(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記試料体積部(102)の前記透磁率を決定するように、前記測定信号(110)を参照信号と比較するステップを備え、前記参照信号は、前記測定コイル(104)の前記インダクタンスに依存する更なる電気的測定信号(110)を表し、その一方で、前記測定コイル(104)は、参照体積部に作用する磁場(108)を発生させる
請求項1に記載の方法。
更なる測定コイル(404)を用いて、更なる試料体積部(502)に作用する更なる磁場(408)を発生させるように、更なる電気的励起信号(406)を前記更なる測定コイル(404)に印加するステップと、前記更なる測定コイル(404)のインダクタンスに依存する更なる電気的測定信号(410)を検知するステップ(703)とを備え、前記更なる測定信号(410)は、前記更なる試料体積部(502)の透磁率の分析を可能にするが、これは、前記更なる測定コイル(404)の前記インダクタンスが、前記更なる試料体積部(502)の前記透磁率に依存するためである
請求項1または2に記載の方法。
前記試料体積部(102)及び前記更なる試料体積部(502)における前記磁性粒子の分布を決定するステップを備え、この決定は、前記測定信号(110)、前記更なる測定信号(410)、及び、前記試料体積部(102)の位置に関する情報、前記更なる試料体積部(502)の位置に関する情報、並びに、前記励起信号(106)の特性に関する情報、及び前記更なる励起信号(406)の特性に関する情報、を用いることによる
請求項3に記載の方法。
前記試料体積部(102)を不均質な補助磁場(530)に曝露するステップを備え、且つ、前記分析するステップ(705)において、前記試料体積(102)中の前記磁性粒子の分布は、前記測定信号(110)及び、前記試料体積部(102)内の前記補助磁場(530)の空間的経路に関する情報を用いて決定される
請求項1ないし4のいずれかに記載の方法。
前記印加するステップ(701)、前記検知するステップ(703)、及び前記曝露するステップは、繰り返し実行され、前記補助磁場の前記空間的経路は、前記試料体積部(102)を前記複数の曝露するステップにおいて変化され、且つ前記分析するステップ(705)において、前記磁性粒子の前記分布は、前記複数の検知するステップ(703)で検知された前記測定信号(110)と、前記複数の曝露するステップの間の、前記補助磁場(530)の空間的経路の変化に関する情報と、を用いて決定される
請求項5に記載の方法。
前記測定コイル(104)を貫いて導かれるコイルコア(320)を備え、前記コイルコア(320)の1つの端部は、前記試料体積部(102)を曝露するための先端部として形成される
請求項7に記載の装置(100)。
前記測定コイル(104)の第1接点は、第1素子(651)を介して前記電気的励起信号(106)を印加するために、第1端子(641)に接続され、前記測定コイル(104)の第2端子は、第2素子(652)を介して電気的平衡信号(606)を印加するために、第2端子(642)に接続され、且つ前記測定コイル(104)の前記第2接点は、前記測定インターフェース(643)に接続される
請求項7ないし10のいずれかに記載の装置(100)。
更なる電気的励起信号(406)を更なる測定コイル(404)に印加することに応答して、更なる試料体積部(502)に作用する更なる磁場(408)を発生させるように形成された前記更なる測定コイル(404)を備え、前記更なる測定コイル(404)の前記インダクタンスに依存する更なる電気的測定信号(410)を検知するための更なる測定インターフェースを備え、前記更なる測定信号(410)は、前記更なる試料体積部(502)の前記透磁率の分析を可能にするが、これは、前記更なる測定コイル(404)の前記インダクタンスが、前記更なる試料体積部(502)の前記透磁率に依存するためである
請求項7ないし12のいずれかに記載の装置(100)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、磁性粒子を備えた試料体積部を分析するための、改良された方法及び改良された装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的は、主な請求項に従って、磁性粒子を備えた試料体積部を分析するための方法及び装置によって達成される。
【0008】
説明するアプローチは、磁性粒子のための検出方法として適している。説明するアプローチの実施形態によれば、局在化及び、粒子特性の追加的又は代替的な測定は、透磁率を測定することによって行ってもよい。有利なことには、単一コイルの使用は、ここでは十分であり、この単一コイルは、試料体積部に作用する励起磁場を発生させること、及び試料体積部の透磁率に関する情報を得ることの両方のために、利用してもよい。試料体積部の透磁率に関する情報から、例えば、少なくとも1つの磁性粒子が、試料体積部の中に存在するかどうかを推測することが可能である。
【0009】
磁性粒子を備えた試料体積部を分析するための方法は、
測定コイルを用いて、試料体積部に作用する磁場を発生させるように、測定コイルに電気的励起信号を印加するステップと、
測定コイルのインダクタンスに依存する電気的測定信号を検知するステップと、
測定信号を用いて、試料体積部の透磁率を分析するステップと、
を備える。
【0010】
測定コイルによって発生された磁場の磁力線は、試料体積部を通過してもよい。試料体積部は、分析されるべき領域、又は試料自体であってもよい。例えば、試料体積部はまた、分析されるべきエリアを含んでもよい。異なる実施形態によれば、試料体積部は、測定コイルの内部に配置してもよく、測定コイルに直接隣接して配置してもよく、又は測定コイルから一定の間隔を空けて配置してもよい。試料体積部の状態に依存して、試料体積部中には、磁性粒子が存在しなくもよく、又は少なくとも1つの磁性粒子が存在してもよい。磁性粒子は磁性材料であってもよく、これは、例えば、試料として試料体積部中に導入してもよい。測定コイルは、1つのコイル巻き線、又は複数のコイル巻き線を備えてもよい。コイルは、適切な形状、例えば、円筒形状を有してもよい。コイルは、適切な回路、例えばブリッジ回路に接続してもよい。励起信号は、測定コイルに、直接又は1つ以上の素子を介して印加してもよい。励起信号は、交流信号であってもよい。従って、磁場は、交流磁場であってもよい。例えば、励起信号は、交流電圧又は交流電流であってもよい。測定信号は、電圧を表してもよい。そのような測定信号は、電圧計測によって検出してもよい。例えば、コイルにわたる電圧降下を検知してもよい。測定信号はまた、電流を表してもよい。そのような測定信号は、電流測定によって、例えば、コイルを貫いて流れる電流を測定することによって、検知してもよい。測定信号を検知するステップ、及び励起信号を印加するステップは、同時に実行してもよい。検知するステップ及び印加するステップは、延長した時間期間にわたって実行してもよい。もし励起信号が交流信号である場合、測定信号は、例えば励起信号が、1つ以上の振動位相を通過する間に、検知してもよい。コイルのインダクタンスは、試料体積部の透磁率に依存する。もし試料体積部の透磁率が変化する場合、測定コイルのインダクタンスは変化する。従って、測定信号は、試料体積部の透磁率、又は透磁率における変化を示してもよい。試料体積部の透磁率を分析するステップは、従って、測定信号の量、変化及び時間的経過の評価を備えてもよい。測定信号の評価を通して、試料体積部の透磁率に関する情報を得てもよい。試料体積部の透磁率は、試料体積部内の磁場強度に対する、試料体積部内の磁束密度の比であってもよい。透磁率に関する情報は、今度は、試料体積部内の物質の磁気特性を分析するために、例えば、試料体積部における少なくとも1つの磁性粒子を検出するために、使用してもよい。
