(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6243518
(24)【登録日】2017年11月17日
(45)【発行日】2017年12月6日
(54)【発明の名称】イメージング検出器
(51)【国際特許分類】
H04N 5/369 20110101AFI20171127BHJP
G01T 1/20 20060101ALI20171127BHJP
H01L 27/144 20060101ALI20171127BHJP
A61B 6/03 20060101ALI20171127BHJP
H04N 5/32 20060101ALI20171127BHJP
H04N 5/361 20110101ALI20171127BHJP
【FI】
H04N5/369
G01T1/20 E
G01T1/20 G
G01T1/20 J
G01T1/20 F
H01L27/144 K
A61B6/03 320R
H04N5/32
H04N5/361
【請求項の数】13
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-513473(P2016-513473)
(86)(22)【出願日】2014年5月7日
(65)【公表番号】特表2016-528749(P2016-528749A)
(43)【公表日】2016年9月15日
(86)【国際出願番号】IB2014061263
(87)【国際公開番号】WO2014184714
(87)【国際公開日】20141120
【審査請求日】2017年4月26日
(31)【優先権主張番号】61/824,020
(32)【優先日】2013年5月16日
(33)【優先権主張国】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】KONINKLIJKE PHILIPS N.V.
(74)【代理人】
【識別番号】100122769
【弁理士】
【氏名又は名称】笛田 秀仙
(72)【発明者】
【氏名】チャッポ マーク アンソニー
【審査官】
鈴木 明
(56)【参考文献】
【文献】
特表2012−521555(JP,A)
【文献】
特表2004−536313(JP,A)
【文献】
特表2004−513700(JP,A)
【文献】
特表2003−510616(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2004/0099920(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 5/30−5/378
H01L 27/14−27/148
A61B 6/03
G01T 1/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
各々がフォトトランジスタを備える、複数の検出器ピクセルを含む、シリコンフォトセンサ層と、
前記複数のフォトトランジスタの各々のためのバイアス制御部及び電流・周波数コンバータを含む、前記シリコンフォトセンサ層に結合される、シリコン電子部層と
を有し、
前記複数のフォトトランジスタの各々は暗電流を生成し、対応するバイアス制御部が、対応する電流・周波数コンバータに送られる前記暗電流の量を調整し、
前記シリコンフォトセンサ層は、タイルに蓄積される放射線を検出する放射線センサを更に有し、前記バイアス制御部は、前記検出された放射線に基づいて、前記対応する電流・周波数コンバータに送られる前記暗電流の量を調整する、
シリコンイメージング検出器タイル。
【請求項2】
対応する電流・周波数コンバータに送られる前記暗電流の量により、前記電流・周波数コンバータは、周波数が前記電流・周波数コンバータによって決定され得るように、各積分期間内に少なくとも一つのパルスを生成するように、前記バイアス制御部は、前記対応する電流・周波数コンバータに送られる前記暗電流の量を調整する、請求項1に記載のシリコンイメージング検出器タイル。
【請求項3】
前記電流・周波数コンバータに、各積分期間内に少なくとも一つのパルスを生成させるために必要とされる電流レベルの値を記憶するレジスタを更に有し、前記バイアス制御部は、前記暗電流を調整するために前記値を使用する、請求項1乃至2の何れか一項に記載のシリコンイメージング検出器タイル。
【請求項4】
前記タイルの温度を検出する前記シリコンフォトセンサ層における温度センサを更に有し、前記バイアス制御部は、前記検出された温度に基づいて、前記対応する電流・周波数コンバータに送られる前記暗電流の量を調整する、請求項1乃至3の何れか一項に記載のシリコンイメージング検出器タイル。
