(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明に係る実施形態について図面を参照しながら説明するが、本発明はこれに限定されない。
【0010】
<第1実施形態>
第1実施形態について説明する。
図1は、本実施形態に係る作業機械4の制御システム1の一例を示す図である。本実施形態においては、作業機械4が鉱山で稼働する鉱山機械4である例について説明する。
【0011】
鉱山機械4とは、鉱山における各種作業に用いる機械類の総称である。鉱山機械4は、運搬機械、積込機械、掘削機械、ボーリング機械、及び破砕機の少なくとも一つを含む。運搬機械は、積荷を運搬するための鉱山機械であり、ベッセルを有するダンプトラックを含む。積込機械は、運搬機械に積荷を積み込むための鉱山機械であり、油圧ショベル、電気ショベル、及びホイールローダの少なくとも一つを含む。
【0012】
また、鉱山機械4は、無人で稼働する無人鉱山機械と、運転者が搭乗し運転者の操作により稼働する有人鉱山機械とを含む。
【0013】
本実施形態においては、鉱山機械4として、運搬機械であるダンプトラック2及び積込機械である油圧ショベル3が専ら稼働する例について説明する。
【0014】
本実施形態において、ダンプトラック2は、無人で稼働する無人ダンプトラックである。ダンプトラック2は、管理装置10から送信されたデータ又は信号に基づいて鉱山を自律走行する。ダンプトラック2の自律走行とは、運転者の操作によらずに管理装置10から送信されたデータ又は信号に基づいて走行することをいう。
【0015】
本実施形態において、油圧ショベル3は、運転者が搭乗し運転者の操作により稼働する有人油圧ショベルである。
【0016】
図1に示すように、鉱山に作業場PA及び搬送路HLが設けられる。作業場PAは、積込場LPA及び排土場DPAの少なくとも一方を含む。積込場LPAは、ダンプトラック2に積荷を積み込む積込作業が実施されるエリアである。排土場DPAは、ダンプトラック2から積荷が排出される排出作業が実施されるエリアである。搬送路HLは、作業場PLに通じる走行路である。ダンプトラック2は、鉱山の作業場PA及び搬送路HLの少なくとも一部を走行する。
【0017】
図1において、制御システム1は、鉱山の管制施設7に設置される管理装置10と、通信システム9とを備える。通信システム9は、データ又は信号を中継する中継器6を複数有する。通信システム9は、管理装置10と鉱山機械4との間においてデータ又は信号を無線通信する。また、通信システム9は、複数の鉱山機械4の間においてデータ又は信号を無線通信する。
【0018】
本実施形態において、ダンプトラック2及び油圧ショベル3を含む鉱山機械4の位置が、GNSS(Global Navigation Satellite System)を利用して検出される。GNSSとは、全地球航法衛星システムをいう。全地球航法衛星システムの一例として、GPS(Global Positioning System)が挙げられる。GNSSは、複数の測位衛星5を有する。GNSSは、緯度、経度、及び高度の座標データで規定される位置を検出する。GNSSにより検出される位置は、グローバル座標系において規定される絶対位置である。GNSSにより、鉱山におけるダンプトラック2の位置及び油圧ショベル3の位置が検出される。
【0019】
以下の説明においては、GNSSによって検出される位置を適宜、GPS位置、と称する。GPS位置は、絶対位置であり、緯度、経度、及び高度の座標データを含む。
【0020】
次に、管理装置10について説明する。管理装置10は、鉱山機械4にデータ又は信号を送信し、鉱山機械4からデータ又は信号を受信する。
図1に示すように、管理装置10は、コンピュータ11と、表示装置16と、入力装置17と、無線通信装置18とを備える。
【0021】
コンピュータ11は、処理装置12と、処理装置12と接続される記憶装置13と、入出力部15とを備える。表示装置16、入力装置17、及び無線通信装置18は、入出力部15を介してコンピュータ11と接続される。
【0022】
処理装置12は、鉱山機械4を管理するための演算処理を実施する。処理装置12は、CPU(Central Processing Unit)のようなプロセッサを含む。記憶装置13は、鉱山機械4を管理するためのデータを記憶する。記憶装置13は、ROM(Read Only Memory)又はフラッシュメモリのような不揮発性メモリと、RAM(Random Access Memory)のような揮発性メモリとを含む。表示装置16は、処理装置12の演算処理の結果を表示する。表示装置16は、液晶ディスプレイ(Liquid Crystal Display:LCD)又は有機ELディスプレイ(Organic Electroluminescence Display:OELD)のようなフラットパネルディスプレイを含む。入力装置17は、操作されることにより鉱山機械4を管理するためのデータを生成する。入力装置17は、例えばコンピュータ用のキーボード、マウス、及びタッチパネルの少なくとも一つを含む。処理装置12は、記憶装置13に記憶されているデータ、入力装置17で生成されたデータ、及び通信システム9を介して取得したデータの少なくとも一つを用いて演算処理を実施する。
【0023】
無線通信装置18は、管制施設7に設置される。無線通信装置18は、アンテナ18Aを有する。無線通信装置18は、入出力部15を介して処理装置12と接続される。通信システム9は、無線通信装置18を含む。無線通信装置18は、鉱山機械4から送信されたデータ又は信号を受信可能である。無線通信装置18で受信されたデータ又は信号は、処理装置12に出力され記憶装置13に記憶される。無線通信装置18は、鉱山機械4にデータ又は信号を送信可能である。
【0024】
図2は、本実施形態に係る管理装置10の一例を示す機能ブロック図である。
図2に示すように、管理装置10の処理装置12は、鉱山の作業場PAにおいてダンプトラック2のスイッチバック点を設定するスイッチバック点設定部121と、鉱山の作業場PAにおいてダンプトラック2の作業点を設定する作業点設定部122と、鉱山機械4の目標走行経路を複数生成する走行経路生成部123と、鉱山機械4から送信されたデータ又は信号を取得するデータ取得部124と、走行経路生成部123で生成された複数の目標走行経路の中からダンプトラック2を走行させる目標走行経路を選択する走行経路選択部125と、走行経路選択部125で選択された目標走行経路に従ってダンプトラック2が走行するように制御信号を出力する走行制御部126と、を備える。
