特許第6243480号(P6243480)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6243480
(24)【登録日】2017年11月17日
(45)【発行日】2017年12月6日
(54)【発明の名称】呼吸用気体の加温加湿器
(51)【国際特許分類】
   A61M 16/16 20060101AFI20171127BHJP
   A61M 16/10 20060101ALI20171127BHJP
【FI】
   A61M16/16 B
   A61M16/10 C
【請求項の数】3
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2016-119988(P2016-119988)
(22)【出願日】2016年6月16日
(62)【分割の表示】特願2014-193149(P2014-193149)の分割
【原出願日】2014年9月22日
(65)【公開番号】特開2016-168383(P2016-168383A)
(43)【公開日】2016年9月23日
【審査請求日】2016年6月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】390022541
【氏名又は名称】アトムメディカル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101465
【弁理士】
【氏名又は名称】青山 正和
(72)【発明者】
【氏名】松原 一雄
(72)【発明者】
【氏名】松原 照己
(72)【発明者】
【氏名】小林 心一
(72)【発明者】
【氏名】田邉 佳史
【審査官】 和田 将彦
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭61−232862(JP,A)
【文献】 米国特許第04225542(US,A)
【文献】 特開平05−309136(JP,A)
【文献】 特表2010−501315(JP,A)
【文献】 特表2009−504278(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 16/16
A61M 16/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水を溜める容器部とその容器部の上部に取り付けられる蓋部とにより構成されるチャンバ内に呼吸用気体を流通させて加温加湿する呼吸用気体の加温加湿器であって、
前記チャンバには、
前記チャンバ内に呼吸用気体を取り入れる吸入口と、
前記チャンバ内で加湿された呼吸用気体を外部に導き出す吹出口と、
前記チャンバ内に水を供給する給水口と、
ヒータにより加熱され上下方向に沿って配置される加熱板と、
前記チャンバ内の水に下部を浸漬させて湿潤状態に保たれる第1シート状加湿部材とが備えられ、
前記第1シート状加湿部材は、前記加熱板に面接触するとともに、その表面に沿って前記呼吸用気体を流通させるように配置されており、
前記加熱板は、前記チャンバの中心部に上下方向に沿う円筒状に配置され、前記第1シート状加湿部材は、前記加熱板の外周面に面接触して円筒状に取り付けられており、
前記吸入口は前記蓋部に設けられ、該吸入口に、前記呼吸用気体を送り込む供給用ホースが前記容器部の内周面の略水平方向に引いた接線と平行な方向に沿って接続されている呼吸用気体の加温加湿器。
【請求項2】
前記チャンバには、前記第1シート状加湿部材と間隔をおいて配置され前記チャンバの内部空間を前記第1シート状加湿部材が配置される加湿空間とその加湿空間に隣接する予熱空間との二重のリング状空間に区画する円筒状の仕切り板が備えられ、
前記吹出口は前記蓋部に設けられ、
前記予熱空間に前記吸入口が設けられ、前記加湿空間に前記吹出口が設けられており、
前記予熱空間と前記加湿空間とは前記仕切り板の下部に設けられる連通部によって前記呼吸用気体を前記予熱空間から前記加湿空間に流通する構成とされている請求項1に記載の呼吸用気体の加温加湿器。
【請求項3】
前記仕切り板の表裏面には一対の第2シート状加湿部材が取り付けられており、
前記一対の第2シート状加湿部材は、前記チャンバ内の水に下部を浸漬させて湿潤状態に保たれる構成とされる請求項2に記載の呼吸用気体の加温加湿器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人工呼吸器や酸素吸入療法等に用いられる呼吸用気体を適度の温度、湿度に維持するための加温加湿器に関する。
【背景技術】
【0002】
所定量の酸素を含んだ呼吸用気体を患者の気道へ送る人工呼吸器や、酸素吸入療法のための装置が知られている。このような装置においては、患者に乾燥した呼吸用気体が供給されると、時間の経過とともに患者の喉、鼻腔及び粘膜を乾燥させ、患者に不快感を与えるだけではなく、気道の損傷をもたらすおそれがある。このため、従来から呼吸用気体に水蒸気を取り込んで適度の温度、湿度に維持するための加温加湿器が用いられてきた。
【0003】
このような呼吸用気体の加温加湿器としては、例えば特許文献1又は特許文献2に開示されているような水を溜めたチャンバ内に呼吸用気体を通過させ、蒸発した水分で加湿するもの等が知られている。
例えば、特許文献1では、水を溜めるチャンバに発熱体が設けられており、チャンバ内の水を加熱することにより、蒸発速度を増加させ、チャンバを通過する呼吸用気体(呼吸ガス)に取り込まれる水蒸気の量を増加させた加温加湿器(加湿器)が提案されている。
