特許第6243544号(P6243544)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6243544吸着剤処理おける再利用のため使用済みリン酸ジルコニウムを再生する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6243544
(24)【登録日】2017年11月17日
(45)【発行日】2017年12月6日
(54)【発明の名称】吸着剤処理おける再利用のため使用済みリン酸ジルコニウムを再生する方法
(51)【国際特許分類】
   B01J 49/06 20170101AFI20171127BHJP
   A61M 1/16 20060101ALI20171127BHJP
   B01J 20/02 20060101ALI20171127BHJP
   B01J 20/34 20060101ALI20171127BHJP
   B01J 39/02 20060101ALI20171127BHJP
   B01J 39/12 20060101ALI20171127BHJP
   B01J 47/02 20170101ALI20171127BHJP
   A61L 2/18 20060101ALI20171127BHJP
   A61L 101/06 20060101ALN20171127BHJP
【FI】
   B01J49/00 111
   A61M1/16 190
   B01J20/02 A
   B01J20/34 G
   B01J39/02
   B01J39/12
   B01J47/02
   A61L2/18
   A61L101:06
【請求項の数】22
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2016-544320(P2016-544320)
(86)(22)【出願日】2014年7月24日
(65)【公表番号】特表2016-537197(P2016-537197A)
(43)【公表日】2016年12月1日
(86)【国際出願番号】US2014047919
(87)【国際公開番号】WO2015060914
(87)【国際公開日】20150430
【審査請求日】2016年3月16日
(31)【優先権主張番号】14/060,761
(32)【優先日】2013年10月23日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】508180910
【氏名又は名称】フレセニウス メディカル ケア ホールディングス インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100088904
【弁理士】
【氏名又は名称】庄司 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100124453
【弁理士】
【氏名又は名称】資延 由利子
(74)【代理人】
【識別番号】100135208
【弁理士】
【氏名又は名称】大杉 卓也
(74)【代理人】
【識別番号】100152319
【弁理士】
【氏名又は名称】曽我 亜紀
(72)【発明者】
【氏名】マーチャント,スティーブン,エー.
(72)【発明者】
【氏名】アダムス,ケリッサ
【審査官】 高橋 成典
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−173858(JP,A)
【文献】 米国特許第04687582(US,A)
【文献】 特表2009−528897(JP,A)
【文献】 特開平9−31494(JP,A)
【文献】 特開2006−31494(JP,A)
【文献】 米国特許第2571271(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01J 49/00 − 49/02
20/00 − 20/34
39/00 − 39/26
47/00 − 47/14
A61L 2/18、
101/06
A61M 1/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用済みリン酸ジルコニウムを再生する方法であって、以下の処理工程;
a)使用済みリン酸ジルコニウムと、少なくとも1つの抗微生物剤を含む消毒用水溶液とを接触させて消毒済みリン酸ジルコニウムのスラリーを与えることと、ここで前記使用済みリン酸ジルコニウムが未使用の材料よりも活性又は効率が低下する処理において吸着物質として使用されたリン酸ジルコニウムを含み、
b)前記スラリーを濾過し、及び前記消毒済みリン酸ジルコニウムを洗浄して洗浄した消毒済みリン酸ジルコニウムを与えることと、ここで前記消毒済みリン酸ジルコニウムの濾過は前記消毒済みリン酸ジルコニウムを含有するウェットケーキを前記スラリーから単離することを含み、
c)前記洗浄した消毒済みリン酸ジルコニウムを酸性溶液で処理して処理済みリン酸ジルコニウムを与えることと、
を含む、方法。
【請求項2】
前記処理が、前記消毒済みリン酸ジルコニウムに吸着された陽イオンを除去する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記消毒済みリン酸ジルコニウムの洗浄が、前記消毒済みリン酸ジルコニウムを水溶液で洗浄廃水中のハロゲン含有量が0 ppmになるまで洗浄することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
d)前記処理済みリン酸ジルコニウムを濾過及び洗浄して洗浄した処理済みリン酸ジルコニウムを与える工程を更に含み、ここで前記処理済みリン酸ジルコニウムの濾過は前記処理済みリン酸ジルコニウムを含有するウェットケーキを単離して濾過した処理済みリン酸ジルコニウムを与えることを含み、前記処理済みリン酸ジルコニウムの洗浄は前記濾過した処理済みリン酸ジルコニウムを水溶液で洗浄することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
e)前記洗浄した処理済みリン酸ジルコニウムを5.5〜8.5のpHまで滴定して滴定済みリン酸ジルコニウムを与える工程を更に含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
f)前記滴定済みリン酸ジルコニウムを濾過及び洗浄して洗浄した滴定済みリン酸ジルコニウムを与える工程を更に含み、ここで前記滴定済みリン酸ジルコニウムの濾過は前記滴定済みリン酸ジルコニウムを含有するウェットケーキを単離することを含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
g)前記洗浄した滴定済みリン酸ジルコニウムを乾燥して乾燥済み再生リン酸ジルコニウムを与える工程を更に含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記抗微生物剤が含塩素化合物を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記抗微生物剤が次亜ハロゲン酸塩を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記抗微生物剤が次亜塩素酸アルカリ金属塩、次亜塩素酸アルカリ土類金属塩、又はそれらの任意の組合せを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記酸性溶液が、HCl、HBr、HF、HI、HClO、HClO3、HClO4、HBrO4、HNO3、H2SO4、又はそれらの任意の組合せを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記酸性溶液がHClを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記処理済みリン酸ジルコニウムの洗浄が、該洗浄の洗浄廃水が1200 ppm以下の全溶解固形物(TDS)含有量を有するまで前記処理済みリン酸ジルコニウムを洗浄することを含む、請求項5に記載の方法。
【請求項14】
前記滴定済みリン酸ジルコニウムの洗浄が、前記洗浄した滴定済みリン酸ジルコニウムが500 ppm以下の全溶解固形物(TDS)含有量を有するまで前記滴定済みリン酸ジルコニウムを洗浄することを含む、請求項6に記載の方法。
【請求項15】