【0025】
スイッチバック点設定部121は、積込場LPA及び排土場DPAの少なくとも一方において、ダンプトラック2がスイッチバックする絶対位置を示すスイッチバック点を設定する。スイッチバック点設定部121は、鉱山の積込場LPA及び排土場DPAの少なくとも一方を含む作業場において、ダンプトラック2のスイッチバック点を複数設定する。スイッチバックとは、前進するダンプトラック2が鋭角的に進行方向を転換して、後進しながら作業点に接近する動作をいう。
【0026】
作業点設定部122は、積込場LPA及び排土場DPAの少なくとも一方において、ダンプトラック2が規定作業を実施する絶対位置を示す作業点を設定する。ダンプトラック2の規定作業は、ダンプトラック2に積荷を積み込む積荷作業、及びダンプトラック2から積荷を排出する排出作業の少なくとも一方を含む。作業点は、積込作業が実施される絶対位置を示す積込点、及び排出作業が実施される絶対位置を示す排出点の少なくとも一方を含む。積込場LPAにおいて積込点が設定される。排土場DPAにおいて排出点が設定される。
【0027】
走行経路生成部123は、搬送路HL及び作業場PAの少なくとも一方において鉱山を走行する各ダンプトラック2に対して走行する目標走行経路を生成する。走行経路生成部123は、スイッチバック点設定部121で設定された複数のスイッチバック点のそれぞれの位置及び少なくとも1つの作業点の位置に基づいて、ダンプトラック2が作業場を走行するための複数の目標走行経路を生成する。
【0028】
データ取得部124は、ダンプトラック2及び油圧ショベル3を含む鉱山機械4から送信されたデータ又は信号を取得する。
【0029】
走行経路選択部125は、複数のダンプトラック2のそれぞれが作業場を走行するための目標走行経路を、走行経路生成部123で生成された複数の目標走行経路の中から選択する。走行経路選択部125は、作業場において轍の生成が抑制されるように目標走行経路を選択する。また、スイッチバック点が複数設定される場合、走行経路選択部125は、第1のダンプトラック2が第1のスイッチバック点を通過して作業点に走行後、第2のダンプトラック2が第2のスイッチバック点を通過して作業点に走行するように、目標走行経路を選択する。
【0030】
走行制御部126は、ダンプトラック2の走行を制御するための制御信号を生成し出力する。走行制御部126は、走行経路生成部123で生成された目標走行経路に従ってダンプトラック2が走行するように、ダンプトラック2を制御する。
【0031】
図3は、本実施形態に係る目標走行経路RPの一例を示す模式図である。処理装置12の走行経路生成部123は、鉱山を走行するダンプトラック2の走行条件データを生成する。目標走行経路RP走行条件データは、目標走行経路RP上に一定の間隔Wで設定される複数のコース点PIの集合体を含む。
【0032】
複数のコース点PIのそれぞれは、ダンプトラック2の目標絶対位置データと、コース点PIが設定された位置におけるダンプトラック2の目標走行速度データとを含む。目標走行経路RPは、複数のコース点PIの集合体である目標走行経路RPによって規定される。複数のコース点PIを通過する軌跡によってダンプトラック2の目標走行経路RPが規定される。目標走行速度データに基づいて、そのコース点PIが設定された位置におけるダンプトラック2の目標走行速度が規定される。
【0033】
管理装置10は、無線通信装置18を介して、ダンプトラック2に、進行方向前方の複数のコース点PIを含む走行条件データを出力する。ダンプトラック2は、管理装置10から送信された走行条件データに従って、鉱山を走行する。
【0034】
なお、
図3は、搬送路HLに設定される目標走行経路RPを示す。走行経路生成部123は、搬送路HLのみならず、作業場PAにおいても目標走行経路RPを示す目標走行経路RPを生成する。
【0035】
次に、本実施形態に係るダンプトラック2について説明する。
図4は、本実施形態に係るダンプトラック2の一例を模式的に示す図である。
【0036】
ダンプトラック2は、鉱山を走行可能な走行装置21と、走行装置21に支持される車両本体22と、車両本体22に支持されるベッセル23と、走行装置21を駆動する駆動装置24と、制御装置25とを備える。
【0037】
走行装置21は、車輪26と、車輪26を回転可能に支持する車軸27と、走行装置21を制動するブレーキ装置28と、進行方向を調整可能な操舵装置29とを有する。
【0038】
走行装置21は、駆動装置24が発生した駆動力により作動する。駆動装置24は、ダンプトラック2を加速させるための駆動力を発生する。駆動装置24は、例えば電気駆動方式により走行装置21を駆動する。駆動装置24は、ディーゼルエンジンのような内燃機関と、内燃機関の動力により作動する発電機と、発電機が発生した電力により作動する電動機とを有する。
【0039】
操舵装置29は、車輪26の向きを変えることによって、ダンプトラック2の進行方向を調整する。
【0040】
ブレーキ装置28は、ダンプトラック2を減速又は停止させるための制動力を発生する。制御装置25は、駆動装置24を作動するためのアクセル指令信号、ブレーキ装置28を作動するためのブレーキ指令信号、及び操舵装置29を作動するためのステアリング指令信号を出力する。
【0041】
また、ダンプトラック2は、ダンプトラック2の位置を検出する位置検出器35と、無線通信装置36とを備える。
【0042】
位置検出器35は、GPS受信機を含み、ダンプトラック2のGPS位置(座標)を検出する。位置検出器35は、GPS用のアンテナ35Aを有する。アンテナ35Aは、測位衛星5からの電波を受信する。位置検出器35は、アンテナ35Aで受信した測位衛星5からの電波に基づく信号を電気信号に変換して、アンテナ35Aの位置を算出する。アンテナ35AのGPS位置が算出されることによって、ダンプトラック2のGPS位置が検出される。
【0043】
通信システム9は、ダンプトラック2に設けられている無線通信装置36を含む。無線通信装置36は、アンテナ36Aを有する。無線通信装置36は、管理装置10と無線通信可能である。
【0044】