また、特許文献2では、チャンバの底璧部に伝熱プレートを設けており、その伝熱プレートによりチャンバ内に溜められた水を加熱して温められるようになっている。
さらに、特許文献3には、中空繊維膜により呼吸用気体が流れる通路を形成し、その中空繊維膜を包囲する包囲体を有する装置が提案されている。そして、水は、中空繊維膜に供給されるようになっており、その中空繊維膜の外表面と包囲体との間の空間を通過することにより、水蒸気を中空繊維膜の内部に流れる呼吸用気体に供給するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2011‐512889号公報
【特許文献2】特開2012‐185825号公報
【特許文献3】特表2007‐530157号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、患者が心肺停止状態である場合などに呼吸用気体を人体に強制的に供給する場合や、近年注目されているハイフロー(患者の吸気よりも高い流量で呼吸用気体を供給する)療法においては、通常よりも高流量で呼吸用気体が人体に供給される。
この点、特許文献1や特許文献2に記載される加温加湿器では、チャンバ内に溜めた水を加熱することから、水面から水蒸気が生じるまでに加熱に時間を要するとともに、供給する呼吸用気体と水との接触面積がチャンバ内に溜められた水の表面に限られることから、呼吸用気体の流量を多くすると十分な加湿を行うことが難しくなる。
また、特許文献3に記載の装置においては、水と呼吸用気体との接触面積を増やすことにより加湿能力を高めることとしているが、この装置による加湿も十分なものではなく、より一層の加湿能力の向上が求められる。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、呼吸用気体の加湿効率を高めることができ、呼吸用気体を高流量で供給した場合においても安定した加湿能力を維持して連続的な運転を行うことができる呼吸用気体の加温加湿器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、水を溜める容器部とその容器部の上部に取り付けられる蓋部とにより構成されるチャンバ内に呼吸用気体を流通させて加温加湿する呼吸用気体の加温加湿器であって、前記チャンバには、前記チャンバ内に呼吸用気体を取り入れる吸入口と、前記チャンバ内で加湿された呼吸用気体を外部に導き出す吹出口と、前記チャンバ内に水を供給する給水口と、ヒータにより加熱され上下方向に沿って配置される加熱板と、前記チャンバ内の水に下部を浸漬させて湿潤状態に保たれる第1シート状加湿部材とが備えられ、前記第1シート状加湿部材は、前記加熱板に面接触するとともに、その表面に沿って前記呼吸用気体を流通させるように配置されており、前記加熱板は、前記チャンバの中心部に上下方向に沿う円筒状に配置され、前記第1シート状加湿部材は、前記加熱板の外周面に面接触して円筒状に取り付けられており、前記吸入口は前記蓋部に設けられ、該吸入口に、前記呼吸用気体を送り込む供給用ホースが前記容器部の内周面の略水平方向に引いた接線と平行な方向に沿って接続されている。
【0008】
チャンバ内の水全体を加熱するのではなく、その水に下部を浸漬させて湿潤状態となっている第1シート状加湿部材を加熱するので、少ないエネルギーで確実に水を蒸発させることができる。また、第1シート状加湿部材の表面に呼吸用気体を接触させながら通過させることで、水の蒸発速度を増加させて、水の気化量を増加させることができるので、呼吸用気体に水蒸気を取り込ませ易くすることができる。
ところで、ハイフロー等の高流量で呼吸用気体を送り出す場合には、第1シート状加湿部材における気化量が増加することから、その第1シート状加湿部材の下部から水を吸い上げる吸収量を超えると、第1シート状加湿部材の上部が乾燥して、加湿機能が低下するおそれがある。そこで、本発明の呼吸用気体の加温加湿器では、チャンバ内に水を供給する給水口を加熱板の上部に向けて水を供給するように設けることで、加熱板に面接触して設けられる第1シート状加湿部材を、その第1シート状加湿部材の上部においては給水口からの供給される水によって湿らせることとし、第1シート状加湿部材の下部においてはチャンバ内に溜められた水に浸漬させて下部から水を吸い上げることにより湿らせることとしている。これにより、呼吸用気体を高流量で供給した場合においても、第1シート状加湿部材の乾燥を防止でき、第1シート状加湿部材の全体で安定した加湿能力を維持して加温加湿器の連続的な運転を行うことができる。
【0009】
本発明の呼吸用気体の加温加湿器において、前記給水口からの水の供給は、給水と停止とを相互に繰り返しながら間欠的に行われる構成とされるとよい。
給水と停止とを繰り返して間欠的に給水を行い、水の供給量と供給タイミングとを調整することで、チャンバ内の水の水温や加熱板の温度の急激な変動を抑制することができる。したがって、安定した加湿能力を維持して呼吸用気体の加湿を行うことができる。
【0010】
本発明の呼吸用気体の加温加湿器において、前記チャンバには、前記第1シート状加湿部材と間隔をおいて配置され前記チャンバの内部空間を前記第1シート状加湿部材が配置される加湿空間とその加湿空間に隣接する予熱空間との二重のリング状空間に区画する円筒状の仕切り板が備えられ、前記吹出口は前記蓋部に設けられ、前記予熱空間に前記吸入口が設けられ、前記加湿空間に前記吹出口が設けられており、前記予熱空間と前記加湿空間とは前記仕切り板の下部に設けられる連通部によって前記呼吸用気体を前記予熱空間から前記加湿空間に流通する構成とされている。
