(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6243525
(24)【登録日】2017年11月17日
(45)【発行日】2017年12月6日
(54)【発明の名称】モジュール式データセンタ用システムおよび方法
(51)【国際特許分類】
G06F 1/20 20060101AFI20171127BHJP
H05K 7/20 20060101ALI20171127BHJP
【FI】
G06F1/20 C
G06F1/20 B
H05K7/20 U
【請求項の数】16
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2016-519809(P2016-519809)
(86)(22)【出願日】2014年10月2日
(65)【公表番号】特表2016-533561(P2016-533561A)
(43)【公表日】2016年10月27日
(86)【国際出願番号】US2014058771
(87)【国際公開番号】WO2015051086
(87)【国際公開日】20150409
【審査請求日】2016年8月3日
(31)【優先権主張番号】61/886,402
(32)【優先日】2013年10月3日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】14/504,081
(32)【優先日】2014年10月1日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】506188585
【氏名又は名称】リーバート・コーポレイシヨン
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】特許業務法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ウィルコックス,エリック
(72)【発明者】
【氏名】ヘフナー,ジョン
(72)【発明者】
【氏名】シンコビッチ,ステファン
(72)【発明者】
【氏名】ランチッチ,デニス
(72)【発明者】
【氏名】ジュラニッツ,ジェリコ
【審査官】
征矢 崇
(56)【参考文献】
【文献】
特開2012−199300(JP,A)
【文献】
特開2011−133129(JP,A)
【文献】
特許第5084964(JP,B2)
【文献】
国際公開第2013/114528(WO,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2009/0129016(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2013/0040547(US,A1)
【文献】
実開平04−101218(JP,U)
【文献】
米国特許出願公開第2011/0083824(US,A1)
【文献】
国際公開第2011/038348(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F1/20
H05K7/20
F24F1/00;1/02;1/06−1/68;3/00−3/16;
5/00;11/00−11/08;13/08−13/32
H02G3/22−3/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに概して平行に配置された複数のユニット構造と、
フロアの上方にユニット構造を立設支持する複数の支持部と、
を備え、ユニット構造のうちの隣接するものが、データセンタ構成要素から生じた暖気が案内され得る暖気通路を両者間に形成しており、
前記各ユニット構造が、
フレーム構造と、
フレーム構造により支持された屋根板と、
屋根板から離隔され、暖気通路のうちの1つからの暖気が受容されて案内され得る容積を画定する天井板と、
を有する細長構造を形成しており、
屋根板が、ユニット構造の下方に配設されたデータセンタ構成要素の隣接列間に冷気通路を形成するのに役立ち、冷気通路が、データセンタ構成要素間で冷気を案内するように構成され、
ユニット構造のうち隣接して位置決めされた2つの間で暖気通路のうちの所与の1つの上方に支持されるように構成された少なくとも1つの屋上排出構造をさらに備え、屋上排出構造が、暖気通路からの暖気の少なくとも一部を周囲環境に排出する少なくとも1つのファンを具備し、
前記各屋上排出構造が、対向して配置された複数の排出ファンを具備し、
ユニット構造に対して概して垂直に延びるとともに、関連するユニット構造対間に形成された複数の暖気通路と連通するように配置された複数の屋上排出構造をさらに備えた、モジュール式データセンタ。