管理装置10は、通信システム9を介して、目標走行経路RPを含むダンプトラック2の走行条件データを制御装置25に送信する。制御装置25は、管理装置10から供給された走行条件データに基づいて、ダンプトラック2が走行条件データに従って走行するように、ダンプトラック2の駆動装置24、ブレーキ装置28、及び操舵装置29の少なくとも一つを制御する。
【0045】
また、ダンプトラック2は、通信システム9を介して、位置検出器35で検出されたダンプトラック2の絶対位置を示す絶対位置データを管理装置10に送信する。管理装置10のデータ取得部124は、鉱山を走行する複数のダンプトラック2の絶対位置データを取得する。
【0046】
次に、本実施形態に係るダンプトラック2の制御装置25について説明する。
図5は、本実施形態に係るダンプトラック2の制御装置25の機能ブロック図である。制御装置25は、ダンプトラック2に搭載される。
【0047】
図5に示すように、ダンプトラック2は、無線通信装置36と、位置検出器35と、制御装置25と、駆動装置24と、ブレーキ装置28と、操舵装置29とを備える。
【0048】
制御装置25は、入出力部41と、走行条件データ取得部42と、運転制御部43と、絶対位置データ取得部44と、記憶部45とを備える。
【0049】
入出力部41は、無線通信装置36から出力された管理装置10からの走行条件データ、及び位置検出器35から出力されたダンプトラック2の絶対位置を示す絶対位置データを取得する。また、入出力部41は、駆動装置24にアクセル指令信号を出力し、ブレーキ装置28にブレーキ指令信号を出力し、操舵装置29にステアリング指令信号を出力する。
【0050】
走行条件データ取得部42は、管理装置10から送信された、目標走行経路RPを含む走行条件データを取得する。
【0051】
運転制御部43は、指定された走行条件データに基づいて、ダンプトラック2の走行装置21を制御する運転制御信号を出力する。走行装置21は、ブレーキ装置28及び操舵装置29を含む。運転制御部43は、駆動装置24、ブレーキ装置28、及び操舵装置29を含む走行装置21に運転制御信号を出力する。運転制御信号は、駆動装置24に出力されるアクセル信号、ブレーキ装置28に出力されるブレーキ指令信号、及び操舵装置29に出力されるステアリング指令信号を含む。
【0052】
絶対位置データ取得部45は、位置検出器35の検出結果からダンプトラック2の絶対位置データを取得する。
【0053】
記憶部45は、無線通信装置36から取得したダンプトラック2の走行条件データを記憶する。走行条件データは、目標走行経路RPを示す目標走行経路RPを含む。
【0054】
次に、本実施形態に係る油圧ショベル3について説明する。
図6は、本実施形態に係る油圧ショベル3の一例を模式的に示す図である。
図7は、本実施形態に係る油圧ショベル3の制御装置70の機能ブロック図である。制御装置70は、油圧ショベル3に搭載される。
【0055】
図6に示すように、油圧ショベル3は、油圧により作動する作業機50と、作業機50を支持する車両本体60とを備える。車両本体60は、上部旋回体61と、上部旋回体61を支持する下部走行体62とを含む。上部旋回体61は、運転室を含むキャブ63を有する。運転室には、運転者Maが着座する運転席64と、運転者Maに操作される操作レバー65と、運転者Maに操作される入力装置66と、表示装置67とが配置される。
【0056】
図7に示すように、油圧ショベル3は、上部旋回体61に対するバケット53の相対位置を検出する検出装置57を備える。また、油圧ショベル3は、上部旋回体61の絶対位置を検出する位置検出器68と、無線通信装置69とを備える。
【0057】
位置検出器68は、GPS受信機及び慣性計測装置(Inertial Measurement Unit:IMU)を含み、油圧ショベル3における上部旋回体61のGPS位置(絶対位置)及び方位を検出する。検出装置57によって上部旋回体61に対するバケット53の刃先53Bの相対位置が検出される。バケットの相対位置は、旋回中心から上部旋回体61の向きに所定距離離れた点に位置するものとして規定されてもよいし、ブーム、アーム、バケット等の角度を検出して規定されてもよい。位置検出器68の検出結果と検出装置57の検出結果とに基づいて、バケット53の刃先53Bの絶対位置が算出される。
【0058】
通信システム9は、油圧ショベル3に設けられている無線通信装置69を含む。無線通信装置69は、管理装置10と無線通信可能である。
【0059】
次に、本実施形態に係る油圧ショベル3の制御装置について説明する。
図9は、本実施形態に係る油圧ショベル3の制御装置70の機能ブロック図である。制御装置70は、油圧ショベル3に搭載される。
【0060】
図9に示すように、油圧ショベル3は、無線通信装置69と、位置検出器68と、検出装置57と、制御装置70と、入力装置66と、表示装置67とを備える。
【0061】
制御装置70は、入出力部71と、バケット位置データ取得部72と、入力データ取得部73と、指令データ生成部74を備える。
【0062】
入出力部71は、位置検出器68から出力された油圧ショベル3の位置を示す位置データ、検出装置57で検出されたバケット53の位置を示すバケット位置データ、及び入力装置66が操作されることにより生成された入力データを取得する。また、入出力部41は、指令データ生成部74で生成された指令データを、無線通信装置69を介して管理装置10に出力する。
【0063】
バケット位置データ取得部72は、位置検出器68によって検出された上部旋回体61の絶対位置を示す位置データと、検出装置57によって検出された上部旋回体61に対するバッケット53の相対位置を示す位置データとを取得する。バケット位置データ取得部72は、位置検出器68で検出された上部旋回体61の絶対位置を示す位置データと、検出装置57で検出された上部旋回体61に対するバケット53の相対位置を示す位置データとに基づいて、バケット53の絶対位置を示すバケット位置データを算出する。
【0064】
入力データ取得部73は、運転者Maに操作されることにより入力装置66で生成された入力データを取得する。
【0065】