【0011】
本方法のステップは、試料体積部の透磁率を測定するために、実行してもよい。それに由来する試料体積部の透磁率曲線から、試料体積部の磁化曲線を決定することが可能である。このように、線形磁化曲線及び非線形磁化曲線の両方を決定することが可能である。
【0012】
本方法は、測定信号を参照信号と比較するステップを備えてもよい。参照信号は、例えば、続いて説明されるように、参照電圧又は参照電流であってもよい。比較によって、試料体積部の透磁率を決定してもよい。参照信号は、測定コイルのインダクタンスに依存する更なる電気的測定信号を表してもよく、その一方で、測定コイルは、参照体積部に作用する磁場を発生させる。参照体積部は、参照試料、例えば、空気を備えてもよい。従って、測定信号及び参照信号は、同じ測定コイルを用いて、異なる時間に検知されてもよい。ここで異なる時間とは、(測定信号を決定するために)磁場が試料体積部に作用する間に一度、及び(参照信号を決定するために)磁場が参照体積部に作用する間に一度、という具合である。両方の時間において、測定コイルは、同じ励起信号によって励起してもよい。例えば、参照体積部は、既知の磁気特性の材料、例えば、空気で満たしてもよい。従って、試料体積部は、例えば、中に試料が存在する体積部であってもよく、且つ参照体積部は、同じ体積部であってもよいが、しかし中に試料が存在しない。参照信号は、一度検知し、且つ、その後は、格納してもよい。従って、比較するステップにおいて、測定信号は、格納された参照信号と比較してもよい。比較は、測定信号及び参照信号の適切な組み合わせによって、実施してもよい。例えば、透磁率は、測定信号と参照信号との間の違いに基づいて決定してもよく、このことは、参照信号に関連付けられた透磁率についても同様である。従って、試料体積部の透磁率は、極めて容易に決定されるかもしれない。
【0013】
一実施形態によれば、測定コイルの第1接点は、第1素子を介して電気的励起信号を印加するために、第1端子に接続してもよく、測定コイルの第2接点は、第2素子を介して電気的平衡信号を印加するために、第2端子に接続してもよく、且つ測定コイルの第2接点は、測定インターフェースに接続してもよい。素子は、例えば電線、抵抗器、コンデンサ又はコイルであってもよい。素子はまた、幾つかの素子の直列接続及び/又は並列接続を表してもよい。印加するステップにおいて、励起信号は、第1端子に印加してもよく、且つ平衡信号は、第2端子に印加してもよい。検知するステップにおいて、測定信号は、測定インターフェースで検知してもよい。平衡信号は1つの信号を表し、もし測定コイルによって発生された磁場が、参照体積部に作用する場合、該1つの信号によって、測定インターフェースにおいて参照電圧が存在する。参照電圧は、ある一定の電圧値、例えば、ゼロボルトを有してもよい。平衡信号の値又は経過は、参照測定の間に決定されていてもよく、ここで測定コイルの磁場は、前述の参照体積部に作用する。このことは、励起信号を提供するための非常に単純な回路、及び試料体積部を分析するための平衡信号、を使用することを可能にする。
【0014】
別の実施形態によれば、測定コイルの第1接点は、第1素子を介して電気的励起信号を印加するために、第1端子に接続してもよく、測定コイルの第2接点は、第2素子を介して電気的平衡信号を印加するために、第2端子に接続してもよく、且つ測定コイルの第2接点は、測定インターフェースに接続してもよい。印加するステップにおいて、励起信号は、第1端子に印加してもよく、且つ平衡信号は、第2端子に印加してもよい。検知するステップにおいて、平衡信号は、測定信号として検知してもよい。平衡信号は、測定インターフェースにおいて、ある一定の参照電圧を設定するように形成してもよいが、この設定は、測定コイルによって発生された磁場が、試料体積部又は参照体積部に作用するかどうかに依存する。従って、平衡信号は、ある一定の参照電圧を設定するように、連続的に再調節してもよい。参照電圧は、例えば、ゼロボルトであってもよい。有利なことには、この方法では、参照測定は必要ない。
【0015】
本方法は、更なる測定コイルを用い、更なる電気的励起信号を更なる測定コイルに印加するステップを備え、それによって、更なる試料体積部に作用する更なる磁場を発生させる。更に、本方法は、更なる測定コイルのインダクタンスに依存する、更なる電気的測定信号を検知するステップを備えてもよい。更なる測定信号は、更なる試料体積部の透磁率の分析を可能にするかもしれず、これは、更なる測定コイルのインダクタンスが、更なる試料体積部の透磁率に依存するためである。2つの試料体積部は同一であってもよく、少なくとも部分的に互いに重なっているか、又は互いに重なっていなくてもよい。試料体積部が、少なくとも部分的に互いに重なっている場合、試料を非常に正確に分析することが可能である。例えば、試料内の磁性材料の空間分布を、分析することが可能である。
【0016】
本方法は、試料体積部及び更なる試料体積部における磁性粒子の分布を決定するステップを備えてもよく、この決定には、測定信号、更なる測定信号、及び試料体積部の位置に関する情報、更なる試料体積部の位置に関する情報、並びに励起信号の特性に関する情報、更なる励起信号の特性に関する情報を用いる。このように、磁性粒子の空間分布は、励起信号の特性を適切に選択することによって、決定することが可能である。
【0017】
加えて、又は代わりに、本方法は、試料体積部及び更なる試料体積部を、補助磁場に曝露するステップを備えてもよい。更に、本方法は、試料体積部及び更なる試料体積部における磁性粒子の分布を決定するステップを備えてもよく、この決定には、測定信号、更なる測定信号、及び、試料体積部及び更なる試料体積部における補助磁場の特性に関する情報を用いる。従って、磁性粒子の空間分布を決定するための、別な方法が存在する。
【0018】
一実施形態によれば、本方法は、試料体積部を不均質な補助磁場に曝露するステップを備えてもよい。分析するステップにおいて、試料体積部中の磁性粒子の分布は、測定信号及び、試料体積部内の補助磁場の空間的経路に関する情報を用いて、決定してもよい。空間的経路に関する情報は、例えば、低い磁場強度を有する補助磁場の部分の位置に関する情報を備えてもよい。
【0019】
印加するステップ、検知するステップ、及び曝露するステップは、複数回実行してもよく、ここで補助磁場の空間的経路は、繰り返される、試料体積部を曝露するステップにおいて変化させてもよい。分析するステップにおいて、磁性粒子の分布は、測定信号を用いて決定してもよく、この決定は、繰り返される、検知するステップにおいて検知された測定信号と、繰り返される、曝露するステップの間での、補助磁場の空間的経路における変化に関する情報と、を用いることによる。従って、例えば、引き続き検知するステップは、補助磁場ごとに、異なる空間的経路で実行してもよい。個々の測定信号を検知する間に、補助磁場の空間的経路が既知となることにより、例えば、透磁率の特別な分布、又は試料体積部内の磁性粒子の空間分布を、決定することが可能である。
【0020】
磁性粒子を備えた試料体積部を分析するための装置は、
測定コイルであって、自身に電気的励起信号を印加することに応答して、試料体積部に作用する磁場を発生させるように形成された測定コイルと、
