特許第6243496号(P6243496)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6243496
(24)【登録日】2017年11月17日
(45)【発行日】2017年12月6日
(54)【発明の名称】回転するデテント部を有する振動器
(51)【国際特許分類】
   G04B 15/08 20060101AFI20171127BHJP
   G04B 17/28 20060101ALI20171127BHJP
【FI】
   G04B15/08
   G04B17/28
【請求項の数】14
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2016-181376(P2016-181376)
(22)【出願日】2016年9月16日
(65)【公開番号】特開2017-67770(P2017-67770A)
(43)【公開日】2017年4月6日
【審査請求日】2016年9月16日
(31)【優先権主張番号】15187214.0
(32)【優先日】2015年9月28日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】599040492
【氏名又は名称】ニヴァロックス−ファー ソシエテ アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(74)【代理人】
【識別番号】100064621
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 政樹
(72)【発明者】
【氏名】ピエール・キュザン
(72)【発明者】
【氏名】ロマン・ル モール
【審査官】 藤田 憲二
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−206534(JP,A)
【文献】 特表2013−531257(JP,A)
【文献】 スイス国特許出願公開第00704784(CH,A3)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G04B 15/00−17/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
機械式エネルギー源(2)に接続した枢動てん真(3、103、203、303、403、503)、慣性−弾性共振器(7、107、207、307、407、507)、デテント脱進機(15、115、215、315、415、515)を備える振動器(1、101、201、301、401、501)であって、前記慣性−弾性共振器(7、107、207、307、407、507)は、解放要素(13、113、213、313、413、513)を備える慣性生成部材(9、109、209、309、409、509)、及び前記枢動てん真(3、103、203、303、403、503)と前記慣性生成部材(9、109、209、309、409、509)との間に組み付けた弾性生成可撓性構造体(11、111、211、311、411、511)を一体に備え、前記デテント脱進機(15、115、215、315、415、515)は、前記枢動てん真(3、103、203、303、403、503)に固定した一体式デテント部(17、117、217、317、417、517)を備え、前記一体式デテント部(17、117、217、317、417、517)は、少なくとも1つの可撓性羽根(16、116、116’、216、316、316’、416a、416b、416c、416d、516、516’)及び停止部材(18、118、218、318、418、518)を備え、前記停止部材(18、118、218、318、418、518)は、同心脱進機歯部(19、119、219、319、419、519)に対して前記枢動てん真(3、103、203、303、403、503)を弾性的に係止するように構成し、前記解放要素(13、113、213、313、413、513)は、前記慣性生成部材(9、109、209、309、409、509)の運動によって、前記同心脱進機歯部(19、119、219、319、419、519)に対して前記停止部材(18、118、218、318、418、518)を弾性的に係止解除するように構成し、それにより、前記枢動てん真(3、103、203、303、403、503)は、前記共振器(7、107、207、307、407、507)の振動毎に時を刻む一方で、振動を維持することができるエネルギーを前記共振器(7、107、207、307、407、507)に伝達する、振動器(1、101、201、301、401、501)。
【請求項2】
前記可撓性構造体(11、111、211、311、411、511)は、前記枢動てん真(3、103、203、303、403、503)及び可撓性デバイス(120、122、123、124、126、220、222、224、226、320、322、324、326、420、422、424、426、520、522、524、526)に固定した少なくとも1つの固着デバイス(121、221、321、421、521)を備え、前記可撓性デバイス(120、122、123、124、126、220、222、224、226、320、322、324、326、420、422、424、426、520、522、524、526)は、前記枢動てん真(3、103、203、303、403、503)の回転中心と一致する前記共振器(7、107、207、307、407、507)の仮想枢動軸を形成するように構成することを特徴とする、請求項1に記載の振動器(1、101、201、301、401、501)。
【請求項3】
撓性デバイス(120、122、123、124、126、220、222、224、226、320、322、324、326、420、422、424、426、520、522、524、526)は、少なくとも1つの基部(120、220、320、420、520)を備え、前記少なくとも1つの基部(120、220、320、420、520)はそれぞれ、少なくとも1つの可撓性羽根(122、124、222、224、322、324、422、424、522、524)によって、前記慣性生成部材(9、109、209、309、409、509)及び前記少なくとも1つの固着デバイス(121、221、321、421、521)を接続することを特徴とする、請求項1に記載の振動器(1、101、201、301、401、501)。
【請求項4】
前記慣性生成部材(9、109、209、309、409、509)は、2つの扇形部(125)によって形成し、前記扇形部(125)の一方の内側面は、前記解放要素(13、113、213、313、413、513)を備えることを特徴とする、請求項1から3のうちいずれか一項に記載の振動器(1、101、201、301、401、501)。
【請求項5】
前記解放要素(13、113、213、313、413、513)は、可撓体(131、231、331、431、531)を備え、前記可撓体(131、231、331、431、531)の自由端は、解除パレット(132、232、332、432、532)を備え、前記慣性生成部材(9、109、209、309、409、509)によって制御する前記解除パレット(132、232、332、432、532)の変位部は、前記共振器(7、107、207、307、407、507)の振動毎に前記一体式デテント部(17、117、217、317、417、517)と接触するように構成することを特徴とする、請求項4に記載の振動器(1、101、201、301、401、501)。
【請求項6】
前記解放要素(13、113、213、313、413、513)は、解放停止部(133、233、333、433、533)を更に備え、前記解放停止部(133、233、333、433、533)は、前記可撓体(131、231、331、431、531)が前記一体式デテント部(17、117、217、317、417、517)を前記共振器(7、107、207、307、407、507)の単一振動方向で強制的に変位させるように構成することを特徴とする、請求項5に記載の振動器(1、101、201、301、401、501)。