指令データ生成部74は、鉱山機械4の作業点の設定を指令する指令データを生成する。本実施形態において、指令データ生成部74は、鉱山の積込場LPAにおいてダンプトラック2の積込点の設定を指令する指令データを生成する。積込点の設定方法として、例えば、運転者Maは、操作レバー65を操作して、バケット53を希望する位置に配置した状態で、入力装置66を操作する。指令データは、入力装置66が操作された時点におけるバケット53の絶対位置を示すバケット位置データを含む。入力装置66が操作され、入力装置66で生成された入力データが入力データ取得部73に取得された時点におけるバケット53のバケット位置データが積込点として設定される。このように、本実施形態においては、油圧ショベル3に設けられた入力装置66が操作されることにより、積込点の設定を指令する指令データが指令データ生成部74によって生成される。指令データ生成部74で生成された指令データは、無線通信装置69を介して管理装置10に送信される。
【0066】
次に、本実施形態に係るダンプトラック2の動作の一例について説明する。
図8は、本実施形態に係るダンプトラック2の積込場LPAにおける動作の一例を示す模式図である。
【0067】
積込場LPAは、ダンプトラック2に対する積込作業が実施されるエリアである。油圧ショベル3が積込場LPAに配置される。積込場LPAには、積込場LPAに進入および退去するダンプトラック2が走行する第1搬送路HL1と、積込場LPAから退去したダンプトラック2が走行する第2搬送路HL2とが接続される。なお、搬送路は1つの搬送路HLのみが積込場LPAに接続される構成であってもよい。
【0068】
管理装置10における走行経路生成部123は、第1搬送路HL1におけるダンプトラック2の目標走行経路RPi、第2搬送路HL2におけるダンプトラック2の目標走行経路RPo、及び積込場LPAにおけるダンプトラック2の目標走行経路RPを生成する。
【0069】
管理装置10におけるスイッチバック点設定部121は、積込場LPAにおいてスイッチバック点BPを設定する。作業点設定部122は、積込場LPAにおいて積込点LPを設定する。スイッチバック点BPは、スイッチバックするダンプトラック2の絶対位置における目標点を示す。積込点LPは、油圧ショベル3が積込作業する際のダンプトラック2の絶対位置における目標点を示す。前進しながら第1搬送路HL1から積込場LPAに進入したダンプトラック2は、スイッチバック点BPでスイッチバックして、後進しながら積込点LPに移動する。積込点LPにおいて積込作業が実施されたダンプトラック2は、前進しながら積込場LPAから第2搬送路HL2に退去する。
【0070】
本実施形態において、積込点LPは、例えば油圧ショベル3の運転者Maにより指定される。運転者Maは、操作レバー65を操作して、作業機50のバケット53を希望する位置に配置する。バケット53が希望する位置に配置された状態で、運転者Maは、入力装置66を操作する。入力装置66が操作され、入力装置66で生成された入力データが入力データ取得部73に取得された時点におけるバケット53の絶対位置を示すバケット位置データが積込点LPに設定される。
【0071】
運転者Maにより設定された積込点LPの位置データを含む指令データが油圧ショベル3の指令データ生成部74で生成される。指令データ生成部74で生成された指令データは、無線通信装置69を介して管理装置10に送信される。
【0072】
管理装置10のデータ取得部124は、運転者Maにより指定された積込点LPの位置データを含む指令データを油圧ショベル3から取得する。管理装置10の作業点設定部122は、油圧ショベル3から送信された指令データに基づいて、積込点LPを設定する。
【0073】
走行経路生成部123は、第1搬送路HL1における目標走行経路RPiと、スイッチバック点設定部121で設定されたスイッチバック点BPとが結ばれるように、積込場LPAの入口からの目標走行経路RPを生成する。また、走行経路生成部123は、スイッチバック点設定部121で設定されたスイッチバック点BPと作業点設定部122で設定された積込点LPとが結ばれるように、目標走行経路RPを生成する。また、走行経路生成部123は、作業点設定部122で設定された積込点LPと第2搬送路HL2における目標走行経路RPoとが結ばれるように、積込場LPAの出口までの目標走行経路RPを生成する。
【0074】
走行経路生成部123で生成された目標走行経路データ、スイッチバック点設定部121で設定されたスイッチバック点データ、及び作業点設定部122で設定された積込点データ(作業点データ)は、通信システム9を介してダンプトラック2に送信される。本実施形態においては、走行経路生成部123で生成され、走行経路選択部125で選択された目標走行経路データが、通信システム9を介してダンプトラック2に送信される。ダンプトラック2は、管理装置10で生成された、第1搬送路HL1における目標走行経路RPi、積込場LPAにおけるスイッチバック点BP及び積込点LPを含む目標走行経路RP、及び第2搬送路HL2における目標走行経路RPoに従って、第1搬送路HL1、積込場LPA、及び第2搬送路HL2を走行する。
【0075】
次に、本実施形態に係るダンプトラック2の制御方法について説明する。
図9は、本実施形態に係るダンプトラック2の制御方法の一例を示すフローチャートである。
図10は、本実施形態に係るダンプトラック2の制御方法の一例を示す模式図である。
【0076】
管理装置10におけるスイッチバック点設定部121において、スイッチバック点BPの位置が設定される(ステップSP10)。本実施形態において、スイッチバック点設定部121は、積込場LPAにおいてダンプトラック2のスイッチバック点BPを複数設定する。
図10に示すように、本実施形態においては、例えば3つのスイッチバック点BP1,BP2,BP3が間隔をあけて設定される。複数のスイッチバック点BP(BP1,BP2,BP3)は、積込場LPA内において間隔をあけて設定される。
【0077】
スイッチバック点BPの位置の設定は、例えば管制施設7の管理者により実施されてもよいし、油圧ショベル3の運転者Maにより実施されてもよい。例えば、管制施設7の管理者が入力装置17を操作して、スイッチバック点BPを設定してもよい。また、管理装置10におけるスイッチバック点設定部121により自動的に複数点が設定されてもよい。油圧ショベル3の運転者Maが入力装置66を操作して、スイッチバック点BPを設定してもよい。油圧ショベル3の運転者Maがスイッチバック点BPを設定する場合、入力装置66が操作されることにより生成されたスイッチバック点BPを設定するための入力データが、油圧ショベル3から通信システム9を介して管理装置10に送信される。