測定コイルのインダクタンスに依存する電気的測定信号を検知するための測定インターフェースであって、該測定信号は、試料体積部の透磁率の分析を可能にするが、これは、測定コイルのインダクタンスが、試料体積部の透磁率に依存するためである、測定インターフェースと、
を備える。
【0021】
そのような装置は、磁性粒子を備えた試料体積部を分析するための、前述の方法のステップを実行するのに適している。
【0022】
そのような装置では、試料体積部は、測定コイルの内部に配置してもよい。このように、例えば、試験管の中に配置された試料を分析してもよい。代替として、試料体積部は、測定コイルの外部に配置してもよい。
【0023】
装置は、測定コイルを貫いて導かれたコイルコアを備えてもよい。コイルコアの1つの端部は、試料体積部を曝露するための先端部として形成してもよい。測定コイルの磁場は、先端部を通って試料体積部に集中させてもよい。その上、コイルコアは、コイルと試料体積部との間の空間的距離を埋めるために、使用してもよい。
【0024】
装置は、評価手段を備えてもよい。評価手段は、測定信号を用いて、試料体積部の透磁率を決定するように、形成してもよい。磁性粒子の透磁率は、粒子自体及び粒子の環境の両方を分析することを可能にする。
【0025】
一実施形態によれば、測定コイルの第1接点は、第1素子を介して電気的励起信号を印加するために、第1端子に接続してもよく、測定コイルの第2接点は、第2素子を介して電気的平衡信号を印加するために、第2端子に接続してもよく、且つ測定コイルの第2接点は、測定インターフェースに接続してもよい。このように、測定コイルは、適切なブリッジ回路に含めてもよい。
【0026】
第1素子は、コンデンサ又は電線であってもよい。第2素子は、抵抗器、コイル又は電線であってもよい。素子を適切に選択することによって、装置の計測学的特性を調節することが可能である。
【0027】
装置は、更なる測定コイルを備えてもよい。更なる測定コイルは、更なる電気的励起信号を更なるコイルに印加することに応答して、更なる試料体積部に作用する更なる磁場を発生させるように、形成してもよい。装置は、更なる測定コイルのインダクタンスに依存する更なる電気的測定信号を検知するための、更なる測定インターフェースを更に備えてもよい。更なる測定信号は、更なる試料体積部の透磁率を分析することを可能にするかもしれないが、これは、更なる測定コイルのインダクタンスが、更なる試料体積部の透磁率に依存するためである。試料体積部は異なっていてもよく、又は少なくとも部分的に同一であってもよい。試料体積部及び更なる試料体積部は、従って、少なくとも部分的に重なってもよい。更なる測定コイルを用いると、ただ1つのコイルを用いた場合と比較して、例えば、試料体積部をより正確に分析することが可能である、又はより大きな試料体積部を分析することが可能である。装置は、2つ以上、3つ以上の測定コイルを備えてもよい。
【0028】
本発明の好ましい実施形態は、添付図面を参照しながら、以下でより詳細に説明されるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本発明の好ましい実施形態の以下の記述において、同じ又は同様の参照符号は、様々な図面の中で描かれた、同様に作用する要素に対して使用されるものとし、ここでは、そのような要素の繰り返される記述は、省略することにする。
【0031】
図1は、本発明の一実施形態による、磁性粒子を備えた試料体積部102を分析するための装置100の略図を示す。装置100は、測定コイル104を備える。
図1に示したブロック104は、測定コイル又は、測定コイルを備える回路、例えば、ブリッジ回路を表してもよい。励起信号106(例えば電圧又は電流)が、分析手続きの間、インターフェースを介して測定コイル104に印加される場合、磁場180が測定コイル104によって発生される。
【0032】
測定コイル104及び試料体積部102は、互いに対して一列に整列しており、その結果、磁場108は、試料体積部102に作用する(例えば、試料体積部102に浸透する)。試料体積部102はまた、試料と見なしてもよい。測定コイル104のインダクタンスは、試料体積部102の透磁率に依存する。従って、試料体積部102の透磁率は、測定コイル104のインダクタンスから推測することが可能である。この目的のために、測定コイル104は、測定コイル104のインダクタンスに依存する測定信号110を検知するための、測定インターフェースに接続される。測定コイル104のインダクタンス及び、従って、試料体積部102の透磁率は、測定信号110によって決定することが可能である。
【0033】
この実施形態によれば、装置100は、電気的測定信号110を評価するための評価手段112を備える。評価手段112は、測定信号110を受信し、且つ測定信号110に基づいて、試料体積部102に関する分析結果を決定すると共に提供するように、形成される。例えば、評価手段112は、試料体積部102の透磁率の値、又は透磁率に依存する値を決定するように、形成してもよい。測定コイル104及び評価手段112は、共通のハウジング内に配置してもよい。代替として、測定コイル104及び評価手段112は、別個のハウジングに配置してもよい。装置100は、測定信号110を外部の評価手段112に提供するためのインターフェースを備えてもよい。従って、異なる実施形態によれば、装置100は、評価手段112が有る状態、又は無い状態で実現してもよい。
【0034】
一実施形態によれば、評価手段112は、参照信号を用いて、試料体積部102の分析を実施するように形成される。参照信号は、分析手続きの間、測定コイル104のインダクタンスを対応付ける、格納された測定信号を表してもよい。ここで、この分析手続きの間、試料体積部102は、参照体積部に対応する。
【0035】
一実施形態によれば、評価手段112は、平衡信号を用いて、試料体積部102の分析を実施するように形成される。平衡信号は、分析手続きの間、測定コイル又は、測定コイルを備えた回路に提供される信号に対応してもよい。
【0036】
この実施形態によれば、装置100は、励起信号106を提供するための励起手段114を備える。励起手段114は、例えば、電流源又は電圧源として形成してもよい。測定コイル104及び励起手段114は、共通のハウジング内に配置してもよい。代替として、測定コイル104及び励起手段114は、別個のハウジングに配置してもよい。装置100は、励起手段114から励起信号106を受信するためのインターフェースを備えてもよい。従って、異なる実施形態によれば、装置100は、励起手段114が有る状態、又は無い状態で実現してもよい。
【0037】
装置100は、試料体積部102、例えば、試料のための容器のような入れ物を備えてもよく、又は試料体積部102は、装置100に隣接して配置してもよい。
【0038】
図1に示した実施形態によれば、試料体積部102は、装置100の外部で、測定コイル104に隣接して配置する、又は配置してもよい。例えば、試料体積部102は、測定コイルの長手軸に沿って配置してもよい。ここで測定コイルは、例えば、円筒コイルとして形成される。
【0039】
試料体積部102の分析のために、試料体積部102は、装置に向けて移動させてもよく、又は逆もまた同様である。
【0040】
一実施形態によれば、分析手続きは、試料102又は試料体積部102の透磁率を測定することに基づいている。透磁率の形をしたパラメータは有利である。何故ならば、それは、測定装置100の特に適切な構造を可能にするからである。