【請求項2】
ユニット構造がそれぞれ、冷気を冷気通路内に封じ込めるのに役立つように、ユニット構造の下方に吊り下げられるように構成された複数の折り畳み式パネルを具備した、請求項1に記載のモジュール式データセンタ。
【請求項3】
前記各ユニット構造の折り畳み式パネルが、配送および梱包を容易にするように、屋根板に近接して配設された空間効率の良い構成に折り畳み可能である、請求項2に記載のモジュール式データセンタ。
【請求項4】
暖気通路の形成を補助するように、ユニット構造のうち隣接して位置決めされたものの隣接する天井板間に配設された複数の架橋天井板をさらに備えた、請求項1に記載のモジュール式データセンタ。
【請求項5】
ユニット構造がそれぞれ、ユニット構造から吊り下げられるように、フレーム構造により支持された少なくとも1つのケーブルトレイを備えた、請求項1に記載のモジュール式データセンタ。
【請求項6】
ケーブルトレイが、ハンガにより支持され、ハンガがフレーム構造に結合された、請求項5に記載のモジュール式データセンタ。
【請求項7】
ハンガが、ハンガおよびケーブルトレイが展開位置と収容位置との間で枢動可能となるように、フレーム構造により枢動可能に支持された、請求項6に記載のモジュール式データセンタ。
【請求項8】
ユニット構造のうちの少なくとも1つの冷気通路に冷却気流を供給するように、ユニット構造に隣接して位置決めされるように構成されたモジュール式冷却ユニットをさらに備えた、請求項1に記載のモジュール式データセンタ。
【請求項9】
ユニット構造の冷気通路に導入される複数の冷却気流を生成するように、ユニット構造の冷気通路の共通端に対して概して垂直に配設されるように構成された複数のモジュール式冷却ユニットをさらに備えた、請求項1に記載のモジュール式データセンタ。
【請求項10】
モジュール式電源ユニット、
モジュール式電力キャビネットユニット、
モジュール式無停電電源(UPS)ユニット、および
モジュール式配電ユニット(PDU)、
のうちの少なくとも1つをさらに備えた、請求項1に記載のモジュール式データセンタ。
【請求項11】
モジュール式電源ユニットと、
モジュール式電力キャビネットユニットと、
モジュール式無停電電源(UPS)ユニットと、
モジュール式配電ユニット(PDU)と、
をさらに備え、
モジュール式電源ユニット、モジュール式電力キャビネットユニット、モジュール式無停電電源(UPS)ユニット、およびモジュール式配電ユニット(PDU)がそれぞれ、略共通の長さ、幅、および高さを有する、請求項1に記載のモジュール式データセンタ。
【請求項12】
長さおよび幅が、ユニット構造の長さおよび幅と同じである、請求項11に記載のモジュール式データセンタ。
【請求項13】
ユニット構造が、モジュール式データセンタ用の2つのホールを形成するように構成され、2つのホールを分離するモジュール式オフィス収納部をさらに備えた、請求項1に記載のモジュール式データセンタ。
【請求項14】
モジュール式データセンタを形成する方法であって、
それぞれがフレームを有する複数のユニット構造を用意するステップであり、前記各ユニット構造が、冷気が循環される冷気通路および暖気が循環される暖気通路を形成するのに役立つように作用する、用意するステップと、
フロアの上方にユニット構造を支持して、相互に向かい合う2つの列で、ユニット構造それぞれの下にデータセンタ構成要素を位置決め可能とすることにより、冷気通路の形成に役立つようにするステップと、
両者間での暖気通路の形成に役立つように、ユニット構造のうちの隣接するものから、2列のデータセンタ構成要素それぞれの1列を用いるステップと、
さらに、天井板により少なくとも一部が画定されるとともに屋根板により少なくとも一部が画定され、暖気通路のうちの1つからの暖気が受容されて案内され得る容積を形成するように、ユニット構造それぞれを構成するステップと、
さらに、ユニット構造の下方に配設されたデータセンタ構成要素の隣接列間に冷気通路を形成するのに役立つように屋根板を用いるステップであって、冷気通路が、データセンタ構成要素間で冷気を案内するように構成されている屋根板を用いるステップと、
さらに、暖気通路からの暖気の少なくとも一部の周囲環境への排出を補助するように、ユニット構造のうち隣接して位置決めされた2つの間で暖気通路のうちの所与の1つの上方に支持されるように構成された屋上排出構造を用いるステップであって、屋上排出構造が、ユニット構造に対して概して垂直に延びるとともに、関連するユニット構造対間に形成された暖気通路と連通するように配置されるステップと、
さらに、暖気通路からの暖気の少なくとも一部を周囲環境に排出するように屋上排出構造内で少なくとも1つのファンを用いるステップと、