【0078】
作業点設定部122は、積込場LPAにおいてダンプトラック2の積込点LPの位置を1つ設定する(ステップSP20)。
【0079】
上述のように、積込点LPは、例えば油圧ショベル3の運転者Maにより指定される。運転者Maは、希望する位置にバケット53が配置された状態で、入力装置66を操作する。油圧ショベル3の指令データ生成部74は、入力装置66が操作されることにより生成された入力データを入力データ取得部73が取得した時点におけるバケット53の絶対位置を示すバケット位置データに基づいて、ダンプトラック2の積込点LPの設定を指令する指令データを生成する。管理装置10のデータ取得部124は、指令データ生成部74で生成された指令データを、通信システム9を介して油圧ショベル3から取得する。管理装置10の作業点設定部122は、データ取得部124で取得された指令データに基づいて、積込点LPを設定する。また、管理装置10における作業点設定部122により自動的に積込点の位置が設定されてもよい。
【0080】
設定されたスイッチバック点BP及び積込点LPに基づいて、目標走行経路RPが生成される(ステップSP30)。
図10に示すように、走行経路生成部123は、第1搬送路HL1における目標走行経路RPiと積込場LPAにおける複数のスイッチバック点BP(BP1,BP2,BP3)のそれぞれとが結ばれるように、複数の目標走行経路RP(RP1,RP2,RP3)を生成する。
【0081】
また、走行経路生成部123は、複数のスイッチバック点BP(BP1,BP2,BP3)のそれぞれと作業点LPとを結ぶように、複数の目標走行経路RP(RP1,RP2,RP3)を生成する。
図10に示す例では、複数の目標走行経路RPは、スイッチバック点BP1と作業点LPとを結ぶ目標走行経路RP1、スイッチバック点BP2と作業点LPとを結ぶ目標走行経路RP2、及びスイッチバック点BP3と作業点LPとを結ぶ目標走行経路RP3を含む。
【0082】
走行経路選択部125は、走行経路生成部123で生成された複数の目標走行経路RP(RP1,RP2,RP3)の中から、ダンプトラック2を走行させる目標走行経路RPを選択する(ステップSP40)。
【0083】
走行経路生成部123で生成され走行経路選択部125で選択された目標走行経路RPは、鉱山で稼働する複数のダンプトラック2のそれぞれに送信される。複数のダンプトラック2はそれぞれ、走行経路選択部125で選択された目標走行経路RPのいずれかに従って積込場LPA内を走行する。
【0084】
走行制御部126は、第1搬送路HL1から積込場LPAに進入するダンプトラック2の走行を制御するための制御信号を出力する(ステップSP50)。本実施形態において、走行制御部126は、積込場LPAに進入するダンプトラック2が走行経路選択部125で選択された目標走行経路RPに従って走行するように、ダンプトラック2に制御信号を出力する。
【0085】
積込場LPAにおいて設定された複数の目標走行経路RP(RP1,RP2,RP3)からダンプトラック2に走行させる目標走行経路RPが走行経路選択部125によって選択された場合、走行制御部126は、その選択された目標走行経路RPに従ってダンプトラック2が走行するように、そのダンプトラック2に制御信号を出力する。
【0086】
本実施形態において、走行経路選択部125は、第1のダンプトラック2が積込場LPAにおける目標走行経路RPとして第1の目標走行経路RPを選択し、次に積込場LPAに進入する第2のダンプトラック2が積込場LPAにおける目標走行経路RPとして、第1の目標走行経路RPとは異なる第2の目標走行経路RPを選択する。
【0087】
本実施形態において、走行経路選択部125は、ダンプトラック2が複数のスイッチバック点BP(BP1,BP2,BP3)を順次通過するように目標走行経路RPを選択する。例えば、第1のダンプトラック2がスイッチバック点BP1を通過して積込点LPに向かって目標走行経路RP1を走行させる第1動作、第2のダンプトラック2がスイッチバック点BP2を通過して積込点LPに向かって目標走行経路RP2を走行させる第2動作、及び第3のダンプトラック2がスイッチバック点BP3を通過して積込点LPに向かって目標走行経路RP3を走行させる第3動作が、第1動作、第2動作、及び第3動作の順番で実施された後、再度、第1動作、第2動作、及び第3動作の順番で実施されるように、複数のダンプトラック2が制御される。
【0088】
本実施形態において、スイッチバック点設定部121は、積込場LPAにおいて轍の生成が抑制されるように、複数のスイッチバック点BP(BP1,BP2,BP3)を設定する。走行経路生成部123は、積込場LPAにおいて複数のスイッチバック点BPに対応するように、複数の目標走行経路RP(RP1,RP2,RP3)を設定する。走行経路選択部125は、積込場LPAにおいて轍の生成が抑制されるように、ダンプトラック2を通過させる目標走行経路RPを選択する。走行経路制御部126は、選択された目標走行経路RPに従って走行するように、各ダンプトラック2に制御信号を送信する。
【0089】
例えば、複数のスイッチバック点BPの間隔が狭かったり、複数の目標走行経路RPの間隔が狭かったりする場合、複数のダンプトラック2の車輪26は、実質的に同一ルートを通過することとなる。その結果、深い轍が生成される可能性がある。スイッチバック点設定部121は、複数のスイッチバック点BPの間隔が、例えば車輪26の幅(タイヤ幅)よりも大きくなるように、複数のスイッチバック点BPの位置を設定してもよい。
【0090】
また、スイッチバック点BPが複数設定されても、複数のスイッチバック点BPのうち特定のスイッチバック点BPを連続して通過する場合、深い轍が生成される可能性がある。
【0091】
そこで、走行経路選択部125は、複数のスイッチバック点BPのうち同一のスイッチバック点BPに複数のダンプトラック2が連続して通過しないように、ダンプトラック2が通過するスイッチバック点BPを、複数のスイッチバック点BPの中から選択する。例えば、走行経路選択部125は、ダンプトラック2が通過するスイッチバック点BPを、複数のスイッチバック点BPの中から順次選択してもよいし、ランダムに選択してもよい。少なくとも、走行経路選択部125は、第1のダンプトラック2が積込場LPAに進入した後に、次に積込場LPAに進入するダンプトラック2が第1のダンプトラック2とは異なる第2のダンプトラック2であった場合、第1のダンプトラック2が通過した第1のスイッチバック点BPを、第2のダンプトラック2が通過せずに第1のスイッチバック点BPとは異なる第2のスイッチバック点BPを通過するように、目標走行経路RPを選択してもよい。
