(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、タッチパネルの設けられた携帯端末では、例えば、ユーザが通話をするために携帯端末を耳に当てたとき、ユーザの耳や頬がタッチパネルに接触し、誤動作を起こす可能性がある。そのため、これを防止するために近接センサを用いて、ユーザの耳や頬がタッチパネルに近づいてきたのを感知し、誤動作を防止することが一般に行われている。また、上記以外の用途でも、近接センサが用いられることもある。
【0006】
一般に、近接センサとしては、赤外線近接センサが用いられている。そのため、携帯端末の額縁には、センサ用の開口を設けることが必要となる。しかし、額縁に開口を設けると、携帯端末に対する見た目の印象があまりよくないという問題があった。また、赤外線近接センサの使用により、携帯端末が高コストになってしまうという問題もあった。
【0007】
本技術はかかる問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、見た目の印象が良く、しかも低コストで、近接センサの機能を実装することの可能なタッチパネル、ならびにそれを備えた表示装置および電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本技術のタッチパネルは、表示領域に、検出面での接触を検出することの可能なタッチセンサを備えると共に、額縁領域に、検出面への近接を検出することの可能な複数の近接センサを備えたものである。ここで、タッチセンサは複数の第1の配線と接続され、複数の近接センサは複数の第2の配線と接続され、複数の第1の配線と複数の第2の配線と複数の近接センサが額縁領域において遮光層と重畳する位置に配置され
、複数の近接センサは、1MΩの高抵抗素子を介して電極に電気的に接続された、自己静電容量型の静電容量センサである。
また、本技術のタッチパネルは、表示領域に、検出面での接触を検出することの可能なタッチセンサを備えると共に、検出面への近接を検出することの可能な複数の近接センサが額縁領域に備えられたものである。ここで、タッチセンサは複数の第1の配線と接続され、複数の近接センサは複数の第2の配線と接続され、複数の第1の配線は額縁領域の第1の辺に沿って配置され、額縁領域の第1の辺と交差する第2の辺に沿って配置された複数の第1の端子に電気的に各々接続され、複数の第2の配線は額縁領域の第1の辺と対向する第3の辺に沿って配置され、額縁領域の第2の辺に沿って配置された複数の第2の端子に電気的に各々接続されている。
【0009】
本技術の表示装置は、映像を生成する映像生成装置と、映像生成装置の表面に配置されたタッチパネルと、映像生成装置およびタッチパネルを制御する制御装置とを備えたものである。本技術の表示装置に含まれるタッチパネルは、表示領域に、検出面での接触を検出することの可能なタッチセンサを備えると共に、額縁領域に、検出面への近接を検出することの可能な複数の近接センサを備えたものである。ここで、タッチセンサは複数の第1の配線と接続され、複数の近接センサは、複数の第2の配線と接続され、
複数の第1の配線は額縁領域の第1の辺に沿って配置され、額縁領域の第1の辺と交差する第2の辺に沿って配置された複数の第1の端子に電気的に各々接続され、複数の第2の配線は額縁領域の第1の辺と対向する第3の辺に沿って配置され、額縁領域の第2の辺に沿って配置された複数の第2の端子に電気的に各々接続され、複数の第1の配線と複数の第2の配線と複数の近接センサが額縁領域において遮光層と重畳する位置に配置される。
また、本技術の表示装置は、映像を生成する映像生成装置と、映像生成装置の表面に配置されたタッチパネルと、映像生成装置およびタッチパネルを制御する制御装置とを備えたものである。本技術の表示装置に含まれるタッチパネルは、第1の基板と、第1の基板と対向する第2の基板を有し、第1の基板の第1の面側の表示領域に検出面での接触を検出することの可能なタッチセンサを有し、第1の基板の第1の面側の額縁領域に、検出面への近接を検出することの可能な複数の近接センサを有し、第2の基板の第1の基板と対向する第2の面側の額縁領域に遮光層が配置され、第1の基板と第2の基板の間に絶縁層を有する。