を含む、方法。
【請求項15】
前記各ユニット構造と関連付けられた冷気通路を形成するのに役立つように、ユニット構造それぞれと動作可能に関連付けられた複数の折り畳み式パネルを使用するステップをさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
冷気通路中に循環される冷気を生成するモジュール式冷却ユニット、
モジュール式電源ユニット、
冷気通路に隣接して配設されたデータセンタ構成要素に電力を供給するモジュール式電力キャビネットユニット、
データセンタ構成要素に電力を供給するモジュール式無停電電源(UPS)ユニット、および
データセンタ構成要素に電力を分配するモジュール式配電ユニット(PDU)、
のうちの少なくとも1つを使用するステップをさらに含む、請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2014年10月1日に出願された米国実用出願第14/504,081号の優先権を主張するとともに、2013年10月3日に出願された米国仮出願第61/886,402号の利益を主張するものである。上記出願の開示は、引用によりその全体が本明細書に組み込まれている。
【0002】
本開示は、データセンタを建設するためのデータセンタシステムおよび方法に関し、より詳細には、配送を目的として高い空間効率で構成可能であるとともに、その後、目的地で簡単に展開してデータセンタを形成可能であり、さらに、容易にモジュール拡張して、目的地でのデータセンタに対する要求の変化に応えるモジュール式既製データセンタ構造に関する。
【背景技術】
【0003】
本項の記述は、本開示に関連した背景情報を提供しているに過ぎず、先行技術には相当し得ない。
【0004】
データセンタに対する要求が世界的に高くなるにつれ、データセンタを設置および建設する費用対効果のより高い方法の探索に関心が集まっている。別の関心事としては、データセンタ構成要素の一貫した品質およびデータセンタの建設に要する時間がある。これらの関心事は、米国以外の国でデータセンタを建設する際に、特に関連性がある。従来、データセンタは、選択されたデータセンタ用地において「スティックビルディング」法で完全に建設されていた。この場合は、すべての原材料をデータセンタ用地に持ち出し、電気工事請負業者、溶接工、建築作業員、および他の熟練した職人等、多数の建設作業員を使って、現場に配送された原材料によりデータセンタ構造を建設する。理解されるように、この建設手法は、かなりのコストが掛かる可能性がある。完成したデータセンタ構造の品質を維持するのは、場合により困難となる可能性があり、通常は、建設プロセスの進行中にさまざまな構成員が膨大な検査を行う必要がある。建築現場において、データセンタの建設に用いられている特定の従属構成要素または原材料が計画された建設タイムテーブルに従って受領されない場合は、建設が遅れる場合もある。独立した建築構成要素(鋼、ケーブルトレイ、壁板等)を現場へ別個に配送する必要があることも、データセンタの建設の全体的な高コストに大きく寄与し得る。季節ごとの気象変化および苛酷な気象による遅延によっても、データセンタ構造の建設予定が長期化および高コスト化する可能性がある。
【0005】
データセンタに関する別の関心事としては、要求の高まりに併せて、データセンタを簡単かつ高い費用対効果で拡張する能力がある。「スティックビルディング」手法を用いて建設される従来のデータセンタ構造の場合、拡張は場合により、コストが掛かるとともに、特に多大な時間が必要となる可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
以上から、データセンタ構造のコストおよびその建設に要する時間の低減には、強い関心が集まっている。データセンタ構造の全体的な建設コストおよび新たなデータセンタを立ち上げて運用するのに要する時間を大幅に低減すると、従来の「スティックビルディング」手法でデータセンタを建設するコストのために事業コストが法外となりかねない世界各地でのデータセンタの設置が実現可能となり得る。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一態様において、本開示は、モジュール式データセンタに関する。このモジュール式データセンタは、互いに概して平行に配置された複数のユニット構造を備えていてもよい。フロアの上方にユニット構造を立設支持する複数の支持部が用いられるようになっていてもよく、ユニット構造のうちの隣接するものが、データセンタ構成要素から生じた暖気が案内され得る暖気通路を両者間に形成する。各ユニット構造は、フレーム構造と、フレーム構造により支持された屋根板と、天井板とを有する細長構造を形成していてもよい。天井板は、屋根板から離隔され、暖気通路のうちの1つからの暖気が受容されて案内され得る容積を画定していてもよい。屋根板は、ユニット構造の下方に配設されたデータセンタ構成要素の隣接列間に冷気通路を形成するのに役立つ。冷気通路は、データセンタ構成要素間で冷気を案内するように構成されていてもよい。