【請求項7】
前記一体式デテント部(17、117、217、317、417、517)は、単一の可撓性羽根(216)、デテント停止部(237)を備え、前記デテント停止部(237)は、前記単一の可撓性羽根に固定し、前記共振器(7、107、207、307、407、507)の振動毎に前記解放要素(13、113、213、313、413、513)と接触するように構成することを特徴とする、請求項1から6のうちいずれか一項に記載の振動器(1、101、201、301、401、501)。
【請求項8】
前記一体式デテント部(17、117、217、317、417)は、2つの平行横材(135、136、535、536)を備え、第1の横材(135、535)は、第1の端部で前記枢動てん真(3、103、203、303、403、503)に接続し、第2の端部で第1の可撓性羽根(116、516)に直交して接続し、第2の横材(136、536)は、第1の端部で前記停止部材(118、518)に接続し、第2の端部で第2の可撓性羽根(116’、516’)に直交して接続し、前記第1の可撓性羽根(116、516)及び前記第2の可撓性羽根(116’、516’)は、前記第2の横材(136、536)及び前記第1の横材(135、535)に平行であり、それぞれ前記第2の横材(136、536)及び前記第1の横材(135、535)に接続することを特徴とする、請求項1から6のうちいずれか一項に記載の振動器(1、101、201、301、401、501)。
【請求項9】
前記一体式デテント部(17、117、217、317、417、517)は、2つの平行横材(335、336)を備え、第1の横材(335)は、第1の端部で前記枢動てん真(3、103、203、303、403)に接続し、第1の可撓性羽根(316)に直交して接続し、第2の横材(336)は、第1の端部(336c)で前記停止部材(318)に接続し、第2の端部(336a)で第2の可撓性羽根(316’)に直交して接続し、前記第1の可撓性羽根(316)及び前記第2の可撓性羽根(316’)は、前記第2の横材(336)及び前記第1の横材(335)に平行であり、それぞれ前記第2の横材(336)及び前記第1の横材(335)に接続することを特徴とする、請求項1から6のうちいずれか一項に記載の振動器(1、101、201、301、401、501)。
【請求項10】
前記一体式デテント部(17、117、217、317、417、517)は、前記第2の横材(136、336、536)に固定したデテント停止部(137、337、537)を備え、前記デテント停止部(137、337、537)は、前記共振器(7、107、207、307、407、507)の振動毎に前記解放要素(13、113、213、313、413、513)と接触するように構成することを特徴とする、請求項8又は9に記載の振動器(1、101、201、301、401、501)。
【請求項11】
前記一体式デテント部(17、117、217、317、417、517)は、それぞれ前記枢動てん真(3、103、203、303、403、503)を実質的に円筒形の取付け部(435)に接続する第1の可撓性非平行羽根(416a)及び第2の可撓性非平行羽根(416b)を備え、前記取付け部(435)は、自由端が前記停止部材(418)を含む第3の可撓性羽根(416d)、及びデテント停止部(437)を備える第4の可撓性羽根(416c)に更に接続し、前記デテント停止部(437)は、前記共振器(7、107、207、307、407、507)の振動毎に前記解放要素(13、113、213、313、413、513)と接触するように構成することを特徴とする、請求項1から6のうちいずれか一項に記載の振動器(1、101、201、301、401、501)。
【請求項12】
前記枢動てん真(3、103、203、303、403、503)は、時方輪列(5)と噛合するように構成した小歯車(141)を備え、前記機械式エネルギー源(2)に接続し、時間を表示するようにすることを特徴とする、請求項1から11のうちいずれか一項に記載の振動器(1、101、201、301、401、501)。
【請求項13】
前記小歯車(141)は、弾性エネルギー蓄積器(143)により、前記枢動てん真(3、103、203、303、403、503)上で空転するように組み付け、推進周期の間、前記共振器(7、107、207、307、407、507)を維持するのに十分なエネルギーを供給するようにすることを特徴とする、請求項12に記載の振動器(1、101、201、301、401、501)。
【請求項14】
前記共振器(7、107、207、307、407、507)及び前記一体式デテント部(17、117、217、317、417、517)は、前記枢動軸(3、103、203、303、403、503)の2つの機能レベルを形成する2つの固定単一板内に形成することを特徴とする、請求項1から13のうちいずれか一項に記載の振動器(1、101、201、301、401、501)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転するデテント脱進機と協働する慣性−弾性共振器を備えるトゥールビヨン型振動器に関する。
【背景技術】
【0002】
デテント脱進システムは、直接的な推進力及び低摩擦感度を実現することによって、18世紀のマリン・クロノメータに高い精度をもたらしたものとして公知である。しかし、こうしたデテント脱進システムは、特に調節が困難であり、衝撃の影響を受けやすいことがわかっている。したがって、衝撃により、トリッピング(tripping)、即ち、がんぎ車の1つの歯ではなく2つの歯が偶発的に通過すること、が生じ、計時器の作動を妨げることがあるため、一部のマリン・クロノメータは、こうした衝撃を一切伝達しないように、真空内、砂の中、又は更にはジンバルの上に組み立てられていた。したがって、衝撃に対する影響の受けやすさ及びそのような組立てに対する場所の要件を考慮すると、現在、確実なデテント脱進システムを腕時計内で使用することは想定できるものではない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、新たな種類のデテント脱進機と協働する慣性−弾性共振器を備える振動器を提供することによって、上述の欠点の全て又は一部を克服することであり、このデテント脱進機はトリッピングがなく、デテント脱進機の動作は、通常、非常に複雑なトゥールビヨン型振動器に関連するいくつかの利点をもたらす。
【課題を解決するための手段】
【0004】
したがって、本発明は、機械式エネルギー源に接続した枢動てん真、一体に形成した慣性−弾性共振器、デテント脱進機を備える振動器に関し、慣性−弾性共振器は、解放要素を備え前記慣性を生成する部材、及び枢動てん真と慣性生成部材との間に組み付けた前記弾性を生成する可撓性構造体を備え、デテント脱進機は、枢動てん真に固定した一体式デテント部を備え、一体式デテント部は、少なくとも1つの可撓性羽根及び停止部材を備え、停止部材は、同心脱進機歯部に対して枢動てん真を弾性的に係止するように構成し、解放要素は、慣性生成部材の運動によって、同心脱進機歯部に対して停止部材を弾性的に係止解除するように構成し、それにより、枢動てん真は、共振器の振動毎に時を刻む一方で、振動を維持することができるエネルギーを共振器に伝達する。
【0005】
したがって、有利には、本発明によれば、振動器は、非常にわずかな組立て部品しか備えないことを理解されよう。というのは、部品の大部分は、一体に形成され、これにより、部品を互いに対してより容易に参照可能にするためである。更に、一体化連接構造体又は可撓性支承体とも呼ばれる可撓性構造体を使用するために、共振器は、厚さが非常に薄く、その結果、トリッピングを本質的になくす。更に、本発明による振動器は、有利には、通常のデテント脱進機の場合のように接触による力ではなく、直接的なトルクによって共振器が推進力を有することを可能にする。実際には、枢動てん真の回転により、振動器の垂直位置での動作変動をなくす。