また、本技術の表示装置は、映像を生成する映像生成装置と、映像生成装置の表面に配置されたタッチパネルと、映像生成装置およびタッチパネルを制御する制御装置とを備えたものである。本技術の表示装置に含まれるタッチパネルは、第1の基板と、第1の基板と対向する第2の基板を有し、第2の基板の第1の基板と対向する面側の表示領域に検出面での接触を検出することの可能なタッチセンサを有し、第2の基板の第1の基板と対向する面側の額縁領域に遮光層が配置され、遮光層の第1の基板と対向する面側に検出面への近接を検出することの可能な複数の近接センサを有し、第1の基板と第2の基板の間に絶縁層を有する。
【0010】
本技術の電子機器は、上記の表示装置を備えたものである。
【0011】
本技術のタッチパネル、表示装置および電子機器では、複数の静電容量センサが額縁領域に設けられている。これにより、誤検出を防止することができるだけでなく、例えば、表示領域のタッチセンサでは検出し難い大型の導電体を、当該導電体が検出面へ近接している段階で検出することができる。ここで、静電容量センサは、赤外線近接センサなどとは異なり、センシングのための光を放出したり、外部の光を取り込んだりするための窓を検出面に設ける必要がなく、しかも、遮光層などで覆い隠されたとしても、検出面への近接を検出することができるものである。そのため、静電容量センサを設けることにより見た目の印象が悪くなる虞はない。また、静電容量センサは、赤外線近接センサなどとは異なり、タッチセンサの製造工程を利用して、タッチセンサと共に製造可能な構成となっている。そのため、静電容量センサを製造する際に製造工程が増えたり、新たな部材を用意したりする必要がないので、静電容量センサを設けることによる製造コストの上昇はほとんどない。
【発明の効果】
【0012】
本技術のタッチパネル、表示装置および電子機器によれば、複数の静電容量センサを額縁領域に設けるようにしたので、見た目の印象が良く、しかも低コストで、近接センサの機能を実装することができる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、発明を実施するための形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、説明は以下の順序で行う。
1.タッチ検出方式の基本原理
2.実施の形態
3.変形例
4.適用例
【0015】
<1.タッチ検出方式の基本原理>
最初に、以下の実施の形態の表示装置で用いられるタッチ検出方式の基本原理について説明する。このタッチ検出方式は、静電容量型のタッチセンサとして具現化されるものである。
図1(A)は、上記のタッチセンサを模式的に表したものである。
図1(B)は、
図1(A)のタッチセンサの等価回路と、タッチセンサに接続する周辺回路を表したものである。このタッチセンサは、誘電体101と、この誘電体101を挟んで互いに対向配置された一対の電極102,103とを備えており、等価回路では、
図1(B)に示したように、容量素子104で表される。
【0016】
容量素子104の一端(電極102)は交流信号源105に接続される。容量素子104の他端(電極103)は電圧検出回路106に接続され、さらに、抵抗107を介して基準電位線108に接続される。交流信号源105は、所定の周波数(例えば数kHz〜十数kHz程度)の交流矩形波Sgを出力するものである。電圧検出回路106は、入力された信号の波高値を検出し、さらに、その検出電圧に基づいてタッチセンサへの指の接触、非接触を判定するものである。基準電位線108は、例えば、タッチセンサが搭載されたデバイスにおいて回路動作の基準となる電位を与える部材(例えばプリント基板のグラウンド層や導電性の筐体)に電気的に接続されるものであり、その部材に接続されているときには、その部材と同電位(基準電位)となる。基準電位は、例えばグラウンド電位である。
【0017】
このタッチセンサでは、交流信号源105から電極102に交流矩形波Sg(
図2(B))が印加されると、電極103に、
図2(A)に示したような出力波形(検出信号Vdet)が現れる。
【0018】
タッチセンサに指などの物体を接触させていない状態(
図1(A))では、
図1(B)に示したように、容量素子104に対する充放電に伴って、容量素子104の容量値に応じた電流I0が流れる。このときの容量素子104の電極103側の電位波形は、例えば
図2(A)の波形V0のようになり、これが電圧検出回路106によって検出される。