【0011】
チャンバの内部空間を仕切り板により区画することで、呼吸用気体が、加熱板から離れて配置される予熱空間から加湿空間へと流れる通路が形成される。このため、チャンバ内に取り込まれた呼吸用気体は、初めに予熱空間内を通過する際に予備的に加温されるとともに、予熱空間内に蒸発している水蒸気により予備的に加湿され、その後に仕切り板の連通部を通じて加湿空間に移動される。そして、加湿空間において、呼吸用気体が加熱板によって温められた湿潤状態の第1シート状加湿部材の表面に接触することで、さらに加温加湿が促進されることとなる。
このように、予熱空間で予備的な加温加湿を行い、加湿空間で本格的な加温加湿を行う構成とし、呼吸用気体を予熱空間と加湿空間とで段階的に加温加湿することとしているの
で、呼吸用気体を高流量で供給した場合にも、速やかに加温加湿することができる。
【0012】
この場合、加熱板を円筒状に設けてチャンバの中心部に配置することで、チャンバの内部空間を中心部から周方向に順に加熱することができ、比較的温度の高い加湿空間から比較的温度の低い予熱空間までをそれぞれの領域で周方向にほぼ均等に構成することができる。また同様に、シート状加湿部材による呼吸用気体との接触面を周方向に均等に配置することができ、呼吸用気体の加温加湿を均等に行うことができる。
【0013】
本発明の呼吸用気体の加温加湿器において、前記仕切り板の表裏面には一対の第2シート状加湿部材が取り付けられており、前記一対の第2シート状加湿部材は、前記チャンバ内の水に下部を浸漬させて湿潤状態に保たれる構成とされるとよい。
チャンバの内部空間を区画する仕切り板の表裏面にもそれぞれ第2シート状加湿部材を取り付けることで、呼吸用気体が仕切り板で区画された通路内を流れる際に、湿潤状態の第2シート状加湿部材の表面に接触させることができる。したがって、加熱板に面接触して配置される第1シート状加湿部材に加えて、仕切り板に取り付けられた第2シート状加湿部材によっても加湿機能を向上させることができる。
【0014】
本発明の呼吸用気体の加温加湿器において、前記チャンバ内の水位を検出する水位センサが備えられており、前記給水口からの水の供給が、前記水位センサにより検出される水位に応じて給水量と給水タイミングとを変化させた複数段階の給水モードで管理されるとよい。
給水口からの給水量と給水タイミングを、チャンバ内の水位に応じて変化させることで、一定の水位を確保して安定した加湿を行うことができ、呼吸用気体の温度及び湿度変動を抑制することができる。なお、チャンバ内の水位が下限位置まで減少したことを検知した際には警報を出すことで、チャンバ内の水が完全になくなる前に、給水用バッグの交換を使用者に知らせることができるので、空焚き現象の発生を防止することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、チャンバ内の水全体を加熱するのではなく、湿潤状態の第1シート状加湿部材を加熱することとしているので、呼吸用気体の加湿効率を高めることができる。また、加熱板に面接触して設けられる第1シート状加湿部材を、その第1シート状加湿部材の上部と下部の双方から水を供給して湿らせることで、呼吸用気体を高流量で供給した場合においても、第1シート状加湿部材の乾燥を防止でき、第1シート状加湿部材の全体で安定した加湿能力を維持して加温加湿器の連続的な運転を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の呼吸用気体の加温加湿器の実施形態を示す斜視図である。
図2図1に示す加温加湿器の本体部分の斜視図である。
図3図1に示す加温加湿器のチャンバ部分の断面斜視図である。
図4図3に示す状態からチャンバを取り外した状態を示す加温加湿器の断面斜視図である。
図5図3に示す加温加湿器のチャンバ部分の要部断面図である。
図6】チャンバの構成を説明する分解斜視図である。
図7】タワーユニットの構造を説明する断面図である。
図8】送水ポンプの斜視図である。
図9図8に示す送水ポンプの断面図である。
図10】加温加湿器のチャンバ部分を上下方向と直交する方向に切断した断面図である。
図11】水位センサの構成を説明する図であり、(a)が発光部を3つ搭載した発光基板の斜視図であり、(b)が受光部を3つ搭載した受光基板の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明に係る呼吸用気体の加温加湿器の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
図1から図4に示す本実施形態の呼吸用気体の加温加湿器100は、例えば、自発呼吸を補助して呼吸障害を治療するためのCPAP装置等に接続されて用いられる。CPAP装置は、持続気道陽圧(CPAP:continuous positive airway pressure)と呼ばれる方式の補助喚起法を用いて患者に治療を施す装置であり、ネーザルプロング、気管挿管チューブ、鼻マスク等の患者インターフェースを介して所定量の酸素と空気との混合気体からなる呼吸用気体を患者に供給する。そして、加温加湿器100は、患者に供給される呼吸用気体を適度の温度及び湿度に維持するために設けられており、CPAP装置から送られる呼吸用気体は加温加湿器100で加温加湿され、患者に供給されるようになっている。
【0018】
加温加湿器100は、図1に示すように、制御部等が内蔵された本体1と、本体1と一体に設けられた基台2と、基台2に着脱可能に設けられたチャンバ3と、チャンバ3内に呼吸用気体を送り込む供給用ホース4と、加温加湿後の呼吸用気体をチャンバ3から患者インターフェースに送り出すインターフェース接続ホース5と、チャンバ3内に水を供給する給水部6とを備える。