【0008】
別の態様において、本開示は、モジュール式データセンタを形成する方法に関する。この方法は、それぞれがフレームを有する複数のユニット構造を用意するステップであって、各ユニット構造が、冷気が循環され得る冷気通路および暖気が循環され得る暖気通路を形成するのに役立つように作用する、用意するステップを含んでいてもよい。ユニット構造は、フロアの上方に支持され、相互に向かい合う2つの列で、ユニット構造それぞれの下にデータセンタ構成要素を位置決め可能とすることにより、冷気通路の形成に役立つようになっていてもよい。ユニット構造のうちの隣接するものから、2列のデータセンタ構成要素それぞれの1列が用いられて、両者間での暖気通路の形成に役立つようになっていてもよい。この方法は、天井板により少なくとも一部が画定されるとともに屋根板により少なくとも一部が画定され、暖気通路のうちの1つからの暖気が受容されて案内され得る容積を形成するように、ユニット構造それぞれを構成するステップをさらに含んでいてもよい。この方法は、ユニット構造の下方に配設されたデータセンタ構成要素の隣接列間に冷気通路を形成するのに役立つように屋根板を用いるステップであって、冷気通路が、データセンタ構成要素間で冷気を案内するように構成されている屋根板を用いるステップをさらに含んでいてもよい。
【0009】
さらに別の態様において、本開示は、モジュール式データセンタの形成に役立つように構成されたモジュール式ユニット構造に関する。このモジュール式ユニット構造は、細長構造を形成するフレームと、フレームにより支持された少なくとも1つの屋根板と、フロアの上方にフレームを支持する複数の支持部と、屋根板との間に容積を形成するように、屋根板と離隔関係でフレームにより支持された少なくとも1つの天井板とを備えていてもよい。容積は、ユニット構造の下方に位置決めされたデータセンタ構成要素に由来する暖気を案内するチャネルとして作用するようになっていてもよく、データセンタ構成要素は、互いに向かい合う2つの列に位置決めされている。このユニット構造は、冷気が循環される冷気通路を2列のデータセンタ構成要素間に形成するのに役立つように、さらに作用するようになっていてもよく、モジュール拡張可能なデータセンタを形成するように、ユニット構造のうちの別のものが、複数の列において互いに隣接して配設されていてもよい。
【0010】
本明細書に記載の図面は、説明を目的としているに過ぎず、本開示の範囲を何ら制限するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本開示の一実施形態による、互いに隣接して配設され、データセンタの形成に役立つ複数の組み立て式のモジュール式データセンタユニット構造の斜視図である。
【
図2】1つのケーブルトレイと併せて、各ユニット構造が内蔵する複数の折り畳み式ケーブルトレイ支持部をさらに詳しく示した、本開示のデータセンタユニット構造のうちの1つの一部の拡大斜視図である。
【
図2a】回転可能な細長管状支持部材の使用を伴って、ハンガの支持に使用可能な枢動機構の一形態の一部の斜視図である。
【
図2b】
図2aに示される細長管状支持部材の回転運動の可能化に役立つように使用可能な
図2aに示される鞍状ストラップの拡大斜視図である。
【
図3】
図1に示されるデータセンタユニット構造のうちの1つが配送用に折り畳み構成とされた状態の斜視図である。
【
図4】背面を合わせて位置決めされることにより、標準的な配送コンテナに収容するのに適した高コンパクトなパッケージを形成する折り畳み構成の2つのデータセンタユニット構造の斜視図である。
【
図5】細長列を形成するデータセンタユニット構造のうちの2つが示され、データセンタユニット構造の上方に存在して、ユニット構造の直下に位置決めされた機器ラックの列間に形成された暖気通路からの暖気の排出を容易にするモジュール式屋上排出構造をさらに示した、データセンタの一部の高水準側面図である。
【
図6】
図5において丸く囲まれた部分6の拡大図である。
【
図6a】暖気通路からの暖気がいかにモジュール式屋上排出構造を通って排出され得るかを示した、データセンタの一端の一部の斜視図である。
【
図7】データセンタユニット構造とともに使用されて、モジュール式データセンタを形成するのに役立ち得るモジュール式冷却ユニットの斜視図である。