【0019】
一方、タッチセンサに指などの物体を接触させた状態(
図3(A))では、
図3(B)に示したように、指などの物体によって形成される容量素子109が容量素子104に直列に追加される。この状態では、容量素子104,109に対する充放電に伴って、それぞれ電流I1,I2が流れる。このとき、電極103における電位波形は、例えば
図2(A)の波形V1のようになり、これが電圧検出回路106によって検出される。電極103の電位は、容量素子104,109を流れる電流I1,I2の値によって定まる分圧電位となる。このため、波形V1は、非接触状態での波形V0よりも小さい値となる。その後、電圧検出回路106によって、検出電圧と所定の閾値電圧Vthとが比較され、検出電圧が閾値電圧Vth以下であるときには非接触状態と判断される一方、閾値電圧Vthよりも大きいときには接触状態と判断される。このようにして、タッチ検出が行われる。なお、以下の実施の形態の表示装置において、上記とは異なる検出方式が用いられてもよい。
【0020】
<2.実施の形態>
[構成]
図4は、本技術の一実施の形態に係る表示装置1の断面構成の一例を表したものである。表示装置1は、タッチセンサおよび近接センサ付きの表示装置であり、映像生成装置10と、静電容量型のタッチパネル20と、制御装置30とを備えている。タッチパネル20は、映像生成装置10とは別体で形成されたものであり、映像生成装置10の表面に配置されている。制御装置30は、映像生成装置10およびタッチパネル20を制御するものである。具体的には、制御装置30は、外部から入力される映像信号に基づいて映像生成装置10を駆動し、さらに、タッチパネル20を駆動すると共にタッチパネル20の検出信号に応じた信号を外部に出力するようになっている。
【0021】
(映像生成装置10)
映像生成装置10は、制御装置30から入力される信号に基づいて映像を生成するものである。映像生成装置10は、例えば、液晶分子の配列を変化させることにより入射光を透過、変調させて映像を生成する液晶表示パネルと、液晶表示パネルを背後から照明する光源とにより構成されている。なお、映像生成装置10は、上記とは異なる構成となっていてもよく、例えば、有機EL素子を発光させて映像を生成する有機EL表示パネルで構成されていてもよい。
【0022】
(タッチパネル20)
図5は、タッチパネル20を検出面21から見たときのレイアウトの一例を表したものである。
図6は、タッチパネル20の電極パターンのレイアウトの一例を表したものである。
図7(A),(B)は、
図6のA−A線における断面構成の一例を表したものである。
【0023】
タッチパネル20は、指などで、表示装置1の映像表示面(タッチパネル20の検出面21)に触れることにより情報を入力するものである。タッチパネル20は、例えば、上述した静電容量型のタッチセンサの一具体例に相当するものであり、XY(行列)マトリクスで、指などの検出面21への接触・非接触を検出することの可能なタッチセンサ22を表示領域21Aに有している。タッチパネル20は、さらに、例えば顔などの検出面21への近接を検出することの可能な複数の静電容量型の近接センサ23を額縁領域21Bに有している。つまり、タッチパネル20は、タッチ検出だけでなく、近接検知も行うことが可能となっている。
【0024】
タッチパネル20は、例えば、
図7(A)に示したように、配線基板50およびカバー基板60を、接着層70を介して互いに貼り合わせたものである。配線基板50とカバー基板60とは、接着層70を間にして互いに向き合って配置されている。配線基板50は、例えば、基板51の上面(カバー基板60側の表面)に、導電層52、絶縁層53および導電層(図示せず)をこの順に積層したものである。カバー基板60は、例えば、基板61の下面(配線基板50側の表面)に遮光層62を設けたものである。基板51と基板61とは、接着層70を間にして互いに向き合って配置されている。接着層70は、例えば、UV硬化樹脂を硬化させたものである。
【0025】
基板51は、導電層52等の形成基板であり、導電層52等を保持するものである。基板51は、絶縁性および光透過性の部材で構成されており、例えば、ガラス基板、または絶縁性および光透過性の樹脂フィルムで構成されている。基板61は、検出面21を形成すると共に導電層52等を覆う基板である。基板61は、遮光層62を保持するものでもある。基板61は、絶縁性および光透過性の部材で構成されており、例えば、ガラス基板、または絶縁性および光透過性の樹脂フィルムで構成されている。