【請求項5】
前記バイアス制御部は、前記フォトトランジスタのベース電流を制御する、請求項1乃至4の何れか一項に記載のシリコンイメージング検出器タイル。
【請求項6】
前記検出器ピクセルの少なくとも一つは、フォトダイオードを更に含み、前記バイアス制御部は、前記フォトダイオード又は前記フォトトランジスタを前記電流・周波数コンバータに択一的に電気的に接続する、請求項1乃至5の何れか一項に記載のシリコンイメージング検出器タイル。
【請求項7】
前記フォトトランジスタは、単一半導体又は共に接続される少なくとも二つの半導体を有する、請求項1乃至6の何れか一項に記載のシリコンイメージング検出器タイル。
【請求項8】
X線放射がない場合、イメージング検出器のシリコンフォトセンサ層の検出器ピクセルのフォトトランジスタにより、暗電流を検出すると共に生成するステップと、
バイアス制御部により、前記シリコンフォトセンサ層に結合されるシリコン電子層の電流・周波数コンバータに送られる前記暗電流の量を調整するステップと、
前記電流・周波数コンバータにより、前記電流・周波数コンバータに送られる前記暗電流の量を変換するステップと、
シリコン検出器タイルに蓄積される放射線を検出するステップと、
前記検出された放射線に基づいて前記暗電流を更に調整するステップと
を含む、方法。
【請求項9】
対応する電流・周波数コンバータに送られる前記暗電流の量により、前記電流・周波数コンバータは、周波数が前記電流・周波数コンバータによって決定され得るように、各積分期間内に少なくとも一つのパルスを生成する、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記電流・周波数コンバータに、各積分期間内に少なくとも一つのパルスを生成させるために必要とされる電流レベルを記憶するレジスタのレジスタ値を読み出すステップと、
前記レジスタ値に基づいて前記暗電流を調整するステップと
を更に有する、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記シリコン検出器タイルの温度を検出するステップと、
前記検出された温度に基づいて前記暗電流を更に調整するステップと
を更に有する、請求項8乃至10の何れか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記電流・周波数コンバータに送られる前記暗電流の量を調整するために前記フォトトランジスタのベース電流を制御するステップ
を更に有する、請求項8乃至11の何れか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記検出器ピクセルは、フォトダイオードを更に有し、
前記フォトトランジスタ又は前記フォトダイオードの一つを前記電流・周波数コンバータに選択的に接続するステップ
を更に有する、請求項8乃至12の何れか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
以下の記載は、イメージング検出器に関しており、更には特にフォトトランジスタによる検出器ピクセルを含むシリコン検出器タイルを備えるイメージング検出器、及び電流・周波数コンバータのためのバイアスとしてフォトトランジスタ暗電流を用いる電子部(エレクトロニクス)に関する。
【背景技術】
【0002】
フォトトランジスタによって生成される信号は、コンピュータ断層撮影(CT)に関連して記載される検出器においてディジタル信号に変換される。
【0003】
CTスキャナは、フォトダイオードによる検出器ピクセルのアレイ及びアナログ・ディジタル(A/D)変換による、各々の検出器ピクセルのための処理電子部を備える検出システムを含んでいる。A/Dコンバータは、検出器ピクセルのフォトンインシデントの入力を示すパルス周波数を備える一連のパルスを生成する周波数・電流(I/F)コンバータとして使用されている。このようなコンバータの例は、完全に参照によってここに含まれる、「コンピュータ断層撮影のためのデータ収集」と題される、米国特許第6,671,345 B2号(Vrettos他、2001年11月7日出願)、及び「マルチスライスCTのための新たな二次元タイル検出器」(Luhta他、メディカルイメージング2006、メディカルイメージングの物理学、第6142巻、pp.275-286 (2006))に記載されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