【
図8】複数のデータセンタユニット構造の端部に隣接して配置されたモジュール式冷却ユニットのうちの1つの斜視図である。
【
図9】
図7に示されるモジュール式冷却ユニットの構成要素を示した高水準上面図である。
【
図10】
図9のモジュール式冷却ユニットの高水準前面図である。
【
図12】モジュール式冷却ユニットのフィルタユニットのみの高水準斜視図である。
【
図13】モジュール式冷却ユニットのファンユニットのみの高水準斜視図である。
【
図14】モジュール式冷却ユニットの冷却モジュール媒体ユニットのみの高水準斜視図である。
【
図15】外壁構造を除去し、さらにファンユニットのうちの1つを囲む壁構造を除去した状態のモジュール式冷却ユニットの別の高水準斜視図である。
【
図16】モジュール式冷却ユニットそれぞれに含まれ得る構成要素をさらに示した図である。
【
図17】暖気通路のうちの1つからの排出(すなわち、戻り)暖気がいかにモジュール式冷却ユニットに戻され得るかを示した、複数のデータセンタユニット構造に隣接して配置された1つのモジュール式冷却ユニットの斜視図である。
【
図18】一体としてデータセンタ用の「電力ホール」を形成するとともに、複数のデータセンタユニット構造に隣接して配置された複数のモジュール部を示した、データセンタの一部の高水準俯瞰図である。
【
図19】
図18に示される電力ホールを構成するモジュール式電源ユニットを示した図である。
【
図20】
図18に示される電力ホールの構成に用いるモジュール式電力キャビネットユニットを示した図である。
【
図21】
図18に示される電力ホールの構成に用いるモジュール式UPSユニットを示した図である。
【
図22】
図18に示される電力ホールの構成に用いるモジュール式PDUユニットを示した図である。
【
図23】モジュール式オフィス/収納エリアにより分離された2つのホールおよびモジュール式水処理ユニットを利用するデータセンタの例示的なレイアウトの俯瞰図である。
【
図24】ユニット構造の別の実施形態の斜視図である。
【
図25】中央に配置されたケーブルトレイを示した、
図24のユニット構造の一部の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下の説明は、本質的には例示に過ぎず、本開示、用途、または使用を制限するものではない。図面全体を通して、対応する参照番号は、類似または対応する部分および特徴を指し示すことが了解されるものとする。
【0013】
図1には、迅速に展開可能なデータセンタを形成するための複数の組み立て式のモジュール式データセンタユニット構造12(以下、単に「ユニット構造12」)を内蔵したモジュール式データセンタ設備10の一部が示されている。ユニット構造12はそれぞれ、機器ラック14の平行列を分離する冷気通路15を通して1つまたは複数の空調システムからの冷気を案内するとともに、暖気通路からの暖気の案内にも役立つように使用可能な細長構造を形成している。各ユニット構造12は、データセンタ設備10のフロア18の上方の所定の高さで構造支柱16により支持されるように構成されている。
図1は、隣り合って位置決めされた複数のユニット構造12を示している。ユニット構造12のうちの隣接するものは、所定の距離だけさらに離隔されている。この間隔によって、ユニット構造12のうちの隣接するものの間に暖気通路17を形成している。
【0014】
また、
図1をさらに参照して、モジュール式データセンタ設備10は、暖気通路17からの暖気を受容するとともに、モジュール式データセンタ設備10から暖気を排出する1つまたは複数のモジュール式屋上排出構造20を具備していてもよい。モジュール式屋上排出構造20は、ユニット構造12の天井板26の開口24を通して、暖気通路17からの暖気流を受容する。この特徴については、以下の段落において、より詳しく説明される。また、複数の架橋天井板26aの使用により、ユニット構造12のうちの隣接するものの間の間隔を架橋することによって、暖気通路17から引き出されている暖気が開口24を通して排出されるようにする。
【0015】
図2には、ユニット構造12のうちの1つがより詳しく示されている。天井板26のほか、各ユニット構造12は、複数の天井板26を支持して屋根状構造を形成するフレーム構造28を有する。構造支柱16には、外周フレーム構造30が結合されていてもよい。外周フレーム構造30の使用によって、組み立て式(すなわち、折り畳み式)パネル32を支持することにより、空調システムからの冷気を機器ラック14の隣接列間の冷気通路15に維持するのに役立つようになっていてもよい。また、外周フレーム構造30は、フレーム構造30により支持された複数の枢動可能に固定されたハンガ34および36を具備していてもよい。この例におけるハンガ34は、別個の横材33により支持されるとともに、
