【実施例】
【0020】
(第1実施例)
次に、第1実施例におけるスピーカシステムについて
図1〜
図6を参照して説明する。同図に示すように、スピーカシステム1は、スピーカ装置2と、このスピーカ装置2が取り付けられる直方体状のキャビネット3と、を備えている。本実施例において、キャビネット3には、2台のスピーカ装置2が取り付けられている。上記キャビネット3は、スピーカ装置2が取り付けられるスピーカ取付壁としての前壁31と、この前壁31に対向する対向壁としての後壁32と、前壁31及び後壁32間に設けられた2対の側壁33及び34、側壁35及び36と、を有している。
【0021】
前壁31には、その内面に上記2台のスピーカ装置2が並べて取り付けられている。前壁31は、この2台のスピーカ装置2の並び方向が長尺の矩形状に設けられている。後壁32は、前壁31と同様に並び方向が長尺の矩形状に設けられている。以下、説明を簡単にするため、上記並び方向を上下方向、前壁31と後壁32との対向方向を前後方向、並び方向及び前後方向の双方に直交する方向を左右方向として説明する。
【0022】
側壁33〜36はそれぞれ、前壁31の縁部から後壁32の縁部に向かって立設している。側壁33及び34は、前壁31の上下方向に沿った縁部から立設し、互いに左右方向に対向している。これら側壁33及び34は、ほぼ同じ形状、同じ面積に設けられている。また、側壁35及び36は、前壁31の左右方向に沿った縁部から立設し、互いに上下方向に対向している。これら側壁35及び36も、ほぼ同じ形状、同じ面積に設けられている。
【0023】
上述したように前壁31及び後壁32は、上下方向に長尺に設けられているため、側壁33及び34間の距離は、側壁35及び36間の距離よりも小さく設けられている。即ち、側壁33及び34が、2対の側壁33及び34、側壁35及び36のうち互いの距離が小さい一対の側壁である。
【0024】
この一対の側壁33及び34の一方である側壁34には、
図5に示すように、上記壁31〜36に囲まれた空間であるキャビネット3内部と連通する第1ダクト34Aが設けられている。第1ダクト34Aは、キャビネット3内においてスピーカ装置2の前後方向後側から発生する低音を通過させてキャビネット3外に放射させるものである。
【0025】
この第1ダクト34Aは、側壁34に沿って前後方向に延在され、その出口が第1ダクト34A入口よりも前側(=音放射方向側)と後側(=音放射方向と反対側)に設けられている。即ち、前壁31及び後壁32には、この第1ダクト34A出口となる開口がそれぞれ設けられている。上記第1ダクト34Aの断面は、上下方向に長尺な矩形に設けられ、入口から出口にかけて一定の面積になるように設けられている。
【0026】
また、側壁34には、
図3〜
図5に示すように、その中央を含む位置にキャビネット3内部と第1ダクト34A入口とを連通する第1開口34Bが設けられている。また、第1開口34Bは、
図4に示すように、上下方向に長尺な矩形状に設けられている。この第1開口34Bの上下方向の高さは第1ダクト34Aの上下方向の高さと同じである。
【0027】
上記第1ダクト34A及び第1開口34Bを設けることにより、スピーカ装置2の後側から放射された低音は、
図5に示すように、第1開口34Bから第1ダクト34Aに入り、第1ダクト34Aを通過して前壁31及び後壁32に設けた開口からキャビネット3外に放射される。
【0028】
次に、上述したキャビネット3内部に生じる定在波について
図6を参照して説明する。一般的に、1次元波または平面波において進行方向に対して垂直な2つの壁(端)を作ることにより共振又は共鳴と呼ばれる現象がおきる。この2つの端に挟まれた部分では、一方の端で反射された波が再びもう一方の端で反射される。この繰り返しにより振幅が非常に増幅された定在波ができる。
【0029】
上述した直方体状のキャビネット3は、前壁31及び後壁32、側壁33及び側壁34、側壁35及び側壁36の三対が互いに対向している。そして、互いに対向する前壁31及び後壁32間、側壁33及び側壁34間、側壁35及び側壁36間にはそれぞれ、定在波W1〜W3が生じる。