図1は、処理電子部102が、I/Fコンバータとして使用されるA/Dコンバータ104を含む例を図示する。A/Dコンバータ104は、積分器(インテグレータ)106(この例の場合、増幅器108と積分コンデンサ110)及びコンパレータ112を含む。積分器106は、各積分期間、フォトダイオードによる検出器ピクセル116のシンチレータに衝突する放射線118に応じて、フォトダイオードによる検出器ピクセル116によって生成される電流"I"114を積分する。コンパレータ112は、積分器106の出力を、プリセットされた閾値(TH)120と比較し、出力が閾値120を満たすときにのみ、パルスを生成する。リセットスイッチ122は、パルスの生成に応じて、積分器106をリセットする。
【0005】
図1において、ディジタル論理部124は、リセットスイッチ122を制御し、積分器106をリセットするためにリセットスイッチ122を閉じること、及びリセットスイッチ122を開けることが含まれる。ディジタル論理部124も、コンパレータ112の出力を処理する。一つの例において、これは、コンパレータ112によって出力されるパルスの数をカウントすること、及び積分期間の第一のパルスから積分期間の最後のパルスまでの時間を決定することを含む。このデータから、ディジタル論理部ユニット124は、検出された放射線の時間の単位当たりの電流又はチャージを示す、パルス(積分期間におけるパルスの数/積分期間における最初パルスと最後のパルスとの間の時間)の周波数を示す出力信号を生成することができる。
【0006】
積分器106は、各積分期間、バイアス電流源126によって入力される積分器106に供給されるバイアス電流を積分する。周波数がA/Dコンバータ104によって決定され得るように、少なくとも一つのパルスが各積分期間内(すなわち、何れかの検出されたフォトン、すなわち検出器ピクセル116からの信号がない場合)に生成することを確実にするために、バイアス電流は必要とされる。しかしながら、電流源120は、電流源120のない構成と比較して、ノイズフロアを増やし得る、A/Dコンバータ104の入力に電子ノイズ(雑音)をもたらし、それゆえに、ノイズフロアを超える信号をもたらす線量(ドーズ)レベルに対する低線量スキャンアプリケーションのための線量レベルの下限を上昇させ得る。
【0007】
CT検出器の最新技術において、フォトトランジスタは、累積放射線量及び温度の変動並びに電子ノイズの暗電流制限のために使われない。
【0008】
ここに記載される局面は、上記の問題及び/又はその他を説明する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
以下は、フォトトランジスタによって生成される電流信号をディジタル信号に変換する電流・周波数(I/F)コンバータをバイアスするため、X線放射がない場合、フォトトランジスタによって生成される暗(電)流を用いるバイアス制御部及びフォトトランジスタによる検出器ピクセルを含むイメージング検出器を記載する。フォトトランジスタの本来の利得は、信号対雑音比(SNR)を改善するが、I/Fコンバータバイアス電流として暗電流を用いることにより、バイアス電流を生成されるために電流源を使用する場合と等しい電子ノイズレベルが保たれる。このようなイメージング検出器は、少なくともフォトトランジスタの本来の利得により、低線量イメージングアプリケーションに非常に適している。更に、検出器の電子部分に含まれる適切な回路とインタフェイスされるとき、フォトトランジスタは、フォトンカウンティング検出を可能にすることができる。
【0010】
一つの局面において、イメージング検出器は、各々が、複数のフォトトランジスタの各々のためのバイアス制御部及び電流・周波数コンバータを含む、シリコンフォトセンサ層に結合される、フォトトランジスタ及びシリコン電子層を備える、複数の検出器ピクセルを含むシリコンフォトセンサ層を含む。
【0011】
他の局面において、方法は、X線放射がない場合、イメージング検出器のシリコンフォトセンサ層の検出器ピクセルのフォトトランジスタにより、暗電流を検出するステップと、バイアス制御部により、シリコンフォトセンサ層に結合されるシリコン電子層の電流・周波数コンバータに送られる暗電流の量を調整するステップと、電流・周波数コンバータにより、電流・周波数コンバータに送られる暗電流の量を変換するステップとを含む。
【0012】
