特許第6243526号(P6243526)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ピコサン オーワイの特許一覧

特許6243526原子層堆積反応器における基板ウェブトラックの形成
<>
  • 特許6243526-原子層堆積反応器における基板ウェブトラックの形成 図000002
  • 特許6243526-原子層堆積反応器における基板ウェブトラックの形成 図000003
  • 特許6243526-原子層堆積反応器における基板ウェブトラックの形成 図000004
  • 特許6243526-原子層堆積反応器における基板ウェブトラックの形成 図000005
  • 特許6243526-原子層堆積反応器における基板ウェブトラックの形成 図000006
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6243526
(24)【登録日】2017年11月17日
(45)【発行日】2017年12月6日
(54)【発明の名称】原子層堆積反応器における基板ウェブトラックの形成
(51)【国際特許分類】
   C23C 16/54 20060101AFI20171127BHJP
   H01L 21/683 20060101ALI20171127BHJP
   H01L 21/205 20060101ALI20171127BHJP
   H01L 21/31 20060101ALI20171127BHJP
【FI】
   C23C16/54
   H01L21/68 N
   H01L21/205
   H01L21/31 B
【請求項の数】11
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-522673(P2016-522673)
(86)(22)【出願日】2013年6月27日
(65)【公表番号】特表2016-529390(P2016-529390A)
(43)【公表日】2016年9月23日
(86)【国際出願番号】FI2013050713
(87)【国際公開番号】WO2014207289
(87)【国際公開日】20141231
【審査請求日】2016年5月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】510275024
【氏名又は名称】ピコサン オーワイ
【氏名又は名称原語表記】PICOSUN OY
(74)【代理人】
【識別番号】100127188
【弁理士】
【氏名又は名称】川守田 光紀
(72)【発明者】
【氏名】マリネン ティモ
(72)【発明者】
【氏名】キルピ ヴァイノ
【審査官】 有田 恭子
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2007/0224348(US,A1)
【文献】 特表2009−540128(JP,A)
【文献】 特開2013−067832(JP,A)
【文献】 特開2013−082959(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/126133(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C23C 16/00−16/56
H01L 21/205,21/31,21/683
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のサポートロールセットを第2のサポートロールセットに対して移動させることによって、原子層堆積反応器の反応容器の中に繰返しパターンを持つ基板ウェブトラックを形成することと;
前記トラックが形成されたとき、前記第1及び第2のサポートロールセットによって前記基板ウェブを支えることと;
含み、ここで前記移動させることは、前記第1のサポートロールセットを、前記第2のサポートロールセットの一方側から前記第2のサポートロールセットの反対側に移動させることを含む、方法。
【請求項2】
前記第1のサポートロールセットで前記基板ウェブを前記第2のサポートロールセットの反対側に押すことによって、プリーツ形状のトラックを形成することを含む、請求項に記載の方法。
【請求項3】