図6(A)に示すように、定在波W1は、固定端である側壁35及び側壁36が節となり、側壁35及び側壁36間の中央が腹となる定在波である。また、定在波W2は、固定端である前壁31及び後壁32が節となり、前壁31及び後壁32間の中央が腹となる定在波である。さらに、
図6(B)に示すように、定在波W3は、固定端である側壁33及び側壁34が節となり、側壁33及び側壁34間の中央が腹となる定在波である。
【0030】
本実施例においては、側壁35及び36間の距離が最も長くなり、次に、前壁31及び後壁32間の距離が長くなり、側壁33及び34間の距離が最も短い。よって、定在波W1〜W3の周波数は、定在波W1が最も低くなり、次に定在波W2が低くなり、定在波W3が最も高くなる。
【0031】
次に、上述したスピーカシステム1の周波数特性に対する上記定在波W1〜W2の影響を
図7を参照して説明する。図中、L1が第1ダクト34Aの周波数特性を示し、L2がスピーカシステム1全体の周波数特性を示す。上述したように第1ダクト34Aは、低音が導かれるダクトである。このため、第1ダクト34Aの周波数特性は、低周波で音圧が高くなり、高周波では低くなる。
【0032】
上述した定在波W1〜W3が発生すると、各定在波W1〜W3の周波数で第1ダクト34Aの周波数特性が乱れ、その影響がスピーカシステム1の周波数特性に及ぶ。即ち、定在波W1〜W3がなければ、第1ダクト34Aの周波数特性は、図中L1に示すように高周波になるに従って音圧がなだらかに落ちるはずだが、定在波W1〜W3の影響を受けてN11〜N13に示すように周波数特性に乱れが生じる。なお、N11、N12、N13がそれぞれ定在波W1、W2、W3の影響による第1ダクト34Aの周波数特性の乱れを示す。特に定在波W1、W2の低い周波数では、第1ダクト34Aの音圧も高いため、スピーカシステム1の周波数特性への影響が出やすい。逆に定在波W3の高い周波数では、第1ダクト34Aの音圧はほどんとないため、スピーカシステム1の周波数特性への影響はほとんどない。これにより、定在波W1〜W3がなければ、スピーカシステム1の周波数特性は、図中L2に示すように高周波領域でフラットであるが、定在波W1、W2の影響を受けてN21、N22に示すように周波数特性に乱れが生じる。なお、N21、N22はそれぞれ定在波W1、W2の影響によるスピーカシステム1の周波数特性の乱れを示す。ただし、定在波W3の影響による周波数特性の乱れはほとんどない。
【0033】
本実施例では、互いの距離が小さい側壁33及び34の一方である側壁34の中央を含む位置に第1開口34Bを設けている。これにより、
図6(A)に示すように、第1開口34Bを、スピーカシステム1の周波数特性に影響を与えやすい低い定在波W1、W2の腹にあたる部分、つまり、定在波W1、W2の音圧が最小となる部分に設けることができ、定在波W1〜W3の影響を受けにくくなる。また、第1開口34Bは、定在波W3の節にあたる部分、つまり、定在波W3の音圧が最大となる部分に設けられているが、上述したように周波数の高い定在波W3の影響はもともと小さい。
【0034】
また、上述した第1実施例によれば、第1ダクト34Aが、第1開口34Bが設けられた側壁34に沿って延在され、第1ダクト34Aの出口が、第1ダクト34Aの入口よりもスピーカ装置2の前側(=音放射方向側)に設けられている。これにより、第1ダクト34Aを通った音を音放射方向側に放射できる。
【0035】
また、上述した第1実施例によれば、第1ダクト34Aの出口が、第1ダクト34Aの入口よりもスピーカ装置2の後側(=音放射方向と反対側)に設けられている。これにより、第1ダクト34Aを通った音を音放射方向の反対側に放射できる。
【0036】
なお、第1実施例では、第1ダクト34Aはその面積が入口から出口にかけてどの位置でも同じであり、第1開口34Bが矩形状に設けられていたが、これに限ったものではない。例えば、
図9(A)及び(B)に示すように、第1ダクト34Aの入口から出口に向かうに従って面積が広くなるホーン形状に設けてもよい。これにより、第1ダクト34A内の空気に不必要な乱気流等を発生させないで音を放射できる。また、