【0006】
本発明の他の有利な変形形態によれば、
−可撓性構造体は、少なくとも1つの固着デバイスを備え、固着デバイスは、枢動てん真及び可撓性デバイスに固定し、可撓性デバイスは、枢動てん真の回転中心と一致する共振器の仮想枢動軸を形成するように構成し、
−可撓性デバイスは、少なくとも1つの基部を備え、少なくとも1つの基部はそれぞれ、少なくとも1つの可撓性羽根によって、慣性生成部材及び少なくとも1つの固着デバイスを接続し、
−慣性生成部材は、2つの扇形部によって形成し、扇形部の一方の内側面は、解放要素を備え、
−解放要素は、可撓体を備え、可撓体の自由端は、解除パレットを備え、慣性生成部材によって制御する解除パレットの変位部は、共振器の振動毎に一体式デテント部と接触するように構成し、
−解放要素は、解放停止部を更に備え、解放停止部は、可撓体が一体式デテント部を共振器の単一振動方向で強制的に変位させるように構成し、
−第1の変形形態によれば、一体式デテント部は、単一の可撓性羽根を備え、デテント停止部は、単一の可撓性羽根に固定し、共振器の振動毎に解放要素と接触するように構成し、
−第2の変形形態によれば、一体式デテント部は、2つの平行横材を備え、第1の横材は、第1の端部で枢動てん真に接続し、第2の端部で第1の可撓性羽根に直交して接続し、第2の横材は、第1の端部で停止部材に接続し、第2の端部で第2の可撓性羽根に直交して接続し、第1の可撓性羽根及び第2の可撓性羽根は、第2の横材及び第1の横材に平行であり、それぞれ第2の横材及び第1の横材に接続し、
−第3の変形形態によれば、一体式デテント部は、2つの平行横材を備え、第1の横材は、第1の端部で枢動てん真に接続し、第1の可撓性羽根に直交して接続し、第2の横材は、第1の端部で停止部材に接続し、第2の端部で第2の可撓性羽根に直交して接続し、第1の可撓性羽根及び第2の可撓性羽根は、第2の横材及び第1の横材に平行であり、それぞれ第2の横材及び第1の横材に接続し、
−第2及び第3の変形形態によれば、一体式デテント部は、第2の横材に固定したデテント停止部を備え、第2の横材は、共振器の振動毎に解放要素と接触するように構成し、
−第4の変形形態によれば、一体式デテント部は、それぞれ枢動てん真を取付け部に接続する第1の可撓性非平行羽根及び第2の可撓性非平行羽根を備え、取付け部は、その自由端が停止部材を含む第3の可撓性羽根、及びデテント停止部を備える第4の可撓性羽根に更に接続し、デテント停止部は、共振器の振動毎に解放要素と接触するように構成し、
−枢動てん真は、時方輪列と噛合するように構成した小歯車を備え、機械式エネルギー源に接続し、時間を表示するようにし、
−小歯車は、好ましくは、弾性エネルギー蓄積器により、枢動てん真上で空転するように組み付け、推進周期の間、共振器を維持するのに十分なエネルギーを供給するようにし、
−一体式共振器及び一体式デテント部は、枢動軸の少なくとも2つの機能レベルを形成する2つの固定単一板内に形成する。
【0007】
本発明の他の特徴及び利点は、非限定例として示す添付の図面を参照して以下の詳細な説明を読めば、よりはっきりと明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明による振動器の概略断面図である。
図2】本発明による振動器の第1の実施形態の斜視図である。
図3図2の反転図である。
図4図3の拡大図である。
図5】本発明による振動器の第2の実施形態の斜視図である。
図6図5の拡大図である。
図7】本発明による振動器の第3の実施形態の斜視図である。
図8図7の拡大図である。
図9】本発明による振動器の第4の実施形態の斜視図である。
図10図9の拡大図である。
図11】本発明による振動器の第5の実施形態の斜視図である。
図12図11の第1の拡大図である。
図13図11の第2の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明は、計時器のための振動器、即ち、例えば脱進システム等の分配、維持システムに結合した共振器に関する。
【0010】
図1に概略的に示すように、本発明による振動器1は、枢動てん真3を備え、枢動てん真3は、例えば時方輪列5により機械式エネルギー源2に接続する。そのようなエネルギー源2は、弾性変形及び/又は空気貯蔵によりエネルギーを蓄積するデバイスを備えることができる。一例として、蓄積デバイスは、香箱を形成する枢動胴部に組み付けた金属羽根の形態を取ることができる。しかし、他の種類の機械式エネルギー源も想定することができる。
【0011】
本発明による振動器1は、一体式慣性−弾性共振器7を備える。この共振器7は、好ましくは、前記慣性生成部材9、及び前記弾性生成可撓性構造体又は可撓性支承体11を含む。図1に概略的に示すように、可撓性構造体11は、好ましくは、部材9と一体に形成し、枢動てん真3と部材9との間に組み付ける。最後に、慣性生成部材9は、解放要素13も備える。
【0012】
共振器7の振幅は、以下の実施形態でより明確に説明するように、可撓性構造体11の最大間隙に制限する。とはいえ、この間隙の制限は、共振器7のトリッピングを本質的に不可能にし、この構造により、通常はデテント脱進システムを不利な状態にする主な問題を解決する。
【0013】
図1に概略的に示すように、振動器1は、デテント脱進機15を更に備え、デテント脱進機15は、枢動てん真3にも固定した一体式デテント部17を備える。デテント部17は、少なくとも1つの可撓性羽根16及び停止部材18を備え、停止部材18は、枢動てん真3に関連する同心脱進機歯部に対して枢動てん真3を弾性的に係止するように構成する。
【0014】
以下の実施形態でより明確に説明するように、解放要素13は、慣性部材9の運動によって、固定同心脱進機歯部19に対して停止部材18を弾性的に係止解除するように構成し、枢動てん真3は、共振器7の振動毎に時を刻む一方で、振動を維持することができるエネルギーを共振器7に伝達するようにする。
【0015】
したがって、有利には、本発明によれば、振動器1は、非常にわずかな組立て部品しか備えないことを理解されよう。というのは、部品の大部分は、一体に形成され、これにより、部品を互いに対してより容易に参照可能にするためである。更に、可撓性構造体の使用のために、共振器7は、厚さが非常に薄く、その結果、トリッピングを本質的になくす。更に、本発明による振動器1は、有利には、通常のデテント脱進機の場合のように接触による力ではなく、直接的なトルクによって共振器7が推進力を有することを可能にする。実際には、枢動てん真は、回転によって振動器1の垂直位置での動作変動をなくす。
【0016】
これらの利点は全て、図2から図4に関連する本発明による振動器101の第1の実施形態を考慮すれば良好に理解されよう。したがって、振動器101は、機械式エネルギー源(図示せず)に接続した枢動てん真103、及び一体式慣性−弾性共振器107を備える。
【0017】
この共振器107は、好ましくは、慣性生成部材109及び弾性生成可撓性構造体111を備える。可撓性構造体111は、部材109と一体に形成し、枢動てん真103と部材109との間に組み付ける。図3に示すように、可撓性構造体111は、少なくとも1つの固着デバイス121を備え、固着デバイス121は、枢動てん真103及び可撓性デバイス123に固定し、可撓性デバイス123は、枢動てん真103の回転中心と一致する、共振器107の仮想枢動軸を形成するように構成する。
【0018】
より具体的には、可撓性デバイス123は、少なくとも1つの基部120を備え、少なくとも1つの基部120はそれぞれ、少なくとも1つの可撓性羽根122、124によって慣性部材109及び少なくとも1つの固着デバイス121を接続する。図3に示すように、慣性部材109は、好ましくは、2つの扇形部125によって形成し、扇形部125は、リング127によって互いに接続して一体式慣性部材109を得る。