前記乾燥済み再生リン酸ジルコニウムが14重量%〜18重量%の水分含有量を有する、請求項7に記載の方法。
【請求項16】
前記乾燥済み再生リン酸ジルコニウムが自由流動性粒子の形態である、請求項7に記載の方法。
【請求項17】
使用済みリン酸ジルコニウムを再生する方法であって、
a)使用済みリン酸ジルコニウムと、少なくとも1つの抗微生物剤を含む消毒用水溶液とを接触させて消毒済みリン酸ジルコニウムのスラリーを与えることと、ここで前記使用済みリン酸ジルコニウムが未使用の材料よりも活性又は効率が低下する処理において吸着物質として使用されたリン酸ジルコニウムを含み、
b)前記スラリーを濾過し、及び前記消毒済みリン酸ジルコニウムを洗浄して洗浄した消毒済みリン酸ジルコニウムを与えることであって、洗浄により該洗浄の洗浄廃水中に第1の予め選択された値以下の抗微生物剤の含有量を与えることと、ここで前記消毒済みリン酸ジルコニウムの濾過は前記スラリーから前記消毒済みリン酸ジルコニウムを含有するウェットケーキを単離することを含み、
c)前記洗浄した消毒済みリン酸ジルコニウムを酸性溶液で処理して該洗浄した消毒済みリン酸ジルコニウムに吸着された陽イオンを除去し、処理済みリン酸ジルコニウムを与えることと、
d)前記処理済みリン酸ジルコニウムを濾過及び洗浄して洗浄した処理済みリン酸ジルコニウムを与えることであって、洗浄により該洗浄の洗浄廃水中に第2の予め選択された値以下の第1の全溶解固形物(TDS)含有量を与えることと、ここで前記処理済みリン酸ジルコニウムの濾過は前記処理済みリン酸ジルコニウムを含有するウェットケーキを単離することを含み、
e)前記洗浄した処理済みリン酸ジルコニウムを5.5〜8.5のpHまで滴定して滴定済みリン酸ジルコニウムを与えることと、
f)前記滴定済みリン酸ジルコニウムを濾過及び洗浄して第3の予め選択された値以下の第2の全溶解固形物(TDS)含有量を有する洗浄した滴定済みリン酸ジルコニウムを与えることと、ここで前記滴定済みリン酸ジルコニウムの濾過は前記滴定済みリン酸ジルコニウムを含有するウェットケーキを単離することを含み、
g)前記洗浄した滴定済みリン酸ジルコニウムを乾燥して乾燥済み再生リン酸ジルコニウムを提供することと、
を含む、方法。
【請求項18】
請求項1に記載の処理済みリン酸ジルコニウムを含む吸着剤カートリッジ。
【請求項19】
請求項7に記載の乾燥済み再生リン酸ジルコニウムを含む吸着剤カートリッジ。
【請求項20】
透析液を使用して患者の血液から不純物を除去する少なくとも1つの透析装置と、前記透析液を再生するために少なくとも1つの請求項19に記載の吸着剤カートリッジとを備えた透析システム。
【請求項21】
使用済み透析流体を請求項19に記載の吸着剤カートリッジに通過させることを含む、使用済み透析流体を再生又は精製する方法。
【請求項22】
50 ml/分〜500 ml/分で吸着材カートリッジを通過する流速での透析治療における240分の使用における前記吸着剤カートリッジの特性が、
i)NH3-N漏出量(mg%) 0.5未満
ii)血液尿素窒素(BUN)漏出量(mg%) 1.5未満
iii)Na放出量 140 mEq/L〜160mEq/L
iv)総CO2放出量 38 mEq/L〜46 mEq/L
v)Mg、Ca、及びKの総漏出量 0.2 mEq/L未満
vi)pH 6.8〜7.2
vii)アンモニウム態窒素ブレイクスルー(ANBT) 320分〜350分
viii)尿素窒素容量(UNC) 38 mEq/L〜46mEq/L、及び、
ix)最大圧力 14 psi〜20 psi
の少なくとも1つの特性を含む、請求項21に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸着剤処理における再利用のため使用済みリン酸ジルコニウムを再生する方法に関する。さらに、本発明は、再生された使用済みリン酸ジルコニウムを含む吸着剤カートリッジ製品、また該吸着剤カートリッジを使用する透析に対する方法及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
リン酸ジルコニウム(ZP)固体粒子はイオン交換材料として使用され、透析溶液の再生に使用される吸着剤カートリッジにおける吸着物質として特に有用である。例えば、ZPイオン交換材料及び他の透析液処理成分を含有する吸着剤カートリッジは、REDY(REgenerative DialYsis:再生型透析)システムに使用されてきた。図1は、リン酸ジルコニウムを含めて、REDYカートリッジの各層の様々な機能を示す。その機能のうち、この市販の器具は、該カートリッジに含まれるウレアーゼの存在下での尿素の酵素分解によって生じるアンモニアを除去するためリン酸ジルコニウムを利用する。典型的には、経時的な使用、例えば吸着されたイオン、その層に本来存在していなかった物質の存在若しくは蓄積、又は他の要因による不活性化によって、リン酸ジルコニウム、ゆえにカートリッジ全体の再生効率が低下する。特許文献1に示されるように、使用済みリン酸ジルコニウム吸着剤は再生不可能であり、廃棄されなければならないと報告されてきた。使用された又は使用済みリン酸ジルコニウムを廃棄し、その機能を回復させるには吸着剤カートリッジ全体を新たなカートリッジで置き換える場合がある。
【0003】
例えば幾つかの公開された特許文献において示されるように、吸着物質を再生する方法が提案されてきた。
【0004】
特許文献2は、生体材料から得られた水性液体試料からの物質の精製に使用される吸着剤マトリクスの再生に関する。特許文献2の方法は、高感度の塩基性マトリクス又は高感度のスペーサーを更に含む高感度のリガンドのいずれかにより、加水分解に感受性である吸着剤マトリクスに対して適合され、少なくとも1つの再生溶液と、水混和性であって、4以下、好ましくは3以下(酸性溶液)、又は10以上であるが13未満(アルカリ性溶液)のpH値を有する有機溶媒を含む吸着剤マトリクスとを接触させることを特徴とする。
【0005】
特許文献3は、硫酸及び/又は有機酸を使用して金属回収処理により使用済み吸着剤を再生する、金属含有材料から金属を回収する方法に関する。特許文献3の方法は、概して、金属の除去に使用される吸着剤の再生、具体的には活性炭等の炭素質吸着剤の再生に関する。
【0006】
特許文献4は、使用済み吸着物質を提供することと、該吸着物質と溶媒組成物とを接触させて使用済み溶媒材料からの油及び不純物の除去を促すこととを含む、吸着物質を再生する方法に関する。
【0007】
特許文献5は、排煙に由来する成分によって被毒された吸着剤を再生する方法及び器具に関する。特許文献5の方法では、被性成分を除去し、促進物質を上記吸着剤へと導入するための薬剤で該吸着剤を処理する。
【0008】
特許文献6は、水性液体から積極的酸化段階(positive oxidation stage)においてヒ素を除去する方法に関する。特許文献6の方法では、ヒ素を結合することができる金属イオンを担持する固相を含む方法において使用される吸着剤を再生し、再利用してもよい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許第4,094,775号
【特許文献2】米国特許第7,052,609号
【特許文献3】米国特許出願公開第2001/0008617号
【特許文献4】米国特許第8,187,991号
【特許文献5】米国特許第8,173,566号
【特許文献6】国際公開第2012/047142号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本研究者らは、現在の吸着透析技術、及びそれに付随する治療様式を改善する要求を認識した。1つのかかる改善は、例えばリン酸ジルコニウム等のカートリッジ中の使用済み吸着物質の再生又は「リサイクル」である。さらに、本研究者らは、かかる再生された使用済みリン酸ジルコニウムを効果的に使用することができる透析システム及び/又は他の濾過システムのための吸着剤カートリッジに対する要求が存在することを認識した。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の特徴は、吸着物質としての再利用のため使用済みリン酸ジルコニウムを再生する方法である。
【0012】
本発明の更なる特徴は、吸着型透析処理における再利用のため使用済みリン酸ジルコニウムを再生する方法である。
【0013】
本発明の別の特徴は、使用した吸着剤カートリッジの使用済みリン酸ジルコニウムから得られた再生リン酸ジルコニウムを含む吸着剤カートリッジである。