また、加温加湿器100の基台2には、チャンバ3内に溜められた水の水位を検出するための水位センサ20(図10参照)が設けられており、加温加湿器100の運転時にチャンバ3内の水位に応じて、給水部6から水が供給されるようになっている。その詳細は、後述する。
なお、加温加湿器100は、図1に示すように、キャスタ71により移動自在な架台7上に載置されており、架台7とともに全体を移動可能になっている。また、図示は省略するが、加温加湿器100には、チャンバ3内に呼吸用気体を送り込むためのガス供給機(例えば、CPAP装置)が接続される。
【0019】
基台2は、図3から図5に示すように、チャンバ3の側面部と下部を嵌め込むことによりチャンバ3を装着可能な凹部21が形成されており、その凹部21の中心部にほぼ円柱状のヒータ22が垂直に立設されている。そして、ヒータ22の表面は、熱伝導性の高い金属(例えば、アルミニウム)からなるヒートシンク23で気密に覆われた構成とされている。
【0020】
チャンバ3は、図4及び図6に示すように、水を溜める容器部8とその容器部8の上部に取り付けられる蓋部9とから構成されており、容器部8と蓋部9とで構成されるチャンバ3の内部空間に呼吸用気体を通過させることにより、呼吸用気体を加温加湿できるようになっている。
また、容器部8及び蓋部9は、例えばポリカーボネート樹脂(PC)やPMMA等のアクリル樹脂、ポリスルホン樹脂(PSU)等の透明な樹脂により形成されている。
【0021】
なお、本実施形態のチャンバ3においては、容器部8と蓋部9とは接着された状態で使用される。また、チャンバ3は、基台2に設けられるヒンジ機構部24に着脱可能に設けられており、加温加湿器100においては、チャンバ3とヒンジ機構部24とを連結することで、チャンバ3が正規の位置に搭載されていることを検知するようになっている。
【0022】
また、蓋部8には、チャンバ3の内部空間に呼吸用気体を取り込む吸入口41と、チャンバ3内で加湿された呼吸用気体を外部に導き出す吹出口51と、チャンバ3内に加湿用の水を供給する給水口61とが設けられている。そして、吸入口41は供給用ホース4に接続され、吹出口51はインターフェース接続ホース5に接続され、吸水口61は給水部6に接続されている。
【0023】
容器部8には、図3から図6に示すように、底部の中心部に熱伝導性の高い金属(例えば、アルミニウム)からなる加熱板81が上下方向に沿って設けられている。この加熱板81は、ほぼ円筒スリーブ状の胴体部の上端を天板部に一体に閉塞した形状に形成されている。そして、加熱板81の外周面がチャンバ3の内部空間の一部を構成しており、内部空間がリング状の空間に形成されている。また、加熱板81の胴体部の内側には、容器部8を基台2に装着する際にヒートシンク23が挿入されるようになっている。
【0024】
この場合、ヒートシンク23と加熱板81とは、上方に向かうにしたがって漸次縮径するように若干のテーパ状に形成され、ヒートシンク23の外周面23aと加熱板81の内周面とがほぼ同じ傾斜角度に形成されていることにより、ヒートシンク23に加熱板81を嵌合したときに、加熱板81の内周面とヒートシンク23の外周面とが面接触し、ヒータ22の熱がヒートシンク23を介して加熱板81に円滑に伝えられるようになっている。
そして、この加熱板81の外周面には、円筒状の第1シート状加湿部材11Aが面接触して取り付けられるとともに、この第1シート状加湿部材11Aの周囲に間隔をあけて一対の第2シート状加湿部材11B,11Cを有するタワーユニット10が取り付けられる。
【0025】
タワーユニット10は、図7に示すように、内周側の第2シート状加湿部材11Bを支持する円筒状の枠体12と、外周側の第2シート状加湿部材11Cを支持する仕切り板13との二つの部品を組み合わせて構成されている。また、枠体12と仕切り板13とは、ポリプロピレン等の樹脂により形成される。
枠体12は、図7に示すように、タワーユニット10の長さ方向の両端に配置される円環部を複数本の板状部で繋いだ形状とされており、板状部の間を塞ぐように第2シート状加湿部材11Bが取り付けられることにより、第2シート状加湿部材11Bがほぼ円筒状に保持されている。また、仕切り板13は、枠体12の外側を覆う円筒状に形成されており、その外周面に第2シート状加湿部材11Cが取り付けられ、円筒状に保持されている。そして、これら枠体12と仕切り板13とを組み合わせることで、仕切り板13の内周面に第2シート状加湿部材11Bが配置されるとともに、外周面に第2シート状加湿部材11Cが配置されたタワーユニット10が形成される。
【0026】
タワーユニット10を容器部8に装着した状態では、タワーユニット10(仕切り板13)によりチャンバ3の内部空間が内側と外側との二重のリング状空間に区画される。また、タワーユニット10は、加熱板81に第1シート状加湿部材11Aを取り付けた後に容器部8に装着されるが、この際、第1シート状加湿部材11Aが加熱板81の外周面に面接触するように配置されるとともに、仕切り板13の内周面に第2シート状加湿部材11Bが設けられ、外周面に第2シート状加湿部材11Cが設けられることから、チャンバ3の内部空間は、図5に示すように、第1シート状加湿部材11A及び第2シート状加湿部材11Bが配置される内側の加湿空間31と、その加湿空間31に隣接して、第2シート状加湿部材11Cが配置される予熱空間32とに区画されることとなる。