【0019】
更に、図3から明らかであるように、扇形部125のそれぞれは、可撓性デバイス123と一体に形成する。より正確には、各慣性生成扇形部125は、2つの可撓性羽根122によって一部環状基部120に接続し、一部環状基部120は、それぞれ2つの固着デバイス121を有する実質的にT字形の梁126によって、2つの他の可撓性羽根124に固定する。したがって、各梁126は、固着デバイス121及び2つの慣性生成扇形部125に固定されることが観察される。
【0020】
したがって、共振器107の振幅は、可撓性構造体111の最大間隙、具体的には梁126、基部120及び羽根122、124の形状に制限されることを理解されよう。とはいえ、この間隙の制限は、共振器107のトリッピングを本質的に不可能にし、この構造によって、通常はデテント脱進システムを不利な状態にする主な問題を解決する。
【0021】
図3及び図4で明らかであるように、慣性部材109は、解放要素113も備える。より正確には、扇形部125の一方の内側面は、解放要素113を備える。第1の実施形態では、解放要素113は、可撓体131を備え、可撓体131の自由端は、解除パレット132を備え、慣性部材109によって制御する解除パレット132の変位部は、共振器107の振動毎に一体式デテント部117と接触するように構成する。
【0022】
より具体的には、通常のデテント脱進機の様式では、第1の実施形態は、解放要素113を備え、解放要素113は、振動方向の一方において、控えめな振動を可能にする、即ち、解放要素113は、デテント部117と接触するが、デテント部117を変位させない。したがって、第1の実施形態によれば、解放要素113は、好ましくは、解放停止部133を更に備え、解放停止部133は、可撓体131が一体式デテント部117を共振器107の単一振動方向で強制的に変位させるように構成する。
【0023】
図4により明確に示すように、振動器101は、デテント脱進機115を更に備え、デテント脱進機115は、枢動てん真103に固定した一体式デテント部117を備える。デテント部117は、少なくとも1つの可撓性羽根116、116’及び停止部材118を備え、停止部材118は、枢動てん真103に関連する同心脱進機歯部119に対して枢動てん真103を弾性的に係止するように構成する。
【0024】
したがって、歯部119は、枢動てん真103に対して固定されることを理解されたい。実際には、機械式エネルギー源の力を受けた枢動てん真103は、共振器107の振動毎に、即ち、デテント部117の停止部材118が一方の歯からもう一方の歯に変位可能にする度に、回転することになり、この振動は、脱進歯部119の2つの歯の間の角度に対応することになる。
【0025】
図2から図4に示す第1の実施形態では、一体式デテント部117は、2つの平行横材135、136及び2つの平行羽根116、116’を備える。図4からより明らかにわかるように、第1の横材135は、第1の端部で枢動てん真103に接続し、第2の端部で第1の可撓性羽根116に直交して接続する。更に、第2の横材136は、第1の端部で停止部材118に接続し、第2の端部で第2の可撓性羽根116’に直交して接続する。最後に、第1の可撓性羽根116及び第2の可撓性羽根116’はそれぞれ、第2の横材136及び第1の横材135に接続する。
【0026】
したがって、図3及び図4の静止位置で見える横材135、136は、可撓性羽根116、116’の弾性屈曲により、互いに対して相対的に変位可能であることを理解されよう。より正確には、解放要素113は、可撓性羽根116、116’を強制的に屈曲するように構成し、慣性部材109の運動によって、同心脱進機歯部119に対して停止部材118を弾性的に係止解除するようにし、枢動てん真103は、共振器107の振動毎に時を刻む一方で、振動を維持することができるエネルギーを共振器107に伝達するようにする。
【0027】
このことは、一体式デテント部117が第2の横材136に固定したデテント停止部137を備え、第2の横材136が共振器107の振動毎に解放要素113と接触するように構成するために、可能である。図4から明らかなように、デテント停止部137は、カムを形成し、このカムは、デテント停止部137が解除パレット132と接触すると、解放停止部133の作用によって、横材136を脱進機歯部119から強制的に離し、枢動てん真103を解放する。機械式エネルギー源の力を受けた枢動てん真103は、回転することになり、この回転は、脱進機歯部119の2つの歯の間の角度に対応し、同時に、固着デバイス121を介した梁126による直接運動の伝達により共振器107を再度始動させるものである。
【0028】
対照的に、共振器107の逆の振動では、デテント停止部137は、カムを形成し、このカムは、デテント停止部137が解除パレット132と接触すると、解放停止部133の逆方向への作用がないことにより、解除パレット132を強制且つ弾性的に離し、次に、デテント停止部137を脱進させた後、解放停止部133に沿って弾性的に戻ることが観察される。
【0029】
有利には、本発明の第1の実施形態によれば、振動器101は、非常にわずかな組立て部品しか備えないことを理解されよう。というのは、部品の大部分は、一体に形成され、これにより、部品を互いに対してより容易に参照可能にするためである。実際は、例として、一体式共振器107及び一体式デテント部117は、枢動軸103の少なくとも2つの機能レベルを形成する2つの固定単一板内に形成することができる。このことは、例えば、シリコン板を所定位置に固定し次にエッチングすることによって、又はいくつかのレベルで金属部を電鋳することによって達成することができる。
【0030】
更に、可撓性構造体111の使用のために、共振器107は、厚さが非常に薄く、その結果、トリッピングを本質的になくす。更に、本発明による振動器101は、有利には、通常のデテント脱進機の場合のように接触による力ではなく、直接的なトルクによって共振器107が推進力を有することを可能にする。
【0031】
更に、この動作は、非常に複雑なトゥールビヨン型振動器に通常は関連するいくつかの利点をもたらす。実際、トゥールビヨンは、垂直位置での作動変動をなくすために、19世紀初頭にA.−L.Breguetが考案したデバイスである。トゥールビヨンは、脱進機の全ての要素を支える可動枠を備え、その中心に調速機部材を有する。脱進機の小歯車は、固定した秒針車の周りを回転する。1分に1回転させる枠は、回転によって垂直位置での作動変動をなくす。
【0032】
したがって、トゥールビヨン様式では、調節の複雑さを伴わずに、第1の実施形態の枢動てん真103は、デテント部117と同時に共振器107を回転させることによって、振動器101の垂直位置での作動変動をなくす。
【0033】
最後に、図2に示すように、枢動てん真103は、時方輪列と噛合するように構成した小歯車141を更に備え、機械式エネルギー源に接続され、時間を表示するようにする。第1の実施形態によれば、小歯車141は、好ましくは、弾性エネルギー蓄積器143により、枢動てん真103上で空転するように組み付け、解放周期の間、共振器107を維持するのに十分なエネルギーを供給するようにする。図2の例では、弾性エネルギー蓄積器143は渦巻形状のばねであることがわかる。しかし、弾性エネルギー蓄積器は、渦巻形状のばねに限定する必要はない。したがって、絶対的に非制限的な例として、枢動てん真103、弾性エネルギー蓄積器143及び小歯車141を備える組立体は、代替的に、文書EP2455821に記載されるエネルギー伝達運動工作物の実施形態の1つとすることができ、当該文書は、本明細書内に参照により組み込む。
【0034】