【0014】
本発明の更なる特徴は、患者の血液から不純物を除去するため透析液を使用する透析装置と、該透析液を再生するため、再生された使用済みリン酸ジルコニウムを含む少なくとも1つの吸着剤カートリッジとを備えた透析システムである。
【0015】
本発明の付加的な特徴は、再生された使用済みリン酸ジルコニウムを含む吸着剤カートリッジに使用済み透析流体を通過させることを含む、使用済み透析流体を再生又は精製する方法に関する。
【0016】
これら及び他の利点を達成するため、また本発明の目的により、本明細書において具体化され幅広く記載されるように、本発明は、部分的にはa)使用済みリン酸ジルコニウムと、少なくとも1つの抗微生物剤を含む消毒用水溶液とを接触させて消毒済みリン酸ジルコニウムを与えることと、b)該消毒済みリン酸ジルコニウムを酸性溶液で処理して処理済みリン酸ジルコニウムを与えることとを含む、使用済みリン酸ジルコニウムを再生する方法に関する。
【0017】
また、本発明は、使用済みリン酸ジルコニウムを再生する方法であって、
a)使用済みリン酸ジルコニウムと、少なくとも1つの抗微生物剤を含む消毒用水溶液(例えば、少なくとも1つのハロゲン含有抗微生物剤)とを接触させて消毒済みリン酸ジルコニウムを与えることと、b)上記消毒済みリン酸ジルコニウムを濾過及び洗浄して洗浄した消毒済みリン酸ジルコニウムを与えることであって、洗浄により洗浄の洗浄廃水中に第1の予め選択された値以下の抗微生物剤のレベルを与えることと、c)上記洗浄した消毒済みリン酸ジルコニウムを酸性溶液で処理して該洗浄した消毒済みリン酸ジルコニウムに吸着された陽イオンを除去し、処理済みリン酸ジルコニウムを与えることと、d)上記処理済みリン酸ジルコニウムを濾過及び洗浄して洗浄した処理済みリン酸ジルコニウムを与えることであって、洗浄により洗浄の洗浄廃水中に第2の予め選択された値以下の第1の全溶解固形物(TDS)レベルを与えることと、e)上記洗浄した処理済みリン酸ジルコニウムを約5.5〜約8.5のpHまで滴定して滴定済み又は中和済みリン酸ジルコニウムを与えることと、f)上記滴定済みリン酸ジルコニウムを濾過及び洗浄して第3の予め選択された値以下の第2の全溶解固形物(TDS)レベルを有する洗浄した滴定済みリン酸ジルコニウムを与えることと、g)上記洗浄した滴定済みリン酸ジルコニウムを乾燥して乾燥済み再生リン酸ジルコニウムを与えることと、を含む、方法に関する。
【0018】
また、本発明は所定の処理済みリン酸ジルコニウムを含む吸着剤カートリッジに関する。
【0019】
また、本発明は患者の血液から不純物を除去するために透析液を使用する少なくとも1つの透析装置と、透析液を再生及び精製するため再生リン酸ジルコニウムを含有する少なくとも1つの所定の吸着剤カートリッジとを備えた透析システムに関する。
【0020】
また、本発明は、再生リン酸ジルコニウムを含有する所定の吸着剤カートリッジに使用済み透析流体を通過させることを含む、使用済み透析流体を再生又は精製する方法に関する。
【0021】
本明細書で使用される「リン酸ジルコニウム」又は「ZP」を分子式Zr(HPO4)2.nH2Oにより表すことができる。また、米国特許第7,033,498号(その全体が引用することにより本明細書の一部となる)に解説されるもの等、例えばその陽イオン/水素イオン構造に関し、該材料の他の表示が適用され得ることが理解される。
【0022】
本明細書で使用される「使用済みリン酸ジルコニウム」は、未使用の(「新しい又は使用していない」)材料よりも活性又は効率が低下する処理において吸着物質として使用されたリン酸ジルコニウムを指す。
【0023】
本明細書で使用される「防除」又はその表現の変形は、使用済みリン酸ジルコニウム中に存在する少なくとも1つの株の微生物の総レベルの所望のレベルまで(更には検出不能限界まで)の減少を指す。
【0024】
本明細書で使用される「微生物」は、個別に細菌、真菌、ウイルスであってもよく、又はそれらの任意の組合せであってもよい。
【0025】
本明細書で使用される「抗微生物(antimicrobial)」は微生物の個体数が減少、排除及び/又は抑制されるような微生物の防除を指し、「抗細菌(antibacterial)」は細菌の個体数が減少、排除及び/又は抑制されるような細菌の防除を指し、「抗真菌」は真菌の個体数が減少、排除及び/又は抑制されるような真菌の防除を指し、「抗ウイルス」はウイルスの個体数が減少、排除及び/又は抑制されるようなウイルスの防除を指す。
【0026】
先の一般的な説明及び以下の詳細な説明は、いずれも例示的及び解説的であるにすぎず、特許請求の範囲に記載される本発明の更なる説明の提供が意図されることが理解される。
【0027】
本出願に組み込まれ、本出願の一部を構成する付随する図面は、本発明の様々な特徴を解説し、明細書と共に、本発明の原理の説明に役立つ。図面に描かれる特徴は必ずしも正確な縮尺率ではない。異なる図面において同様に番号付けされた要素は、別段の指示がない限り同様の構成要素を表す。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】REDY(商標)カートリッジにおけるカートリッジ及び各層の様々な機能を示す図である。
図2】本出願の実施例による方法を示すプロセスフロー図である。
図3】本出願の実施例による再生リン酸ジルコニウムを含有する吸着剤カートリッジにおける材料の分解図である。
図4】本出願の実施例による吸着剤カートリッジを備えた吸着透析システムを示す概略図である。
図5】本出願の実施例による吸着剤カートリッジを試験するための透析試験の構成を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明は使用した又は「使用済み」リン酸ジルコニウム(ZP)の再生方法に関する。該方法では、使用済みリン酸ジルコニウムを、少なくとも1つの抗微生物剤を含む消毒用水溶液で消毒し、酸性溶液で処理して処理済みリン酸ジルコニウムをもたらすことができる。得られた再生リン酸ジルコニウムは、本明細書の実施例に示されるように、実質的に未使用の材料に匹敵する吸着に関連する回復した性能特性を有することができる。未使用のリン酸ジルコニウムの使用と比較して性能に悪影響を及ぼすことなく、吸着物質として得られた再生リン酸ジルコニウムを再利用可能であることから、上記回復は十分と言える。例えば、本発明において再生された使用済みリン酸ジルコニウムを吸着型透析処理において使用した吸着剤カートリッジから得ることができ、再生の後、その後の吸着型透析処理又は他の種類の吸着剤処理において再利用することができる。本発明の方法を使用して使用済みリン酸ジルコニウムから吸着剤ジルコニウム材料を再生可能であることにより、新たなリン酸ジルコニウムの取得又は合成に関連する費用も減少させることができる。
【0030】
本発明の使用済みリン酸ジルコニウムを再生する方法は、例えば、使用済みリン酸ジルコニウムと少なくとも1つの抗微生物剤を含む消毒用水溶液(複数の場合がある)とを接触させ、吸着プロセスにおける先の使用の間に生じた可能性のある微生物の混入(例えば、細菌の混入、真菌の混入、ウイルス又はそれらの組合せ)を除去することと、その後消毒済みリン酸ジルコニウムを少なくとも1つの酸性溶液で処理し、リン酸ジルコニウムが使用された先の吸着プロセスの間にその材料に吸着された陽イオンを除去することとを含んでもよい。消毒剤の種類、及び消毒剤に対して使用される接触時間は、使用済みリン酸ジルコニウムに存在し得る微生物を防除するのに十分であるように選択され得る。酸性溶液は、使用済みリン酸ジルコニウムから少なくとも1つの既に吸着された金属イオンを取り除くことができるか、又はそれ以外の方法でその除去をもたらすことができる酸を含むことができ、金属イオンを該酸性溶液中に移行するか、吸着物質から洗い流すか、又はそれらの両方を行う。酸処理の後、処理済みリン酸ジルコニウムを中和することができる。滴定を適用して、例えば、処理済みリン酸ジルコニウム材料に対する金属陽イオン(M+)/水素(H+)イオンバランスを調整することができる。吸着透析カートリッジにおける再利用のため、例えば、所定の処理済みリン酸ジルコニウムを標的pHまで滴定することができ、ナトリウムイオン及び水素イオンの相対含量をリン酸ジルコニウムが滴定されるpHにより制御することができる。所定の接触工程、処理工程、及び任意の滴定工程のいずれか1つ又は複数の後に(例えば、全工程の後に)濾過及び洗浄を使用することができる。例えば、消毒済み材料、酸処理済み材料、及び滴定済み材料はスラリー形態であってもよく、そこから水性流体相を濾過又はデカントにより除去し、リン酸ジルコニウム固形物を含有するウェットケーキを単離することができ、更なる加工の前に該ウェットケーキを洗浄して、予め選択された閾値等まで不要な不純物又は残渣を除去してもよい。最終洗浄工程の後及び再利用の前に処理済み(また、適用可能であれば滴定済み)リン酸ジルコニウムを乾燥してもよい。乾燥済み再生リン酸ジルコニウムは、自由流動性粒子材料の形態であってもよい。再生リン酸ジルコニウムの乾燥は、取り扱い性、製品安定性を高めることができ、又は他の目的及び効果を有することができる。また、再生リン酸ジルコニウムを、スラリー形態(例えば、水性スラリー形態)等の他の形態で保存し、取り扱い、及び/又は再利用してもよい。