【0027】
なお、この場合、タワーユニット10の枠体12及び仕切り板13は、加熱板81と同様に、上方に向かうにしたがって漸次縮径するように傾斜を設けた若干のテーパ状に形成されており、チャンバ3の内側の加湿空間31は、加熱板81の外周面から一定の間隔を
あけて形成されている。
【0028】
また、タワーユニット10の下部には、予熱空間32と加湿空間31とを連通する連通部33が設けられており、この連通部33は、図5に示すように、水面w上に開口して設けられ、チャンバ3内の水は、連通部33により予熱空間32と加湿空間31との間で流通可能とされ、予熱空間32と加湿空間31とに水が同じ水位で貯留される。なお、タワーユニット10の連通部33は、枠体12、仕切り板13及び一対の第2シート状加湿部材11B,11Cを貫通して形成されている。
【0029】
この場合、タワーユニット10の下端部が水に浸漬するとともに、加熱板81の下端部も水に浸漬して設けられることで、これらに取り付けられたシート状加湿部材11A〜11Cの下部も水に浸漬して設けられる。一方、タワーユニット10及び加熱板81の大部分は水面上に露出して設けられることから、加熱板81によってチャンバ3内の水を加熱することができるとともに、チャンバ3内の空間を温めることができ、チャンバ3の内部空間の湿度を高めることができる。
この際、加熱板81は加湿空間31側に配置され、加湿空間31に溜められた水を直接的に加熱する構成とされているが、前述したように、タワーユニット10に連通部33を設けているので、チャンバ3内の水を、連通部33を経由して加湿空間31と予熱空間32との間で流通させることができる。したがって、予熱空間32の水も円滑に加熱することが可能となり、予熱空間32の加湿も円滑に行えるようになっている。
【0030】
また、容器部8の中心部に配置された加熱板81により、チャンバ3の内部空間が中心部から周方向に順に加熱されるようになっており、加湿空間31から予熱空間32までがそれぞれの領域で周方向にほぼ均等に加熱される。同様に、チャンバ3の中心部に周方向に均等に配置された第1シート状加湿部材11A及び第2シート状部材11B,11Cにより、チャンバ3の内部空間を通過する呼吸用気体を、加湿空間31及び予熱空間32のそれぞれの領域で周方向に均等に加温加湿することができる。
【0031】
また、チャンバ3の蓋部9に設けられた吸入口41は予熱空間32に接続され、吹出口51は加湿空間31に接続されており、吸入口41から取り込まれた呼吸用気体は、図5の白抜き矢印で表されるように、連通部33を介して予熱空間32から加湿空間31へと移動し、吹出口51から取り出されるようになっている。したがって、呼吸用気体は、予熱空間32においては第2シート状加湿部材11Cの表面に沿って上から下に向かって流れ、加湿空間31においては第1シート状加湿部材11A及び第2シート状加湿部材11Bの表面に沿って下から上に向かって流れることになる。
【0032】
また、これらのシート状加湿部材11A〜11Cとしては、例えばレーヨンやポリエステル、綿などの天然素材により形成された不織布等の吸水性及び通気性に優れた材料が用いられる。なお、本実施形態の各シート状加湿部材11A〜11Cにおいては、それぞれ複数枚のシート材料を重ねて1枚のシート状加湿部材を構成している。そして、シート状加湿部材11A〜11Cは、前述したように下端部が容器部8内の水に浸漬した状態とされる。これにより、シート状加湿部材11A〜11Cが毛細管現象によって水を吸い上げてシート全域にわたって水が浸透し、水を含んだ湿潤状態が保たれる。
【0033】
そして、チャンバ3内に水を供給する給水部6は、図1に示すように、水が貯留された給水用バッグ62と、この給水用バッグ62とチャンバ3とを接続する給水ホース63と、給水用バッグ62内の水を送水する送水ポンプ64とを備える。
給水ホース63は、図1に示すように、その一端部がチャンバ3の蓋部9に設けられた給水口61に接続され、他端部が給水用バッグ62に接続されており、後述する水位センサ20の検出結果を受け、チャンバ3内に貯留された水の水位に応じて、給水用バッグ6
2からチャンバ3内に水が供給されるようになっている。
また、給水口61は、図3及び図5に示すように、加熱板81の上部に開口して設けられ、加熱板81の上部に向けて水を供給するように配置される。加熱板81には、第1シート状加湿部材11Aが面接触して設けられることから、給水口61から給水された水は、加熱板81を伝って第1シート状加湿部材11Aに浸透し、その第1シート状加湿部材11Aの上部側から供給されるようになっている。
【0034】
なお、本実施形態においては、送水ポンプ64を図8及び図9に示すローラ式の送水ポンプにより構成している。この送水ポンプ64は、ケース本体91と、このケース本体91にヒンジ部92を介して揺動自在に支持された扉93とを備え、ケース本体91の前面を開閉できるように構成されている。そして、ケース本体91には、複数のローラ94を備えたロータ95が設けられており、ロータ95をモータ96によって回転させることにより、ロータ95とともに回転する各ローラ94と外筒97との間で給水ホース63の一部を順に挟持しながら、上流側(給水用バッグ62側)から下流側(チャンバ3側)にかけて移動することにより、給水ホース63内の水を下流側に向けて送り出すようになっている。
【0035】