【0026】
配線基板50に含まれる2つの導電層は、例えば、ITO(Indium Tin Oxide;酸化インジウムスズ)などの光透過性の導電性材料で構成されている。配線基板50に含まれる絶縁層は、配線基板50に含まれる2つの導電層の間に配置されている。絶縁層53は、後述するX電極41と後述するY電極42とを互いに絶縁分離するためのものである。絶縁層53は、Y電極42における島状電極と中継電極とを接続するためのコンタクトホール(図示せず)を有している。遮光層62は、後述の信号配線44,45および近接センサ23のシルエットが検出面に視認されるのを防ぐためのものであり、遮光性材料で構成されている。
【0027】
配線基板50に含まれる2つの導電層は、検出面21への接触・非接触を検出するタッチセンサ22と、タッチセンサ22と制御装置30とを互いに接続する複数の信号配線44とを含んでいる。タッチセンサ22は、配線基板50の上面のうち外縁を除いた部分に対応する位置に配置されている。信号配線44は、配線基板50の上面のうち外縁に対応する位置に配置されている。
【0028】
タッチセンサ22は、所定の方向に延在する複数のX電極41と、X電極41と交差(例えば直交)する方向に延在する複数のY電極42とにより構成されている。X電極41は、導電層52の一部により構成されている。つまり、導電層52は、X電極41を含んでいる。X電極41は、基板51の上面(カバー基板60側の表面)に接して形成されており、複数の島状電極と、互いに隣接する2つの島状電極同士を連結する連結電極とにより構成された帯状電極である。ここで、連結電極の幅は、島状電極の幅よりも狭くなっている。
【0029】
Y電極42は、導電層52の一部と、配線基板50に含まれる導電層52以外の導電層の全体または一部とにより構成されている。つまり、導電層52は、X電極41全体と、Y電極42の一部とを含んで構成されており、配線基板50に含まれる導電層52以外の導電層は、Y電極42の一部を含んで構成されている。Y電極42は、X電極41と同一の層内に配置された複数の島状電極と、互いに隣接する2つの島状電極同士を電気的に接続すると共にX電極41(具体的には連結電極)をまたぐ中継電極とにより構成された帯状電極である。つまり、導電層52は、X電極41全体と、各島状電極とを含んで構成されており、配線基板50に含まれる導電層52以外の導電層は、中継電極を含んで構成されている。ここで、中継電極の幅は、島状電極の幅よりも狭くなっている。また、X電極41およびY電極42の島状電極は、デルタ配列となっている。
【0030】
中継電極は、Y電極42の延在方向に延在する帯形状となっている。中継電極では、一端が一の島状電極に接続されており、他端が他の島状電極に接続されており、X電極41をまたぐ部分が、X電極41よりも上方の層内に配置されている。「X電極41よりも上方の層」とは、配線基板50に含まれる絶縁層の上面に接する層を指しており、具体的には、配線基板50に含まれる導電層52以外の導電層を指している。従って、中継電極は、島状電極よりも、基板28に近接配置されている。中継電極は製造過程で一括して形成されたものであり、単層で構成されている。一方、島状電極はX電極41と共に共通の製造過程で形成されたものであり、島状電極およびX電極41は同一の材料で構成されている。
【0031】
配線基板50に含まれる2つの導電層は、さらに、検出面21への近接を検出する複数の近接センサ23と、個々の近接センサ23と制御装置30とを互いに接続する複数の信号配線45とを含んで構成されている。近接センサ23は、配線基板50の上面のうち外縁に対応する位置に配置されている。信号配線45は、配線基板50の上面のうち外縁に対応する位置に配置されている。
【0032】
各近接センサ23は、自己静電容量型のセンサである。複数の近接センサ23は、額縁領域21Bのうち、少なくとも表示領域21Aを間にして互いに対向する2つの領域に分散して配置されている。
図5には、表示領域21Aを間にして互いに対向する2つの領域のうち一方の領域には、3つの近接センサ23が配置されており、他方の領域には、1つの近接センサ23が配置されている。タッチセンサ22および各近接センサ23は、共通の層内に配置された複数の電極の中から選択された1または複数の電極を含んで構成されている。具体的には、
