【実施例1】
【0012】
図1は、本発明による整列播種装置100の構成を示す平面図である。車体には前後左右に車輪1が設けられ、車体の後方には播種箱8が、車体支持軸4にスライド可能に装着される。本実施例では、播種箱8は、4台(条数は4本)とした。なお、台数はこれに限るものではない。車体の後方には、進行距離を検知する接地輪2が設けられる。センサ9には、光センサを使用することができる。制御部3は、センサ9からのパルス信号を受けて接地輪2の進行距離を把握する。接地輪2には、例として1cmの距離が検知できるよう円周上に多数のスリットをあけた円板を取り付けた。これによれば、光がスリットを通過する毎にパルス信号を出せる。これを積算することで接地輪2の進行距離を算出する。接地輪2の進行距離が、操作盤10に指定した株間の長さになると、播種箱8に指示して、種子を落下させる。なお、車体を進行させる車輪1の駆動部やバッテリーは、図示を省略した。
【0013】
図2は、播種箱8の説明図である。播種箱8は、ホッパー19に収容した種子7を回転目皿21の種子分離孔20に取り出す。回転目皿21がモータ18で回動され、種子分離孔20が排出口22に一致する位置に来ると、種子7が排出口22から地面に向けて落下する。種子分離孔20は、排出口22の直前で停止するよう制御される。そのため、制御部からの種子を落下させる指示があれば、回転目皿21が回動し、直ちに種子7が落下する。そして、次の種子分離孔20が排出口22の直前で停止し、次の種子落下に備える。1回に落下する種子の数は、種子分離孔20の形状により1〜数粒にできる。
【0014】
図3は、正列播きの例である。播種箱8は4台で番号を0から3とする。番号0、2が偶数番の播種箱で、番号1、3が奇数番の播種箱とする。播種箱8は、車体支持軸4にスライド可能に装着されるので、間隔が条間5の長さとなるように取り付ける。種子7(灰色の丸印)を落下させるのは、接地輪2が、種子を落下させた地点から株間の長さ(
図3では条間と同じ長さ)だけ進んだ時に行なう。種子7を落下させるのは、奇数番と偶数番の播種箱8を同時に行なう。これで、正列播きができる。
【0015】
図4は、千鳥播きの例である。複数の播種箱8は、車体支持軸4にスライド可能に装着される。この場合、条間の長さは、
図3の正列播きと同じ条間の長さに設定した。また、奇数番の播種箱8の種子7の落下は、偶数番の播種箱8の種子の落下後、条間の長さ6の半分の長さだけ進んだ時に行なう。すなわち
図4の千鳥播き株間長さは、正列播きの半分の長さになる。
【0016】
図5は、
図1の操作盤10の構成を示す配置図である。電源ボタン11は、種播きの開始を指示するスイッチである。押下すると内蔵のランプが点灯し、制御部が種播きを開始する。再度電源ボタン11を押下すると、ランプが消灯して、種播きの動作が終了する。電源ボタンとは別にスタート・ストップボタンを設け、種播きの開始と終了を制御してもよい。接地輪2の上げ下ろしで種播きの開始と終了を制御してもよい。正列播き13は、正列播きを指定するスイッチである。千鳥播き14は、千鳥播きを指定するスイッチである。押下すると内蔵のランプが点灯し、いずれか1つを指定できる。株間の長さ16は、ロータリースイッチで構成し、株間の長さを10進数で指定する。制御部3は、正列播きか千鳥播きかで、播種箱8の種子の落下タイミングを制御する。
【0017】
図5に示すように、操作盤に条間の長さ15の表示器を設けた。播種箱8が、車体支持軸4にどのような間隔に設定してあるのかを電子的に読み取り、条間の長さ15(表示器)に表示した。これによれば、播種箱8の間隔の確認が容易で、条間の長さを一目で把握できる。また、播種箱8と制御部3を結ぶ4本の制御ケーブルは、奇数番と偶数番の差し間違いを防止できるよう色分けした。
【0018】
図6は、運転前の事前設定を示すフローチャートである。正列播きを行なう場合は、操作盤10の正列播き13のスイッチをオンする(s101)。これにより、内部の制御フラグの正列播きフラグが1とされる(s102)。次に、車体支持軸の播種箱8をスライドして、所望の条間の長さ15になるよう調節する(s103)。さらに、操作盤10の株間の長さ16を設定する(s104)。
【0019】
千鳥播きを行なう場合は、操作盤10の千鳥播き14をオンする(s105)。これにより内部の制御フラグの千鳥播きフラグが1とされる(s106)。次に車体支持軸の播種箱8をスライドして、所望の条間の長さ15になるよう調節する(s107)。さらに所望の株間の長さ16を設定する(s108)。
【0020】