【0092】
なお、ある積込場LPAにおいて、第1のダンプトラック2が通過するスイッチバック点BPとして第1のスイッチバック点BP1が選択されたとしても、次に第1のダンプトラック2が同じ積込場LPAに進入する場合には、異なるスイッチバック点BPが選択されてもよい。
【0093】
以上説明したように、本実施形態によれば、1つの積込点LPに対して複数のスイッチバック点BPが設定され、複数のスイッチバック点BPのそれぞれの位置に基づいて、複数のスイッチバック点BPのそれぞれと積込点LPとを結ぶ複数の目標走行経路RPが生成され、複数の目標走行経路RPの中から選択された目標走行経路RPに従って複数のダンプトラック2のそれぞれが積込点LPに走行するように制御されるので、同一の目標走行経路RPに従ってダンプトラック2が連続的に走行することが抑制される。したがって、積込場LPにおいて深い轍が生成されることが抑制される。深い轍の生成が抑制されるため、整地作業の実施が抑制され、鉱山の生産性の低下が抑制される。
【0094】
また、本実施形態においては、走行経路選択部125は、ダンプトラック2が複数のスイッチバック点BPを順次通過するようにスイッチバック点BPを選択し、ダンプトラック2は、複数のスイッチバック点BPを順次通過するように制御される。これにより、例えばダンプトラック2がスイッチバック点BP1を通過してから再度スイッチバック点BP1を通過するまでの期間と、ダンプトラック2がスイッチバック点BP2を通過してから再度スイッチバック点BP2を通過するまでの期間と、ダンプトラック2がスイッチバック点BP3を通過してから再度スイッチバック点BP3を通過するまでの期間とを、実質的に同一にすることができる。これにより、複数のスイッチバック点BPにおいてダンプトラック2が通過する回数の偏り及び通過しない期間の偏りが抑制されるので、深い轍の生成が抑制される。
【0095】
なお、本実施形態においては、走行制御部126は、ダンプトラック2が複数のスイッチバック点BP(BP1,BP2,BP3)を順次通過するように制御信号を出力することとした。すなわち、第1のダンプトラック2がスイッチバック点BP1を通過して積込点LPに向かって目標走行経路RP1を走行させる第1動作、第2のダンプトラック2がスイッチバック点BP2を通過して積込点LPに向かって目標走行経路RP2を走行させる第2動作、及び第3のダンプトラック2がスイッチバック点BP3を通過して積込点LPに向かって目標走行経路RP3を走行させる第3動作が、第1動作、第2動作、及び第3動作の順番で実施された後、再度、第1動作、第2動作、及び第3動作の順番で実施されるように、複数のダンプトラック2が制御されることとした。第1動作、第2動作、及び第3動作が、ダンプトラック2の走行毎にランダムに変更されてもよい。上述のように、同一のスイッチバック点BPを連続的にダンプトラック2が通過しないように、ダンプトラック2の走行が制御されてもよい。また、後述するような、頻度マップを用いてスイッチバック点BPが選択されてもよい。
【0096】
<第2実施形態>
第2実施形態について説明する。上述の実施形態と同一又は同等の構成要素については同一の符号を付し、その説明を簡略又は省略する。
【0097】
図11は、本実施形態に係るダンプトラック2の制御方法の一例を示す模式図である。
図11に示すように、スイッチバック点設定部121は、複数のスイッチバック点BPを、積込場LPA内における規定ラインALに沿って間隔をあけて設定することができる。
図11に示す例では、規定ラインALに沿って3つのスイッチバック点BP(BP1,BP2,BP3)が設定されているが、規定ラインAL上であればどの位置においてもスイッチバック点BPを設定することができる。走行経路選択部125は、各ダンプトラック2の走行毎に通過するスイッチバック点BPの位置を選択する。具体的な走行経路の選択手法としては、例えば
図11のように所定のスイッチバック点をいくつか設定して順次選択されるようにしてもよいし、
図11におけるスイッチバック点BP1から右上方向に等間隔にスイッチバック点BPを移動させて選択するようにしてもよいし、ランダムに規定ラインAL上にスイッチバック点BPを選択するようにしてもよい。また、後述する頻度マップを用いてスイッチバック点BPを選択するようにしてもよい。その他、どのような選択方法を採用してもよい。
【0098】
以上説明したように、規定ラインALが設定され、規定ラインALに沿って複数のスイッチバック点BPが設定されることにより、積込場LPAにおいて深い轍が生成されることが抑制され、鉱山の生産性の低下が抑制される。
【0099】
<第3実施形態>
第3実施形態について説明する。上述の実施形態と同一又は同等の構成要素については同一の符号を付し、その説明を簡略又は省略する。
【0100】
図12は、本実施形態に係るダンプトラック2の制御方法の一例を示す模式図である。
図12に示すように、スイッチバック点設定部121は、複数のスイッチバック点BPを、積込場LPA内における規定エリアAR内に間隔をあけて設定することができる。
図12に示す例では、規定エリアARに3つのスイッチバック点BP(BP1,BP2,BP3)が間隔をあけて設定されているが、規定エリアAR上であればどの位置においてもスイッチバック点BPを設定することができる。各ダンプトラック2が走行する毎にどの位置のスイッチバック点BPを通過させるかは、走行経路選択部125が選択する。具体的な走行経路の選択手法としては、例えば
図12のように所定のスイッチバック点をいくつか設定して順次選択されるようにしてもよいし、
図12におけるスイッチバック点BP1から所定の方向(上、下、左右、斜め等)に等間隔にスイッチバック点BPを移動させて選択するようにしてもよいし、ランダムに規定エリアAR上にスイッチバック点BPを選択するようにしてもよい。また、後述する頻度マップを用いてスイッチバック点BPを選択するようにしてもよい。その他、どのような選択方法を採用してもよい。なお、規定エリアARは、積込場LPA内であればどこに設定してもよい。