なお、送水ポンプ64の給水用バッグ62側には、扉93の開閉に連動したクランプ機構98が設けられており、扉93を開放した状態ではこのクランプ機構98が給水ホース63をクランプすることにより送水が防止される。一方、扉93を閉じた状態ではクランプ機構98が給水ホース63を開放して送水が行えるようになっている。したがって、扉93を開放した状態であっても、給水ホース63内の水が逆流することを防止できる。
【0036】
水位センサ20は、図10に示すように、一対の発光部26と受光部27とからなるユニットにより構成されており、発光部26から水平方向(チャンバ3の水面wと平行)に照射された照射光Lを、その発光部26と同じ高さに配置された対となる受光部27で受光することにより、チャンバ3内に溜められた水の水位を検出するものである。
発光部26には、例えば赤外線領域の波長光を発光するLED光源が用いられる。なお、光源の波長域はこれに限定されるものではなく、他の領域の光源を使用することも可能である。また、受光部27には、発光部26の光源の波長域に対応する感度を有する各種のフォトダイオードが用いられる。
【0037】
本実施形態の加温加湿器100においては、図11に示すように、一対の発光部26と受光部27とからなるユニットを3組備える構成とされており、各ユニットを構成する発光部26と受光部27とは、チャンバ3の容器部8の外側に、その容器部8を挟むように配置されている。
そして、各発光部26は、図11に示すように、基板26B上に高さ方向に間隔をあけて均等に配置されている。また、各受光部27も基板27B上に、発光部26と同様の間隔をあけて高さ方向に均等に並べられており、ユニットごとに発光部26と受光部27とが同じ高さになるように配置されている。そして、受光部27は、図10に示すように、各ユニットの発光部26から照射された照射光Lの照射方向に対してチャンバ3に貯留された水を経由することで屈折した方向に進行する照射光L1を、受光可能な位置に設けられている。
【0038】
すなわち、チャンバ3内に貯留された水の水位が水位センサ20の取り付け高さよりも高い位置にある場合は、発光部26から照射された照射光Lがチャンバ3内の水を経由することにより屈折して進行方向が曲げられるので、受光部27は、この屈折した照射光L1を受光可能な位置に設けられている。したがって、チャンバ3内の水位が水位センサ20の取り付け高さよりも低い場合は、照射光Lはチャンバ3内の水のない空間部を経由して略直進することとなり、その略直進する照射光L2を受光部27で検出することができ
なくなる。
このように、水位センサ20は、発光部26から照射された照射光Lを受光部27で検出できるか否かで、チャンバ3内の水位が水位センサ20の取り付け高さよりも高いか低いかを検出することができるようになっている。
【0039】
また、水位センサ20は、複数のユニットからなる受光部26と発光部27とを備えていることから、ユニットごとに異なる水位を検出することができるようになっている。したがって、各ユニットの検出結果によってチャンバ3内の水位がどのレベルにあるかを細かく検出することができる。
例えば、最も下側に配置された受光部26aと発光部27aとからなるユニットが照射光Lを検出しているが、中央に配置された発光部26bと受光部27bとからなるユニットが照射光Lを検出できない状態であれば、チャンバ3内の水位は、下側のユニットと中央のユニットとの間の高さにあることがわかる。また、下側のユニット及び中央のユニットが照射光Lを検出しているが、発光部26cと受光部27cとからなる上側のユニットが照射光Lを検出できない状態であれば、チャンバ3内の水位は、中央のユニットと上側のユニットとの間の高さにあることがわかる。したがって、これら3段階の高さに配置されたユニットの検出結果に基づき、チャンバ3内の水位を細かく検出することができるようになっている。
そして、水位センサ20の検出結果(受光部26a〜26cの検出結果)に基づいてチャンバ3内の水位が判定され、チャンバ3内の水位が標準位置よりも下側であると判定されると、給水部6から水が自動給水されるようになっている。
【0040】
なお、水位センサ20は、各ユニットの発光部26a〜26cの照射タイミングをずらして照射光Lを照射する構成とされており、隣接する受光部27a〜27cのそれぞれが異なる高さの照射光Lを拾って誤認識することが防止される。このため、ユニットごとに安定した検出を行うことができ、チャンバ3内の水位を正確に把握することができるようになっている。
【0041】
また、この給水部6からの水の給水は、給水と停止とを相互に繰り返しながら間欠的に行われるようになっており、水の供給量と供給タイミングとを調整して、チャンバ3内の水温や加熱板81の温度の変動を抑制している。さらに、この給水部6からの水の給水は、水位センサ20により検出される水位に応じて給水量と給水タイミングとを変化させた複数段階の給水モードで管理されるようになっている。
【0042】
具体的には、水位センサ20が、チャンバ3内の水位が標準位置まで減少したことを検知すると、1秒間の給水と7秒間の停止を繰り返す第1給水モードによりチャンバ3内の給水が行われる。そして、第1給水モードでの給水を数回繰り返しても水位が標準位置まで上昇しない場合、2秒間の給水と6秒間の停止とを繰り返す第2給水モードに切り替えて、水の給水量を増加させる。その後、さらに数分経過しても水位の上昇がない場合、給水用バッグ62の交換を促すための報知を行う。また、水位センサ20が、チャンバ3内の水位が下限位置まで減少したことを検知した場合には、安全を確保するために、チャンバ3内の水が完全に無くなる前に警報を出すとともに、ヒータ22の電源供給を切断して空焚き現象の発生を防止する。
【0043】