したがって、第1の実施形態を読めば、枢動てん真103、弾性エネルギー蓄積器143及び小歯車141を備える組立体は、必須ではなく、時方輪列と噛合する周辺歯部を備える枢動てん真103に取って代わることができることが理解されよう。エネルギー伝達の選択肢が何であれ、時方輪列の力及び可能性としては弾性エネルギー蓄積器143の力は、解放要素113による以外の他の方法でデテント部117の動作を駆動しないような大きさにしなければならないことは明らかである。
【0035】
本発明による振動器201の第2の実施形態は、図5及び図6に示す。したがって、振動器201は、第1の実施形態の枢動てん真103、共振器107と同様の、枢動てん真203及び一体式慣性−弾性共振器207を備える。この共振器207は、したがって、慣性生成部材209及び弾性生成可撓性構造体211を含み、これらは、第1の実施形態の慣性生成部材109及び可撓性構造体111と同じ利点を有する。
【0036】
したがって、共振器207の振幅は、可撓性構造体211の最大間隙、具体的には梁226、基部220及び羽根222、224の形状に制限されることを理解されたい。とはいえ、この間隙の制限は、共振器207のトリッピングを本質的に不可能にし、この構造によって、通常はデテント脱進システムを不利な状態にする主な問題を解決する。
【0037】
図5及び図6で明らかであるように、慣性部材209も、第1の実施形態の解放要素113と同様の解放要素213を備える。より具体的には、通常のデテント脱進機の様式では、第2の実施形態は、解放要素213を備え、解放要素213は、振動方向の一方において、控えめな振動を可能にする、即ち、解放要素213はデテント部217と接触するが、デテント部217を変位させない。したがって、第2の実施形態によれば、解放要素213は、好ましくは、可撓体231及び解放停止部233を備え、解放停止部233は、一体式デテント部217を共振器207の単一振動方向で強制的にずらすように構成する。
【0038】
図6により明確に示すように、振動器201は、デテント脱進機215を更に備え、デテント脱進機215は、枢動てん真203に固定した一体式デテント部217を備える。デテント部217は、単一の可撓性羽根216及び停止部材218を備え、停止部材218は、枢動てん真203に関連する同心脱進機歯部219に対して枢動てん真203を弾性的に係止するように構成する。
【0039】
第1の実施形態の場合のように、第2の実施形態の解放要素213は、可撓性羽根216を強制的に屈曲するように構成し、慣性部材209の運動によって、同心脱進機歯部219に対し停止部材218を弾性的に係止解除するようにし、それにより、枢動てん真203は、共振器207の振動毎に時を刻む一方で、振動を維持することができるエネルギーを共振器207に伝達する。
【0040】
このことは、一体式デテント部217が可撓性羽根216に固定したデテント停止部237を備え、可撓性羽根216が共振器207の振動毎に解放要素213と接触するように構成するために、可能である。図6から明らかなように、デテント停止部237は、カムを形成し、このカムは、デテント停止部137が解除パレット232と接触すると、解放停止部233の作用により、可撓性羽根216を脱進機歯部219から強制的に離し、枢動てん真203を解放する。機械式エネルギー源の力を受けた枢動てん真203は、回転することになり、この回転は、脱進機歯部219の2つの歯の間の角度に対応し、同時に、固着デバイス221を介した梁226による直接運動の伝達により共振器207を再度始動する。
【0041】
対照的に、共振器207の逆の振動では、デテント停止部237がカムを形成し、このカムは、デテント停止部237が解除パレット232と接触すると、解放停止部233の逆方向への作用がないことにより、解除パレット232を強制且つ弾性的に離し、次に、デテント停止部237を脱進させた後、解放停止部233に沿って弾性的に戻すことが観察される。
【0042】
有利には、本発明の第2の実施形態によれば、振動器201は、非常にわずかな組立て部品しか備えないことを理解されよう。というのは、部品の大部分は、一体に形成され、これにより、部品を互いに対してより容易に参照可能にするためである。実際は、例として、一体式共振器207及び一体式デテント部217は、枢動軸203の少なくとも2つの機能レベルを形成する2つの固定単一板内に形成することができる。このことは、例えばシリコン板を所定位置に固定し次にエッチングすることによって、又はいくつかのレベルで金属部を電鋳することによって達成することができる。
【0043】
更に、可撓性構造体211の使用のために、共振器207は、厚さが非常に薄く、その結果、トリッピングを本質的になくす。更に、本発明による振動器201は、有利には、通常のデテント脱進機の場合のように接触による力ではなく、直接的なトルクによって共振器207が推進力を有することを可能にする。
【0044】
更に、既に第1の実施形態で説明したように、この動作は、非常に複雑なトゥールビヨン型振動器に通常は関連するいくつかの利点をもたらす。したがって、トゥールビヨン様式では、調節の複雑さを伴わずに、第2の実施形態の枢動てん真203は、デテント部217と同時に共振器207を回転させることによって、振動器201の垂直位置での作動変動をなくす。
【0045】
最後に、第1の実施形態のように、枢動てん真203は、直接的又は弾性エネルギー蓄積器のいずれかにより、時方輪列と噛合するように構成した小歯車を備えることができ、機械式エネルギー源に接続し、時間を表示するようにする。したがって、エネルギー伝達の選択肢が何であれ、時方輪列の力及び可能性としては弾性エネルギー蓄積器の力は、解放要素213による以外の他の方法でデテント部217の動作を駆動しないような大きさにしなければならないことは明らかである。
【0046】
本発明による振動器301の第3の実施形態は、図7及び図8に示す。したがって、振動器301は、第1及び第2の実施形態の枢動てん真103、203、共振器107、207と同様に、枢動てん真301及び一体式慣性−弾性共振器307を備える。この共振器307は、したがって、慣性生成部材309、及び弾性生成可撓性構造体311を含み、これらは、第1及び第2の実施形態の慣性生成部材109、209及び可撓性構造体111、211と同じ利点を有する。
【0047】
したがって、共振器307の振幅は、可撓性構造体311の最大間隙、具体的には梁326、基部320及び羽根322、324の形状に制限されることを理解されたい。とはいえ、この間隙の制限は、共振器307のトリッピングを本質的に不可能にし、この構造によって、通常はデテント脱進システムを不利な状態にする主な問題を解決する。
【0048】
図7及び図8で明らかであるように、慣性部材309も、第1及び第2の実施形態の解放要素113、213と同様の解放要素313を備える。より正確には、通常のデテント脱進機の様式では、第3の実施形態は、解放要素313を備え、解放要素313は、振動方向の一方において、控えめな振動を可能にする、即ち、解放要素313は、デテント部317と接触するが、デテント部317を変位させない。したがって、第3の実施形態によれば、解放要素313は、好ましくは、可撓体331及び解放停止部333を備え、解放停止部333は、一体式デテント部317を共振器307の単一振動方向で強制的にずらすように構成する。
【0049】
図8により明確に示すように、振動器301は、デテント脱進機315を更に備え、デテント脱進機315は、枢動てん真303に固定した一体式デテント部317を備える。デテント部317は、少なくとも1つの可撓性羽根316、316’及び停止部材318を備え、停止部材318は、枢動てん真303に関連する同心脱進機歯部319に対して枢動てん真303を弾性的に係止するように構成する。
【0050】
第1及び第2の実施形態の場合のように、第3の実施形態の解放要素313は、慣性部材309の運動によって、少なくとも1つの可撓性羽根316、316’を強制的に屈曲するように構成し、同心脱進機歯部319に対し停止部材318を弾性的に係止解除するようにし、それにより、枢動てん真303は、共振器307の振動毎に時を刻む一方で、振動を維持することができるエネルギーを共振器307に伝達する。