【0031】
本発明の方法により再生され得る使用済みリン酸ジルコニウムの供給源として、例えば、吸着物質として使用されたリン酸ジルコニウムを挙げることができる。吸着物質は、吸着、イオン交換、又はクロマトグラフィー等の吸着プロセスにおいて使用された材料であってもよい。これらの吸着プロセスは、流体相からカートリッジ若しくはカラム中に充填されるか、又は槽(vessel)に懸濁された不溶性リン酸ジルコニウム粒子の表面へと幾つかの吸着質が選択的に移行されるプロセスを含んでもよい。処理用の使用済みリン酸ジルコニウムを、例えば、吸着透析カートリッジ、水の精製/濾過カートリッジ、クロマトグラフィーカラム充填材、又はそれらの他の供給源から得ることができる。使用済みリン酸ジルコニウムは、様々な合成法、例えば、それらの全体が引用することにより本明細書の一部となる米国特許第7,033,498号若しくは米国特許出願公開第2010/084330号に示されるもの等、又は他の合成法によって作製される未使用のリン酸ジルコニウムに由来し得る。本発明の再生方法が適用される使用済みリン酸ジルコニウムの大きさは、例えば、約1ミクロン〜約150ミクロン以上、又は約10ミクロン〜約100ミクロン、又は約20ミクロン〜約75ミクロン、又は他の大きさの平均粒径であってもよい。また、これらの粒径の使用済みの開始材料を、本発明の方法によって再生した後にリン酸ジルコニウム粒子に適用してもよい。
【0032】
示されるように、本発明の方法によって使用済みリン酸ジルコニウムから再生されたリン酸ジルコニウムを、吸着物質として再利用することができる。本発明の方法によって得られる再生リン酸ジルコニウムは、その使用済み形態が得られたものと同じ種類のプロセス若しくはデバイスにおいて、若しくは異なる種類のプロセス若しくはデバイスにおいて使用することができ、又はその異なる部分を異なる種類のプロセス若しくはデバイスにおいて使用することができる。
【0033】
また、本発明は、本発明の方法によって得られた所定の処理済みリン酸ジルコニウムを含む吸着剤カートリッジに関する。例えば、患者の血液から不純物を除去するため透析液を使用する少なくとも1つの透析装置と、使用済み透析液を再生するための再生リン酸ジルコニウムを含む、少なくとも1つの所定の吸着剤カートリッジとを備える透析システムが提供され得る。使用済み透析流体を再生又は精製する方法は、再生リン酸ジルコニウムを含む所定の吸着剤カートリッジに使用済み透析流体を通過させることを含んでもよい。
【0034】
本発明の方法によって使用済みリン酸ジルコニウムから得られた再生リン酸ジルコニウムを、例えば、吸着剤カートリッジにおけるリン酸ジルコニウムの唯一の供給源として、又は吸着剤カートリッジの少なくとも1つの構成要素において未使用のリン酸ジルコニウムとのブレンドとして使用することができる。例えば、リン酸ジルコニウムを含めるように設計された吸着剤カートリッジの少なくとも1つの層において未使用のリン酸ジルコニウムの少なくとも一部又は全部に代えて、再生リン酸ジルコニウムを使用することができる。示されるように、これは、未使用のリン酸ジルコニウム、及び透析処理又は吸着物質としてリン酸ジルコニウムを使用する他の吸着処理に由来する使用済みリン酸ジルコニウムの廃棄に対する要求を軽減又は排除することができる。例えば、リン酸ジルコニウム層のリン酸ジルコニウムの総含有量の少なくとも約1 重量%、又は少なくとも約5 重量%、又は少なくとも約10 重量%、又は少なくとも約20 重量%、又は少なくとも約25 重量%、又は少なくとも約30 重量%、又は少なくとも約40 重量%、又は少なくとも約50 重量%、又は少なくとも約60 重量%、又は少なくとも約70 重量%、又は少なくとも約75 重量%、又は少なくとも約80 重量%、又は少なくとも約90 重量%、又は少なくとも約95 重量%、又は少なくとも約99 重量%、又は更には最大でリン酸ジルコニウム層の含有量の100 重量%、又は約1 重量%〜約100 重量%、又は約5 重量%〜約99 重量%、又は約10 重量%〜約90 重量%、又は約20 重量%〜約80 重量%、又は約25 重量%〜約75 重量%、又は約30 重量%〜約70 重量%、又は他の値の割合で所定の再生リン酸ジルコニウムを含むことができる少なくとも1つのリン酸ジルコニウム層を吸着剤カートリッジに含めてもよい。また、これらの再生リン酸ジルコニウムの所定の割合は、吸着剤カートリッジのリン酸ジルコニウムの総含有量に対して適用することもできる。
【0035】
図1において、フロー図は、本出願の実施例による使用済みリン酸ジルコニウムの再生に関するプロセスを示す。プロセス100は、使用済みリン酸ジルコニウム(ZP)から再生ZPを産生するため使用される工程101〜工程107を含む。工程101では、使用済みリン酸ジルコニウムを消毒用水溶液と接触させる。消毒用水溶液は、少なくとも1つの抗微生物剤を含む。工程102では、消毒済みリン酸ジルコニウムを濾過及び洗浄して洗浄した消毒済みリン酸ジルコニウムをもたらす。ウェットな(wet)リン酸ジルコニウムからの殺菌剤の除去の程度を示す第1の予め選択された値以下の上記洗浄の洗浄廃水中の抗微生物剤のレベルを与えるように洗浄を管理することができる。工程103では、洗浄した消毒済みリン酸ジルコニウムを酸性溶液で処理して、洗浄した消毒済みリン酸ジルコニウムに吸着された陽イオンを除去し、処理済みリン酸ジルコニウムもたらす。工程104では、処理済みリン酸ジルコニウムを濾過及び洗浄して洗浄した処理済みリン酸ジルコニウムをもたらす。工程105では、洗浄した処理済みリン酸ジルコニウムを或るpHまで滴定して中和済みリン酸ジルコニウムをもたらす。工程106では、滴定済みリン酸ジルコニウムを濾過し、洗浄する。工程107では、洗浄した滴定済みリン酸ジルコニウムを乾燥して乾燥済み再生リン酸ジルコニウム108をもたらす。
【0036】
或る例では、消毒液に含まれる少なくとも1つの抗微生物剤は、少なくとも1つのハロゲン含有抗微生物剤であってもよい。抗微生物剤(複数の場合がある)は、含塩素化合物、含臭素化合物、含フッ素化合物、含ヨウ素化合物、又はそれらの任意の組合せであってもよい。抗微生物剤の他の例として、限定されないが、酸化剤(複数の場合がある)、オゾン、過酸化物(複数の場合がある)、クエン酸又は他の有機酸(複数の場合がある)及び/又は無機酸(複数の場合がある)等の酸(複数の場合がある)が挙げられる。酸性溶液に使用される酸(消毒済みリン酸ジルコニウムを酸性溶液で処理して処理済みリン酸ジルコニウムをもたらすため)を、この酸が十分な抗微生物特性を有する場合には抗微生物剤の一部又は全部として使用してもよい。1又は複数の抗微生物剤を使用することができる。抗微生物剤(複数の場合がある)を希釈形態又は濃縮形態で使用してもよい。或る例では、消毒液は、(消毒液の総重量ベースで)約1 重量%〜約99 重量%、又は約2 重量%〜約90 重量%、又は約3 重量%〜約75 重量%、又は約4 重量%〜約50 重量%、又は約5 重量%〜約40 重量%、又は約6 重量%〜約30 重量%、又は約7 重量%〜約25 重量%、又は約8 重量%〜約20 重量%、又は約9 重量%〜約15 重量%の量、又は他の量で少なくとも1つの抗微生物剤を含んでもよい。上記消毒液は、脱イオン水等の担体流体又は媒質を含んでもよい。消毒液で処理される使用済みZPに対する使用される抗微生物剤(複数の場合がある)の比率(純物質ベースで)は、例えば、抗微生物剤の重量/ZPの重量ベースで約5:1〜約50:1、又は約10:1〜約30:1、又は約15:1〜約25:1、又は約20:1、又は他の比率であってもよい。抗微生物剤(複数の場合がある)を、例えば、希釈水溶液の形態で使用してもよい。或る例では、消毒液の抗微生物剤は、含塩素化合物であってもよい。抗微生物剤は、次亜ハロゲン酸塩(hypohalite salt)等の漂白物質を含んでもよい。使用され得る次亜ハロゲン酸塩の例として、次亜塩素酸アルカリ金属塩、次亜塩素酸アルカリ土類金属塩、又はそれらの任意の組合せが挙げられる。抗微生物剤は、無機化合物であってもよい。抗微生物剤を消毒用水溶液中に溶解、分散、又は乳化してもよい。抗微生物剤は、使用済みリン酸ジルコニウム中に存在している生菌及び/又は他の微生物等の生存可能な微生物と接触した後にそれらを防除するのに有効な効能及び濃度を消毒液において有してもよい。