【0041】
一実施形態によれば、試料102の透磁率は、測定コイル104のインダクタンスを測定することによって、測定される。この目的のために、ある一定強度の交流磁場108が、測定コイル104によって発生され、且つ電流又は電圧のいずれかが、このコイル104で測定される。そのことから、試料102の透磁率は、交流磁場108によって周期的に繰り返される磁場強度で、決定することが可能である。
【0042】
決定された透磁率の局所的な関連付けは、この交流磁場108の強度又は位相のいずれかを局所的に変動させることによって(例えば、傾きを変えることによって)、行うことが可能である。この変動は、例えば、空間的に通過する波であってもよく、ここで正弦波的な励起の位相は、空間にわたって変化する。
【0043】
図5に関して続けて示すように、例えば別の手段によって、例えば、局所的に異なる静的な、又は準静的な磁場を付加的に印加することによって、その磁場の変動により、局所的な関連付けを行うことが可能である。インダクタンスを測定する場合、透磁率の微分を測定してもよい。一実施形態によれば、局所的な関連付けのためには、透磁率は、磁場強度に依存していることが必要である。
【0044】
一実施形態によれば、試料体積部は、不均質な補助磁場に曝露してもよい。これは、画像法に対して利用してもよい。一実施形態によれば、補助磁場が実現され、その結果、この補助磁場は、試料体積部内に非常に小さな磁場を有するか、又は磁場無しポイントを有し、且つこの補助磁場は、試料体積部の他の全てのポイントでは大きく、例えば、非常に大きいため、そこに配置された粒子の飽和を引き起こす。大きな補助磁場によって飽和した粒子の磁束は、測定コイル104による磁場変動によって、著しくは変化しない。この故に、測定信号110は、試料体積部102の領域に関連付けられるが、ここで試料体積部102の中では、補助磁場は、低い磁場強度を有する。一実施形態によれば、測定コイル104を用いて、試料体積部102の透磁率は連続的に測定され、即ち、測定信号110が検知されるが、その一方で、補助磁場の磁場無しポイントは、機械的又は電気的に移動される。このように、画像をラスター化してもよい。
【0045】
一実施形態によれば、試料体積102における磁性粒子の空間分布は、このように確認してもよい。概して言えば、この目的のために、補助磁場を利用してもよく、この磁場の、磁場強度の空間的経路は、低い磁場強度の第1部分と、第1部分に比べて高い磁場強度の第2部分とを有する。分析時間期間の間、試料体積部102内の2つの部分の空間的場所は変化する。これは、試料体積部102内の粒子の透磁率の空間的変化につながる。複数の測定信号110(これらは、補助磁場の部分の空間的場所の変化に依存する)は、分析時間期間の間、検知される。試料体積部102内の磁性粒子の空間分布に関する情報は、複数の測定信号110を評価することによって、確認してもよい。空間分布に関する情報は、例えば、試料体積部102内の粒子の空間分布の画像表現を確認するように、画像法によって使用してもよい。
【0046】
空間分布に関する情報は、例えば、評価手段112によって決定してもよい。この目的のために、評価手段112は、補助磁場の変化に関する情報を結合するように形成してもよい。ここで補助磁場の変化に関する情報とは、例えば、複数の測定信号110に関して、例えば、補助磁場の磁場無しポイントの、第1部分の場所の時間的及び空間的経路に関する情報である。例えば、複数の測定信号110の各々は、測定信号110を検知する時点での、補助磁場の第1部分の現在の場所に関連付けてもよい。従って、測定信号110の各々は、試料体積部102内の位置に関連付けてもよい。
【0047】
補助磁場は、
図5に示すように、例えば、補助磁場を発生させるための手段によって、発生させてもよい。
【0048】
一実施形態によれば、局所的に敏感なコイル104を用いた局所的測定もまた、粒子を検出するのに利用してもよい。
【0049】
透磁率は、磁性粒子画像法(MPI)で使用する場合のように、磁化とは異なる。その場合には、励起周波数に関する情報を使用することは、通常、排除される。更に、その場合には、信号は、高い磁場強度で使用されない。何故なら、粒子は飽和状態にあり、且つ、従って、磁化は変化しないからである。
【0050】
もし説明した設備が、磁気共鳴断層撮影のような、非常に強い磁場中にもたらされる場合、粒子は測定可能な透磁率を有するが、しかし磁場強度が変動しても、磁化は変化しない。常磁性体又は反磁性体は、自身の磁化を変化させるが、しかし、その変化は線形であり、従って、MPI設備によって、その変化を記録できない。この理由は、その場合には非線形の変化だけが、考慮され得るからである。このことは、本明細書で説明したアプローチによる装置100を用いることによって、回避することが可能である。
【0051】
図2は、本発明の一実施形態による、磁性粒子を備えた試料体積部102を分析するための装置100の略図を示す。装置100は、次のことを除いて、
図1に示す装置に対応してもよい。即ち、
図2に示した実施形態において、試料体積部102は、測定コイル104の内部に配置するか、又は配置してもよく、即ち、例えば、測定コイル104の複数の巻き線によって囲まれる、ということを除く。
【0052】
試料体積部102は、試料体積部102を分析するための測定コイル104の内部に導入してもよい。
【0053】
図3は、本発明の一実施形態による、磁性粒子を備えた試料体積部102を分析するための装置100の略図を示す。装置100は、次のことを除いて、
図1に示す装置に対応してもよい。即ち、
図3に示した実施形態によれば、コイルコア320は、測定コイル104を貫いて導かれ、且つ試料体積部102は、コイルコア320の1つの端部に配置される、又は配置されてもよい、ということを除く。
【0054】
図4は、本発明の一実施形態による、磁性粒子を備えた試料体積部102を分析するための装置100の略図を示す。装置100は、次のことを除いて、
図1に示す装置に対応してもよい。即ち、装置100は更なる測定コイル404を備え、且つ試料体積部102は、2つの測定コイル104と404との間に配置される、又は配置されてもよい、ということを除く。例えば、測定コイル104、404は、試料体積部102を貫いて伸びる共通の長手軸を備えてもよい。
【0055】
更なる励起信号406が、更なる測定コイル404に印加される場合、更なる磁場408が、更なる測定コイル404によって発生される。更なる測定コイル404及び試料体積部102は、互いに対して一直線に整列し、その結果、更なる磁場408が、試料体積部102に作用する(例えば、試料体積部102に浸透する)。更なる測定コイル404のインダクタンスは、試料体積部102の透磁率に依存する。試料体積部102の透磁率は、更なる測定コイル404のインダクタンスから推測することが可能である。この目的のために、装置100は、更なる測定コイル404のインダクタンスに依存する更なる電気的測定信号410を検知するための、更なる測定インターフェースを備える。更なる測定コイル404のインダクタンス及び、この故に、試料体積部102の透磁率は、更なる測定信号410を介して決定することが可能である。
【0056】
この実施形態によれば、評価手段112(これは、装置100に対して内部又は外部の手段として、再び実現してもよい)は、試料体積部102を分析するための2つの電気的測定信号110、410を検知すると共に、評価するように形成される。測定信号110、410を評価するために、評価手段112は、測定信号110を評価するための励起信号106、406に関する情報を、付加的に受信すると共に使用してもよい。