前記反応容器内に、反応容器蓋部、反応容器側壁、及び前記形成された基板ウェブトラックによって画定される3次元原子層堆積フローボリュームを形成することを含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
堆積中に前記第1のサポートロールセットを貫く経路を通じて前記反応空間から気体を除去することを含む、請求項1からの何れかに記載の方法。
【請求項5】
前記堆積反応器の室蓋に基板ウェブソースロールが一体化される、請求項1からの何れかに記載の方法。
【請求項6】
前記基板ウェブは、反応室蓋を貫通して反応室又は反応空間に送給される、請求項1からの何れかに記載の方法。
【請求項7】
原子層堆積反応器であって:
反応空間を提供するように構成される反応容器と;
第1のサポートロールセットと;
第2のサポートロールセットと;
前記第1のサポートロールセットを、前記第2のサポートロールセットの一方側から前記第2のサポートロールセットの反対側に移動させるように構成される機構と;
を備え、
前記第1及び第2のサポートロールセットは、前記第1のサポートロールセットを前記第2のサポートロールセットに対して移動させることによって、前記反応容器の中に繰返しパターンを持つ基板ウェブトラックを形成し、かつ、前記トラックが形成されたとき、前記基板ウェブを支えるように構成される、
原子層堆積反応器。
【請求項8】
前記第1及び第2のサポートロールセットは、前記第1のサポートロールセットで前記基板ウェブを前記第2のサポートロールセットの反対側に押すことによって、プリーツ形状のトラックを形成するように構成される、請求項に記載の堆積反応器。
【請求項9】
堆積中に前記第1のサポートロールセットを貫く経路を通じて前記反応空間から気体を除去するように構成される、請求項7または8に記載の堆積反応器。
【請求項10】
前記堆積反応器の室蓋に基板ウェブソースロールが一体化される、請求項からの何れかに記載の堆積反応器。
【請求項11】
前記堆積反応器の室蓋はフィードスルーを備え、該フィードスルーは、該室蓋を貫通して前記反応室又は前記反応空間に前記基板ウェブ送給するように構成される、請求項から10の何れかに記載の堆積反応器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、全般的には堆積反応器に関し、より具体的には、堆積反応器の反応容器内に繰返しパターンを有する基板ウェブトラックを提供することに関する。
【発明の背景】
【0002】
原子層エピタキシー(ALE)法は、1970年代初頭にツオモ・サントラ博士によって発明された。この方法は、原子層堆積法(ALD)という別名で総称され、今日ではALEに代わり、こちらが使われている。ALDは、少なくとも2種類の反応性前駆体種を少なくとも1つの基板に連続的に導入することに基づく、特殊な化学的堆積法である。
【0003】
ALDによって成長した薄膜は緻密でピンホールがなく、かつ均一の厚さを有する。例えば、TMAとしても知られるトリメチルアルミニウム(CH3)3Alと水から熱ALDにより酸化アルミニウムを成長させた実験において、基板ウェーハ上の不均一性はわずか1%程度であった。
【0004】
ALD技術が有望視されている分野の一つは、移動基板ウェブにコーティングを行うことである。
【摘要】
【0005】
本発明の第1の例示的態様によれば、次の方法、即ち、
第1のサポートロールセットを第2のサポートロールセットに対して移動させることによって、原子層堆積反応器の反応容器の中に繰返しパターンを持つ基板ウェブトラックを形成することと;
前記トラックが形成されたとき、前記第1及び第2のサポートロールセットによって前記基板ウェブを支えることと;
を含む、方法。
【0006】
例示的実施形態によっては、前記反応容器は反応室である。例示的実施形態によっては、前記反応室は、真空室で囲われている(真空室は反応室を収納する)。例示的実施形態によっては、前記反応容器はインライン原子層堆積モジュール内の反応室である。
【0007】
例示的実施形態によっては、前記方法は、前記第1のサポートロールセットを、前記第2のサポートロールセットの一方側から前記第2のサポートロールセットの反対側に移動することを含む。ここでロールという用語は、通常のロール及びホイールの両方のみならず、基板ウェブの向きを変えて支えるような他の同等な機械的手段も意味するものとする。