図2に示される向きに枢動して使用可能であってもよい。ハンガ34には、複数のケーブルトレイ38が固定されていてもよく、同様に、ハンガ36には、複数のケーブルトレイ40が固定されていてもよい。ケーブルトレイ38および40の使用により、データセンタ設備10を通って機器ラック14の列に搭載された機器構成要素までの取り回しが必要なネットワークケーブル、電力ケーブル等の種々異なる種類のケーブルを支持するようにしてもよい。また、外周フレーム構造30には、屋根板42が固定されていてもよい。屋根板42は、1つまたは複数の空調システムからの冷気を機器ラック14の隣接列間に形成された冷気通路15に案内するのにさらに役立つ隔壁を形成している。
【0016】
図2aには、ハンガ36のうちの1つの一部が簡単に示されている。ハンガ36は、ハンガ34に用いられる構成を代表するものであってもよいし、同一であってもよい。ハンガ36の枢動能力は、一例として、鞍状ブラケット36bにより対向端部で回転運動に対する支持が可能な円形の剛性柱状細長支持部材36aによって実現可能であり、鞍状ブラケット36bは、適当な締め具(図示されず)によって外周フレーム構造30の一部に固定されている。また、鞍状ブラケット36bは、
図2bに示されている。理解されるように、ハンガ36の枢動動作は、その他任意適当なヒンジまたはヒンジ状構造を実装することによっても可能である。
【0017】
また、
図2aは、ケーブルトレイ40を支持可能な複数の従属構造部材36cをハンガ36が具備し得ることを示している。従属構造部材36cは、細長支持部材36aに固定されて、細長支持部材36aとともに回転可能となることで、外周フレーム構造30の下方における動作位置または収容姿勢でトレイ40を送り出し可能であってもよい。1つまたは複数の筋交い36dの使用によって、ハンガ36をその動作位置にて補強するようにしてもよい。筋交い36dはそれぞれ、枢動動作を可能にする適当なブラケット36eによって一端が外周フレーム構造30に固定され、対向端部が従属構造部材36cに固定されていてもよい。これにより、筋交い36dは、構造部材36cから取り外されると、上方に枢動して収容構成となり得る。また、筋交い36dは、ハンガ36の構造部材36cに対して迅速かつ簡単に固定されて、ハンガ36がその動作位置に下降された場合に、ハンガ36を補強可能である。理解されるように、ハンガ36のみならずハンガ34は、適当な構造支持部およびブラケットから構成されて、折り畳み動作の代わりに、外周フレーム構造30からの取り外しが容易に可能であってもよい。ケーブルトレイ38および40の採用数ならびにユニット構造12の全体寸法に応じて、ユニット構造の配送の準備がなされた場合に外周フレーム構造30から完全に取り外し可能な構造によりハンガ34および/または36が支持されることが有用または必要であってもよい。
【0018】
図5、
図6、および
図6aには、一端から見たモジュール式屋上排出構造20のうちの1つが示されている。理解されるように、実際には、複数のモジュール式屋上排出構造20の使用により、複数の対向排出ファン44の補助によって暖気通路17からの暖気17aが引き込まれ得る細長チャネル46を形成する。一実施形態において、各モジュール式屋上排出構造20は、合計6つの排出ファン44が、対向する2列に3つずつ配置されていてもよい。また、
図1をさらに参照して、天井板26の開口24には、屋上排出構造20に引き込まれ得る暖気通路17からの暖気の流れを電子的な変調によって形成可能な変調ルーバアセンブリ48が位置決めされていてもよい。この目的のため、適当な気流および/または温度制御監視システム(図示されず)が設けられていてもよい。
【0019】
図3には、ユニット構造12のうちの1つがその折り畳み構成で示されている。ユニット構造12は、収容位置に枢動したハンガ34および36を有しており、この状態では、パネル32のパネル部32a下方に突き出さないように保持されている。また、パネル32は、天井板26と平行に延びるように枢動している。ユニット構造12は、折り畳み構成において、細長で比較的狭い構成を形成しており、ハンガ34および36ならびにケーブルトレイ38および40がパネル部32aの間に仕舞い込まれている。また、この構成は、配送および梱包の点で、空間効率の高い構成となっている。パネル32および外周フレーム構造30の一部を選択するように物理的な接続が可能な細長構造梁(図示されず)等、パネル32をそれぞれの折り畳み構成に保持するようにパネル32に接続して任意適当な固定構造を使用してもよい。