図6、
図7(A),(B)に示したように、タッチセンサ22は、X電極41およびY電極42を含んで構成されており、各近接センサ23は、X電極41と同一の層内に配置された1つの電極43を有している。
【0033】
タッチセンサ22は、さらに、
図5、
図6に示したように、信号配線44および信号配線45に接続されたFPC(フレキシブルプリント配線基板)24を有している。このFPC24は、その表面に、信号配線44に接続されたIC25と、信号配線45に接続されたIC26と、信号配線45の中途に挿入された高抵抗素子27とを有している。信号配線45は、電極43に接続されている。IC25は、タッチセンサ22駆動用のICである。IC26は、各近接センサ23駆動用のICである。高抵抗素子27は、近接センサ23へのインピーダンスを高くして、CR時定数を大きくすることで、わずかなCの変化でも検出することができるようにするためのものであり、例えば、1MΩの高抵抗素子で構成されている。
【0034】
なお、タッチパネル20は、例えば、導電層の形成基板と、導電層の保護基板とが別体で設けられた貼り合わせ型であってもよいが、例えば、導電層の形成基板と、導電層の保護基板とが共通化された一体型であってもよい。例えば、タッチパネル20は、
図7(B)に示したように、上面が検出面21となっている基板81の下面に、導電層82、絶縁層83、導電層(図示せず)および絶縁層84をこの順に積層して構成されたものであってもよい。つまり、この場合には、タッチパネル20は、基板81の下面に、絶縁層83を介して積層された2つの導電層を有している。タッチパネル20は、さらに、基板81の下面と、導電層82の一部との間に、遮光層85を有している。
【0035】
基板81は、検出面21を形成すると共に、導電層82等を保持する基板である。基板81は、絶縁性および光透過性の部材で構成されており、例えば、ガラス基板、または絶縁性および光透過性の樹脂フィルムで構成されている。導電層82は、例えば、ITO(Indium Tin Oxide;酸化インジウムスズ)などの光透過性の導電性材料で構成されている。導電層82は、製造過程において、基板81の表面(
図7(B)では下面)および遮光層85の表面(
図7(B)では下面)を形成面として形成されたものであり、互いに電気的に分離された複数の導電層によって構成されている。導電層82に含まれる複数の導電層は、製造過程において同一工程で形成されたものである。遮光層85は、信号配線44、45および近接センサ23のシルエットが映像表示面に視認されるのを防ぐためのものであり、遮光性材料で構成されている。遮光性材料の色は、典型的には黒色であるが、黒色以外の色(例えば白色)であってもよい。
【0036】
[動作]
次に、本実施の形態の表示装置1における動作の一例について説明する。まず、例えば、表示装置1の電源投入により、制御装置30は、タッチパネル20の動作を開始する。制御装置30は、まず、タッチセンサ22に含まれる1または複数の電極(X電極41,Y電極42)を選択し、選択した電極に交流信号を印加する。このとき、指などが検出面21に接触していたとすると、制御装置30は、指などの検出面21への接触によってタッチセンサ22に生じた静電容量の変化を、出力電圧の変化として検知する。制御装置30は、検知された出力電圧(または出力電圧の変化)の情報に基づいて、指などの接触座標を導出する。制御装置30は、導出した、指などの接触座標についての情報を外部に出力する。
【0037】
また、制御装置30は、近接センサ23に交流信号を印加する。このとき、顔などが検出面21に近接していたとすると、制御装置30は、顔などによる検出面21への近接によってタッチセンサ22に生じた静電容量の変化を、出力電圧の変化として検知する。制御装置30は、検知された出力電圧(または出力電圧の変化)の情報に基づいて、指などによる検出面21の押し込みの有無を判断する。制御装置30は、その判断結果についての情報を外部に出力する。
【0038】
[効果]