【0037】
消毒用水溶液は、例えば、使用済みリン酸ジルコニウムに含まれる当初の量(計数による)の少なくとも約10 %、又は少なくとも約20 %、又は少なくとも約30 %、又は少なくとも約40 %、又は少なくとも約50 %、又は少なくとも約60 %、又は少なくとも約70 %、又は少なくとも約80 %、又は少なくとも約90 %以上、最大100 %、又は約10%〜100 %、又は約20 %〜約90 %、又は約30 %〜約80 %、又は約40 %〜約70 %、又は他の量の微生物を排除することができる。これらの低減レベルは、例えば、使用済みリン酸ジルコニウムにおける本来生存可能な形態の微生物の全て、又は細菌のみ、又は真菌のみ、又はウイルスのみ、又はそれらの任意の組合せに対して適用され得る。使用済みリン酸ジルコニウムにおける微生物の低減は、任意の多くの当該技術分野でよく知られている技法(例えば、特定の汚染物質に対する直接アッセイ、生体適合性検査、又はブラックライト検査(発光)等の光学的な汚染物質の分析)によって定量的に判定することができる。
【0038】
消毒した使用済みリン酸ジルコニウムを処理するため使用される酸性溶液は、水性担体(例えば、脱イオン水)等の液体担体中に酸を含んでもよい。1又は複数の酸を使用することができる。上記酸は、使用済みリン酸ジルコニウムに吸着された陽イオンを除去することができ、その流体と共に洗い去られる酸性溶液の担体中へと陽イオンを移行することができる酸であってもよい。上記酸は、無機酸及び/又は有機酸であってもよい。上記酸は、希釈形態又は濃縮形態で使用され得る。或る例では、酸性溶液は約1 重量%〜99 重量%、又は約2 重量%〜約90 重量%、又は約3 重量%〜約75 重量%、又は約4 重量%〜約50 重量%、又は約5 重量%〜約40 重量%、又は約6 重量%〜約30 重量%、又は約7 重量%〜約25 重量%、又は約8 重量%〜約20 重量%、又は約9 重量%〜約15 重量%の量、又は他の量で酸を含有してもよい。上記酸性溶液は、水等の担体流体又は媒質を含んでもよい。上記酸性溶液で処理される使用済みZPに対する使用される酸の比率(純物質ベースで)は、例えば、酸の重量/ZPの重量ベースで約25:1〜約750:1、又は約50:1〜約600:1、又は約100:1〜約500:1、又は約350:1、又は他の比率であってもよい。上記酸は、例えば、HCl、HBr、HF、HI、HClO、HClO3、HClO4、HBrO4、HNO3、H2SO4、又はそれらの任意の組合せであってもよい。或る例では、上記酸性溶液は、HCl等の鉱酸を含む。上記酸は、陽イオン除去能力を有し、使用済みリン酸ジルコニウムに吸着された陽イオンの少なくとも一部を除去するのに有効な酸性溶液中の濃度を有するように選択されてもよい。酸処理前に使用済みリン酸ジルコニウムは、リン酸ジルコニウム1 g当たり約0 mg〜120 mgより多い総陽イオンを含有する場合があり、消毒済みリン酸ジルコニウムの酸性溶液による処理は、リン酸ジルコニウム1 g当たり約0 mg〜5 mg以下、又は他の値の陽イオンの総含有量を有する処理済みリン酸ジルコニウムをもたらすことができる。これらのカチオン含有量の値は、使用済みリン酸ジルコニウムのナトリウムイオン、マグネシウムイオン、カルシウムイオン、及びカリウムイオンの総含有量に関して適用され得る。酸性溶液は、例えば、使用済みリン酸ジルコニウムに吸着された陽イオンの当初の量の少なくとも約10 重量%、又は少なくとも約20 重量%、又は少なくとも約30 重量%、又は少なくとも約40 重量%、又は少なくとも約50 重量%、又は少なくとも約60 重量%、又は少なくとも約70 重量%、又は少なくとも約80 重量%、又は少なくとも約90 重量%、又は更には最大100 重量%、又は約10 重量%〜100 重量%、又は約20 重量%〜90 重量%、又は約30 重量%〜約80 重量%、又は約40 重量%〜約70 重量%、又は他の量を除去することができる。使用済みリン酸ジルコニウムからの吸着された陽イオンの減少は、例えば、使用済みリン酸ジルコニウムにおける当初のレベルと酸処理後のレベルとを比較することによって特定され得る。酸性溶液に添加された陽イオンレベル及びその材料の理論上の陽イオン担持容量(cation loading capacity)より、酸による剥離の前の使用済みリン酸ジルコニウムに対する吸着された陽イオンレベルを特定することができる。
【0039】
酸処理工程の後、処理済みリン酸ジルコニウムを中和してもよく、例えばナトリウムイオン含有アルカリ性溶液で滴定して上記材料に対するナトリウム(Na+)/水素(H+)イオンバランスを回復及び調整してもよい。吸着透析カートリッジにおける再利用のため、例えば、処理済みリン酸ジルコニウムを標的pHまで滴定してもよい。これらのイオンの相対含量は、例えば、酸ZrP(又はH+ZrP)がNaOH水溶液等のアルカリ性溶液で滴定され得るpHによって制御されてもよい。吸着透析カートリッジ用途に対して、例えば、処理済みリン酸ジルコニウムを約5.5〜約8.5のpHまで滴定して滴定済み又は中和済みのリン酸ジルコニウムをもたらすことができる。
【0040】
示されるように、再生リン酸ジルコニウムはNa+及び/又はH+の形態の滴定済みZPであってもよい。Na+及びH+の混合物がZPに存在してもよい。滴定された(すなわち中和された)再生リン酸ジルコニウムは、例えば、リン酸ジルコニウムの重量ベースで、
約1.4 重量%〜約2.0 重量%のH+含有量、
約4 重量%〜約6 重量%のNa+含有量、
約34 重量%〜約37 重量%のZrO2含有量、
約41 重量%〜約43 重量%のPO4-含有量、及び、
約14 重量%〜約18 重量%のH2O含有量、
の1又は複数の特性を有し得る。様々な特性について他の含有量を使用してもよい。
【0041】
本発明の滴定された又は中和された再生リン酸ジルコニウムは、アンモニアを吸着する能力を有する場合がある。アンモニウム態窒素(NH4-N)に曝露された場合に再生ZPの吸着能力は、例えば、およそ約10 mg NH4-N/g ZP〜約50 mg NH4-N/gZP以上であってもよい。本発明の目的に関して「透析溶液」は、血液透析又は腹膜透析において使用され得る、例えば、約105 mEqの塩化ナトリウム濃度、及び約35 mEqの炭酸水素ナトリウム濃度を有する溶液を意味する。上記透析溶液のナトリウム濃度はZPアンモニア容量に影響を及ぼす場合があり、ZP粒子は純水において透析溶液中のアンモニア容量よりも多いアンモニア容量を有する場合がある。
【0042】
示されるように、消毒済み材料、酸処理済み材料、及び任意の滴定済み材料はスラリー形態であってもよく、そこから水性流体相を濾過又はデカントにより除去し、リン酸ジルコニウム固形物を含有するウェットケーキを単離することができ、更なる加工の前に、該ウェットケーキを洗浄して、予め選択された閾値等まで不要な不純物又は残渣を除去してもよい。例えば、洗浄の回数、各洗浄の容量、又はその両方を管理することができる。消毒済みリン酸ジルコニウムの洗浄は、例えば、約0 ppmの洗浄廃水中のハロゲンppmレベルを得るため、脱イオン水(DI水)等の水溶液で消毒済みリン酸ジルコニウムを洗浄することを含んでもよい。
【0043】
乾燥済み再生リン酸ジルコニウムをもたらすための洗浄済み、処理済み、又は滴定済みのリン酸ジルコニウムの乾燥は、任意の従来の方式で行われてもよい。例えば、処理済み/滴定済みの粒子のウェットケーキを、真空を適用して又は適用せずに室温で風乾するか、炉乾燥するか、輻射ランプで乾燥(radiant lamp dried)してもよく、又は他の乾燥若しくは加熱の方法を使用して乾燥してもよい。示されるように、再生リン酸ジルコニウムは、スラリー形態等の他の形態で得られてもよく、また再利用されてもよい。