図4は、背面を合わせて位置決めされた折り畳み構成の一対のユニット構造12を示している。ユニット構造12はそれぞれ、折り畳み構成である場合に、全長が約12192mm(40.0フィート)、幅が3658mm(12.0フィート)、高さが2848mm(5フィート5.22インチ)という寸法を有していてもよい。背面を合わせて位置決めされた
図4の一対のユニット構造12の全体寸法は、長さがおよそ12192mm(40フィート)、幅が3658mm(12フィート)、全高が2848mm(9フィート4.13インチ)であってもよい。この折り畳み構成により、一対のユニット構造12を効率的に梱包して配送可能である。
【0020】
図7は、使用により
図1のモジュール式データセンタ設備10の形成に役立ち得るモジュール式冷却ユニット50を示している。なお、モジュール式冷却ユニット50の寸法は、長さがおよそ13761mm(45フィート)、幅がおよそ7315mm(24フィート)、全高がおよそ3500mm(11フィート5.8インチ)であってもよい。このように、モジュール式冷却ユニット50は、
図4に示される背面を合わせた一対のユニット構造12と全体寸法が酷似しているため、これについても、標準的な配送コンテナでの配送が容易にされる。
【0021】
図8には、主要長さがユニット構造12の主要長さに対して垂直に延びるとともに、ユニット構造12の両端の一方に隣接して位置決めされるように配置された1つのモジュール式冷却ユニット50が見られる。これにより、モジュール式冷却ユニット50は、複数のユニット構造12により形成された冷気通路15に冷気を供給することができる。
【0022】
図9−
図11を参照して、各モジュール式冷却ユニット50は、一実施形態において、フィルタユニット52、媒体ユニット54、ファンユニット56を具備し、900kWのオーダで引き込み可能な蒸発(すなわち、断熱)冷却ユニットを形成していてもよい。
図12−
図14は、これらの構成要素をさらに示している。各ファンユニット56は、複数のファン56aを具備していてもよく、一実施形態においては、
図15に示されるように3つの別個のキャビネット56bに構成された合計12個のこのようなファン56aを具備していてもよい。
図15は、キャビネット56bがそれぞれドア56cを通って単独でアクセス可能であってもよいことをさらに示している。
【0023】
図16は、それぞれ4つの冷却段階を有する3つの独立した蒸発冷却モジュール54a−54cを媒体ユニット54が具備し得ることを示している。任意選択として、DXコイル/ダンパ60が含まれていてもよい。フィルタユニット52は、複数のフィルタ52aと、モジュール式冷却ユニット50への還気流を制御する電子作動還気ダンパ52bと、冷却ユニット50に引き込まれる外気(周囲空気)の流れを制御する電子作動外気ルーバ/ダンパ52cとを具備していてもよい。
図17は、ユニット構造12の天井板26、架橋天井板26a、および屋根板42の間に形成されたエリア64において、暖気通路17の暖気17aがいかに還気ダンパ52bを通してモジュール式冷却ユニット50に「還気」として戻され得るかを示している。冷気62は、外気63を引き込み可能なモジュール式冷却ユニット50によって、冷気通路15それぞれに供給される。
【0024】
図18は、モジュール式データセンタ設備10を形成するようにユニット構造12と接続して使用可能なモジュール式「電力ホール」70の一実施形態を示している。
図19−
図22をさらに参照して、モジュール式電力ホール70は、1つまたは複数のモジュール式電源ユニット72(
図19)、1つまたは複数のモジュール式電力キャビネットユニット74(
図20)、1つまたは複数のモジュール式UPS(無停電電源)ユニット76、および1つまたは複数のモジュール式PDU(配電ユニット)ユニット78のほか、その他任意の種類の電力構成要素またはサブシステムで構成されていてもよい。また、
図18は、電力を分配するように必要に応じてモジュール式ユニット72−78それぞれの種々構成要素を接続して使用可能な複数の電気バスバー80を示している。
【0025】
モジュール式電源ユニット72はそれぞれ、主バス、たとえば480Vで100kAを供給する5000A主バスを具備していてもよい。また、適当な電力制御システムおよび電力品質メータと併せて、複数の主幹ブレーカおよび配電ブレーカが含まれていてもよい。
【0026】
モジュール式電力キャビネットユニット74はそれぞれ、480Vで65kAを供給する1600A主バスを具備していてもよい。特定の用途については、必要に応じて、電力ブレーカおよび分散ブレーカが構成されていてもよい。