他の局面において、イメージングシステムは、放射線を放射する放射線源と、放射線を検出し、ディジタル信号を生成する検出器アレイと、ディジタル信号を再構成する再構成器とを含み、ボリュメトリックイメージデータを生成する。検出器アレイは、複数の検出器タイルを含み、各々の検出器タイルは、複数の検出器ピクセルを備えるシリコンフォトセンサ層を含み、各々の検出器タイルは、複数のフォトトランジスタの各々のためのバイアス制御部及び電流・周波数コンバータを含む、シリコンフォトセンサ層に結合される、シリコン電子層、及びフォトトランジスタを含む。電流・周波数コンバータは、フォトトランジスタからの信号をディジタル信号に変換する。
【0013】
本発明は、様々な構成要素及び構成要素の組み合わせ、並びに様々なステップ及びステップの組み合わせの形を取りうる。図面は、好適な実施例を説明する目的のみであり、本発明を限定するように解釈されるべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】フォトダイオードによる検出器ピクセルを含む従来のイメージング検出器、I/Fコンバータを備える処理電子部、及びI/Fコンバータのためのバイアス電流を生成する電流源を図示する。
【
図2】フォトトランジスタによる検出器ピクセルを備えるフォトトランジスタアレイを含む検出器タイル、及び処理電子部の対応するI/Fコンバータをバイアスするためにフォトトランジスタの暗電流を用いる処理電子部を備える、イメージングシステムの例を図示する。
【
図4】シリコン処理電子部層においてバイアス制御論理部(ロジック)を備える
図3の検出器タイルの単一の検出器ピクセル/処理電子部対を図示する。
【
図5】
図4の検出器タイルのフォトトランジスタを表す、電気回路概略図の例を図示する。
【
図6】トレースを通じて電気的に接続される、
図5のフォトトランジスタを表す、半導体の例を図示する。
【
図7】互いに接着又は形成される、
図5のフォトトランジスタを表す、半導体の例を図示する。
【
図8】
図5のフォトトランジスタが単一の半導体要素である例を図示する。
【
図9】シリコンフォトセンサ層において熱センサを含む、
図3の検出器タイルの単一の検出器ピクセル/処理電子部対のバリエーションを図示する。
【
図10】シリコンフォトセンサ層における放射線量センサを含む、
図3の検出器タイルの単一の検出器ピクセル/処理電子部対のバリエーションを図示する。
【
図11】バイアス制御論理部がフォトトランジスタのベース電流を制御する、
図3の検出器タイルの単一の検出器ピクセル/処理電子部対のバリエーションを図示する。
【
図12】シリコンフォトセンサにおいてフォトダイオードとフォトトランジスタとの両方を備える、
図3の検出器タイルの単一の検出器ピクセル/処理電子部対のバリエーションを図示する。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図2は、コンピュータ断層撮影(CT)スキャナのようなイメージングシステム200を図示する。イメージングシステム200は、通常、静止のガントリ202及び回転ガントリ204を含む。回転ガントリ204は、静止ガントリ202によって回転可能に支持され、長手方向又はz軸の周りで検査領域206の周りを回転する。X線管のような放射線源208は、回転ガントリ204によって支持され、検査領域206を横断する放射線を放射する。
【0016】
放射線感受性検出器アレイ210は、検査領域206の間の放射線源208の反対側の角度円弧(angular arc)に対する。図示した実施例において、放射線感受性検出器アレイ210は、z軸に対して横切る方向に沿って互いに対して構成される複数の検出器モジュール214を含む。検出器モジュール214は、z軸に沿って互いに対して構成される複数のシリコン検出器タイル216を含む。各々のシリコン検出器タイル216は、検査領域206を横切る放射線を検出し、それを示す電気信号を生成する。
【0017】
以下に詳細に記載されるように、各々のタイル216は、各々のタイルのためのフォトトランジスタアレイ(PTA)を形成する、複数のフォトトランジスタによる検出器ピクセルと、各々のフォトトランジスタのためのバイアス制御部及び(例えば、
図1に関連して議論されるI/Fコンバータと同じ)電流・周波数(I/F)コンバータを備える処理電子部とを含み、バイアス制御部は、X線放射線がない場合、周波数がI/Fコンバータによって決定され得るように少なくとも一つのパルスが各積分期間内に発生するように、I/Fコンバータをバイアスするために、フォトトランジスタによって生成される暗(電)流を用いる。
【0018】