【0051】
図7及び図8に示す第3の実施形態では、一体式デテント部317は、2つの平行横材335、336及び2つの平行羽根316、316’を備える。図8からより明らかにわかるように、第1の横材335は、第1の端部で枢動てん真303に接続し、第2の端部で第1の可撓性羽根316に直交して接続する。更に、第2の横材336は、第1の端部で停止部材318(図7でよりはっきりと見える)に接続し、第2の端部で第2の可撓性羽根316’に直交して接続する。最後に、第1の可撓性羽根316及び第2の可撓性羽根316’はそれぞれ、第2の横材336及び第1の横材335に接続する。
【0052】
図7及び図8から明らかであるように、第2の横材336は、好ましくは3つの直線区分を有する。第1の区分336aは、2つの可撓性羽根316、316’を接続し、第1の可撓性羽根316と並んで延びる第2の区分336bに、三角法の意味で実質的に直交して取り付け、第2の区分336b自体は、その逆方向で、停止部材318を支える第3の区分336cに実質的に直交して取り付けられる。したがって、区分336a及び336cは実質的に平行であることを理解されよう。
【0053】
したがって、図7及び図8で静止位置に見える横材335、336は、可撓性羽根316、316’の弾性屈曲の助けにより、互いに対して変位することができる。より正確には、解放要素313は、可撓性羽根316、316’を強制的に屈曲するように構成し、慣性部材309の運動によって、同心脱進機歯部319に対して停止部材318を弾性的に係止解除するようにし、それにより、枢動てん真303は、共振器307の振動毎に時を刻む一方で、振動を維持することができるエネルギーを共振器307に伝達する。
【0054】
このことは、一体式デテント部317が、第1の区分336aのレベルで第2の横材336に固定したデテント停止部337を備え、第2の横材336が共振器307の振動毎に解放要素313と接触するように構成するために、可能である。図8から明らかであるように、デテント停止部337は、カムを形成し、このカムは、デテント停止部337が解除パレット332と接触すると、解放停止部333の作用により、横材336、具体的にはその第3の区分336c、を強制的に脱進機歯部319から離し、枢動てん真303を解放する。機械式エネルギー源の力を受けた枢動てん真303は、回転することになり、この回転は、脱進機歯部319の2つの歯の間の角度に対応し、同時に、固着デバイス321を介した梁326による直接運動の伝達により共振器307を再度始動させるものである。
【0055】
対照的に、共振器307の逆の振動では、デテント停止部337がカムを形成し、このカムは、デテント停止部337が解除パレット332と接触すると、解放停止部333の逆方向への作用がないことにより、解除パレット332を強制且つ弾性的に離し、次に、デテント停止部337を脱進させた後、解放停止部333に沿って弾性的に戻すことが観察される。
【0056】
したがって、有利には、本発明の第3の実施形態によれば、振動器301は、非常にわずかな組立て部品しか備えないことを理解されよう。というのは、部品の大部分は、一体に形成され、これにより、部品を互いに対してより容易に参照可能にするためである。実際は、例として、一体式共振器307及び一体式デテント部317は、枢動軸303の少なくとも2つの機能レベルを形成する2つの固定単一板内に形成することができる。このことは、例えば、シリコン板を所定位置に固定し次にエッチングすることによって、又はいくつかのレベルで金属部を電鋳することによって達成することができる。
【0057】
更に、可撓性構造体311の使用のために、共振器307は、厚さが非常に薄く、その結果、トリッピングを本質的になくす。更に、本発明による振動器301は、有利には、通常のデテント脱進機の場合のように接触による力ではなく、直接的なトルクによって共振器307が推進力を有することを可能にする。
【0058】
更に、既に第1の実施形態で説明したように、この動作は、非常に複雑なトゥールビヨン型振動器に通常は関連するいくつかの利点をもたらす。したがって、トゥールビヨン様式では、調節の複雑さを伴わずに、第3の実施形態の枢動てん真303は、共振器307をデテント部317と同時に回転させることによって、振動器301の垂直位置での作動変動をなくす。
【0059】
最後に、第1及び第2の実施形態のように、枢動てん真303は、直接的又は弾性エネルギー蓄積器のいずれかにより、時方輪列と噛合するように構成した小歯車を備えることができ、機械式エネルギー源に接続され、時間を表示するようにする。したがって、第3の実施形態で選択したエネルギー伝達の選択肢が何であれ、時方輪列の力及び可能性としては弾性エネルギー蓄積器の力は、解放要素313による以外の他の方法でデテント部317の動作を駆動しないような大きさにしなければならないことは明らかである。
【0060】
本発明による振動器401の第4の実施形態は、図9及び図10に示す。したがって、振動器401は、最初の3つの実施形態の枢動てん真103、203、303、共振器107、207、307と同様の、枢動てん真403及び一体式慣性−弾性共振器407を備える。この共振器407は、したがって、慣性生成部材409及び弾性生成可撓性構造体411を含み、これらは、最初の3つの実施形態の慣性生成部材109、209、309及び可撓性構造体111、211、311と同じ利点を有する。
【0061】
したがって、共振器407の振幅は、可撓性構造体411の最大間隙、具体的には梁426、基部420及び羽根422、424の形状に制限されることを理解されたい。とはいえ、この間隙の制限は、共振器407のトリッピングを本質的に不可能にし、この構造によって、通常はデテント脱進システムを不利な状態にする主な問題を解決する。
【0062】
図9及び図10から明らかであるように、慣性部材409も、最初の3つの実施形態の解放要素113、213、313と同様の解放要素413を備える。より正確には、通常のデテント脱進機の様式では、第4の実施形態は、解放要素413を備え、解放要素413は、振動方向の一方において、控えめな振動を可能にする、即ち、解放要素413は、デテント部417と接触するが、デテント部417を変位させない。したがって、第4の実施形態によれば、解放要素413は、好ましくは、可撓体431及び解放停止部433を備え、解放停止部433は、一体式デテント部417を共振器407の単一振動方向で強制的にずらすように構成する。
【0063】
図10により明確に示すように、振動器401は、デテント脱進機415を更に備え、デテント脱進機415は、枢動てん真403に固定した一体式デテント部417を備える。デテント部417は、少なくとも1つの可撓性羽根416a、416b、416c、416d及び停止部材418を備え、停止部材418は、枢動てん真403に関連する同心脱進機歯部419に対して枢動てん真403を弾性的に係止するように構成する。
【0064】
最初の3つの実施形態の場合のように、第4の実施形態の解放要素413は、慣性部材409の運動によって、少なくとも1つの可撓性羽根416a、416b、416c、416dを強制的に屈曲するように構成し、同心脱進機歯部419に対し停止部材418を弾性的に係止解除するようにし、それにより、枢動てん真403は、共振器407の振動毎に時を刻む一方で、振動を維持することができるエネルギーを共振器407に伝達する。
【0065】