図9(C)に示すように、第1ダクト34Aの入口付近は出口に向かうに従って面積が小さくなり、その後、出口に向かうに従って面積が広くなるような形状に設けてもよい。
【0037】
また、同図に示すように、第1ダクト34Aは、入口から出口に向かうに従って上下方向の幅(=側壁34と平行方向の幅)が広くなり、かつ、入口から出口にかけて左右方向の幅(=側壁34と直交する方向)が一定に設けられている。これにより、スピーカシステム1の左右方向の幅を一定に保ったまま入口から出口に向かうに従って第1ダクト34Aの面積を広くできる。
【0038】
また、第1開口34Bは、
図8及び
図9(A)に示すように、前後方向(=第1ダクト34Aの入口から出口に向かう方向)に対向する縁部が中央に近づくに従って近くなるような形状に設けてもよい。これにより、第1ダクト34A内の空気に不必要な乱気流等を発生させないで音を放射できる。もちろん、
図9(B)及び(C)に示すように、第1ダクト34Aをホーン形状に設け、第1開口34Bは第1実施例と同様に矩形状であってもよい。
【0039】
(第2実施例)
次に、第2実施例におけるスピーカシステム1について
図10〜
図12を参照して説明する。第1実施例と第2実施例とで異なる点は、互いの距離が小さい一対の側壁33及び34の他方である側壁33に第2ダクト33A及び第2開口33Bが設けられている点である。
【0040】
第2ダクト33Aは、第1ダクト34Aと同様に、キャビネット3内においてスピーカ装置2の前後方向後側から発生する低音を通過させてキャビネット3外に放射させるものである。
【0041】
この第2ダクト33Aも、側壁33に沿って前後方向に延在され、その出口が第2ダクト33A入口よりも前側と後側に設けられている。即ち、前壁31及び後壁32には、この第2ダクト33A出口となる開口がそれぞれ設けられている。上記第2ダクト33Aの断面は、上下方向に長尺な矩形に設けられ、入口から出口にかけて一定の面積になるように設けられている。
【0042】
また、側壁33には、
図11及び
図12に示すように、その中央を含む位置にキャビネット3内部と第2ダクト33A入口とを連通する第2開口33Bが設けられている。また、第2開口33Bは、
図11に示すように、上下方向に長尺な矩形状に設けられている。この第2開口33Bの上下方向の高さは第2ダクト33Aの上下方向の高さと同じである。
【0043】
この場合も、第2開口33Bを側壁33の中央を含む位置に設けることにより、周波数の低い定在波W1、W2の腹にあたる部分が第2ダクト33Aに導かれるため、同様に、定在波W1〜W3の影響を少なくすることができる。
【0044】
また、この第2ダクト33Aについても、
図8及び
図9に示すように、入口から出口に向かうに従って面積が広くなるように設けてもよい。また、第2ダクト33Aを、入口から出口に向かうに従って上下方向の幅が広くなり、かつ、入口から出口にかけて左右方向の幅が一定になるように設けてもよい。また、第2開口33Bも、
図8及び
図9に示す第1開口34Bと同様に、第2開口33Bにおいて第2ダクト33Aの入口から出口に向かう方向に対向する縁部が、中央に近づくに従って近くなるように設けられてもよい。
【0045】
なお、上述した第1及び第2実施例では、第1ダクト34Aや第2ダクト33Aの出口は、前側と後側との2箇所設けられていたがこれに限ったものではない。第1ダクト34A、第2ダクト33Aの出口は、前側と後側との何れか一方に設けるようにしてもよい。
【0046】
上述した第1及び第2実施例では、キャビネット3は、直方体状に設けられていたが、これに限ったものではない。キャビネット3は、略直方体状であればよく、例えば、直方体の一部の角がかけている形状であってもよい。
【0047】
また、上述した実施例では、キャビネット3には、2台のスピーカ装置2が取り付けられていたが、これに限ったものではない。キャビネット3にはスピーカ装置2が1台のみ取り付けられていてもよいし、3台以上のスピーカ装置2が取り付けられていてもよい。
【0048】
また、前述した実施例は本発明の代表的な形態を示したに過ぎず、本発明は、実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。