図7は、運転中の制御手順を示すフローチャートである。操作盤10の電源ボタン11が押下されると、制御部3は播種箱8に指示して種播きを開始する(s201)。電源ボタン11のランプが消灯した状態(停止状態)では接置輪2が回転しても種播きは行われない。畝間を移動するような場合は、電源ボタン11を押下して停止状態とする。制御フラグの正列種播きフラグが1(オン)であるか判断され(s202)、1(オン)であれば正列種播きを行なう。制御部3は、接地輪2からのパルス信号をカウントし、接地輪2の進行距離を算出し、株間の長さ16に等しくなると(s203)、偶数番と奇数番の播種箱8に種子を落下するよう播種箱8に指示する。指示は、すべての播種箱8に同時に出され、一列に並んだ播種箱8から種子7が落下する(s204)。再度、電源ボタン11が押下されたか判断され(s212)、電源ボタン11が押下されて停止の指示があるまではこの動作を続行する。
【0021】
図7に示すように、制御フラグの千鳥種播きフラグが1(オン)であるか判断され(s205)、千鳥種播きフラグが1(オン)であれば千鳥種播きを行なう。制御フラグの千鳥種播きが0(オフ)で、正列種播きも0(オフ)であれば、操作盤のエラーランプ12に表示して終了する。千鳥種播きでは、まず奇選択スイッチが初期化される(s206)。制御部3は、接地輪2からのパルス信号をカウントし、接地輪2の進行距離を算出し、株間の長さ16に等しくなるか判断する(s207)。接地輪2の進行距離が、株間の長さ16の値に等しくなると、奇選択スイッチがオンかオフか判断される(s208)。奇選択スイッチがオフなら、偶数番(0と2)の播種箱8に種子の落下が指示される(s210)。奇選択スイッチがオンなら、奇数番(1と3)の播種箱8に種子の落下が指示される(s209)。そして奇選択スイッチは、オンオフが逆になるよう反転される(s211)。再度、電源ボタン11の押下があったか判断され(s212)、電源ボタン11が押下されるまでは、この動作を続行する。
【0022】
図8は、正列播きを示す説明図である。
図8では、1株当たりの専有面積を直径Dの円で表した。直径Dは、単純化して長さが1とする。また、円の中心に種子を播くとする。
図8に示すように、この正列播きでは、条間長さを1とした。株間長さも1とした。畝幅の長さは4となる。畝は左右方向に十分に長いとする。矢印が播種装置の進行方向を示す。このような条間の長さと株間の長さに設定すれば、例えば2条目の直径Dの円の外周は、周囲の円と4点で接するものとなる。具体的な長さとして、例えば1株当たりの専有面積を直径20cmの円とする。その場合、条間の長さは20cm、株間の長さも20cmに設定する。この場合、
図8に示す正列播きの畝幅は、80cm(=4×20cm)となる。
【0023】
図9は、千鳥播きを示す説明図である。1株当たりの専有面積を直径Dの円で表した。直径Dは長さが1とする。
図9に示すように、この千鳥播きでは、1株の直径Dが1の場合、条間長さは0.866、株間長さは0.5と設定できる。この関係は、
図9の下段の図から求めることができる。逆に1株の直径Dが決まれば、条間の長さを直径Dの0.866倍の長さに設定し、株間の長さを直径Dの0.5倍の長さに設定する。このような条間の長さと株間の長さに設定すれば、1株当たりの専有面積が同じ密な種播きができる。具体的な長さの例として、1株の直径Dを20cmとする。その場合、条間の長さは17.32cm(=D×0.877)を設定し、株間の長さは、10cm(=D/2)を設定する。
図9に示す千鳥播きの畝幅は、72cm(=0.866×20×3+20cm)となる。これによれば、
図8の正列播きの場合と比べて、畝幅を約10%小さくできる。8条播きの場合は、畝幅が約13%小さくできる。
【0024】
本実施例では、制御盤の株間の長さは、正列播きと千鳥播きで、それぞれ設定されるとした。これに代えて、正列播きと千鳥播きで共通とし、例えば直径20cmの株の場合は20cmと入力し、千鳥播きのスイッチがオンとなる時、千鳥播きでの株間の長さ20cm×0.5を自動的に算出するとしてもよい。これによれば、設定の手間が省ける。
【0025】
また、本実施例では、
図9のような千鳥播きを行なう場合、播種箱8の間隔を20cm×0.866(=17.32cm)の長さに設定する必要がある。播種箱8の間に、あらかじめ所定の長さに作成した定規(スペーサ)を播種箱8の間に挿入し、播種箱8をスライドさせ、その間隔を調整してもよい。これによれば、条間の長さ設定が容易にできる。なお、条間の長さが、播種箱8の最小間隔よりも小さいような場合、播種箱8の吐出口22で間隔を調整してもよい。