【0027】
モジュール式UPSユニット76はそれぞれ、750kWのバックアップ電力を供給する並列400kVA/400kWモジュールを具備していてもよい。ただし、理解されるように、UPSユニット76は、必要に応じて、特定の用途に適合するように構成されていてもよい。
【0028】
モジュール式PDUユニット78はそれぞれ、300kVA(480/208/120V)または異なる選択電気出力を供給するように構成されていてもよい。また、負荷分散ブレーカがキャビネット(図示されず)に搭載され、キャビネットが、モジュール式PDUユニット78に含まれる各PDUのフレームの側面に搭載されていてもよい。
【0029】
モジュール式ユニット72−78はそれぞれ、類似または同一の寸法を有していてもよい。一実施形態において、モジュール式ユニット72−78の寸法は、長さ12192mm(40フィート)、幅3658mm(12フィート)、および高さ3500mm(11フィート5.8インチ)と同じである。これらの寸法は、必要に応じてわずかに異なっていてもよいことが明らかである。この例において、モジュール式ユニット72−78の長さおよび幅の寸法は、ユニット構造12と同じであってもよい。これらの寸法により、モジュール式ユニット72−78は、従来の配送コンテナで配送可能である。
【0030】
図21を簡単に参照して、モジュール式ユニット72−78はそれぞれ、フロア73aおよび1つまたは複数の壁部73b等、1つまたは複数の構成要素が固定されたフレーム構造73を具備していてもよい。また、モジュール式ユニット72−78は、目的地で受領された場合に、迅速に展開可能である。ユニット72−78のモジュール式構成により、データセンタの要求の高まりに合わせて、電力ホール70の電力供給能力を容易に拡張可能である。
【0031】
図23は、モジュール式データセンタ設備10の実装の一例を示した俯瞰図である。ユニット構造12は、モジュール式オフィス/収納部エリア80により分離された「ホールA」および「ホールB」という2つのホールにグループ分けされている。モジュール式水処理部82には、水処理機器を具備していてもよい。モジュール式冷却ユニット50の列84は、ユニット構造12の列に隣接して配置されていてもよい。モジュール式屋上排出構造20の列(
図23には図示されず)は、ユニット構造12に対して垂直に、ホールウェイエリア86上に延びて、ユニット構造12に隣接した暖気通路17とつながっていてもよい。モジュール式ルーム86は、他のデータセンタまたはオフィス機器の場合に含まれていてもよい。
【0032】
図24には、本開示の別の実施形態によるユニット構造100が示されている。この例のユニット構造100についても、使用により、ユニット構造100の対向端部に1つまたは複数のドアを備えた暖気通路の形成に役立ち得る別の構造支柱102を有する。
【0033】
また、
図25には、ユニット構造100がその全長の大部分に延びた中央細長トレイ104を具備する様子が見られる。中央細長トレイ104は、中央細長トレイ104からのケーブルの供給可能とする一対の湾曲トレイ部106を具備していてもよい。中央細長トレイ104および湾曲トレイ部106はそれぞれ、ケーブルをトレイ104および106に保持するのに役立つ複数のポスト108を具備していてもよい。
【0034】
理解されるように、本開示の種々実施形態においては、内蔵の照明器具のほか、水または異なる火炎抑制剤を供給する1本または複数本の内蔵管路を組み込んでいてもよい。また、ケーブルトレイ38、40、および104の使用により、ユーザの要求または選好に応じて、特定種類のケーブル類(すなわち、光学、電力、ネットワーク等)を分岐して取り回すようにしてもよい。
【0035】
モジュール式データセンタ設備10の種々実施形態により、データセンタの形成に用いられるさまざまなモジュール構成要素の目的地への配送および所望構成での建設が容易に可能となる。データセンタ設備10のモジュール構成要素は、迅速に展開可能であるため、従来の「スティックビルディング」データセンタ構造よりもはるかに素早く、完全に機能するデータセンタが建設可能である。
【0036】
以上、種々実施形態の説明がなされたが、当業者であれば、本開示から逸脱せずに実現可能な改良または変形が認識されよう。本明細書の図面に示される如何なる寸法も、適当な寸法の一例に過ぎず、このため、特定用途の要求を満足するように、必要に応じて変更されるようになっていてもよい。上記の例は、種々実施形態を示しており、本開示を制限するものではない。したがって、本明細書および特許請求の範囲は、自由に解釈され、関連する先行技術に鑑みて必要な場合にのみ制限を受けるものとする。