【0044】
本発明の方法の或る例では、例えば、使用された又は使用済みリン酸ジルコニウムを漂白溶液(例えば、約1 重量%〜約25 重量%の漂白剤、約0.5 重量%〜10 重量%の塩素含有量)で消毒し、HCl水溶液(例えば、約1 重量%〜約25 重量%のHCl)で酸処理することができる。更なる例では、使用済みの吸着剤カートリッジから回収された使用された又は使用済みリン酸ジルコニウム(ZP)を、最初に漂白剤の水溶液(例えば、約8 重量%〜12 重量%の純粋な漂白剤、又は約10 重量%の純粋な漂白剤、約5 重量%〜6 重量%の塩素含有量)で処理して可能性のある微生物の混入を除去することができる。次に、該リン酸ジルコニウムを濾過し、廃水の塩素総レベルが約0 ppm(例えば、約3 ppm以下)に達するまで脱イオン水等の水で洗浄することができる。その後、該リン酸ジルコニウムをHCl水溶液(例えば、約9 重量%〜約13 重量%のHCl又は約11 重量%のHCl)で処理して、使用済み透析液を精製及び再生するために上記カートリッジが使用された先の透析処理(複数の場合がある)に由来する材料に吸着された陽イオンを取り除くことができる。リン酸ジルコニウムを濾過し、廃水のTDSレベルが約1200 ppm以下になるまで水(例えば、DI水)で洗浄することができる。透析のため吸着剤カートリッジにおいて使用される材料と実質的に同じ品質までリン酸ジルコニウムを戻すため、例えば、NaOH水溶液(例えば、約40 重量%〜約60 重量%のNaOH、例えば約50 重量%のNaOH)で約5.5〜約8.5(例えば、約5.5〜7、又は約5.75〜6.5、又は約5.75)の標的pHまで上記リン酸ジルコニウムを滴定してもよい。その後、該リン酸ジルコニウムを濾過し、ウェットケーキのTDSが約500 ppm以下になるまで水(DI水)で洗浄してもよい。その後、例えば約14 重量%〜約18 重量%の水分レベルまで該リン酸ジルコニウムを乾燥してもよい。乾燥済み再生リン酸ジルコニウムは使用(再利用)できる状態である。
【0045】
図3は、本発明の再生リン酸ジルコニウムを組み込むことができる吸着剤カートリッジの設計の例を示す。図3は、吸着剤カートリッジ、及び廃水として排出される前に該カートリッジへの、及びそれを通る使用された透析液の流れる方向を示す。上記カートリッジは、図3に示される順序で配置されるように、再生リン酸ジルコニウム、炭素層、アルミナ担持ウレアーゼ(例えば、固定化ナタ豆粉末(Jack Bean meal))、アルミナ(Al2O3)バックアップ層、及び含水酸化ジルコニウム/炭酸ナトリウムジルコニウム層(「HZO/SZC」)を備えてもよい。上記カートリッジの付加的な特徴及び構成要素は、例えば、米国特許第7,033,498号に解説される。REDY(商標)カートリッジ等の他の吸着剤カートリッジの設計、又はリン酸ジルコニウムを使用する他の吸着剤カートリッジの設計において、再生リン酸ジルコニウムを使用することができる。
【0046】
上に示されるように、本発明の再生リン酸ジルコニウムを含むカートリッジを様々な分離システムで使用することができ、また透析(例えば、血液透析(HD))溶液又は腹膜透析(PD)溶液の再生又は精製において使用することができる。簡略化された設計では、使用済み又は使用された透析溶液又はPD溶液を、単に1又は複数のカートリッジに通過させて使用済み流体を精製又は再生することができる。かかるシステムは、設置が容易であり、例えば図3に示されるように、使用済み流体を単に上部から底部へと通過させるカラムタイプの配置の使用を含むことができ、ここでは、重力によって使用済み流体がカートリッジを経由するか、又は使用済み流体が任意の方向で導入されることを可能とする圧力下で使用済み流体がカートリッジを通過し得る。より具体的なシステムでは、図4に説明されるシステムを、特に血液透析、すなわち閉鎖系として使用され得るシステムに対して使用される所定の吸着剤カートリッジを使用するように適合することができる。図4に示される吸着透析システムは、図3に関して上に記載されるようなカートリッジ、又は図4に示されるように配置される本発明の再生リン酸ジルコニウムを含む他の設計を使用することができる。かかるシステムは、透析処理の間の再生透析液の継続的な再利用を可能とする。
【0047】
腹膜透析に関して、幾つかの選択肢が存在する。第1に、血液透析のように、使用済み腹膜透析溶液を1又は複数のカートリッジに直接通過させ、老廃物を除去するため使用された腹膜透析溶液を精製又は再生することができる。代替的には、使用された又は使用済み腹膜透析溶液を、最初に、血液透析の間の血液と同様の方式で透析装置に通過させることができ、ここでは透析液が腹膜透析溶液から老廃物等を除去した後、該透析液を上記カートリッジに使用された又は使用済み透析液を通過させることによって再生又は精製することができる。いずれのシステムも本発明において使用することができる。
【0048】
図4を参照すれば、75は本出願のカートリッジであるカートリッジを表す。49は、図4に示される透析システムを操作するための電源を表す。51はヒーターを表し、53は流速計を表し、55は導電率計を表し、57は温度計を表し、59はUF制御を表す。これらの物品は吸着透析システムでは従来型の物品であって当業者に知られており、図4に示されるように本発明において使用され得る。61は、最終的に、6リットル貯留槽であり得る貯留槽77に入る再生透析液と混合される新たな濃縮物79を注入するため使用される注入ポンプである。63は血液漏出検出器(血液透析システムに言及する場合)を表し、65は透析システムにおいて従来型の物品であり本発明において使用され得るUF計を表す。構成要素67は透析装置を表す。示されるように、透析装置は当業者に知られており、典型的には、老廃物が透析液流体へと通過する膜を含む構成要素である。同様に、69は、上記透析装置を出る使用された透析液を表し、71は透析装置67に入る新たな透析液を表す。構成要素73は、透析装置からの使用した透析液を本出願のカートリッジであるカートリッジ75に注入するためのポンプである。
【0049】
示されるように、本発明の再生リン酸ジルコニウムを備えた、又は後付けされた吸着剤カートリッジは、典型的な治療にふさわしい吸着透析システムにおける成果をもたらすことができ、未使用のリン酸ジルコニウム材料を使用するカートリッジと実質的と同等となり得る。例えば、本発明の再生酸化ジルコニウムを含む吸着剤カートリッジの特性は、約240分間の使用において、
i)NH3-N漏出量(mg%) 約0.5未満、
ii)血液尿素窒素(BUN)漏出量(mg%) 約1.5未満、
iii)Na放出量 約140 mEq/L〜約160mEq/L、
iv)総CO2放出量 約38 mEq/L〜約46 mEq/L、
v)Mg、Ca、及びKの総漏出量 約0.2 mEq/L未満、
vi)pH 約6.8〜約7.2、
vii)アンモニア態窒素ブレイクスルー(Ammonia Nitrogen Break-Through)(ANBT) 約320分〜約350分、
viii)尿素窒素容量(UNC) 約38 mEq/L〜約46mEq/L、及び/又は、
ix)最高圧力 約14 psi〜約20 psi、
の少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ若しくは8つ、又は全ての特性を包含する。
【0050】
本発明は、再生リン酸ジルコニウムを含む吸着剤カートリッジを使用する、固定型吸着透析システム又は携帯用吸着透析システムにより使用されてもよい。吸着透析システムとして、吸着血液透析、装着型人工腎臓、吸着腹膜透析、及び他の吸着透析システムが挙げられる。
【0051】
本発明の再生リン酸ジルコニウムを含む吸着剤カートリッジを、例えば最大約4時間の透析治療、又は最大約8時間の透析治療等の長時間の透析治療における使用に対して作製することができる。例えば、8時間カートリッジを典型的には家庭用に作製することができ、4時間カートリッジを典型的には治療又は透析センターにおける透析治療用に作製することができる。本発明のカートリッジを、一般的には上に記載される任意の種類の透析システムにより使用することができる。上記カートリッジを通過する流速は、典型的には任意の従来の流速である。例えば、約50 ml/分以下〜500 ml/分以上の流速の透析液は上記カートリッジを流れることができ、本発明のシステムにおいて使用され得る。カートリッジの大きさ及び操作システムに応じて、他の流速を使用することができる。