【0101】
以上説明したように、規定エリアARが設定され、規定ARにおいて複数のスイッチバック点BPが設定されることにより、積込場LPAにおいて深い轍が生成されることが抑制され、鉱山の生産性の低下が抑制される。
【0102】
<第4実施形態>
第4実施形態について説明する。上述の実施形態と同一又は同等の構成要素については同一の符号を付し、その説明を簡略又は省略する。
【0103】
本実施形態においては、走行経路選択部125が、ダンプトラック2が通過するスイッチバック点BPを、頻度マップを用いて積込場LPAにおいて轍の生成が抑制されるように複数のスイッチバック点BPの中から選択する選択方法について説明する。頻度マップを用いたスイッチバック点BP及び目標走行経路RPの選択方法は、例えば上述した第1実施形態から第3実施形態の例において適用することができる。本実施形態において、走行経路選択部125は、積込場LPAにおいて轍の生成が抑制されるように、スイッチバック点BPの位置を変える。走行経路生成部123は、積込場LPAにおいて轍の生成が抑制されるように、目標走行経路RPの位置(ルート)を変える。
【0104】
図13は、本実施形態に係るダンプトラック2の制御方法の一例を示す模式図である。本実施形態においては、上述の第3実施形態で説明した規定エリアARを用いた例において説明する。走行制御部126は、複数のスイッチバック点BP及び積込点LPを含む積込場LPAの所定エリアASを複数のグリッドGRで区画する。規定エリアARは、所定エリアASの一部に設定される。走行制御部126は、位置検出器35で検出されるダンプトラック2の絶対位置データに基づいて、ダンプトラック2の車輪26が通過したグリッドGRを特定する。走行制御部126は、複数のグリッドGR毎に、ダンプトラック2の車輪26が通過した回数をカウントする。つまり、あるグリッドGRのカウント回数が周囲のグリッドGRのカウント回数に対して大きい差がある場合、その領域に轍が発生していると推定することができる。スイッチバック点設定部121は、積込点LPの位置が固定された状態で、所定エリアASに設定された複数のグリッドGRのそれぞれについて、ダンプトラック2の車輪26がグリッドGRを通過した回数が、周囲のグリッドGRを通過した回数に対して突出して大きくならないように、スイッチバック点BPの位置を自動的に変える。また、走行経路生成部123は、積込点LPの位置が固定された状態で、所定エリアASに設定された複数のグリッドGRのそれぞれについて、ダンプトラック2の車輪26がグリッドGRを通過した回数が、周囲のグリッドGRを通過した回数に対して突出して大きくならないように、目標走行経路RPのルートを変える。これにより、深い轍の生成が抑制される。
【0105】
図13に示す例では、目標走行経路RP2及びスイッチバック点BP2を含むグリッドGRbをダンプトラック2の車輪26が通過した回数が、そのグリッドGRbの周囲のグリッドGRを通過した回数よりも多いと判定される。この場合、スイッチバック点設定部121は、規定エリアARにおいて、スイッチバック点BPの位置を、スイッチバック点BP2から、例えばスイッチバック点BP1又はスイッチバック点BP3に変更する。
【0106】
なお、本実施形態では目標走行経路RP上に位置するグリッドのカウント回数を増加させるようにしたが、実際の走行経路に対するタイヤの走行経路上に位置するグリッドのカウント回数を増加させるようにしてもよい。
【0107】
以上説明したように、本実施形態においては、積込場LPAの所定エリアASにおいてダンプトラック2の車輪26が通過する頻度を示す頻度マップが作成され、その頻度マップを参照して、所定エリアASの特定領域だけ車輪26が高頻度で走行しないように、スイッチバック点BP及び目標走行経路RPが設定される。したがって、積込場LPAにおいて深い轍が生成されることが抑制され、鉱山の生産性の低下が抑制される。
【0108】
<第5実施形態>
第5実施形態について説明する。上述の実施形態と同一又は同等の構成要素については同一の符号を付し、その説明を簡略又は省略する。
【0109】
図14は、本実施形態に係るダンプトラック2の制御方法の一例を示す模式図である。
図14に示すように、走行経路生成部123は、第1搬送路HL1において複数の目標走行経路RPiを生成することができる。
図14に示す例では、第1搬送路HL1において5つの目標走行経路RPiが生成される。走行制御部126は、第1搬送路HL1においてダンプトラック2が複数の目標走行経路RPiのそれぞれを通過するように、ダンプトラック2を制御する。これにより、第1搬送路HL1において深い轍が生成されることが抑制される。
【0110】
本実施形態において、走行経路生成部123は、スイッチバック点BPと第1搬送路HL1の複数の目標走行経路RPiのそれぞれとを結ぶように、第1搬送路HL1において複数の目標走行経路RPiを生成する。なお、
図14は、スイッチバック点BP1と第1搬送路HL1における5つの目標走行経路RPiのそれぞれとが結ばれる例を示す。図示は省略するが、走行経路生成部123は、スイッチバック点BP2と第1搬送路HL1の5つの目標走行経路RPiのそれぞれとを結ぶように、第1搬送路HL1において複数の目標走行経路RPiを生成する。また、走行経路生成部123は、スイッチバック点BP3と第1搬送路HL1の5つの目標走行経路RPiのそれぞれとを結ぶように、第1搬送路HL1において複数の目標走行経路RPiを生成する。
【0111】
以上説明したように、本実施形態によれば、第1搬送路HL1においても複数の目標走行経路RPiが生成されることより、第1搬送路HL1においても轍の生成が抑制される。また、積込場LPAにおいても広い範囲において轍の生成が抑制される。
【0112】
<第6実施形態>
第6実施形態について説明する。上述の実施形態と同一又は同等の構成要素については同一の符号を付し、その説明を簡略又は省略する。
【0113】
図15は、本実施形態に係るダンプトラック2の制御方法の一例を示す模式図である。
図15に示すように、スイッチバック点設定部121は、複数のスイッチバック点BPを、間隔をあけて設定することができる。
図15に示す例では、規定ラインALに沿って5つのスイッチバック点BPが等間隔で設定される。
【0114】
また、