【0008】
例示的実施形態によっては、前記方法は、前記反応容器内に、反応容器蓋部、反応容器側壁、及び前記形成された基板ウェブトラックによって画定される3次元原子層堆積フローボリュームを形成することを含む。こうして、処理後に洗浄が必要な表面領域を減らすことができ、例示的実施形態によっては、基本的に反応容器側壁と蓋のみで済む。
【0009】
堆積反応器はALD反応器でもよい。例示的実施形態によっては、前記堆積反応器は、反応空間を提供する反応室を備える。前記反応室は蓋で閉じることができる。例示的実施形態によっては、前記第1のサポートロールセットは反応室蓋に取り付けられる。前記第1のサポートロールセットは、 例えば少なくとも1つのサポートステムによって前記室蓋に取り付けることもできる。前記少なくとも1つのサポートステムは固定でも変形可能でもよい。前記第1のロールセットの移動は、例えば、少なくとも1つのステムを変形すること(少なくとも1つのステムはネスト構造又はそれに類する構造を有することができる)や、室蓋に設けられたフードスルーを貫通して少なくとも1つのステムを動かすことによって行うことができる。あるいは、前記室蓋自体を動かすことによって行うことができる。
【0010】
例示的実施形態によっては、前駆体蒸気が反応室(又は反応容器)の蓋を貫通して反応室に送給される。
【0011】
例示的実施形態によっては、前記反応室は真空室で囲われる。例示的実施形態によっては、反応室に対する過圧を得るために、不活性ガスが真空室に送給される。例示的実施形態によっては、前記反応器は、真空室内に不活性ガスインフィードラインを備える。
【0012】
例示的実施形態によっては、前記第1のサポートロールセットは、反応室のルーフや壁の対応部分に取り付けられる。あるいは、反応空間を形成する反応ユニット又はモジュールのルーフや壁に取り付けられてもよい。実装によっては、前記反応ユニット又はモジュールは、反応室内に配置することもできる。前記第1のロールセットの移動は、 例えば第1のサポートロールセットが取り付けられたルーフや壁の対応部分を動かすことによって行うことができる。前記移動は、反応室外部又は反応空間外部の作用により駆動することもできる。
【0013】
例示的実施形態によっては、前記基板ウェブは、第1のサポートロールセットで支えられながら、反応室の上から反応室にロードされる。
【0014】
例示的実施形態によっては、前記方法は、前記第1のサポートロールセットで前記基板ウェブを前記第2のサポートロールセットの反対側に押すことによって、プリーツ形状のトラックを形成することを含む。前記第1のサポートロールセットの動きは並進運動でもよい。
【0015】
例示的実施形態によっては、前記方法は、堆積中に第1のサポートロールセットを貫く経路を通じて反応空間から気体を除去することを含む。
【0016】
前記第1のロールセットのロールは、ロールの端部と側面が一部開放されていてもよい。前記ロールは、ロールの外径よりも小さいロール軸を有してもよい。また前記ロールは、空間的に互いに離れたホイールによって実装されてもよい。またそれらは、ロール軸で形成される共通回転軸を有してもよい。
【0017】
例示的実施形態によっては、前記堆積反応器の室蓋に基板ウェブソースロールが一体化される。前記室蓋は可動蓋である。前記基板ウェブソースロールは、蓋の片側で反応空間が設けられる側とは反対側と一体化されてもよい。
【0018】
例示的実施形態によっては、前記基板ウェブは、反応室蓋を貫通して反応室又は反応空間に送給される。
【0019】
前述の室蓋は、反応室を閉じる蓋でもよい。前記蓋は、真空室蓋と一体化された反応室蓋を備える二重蓋システムでもよい。
【0020】
本発明の第2の例示的態様によれば、原子層堆積反応器であって、
反応空間を提供するように構成される反応容器と;
第1のサポートロールセットと;
第2のサポートロールセットと;
を備え、前記第1及び第2のサポートロールセットは、前記第1のサポートロールセットを前記第2のサポートロールセットに対して移動させることによって、前記反応容器の中に繰返しパターンを持つ基板ウェブトラックを形成し、かつ、前記トラックが形成されたとき、前記基板ウェブを支えるように構成される、原子層堆積反応器が提供される。