【0052】
以下の特許、米国特許第7,033,498号及び同第8,114,288号、米国特許出願公開第2009/0173682号、同第2010/0140149号、同第2010/0252490号、同第2011/0315611号、同第2010/011401号、同第2009/0127193号、同第2011/0017665号に記載される透析システム又はそれらの構成要素を、本発明の所定の再生リン酸ジルコニウムと組み合せて使用することができ、またこれらのシステムは本発明の材料及び/又はカートリッジを組み込むことができる。これらの特許/公報はそれらの全体が引用することにより、本出願の一部をなす。
【0053】
本発明の再生材料、特に本発明のカートリッジに対して上に言及される透析流体の再生等の多くの用途が存在する。さらに、本発明の材料を通過することができる流体又は他の媒質からの不純物又は老廃物の除去を必要とする任意の分離プロセスにおいて、上記カートリッジを使用することができる。本発明は、薬剤過量投与の患者、又は患者の血流中の望ましくない若しくは危険な汚染物質の除去を必要とする(正:inneed of)他の患者の治療に関して有用な場合がある。また、再生リン酸ジルコニウムをクロマトグラフィーカラム(例えば、イオン交換HPLC)における充填材料として使用してもよい。
【0054】
したがって、本発明は、再利用のためリン酸ジルコニウムの再生を可能とする有用な実施形態を提供する。
【0055】
本発明は、任意の順序及び/又は任意の組合せでの以下の態様/実施形態/特徴を包含する。
【0056】
1.本発明は、使用済みリン酸ジルコニウムを再生する方法であって、
a)使用済みリン酸ジルコニウムと、少なくとも1つの抗微生物剤を含む消毒用水溶液とを接触させて消毒済みリン酸ジルコニウムを与えることと、
b)上記消毒済みリン酸ジルコニウムを酸性溶液で処理して処理済みリン酸ジルコニウムを与えることと、
を含む、方法に関する。
2.上記処理が、上記消毒済みリン酸ジルコニウムに吸着された陽イオンを除去する、任意の上記又は下記の実施形態/特徴/態様に記載の方法。
3.上記処理工程b)の前に上記消毒済みリン酸ジルコニウムを濾過及び洗浄して洗浄した消毒済みリン酸ジルコニウムを与えることを更に含む、任意の上記又は下記の実施形態/特徴/態様に記載の方法。
4.上記消毒済みリン酸ジルコニウムの洗浄が、上記消毒済みリン酸ジルコニウムを水溶液で洗浄して洗浄廃水中に約0 ppmのハロゲンppmレベルを得ることを含む、任意の上記又は下記の実施形態/特徴/態様に記載の方法。
5.c)上記処理済みリン酸ジルコニウムを濾過及び洗浄して洗浄した処理済みリン酸ジルコニウムを与えることを更に含む、任意の上記又は下記の実施形態/特徴/態様に記載の方法。
6.d)上記洗浄した処理済みリン酸ジルコニウムを約5.5〜約8.5のpHまで滴定して滴定済み(又は中和済み)リン酸ジルコニウムを与えることを更に含む、任意の上記又は下記の実施形態/特徴/態様に記載の方法。
7.e)上記滴定済みリン酸ジルコニウムを濾過及び洗浄して洗浄した滴定済みリン酸ジルコニウムを与えることを更に含む、任意の上記又は下記の実施形態/特徴/態様に記載の方法。
8.f)上記洗浄した滴定済みリン酸ジルコニウムを乾燥して乾燥済み再生リン酸ジルコニウムを与えることを更に含む、任意の上記又は下記の実施形態/特徴/態様に記載の方法。
9.上記抗微生物剤が含塩素化合物を含む含ハロゲン抗微生物剤である、任意の上記又は下記の実施形態/特徴/態様に記載の方法。
10.上記抗微生物剤が次亜ハロゲン酸塩を含む、任意の上記又は下記の実施形態/特徴/態様に記載の方法。
11.上記抗微生物剤が次亜塩素酸アルカリ金属塩、次亜塩素酸アルカリ土類金属塩、又はそれらの任意の組合せを含む、任意の上記又は下記の実施形態/特徴/態様に記載の方法。
12.上記酸性溶液が、HCl、HBr、HF、HI、HClO、HClO3、HClO4、HBrO4、HNO3、H2SO4、又はそれらの任意の組合せを含む、任意の上記又は下記の実施形態/特徴/態様に記載の方法。
13.上記酸性溶液がHClを含む、任意の上記又は下記の実施形態/特徴/態様に記載の方法。
14.上記処理済みリン酸ジルコニウムの洗浄が、該洗浄の洗浄廃水が約1200 ppm以下の全溶解固形物(TDS)レベルを有するまで上記処理済みリン酸ジルコニウムを洗浄することを含む、任意の上記又は下記の実施形態/特徴/態様に記載の方法。
15.上記滴定済みリン酸ジルコニウムの洗浄が、上記洗浄した滴定済みリン酸ジルコニウムが約500ppm以下の全溶解固形物(TDS)レベルを有するまで上記滴定済みリン酸ジルコニウムを洗浄することを含む、任意の上記又は下記の実施形態/特徴/態様に記載の方法。
16.上記乾燥済み再生リン酸ジルコニウムが約14 重量%〜約18 重量%の水分レベルを有する、任意の上記又は下記の実施形態/特徴/態様に記載の方法。
17.上記乾燥済み再生リン酸ジルコニウムがその自由流動性粒子を含む、任意の上記又は下記の実施形態/特徴/態様に記載の方法。
18. 本発明は、使用済みリン酸ジルコニウムを再生する方法であって、
a)使用済みリン酸ジルコニウムと、少なくとも1つの抗微生物剤を含む消毒用水溶液とを接触させて消毒済みリン酸ジルコニウムを与えることと、
b)上記消毒済みリン酸ジルコニウムを濾過及び洗浄して洗浄した消毒済みリン酸ジルコニウムを与えることであって、洗浄により該洗浄の洗浄廃水中に第1の予め選択された値以下の抗微生物剤のレベルを与えることと、
c)上記洗浄した消毒済みリン酸ジルコニウムを酸性溶液で処理して洗浄した消毒済みリン酸ジルコニウムに吸着された陽イオンを除去し、処理済みリン酸ジルコニウムを与えることと、
d)上記処理済みリン酸ジルコニウムを濾過及び洗浄して洗浄した処理済みリン酸ジルコニウムを与えることであって、洗浄により該洗浄の洗浄廃水中に第2の予め選択された値以下の第1の全溶解固形物(TDS)レベルを与えることと、
e)上記洗浄した処理済みリン酸ジルコニウムを約5.5〜約8.5のpHまで滴定して滴定済み(又は中和済み)リン酸ジルコニウムを与えることと、
f)上記滴定済みリン酸ジルコニウムを濾過及び洗浄して第3の予め選択された値以下の第2の全溶解固形物(TDS)レベルを有する洗浄した滴定済みリン酸ジルコニウムを与えることと、
g)上記洗浄した滴定済みリン酸ジルコニウムを乾燥して乾燥済み再生リン酸ジルコニウムを提供することと、
を含む、方法に関する。
19.本発明は、任意の上記又は下記の実施形態/特徴/態様に記載の方法により得られた上記処理済みリン酸ジルコニウムを含む吸着剤カートリッジに関する。
20.本発明は更に、透析液を使用して患者の血液から不純物を除去する少なくとも1つの透析装置と、上記透析液を再生するために任意の上記又は下記の実施形態/特徴/態様に記載の少なくとも1つの吸着剤カートリッジとを備えた透析システムに関する。
21.本発明は更に、使用済み透析流体を任意の上記又は下記の実施形態/特徴/態様に記載の吸着剤カートリッジに通過させることを含む、使用済み透析流体を再生又は精製する方法に関する。
22.240分の使用における上記吸着剤カートリッジの特性が、
i)NH3-N漏出量(mg%) 約0.5未満、
ii)血液尿素窒素(BUN)漏出量(mg%) 約1.5未満、
iii)Na放出量 約140 mEq/L〜約160mEq/L、
iv)総CO2放出量 約38 mEq/L〜約46 mEq/L、
v)Mg、Ca、及びKの総漏出量 約0.2 mEq/L未満、
vi)pH 約6.8〜約7.2、
vii)アンモニウム態窒素ブレイクスルー(Ammonium Nitrogen Break-Through)(ANBT) 約320分〜約350分、
viii)尿素窒素容量(UNC) 約38 mEq/L〜約46mEq/L、
ix)最大圧力 約14 psi〜約20 psi、
の少なくとも1つの特性(例えば1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、又は9つ全ての特性)を含む、任意の上記又は下記の実施形態/特徴/態様に記載の方法。
【0057】
本発明は、文及び/又は段落に記載のような上記及び/又は下記のこれらの様々な特徴又は実施形態の任意の組合せを包含し得る。本明細書に開示される特徴の任意の組合せは本発明の一部とみなされ、組合せ特徴に関しては限定されないことが意図される。
【0058】