【0057】
励起手段114は、励起信号106、406を発生させ、且つ励起信号106、406を測定コイル104、404に提供するように形成される。一実施形態によれば、励起手段114は、異なる特性(例えば、異なる位相)を有する励起信号106、406を提供するように形成される。励起信号106、406の特性に関する情報は、インターフェースを介して、励起手段114によって評価手段112に提供してもよい。
【0058】
図5は、本発明の一実施形態による、磁性粒子を備えた試料体積部102を分析するための装置100の略図を示す。装置100は、次のことを除いて、
図4に示す装置に対応してもよい。即ち、この実施形態によれば、測定コイル104、404は、互いに対して隣に配置され、即ち、測定コイル104、404の長手軸は、互いに対して平行である、ということを除く。この実施形態によれば、更なる測定コイル404は、更なる試料体積部502を分析するために使用される。代替として、測定コイル104、404は、図示した試料体積部102、502を含む、通常の試料体積部を分析するために使用してもよい。
【0059】
評価手段112は、試料体積部102、502を別々に評価するか、又は共通の試料体積部内に磁性粒子の空間分布を発生させるように、形成してもよい。例えば、評価手段112は、磁性粒子の空間分布の画像表現、又は共通の試料体積102、502内の透磁率の表現を生成するように、形成してもよい。
【0060】
試料体積部102、502を分析するために、評価手段112は、励起信号106、406の特性に関する情報、及び試料体積部102、502の、又は測定コイル104、404の位置(例えば、相対的位置)に関する情報を使用してもよい。
【0061】
加えて、又は代わりに、評価手段112は、補助磁場530の特性に関する情報を受信し、且つ試料体積部102、502を分析するために、その同じ情報を使用してもよい。この実施形態によれば、補助磁場530は、補助磁場530を発生させるための手段532(例えば、1つ以上の磁石及び1つ以上のコイルの配置による)によって発生される。手段532はまた、装置100の一部分であってもよい。補助磁場530は、例えば、
図1を参照しながら説明したように、形成すると共に利用してもよい。
【0062】
図6は、本発明の一実施形態による、磁性粒子を備える試料体積部102を分析するための装置100の略図を示す。図示しているのは、装置100の測定コイル104の可能な接続である。そのような接続はまた、先の図で示した装置100で使用してもよい。
【0063】
装置100は、第1端子641と、第2端子642と、測定インターフェース643とを備える。
【0064】
測定コイル104の第1接点は、第1素子651(例えばコンデンサ)を介して、第1端子641に接続される。測定コイル104の第2接点は、測定インターフェース643に接続され、且つ第2素子652(例えば抵抗器)を介して、第2端子642に接続される。
【0065】
そして励起信号106は、先の図を参照しながら説明したように、第1端子641を介して、供給してもよい。この目的のために、第1端子641は、
図1を参照しながら説明したような、適切な励起回路に接続することが可能である。
【0066】
平衡信号606は、第2端子642を介して、供給してもよい。この目的のために、第1端子641はまた、例えば、励起回路に接続してもよい。ここで励起回路は、励起信号106に加えて、平衡信号606を提供するように形成される。
【0067】
一実施形態によれば、測定信号は、既に説明したように、装置100の分析手続きの間、測定インターフェース643に印加される。測定信号は、例えば、試料体積部を分析するように、評価手段112によって検知すると共に評価してもよい。
【0068】
別の実施形態によれば、分析手続きの間、平衡信号606は、第2端子642に供給され、その結果、所定の安定した参照信号が、測定インターフェース643に印加される。この目的のために、平衡信号606は、例えば、測定インターフェース643に印加される信号を用いて、調整手段によって調整してもよく、その結果、参照信号は、測定インターフェース643に印加される。それに由来する平衡信号は、その後、試料体積部を分析するために、測定信号として、評価手段112によって評価してもよい。
【0069】
図7は、本発明の一実施形態による、磁性粒子を備えた試料体積部を分析するための方法のフローチャートを示す。本方法は、例えば、先の図を参照しながら説明したような装置に関連して、適用してもよい。
【0070】
ステップ701では、電気的励起信号が、測定コイルに印加される。励起信号によって励起されて、測定コイルは、試料体積部に作用する磁場を発生させるように形成される。ステップ703では、測定コイルのインダクタンスに依存する電気的測定信号が、検知される。ステップ705では、試料体積部の透磁率が、測定信号に基づいて分析される。
【0071】
一実施形態によれば、ステップ705において、測定信号は、参照信号を用いて分析してもよい。測定コイルの磁場が参照体積部に作用する間に、参照信号は、本方法のステップ701、703を実行することによって、確認することが可能である。参照信号又は、参照信号に対応する値は、例えば、決定の後に、格納手段に格納し、且つ格納手段から読み出してもよい。
【0072】
本発明の一実施形態によれば、例えば、磁性粒子を備えた試料体積部を分析するための、そのような方法は、
図6を参照しながら説明したような装置に関連して、適用してもよい。
【0073】
ステップ701では、励起信号は、装置の第1端子に印加され、且つ平衡信号は、装置の第2端子に印加される。ステップ703では、測定インターフェースに印加される信号は、測定信号として検知される。
【0074】
測定コイルの磁場が参照体積部に作用する間に、ステップ701で印加されるべき平衡信号は、本方法のステップ701、703を実行することによって、前もって確認すると共に格納してもよい。ここで、平衡信号は、参照信号が測定インターフェースに印加されるように、調節される。
【0075】
もし本方法のステップが、測定コイルの磁場が試料体積部に作用する間に実行される場合、測定信号は、変化していない励起信号及び平衡信号にもかかわらず、参照信号と異なる。但しこのことは、試料体積部の透磁率が参照体積部と異なる、ということが前提である。試料体積部の透磁率は、従って、参照体積部の透磁率が既知の場合には、参照信号及び測定信号との間の違いから、推測されるかもしれない。
【0076】
更なる実施形態によれば、ステップ701において、励起信号は、装置の第1端子に印加され、且つ平衡信号は、装置の第2端子に印加される。ここで、平衡信号は、参照信号が測定インターフェースに現れるように、調節される。異なる試料体積部を分析する場合、平衡信号は、参照信号が測定インターフェースに印加されるように、そのつど調節される。
【0077】
もし本方法のステップが、測定コイルの磁場が試料体積部に作用する間に実行される場合、平衡信号は、励起信号が変化しないにもかかわらず、参照体積部に対して調節された平衡信号と異なる。但しこのことは、試料体積部の透磁率が参照体積部と異なる、ということが前提である。参照体積部の透磁率が既知である場合には、試料体積部の透磁率は、参照体積部及び試料体積部に対して調節された平衡信号のずれから、推測されるかもしれない。分析するステップ705において、参照体積部に対して調節された平衡信号、又はこの平衡信号に対応する値は、格納手段に格納し、且つ格納手段から読み出してもよい。