図9及び図10に示す第4の実施形態では、一体式デテント部417は、第1の可撓性非平行羽根416a及び第2の可撓性非平行羽根416bを備え、第1の可撓性非平行羽根416a及び第2の可撓性非平行羽根416bはそれぞれ、枢動てん真403を実質的に円筒形の取付け部435に接続する。取付け部435は、第3の可撓性羽根416dに更に接続し、第3の可撓性羽根416dの自由端は、停止部材418を含む。最後に、取付け部435は、第4の可撓性羽根416cも備え、第4の可撓性羽根416cは、共振器407の振動毎に解放要素413と接触するように構成したデテント停止部437を備える。図10から明らかであるように、第3羽根416d及び第4の羽根416cは、好ましくは実質的に直交する。
【0066】
したがって、図9及び図10で静止位置に見える可撓性羽根416a、416b、416c、416dは、可撓性羽根416a、416b、416c、416dの弾性屈曲の助けにより、互いに対して変位することができる。より正確には、解放要素413は、可撓性羽根416a、416b、416c、416dを強制的に屈曲するように構成し、慣性部材409の運動によって、同心脱進機歯部419に対して停止部材418を弾性的に係止解除するようにし、それにより、枢動てん真403は、共振器407の振動毎に時を刻む一方で、振動を維持することができるエネルギーを共振器407に伝達する。本発明によれば、羽根416c及び416dは、好ましくは、羽根416a及び416bほど可撓性ではなく、脱進機歯部419から部材418を解放する目的で、取付け部435の周囲で回転運動が得られるようにする。
【0067】
このことは、一体式デテント部417が第4の可撓性羽根416cに固定したデテント停止部437を備え、デテント停止部437が共振器407の振動毎に解放要素413と接触するように構成するために、可能である。図10から明らかなように、デテント停止部437は、カムを形成し、このカムは、デテント停止部437が解除パレット432と接触すると、解放停止部433の作用により、第3の可撓性羽根436dを脱進機歯部419から強制的に遠ざけ、枢動てん真403を解放する。機械式エネルギー源の力を受けた枢動てん真403は、回転することになり、この回転は、脱進機歯部419の2つの歯の間の角度に対応し、同時に、固着デバイス421を介した梁426による直接運動の伝達により共振器407を再度始動させるものである。
【0068】
対照的に、共振器407の逆の振動では、デテント停止部437がカムを形成し、このカムは、デテント停止部437が解除パレット432と接触すると、解放停止部433の逆方向への作用がないことにより、解除パレット432を強制且つ弾性的に離し、次に、デテント停止部437を脱進させた後、解放停止部433に沿って弾性的に戻すことが観察される。
【0069】
したがって、有利には、本発明の第4の実施形態によれば、振動器401は、非常にわずかな組立て部品しか備えないことを理解されよう。というのは、部品の大部分は、一体に形成され、これにより、部品を互いに対してより容易に参照可能にするためである。実際は、例として、一体式共振器407及び一体式デテント部417は、枢動軸403の少なくとも2つの機能レベルを形成する2つの固定単一板内に形成することができる。このことは、例えば、シリコン板を所定位置に固定し次にエッチングすることによって、又はいくつかのレベルで金属部を電鋳することによって達成することができる。
【0070】
更に、可撓性構造体411の使用のために、共振器407は、厚さが非常に薄く、その結果、トリッピングを本質的になくす。更に、本発明による振動器401は、有利には、通常のデテント脱進機の場合のように接触による力ではなく、直接的なトルクによって共振器407が推進力を有することを可能にする。
【0071】
更に、既に第1の実施形態で説明したように、この動作は、非常に複雑なトゥールビヨン型振動器に通常は関連するいくつかの利点をもたらす。したがって、トゥールビヨン様式では、調節の複雑さを伴わずに、第4の実施形態の枢動てん真403は、共振器407をデテント部417と同時に回転させることによって、振動器401の垂直位置での作動変動をなくす。
【0072】
最後に、最初の3つの実施形態のように、枢動てん真403は、直接的又は弾性エネルギー蓄積器のいずれかにより、時方輪列と噛合するように構成した小歯車を備えることができ、機械式エネルギー源に接続され、時間を表示するようにする。したがって、エネルギー伝達の選択肢が何であれ、時方輪列の力及び可能性としては弾性エネルギー蓄積器の力は、解放要素413による以外の他の方法でデテント部417の動作を駆動しないような大きさにしなければならないことは明らかである。
【0073】
本発明による振動器501の第5の実施形態は、図11から図13に示す。したがって、振動器501は、最初の4つの実施形態の枢動てん真103、203、303、403、共振器107、207、307、407と同様の、枢動てん真503及び一体式慣性−弾性共振器507を備える。この共振器507は、したがって、慣性生成部材509及び弾性生成可撓性構造体511を含み、これらは、最初の4つの実施形態の慣性生成部材109、209、309、409及び可撓性構造体111、211、311、411と同じ利点を有する。
【0074】
したがって、共振器507の振幅は、可撓性構造体511の最大間隙、具体的には梁526、基部520及び羽根522、524の形状に制限されることを理解されたい。とはいえ、この間隙の制限は、共振器507のトリッピングを本質的に不可能にし、この構造によって、通常はデテント脱進システムを不利な状態にする主な問題を解決する。
【0075】
図11及び図13から明らかであるように、慣性部材509も、最初の4つの実施形態の解放要素113、213、313、413と同様の解放要素513を備える。より正確には、通常のデテント脱進機の様式では、第5の実施形態は、解放要素513を備え、解放要素513は、振動方向の一方において、控えめな振動を可能にする、即ち、解放要素513は、デテント部517と接触するが、デテント部517を変位させない。したがって、第5の実施形態によれば、解放要素513は、好ましくは、可撓体531及び解放停止部533を備え、解放停止部533は、一体式デテント部517を共振器507の単一振動方向で強制的にずらすように構成する。
【0076】
図12及び図13でより明確に示すように、振動器501は、デテント脱進機515を更に備え、デテント脱進機515は、枢動てん真503に固定した一体式デテント部517を備える。デテント部517は、少なくとも1つの可撓性羽根516、516’及び停止部材518を備え、停止部材518は、枢動てん真503に関連する同心脱進機歯部519に対して枢動てん真503を弾性的に係止するように構成する。
【0077】
したがって、歯部519は、枢動てん真503に対して固定されることを理解されたい。実際には、機械式エネルギー源の力を受けた枢動てん真503は、回転することになり、この回転は、脱進機歯部519の2つの歯の間の角度、即ち、デテント部517の停止部材518が一方の歯からもう一方の歯への変位を可能にするそれぞれの時間に対応する。
【0078】
図11から図13に示す第5の実施形態では、一体式デテント部517は、2つの平行横材535、536及び2つの平行羽根516、516’を備える。図12からより明らかにわかるように、第1の横材535は、第1の端部で枢動てん真503に接続し、第2の端部で第1の可撓性羽根516に直交して接続する。更に、第2の横材536は、第1の端部で停止部材518に接続し、第2の端部で第2の可撓性羽根516’に直交して接続する。最後に、第1の可撓性羽根516及び第2の可撓性羽根516’はそれぞれ、第2の横材536及び第1の横材535に接続する。
【0079】
図11から図13から明らかであるように、第2の横材536は、好ましくは3つの区分を有する。第1の直線区分536aは、2つの可撓性羽根516、516’を接続し、一方の端部で停止部材518を持ち、反対の端部では、反対方向に、四分円形の形態の第2の湾曲区分536bに実質的に直交して取り付け、第2の湾曲区分536b自体は、三角法の意味で実質的に直交して、第3の直線区分536cに取り付け、第3の直線区分536cは、デテント停止部537を保持する。したがって、区分536a及び536cは実質的に直交することを理解されたい。