次に、加温加湿器100の動作について説明する。
チャンバ3内に呼吸用気体を供給する前に、給水用バッグ62からチャンバ3内に給水を行う。これにより、シート状加湿部材11A〜11Cの下端部が水面下に浸漬され、シート状加湿部材11A〜11Cが水を吸い上げて湿潤状態となる。そして、この状態でガス供給機を駆動することにより、呼吸用気体を吸入口41からチャンバ3内に供給する。
【0044】
呼吸用気体は、まず予熱空間32に導入され、この予熱空間32に取り込まれた呼吸用気体は、タワーユニット10(仕切り板13)の連通部33に向かって下向きに流れる。この予熱空間32を通過する際に、呼吸用気体は予備的に加温されるとともに、チャンバ3内の水面wと、タワーユニット10の外周面に取り付けられた第2シート状加湿部材11Cから予熱空間32内に蒸発している水蒸気により予備的に加湿される。そして、タワーユニット10の連通部33を通過して加湿空間31へと移動する際に、呼吸用気体は水面wに近接することで、水面wに接触して加湿が促進される。
【0045】
加湿空間31に取り込まれた呼吸用気体は、流れの向きを上向きに変えて上部の吹出口51に向かって流れる。この際、呼吸用気体は、加熱板81によって温められた湿潤状態の第1シート状加湿部材11Aの表面と、タワーユニット10の内周面に取り付けられた第2シート状加湿部材11Bの表面をなぞるようにしてこれらの表面に沿って流れることにより、これらシート状加湿部材11A,11Bに含まれる水分を気化させ、その水蒸気が取り込まれることで加湿される。そして、加湿された呼吸用気体は、吹出口51から外部へと取り出される。
【0046】
なお、シート状加湿部材11A〜11Cは、呼吸用気体を加湿することで水分が奪われる形となるが、シート状加湿部材11A〜11Cの下端部を水面下に浸漬させているので、呼吸用気体を加湿すると同時に水を吸い上げて湿潤状態が保たれる。
【0047】
そして、チャンバ3内の水が消費されることに伴い水位が低下するが、加温加湿器100においては、水位センサ20の出力結果(受光部27の検出結果)に基づいてチャンバ3内の水位が判定されるようになっており、チャンバ3内の水位が標準位置よりも下側であると判定されると、給水部6から水が自動供給されるようになっている。
【0048】
この際、加熱板81に面接触して配置される第1シート状加湿部材11Aは、加熱板81により温められることで、一対の第2シート状加湿部材11B,11Cと比較して水分が蒸発しやすくなっているが、本実施形態の加温加湿器100においては、給水口61を加熱板81の上部側に設け、この加熱板81の上部に向けて水を供給することとしているので、第1シート状加湿部材11Aの上部においては加熱板81を伝って流れる給水口61から供給される水によって湿らせられ、下部においてはチャンバ3内に溜められた水を吸い上げることにより湿らせて、上部と下部の双方から水を吸収させて湿潤状態を維持することができる。これにより、呼吸用気体を高流量で供給した場合においても、第1シート状加湿部材11Aの乾燥を防止することができ、呼吸用気体の加温加湿を円滑に行うことができる。
【0049】
また、加温加湿器100では、給水部6(給水口61)からの水の供給を、給水と停止とを繰り返して間欠的に行い、水の供給量と供給タイミングとを調整することとしているので、チャンバ3内の水の水温や加熱板81の温度の急激な変動を抑制することができる。さらに、この給水部6からの水の給水は、水位センサ20により検出される水位に応じて給水量と給水タイミングとを変化させた複数段階の給水モードで管理されるようになっている。
【0050】
具体的には、水位センサ20の中央のユニット(発光部26b及び受光部27b)において照射光Lが検出されない状態となると、すなわち、チャンバ3内の水位が標準位置まで減少したことを検知すると、1秒間の給水と7秒間の停止とを繰り返す第1給水モードによってチャンバ3内の給水が行われる。そして、チャンバ3内に給水が行われることで、この中央のユニット(発光部26b及び受光部27b)において照射光Lが検出されると、水の供給が停止される。
【0051】
一方、第1給水モードでの給水を数回繰り返しても水位が標準位置まで上昇しない場合、2秒間の給水と6秒間の停止とを繰り返す第2給水モードに切り替えて、水の供給量を増加させる。その後、さらに数分経過しても水位の上昇がない場合、給水用バッグ62の交換を促すための報知を行う。そして、水位センサ20の最も下側のユニット(発光部26a及び受光部27a)で信号が出力されなくなり、チャンバ3内の水位が下限位置まで減少したことを検知した場合には、チャンバ3内の水が完全に無くなる前に警報を出すとともに、ヒータ22の電源供給を切断する。したがって、安全性の向上を図るとともに、使用者の管理の手間を省くことができるようになっている。
【0052】
なお、給水用バッグ62からチャンバ3への送水は、送水ポンプ64により強制的に行われることから、給水用バッグ62の取付位置に関係なく、チャンバ3内に確実に水を供給することができる。したがって、安定した加湿能力を維持することができるとともに、空焚き現象の発生を防止して、加温加湿器100の連続的な運転を確保することができる。
また、送水ポンプ64を用いることで、いずれかのローラ94により常に給水ホース63の一部を挟持しながら送水が行われるので、チャンバ内の内圧に関わらず、給水ホース63内の水が逆流することを防止できる。
【0053】