【0078】
別の実施形態によれば、本方法は、2つ以上の試料体積部を分析するように、2つ以上の測定コイルを用いることによって、適用してもよい。
【0079】
この目的のために、ステップ701において、電気的励起信号が測定コイルに提供され、且つ少なくとも1つの更なる電気的励起信号が、少なくとも1つの更なる測定コイルに提供される。ステップ703では、測定コイルのインダクタンスに依存する測定信号が検知され、且つこの測定信号は、試料体積部(複数を含む)を分析するために、ステップ705において評価される。
【0080】
ステップ705では、励起信号の特性に関する情報、及び、付加的に又は代替的に、試料体積部(複数を含む)に作用する1つ以上の補助磁場の特性に関する情報もまた、測定信号を評価するために使用してもよい。ここで、ステップ705において、動力学的粒子の空間分布又は、試料体積部(複数を含む)内の透磁率の値を、確認してもよい。
【0081】
図8は、本発明の一実施形態による、磁性粒子を備えた試料体積部を分析するための装置100の略図を示す。図示しているのは、装置100の測定コイル104の可能な接続である。そのような接続はまた、先の図で示した装置100で利用してもよい。
【0082】
装置100は、第1端子641と、第2端子642と、測定インターフェース643とを備える。
【0083】
測定コイル(L)104の第1接点は、第1素子651(ここではコンデンサ(C))を介して、第1端子641に接続される。測定コイル104の第2接点は、電線を介して測定インターフェース643に接続され、且つ第2素子652(ここでは抵抗器(R))を介して第2端子642に接続される。
【0084】
励起信号106(ここでは第1交流電圧U1〜の形をしている)は、例えば、第1同軸線を介して第1端子641に供給してもよい。平衡信号606(ここでは第2交流電圧U2〜の形をしている)は、例えば、第2同軸線を介して第2端子642に供給してもよい。
【0085】
本実施形態によれば、既に説明した測定信号又は、既に説明した参照信号は、装置100の測定インターフェース643と接地接続845との間で、取り出してもよい。
【0086】
図9は、本発明の一実施形態による、磁性粒子を備えた試料体積部を分析するための装置100の略図を示す。装置100は、
図3を参照しながら説明したように、例えば、コイルコア320を有する測定コイルを備える。コイルコアは、1つの端部で平坦な端部、及び他の端部で先端部を有する円筒ロッドとして形成される。先端部は、試料体積部102の中に導かれる、又は試料体積部102に向けられる。コイルコア320の先端部を通って、磁場108の磁力線は、試料体積部102上に集中される。装置100は、例えば、給電するための、又は信号を供給するための、若しくは信号を読み出すためのインターフェースとして、2つの電線を備える。
【0087】
本発明の様々な実施形態が、先の図を参照しながら、以下で説明されるはずである。
【0088】
透磁率の測定は、実施形態の基礎を形成する。
【0089】
物質中で磁場を伝導する特性としての透磁率は、交流磁場を発生させるコイル104のインダクタンスを介して、直接利用可能である。これは、そのような測定装置100の有利な構造を可能にする。最も単純な場合、装置100は単一のコイル104を備え、このコイル104は、交流電圧106を印加すると、測定体積部102において、ある一定強度の磁場108を発生させる。コイル104のインダクタンスは、透磁率に直接依存し、且つ、例えば、測定信号110を介した単純な電流測定又は電圧測定によって、決定することが可能である。電圧計測との組み合わせにおけるブリッジ回路のような、適切な電気的接続によって、測定された電圧信号110を調節することは容易に可能であり、その結果、測定された電圧110は、試料を試料体積部102に導入し、それ故、透磁率が変化することから生じる電圧110の変化にだけ対応する。従って、電圧110の電圧計測のダイナミックレンジは、関連する情報のために使用してもよい。
【0090】
一実施形態によれば、そのような測定ブリッジは、試料体積部102中に磁場を発生させることが可能なコイル104と、抵抗器652とを備える。励起信号106を介して測定コイル104に印加される電圧は、選択された磁場108が発生されるように、選択される。平衡信号606を介してブリッジ抵抗器652に印加される電圧は、最も単純な場合、試料が無い状態で、電圧メータで電圧110が降下しないように、これに対応して選択される。試料が、測定コイル104の体積部102の中に導入される場合、試料の透磁率は、磁場108の印加磁場強度に依存して、電圧曲線110から決定することが可能である。物質の量のような、試料体積部102における磁性材料の存在及び特性は、その透磁率から推測されるかもしれない。
【0091】
一実施形態によれば、電圧U1〜106は、適切な交流磁場108がコイル104で発生されるように、選択される。原理の問題として、
図8に示すコンデンサ651は必要ないが、しかしコンデンサ651は、リアクタンスを減少させるための良い選択肢であり、その結果、低電圧で、高電流を発生させることが可能である。具体的には、例えば20kHzの周波数での正弦波電圧は、励起信号106として適している。これによって発生される磁場108は、理想的には、先端部で5mTよりも大きく、且つ数百mTに到達するかもしれない。その磁場の時間的経過に関して、電圧U2〜606は、次のように選択される。即ち、空の測定コイル104の場合(即ち、空の試料体積部102の場合)、出力643(即ち、接地と、コイル104及び抵抗器652の接続との間の電圧)では、参照信号として、0Vの電圧が常に発生される。最も単純な場合、平衡電圧606もまた正弦波電圧であり、これは、電圧U1〜106に対して、ある一定レベル、且つある一定位相の電圧である。着磁可能な試料が、コイル104の中に導入される、又はコイル104の近傍にもたらされる場合、試料体積部102中の試料の透磁率に依存する電圧曲線が、出力643で得られる。
【0092】
図8に示したような測定ブリッジは、例えば、2つの基本的モードの動作である、ブリッジ平衡及びブリッジ電圧の測定を有する。
【0093】
ブリッジ平衡では、抵抗器での時間依存電圧は、測定インターフェース643でのブリッジ電圧が常にゼロになるように、調節される。実際の測定信号110は、試料体積部102中に試料が有る状態と無い状態における、抵抗器652での電圧の違いである。
【0094】
ブリッジ電圧を測定する場合、抵抗器652での電圧は、次のように調節される。即ち、測定インターフェース643でのブリッジ電圧は、測定コイル104が空の場合(即ち、試料体積部102が空の場合)、ゼロになるように調節される。さて、測定されるブリッジ電圧は、実際の測定信号110である。
【0095】
これら2つのモードの組み合わせを使用すること、及び、従って、電圧メータのダイナミックレンジと、ダイナミックレンジとしての、抵抗器652での電圧との和を得ることもまた、可能である。
【0096】
この測定配置はまた、他の実施形態において実現してもよい。電圧計測の代わりに、電流測定を実施してもよい。
【0097】
大きな測定体積部102に関して有利なことは、特に、測定コイル104が、交流磁場108の周波数と共鳴マッチングを起こすことでああり、その結果、動作は低電圧となるかもしれない。一実施形態において、コイル104は、適切に選択されたコンデンサ651と、直列に接続される。また、