再構成器228は、シリコン検出器タイル216から信号を再構成し、それを示すボリュメトリックイメージデータを生成する。画像プロセッサ等は、画像データに基づいて、一つ又はそれより多くの画像を生成することができる。コンピュータシステム又は他のコンピュータは、オペレータコンソール230としての役割を果たす。コンソール230上のソフトウェアレジデンスにより、オペレータはシステム200の動作を制御することが可能になる。寝台のような患者支持部232は、検査領域206における人間患者のような被検体又は対象物を支持する。
【0019】
シリコン検出器タイル216の非限定的な例は、次に記載される。
【0020】
一つの例において、検出器タイル216は、完全に参照によってここに含まれる、「固体X線放射検出器モジュール及びそのモザイク並びにイメージング方法及び同使用装置」と題される、米国特許第6,510,195B1号(Chappo他、2001年7月28日出願)において記載され、検出器タイルにかなり類似し、及び/又は基づいている。上記との組合せ及び/又は上記に基づく組合せを含む、他の検出器アレイ構成もここに意図される。
図3は、シリコン検出器タイル216の例を図示する。
【0021】
図3において、シリコン検出器タイル216は、フォトセンサ層302の第一の側面308において複数の感光性領域304を含む、シリコンフォトセンサ層302を含む。記載のシリコンフォトセンサ層302は、フォトセンサ302の第二の対向する側面310に位置されるボンディングパッド等(図示略)に感光性領域304を相互接続する電極(図示略)を備える、背面(バック)照光型フォトセンサである。バリエーションにおいて、フォトセンサ302は、対向する側面310において第一の側面308からパッドまで信号をルーティングするバイアスによる前面(フロント)照光型フォトセンサになり得る。
【0022】
シリコン検出器タイル216は、シンチレータ層312を更に含む。シンチレータ層312は、単一の層であってもよく、又は(画素化される)複数のシンチレータピクセルを含んでいてもよい。後者の例において、シンチレータ層312は、シンチレータピクセルと感光性領域304との間の1対1の関係のために、感光性領域の数に対応するシンチレータピクセルの数を含んでいてもよい。さらに他の例において、異なるシンチレータピクセルは、感光性領域304の異なるサブグループに対応していてもよい。シンチレータ層312は、シリコンフォトセンサ218に光学的に結合される。
【0023】
シリコン検出器タイル216は、電子領域316を備えるシリコン電子層又は基板314を更に含む。電子領域316は、感光性領域304のボンディングパッドに電気的に結合される。
図4は、感光性領域304/電子領域316対を図示する。電子領域316は、処理電子部402及びバイアス制御部404を含む。ここに議論されるように、処理電子部402は、
図1に関連して記載のもの、及び/又は他で記載のものとかなり類似し得る、I/Fコンバータとして使用されるA/Dコンバータを含む。
【0024】
記載の感光性領域304は、
図4においてフォトトランジスタ406を含む。一括して、各々のタイル216のフォトトランジスタ406は、ここでフォトトランジスタアレイ(PTA)と称される。フォトトランジスタ406は、処理電子部402の入力端子(ターミナル)と電気通信される、コレクタ408、ベース410、及びエミッタ412を含む。X線放射線がシンチレータ312(
図3)の入力(インシデント)であるとき、それに応答してシンチレータ312によって生成され、放射線のエネルギを示す、光はベース410を駆動し、エミッタ電流は、増幅されたベース電流になる。
【0025】
通常、各々のフォトトランジスタ406は、同じ量の光及び印加されたバイアス電圧が、より大量の出力電流を生成する点で、ビルトイン電流増幅器を備えるフォトダイオードとみなされることができる。X線放射線がない場合、リーク電流は、ベース410を駆動し、エミッタ電流は暗(電)流と称される。バイアス制御部404は、処理電子部402に送られるか、又は供給される暗電流の量を調整する。一つの例において、このことは、周波数がI/Fコンバータによって決定され得るように、少なくとも一つのパルスは各積分期間内に発生するように、十分な暗電流を可能にすることを含む。
【0026】
いろいろなアプローチは、何れの量の暗電流が、I/Fコンバータバイアス電流として処理電子部402に供給されるかを制御するために用いられ得る。たとえば、一つの非限定的な例において、バイアス制御部404は、何れの量の暗電流が、処理電子部402に供給されるかを制御するために、可変電流シンクを用いる。記載の例において、プログラム可能なレジスタ414は、処理電子部402のための所望のバイアス電流を示すためにセットされ得る、ビットを含み、バイアス制御要素404は、暗電流を調整するためにレジスタを用いる。