本発明を、以下の実施例により更に明らかにするが、これは本発明の例示に過ぎないことが企図される。他に示されない限り、本明細書において使用される全ての量、百分率、比等は重量基準である。
【実施例】
【0059】
実施例1:
HISORB+カートリッジを模擬透析処理において約3.5時間〜4時間使用した後、使用済みリン酸ジルコニウム(ZP)を該吸着剤カートリッジから回収した。
【0060】
使用済みZPを別々のバッチで再生した。使用したZP再生処理では、18リットルの処理水を反応槽に添加し、撹拌しながら2.6 kgの使用済みZPを加えた。2リットルの漂白剤(5 %〜6 %でアッセイした)をZPスラリーに添加し、該ZPスラリーを60分間撹拌した。ZPスラリーを濾過し、ZPのウェットケーキを総塩素レベルが0 ppmになるまで処理水のアリコート20リットルで洗浄した。清潔な反応槽において、20リットルの11 %HCl溶液を添加し、ZPのウェットケーキを撹拌しながらHCl溶液に徐々に加えた。酸性溶液で処理したウェットケーキを60分間撹拌した後、撹拌を停止してZPを沈殿させた。スラリーから液体をデカントし、20リットルの処理水を反応槽に添加した。スラリーを10分間撹拌した後、ZPスラリーを濾過した。ZPのウェットケーキを廃水のTDSが1200ppm以下になるまで処理水のアリコート20リットルで濯いだ。清潔な反応槽において、8リットルの処理水を添加し、ZPのウェットケーキを回収して撹拌しながら処理水を添加した。5.75の標的pHまで50 %NaOHでZPスラリーを滴定した。滴定済みスラリーを30分間撹拌した後、滴定済みスラリーを濾過した。ZPのウェットケーキのTDSが500ppm以下になるまで該ウェットケーキを20リットルの処理水で濯いだ。水分レベル14 %〜18 %までZPのウェットケーキを乾燥した。
【0061】
再生ZP材料の吸着能力:当該技術分野でよく知られている多くの技法によって定量的に判定され得る再生ZPの吸着能力を測定することによって、その性能を評価した。例として、再生ZPの試料を既知容量の特定の濃度のアンモニウム態窒素溶液中で設定時間振蕩した。振蕩後、得られたスラリーを濾過した。その後、残留アンモニウム態窒素について濾過物を分析した。そこから、吸着されたアンモニウム態窒素(NH4-N)の量を算出した。表1は、未使用ZPの吸着能力と比較した、上記の通り処理された再生ZPの吸着能力を示す。未使用のZPの吸着能力を上記の通り特定した。
【0062】
【表1】
【0063】
カートリッジにおける再生ZPの吸着能力:図3に示される構成を有する吸着剤カートリッジの構築において、未使用ZPに代えて再生ZPを使用した。既知濃度のアンモニウム態窒素溶液を作製した。カラム廃水中のアンモニウム態窒素が2.0 mg%以上になるまで該溶液をカラムに循環させた。その後、吸着されたアンモニウム態窒素の量を算出した。表2は、未使用ZPの吸着能力と比較した、再生ZPの吸着能力を示す。
【0064】
【表2】
【0065】
概して、再生ZPで作製された吸着剤カートリッジは、未使用ZPで作製されたカートリッジと同様に、又はそれよりも良好に機能した。使用した(使用済み)ZPを得て、本発明の方法によって未使用材料の性能特性を有する材料の品質までそれを再生することができることが示された。
【0066】
出願人は、本開示において全ての引用された参考文献の全内容を具体的に援用する。さらに、量、濃度、又は他の値若しくはパラメータが、範囲、好ましい範囲、又は好ましい上限値及び好ましい下限値の列挙のいずれかとして与えられる場合、これは、範囲が別々に開示されているかどうかにかかわらず、任意の上限又は好ましい値と任意の下限又は好ましい値の任意の対により形成される全ての範囲を具体的に開示しているものと理解される。本明細書において数値範囲が列挙される場合、特に明記されない限り、その範囲はその終点、及びその範囲内の全ての整数及び端数を包含することが意図される。本発明の範囲は範囲を規定する場合に列挙された具体的な値に限定されることは意図されない。
【0067】
本発明の他の実施形態は、本明細書の検討、及び本明細書に開示される本発明の実施により当業者にとって明らかとなるであろう。本明細書及び実施例は例示的なものにすぎず、本発明の真の範囲及び趣旨は本願特許請求の範囲及びその均等物により示されることが意図される。
【符号の説明】
【0068】
図1
CARTRIDGEEFFLUENT カートリッジ廃水
ACTIVATED CARBONLAYER 活性炭層
HYDROUS ZIRCONIUMOXIDE LAYER 含水酸化ジルコニウム層
ZIRCONIUMPHOSPHATE LAYER リン酸ジルコニウム層
UREASE LAYER ウレアーゼ層
PURIFICATIONLAYER 精製層
USED DIALYSATE 使用した透析液
BINDS 結合
CREATININE クレアチニン
URIC ACID 尿酸
OTHER ORGANICS 他の有機物
MIDDLE MOLECULES 中分子
PHOSPHATE リン酸塩
FLUORIDE フッ化物
HEAVY METALS 重金属
AMMONIUM アンモニウム
CALCIUM カルシウム
MAGNESIUM マグネシウム
POTASSIUM カリウム
OTHER CATIONS 他の陽イオン
NOTHING なし
(CONVERTS UREA) (尿素を変換する)
OXIDANTS 酸化体
CHLORAMINES クロラミン
RELEASES 放出
ACETATE 酢酸塩
SODIUM ナトリウム
HYDROGEN 水素
CARBONATE 炭酸塩

図2
101 contactingspent ZP with aqueous disinfectant solution having halogen-containingantimicrobial agent 使用済みZPとハロゲン含有抗微生物剤を含む消毒用水溶液とを接触させる
102 filtering andwashing 濾過及び洗浄
103 treating with acidic solution 酸性溶液で処理
104、106 filtering and washing 濾過及び洗浄
105 titrating thetreated ZP 処理済みZPの滴定
107 drying 乾燥
108 regenerated ZP 再生ZP

図3
cartridgeeffluent カートリッジ廃水
Collector Pad コレクタパッド
Filter paper 濾紙
Regenerated ZP 再生ZP
Alumina アルミナ
Separator ring 分離器リング
Alumina SupportedUrease アルミナ担持ウレアーゼ
Separator pad 分離器パッド
Carbon 炭素
Diffusor pad ディフューザーパッド
used dialysate 使用した透析液

図4
SORBENT DIALYSIS 吸着透析
DIALYSATE 透析液
(49)ELECTRICITYSOURCE (49)電源
(51)HEATER (51)ヒーター
(53)FLOW METER (53)流量計
(55)CONDUCTIVITYMETER (55)導電率計
(57)TEMPERATUREMETER (57)温度計
(59)UF CONTROL (59)UF制御
(61)INFUSATE PUMP (61)注入ポンプ
(63)BLOOD LEAKDETECTOR (63)血液漏出検出器
(65)UF METER (65)UF計
(69)USEDDIALYSATE (69)使用した透析液
(71)FRESH DIALYSATE (71)新しい透析液
(73)PUMP (73)ポンプ
(75)CARTRIDGE (75)カートリッジ
(77)6 LITERRESERVOIR (77)6リットル貯留槽

図5
Fluid RegenerationTest System 流体再生試験システム
Sampling #2 第2のサンプリング
Sorbent Cartridge 吸着剤カートリッジ
Sampling #1 第1のサンプリング
Pump & Flow Control ポンプ及び流量制御
Infusate 注入液
Dialysate 透析液
Sampling #3 第3のサンプリング
Dialyzer 透析装置
Sampling #4 第4のサンプリング
Simulated Patent 模擬特許
Sampling #5 第5のサンプリング
図1
図2
図3
図4
図5