【0021】
前記反応空間は、前記堆積反応器の堆積反応が生じる空間である。前記反応室の容積は、実際には反応空間の体積に等しくてもよい。あるいは、前記反応室は、反応室内により小さい空間を画定することによって、又は反応室内により小さいユニット又はモジュール(反応容器)を収容することによって、反応室内に反応空間を提供するように構成されてもよい。
【0022】
例示的実施形態によっては、前記堆積反応器は、前記第1のサポートロールセットを、前記第2のサポートロールセットの一方側から前記第2のサポートロールセットの反対側に移動するように構成される機構を備える。
【0023】
例示的実施形態によっては、前記第1及び第2のサポートロールセットは、前記第1のサポートロールセットで前記基板ウェブを前記第2のサポートロールセットの反対側に押すことによって、プリーツ形状のトラックを形成するように構成される。
【0024】
例示的実施形態によっては、前記堆積反応器は、堆積中に前記第1のサポートロールセットを貫く経路を通じて前記反応空間から気体を除去するように構成される。
【0025】
例示的実施形態によっては、前記堆積反応器は、前記反応容器内に、反応容器蓋部、反応容器側壁、及び前記形成された基板ウェブトラックによって画定される3次元原子層堆積フローボリュームを形成するように構成される。
【0026】
例示的実施形態によっては、前記堆積反応器の室蓋に基板ウェブソースロールが一体化される。
【0027】
例示的実施形態によっては、前記堆積反応器の室蓋はフィードスルーを備え、該フィードスルーは、該室蓋を貫通して前記反応室又は前記反応空間に前記基板ウェブ送給するように構成される。
【0028】
例示的実施形態によっては、前記反応室(又は反応容器)の蓋は、該反応室(又は反応容器)の蓋を貫通して前駆体蒸気を反応室(又は反応容器)に送給するように構成されるチャネルを備える。
【0029】
本発明の様々な態様及び実施形態を示したが、これらは発明の範囲を限定するために提示されたものではない。前述の実施形態は、本発明の実施にあたり使用され得る特定の態様やステップを説明するために用いられたにすぎない。いくつかの実施形態は、本発明の特定の例示的態様を使ってのみ説明されるかもしれない。いくつかの実施形態は他の実施形態にも適用可能であることが理解されるべきである。該実施形態は適宜組み合わせ可能である。
【図面の簡単な説明】
【0030】
本発明を、単なる例示として、かつ添付図面を参照して以下に説明する。
図1】ある例示的実施形態に従う堆積反応器と、その堆積反応器での基板ウェブトラックの自動形成の概略図を示す。
図2】ある例示的実施形態に従う堆積反応器と、その堆積反応器での基板ウェブトラックの自動形成の概略図を示す。
図3】ある例示的実施形態に従うサポートロールの構造を示す。
図4】ある例示的実施形態に従う、反応空間を形成するモジュールと、そのモジュールでの基板ウェブトラックの自動形成の概略図を示す。
図5】ある例示的実施形態に従う、反応空間を形成するモジュールと、そのモジュールでの基板ウェブトラックの自動形成の概略図を示す。
【詳細説明】
【0031】
以下の記述において、原子層堆積(ALD)技術は一例として用いられる。ALD成長メカニズムの基本は当業者の知るところである。本特許出願の導入部にて説明されたように、ALDは、少なくとも2種類の反応性前駆体種を少なくとも1つの基板に連続的に導入することに基づく、特殊な化学的堆積法である。連続自己飽和表面反応で材料を基板表面に堆積させるために、少なくとも1つの基板は、反応室内で時間的に分離した複数の前駆体パルスに曝される。本出願の記述において、ALDという用語は、全ての適用可能なALDベース技術や、例えばMLD(分子層堆積)やPEALD(プラズマ励起原子層堆積)のような等価又は密接に関連したあらゆる技術を含むものとする。
【0032】