【0027】
このように暗電流を用いることによって、I/Fコンバータのためのバイアス電流を生成するために使用されている、
図1の電流源126が省略され得ることは評価されるべきである。このように、電流源126によって生成される、さもなければ、電流源126が存在している場合、存在し得る、電子ノイズは、PTA暗電流に関連するノイズと交換され、それによってPTAが、何れの電子ノイズの増加もなく、フォトダイオード検出器を置換することは可能になる。
【0028】
図5乃至8は、どのようにフォトトランジスタが、トランジスタ利得(ゲイン)を備えるフォトダイオードを含むかの進行過程を示す。
図5は、
図4のフォトトランジスタ406の電気概略図を示し、
図6、7、及び8は、
図4のフォトトランジスタ406の半導体物質による図を示す。
【0029】
図5において、フォトトランジスタ406は、(コレクタ504、ベース506、及びエミッタ508を備える)トランジスタ502と、(陰極(カソード)512及び陽極(アノード)514を備える)フォトダイオード510とを含む。フォトダイオード510の陰極512は、トランジスタ502のコレクタ504に電気的に接続され、フォトダイオード510の陽極514は、トランジスタ502のエミッタ508に電気的に接続される光516(シンチレータ312上のX線放射線入力に応答してシンチレータ312によって生成される光、及び/又はアンビエントライト)は、フォトダイオード510を駆動し、ベース506、及びそれゆえにトランジスタ502を駆動する。トランジスタ(すなわち、エミッタ)電流(I
T)は、βI
Dであり、ここで、I
Dはフォトダイオード電流であり、βはトランジスタのコモンエミッタ利得である。
【0030】
図6において、フォトトランジスタ502は、(コレクタを表す)第一のN形半導体物質604、(ベースを表す)P形半導体物質606、及び(エミッタを表す)第二のN形半導体物質608を含む、第一の半導体602を通じて表される。フォトダイオード510は、(陰極を表す)N形半導体物質612、及び(陽極を表す)P形半導体物質614を含む、第二の半導体610を通じて表される。陰極612は、シリコンにおいて第一の電気トレース616を通じてコレクタ604に電気的に接続され、陽極614は、シリコンにおいて第二の電気トレース618を通じてベース606に電気的に接続される。
【0031】
図7は、
図6の第一の半導体602及び第二の半導体610が単一の半導体702に接合され、ボンディングされ、及び/又は結合される、
図6のバリエーションを示す。
【0032】
図8は、
図6及び7の代わりの図を示し、単一の半導体800は、(コレクタ604と陰極612との両方を表す)第一のN形半導体物質802、(ベース606と陽極614と両方を表す)P形半導体物質804、及び(エミッタ608を表す)第二のN形半導体物質806を含む。この構成において、コレクタベースジャンクションは、フォトダイオードのようにふるまい、検出される光の量を増やすジオミトリで構成されることができる。光は、このジャンクションの間に、増加した逆リーク電流をもたらし、この逆リーク電流は、ベースに供給される電流と同じ効果を持っている。
【0034】
フォトトランジスタ406によって生成される暗電流は、シリコン検出器タイル216の少なくとも温度の関数になる。
図9に示されるバリエーションにおいて、フォトセンサ領域304は、少なくとも一つの温度センサ902を更に含む。一つの例において、少なくとも一つの温度センサ902は、フォトセンサ層302の部分であり、及び/又はフォトセンサ層302のシリコンにおいて埋め込まれる。シリコン検出器タイル216は、(示されるように)フォトセンサ領域304内において、フォトセンサ層302の非感光性領域において、少なくとも2つのフォトセンサ領域304の間、及び/又は少なくとも2つのフォトセンサ領域304にオーバラップして、一つ又はそれより多くのこのような温度センサ902を含み得る。
【0035】
このことは、さまざまに実施されることができる。たとえば、一つの非限定的な例において、少なくとも一つの温度センサ902は、全てが参照によってここに含まれる、「イメージング検出器熱制御」と題される、米国出願第12/853,349号(Luhta他、2010年8月10日出願)に記載のように実施される。少なくとも一つの温度センサ902は、暗電流の現在の量を推定し、それに基づいて、I/Fコンバータに供給される暗電流の量を制御するために、温度と暗電流との間の所定のマッピングを用いる、バイアス制御部404に、検出された温度を伝える。それは、電子部316に埋め込まれてもよい。