【0080】
したがって、図11から図13で静止位置に見える横材535、536は、可撓性羽根516、516’の弾性屈曲の助けにより、互いに対して変位することができる。より正確には、解放要素513は、可撓性羽根516、516’を強制的に屈曲するように構成し、慣性部材509の運動によって、同心脱進機歯部519に対して停止部材518を弾性的に係止解除するようにし、それにより、枢動てん真503は、共振器507の振動毎に時を刻む一方で、振動を維持することができるエネルギーを共振器507に伝達する。
【0081】
このことは、一体式デテント部517が第2の横材536に固定したデテント停止部537を備え、第2の横材536が共振器507の振動毎に解放要素513と接触するように構成するために、可能である。図13から明らかなように、デテント停止部537は、カムを形成し、このカムは、デテント停止部537が解除パレット532と接触すると、解放停止部533の作用により、第1の直線区分536aを脱進機歯部519から強制的に離し、枢動てん真503を解放する。機械式エネルギー源の力を受けた枢動てん真503は、回転することになり、この回転は、脱進機歯部519の2つの歯の間の角度に対応し、同時に、固着デバイス521を介した梁526による直接運動の伝達により共振器507を再度始動させるものである。
【0082】
対照的に、共振器507の逆の振動では、デテント停止部537は、カムを形成し、このカムは、デテント停止部537が解除パレット532と接触すると、解放停止部533の逆方向への作用がないことにより、解除パレット532を強制且つ弾性的に離し、次に、デテント停止部537を脱進させた後、解放停止部533に沿って弾性的に戻すことが観察される。
【0083】
有利には、本発明の第5の実施形態によれば、振動器501は、非常にわずかな組立て部品しか備えないことを理解されよう。というのは、部品の大部分は、一体に形成され、これにより、部品を互いに対してより容易に参照可能にするためである。実際は、例として、一体式共振器507及び一体式デテント部517は、枢動軸503の少なくとも2つの機能レベルを形成する2つの固定単一板内に形成することができる。このことは、例えば、シリコン板を所定位置に固定し次にエッチングすることによって、又はいくつかのレベルで金属部を電鋳することによって達成することができる。
【0084】
更に、可撓性構造体511の使用のために、共振器507は、厚さが非常に薄く、その結果、トリッピングを本質的になくす。更に、本発明による振動器501は、有利には、通常のデテント脱進機の場合のように接触による力ではなく、直接的なトルクによって共振器507が推進力を有することを可能にする。
【0085】
更に、既に第1の実施形態で説明したように、この動作は、非常に複雑なトゥールビヨン型振動器に通常は関連するいくつかの利点をもたらす。したがって、トゥールビヨン様式では、調節の複雑さを伴わずに、第5の実施形態の枢動てん真503は、共振器507をデテント部517と同時に回転させることによって振動器501の垂直位置での作動変動をなくす。
【0086】
最後に、最初の4つの実施形態のように、枢動てん真503は、直接的又は弾性エネルギー蓄積器のいずれかにより、時方輪列と噛合するように構成した小歯車を備えることができ、機械式エネルギー源に接続され、時間を表示するようにする。したがって、第5の実施形態で選択したエネルギー伝達の選択肢が何であれ、時方輪列の力及び可能性としては弾性エネルギー蓄積器の力は、解放要素513による以外の他の方法でデテント部517の動作を駆動しないような大きさにしなければならないことは明らかである。
【0087】
どの実施形態あれ、枢動てん真3、103、203、303、403、503は、共振器7、107、207、307、407、507の振動毎に時を刻むことに留意されたい。このことは、共振器7、107、207、307、407、507の構造に応じて、各振動が所定の調節時間と関連することを意味する。したがって、どの種類の計時器上であれ、経過時間を具体的に視覚化する所定周期は、枢動てん真3、103、203、303、403、503の各運動に関連することを理解されたい。したがって、時方輪列の歯車の減少に応じて、時方輪列の車によって直接又は間接的に、例えば秒、分、時又は暦の値等の時間情報を表示することが可能である。
【0088】
どの実施形態であれ、機械式エネルギー源を十分に充電してあるにもかかわらず、振動器1、101、201、301、401、501を始動させるために、停止部材18、118、218、318、418、518に作用する手動係止解除デバイスがユーザのために必要となる場合がある。実際、振動器1、101、201、301、401、501の構成によっては、慣性部材9、109、209、309、409、509の変位を可能にするユーザの生じさせる運動は、解放要素113、213、313、413、513がデテント部17、117、217、317、417、517を作動するのに十分ではないということを除外できない。
【0089】
したがって、絶対的に非制限的な例として、そのような手動係止解除デバイスは、計時器の中心部上のリューズ又はプッシュ・ピースの形態であってもよく、つまみを制御して脱進機歯部の歯19、119、219、319、419、519を停止部材18、118、218、318、418、518まで通過させ、振動器1、101、201、301、401、501を始動するのに必要なエネルギーを共振器7、107、207、307、407、507に供給するようにする。
【0090】
当然、本発明は、図示の例に限定されず、当業者が思いつくであろう異なる変形形態及び修正形態も可能にする。特に、所望の用途によっては、共振器7、107、207、307、407、507及び/又はデテント部17、117、217、317、417、517は、特にこれらの形状(慣性部材、デテント部)又はこれらの可撓性構造体に対して、修正することができる。
【0091】
更に、上記の実施形態は、本発明の枠組から逸脱することなく互いに組み合わせることができる。リング127の使用に対する代替として、解放要素113、213、313、413、513の解放停止部133、233、333、433、533を接続することも可能であり、慣性部材109、209、309、409、509の2つの扇形部125を、例えば枢動てん真3、103、203、303、403、503に側方及び/若しくは垂直にからませることによって、又は枢動てん真3、103、203、303、403、503の貫通領域に通すこと等によって結合するようにする。リング127以外のデバイスによって2つの扇形部125を接続することも可能である。
【0092】
更に、係止アーム又は釣合い慣性デバイス等の非解放デバイスを追加して、解放が望ましくない場合、即ちデテント部17、117、217、317、417、517が、例えば振動器1、101、201、301、401、501の受けた衝撃の後、解除パレット132、232、332、432、532以外のものにより異なって変位する場合、デテント部17、117、217、317、417、517を係止することができる。
【0093】
最後に、制動デバイスは、てん真3、103、203、303、403、503と同様に、振動器1、101、201、301、401、501と協働し、特に振動器1、101、201、301、401、501が衝撃にあまり反応しないようにすることができる。
【符号の説明】
【0094】
1 振動器
2 機械式エネルギー源
3 枢動てん真
7 慣性−弾性共振器
9 慣性生成部材
11 可撓性構造体
13 解放要素
15 デテント脱進機
16 可撓性羽根
17 一体式デテント部
18 停止部材
19 同心脱進機歯部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13