基本的なALD堆積サイクルは4つの逐次的工程、すなわち、パルスA、パージA、パルスB、及びパージB、から構成される。パルスAは第1の前駆体蒸気から構成され、パルスBは別の前駆体蒸気から構成される。パージAおよびパージBでは、反応空間から気体の反応副産物や残留反応物分子をパージ(除去)するために、不活性ガスと真空ポンプが用いられる。堆積シーケンスは少なくとも1回の堆積サイクルにより構成される。所望の厚さの薄膜またはコーティングが生成されるまで堆積サイクルが繰り返されるように、堆積シーケンスが組まれる。堆積サイクルは、さらに複雑にすることもできる。例えば、堆積サイクルは、パージステップによって区切られた3回以上の反応物蒸気パルスを含むことができる。これらの堆積サイクルは全て、論理演算装置またはマイクロプロセッサによって制御される、時間的な堆積シーケンスを形成するものである。
【0033】
以下で記述するような特定の例示的実施形態では、堆積反応器の反応空間内に繰返しパターンを有する基板ウェブトラックを形成する方法及び装置が提供される。図1は、こうした堆積反応器(堆積反応器10)を示している。堆積反応器10は、真空室45を形成する真空室壁41を備える。真空室45とその真空室45で囲われた領域で、堆積反応器10は反応室(又は反応容器)44を備える。反応室44は反応室壁42によって画定されている。真空室45と反応室44は室蓋で閉じられる。図1では、室蓋は上部(即ち、基板ウェブをロードする初期位置)にある。図1に示す実施例では、室蓋は、反応室蓋22と一体化された真空室蓋21を備える二重蓋システムである。
【0034】
また図1に示す実施例では、基板ウェブ15は反応室44の上側から反応室44にロードされる。基板ウェブソースロール11は室蓋と一体化されている。二重蓋システムの場合、ソースロール11は反応室蓋22、あるいは図1のように真空室蓋21と一体化される。そして基板ウェブソースロール11は、室蓋(又はそれぞれの蓋)の反応室44とは反対側にあってもよい。また基板ウェブソースロール11は、室蓋(又はそれぞれの蓋)と一体化されたハウジング13内にあってもよい。
【0035】
室蓋には、基板ウェブ15が蓋の片側から反対側へ貫通するフィードスルーが具備される。室蓋が二重蓋システムの場合、実装によっては蓋21と蓋22の両方を貫通するフィードスルーがあってもよい。室蓋の反応室側には、基板ウェブの経路が実質的に垂直方向で下方に延びている。垂直方向に延びる経路は、第1のサポートロールセットの第1のエッジロール17で曲げられる。この経路は、第1のサポートロールセットの中央ロール27を通過して実質的に水平方向に続く(実施形態によっては、中央/中間ロールは無くてもよく、あるいは複数あってもよい)。水平方向に延びる経路は次に、第1のサポートロールセットの第2のエッジロール37で上方に曲げられ、室蓋に到達するまで実質的に垂直方向で上方に延びている。
【0036】
基板ウェブ巻取ロール12は室蓋と一体化されている。二重蓋システムの場合、巻取ロール12は反応室蓋22、あるいは図1のように真空室蓋21と一体化される。そして基板ウェブ巻取ロール12は、室蓋(又はそれぞれの蓋)の反応室44とは反対側にあってもよい。また基板ウェブ巻取ロール12は、室蓋(又はそれぞれの蓋)と一体化されたハウジング14内にあってもよい。堆積中は、不活性ガスがハウジング13だけでなくハウジング14にも送給されてもよい。
【0037】
室蓋はフィードスルーを備え、このフィードスルーを通じて基板ウェブ15が蓋の片側から反対側へ送られ、最後に巻取ロール12で巻き取られる。室蓋が二重蓋システムの場合、実装によっては蓋21と蓋22の両方を貫通するフィードスルーがあってもよい。
【0038】
第1のサポートロールセットは、各サポートステム16・26・36によって室蓋と一体化されている。実装によっては、1つ又は複数のサポートステムがあってもよい。
【0039】
二重蓋システムの場合、少なくとも1つのサポートステムが反応室蓋22に取り付けられてもよい。あるいは、少なくとも1つのサポートステムは真空室蓋21に取り付けられてもよく、両室蓋に取り付けられてもよい。さらにまた、少なくとも1つのサポートステムは、フィードスルーで真空室蓋22を単に貫通するだけで、真空室蓋21に取り付けられてもよい。さらにまた、少なくとも1つのサポートステムは、1つ(又は複数)のフィードスルーで全ての室蓋又は室蓋システムを貫通し、反応室の外側又は真空室の外側の支持点に取り付けられる。こうした実施形態の全てにおいて、少なくとも1つのサポートステム又は同等のものは、室蓋(又は反応室蓋)と一体化されていると見做される。