次に、本実施の形態の表示装置1の効果について説明する。本実施の形態では、複数の近接センサ23が額縁領域21Bに設けられている。これにより、誤検出を防止することができるだけでなく、例えば、表示領域21Aのタッチセンサ22では検出し難い大型の導電体を、当該導電体が検出面21へ近接している段階で検出することができる。ここで、近接センサ23として用いられている自己静電容量型のセンサは、赤外線近接センサなどとは異なり、センシングのための光を放出したり、外部の光を取り込んだりするための窓を検出面21に設ける必要がなく、しかも、遮光層62,85などで覆い隠されたとしても、検出面21への近接を検出することができるものである。そのため、近接センサ23を設けることにより見た目の印象が悪くなる虞はない。また、近接センサ23は、赤外線近接センサなどとは異なり、タッチセンサ22の製造工程を利用して、タッチセンサ22と共に製造可能な構成となっている。そのため、近接センサ23を製造する際に製造工程が増えたり、新たな部材を用意したりする必要がないので、近接センサ23を設けることによる製造コストの上昇はほとんどない。
【0039】
このように、本実施の形態では、複数の近接センサ23を額縁領域21Bに設けるようにしたので、見た目の印象が良く、しかも低コストで、近接センサの機能を実装することができる。
【0040】
<3.変形例>
以上、実施の形態を挙げて本技術を説明したが、本技術は実施の形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。
【0041】
[第1変形例]
例えば、上記実施の形態では、導電層52等の形成基板である基板51が設けられていたが、基板51の代わりに、光透過性の絶縁層が設けられていてもよい。また、基板51の代わりに第1光透過性部材が設けられると共に、基板61の代わりに第2光透過性部材が設けられていてもよい。このとき、第2光透過性部材のうち、第1光透過性部材とは反対側の表面が検出面を形成している。
【0042】
[第2変形例]
また、例えば、上記実施の形態では、近接センサ23が設けられていたが、例えば、
図8に示したように、近接センサ23の代わりに、静電容量型の近接センサ28が設けられ、IC26の代わりに、各近接センサ28駆動用のIC29が設けられていてもよい。このとき、上記実施の形態の高抵抗素子27は設けられておらず、近接センサ28とIC29とが信号配線47を介して接続されている。
【0043】
近接センサ28は、相互静電容量型のセンサである。複数の近接センサ28は、額縁領域21Bのうち、少なくとも表示領域21Aを間にして互いに対向する2つの領域に分散して配置されている。
図8には、表示領域21Aを間にして互いに対向する2つの領域のうち一方の領域には、3つの近接センサ28が配置されており、他方の領域には、1つの近接センサ28が配置されている。タッチセンサ22および各近接センサ28は、共通の層内に配置された複数の電極の中から選択された1または複数の電極を含んで構成されている。具体的には、
図9、
図10(A),(B)に示したように、タッチセンサ22は、X電極41およびY電極42を含んで構成されており、各近接センサ28は、X電極41と同一の層内に配置された2つの電極46A,46Bを有している。電極46Aは送信電極であり、電極46Bは受信電極である。
【0044】
タッチパネル20は、
図8、
図9に示したように、信号配線44および信号配線47に接続されたFPC24を有している。このFPC24は、その表面に、信号配線44に接続されたIC25と、信号配線47に接続されたIC29とを有している。IC29は、各電極46Aに信号電圧を印加し、電極46Aおよび電極46B間の静電容量値を検出するようになっている。
【0045】
タッチパネル20は、例えば、
図10(A)に示したように、導電層の形成基板と、導電層の保護基板とが別体で設けられた貼り合わせ型であってもよいし、
図10(B)に示したように、導電層の形成基板と、導電層の保護基板とが共通化された一体型であってもよい。
【0046】