このように、本実施形態の加温加湿器100によれば、チャンバ3内の水全体を加熱するのではなく、その水に下部を浸漬させて湿潤状態となっている第1シート状加湿部材11Aを加熱するので、少ないエネルギーで確実に水を蒸発させることができる。また、第1シート状加湿部材11Aの表面に呼吸用気体を接触させながら通過させることで、水の蒸発速度を増加させて、水の気化量を増加させることができるので、呼吸用気体に水蒸気を取り込ませ易くすることができる。
【0054】
さらに、チャンバ3内に水を供給する給水口61を加熱板81の上部に向けて水を供給するように設けているので、加熱板81に面接触して設けられる第1シート状加湿部材11Aを、その上部においては給水口61からの供給される水によって湿らせることができ、下部においてはチャンバ3内に溜められた水に浸漬させて水を吸い上げることにより湿らせることができる。これにより、呼吸用気体を高流量で供給した場合においても、第1シート状加湿部材11Aの乾燥を防止でき、第1シート状加湿部材11Aの全体で安定した加湿能力を維持して加温加湿器100の連続的な運転を行うことができる。
なお、加温加湿器100においては、加熱板81の一部をチャンバ3内の水に浸漬させて配置していることから、加熱板81によってチャンバ3内の水も加熱することができ、チャンバ3内の湿度を高めることができる。また、呼吸用気体が、この加熱された水の水面wに接触することで、呼吸用気体の加湿が促進される。
【0055】
また、チャンバ3の内部空間をタワーユニット10(仕切り板13)により区画することで、呼吸用気体が予熱空間32から加湿空間31へと流れる通路が形成される。このため、チャンバ3内に取り込まれた呼吸用気体は、初めに予熱空間32内を通過する際に予備的な加温加湿がなされ、加湿空間31で本格的な加温加湿がなされる。このように、呼吸用気体は予熱空間32と加湿空間31とで段階的に加温加湿されるようになっていることから、呼吸用気体を高流量で供給した場合にも、速やかに加温加湿を行うことが可能である。
【0056】
さらに、チャンバ3の内部空間を区画する仕切り板13(タワーユニット10)の表裏面にもそれぞれ第2シート状加湿部材11B,11Cを取り付けているので、呼吸用気体が仕切り板13で区画された通路内を流れる際に、湿潤状態の第2シート状加湿部材11B,11Cの表面に接触させることができる。したがって、加熱板81に面接触して配置される第1シート状加湿部材11Aに加えて、仕切り板13に取り付けられた一対の第2
シート状部材11B,11Cによっても加湿機能を向上させることができる。
【0057】
また、加温加湿器100では、給水部6からの水の供給を、給水と停止とを繰り返して間欠的に行い、水の供給量と供給タイミングとを調整することとしているので、チャンバ3内の水の水温や加熱板81の温度の急激な変動を抑制することができる。さらに、この給水部6からの水の給水は、水位センサ20により検出される標準水位の監視により給水量と給水タイミングとを変化させることとしているので、チャンバ3内の水位を一定に確保して安定した加湿を行うことができる。したがって、呼吸用気体の温度及び湿度の変動を抑制することができる。
【0058】
ところで、上記実施形態においては、水位センサ20の受光部27をチャンバ3に貯留された水を経由することで屈折した方向に進行する照射光L1を捉える位置に配置する構成としたが、受光部27をチャンバ3内の空間部を略直進する照射光L2を受光可能な位置に設ける構成とすることもできる。
この場合、チャンバ3内の水位が水位センサ20の取り付け高さよりも低い場合に、受光部27で照射光Lを検出することができるが、水位が水位センサ20の取り付け高さよりも高い場合は、照射光Lがチャンバ3内の水を経由する際に屈折して進行方向が曲げられるために受光部27で照射光Lを検出することができなくなる。したがって、この場合においても、上記実施形態の加温加湿器100と同様に、照射光Lを受光部27で検出できるか否かで、チャンバ3内の水位が水位センサ20の取り付け高さよりも高いか低いかを検出することができる。
なお、反射方式では、チャンバ3の傷や汚れにより誤検出のおそれがあるが、屈折透過方式では、その誤検出のおそれが少ない。
【0059】
また、水位センサ20を構成する各ユニットの発光部26と受光部27とを、隣接するユニットごとに照射方向が逆向きとなるように交互に配置する構成とすることもできる。
隣接するユニットの発光部26が照射する照射光の照射方向が逆向きになっているので、隣接するユニットの照射光を受光部27で誤認識するおそれがなく、チャンバ3内の水位の検出をより正確に行うことができる。
【0060】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【符号の説明】
【0061】
1 本体
2 基台
3 チャンバ
4 供給用ホース
5 インターフェース接続ホース
6 給水部
7 架台
8 容器部
9 蓋部
10 タワーユニット
11A 第1シート状加湿部材
11B,11C 第2シート状加湿部材
12 枠体
13 仕切り板
20 水位センサ
21 凹部
22 ヒータ
23 ヒートシンク
24 ヒンジ機構部
26,26a〜26c 発光部
26B,27B 基板
27,27a〜27c 受光部
31 加湿空間
32 予熱空間
33 連通部
41 吸入口
51 吹出口
61 給水口
62 給水用バッグ
63 給水ホース
64 送水ポンプ
71 キャスタ
81 加熱板
91 ケース本体
92 ヒンジ
93 扉
94 ローラ
95 ロータ
96 モータ
97 外筒
98 クランプ機構
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11