【0040】
堆積反応器10は、真空室44に第2のサポートロールセットを備える。第2のセットのロールは、例えば反応室壁42に設置され、回転可能であってもよい。第2のサポートロールセットのロールは、少なくとも1つのロールで構成することができる。第2のサポートロールセットは、少なくとも2つのロールを備えることが好ましい。2つを超えるロールがある場合、第2のセットはエッジロールと中間ロールの両方を備える。図1では、第2のサポートロールセットに第1のエッジロール18と第2のエッジロール28がある。前述のように実装によっては、1つ又は複数の中間ロールがあってもよい。第2のサポートロールセットは横一列に配置されてもよい。すなわち、第2のセットのロールは、第2のセットに属する他のロールと同じ高さで配置されてもよい。
【0041】
堆積反応器10は、反応器の上側からロードできる反応器である。堆積反応器は、反応室44の上側に室蓋、反応室44の下側に排気ライン43を備える。堆積反応器10は更に、ALD技術に従って反応室44に前駆体蒸気とパージガスを送給するために必要な前駆体蒸気インフィードラインとパージガスインフィードラインを備える。前駆体蒸気は、反応室蓋22を貫通して反応室に送給されてもよい。
【0042】
第1のサポートロールセットを第2のサポートロールセットに対して移動させることによって、図2に示すような繰返しパターンを持つ基板ウェブトラックが形成される。これは、実際には室蓋を上方(初期)位置から下方位置に下げること等によって実現することができる。第1のサポートロールセット17−37が第2のサポートロールセット18−28の第1の側(ここでは、上側)から移動することで、所期のトラック形成を行うことができる。図2に示す端部位置では、基板ウェブは第1及び第2のサポートロールセットの両方で支えられ、プリーツ形状のトラックが形成されている。初期状態で上側ロールであったロール(即ち、第1のサポートロールセット)は、トラック形成によって図2に示す下側ロールとなる。
【0043】
第1のサポートロールセットは、 図1・2に示す少なくとも1つのサポートステムのような機構で可動となる。少なくとも1つのサポートステムは固定であってもよく、反応室蓋に対して変形可能でもよい。第1のロールセットの移動は、 例えば(図1・2に示す)反応室蓋自体の動きによって行うことができる。あるいは、又は加えて、第1のロールセットの移動は、例えば、少なくとも1つのステムを変形すること(少なくとも1つのステムはネスト構造又はそれに類する構造を有することができる)や、室蓋(又は反応室蓋)に設けられたフードスルーを通じて少なくとも1つのステムを動かすことの何れか又は両方によって行うことができる。
【0044】
図1に示す実施形態でのインフィードライン46・47は真空室壁41の中を貫通していて、反応室44の上部で反応室に面している。図1の例示的実施形態では、前駆体蒸気とパージガスが上から反応室44に流入する。これらは反応室蓋22を貫通して流れる。トラックのプリーツ形状は、反応室(側)壁42及び反応室蓋22と合わせて一部が閉じた空間である反応空間を形成する。基板ウェブの反応空間に面する側は、ALD技術による連続自己飽和表面反応によって塗布される。図2において反応空間内に描かれた矢印は、反応空間内での流れの向きを示す。前駆体蒸気とパージガスは、プリーツ形状のポケットに中にある基板ウェブの表面に沿って上から下への向きに流れる。
【0045】
例示的実施形態によっては、前記方法は、堆積中に第1のサポートロールセットを貫く経路を通じて反応空間から気体を除去することを含む。第1のロールセットのロール17−37は、ロールの端部と側面が一部開放されていてもよい。気体は、ロール17−37の開放端を通って反応空間から排出され、図2の矢印で示す排気ライン43へ送られる。
【0046】
図3は、ある例示的実施形態に従う、第1のサポートロールセットに属するロール(例えば、ロール17)の構造を示している。ロール17はホイール51・52・53を備え、ホイールはスポーク56又はそれに類するもののセットによって共通ロール軸54に結合されている。ロール軸54はホイール51−53の直径よりも小さい。ロール17はその側面と両端が開放されている。ロールはその周りに有孔マント55を具備してもよい。こうしてロール17は、気体がロールに流れてその端部から出られるような構造を持つ。
