたことを証明する。
【0047】
(実施例11−複数の横方向荷重分散要素)
複数の荷重分散要素を含んでなる材料の横方向の引裂抵抗を、以下のとおり評価した。米国特許第7306729号に準じてePTFE物品を作成し、平均質量193g/m
2、平均密度2.1g/cc、及びMTS(機械方向)36kpsi及び(横方向)55kpsiの材料を得た。その材料を、CO2プロッター/レーザー(Universal Laser Systems Model PLS6.60-50 16000 M 81st Street, Scottsdale, AZ 85260)に取り付けた。材料の面にビームの焦点を合わせた。r
major0.02インチ及びr
minor0.004インチの楕円のマトリックスを、連続的な材料中にレーザー処理した。楕円は、その短軸が材料の横方向に平行になるように向けた。楕円は、縦方向には0.07インチ(公称の中心−中心間)離して、横方向には0.08インチ(公称の端−端間)離して配置した。得られた材料は、
図6のより小さい穴(55)の均一パターンにより示される穴のパターンを有した。
【0048】
受け取ったままの材料及びこの実施例で上述のレーザー処理した荷重分散要素のマトリックスのある材料の両方から、1インチ×2インチの試料試験片を切り出した。各試料の引裂き伝播特性を、ASTM D1938 Trouser Tear Methodに実質的に従って試験した。試料試験片の長軸を、材料の横方向に平行にした。鋭いカミソリの刃を使用して長軸に沿って試験片に手作業で切れ目を入れることにより、鋭い裂け目を作り始めた。各タブを、引張試験器の低いグリップ及び高いグリップに取付け、200mm/分のクロスヘッドスピードで試験し、生じた力のトレースを記録した。対照及びレーザー処理試料の両方の力対変位データを、
図12に示す。レーザー処理試料により保持される最大の力は、対照試料より著しく高い。これは、最大の力又は耐荷力に関して、この薄いフィルム試験片に多数の穴を切ったことが、横方向の引張性質をおよそ2倍増加させたことを証明する。