図8に示したブリッジ抵抗器652は、より複雑な配置のコイル、コンデンサ及び抵抗器によって、置き換えてもよい。幾つかの場合において、周囲空間からの干渉を抑制するために、反対磁場方向のコイルで、しかも測定コイル104と同様のコイルを選択することは有利である。この配置は、傾度測定器のように作用するが、そこでは、両方のコイルで等しく発生された電圧信号は、完全に相殺される。より複雑な配置の電気部品を、共鳴のような特性に適合させるように、測定コイル104に対して並列又は直列に接続してもよい。
【0098】
そのような測定システム100の特別な履行例は、測定体積部102を囲み、且つそこで均質な交流磁場108を発生させるコイル104である。別の特別な配置は、表面の前で、磁場108を発生させることが可能な測定コイル104であり、この磁場は、表面からの距離に関して、均質であるか、又は線形的な方法で強度が減少する。
【0099】
考えられることであるが、この測定装置100は、励起周波数での測定に対して特に適しており、その理由は、共鳴マッチングによって、測定装置100が、正確にこの周波数で敏感になっているためである。しかしながら、これは不利なことではない。何故なら、これは貴重な情報に役立ち、また何故なら、透磁率の非線形性は、とりわけ、一連の高次高調波につながるからである。この高次高調波に対しては、その場合、広帯域測定が必要である。そのために、別の周波数との共鳴マッチングは、感知を単に限定的にする。にもかかわらず、測定コイル104を励起周波数に共鳴的にマッチさせる必要はない。原理の問題として、代わりに、別の周波数に関してマッチングを起こしてもよく、且つコイルの多重共鳴マッチングに対する、一連の知られたアプローチが利用可能である。
【0100】
試料体積部102内での粒子の局在化は、次のメカニズムの1つ又はそれらの組み合わせによって行ってもよい。
【0101】
もしコイル104が局所的にのみ敏感である場合、粒子は、これによって、局所的に決定することが可能である。ここで注意するべきことであるが、この設計は、容易に小型化され、且つ、従って、例えばカテーテルの中に統合されるかもしれない。従って、磁化された粒子の局所的測定を、例えば血管の中で行うことが可能である。
【0102】
1つの特別な拡張は、この測定配置100において、磁場108を別の場所に伝導するために、1つ以上の磁気的に伝導性のコア320を使用する可能性である。例えば、
図9に示すように、強磁性材料の針をコイル104の中に設置することが可能である。コイル104は、適度な磁束を発生させる。この磁束は、コア320の中では飽和未満に保持されるが、しかし針の先端部では高磁束となり得る。針の先端部の領域102における着磁可能な粒子は、特に高い応答信号を発生させる。何故なら、ここでは、磁化が最も高いからである。従って、顕微鏡を実現することが可能である。
【0103】
例えば、
図9に示す配置は、指示された領域に高い局所的磁場を発生させるが、この領域は、試料体積部102として役立つかもしれない。更なる測定配置(追加で利用されるかもしれない)は、ここでは描かれていない。
【0104】
図を参照しながら説明したように、装置100を用いることによる粒子の局在化は、個々の測定コイル104、404のアレイ構成によって行ってもよい。ここで、最も単純な場合、例えば、物体表面の二次元測定に対して、アレイ構成は、次のように実施することが可能である。即ち、個々の測定コイル104、404を有する個々の要素は、それら自身の、境を接する測定体積部102、502を測定し、且つ画像が、それから計算される、という具合に実施される。
【0105】
一実施形態において、個々の測定コイル104、404を有する個々の要素は、個々の測定が、重なる体積部104、404において行われるように、配置してもよい。ここで、個々のコイル104、404の磁場108、408の適切な磁場プロファイル(個々の周波数又は等しい周波数、励起電圧の振幅及び位相との組み合わせにおける均質な励起磁場又は励起磁場勾配のような)によって、振幅及び/又は位相において異なる、局所的に異なった時間依存の磁場が発生されるかもしれない。励起パターンの適切な組み合わせにより、それから画像を計算してもよい。例証のための単純な例は、例えば、
図4に示すような2つの向かい合うコイル104、404である。これらの磁場108、408は、コイルの間にある測定体積部102において、コイル104、404の構造によって選択され、その結果、もし2つのコイル104、404が、交流電圧の異なる位相で駆動される場合、全体的な磁場の振幅はほぼ等しいが、しかし異なる位相が得られ、この異なる位相に依存して、コイル104、404はより近づく。スポット試料の透磁率(一般に複素数値)は、その位相(ここでは一次元)を介してコイル104、404の間の場所を示す。
【0106】
そのような構成は、一次元測定のための円筒物体に対する、導体ループの直線的ひものような測定される物体に依存して、個々に最適化してもよい。それに対応して、場所の三次元符号化は、三次元配置において、そのように向かい合う、幾つかのコイル140、404によって、実施することが可能である。
【0107】
最も単純な場合では、反ヘルムホルツコイルによる、外部的に発生された磁場勾配のような補助磁場530により、透磁率を変化させ、且つ、従って透磁率を局所的に符号化することも可能である。そのような配置を、例えば、
図5に示す。この場合、非線形透磁率(これは、磁化に非常に類似している)を測定し、且つ画像再構築のために使用することが可能である。
【0108】
MRIの磁場のような強い磁場における透磁率は、測定可能な量であり、且つここでの粒子検出及び特性評価のためにも、利用されるかもしれない。
【0109】
単純な例では、統合された測定コイル104を有するカテーテルのような、局所的に敏感なコイルによる粒子の局在化及び特性評価は、粒子の存在を局所的に測定するかもしれない。例として、ジスプロシウム(III)酸化物のような常磁性物質の存在は、従って、決定されるかもしれない。しかしながら、提示される他の技術もまた、利用されるかもしれない。
【0110】
一実施形態によれば、示される装置100は、対応する試料体積部102の中に存在するかもしれない磁性粒子を検出するための、分光計として履行される。ここで特別なのは、励起磁場及び検出磁場108を発生させるために、単一コイル104だけが必要だということである。コイル104の特別な電気的接続のために、コイル104の構造に関する特別な配置が無い、背景無しの方法で、磁性粒子の信号を得ることが可能である。
【0111】
ここで注意するべきことであるが、この配置は、コイル104の励起周波数で信号を拾い上げることに、特に適している。従って、反磁性体及び常磁性体が通常示すような、磁場強度に依存する線形磁化を有する粒子についても、測定することが可能である。
【0112】
そのような分光計は、それ自体で磁性粒子のための分光計として、及び画像構成の一部分としての両方で、動作させてもよい。静的磁場530はまた、ちょうど外部的に発生された静的オフセット磁場530との共働のような構成において、測定のためのオフセットとして実現してもよい。
【0113】
磁性ナノ粒子の透磁率は、粒子自体についての重要な情報だけでなく、それらの環境についての情報も与える。従って、粒子の濃度だけでなく、サイズ又は温度のような粒子の特性も決定することが可能である。環境はまた、影響力を有し、例えば、周囲媒体の粘性は、信号に対して効果を有するかもしれず、且つ、従って、測定されるかもしれない。