次に、本変形例の表示装置1の効果について説明する。本変形例では、複数の近接センサ28が額縁領域21Bに設けられている。これにより、誤検出を防止することができるだけでなく、例えば、表示領域21Aのタッチセンサ22では検出し難い大型の導電体を、当該導電体が検出面21へ近接している段階で検出することができる。ここで、近接センサ28として用いられている相互静電容量型のセンサは、赤外線近接センサなどとは異なり、センシングのための光を放出したり、外部の光を取り込んだりするための窓を検出面21に設ける必要がなく、しかも、遮光層62,85などで覆い隠されたとしても、検出面21への近接を検出することができるものである。そのため、近接センサ28を設けることにより見た目の印象が悪くなる虞はない。また、近接センサ28は、赤外線近接センサなどとは異なり、タッチセンサ22の製造工程を利用して、タッチセンサ22と共に製造可能な構成となっている。そのため、近接センサ28を製造する際に製造工程が増えたり、新たな部材を用意したりする必要がないので、近接センサ28を設けることによる製造コストの上昇はほとんどない。
【0047】
このように、本実施の形態では、複数の近接センサ28を額縁領域21Bに設けるようにしたので、見た目の印象が良く、しかも低コストで、近接センサの機能を実装することができる。
【0048】
<4.適用例>
次に、上記実施の形態およびその変形例に係る表示装置1の一適用例について説明する。
図11は、本適用例に係る電子機器100の概略構成の一例を表す斜視図である。電子機器100は、携帯電話機であり、例えば、
図11に示したように、本体部111と、本体部111に対して開閉可能に設けられた表示体部112とを備えている。本体部111は、操作ボタン115と、送話部116を有している。表示体部112は、表示装置113と、受話部117とを有している。表示装置113は、電話通信に関する各種表示を、表示装置113の表示画面114に表示するようになっている。電子機器100は、表示装置113の動作を制御するための制御部(図示せず)を備えている。この制御部は、電子機器100全体の制御を司る制御部の一部として、またはその制御部とは別に、本体部111または表示体部112の内部に設けられている。
【0049】
表示装置113は、上記実施の形態およびその変形例に係る表示装置1と同一の構成を備えている。これにより、例えば、ユーザが通話をするために電子機器100を耳に当てたとき、ユーザの耳や頬がタッチパネル22に接触したとしても、誤動作を起こす可能性がない。
【0050】
なお、上記実施の形態およびその変形例に係る表示装置1を適用可能な電子機器としては、以上に説明した携帯電話機等の他にも、パーソナルコンピュータ、液晶テレビ、ビューファインダ型またはモニタ直視型のビデオテープレコーダ、カーナビゲーション装置、ページャ、電子手帳、電卓、ワードプロセッサ、ワークステーション、テレビ電話機、POS端末器等が挙げられる。
【0051】
また、例えば、本技術は以下のような構成を取ることができる。
(1)
表示領域に、検出面での接触を検出することの可能なタッチセンサを備えると共に、額縁領域に、前記検出面への近接を検出することの可能な複数の近接センサを備え、
各近接センサは、静電容量センサである
タッチパネル。
(2)
前記タッチセンサおよび各近接センサは、共通の層内に配置された複数の電極の中から選択された1または複数の電極を含んで構成されている
(1)に記載のタッチパネル。
(3)
各近接センサは、自己静電容量型である
(2)に記載のタッチパネル。
(4)
前記近接センサの電極に電気的に接続された高抵抗素子をさらに備えた
(3)に記載のタッチパネル。
(5)
各近接センサは、相互静電容量型である
(2)に記載のタッチパネル。
(6)
前記近接センサのシルエットが前記検出面に視認されるのを防ぐ遮光層をさらに備えた
(1)ないし(5)のいずれか1つに記載のタッチパネル。
(7)
映像を生成する映像生成装置と、
前記映像生成装置の表面に配置されたタッチパネルと、
前記映像生成装置および前記タッチパネルを制御する制御装置と
を備え、
前記タッチパネルは、
表示領域に、検出面での接触を検出することの可能なタッチセンサを有すると共に、額縁領域に、前記検出面への近接を検出することの可能な複数の近接センサを有し、
各近接センサは、静電容量センサである
表示装置。
(8)
表示装置を備え、
前記表示装置は、
映像を生成する映像生成装置と、
前記映像生成装置の表面に配置されたタッチパネルと、
前記映像生成装置および前記タッチパネルを制御する制御装置と
を有し、
前記タッチパネルは、
表示領域に、検出面での接触を検出することの可能なタッチセンサを有すると共に、額縁領域に、前記検出面への近接を検出することの可能な複数の近接センサを有し、
各近接センサは、静電容量センサである
電子機器。