図15に示すように、走行経路生成部123は、第2搬送路HL2において複数の目標走行経路RPoを生成することができる。
図15に示す例では、第2搬送路HL2において5つの目標走行経路RPoが生成される。走行制御部126は、第2搬送路HL2においてダンプトラック2が複数の目標走行経路RPoのそれぞれを通過するように、ダンプトラック2を制御する。これにより、第2搬送路HL2において深い轍が生成されることが抑制される。
【0115】
本実施形態において、走行経路生成部123は、積込点LPと第2搬送路HL2の複数の目標走行経路RPoのそれぞれとを結ぶように、第2搬送路HL2において複数の目標走行経路RPを生成する。
【0116】
以上説明したように、本実施形態によれば、第2搬送路HL2においても複数の目標走行経路RPoが生成されることより、第2搬送路HL2においても轍の生成が抑制される。また、積込場LPAにおいても広い範囲において轍の生成が抑制される。
【0117】
積込場LPAから退去し、第2搬送路HL2を走行するダンプトラック2は積荷を積んでいる。積荷状態のダンプトラック2の総重量は、空荷状態のダンプトラック2の総重量よりも大きい。そのため、第2搬送路HL2をダンプトラック2が走行すると、第2搬送路HL2において轍がより生成され易い。本実施形態においては、第2搬送路HL2において複数の目標走行経路RPoが生成されるため、轍の生成を効果的に抑制することができる。
【0118】
<第7実施形態>
第7実施形態について説明する。上述の実施形態と同一又は同等の構成要素については同一の符号を付し、その説明を簡略又は省略する。
【0119】
図16は、本実施形態に係るダンプトラック2の制御方法の一例を示す模式図である。
図16に示すように、作業点設定部122は、積込点LPを複数設定することができる。作業点設定部122は、複数の積込点LPを、間隔をあけて設定することができる。
図16に示す例では、作業点設定部122は、3つの積込点LP(LP1,LP2,LP3)を設定する。
【0120】
本実施形態において、複数の積込点LPは、油圧ショベル3の上部旋回体61が旋回軸RXを中心に旋回したときのバケット53の移動軌跡を示す規定ラインAMに沿って設定される。
【0121】
本実施形態において、走行経路生成部123は、スイッチバック点BPと複数の積込点LPのそれぞれとを結ぶように、積込場LPAにおいて複数の目標走行経路RPを生成する。なお、
図16は、積込点LP1と5つのスイッチバック点BPのそれぞれとが結ばれる例を示す。図示は省略するが、走行経路生成部123は、積込点LP2と5つのスイッチバック点BPのそれぞれとを結ぶように、積込場LPAにおいて複数の目標走行経路RPを生成する。また、走行経路生成部123は、積込点LP3と5つのスイッチバック点BPのそれぞれとを結ぶように、積込場LPAにおいて複数の目標走行経路RPを生成する。
【0122】
以上説明したように、本実施形態によれば、積込場LPAにおいて複数の積込点LP(LP1,LP2、LP3)が設定されることにより、スイッチバック点BPから積込点LPまでの領域において積込場LPAの広い範囲において轍を生成が抑制される。
【0123】
なお、本実施形態のような複数の積込点LPを設定する構成要素と、上述の各実施形態で説明した構成要素とは適宜組み合わせることができる。例えば、
図16に示す実施形態において、スイッチバック点BPは1つでもよいし、複数のスイッチバック点BPが規定エリアARに設定されたり規定ラインALに沿って設定されたりしてもよい。また、スイッチバック点BPから複数の積込点LPのいずれか一つに進入するダンプトラック2が、複数の積込点LPの中から順次積込点LPが選択されるようにしてもよいし、ランダムに選択されるようにしてもよいし、頻度マップを用いて選択されるようにしてもよい。
【0124】
<第8実施形態>
第8実施形態について説明する。上述の実施形態と同一又は同等の構成要素については同一の符号を付し、その説明を簡略又は省略する。
【0125】
図17は、本実施形態に係るダンプトラック2の制御方法の一例を示す模式図である。
図17に示すように、スイッチバック点設定部121は、排土場DPAにおいてダンプトラック2のスイッチバック点BPを複数設定することができる。また、作業点設定部122は、排土場DPAにおいてダンプトラック2の排出点DPを複数設定することができる。走行経路生成部123は、複数のスイッチバック点BPのそれぞれと排出点DPとを結ぶ複数の目標走行経路RPを生成することができる。
【0126】
以上説明したように、本実施形態によれば、排土場DPAにおける轍の生成が抑制される。
【0127】
なお、本実施形態のような排土場DPAにおいてスイッチバック点BP及び排出点DPを設定する構成要素と、上述の各実施形態で説明した構成要素とは適宜組み合わせることができる。例えば、
図17に示す実施形態において、スイッチバック点BPは1つでもよいし、複数のスイッチバック点BPが規定エリアARに設定されたり規定ラインALに沿って設定されたりしてもよい。また、スイッチバック点BPから複数の排出点DPのいずれか一つに進入するダンプトラック2が、複数の排出点DPの位置を順番に選択されるようにしてもよいし、ランダムに選択されるようにしてもよいし、頻度マップを用いて選択されるようにしてもよい。
【0128】
なお、上述の実施形態において、積込点LP及び排出点DPの一方又は両方を含む作業点の設定は、運転者Maによる入力装置66の操作に基づいて実施されることとした。作業点は、管理装置10により自動的に設定されてもよい。また、運転者Maによる入力装置66の操作により油圧ショベル3で生成された指令データは、管理装置10を経由せずに、油圧ショベル3とダンプトラック2との車々間通信によってダンプトラック2に送信されてもよい。
【0129】
なお、上述の実施形態においては、ダンプトラック2が無人ダンプトラックであることとした。ダンプトラック2は、運転者の操作に従って走行する有人ダンプトラックでもよい。
【0130】
なお、上述の実施形態においては、制御システム1がダンプトラック2の走行に適用されることとしたが、例えばホイールローダのようなダンプトラック2とは異なる他の鉱山機械の走行に適用されてもよい。
【0131】
なお、上述の実施形態においては、作業機械が鉱山で稼働する鉱山機械であることとしたが、鉱山とは異なる作業現場で用いられる作業機械でもよい。