【0047】
図4及び5は、インライン製法用に、即ち製造ラインの一部を形成するように設計されたALDモジュール70の概略図を示している。モジュール70は、入力スロットと、反対側に基板ウェブ65用の出力スロットとを備える。反応室(容器)は、ボディ部72と蓋部(又はルーフ)71によってモジュール70内に形成される。蓋部71は、それに取り付けられたサポートステム61・62によって垂直方向に可動である。サポートステム61・62は、それぞれフィードスルー63・64を通ってモジュール70のルーフまで延びている。外部の作用(図示せず)により、垂直運動を駆動することができる。
【0048】
モジュール70は、前述の実施形態で説明したものと同様に、第1の基板ウェブサポートロールセット66と第2の基板ウェブサポートロールセット67とを備える。サポートロールの構造と動作に関しては、前述の実施形態を概括的に参照されたい。第1のロールセット66は可動であるが、第2のロールセット67は固定である。第1のロールセット66を動かす運動機構68は、(図4に示すように)反応室壁に取り付けられる。外部の作用で反応室蓋部71を垂直に動かすと第1のロールセット66も共に動かせるように、運動機構68は反応室蓋部71結合されていてもよい。
【0049】
第1のサポートロールセット66を第2のサポートロールセット67に対して移動させることによって、図5に示すような繰返しパターンを持つ基板ウェブトラックが形成される。これもまた、室蓋部71を上方(初期)位置から下方位置に下げることによって実現することができる。第1のサポートロールセット66が第2のサポートロールセット67の上側から移動することで、所期のトラック形成を行うことができる。図5に示す端部位置では、基板ウェブは第1及び第2のサポートロールセットの両方で支えられ、プリーツ形状のトラックが形成されている。
【0050】
反応室はまた、前述の実施形態と同様に気体が第1のロールセット66を通過して排出されるように、垂直運動で第1のサポートロールセット66が移動する所に開口部69を備える。
【0051】
前駆体蒸気は、反応容器蓋部71(の1つ又は複数のチャネル)を通って上から反応容器に送給されてもよい。例示的実施形態によっては、前駆体蒸気は、少なくとも1つのサポートステム61及び/又は62の内部に形成されるチャネルを通って送給される。モジュールは、反応容器内に、反応容器蓋部71と反応容器側壁、形成された基板ウェブトラックによって画定される3次元原子層堆積フローボリュームを形成する。
【0052】
本件において開示される1つ又は複数の実施例の技術的効果のあるものを以下に示す。ただし、これらの効果は特許請求の範囲および解釈を制限するものではない。その技術的効果は、第1のサポートロールセットを第2のサポートロールセットに対して移動させることによる自動トラック形成である。別の技術的効果は、第1の(即ち下側の)サポートロールセットを貫く経路を通じて反応空間から気体を除去することにより、上から下への流れを実現することである。
【0053】
前述した機能又は方法ステップの一部が異なる順番で実行されてもよいし、同時に実行されてもよいことに留意されたい。さらに、前述の機能又は方法ステップの1つ又は複数が任意選択できたり、統合されたりしてもよい。
【0054】
以上の説明により、本発明の特定の実装および実施形態の非限定例を用いて、発明者によって現在考案されている、本発明を実施するための最良の形態の完全かつ有益な説明を提供した。しかしながら、当業者には明らかであるように、上述の実施形態の詳細は本発明を限定するものではなく、本発明の特徴から逸脱することなく同等の手段を用いて、他の実施形態に実装することができる。
【0055】
さらに、以上に開示した本発明の実施形態の特徴は、対応する他の特徴を用いることなく用いられてもよい。然るに、以上の説明は、本発明の原理を説明するための例に過ぎず、それを限定するものではないと捉えるべきである。よって、本発明の範囲は添付の特許請求のみによって制限されるものである。
図1
図2
図3
図4
図5