【0036】
フォトトランジスタ406によって生成される暗電流は、シリコン検出器タイル216に蓄積される累積放射線量によって変動し得る。
図10において示される変動において、フォトセンサ領域304は、少なくとも一つの放射線量センサ1002を更に含む。一つの例において、少なくとも一つの線量センサ1002は、フォトセンサ302の部分、及び/又はフォトセンサ302のシリコンにおいて埋め込まれている。それは、電子部316に埋め込まれてもよい。シリコン検出器タイル216は、(示されるように)フォトセンサ領域304内において、フォトセンサ層302の非感光性領域において、少なくとも2つのフォトセンサ領域304の間、及び/又は少なくとも2つのフォトセンサ領域304にオーバラップして、一つ又はそれより多くのこのような放射線量センサ1002を含み得る。
【0037】
これは、さまざまに実行されることができる。たとえば、一つの非限定的な例において、少なくとも一つの線量センサ1002は、全てが参照によってここに含まれる、「放射線量によるイメージングタイルパラメータ補償」と題される、米国出願第13/510168号(Chappo他、2010年11月18日出願)に記載されているように実施される。少なくとも一つの線量センサ1002は、暗電流の現在の量を推定し、それに基づいて、I/Fコンバータに供給される暗電流の量を制御するために、線量と暗電流の間の所定のマッピングを用いる、バイアス制御論理部314に、検出された線量を伝える。
【0038】
他のバリエーションにおいて、シリコン検出器タイル216は、少なくとも一つの温度センサ902と少なくとも一つの線量センサ1002とを含む。
【0039】
図11は、バイアス制御論理部404が、フォトトランジスタ406のベース電流も制御するバリエーションを示す。この例において、バイアス制御論理部404は、ベース電流が、放射線量及び温度のための補正を含む、I/Fコンバータをバイアスするのに十分な暗電流をもたらすレベルにあることを確実にする。
【0040】
図12は、フォトセンサ302が、フォトトランジスタ406とフォトダイオード1202との両方を含む、バリエーションを示す。この例において、フォトトランジスタ406のエミッタ412及びフォトダイオード1204の陽極1204は、スイッチ1206を含む、バイアス制御部404と電気通信し、エミッタ412又は陽極1204のどちらが、処理電子部402と電気通信するかを決定する。バイアス制御部404への入力は、タイル216がどちらのモード(フォトダイオード又はフォトトランジスタ)にあるかを示す。フォトダイオード1202モードであるとき、バイアス制御部404は、処理電子部402のI/Fコンバータをバイアスするために、電流源(例えば、
図1の電流源126)等を用いる。
【0041】
図13は、ここに議論される実施例による方法を図示する。
【0042】
1302において、イメージングの検出器ピクセルのフォトトランジスタによって出力される電流をディジタル信号に変換する、I/Fコンバータのための所定のバイアス電流関心レベルが得られる。
【0043】
1304において、フォトトランジスタの暗電流が検出される。
【0044】
1306において、I/Fコンバータに送られる暗電流の量が、少なくとも所定のバイアス電流レベルに基づいて、調整される。
【0045】
ここに記載されるように、I/Fコンバータに送られる暗電流の量は、シリコン検出器タイル216に蓄積される放射線量及び/又は温度に基づいて調整されてもよい。
【0046】
1308において、I/Fコンバータは、フォトトランジスタの出力をディジタル信号に変換するために使用される。
【0047】
1310において、ディジタル信号は再構成され、ボリュメトリックイメージデータが生成される。
【0048】
ここに記載される方法における動作の順序が非限定的であることは評価されるべきである。このように、他の順序は、ここに考慮される。更に一つ又はそれより多くの動作は省略されてもよく、及び/又は一つ又はそれより多くのさらなる動作が含まれてもよい。
【0049】
本発明は、好適な実施例を参照してここに記載されている。修正例及び変更例は、ここの記載を読むと共に理解する他者が思いつきうる。本発明は、添付の請求項及びその同等物の範囲に入る限り全てのこのような修正例及び変更例を含むと解釈されると意図される。