【0114】
非線形磁化曲線を有する粒子のような粒子を適切に選択することを仮定すれば、即ち、磁化及び、この故に、粒子の透磁率が、印加された磁場及び局所的に変動可能な磁場530に関して非線形的な方法で増加することを仮定すれば、信号の局所的な関連付けを実行し、且つ、従って、画像を生成することが可能である。
【0115】
特に、フェライト粒子又は常磁性物質のような、着磁可能な物質の局在化が可能である。
【0116】
そのような物質に対する測定プローブの小型化は、ここでは、例えば、カテーテルに対して実施してもよい。
【0117】
そのような物質の検出はまた、例えばMRIで存在するような、強い磁場において可能である。特に、強い磁場530中での、そのような物質の局在化を実現することが可能である。
【0118】
一実施形態によれば、着磁可能な試料102がコイル104の中に導入され、且つ出力として役立つ測定インターフェース643の電圧曲線が評価される。測定インターフェース643での電圧曲線は、ここでは、試料102の透磁率に依存する。
【0119】
同様に、コイル104における電流もまた、測定してもよい。電流もまた、試料102の透磁率に依存する。
【0120】
そのような測定は、粒子の局在化に対して使用してもよい。
【0121】
これはまた、測定配置100の小型化によって、測定アレイ又は測定磁場に関連して、実施してもよい。
【0122】
針形状の磁気的に伝導性のコア320を使用することによって、局在化を達成することが可能である。ここで、大きな磁場108(この磁場中で、粒子を検出してもよい)が、コア320の針の先端部で局所的に発生される。
【0123】
局在化は、発生される測定磁場108の、空間的に変動可能な振幅及び/又は位相変化によって、発生させてもよい。
【0124】
局所的に変動可能な、静的又は準静的な補助磁場530を、使用してもよい。
【0125】
ここでは、試料の物理的に異なるパラメータが測定されることを除いて、その機能性は磁性粒子画像法(MPI)と同様である。磁化は、透磁率から計算することが可能である。透磁率を測定することは、より容易であり、且つ計測学的に有利である。従って、常磁性物質及び反磁性物質もまた、測定されるかもしれない。更に、磁気共鳴断層撮影におけるような、強い磁場530中においても、測定を実施することが可能である。
【0126】
MPIは、磁化Mにおける変化を測定するが、これに対して、本明細書で提示される方法は、透磁率を測定する。
【0127】
図10は、懸濁液又はスラリとしての超常磁性ナノ粒子の磁化曲線を示す。透磁率は、次のように決定される。
透磁率=(磁化/磁場強度)+1
【0128】
磁場強度は、X軸上にmTでプロットされ、且つ磁化は、Y軸上にAm
2でプロットされる。図示しているのは、粒子の磁化曲線1000である。矢印1002は、磁化率(M/H)のようなものを象徴し、且つY軸切片1004は、大まかに磁化M(ここでは約12mTの励起磁場に対する)を象徴する。
【0129】
説明したアプローチは、様々な実施形態において実現してもよい。局所決定のための構成100の小型化は可能である。また、アレイ構成100を実現することも可能であり、これは、個々のコイル104、404の間で振幅及び位相を適切に選択することで、試料102の周りに線形的に強力なコイル104、404を配置することなどで実現する。更に、コイル104又はコイル104、404の測定体積部102内に磁場勾配を有する、静的又は準静的な補助磁場530を利用してもよい。
【0130】
図8に示した実施形態を参照すると、多数のコンデンサ、抵抗器及びコイルは、ちょうど抵抗器652に対するのと同様に、コイル104に対して並列及び/又は直列に接続してもよい。これによって、もし1つ以上のこれらの素子が調節可能である場合、手動の粗調節は、単純な方法で実現してもよい。
【0131】
抵抗器652は、コイルによって実現してもよい。このことは、もし電圧U1〜106、U2〜606の小さな位相シフトが望ましい場合、有利であり得る。このコイルは、傾度測定器と同様に、次のように接続してもよい。即ち、外部的に誘発された干渉が、反対符号の電圧振幅を発生させ、且つ最後には互いを相殺するという具合に、接続してもよい。これもまた、より低い電圧U2〜606でやりくりするために、利用してもよい。
【0132】
コイル104は、その内部に均質な磁場108を発生させることが可能なように、形成してもよい。これは、例えば、試験管の中で試料102を測定するのに有利である。
【0133】
コイル104は、平面エリアの前のある一定の領域に均質な磁場108を発生させように、また対応する非均質な磁場108を発生させるように形成してもよい。これによって、広範な物体102を、小さなセンサ100によって、局所的に検査することが可能である。
【0134】
多数のそのような測定コイル104は、例えばアレイのような適切な配置によって、隣接する測定体積部102、502の局所測定を同時に実施してもよい。理想的には、個々のコイル104、404は、ここでは幾何学的に、誘導的に、又は競合的に切り離される。
【0135】
コイル104、404の配置において、拾い上げられた信号の空間的解像度はまた、個々の素子の振幅、位相及び周波数を適切に選択すること、及び測定信号を適切に再構築することによって、達成してもよい。
【0136】
この構成100はまた、静的な均質磁場又は時間変動する均質磁場のような、外部的に発生された磁場530と共働してもよい。
【0137】
同様に、この構成100はまた、空間的及び/又は時間的に変動する不均質磁場530と共働してもよい。適切に再構築することによって、測定された情報はまた、空間的に関連付けてもよい。
【0138】
一実施形態によれば、磁場が印加される場合、この構成100はまた、線形及び非線形の着磁性を有する粒子を含めて、着磁可能な粒子を検出することに役立つ。
【0139】
一実施形態によれば、
図8に示した構成100は、例えば、2つの基本的な動作モードを有し、これらの1つにおいて、電圧U2〜606は、空の測定コイル104が出力信号を提供しないように選択される。そこでは測定信号110は、測定磁場108中の試料102の場合の出力643での電圧である。他の動作モードは、出力643では電圧が発生されないように、電圧U2〜606を常に選択するものである。そこでは測定信号110は、測定磁場108中の試料102の場合の電圧U2〜606と、測定磁場108中にいかなる試料102も無い状態での電圧U2〜606との違いである。両方の方法の任意の組み合わせを選択することもまた、可能である。従って、最大測定電圧は、例えば、制限してもよい。ここでの結果としてのダイナミックレンジは、電圧U2〜606のダイナミックレンジと電圧計測との和である。
【0140】
特別な拡張は、この測定構成100において、磁場108を別の場所に伝導するための、磁気的に伝導性のコア320を用いる可能性である。したがって、例えば、強磁性材料の針をコイル104の中に据え付けることが可能である。コイル104は、コア320中で適度な磁束を発生させるが、しかし針の先端部で高い磁束を発生させる。針の先端部の領域における着磁可能な粒子は、特に高い応答信号を発生させる。何故なら、そこでは磁化が最も高いからである。この故に、顕微鏡が実現されるかもしれない。
【0141】
説明された実施形態は、単なる代表的なものであり、且つ互いに組み合わせてもよい。